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羽娘がいるからちょっと来て見たら?

582二郎剤 ◆h4drqLskp.:2007/02/17(土) 20:22:11 ID:OVKeGQEU
7.圧縮の一
 ――自由を知っているから不自由を知る。
    不自由を知るから自由を知る。
     さて、どちらが先か。我々は卵生動物ではないので解らないかもしれない。

 申し訳ありませんが。
 そういった前置きがあった。続いて、しばらくの軟禁状態とあり。
「どういうこっちゃ」
 中央、政治の中心となっているであろうビル、アトラスの廊下にて、シヴィルはつぶやく。
「ビンゴだったんじゃないの? あー、体動かしたいっ!」
 アトラスより出られぬ欲求不満を露わに、エルヤが腕を振る。客室用のフロアと伝えられたここには、外へ飛び出す出入り口はない。
「はめられたわけでは無いとは思うけど」
 冷静さを欠くことのない言葉と物腰で、後ろを歩くスヴァンが言う。
「でも、明後日には交渉予定なんでしょう?」
 ナンナの言葉に、皆の歩みが止まる。目的地のない歩みは、更に意味を無くしたかのように停滞を開始。
「誰がどこまではめられてるんだか、全くわかんなくなったなー……」
 一様にうなり声を絞り出す。それで解決するとは誰もが思わず、しかしするべき事を思いつかぬ為の行為だった。
「ここは一つ……」
 つぶやくシヴィルには記憶がある。昨日セリエより告げられた見学内容について。

 押し掛け一名と引きずられた三名、そう計上するのが正しいと、襲撃を受けた個室の主、ラプンツェルは思う。
「で……そのインターンの子を色仕掛けで聞き出すのはどうかな?」
「ええええええっ!」
「……シヴィル? あなた、短絡的すぎやしないかしら」
 頭痛がするのか、こめかみを押さえた手、それをシヴィルの肩に置いたスヴァンが割り込み。全く解らないと言った顔のシヴィルが彼女を見やる。
「所属も別、ましてやインターンの娘が知っていると思う?」
「むーん、だけど他に頼りようが……」
「待つしか無いわね」
「かねー……」
 再びの袋小路に至った四人を見つめ、
「御世話役の人は駄目ですか?」
 ラプンツェルの思いつき。
「女に興味無いと思う……あ」
 ぽん、と解りやすい行為を見せたシヴィルが、悪戯っぽい笑みと手をナンナに向け。
「え?」
「エルヤ、ちょっとナンナ借りるよーん」
「え、え」
「ちょ、ちょっとー!」
 返答もせずシヴィルが、そして彼女に牽引されたナンナが廊下を飛ぶ。
「何するんでしょう……?」
「さあ……」
「あーん、ナンナはボクのー!」
 私事が手入れの行き届いた、無機質な廊下に響いた。


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