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新ストーリーです♪

5あずみ:2004/10/27(水) 00:22
「・・」
(緊張するなぁ・・それにしても静かだ・・)
清光は緊張した表情でそのときを待っている。
(あれ??そういえば・・僕の元服には必ず出るっていってたリュウ従兄さんは城中でも会わなかったなぁ・・どうしたんだろ?)
清光はふと宗隆のことを考えた。
 そのとき、上座のふすまが開かれた。諸官は皆平伏しようとしかけたが、上座より現れた者が制す。
「そのままで結構。諸卿らのご列席まことに痛み入る。しかし、今日の儀は中止となった」
そう切り出したのは九条忠明。諸官がどよめき始める。
「困惑されたことはよくわかり申す。実は・・昨夜殿が、宗重様が殺害された」
室内はうってかわってしんとなる。
(う、うそだろ・・宗重様が・・)
清光も同じく驚きを隠せない表情になっている。清茂はじっと目をつむりその表情は窺えない。
「もちろん犯人は捕らえました。しかし・・その犯人というのもまた問題でした・・その犯人は宗重様が妾、側室のお子・宗隆様でありました」
「まさか!!」
 清光はついに耐え切れずに静寂をやぶって声をあげた。
「おや?このような童がなぜここへ?・・そうか、清茂殿の孫か。今日が元服であったか。残念だがまたの機会だ」
忠明は興味も示さずに冷たく答えた。
「従兄上がそんなことするわけない!」
「いやいや。我々も始めはそう思ったが、犯行を計画した書がでてきた。それに・・これ以上小童が口を出さないでもらいたい。」
忠明は不機嫌な表情になった。
「そんなこと!従兄上が・・」
さらに反論しようとした清光の袖を清茂が引いて制止する。
「ヒカル・・やめよ」
周りには聞こえないような声だったが、清光には厳しく響いた。
「じぃ様、だって・・そんなのおかしいよ・・」
「・・今は場が悪い・・うかつじゃった」
清光は無念そうに目を伏せる清茂の表情を始めてみた。
「じぃ様・・」
「さて。さらに追い討ちをかけるように我国にはもう一つ凶事が見つかりました」
 宗重の死を重く止めた様子もなく忠明は続ける。
「今ここにおわします軍神とあがめられる清茂殿は・・軍神などではない!」
淡々とした口調がしだいに憎悪を帯びた強い口調になった。
「過去に偉大な功績を残したのは素晴らしい。しかし、戦乱が少し落ち着いた現在・・清茂殿は隣国・尭安の者と密書のやり取りをし、あろうことに殿の暗殺を企てていたのです!」
忠明は手に清茂が書いたという密書をひろげて見せた。再び室内は騒然となる。
「宗隆様が殿を殺害したのと関係があるかはわかりませんが、目的は達されたのです。密約によると、殿の死をもって尭安は国境を越えて押し寄せる手はずとあります。その後幼き宗義様を擁してこの国の実権を手に治めるつもりだったのです!」
 最後まで語り終えた忠明は満足そうに冷ややかな目を清茂に向けた。今度の清光はあまりの衝撃で呆然としている。
「はっはっは・・そんな紙切れがなんの証拠かの?」
騒然とする中、清茂は臆することなく問い返す。
「これは清茂殿の直筆であろう?」
「はて?わしの字を手本に書の稽古をしたか。どれ、もっと手本はいるか?」
清茂の一言に忠明の顔は一瞬怒りがさしたが、もとの冷たい顔にもどる。
「貴殿が戦いで捕虜にした将兵から話は伝わっております。この通り証言の書も」
「ふむ。よほど筆の練習がしたいのか。はっはっは」
「どういっても証拠はあります。残念ながら貴殿を拘束します。・・やれ!」
 忠明の指示により待機していた警士が清茂をくくる。
「国の英雄とあがめられた方を処刑はできません。牢でごゆっくり余生をお過ごしください。北離宮の牢へ収監だ」
「じぃ様!!このーじぃ様をはなせ!」
これまでのいきさつを聞いていた清光が清茂を行かせまいとして警士につかみかかる。
「なんだ、まだいたのか。そんな小童は城外につまみ出せ」
清光は軽く抱えあげられて城門の外へ連れ出された。
「このような悪行を諸卿らは繰り返さぬことを願っております」
くぎをさすように言い放った忠明も退出していった。
 この日城下にこの件が公表され、城下に衝撃が走った。


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