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羽娘がいるからちょっと来て見たら?
601
:
二郎剤
◆h4drqLskp.
:2007/02/17(土) 20:51:25 ID:OVKeGQEU
*音開始
爆音をバックに、七頭のペンギンと追従する一人が倉庫から飛び出した。
無印と矢印ペンギン一号二号を先頭に、眼鏡と眉毛が皇女をエスコートしつつ走り抜ける。
後詰めのリボンと髭が後方を確認しつつ走る様は少々危なげな様子があり、つまずく様子が時折うかがえた。
走り抜ける先はミュトイの街並みと反対、向かう先を無印は手羽で指し、駆け抜ける皇女を見守るように全ペンギンが背後に向き直る。
余裕の少ない皇女に背後を伺う余裕はなく、走る先に見える物に疑問を持ちつつも従い走った。癖の付けられてしまった風切り羽根では飛行は危うく、慣れぬ二足走行に辟易しつつ。
向かう先には、
「鯨……?」
海岸に悠然と浮かぶシルエットは鯨でしかない。皇女は疑問を持ちつつも走り続けた。
追っ手を迎え撃つ無印ペンギンが、手羽を振り上げ、
「くけー」
勢いよくそれを振り下ろし後続してくる敵性集団を指さす。
『くけ!』
矢印ペンギン一号二号が同時にラッパを取り出し、奏でるメロディは突撃ラッパ。
「くけぇー!」
眉毛ペンギンが手羽で器用に、どこから取り出したのかアサルトライフルを両手で保持する。無印の指す場所へ過たずその銃口を向け、無駄のない動きで集団を捉えていた。
「くけっ」
リボンが眉毛に並び、銃口を向ける。少々ふらつきはあるが、足を止めるには問題のない程度のぶれだと見られた。
「きゅー!」
眼鏡が手羽を振れば、その両手羽に輝きが見えた。ナイフのような、仕込まれた武器だ。
「ぐわーぐわー」
アヒルのような声で鳴く髭ペンギンも両手羽の刃を見せ、
「くけー!」
鉄パイプを握る無印が突撃を開始した。
全軍突撃の行軍は短足のばた足で、頼りなくも確実に進んでゆく。
鉄パイプが華麗に舞い、相手の足を止めれば矢印一号二号が揃って手羽の突きを無数に入れた。
間抜けな外見とは裏腹に凶悪な仕込み手羽を振り回す眼鏡と髭は、主に相手の手を狙い、武器を取り落とさせることに執心する。
訓練の行き届いた動きではあるが、大きなペンギンの体を銃撃せんとする者は少なからずおり、それらを優先して狙撃するのは眉毛の仕事だった。やや遅れ、足下を擦過した弾丸を放つのはリボンの役目で、それは足止めのためであることは明白だ。
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