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羽娘がいるからちょっと来て見たら?
567
:
二郎剤
◆h4drqLskp.
:2007/02/17(土) 20:04:47 ID:OVKeGQEU
目的地に到着を果たせば、ようやく周囲を見渡す余裕が現れた。速度は視界を狭める、事実を実感した特務の一同は周囲を見渡した。約束の時間には少々ある、それを考慮してか行動第一を見せつけた男も沈黙し、その様を見やるのみだ。
「うわぁ……綺麗」
感嘆の声を発したドミーの視界、それは空気の都合で白色がかった距離を含め、図形を思い描いていた。着陸したビルの周囲――実際にはそれどころではなく、国ごと――を取り囲むように三本の巨大なタワーが設置され、それぞれが渡り廊下としてか、美観のためなのかは解らぬが、三つのリング状の構造物で一筆書きをされており。
「うーん、天使の輪っか」
セリエの感想に追従したミュトイの女がうなずく。
「フォルトゥナ、と言うんです。省庁が部門別に技術、文化、産業とそれぞれ一つずつタワーに入っておりまして、補強のために円で繋がっているんですね」
「だから」
真理の一言はまとめを紡ぐ準備であり、当人は理解していることを他人に解説させる要求でもあった。彼女曰く面倒臭いことであるから。
「中点には皇の城、というわけですか」
ドリスはまとめを告げながら、記憶された内容を思い出すことに専念した。
近代化されたビルは元の城を取り壊し、改めて建造したもので。
「技術と知恵の国は、過去の遺産すら駄目であれば作り替える、と……」
「そう言う意味では攻撃的、ですね」
任務一辺倒と思われた男が苦笑しつつ口を挟む。多少の稚気はあるのか、それとも彼の本質なのかは解らぬが、セリエが見とれていたことだけは確かだ。
「フォルトゥナは運命の環、フォーチュンとも言いますね」
追従した女が言葉をつむぎ、さらに彼女は言葉を終えない。
「技術と知恵に、我等が皇国の民は運命をゆだねるんです」
さて、と一言告げたのは男で、それだけの言葉が彼の稚気を消した。
「そろそろお時間です。ノルストリガルズの皆様も到着されたようで」
来てたんだ、とは誰もが思うことであり、口には出さぬがシヴィルが軽く笑みを見せる。
「これを機会に手を取り直す事は皇のお考えなのですよ」
それだけの回答を告げると内部へ続く鉄扉を開いた。
「どうぞ」
まるで執事のようだ。そうユニーは思い、実家を思い出し変わらぬ仕草に内心苦笑する。
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