したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

新ストーリーです♪

10あずみ:2004/11/08(月) 23:53
第七話(湯煙の中)
 木陰で元服の儀をとりおこなった後二人はひらけた道を探して進んだ。中央街道から先は道がないと聞いていたが、小さくではあるが人が切り開いた道があった。きこりや森の住民が使う道のようだ。
「従兄上、どこへ向かっているの?」
やや疲れた様子で清光がたずねる。
「そうだな・・確かこの森にすむ人々のことを聞いたことがある。まずはそこにいってみようと思っているんだがな・・」
「道はこのままであってる?なんだかさっきから同じ風景だから心配・・」
清光は不安がっていたが、宗隆も実は不安であった。
 しばらく二人は同じような道を歩いていたが、川に出ることができた。その川にそっていくと小さな小屋が見えてきた。
「あ!従兄上、人がいそうだね!」
疲れが見えてきた清光は顔を輝かせていった。
「そうだな。いってみるか」
二人は小屋に向かって歩いた。
 小屋にたどりついたがどうやら無人のようだった。
「あれ?誰もいないのか・・」
気落ちしたように清光が言う。
「ふむ・・いつも使っている所ではないな。狩の時期に使うのかもしれん」
さいわい戸は開いたので今日はここで休ませてもらうことにした。
「ん?裏から湯気がでているな・・なんだ??」
小屋の裏に回ってみると、温水の湧きでる泉があった。
「従兄上、今日は湯につかれますね!」
歩き通しで汗にまみれていたので清光は喜んだ。
「そうだな!さっそく風呂にするか」
こんなところで湯につかれると思っていなかった宗隆もうれしそうにいった。
 湯の近くに脱いだ服を置く小さな棚があったのでそこで二人は服を脱ぐ。棚は比較的新しく、どこも壊れていないので近頃まで誰かがやはりこの小屋にいたのであろう。服を脱いで素っ裸になった二人はすぐさま湯に飛び込んだ。
「ふぅ・・やっぱり風呂は気持ちいいな!ヒカル」
「そうだね従兄上」
ここまで歩いた疲れがゆっくりと抜けていくようないい湯であった。
「ヒカル。元服したんだから少しは成長したかな?」
宗隆がいたずらっぽい口調で言う。
「え?・・・あー!?従兄上!!もう!」
宗隆が言ったことがわからずに一瞬ぽかんとした清光だったが、意味を悟った清光は顔を真っ赤にして宗隆に背を向けた。
「あはは!どうしたヒカル?俺の軍師がそんなんじゃだめだぞ」
笑顔で清光をなだめようとする。
「だってぇ・・」
まだ赤い顔をする清光はブクブクと顔を半分水に沈める。
「そのしぐさは相変わらずだな!さ、そろそろ上がるか」
 まだふくれっつらをしている清光の肩をたたいてなだめながら上がろうとしたとき、湯気の向こうに湯に入る人影が見えた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板