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新ストーリーです♪

6あずみ:2004/11/01(月) 00:06
第五話 (下された裁断)
 翌日も宗隆・清茂の反逆の知らせが広まった街では、騒然となっている。英雄とあがめられた清茂を非難する声もいたるところで聞こえる。宗隆に対しても主君殺しの大罪人として非難されている。公表によると今日、処断が決められる。
 裁きの間は畳敷きで腰ほどの柵によって罪人の場と傍聴人の場が区切られており、上座の一段ほど上がったところが裁き役奉行の位置となっている。その城内の裁きの間にはすでに文武諸官が詰め掛けている。その中には清光の父・清忠、次兄・清澄、清光の姿もある。長兄・清治は任地が北の国境の県と離れているために間に合わない。立花父子の表情は険しい。そんな立花父子に諸官らは興味の目や哀れみ、怒り、憎悪といった様々な視線を送っている。
 裁き役が室内に入ってきた。その後に続いて忠明も入る。
「皆、おあつまりいただき感謝する。さっそく罪人を召喚する。連れてこよ」
入り口付近に待機する警士はすぐさま外にいる宗隆と清茂をお裁き役の前に引き出した。
「うむ。さて、そのほう達は許されぬ大罪を犯した。しかし、申し開きは聞くとしよう」
はじめから犯人と決めたような様子で裁きは始まった。
「ふむ。申し開きとな?飾りだけのこととはいえご苦労じゃの。白に黒を塗るのがおぬしの仕事のようだのぉ。左官屋にでも転職したらええのにのぉ」
清茂はちっとも悪びれずに強烈な皮肉を言い放つ。裁き役の顔がゆがむが、ここはがまんして聞き流したようだ。
「清茂殿。まじめにしてくださらないと潔白が証明できませんぞ」
冷たい口調で忠明が言う。
「おや?裁き役でもないおぬしが口をだすのか?まったくもって不思議な茶番じゃ」
それでも毅然とした口調はやまない清茂。
「清茂殿は裁判を侮辱しておられるのか?このような態度だと罪を認めるということですかな?」
裁き役のがまんに限界がきたようだ。
「よろしい!清茂殿にはこれ以上の発言は必要ないであろう。次に・・宗隆殿。なにか申し開きは?」
「・・ない。俺がやってないという証拠が今のところはな・・」
 静かに毅然とした態度で答えた宗隆の言葉は場を静めた。
「ええ、ということは罪を認めるということだな?」
「耳も悪いようじゃの」
清茂がすぐに言い出す。
「清茂殿!またも侮辱するようなことを!余計なことに口をはさまないでもらいたい。両者とも特に申し開きが無ければ早速刑を言い渡す!」
がまんの限界を超えた裁き役が厳しい口調で言う。周囲の諸官も判決をまつ。
「両者とも死罪とす!きわめて極悪、酌量の余地なしである!!」
場がどよめいた。立花父子は拳を硬く握り締めている。
「ちょっとお待ちください」
 ここで忠明が口を開いた。
「確かに両者とも犯した大罪は許されません。しかし・・側妾といえども宗隆殿は宗重様のお子。清茂殿はこれまでの我国を支えた英雄。この二人を死罪とはあまりにも非道ではあるまいか。どうか死罪だけはお許しいただきたい」
立花父子だけではなく場にそろう諸官は皆驚きを隠せない。
「父上、どうして?」
「・・くっ!そうか、そういうことか。やるのぉ忠明」
「兄上、どうなってるの??」
「ヒカル・・とんだ茶番だよ・・すべては忠明のおもう通り」
 忠明の一言に再び判決を考えていた裁き役が顔を上げた。
「忠明殿のおっしゃることは一理ある。死罪当然だが、これまでのことを考慮に入れて再び刑を言い渡す」
場が静まる。
「清茂殿。そのほうは北離宮に収監する。宗隆殿・・そのほうは、蒼月より追放処分とする。以上!」


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