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【ミ】『忘れじの瑕、コメットテイル』

1『幸せ兎』:2019/03/08(金) 22:34:41

覚えていて悲しんでいるよりも、忘れて微笑んでいるほうがいい。

                     クリスティナ・ロセッティ


   ≪  ザザ――――z__________________ .....  ≫

   
     「…………」
                       
                    「キミも、そう思う?」

        「いいや」

    「おれは――――悲しくっても、覚えてたいよ」

                       「……この景色を。
                         いくつになっても。」

  「はは。理由なんて。だって、生まれ故郷だぜ。この――――」

                           ≪ザザ  ――――― ≫
 
                                       ≪    プツン≫

―――――――――――――――――――――――――――――

★ここは『薬師丸』がGMのミッションを行うスレです。

☆過去スレ(星見板)
【ミ】『ハッピー・ハッピー・コメットテイル』 
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【ミ】『コメットテイル幸福奇譚』
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【ミ】『コメットテイル、禍福の星巡り』
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★過去スレ(黄金板)
【ミ】『黄金色ハッピーテール』 
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【ミ】『黄金色ハッピーテール』 #2
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38『サヨナラ_エレジィ・タウン』:2019/03/19(火) 00:33:23
>>33(宗海)

「『高原』に『避寒地』……へえ、なんだかお洒落な感じ。
 ワタシ、『旅行』と言えば近場のアミューズメント施設ばかりだから、
 そういう身を休めるような旅行って、ちょっと憧れますね」

「それも、ドラマになるような有名な所なんて――――」

彼の脳裏には華やかな『リゾート地』が浮かんでいるのだろうか、
どこか羨まし気な笑みを浮かべ、宗海の語りを聞いていたが――

「あらっ、そう、そうなの―――――
 いえ、気にしないで、むしろご丁寧にありがとう。
 お察しの通り、『ツアーのイロハ』って言うんですか?
 今更教えてくれない『暗黙の了解』みたいなもの……
 そういうのを聞こうとしたんですけれど――――」

眉根を顰める表情に、それ以上の詮索はすべきでないと考えたらしく、
笑みをやんわりと、真面目な表情に戻しつつ・・・

「――――え、非常口?
 ええと、そうですね、着いたら一度見ておきます」

最後の一言にはやや怪訝そうな顔をしたものの、
一転控えめな調子で零した言葉は、彼の印象に残ったようだ。

ともかく彼も、自己紹介をする①の少年――――『城井』に視線を向けた。

>>34(黒峰)

「『損得』は良いわね、シンプルで分かり易くって。
 そうね、そう、『損する事はない』……むしろ『得』でしょうね」

        ニィ

「つまり? つまりよ。
 あなたも得だし、あたしも得……
 そういう『仲のイイ相手』になりたいって事?」

そこまで言い終えてから、流石に自己紹介を遮る気はしないのか、
女は①――――ジャージ姿の少年、『城井』の方に視線を向けた。

>>35(ヨロズ)

「あ、ども、ども。ご親切にありゃっす」

        ペコッ

眼鏡を掛け、三つ編みにした少女が頭を下げてきた。

「あー、あったあった。なんで見つかんなかったんだろ」

         ゴソゴソ
               ガチャ

               「よっしゃ充電完了」

後ろを見た時、残念そうに手を下げた『ベレー帽』の茶髪の少女と、
渡されたらしいクッキーのようなお菓子を齧る銀髪の少女も視界に入ったが、
自己紹介が始まるという事もあり、彼女らから特にリアクションはなかった。

>>36(小石川)

車内は特に荒れる事もなく、和やかなムードだ。
各自『連れ』と話すなり、小石川のように新しい知り合いを作るなり、
会話を主に時間が流れている。勿論、中には一人で過ごす者もいるが。

「あら! 奇遇ですわね、私の家でもジュースやジャム――
 それから、ゼリーが主力商品ですわね。ほら、贈答用の。
 よく『お歳暮』なんかで送られてくる、あの詰め合わせの。
 ああいったものを作るのが、私の家の『家業』ですの」

「ああ、果物の種類、という意味ならそれこそ何でも。
 苺、ぶどう、オレンジ、桃あたりは定番かしらね……」

             スッ

そこまで言うと、彼女は隣に座る①の少年――自己紹介する彼に視線を向けた。

>>37(城井)

「無い業界もあるらしいですけどね、まあ、それはともかく」

ともかく――――マイクは、城井の手に渡った。

                「ほどほどに、頑張って」

39『サヨナラ_エレジィ・タウン』:2019/03/19(火) 00:44:22
>全体

窓の外の星見町の景色は流れ去り、少しずつ『非日常』の雰囲気が広がり始める。
そんな中、添乗員からマイクを受け取った『城井』は――――
  
「ええと、『城井』。
 『城井達己』っていいます。
  
「生まれも育ちもS県H市星見町で、
 普段は高校通ってます。
  
「今日は一人で来ました。
 本当は母にプレゼントしようと思ったんですけど、店閉められないからって。
  
「うちの母親、あれです、居酒屋?小料理屋?そういうの、地元でやってて。
  
「その辺もあってかな。
 『趣味』っていうなら『包丁研ぎ』が、好きで、得意です。
  
「『禅』って感じで、オススメですよ。
 もしこの中に、『本当にそういうミステリー』しようと思って『包丁』とか持ってきた人が居たら、
  是非声掛けてください。
  
「たぶん力になれると思うんで。
 力になっちゃうくらい、俺、この旅、マジなんで。
 
「だから、仲良くしてくださいね」
  
そのような調子で、無事に自己紹介を終える事が出来た。
車内の全員の視線が集まるのを感じる。少なくとも名前は、覚えてもらえただろう。

     パチッ  パチッ

最後列あたりから、拍手の音が聞こえ始めて。

   「 はァ〜い ありがとうございましたァ! 皆様拍手〜! 」

                    パチパチ…
                                パチパチパチパチ

添乗員の言葉で、それがそこそこの大きさになって・・・緩やかに収束した。

           「 高校生のっ 城井建己くんでしたァ〜〜〜 」

     「 『包丁研ぎ』だなんて家庭的ですねェ〜〜〜 」

                 「 ぜひ、『マジ』で楽しんでいって、それに、
                    仲良しさんも増やしてってくださァ〜い! ネッ! 」

そのような当たり障りのないコメントのあと、添乗員は再び自己紹介を望むものを求め始めた。
他の四人が特に誰も手を上げずとも、⑦や⑭、あるいは新しく手を挙げた面々の誰かに当たり、無事進行するだろう。

>>37(城井)

「お見事。堂に入っているというか――――『鉄板トーク』って感じでしたよ」

             「その勢い、あやからせてもらいますか」

       スゥーーッ

紹介を終えると、サラリーマン風からのそのような労いと、
まっすぐと手を伸ばす彼の姿が意識に入って来た。

それとは別に――――

「よろしくお願いいたしますわね。城井さん」

          ニコ…

隣の②に座る『森ガール』と『ロリータ』のキメラのような女が、にこやかに一言、挨拶してきた。
自己紹介効果がさっそく効いているようだ。『勢い』というものが向いて来ている気がする。


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