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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】
704
:
名無しさん
:2013/09/30(月) 17:09:04
―作戦参謀―
小沢の話は続く。
「黒に対抗するには、ただメンバーの数を増やすだけでは不充分なんです。それぞれがもっと
石の力を引き出せるよう努力する、それが不可欠だと俺は思います。黒の方は人の負の
感情を増幅し、石の力を暴走させる黒い欠片を持ってます。それに対抗するには、ここに
いる皆さんが仲間を信じる、自分と自分の石の力を信じる、石の可能性を引き出す、それが
重要な要素だと思うんです」
話を聞きつつ、井戸田は呟く。
「そういや島田が言ってたっけな、『力は外から得る物じゃなくて自分の内側から自ら
導き出す物だ』って。自分の持ってる物をどう活かすかを考える…石の事と芸人としての
あり方って、根っこは一緒なんだな」
黒に属する者の中には、自分の石が戦うのや身を守るのに使えない弱い石だと嘆いたり、
早く自分の使える石が欲しいと焦るあまり「黒に入れば強い力が手に入る」との甘言に乗って
引き込まれた者もかなりの数に上るらしい―ビームがそうだったように。
そういう点に目を向けてみると、号泣が、自分も一度わずかながら興味を持った虫入り琥珀に
手を出した理由がわかろうという物だ。「自分の『存在』を削る」というリスクを冒してでも
相手を有無を言わさず捻じ伏せられる力が欲しい―それがその時の、彼らの心理だったのなら。
そこまで考えて、井戸田は一つ息を吐きつつ顔を上げた。
「潤の石はどっちかというと防御向きだし、俺の石だって様々な形で周りに干渉はできるけど
基本的に直接攻撃する力はありません。それでも自分なりに工夫を重ねる事でいろんな形で
石の力を引き出し、暴走した石に呑まれた人や石を悪用する人とも互角に戦う事ができたん
です。皆さんの石にも、きっとそれだけの物はあると思うんです」
そう、スピードワゴンは最初に石を手にした時から自分の石の力をどう活かすかを考え、実践
し、少しずつその可能性を引き出してきた。「石の力を引き出せるかは使い手次第」そう意識
せずとも、彼らは「自分の持つ物をどう活かすかを考える」理念を石の扱いにおいても応用
し、実際に効果を上げてきたのだった。この辺は、小沢の旺盛な探求心の賜物でもあった。
そして小沢はさらに言う。
「有田さん、上田さん、お願いがあります。俺はこうした石の可能性を引き出す手助けがしたい
んです、黒と戦うために。つまり…白の皆さんの能力を解析し、能力を最大限に引き出せる
連携や使い道や役割を考案する、そういう役割をしたいんです。底知れない規模と力を持つ
黒ユニットと戦うためには、そうした役割が絶対に必要だと思うんです」
その発言に、その場の全員が目を丸くした。これまでずっと他の者を巻き込みたくないがために
一人で、あるいは相方と二人だけで戦い続けてきた小沢が、今は他の者たちと積極的に関わ
ろうとしているのである。こうした行動も、今この場に来て設楽の事を他の白のメンバーに教えた
のも、「これ以上犠牲者を出さないように黒の侵攻を止める」という決断による物だった。
また草野球チームの監督もやっている自分ならこうした人選や起用のノウハウも持ち合わせて
いるから、この役割もきっとうまくできるはずという思いもあったのだった。
しばしの後、上田が口を開いた。
「そうか…お前自身がそう思うならその役割、お前に任せよう。児嶋が言ってたけど、お前は
麻雀やってても自分だけでなくその時の対局者全員の大まかな配牌や流れを、見て覚えて
られるらしいからな。黒の奴らは今聞いた設楽を含めて頭のいい奴が多いようなんだが、お前
のそれだけの記憶力や観察力なら、奴らに対抗できるかも知れん…ま、とにかく頼むぞ」
「はい…ありがとうございます」
その言葉と共に小沢は席に着く。
これが後に知られる「白ユニットの作戦参謀」誕生の瞬間だった―。
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