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羽娘がいるからちょっと来て見たら?
615
:
二郎剤
◆h4drqLskp.
:2007/02/21(水) 22:52:56 ID:ZCW0nFd6
00:46
圧縮された空気に風圧を感じ、スヴァンがトンネルへと完全に飲み込まれた。
距離感と速度感を失わせる暗闇に、確実なスピードメーターは彼女を包む布地がはためき、ポニーテールが揺れる頻度だけになった。少しずつ慣れていく瞳が、距離を変えない白い点、追うべき物体を見つめ、速度だけを落とさずに、ハルバードの重心移動だけで平行を守ろうと動く。
足一つをかすかに動かすだけで、かつて自由であった風と翼が暴れ、大きく視線を揺らす。翼での舵を諦め、白い翼は先端を通常より後ろへと移動させる。
袖のはためきが定格のリズムとなり、ポニーテールが乱れる。暴れる毛先がゴムの束縛を必要以上に嫌っていた。
日常感覚の解らぬ空間で、その暴れすらも感じたことのない事態であり、それだけの速度が出ていると確信した彼女は、姿勢制御を二の次に、目標へと向かう。
01:04
視線の左右端を、光点が幾つも走っていた。内部にあつらえた照明はオレンジ色で、速さのせいか、光がスヴァンの瞳へ食らいつこうと尾を引く形が幾つも見て取れる。
もう一つ、光点が増える。
さらに一つ。
視線の先が光る度、スヴァンの足は動く。内部照明から浮き出た光子が横にも糸を引き、スヴァンへのラブコールが瞳に溢れていった。
それでも、直進を諦める。中央の光点、銃弾を避けねばならない。
銃弾を避ける度、逃げ遅れた空気が彼女に押しつけられ、そして砕かれる。
彼女が感じる体の重心、それが平素より細くなっていく事にも気づいていた。
かすかに横へと体を振るだけで、体が容易に回転し、ポニーテールの形を崩す。
針のような重心と同じくして、集中力も鋭さを増し、風は頬になまくら刀で斬りつける。
今、自分が何処を飛んでいるのか、どれだけ速いのか、姿勢を乱す度に認識すら振り落とされていった。
だがスヴァンはためらわず、全身のブレーキを消し、前へ前へ。
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