したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【場】『 湖畔 ―自然公園― 』

1 『星見町案内板』 :2016/01/25(月) 00:04:30
『星見駅』からバスで一時間、『H湖』の周囲に広がるレジャーゾーン。
海浜公園やサイクリングロード、ゴルフ場からバーベキューまで様々。
豊富な湿地帯や森林区域など、人の手の届かぬ自然を満喫出来る。

---------------------------------------------------------------------------
                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
                                          └┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
---------------------------------------------------------------------------

2 流星 越『バングルス』 :2016/01/26(火) 23:12:41

夜である。
夜の、自然公園である。

備え付けのベンチに、少女が一人座っている。
尾のような栗毛のお下げ、赤ブチ眼鏡にダッフルコート。ショートパンツに黒タイツ。
白い息を吐きながら、足をブラブラ振りながら、空を見上げていた。

   「……エッちゃんはね」

   「エーツってゆーんだほんとはね」

……無表情で歌とか歌いながら、空を見上げていた。
見上げる空は晴れていて、月も星も綺麗に輝いていた。

3 タタラ『インスタント・カルマ』 :2016/01/27(水) 00:52:32
>>2

     ガコッ

          カラン

籠を手に空き缶を拾う女――いや、メイド。

クラシックな、露出の少ないメイド衣装の女。
黒い髪に、渦巻くような、水色の瞳・・・・

「……」

      ガッ   カラン

『流星の歌』に、足を止めて、そちらに視線を。

(酔っぱらいかしら?
 ……見た感じ、若そうだけど。)

       (未成年飲酒? まさかね。)

  トコ

「そこの貴女――」

「何かありまして?
 こんなところで、こんな時間に、歌だなんて。」

          ・・・・この女の姿こそ、何かあったのか?
              そう思われそうだが、タタラはマジだ。

4 流星 越『バングルス』 :2016/01/27(水) 01:08:53
>>3

   「だけどおっちゃめだーから自分のこーとエッちゃんって……」

         「…………はて」

歌を止め、足の動きを止め、タタラの方を向く。
張りつけたかのような鉄面皮。
眉をピクリとも動かさず、ニコリともしない。
顔は少し赤いが、これは寒さによるものだろう。あるいは、それこそ酒でも飲んでいるのか。
ともあれ、ただただ何の感情も浮かべぬ無表情で、声の方を向いた。

   「……声をかけられてしまいました。
    これが異性でしたらすわナンパかと舞い上がってしまうところですが、これは残念お姉さんです。
    いえお姉さんではなく『お姉さま』的なアレである可能性もあるわけですが、ともあれこんばんはメイドさん。素敵な夜ですね」

……そして、無表情のまま長セリフをまくしたてる。
やはり、表情はピクリとも動かない。

   「タイはお互い曲がっていませんが、閑話休題」

   「何かあったかと聞かれますと中々に返答に困るのですが。
    バイト帰りに空を見上げたら素敵な夜空だったので、ちょっと星でも見てから帰ろうかしら、とでも言いますか。
    するとなんとなく幸せな気持ちになってきまして。
    幸せなら手を叩こうと昔の人……っていうと世代の人に怒られてしまうので、少し前の人は言いましたが、ともあれそんなわけで歌を歌っていたのです」

   「つまり簡潔に言うのであれば、素敵な夜ですね?」

こてん、と首を傾げる。
無論、表情は無表情。

5 タタラ『インスタント・カルマ』 :2016/01/27(水) 01:18:46
>>4

「ええ、素敵な夜――」

     クィ

空を見て。
顔を下ろして。

「――ですワね。
 星も、月も、よく出ていて。」

        フ

微笑する。

(月は人を狂わせる、と言うし――
 歌っていたのは、そういうことかしらん。)

やや赤らんだ頬に、目を細める。
未成年飲酒は、罪だ――裁くほどではなくとも。

          ・・・・そうではなさそうだが。

「生憎、ナンパではございませんワ。」

「ただ、歌声が気になっただけ。
 失礼しましたワ、どうぞ続けてくれても。」

    ガ

足元の小さなゴミを、火ばさみで掴んで、籠へと入れる。
籠の中には、雑多なゴミがたまりつつあった。

         (それにしても……表情の変わらない女ね。)

6 流星 越『バングルス』 :2016/01/27(水) 01:33:19
>>5

   「ええ、本当に。
    今日は星を見るにはいい日です」

   「まぁ星座はあまり詳しくないのですが。
    空に浮かぶ星が全部オリオン座だったら星座全部知ってるぜフフーンと言えるんですけどね」

空に浮かぶ星が全部オリオン座だったらちょっと不気味だ。
ジョークのつもり、なのだろうか。
笑いかけられても、やはり表情はピクリとも動かない。

   「そうですか。それは残念ですわお姉さま。
    とはいえ私の超常的歌唱力を前にすれば思わず声をかけてしまうのも当然と言えるでしょう。
    スカウトでしたらいつでもお待ちしております」

胸に手を当て、微妙に流し目。
……表情は無いが、もしも表情が豊かであれば『ドヤ顔』していたのであろうことは想像に難くない。

    「とまぁ、そんな今日び中学生でも恥ずかしくて言い出さないような話はさておくとして」

    「……メイドさんは、なにをしていらっしゃるので?
     というかそもそも、メイドさんはメイドさんなので?
     現代日本でメイドさんなんて、メイド喫茶か何らかのイベント以外でお目にかかれるとは夢にも思いませんでしたが」

そんな不思議な少女でも、『夜の湖畔公園でゴミ拾いをするメイド』という光景は気になるらしい。
再びこてんと首を傾げ、無表情のまま問いかける。

7 タタラ『インスタント・カルマ』 :2016/01/27(水) 01:44:10
>>6

「私も星にはあまり詳しくありませんワ。
 星の話が出来たら、少しはロマンチックだったかしら。」

        カチャ

火ばさみを下ろして、地面を見る。
星が綺麗でも、地面は汚れている。

そして、眼の前の少女。

(変な奴ね……関わって失敗かしら?)

酒気も、罪の色も、今のところ感じない。
奇人変人の類か、と、大きな瞳を少し絞る。

「スカウトマンには見えないでしょう?
 見ての通り、『ゴミ拾い』ですワ。
 星の町なのに、こんなにゴミがたくさん――」

「さしずめ『スペース・デブリ』かしらん。」

           カチャ

火ばさみを、目の高さまで掲げて。

「そしてこの格好も、伊達や酔狂ではございません。
 現代日本でも――『メイド』は絶滅していませんワ。」

     「尤も、中世のソレそのままじゃあないですけれど。」

               ・・・・どうも本当に、メイドらしかった。

8 流星 越『バングルス』 :2016/01/27(水) 02:00:52
>>7

   「まぁ」

ぽん、と顔の横で手を叩いた。
本物のメイドと聞いて、感嘆した……のか。

   「驚きました。メイドさん、まだいるんですね。
    やはりお屋敷とかに勤めてらっしゃるのでしょうか。
    思えば雇われの家政婦なんかは普通にいるのですから、メイドぐらいいてもおかしくなさそうなものですね」

驚いたと口では言っているが、鉄面皮が揺るぐことは無く。

   「しかしなおさら疑問なのですが、なぜメイドさんがゴミ拾いを?
    ご主人の意向とか、そういうアレなのでしょうか?」

まぁ、これももっともな疑問だろう。
メイドが、一人で、公園で、ゴミ拾い。
どう考えても、よくわからない状況だ。

   「あ、それとも私はこの町そのものに仕えているのだとかそういう展開?」

9 タタラ『インスタント・カルマ』 :2016/01/27(水) 02:09:00
>>8

「お屋敷ですワ。
 それ以上のことは、企業秘密。」

        ピ

指を立てて、秘密めかした笑み。
タタラの笑みは、どうにも、つくりものが多い。

         ・・・・そして。

「さっきも言ってしまったけれど……
 私が仕えているのは、あるお屋敷。そしてゴミ拾いは――」

        「『一日一善』」

毅然とした態度で、そう言い張る。
一日、一善。それこそがタタラをタタラたらしめる。

「善行を重ねれば――
 きっといつかは良い事がある。」

     「ゆえに、今日はゴミ拾いですワ。」

そういうことだった。
……ちなみに、昨日は赤い羽募金に500円入れた。

「貴女もいかがかしら? ゴミ拾い。あるいは別の一善。」

             ・・・・勧誘までする始末。

10 流星 越『バングルス』 :2016/01/27(水) 02:26:33
>>9

   「企業秘密ですか。
    ……テンション上がってくる響きですね」

映画の中から飛び出してきたみたいな、非現実的な人。
だけどそんな人が目の前にいるわけで、気分が高揚した。らしい。
らしいというのは、当然表情が変わらないからだが。

ともあれ。

   「善行」

オウム返しに呟く。
『一日一善』。子供のころ、習字の授業で書かされたような四字熟語。
その理屈は、むしろ『情けは人の為ならず』のようなものだったが……

   「……なるほど。
    では、お邪魔でないのでしたらお手伝いします」

ぴょんとベンチから飛び降り、両手をヤジロベエのように立てて着地。
ぱんぱんと服の埃を払ってから、肩を回す。

   「一人は星を見た」

   「もう一人は泥を見た」

   「……なんて詩もありますが、なにも二人で別のことをしなきゃいけないわけでもありませんし。
    星は存分に見ましたから、今度は二人で泥でも見ましょうか」

無表情のままそう言って、ゴミを拾い始める。
道具は無いから手で拾い、てててとタタラに近づいて籠に入れて行く。

   「デブリの駆除なんて、SFチックですしね。
    あんまりロマンチックではありませんけれど。このデススターにかかれば全て粉みじんよー」

          カコッ

11 タタラ『インスタント・カルマ』 :2016/01/27(水) 02:41:28
>>10

「上がったからって、
 歌うのはおよしなさいな。」

(私まで歌の仲間と思われたらいやだもの。)

根底は、エゴ。
やんわりした口調で、くぎを刺して。

      カチャ

「ええ、善行。」

「邪魔だなんて、とんでもない。
 空き缶拾いで財を為してる方には、
 ひょっとすると邪魔かもしれませんけれど。」

      カコン  

火ばさみでゴミを拾いながら、ゆっくり歩く。
手で拾うのはごめんだ。得体が知れないゴミもある。

「星を見たがる人はいくらでもいますワ。
 けれど……泥を見たがる人はあまり、いない。」

       「だからコレは、善行になる。」

だから――
いずれタタラは、救われる。

             そう、信じている。

   ・・・

       ・・・

   ピタ

     しばらくして、タタラが立ち止まった。

12 流星 越『バングルス』 :2016/01/27(水) 02:51:05
>>11

   「ご安心下さい。
    私は恥ずかしがり屋さんなので、改まってエッちゃんリサイタルするほどの情熱は持ち合わせておりません。
    顔から火が出てしまいます。……顔から火が出るって完全になにかのモンスターですね」

……これで恥ずかしがりやなど、どの口が言うのか、と言う感じではあるが。
少なくとも、とりあえず、再び歌いだす気は無いらしい。

   「〜♪」

……鼻歌はちょっと歌っていたが。

ともあれ。
拾う、捨てる。  カコッ
拾う、捨てる。  カコッ
拾う、捨てる。  カコッ
その繰り返し。何度も、何度も、繰り返し。
これってどうやったら終わりなのかな、と流星が考え始めたころ。
タタラの動きがピタリと止まり、つられて流星もピタリと止まる。

   「…………メイドさん、どうしました?」

   「もしや私が時を止める超能力に覚醒してしまいましたか? ヒュー」

ピタリと止まった姿勢のまま、小首を傾げた。

13 タタラ『インスタント・カルマ』 :2016/01/27(水) 03:03:10
>>12

「そう、それは――安心ですワ。
 いえね、歌が嫌いなわけじゃあないのだけれど――」

   ・・・   カコッ

   カコッ

        ・・・  カコッ

               ――そして。

立ち止まったタタラは振り返る。
水鏡のような目を瞬かせ。

「超能力だなんて。
 まさかね、そうじゃあありませんワ。」

「――そろそろ、帰る時間というだけ。
 何分、メイドですので。家事もありますし。」

それは全然、大した理由ではなかった。
もっともメイドとしては、最大級に大した理由かもしれない。
 
            ・・・・そして。

   ス

「貴女はどうします?
 続けるなら、貸しておきますワ。」

       「手で拾うなんて、きたないでしょう?」

火ばさみを差し出すようなポーズを取る。
それはどこにでも売ってそうな火ばさみで、だから貸すのだろう。

14 流星 越『バングルス』 :2016/01/27(水) 03:18:17
>>13

   「ああ、なるほど」

   「超能力でなかったのは残念ですが、納得しました。
    確かにお忙しそうですものね、メイドさん。超能力でなかったのは残念ですが」

   「超能力でなかったのは残念ですが」

三回言った。
まぁ――――実のところ、時を止めるなんて代物ではないにせよ、『持っている』のだが。
だからこれは本当にジョークもいいところなのだが、それはともかく。
スッと姿勢を正し、曲げた人差し指の第一関節で眼鏡を押し上げる。

   「私ですか」

   「私は、というか私も、そろそろおうちに帰りましょうかね。
    エッちゃん寂しがり屋さんなので、一人でやってたら不安で爆死とかしそうです」

そういうことらしい。
パンパンと手に着いた汚れを軽く払い、ぺこりとタタラにお辞儀。

   「今日はありがとうございました」

   「……おや?
    よく考えてみるとお礼を言うのも妙な気がしますね。
    しかしなんと言えばよいのやら。上官殿と共に戦えて光栄でした、みたいな?」

   「…………まぁそんな感じで。お仕事頑張ってくださいね、メイドさん」

首を傾げながらも手を振り、タタラを見送る構え。
タタラが去って行けば……すぐに、流星も帰るだろう。空は、相変わらず星々が美しく輝いていた。

15 タタラ『インスタント・カルマ』 :2016/01/27(水) 04:28:00
>>14

(超能力が欲しいのかしら?)

「メイドですもの。忙しいのが普通ですワ。
 それでも、労働環境はきちんと近代的だけれど。」

        コク

頷きながら、火ばさみを引くタタラ。
そして籠を肩に掛けなおして。

「爆死は困りますワ、
 拾うものが増えてしまうもの……ふふ。」

冗談、らしい。

「ええ、礼を言われることもないですワ。
 こちらこそ、人と一緒に善行を積むのは新鮮でした。」

            フ

微笑を浮かべて、振り返る。
急ぐ必要はないが、帰らなくてはいけない。

「では、夜道にはお気をつけて。」

「この町は平和だけれど――何があるかは、分かりませんもの。」

            カチャ
                  カチャ

空の星もまた、変わらず光り輝いている。
空き缶とごみの擦れる音を残し、歩き去る。

               ・・・・積んだ善行を確かめるように。

16 稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』 :2016/02/05(金) 01:03:27

――海浜公園内、木陰に位置するベンチ。

    piko

piko

せっかくの晴天。
アウトドア日和。

外でゲームをするのは……正解なのか?

      「……えひっ。」

携帯型ゲームを巧みに操る人形の様な少女。
帽子を被り、黒髪に青い眼鏡、レンズの向こうの瞳は桜色。

    カチャ      カチャ

     ・・・・イヤホンを着けており、周囲はあまり、見えていない。

17 人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』 :2016/02/07(日) 22:13:02
>>16
せっかくの晴天。
アウトドア日和。

『昼寝』をするのも、いかがなものか。

「……………………むにゃ……」

木陰に横たわり、『枕のような羊』の『スタンド』を
枕代わりにして、女がぐっすりと眠りこけている。

……よくよく見れば、以前『駅前』で会ったことを思い出すかも知れない。

18 稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』 :2016/02/07(日) 22:34:23
>>17

「…………」

      カチャ

          「あ」

    ピタ

手が止まり、少し眉間にしわを作る。
何かの失敗があったか――

        ハァ ァ 

息を吐いて、何となしに視線を上げると――

「……うおっ……」

      (こんなところで寝落ち……
        寝落ち? ……あれ? あいつ……)

見覚えのある女だ。
前には、駅前でいきなり眠りこけていた。

(……まあ……ここでスヤァすんのは自由か。
  オフトン代わりの……芝生もあるしな……捗りそう。えひ。)

          トコ    トコ

            ・・・・なんとなく近づく。
               ゲームを休みたいのも、ある。

19 人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』 :2016/02/07(日) 22:56:08
>>18
「…………すぅ……」

近づいてみると、『人吉』は穏やかな寝息を漏らした。
何と言うべきか……実に『平穏』な風景だ。

「……えへへ」

何の『夢』を見ているのか、時折ニヤけたり、

「…………あら、あらっ……」

焦ったような顔を浮かべたりしていたが、

「うぅ〜……ん……」

パチッ
木陰に揺れる草の音か、はたまた『恋姫』の足音か、
何かに反応したらしく、うっすらと目を開ける。

「……おはようございます……?」

20 稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』 :2016/02/07(日) 23:05:02
>>19

      ジ

しゃがみこんで、寝顔を眺める。

「…………」

     (えひ……眠り名人かよ……
      気持ちよさそうにしやがって……)

   「ふあ……」

     パチ
            パチ

恋姫もつられて小さくあくびし、瞬きを二度ほど。
不眠ではないが――

         ・・・と。


「あ……えひ、おはよう……」

         「あー……ごめん、
           起こしちゃったか……?」

寝言というわけでもなさそうだし――返事する。

21 人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』 :2016/02/08(月) 00:04:28
>>20
「あっ…………違いますよぉ、先生……
眠ってたわけじゃなくて………………あら?」

どうも『寝ぼけ』ていたようで、
しばらくよく分からないことをのたまったあと、
『恋姫』に目の焦点を合わせて不思議そうに声をあげた。

「……うっかり、眠っちゃってたのかしら。
そんな、ごめんなんて……良いのよぉ、別に……あら」
「あなた…………どこかで、会ったことがあるような……」

22 稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』 :2016/02/08(月) 00:14:29
>>21

「……廊下に立ってる? えひ。」

冗談で返して。
イヤホンを外す。

     フィ

やや視線をずらし、ゆっくり立ち上がる。

「まあ……今日はあったかいし……
  この辺でなら……薄い本も、厚くはならないだろ……」

人影はまばらだが――
町中よりは、リラックスが許される場所。

「ほら……駅前で会ったじゃん……
  あのキャンドル……えひ、まだ使ってないよ。」

       「もったいないお化け……出ちゃいそうで……」

              ・・・・以前もらった蝋の欠片。
                  未だに机の上に置いてある。

23 人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』 :2016/02/08(月) 00:22:17
>>22
「あら…………わたし、そんなこと言ってたのかしら?」

クスクスと笑う。

「昔の夢を……見てたわ。厳しい先生がいてね…………
まあ、『居眠り』は、どんな先生だって怒るものかしら」

それに『課長』もね、と付け加えた。
いまだに、怒られてばかりだ。

「あらぁ……良いのよぉ、使いたいときに使うのが『一番』だわ。
まだ使っていないなら、『そのとき』じゃないってこと…………ふわぁ」

心地よい日差しに当てられたのか、あくびが飛び出した。

「それにしても…………いい天気ねぇ」

24 稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』 :2016/02/08(月) 00:31:15
>>23

「えひ、言ってたよ…………
 お前も……なんかいろいろ大変なのな……」

      (社会人、か……
        僕もいずれなるのかな……)

『先生』には、それ以上触れない。
こんなにいい天気だから。

「たまに……匂い、嗅ぐんだ。」

          「そしたら……
           えひ、安心する……」

   ニマ -

やや緩んだ笑みを浮かべる。
それから。

「…………ちょっとだけ、寒いけどな。
 でもまあ……いい天気だ……えひ。」

「……日向ぼっこでもしてたの?」

            ポカポカ

              (こいつといると……いらいらしない……)

25 人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』 :2016/02/08(月) 00:55:48
>>24
「生きるって、きっとそれだけで『大変』よぉ……
でも、だからこそ…………生きてるって、思えるのかしら」

「うふふ。役に立ってるようで、嬉しいわ〜……
わたしはもう、使い切っちゃったから……また、お店、探さなくちゃ」

釣られるように、笑った。

「そうなのよぉ……ほんとは、『散歩』しに来たんだけどねぇ」
「うふふ……お正月から、『お餅』食べ過ぎちゃって」

26 稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』 :2016/02/08(月) 01:09:30
>>25

「えひ……なんか、深いこと言うじゃん……」

生きる。
恋姫は今、生きている・・・・

      運命が少し違えば。
      あの時。

(……死にたくは、ない。
  えひ……そう思えるだけ、幸せなんだよな。)

あの時、死んでもいいと、思っていた。
そこに戻りたくはない。

      ポカ
              ポカ

・・・・今日はいい天気だ。

「……すげー捗るよ、あれ。」

キャンドルの一かけら。
それだけで、あの効力。

「あ……品切れちゃったか……
 えひ、ざんねん。余計大事に使わなきゃだ……」

      「けど、僕も……あれ売ってる店なら、
        ……探したいな……散歩ついでにでも……」  

ダイエットは必要ないが・・・・
目的があるなら、恋姫も歩く。

            あのキャンドル。
             恋姫は……ファンだ。

27 人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』 :2016/02/08(月) 01:18:47
>>26
「深い……かしら? わたしには、よく分からないけど…………
確かなのは、今、わたしはここで生きてるってこと。
『眠れる』…………それに、『目覚められる』って、そういうことよね」

「うふふ…………それじゃあ、探しに行かない?
お散歩ついでに…………あなたとなら、楽しそうだもの」

すくっと立ち上がり、そう提案する。

強烈な効き目の『キャンドル』……『Flourished Rose』。
一体なぜ、あんな『効能』があるかは判然としないが、
『人吉』と『恋姫』にとっては、それを好むという点において『共通項』だ。

28 稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』 :2016/02/08(月) 01:27:33
>>27

「えひ……僕もよくわかんないよ。
  なんとなく……そう思っただけで……」

       「……」

誘いを受け、少しだけ、止まって。

「……えひ……お誘い、されちゃった……リア充みたいに……」

         「あー……まあ……
          せっかくの日和だし……な」

   ゴソ

ゲーム機を腰につけたポーチにしまって。
立ち上がった人吉を見上げる。

「……たまには散策でもしてみるか。」

        「すれ違い通信も捗るし……」

などと言いつつ。
歩き出すなら、着いて行くだろう。

                 ・・・・そうだ。  
                   キャンドルを探しに、だ。

29 人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』 :2016/02/08(月) 01:45:15
>>28
「そうねぇ。うふふ、行きましょうか…………」

ゆっくり、一歩ずつ踏みしめるように歩き出す。
心地よい人と過ごす時は、静かに、のんびり味わうものだと、
『人吉』は思っている。

「まず『大通り』から当たってみようかしら……」

話しながら、湖畔を後にした。

30 荊木レイ『スティル・ライフ』 :2016/02/09(火) 23:46:09


             スオォォ…


「あるぇ?
 あれれ?」          

ベンチに腰掛けた眼鏡を掛けた女子高生が
誰に話しかける訳でもなくしきりに首を傾げてる。

「なぁんか、
 変わってねーっすか?
 フォルムがシャープになったてゆーか?
 ……あ、あれぇ?」

31 稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』 :2016/02/11(木) 00:16:50
>>30

「…………??」

そんな様子を眺める少女。
年は……小学校高学年か、中学生か。

同じく眼鏡を掛け、また帽子を被り、髪は黒く、瞳は桜色。
 
     カチャ
       
             カチャ

     (なんだあいつ……
        フォルム?シャープ……?)

             (ベンチマニアか……?
               えひ、何それこわい……)

小さな手で『携帯ゲーム』を弄ぶ。
視線を外している辺り、アクションではあるまい。

                ・・・・しかしフォルムとはなんだろう?

32 荊木レイ『スティル・ライフ』 :2016/02/11(木) 00:31:57
>>31
こちらはまだ恋姫さんに気付いておらず、
ベンチに腰かけ首をかしげています。


             「う        ズ
              |        ォ
              ん」       ォ

ラップを剥がす様に、
身体から筋骨隆々のスタンドの『腕』を発現。
ズレた眼鏡を直し、
発現した『腕』を観察します。

    「あれェ〜ッ。
     やっぱりぃ…?」

    「なんて言うんすかねェ?
     根本的にはそこまで変わってないんだけどォ、
     長期連載で『絵柄』が変わったっていうか、
     アニメで作画が、
     なんかおかしくない?て言うか?」

「うーん、
 ウーン」

33 稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』 :2016/02/11(木) 00:51:14
>>32

            ズ      
             ォ      
            ォ        

「うぉっ…………」

     突然のスタンド!

(常識みたいに出しやがって…… 
  ……フォルム……? あのスタンドのか?)

       (シャープどころか……
         筋肉モリモリじゃねえか……)

まあスタンド自体は見慣れたものだが、どういう状況だろう。

(作画崩壊っておま……
 キャベツじゃないんだし……)

        (常識的に…………)

              「えひっ……」

             ・・・思わず小さな笑いが漏れた。
                視線は思いっきり、スタンドだ。

34 荊木レイ『スティル・ライフ』 :2016/02/11(木) 01:01:52
>>33

    「どぉしたんだろ…。
     もしかして私が
     ダイエットしたせいで…」

             
            「あ」

目が合います。
「しまった」って表情をして、
咄嗟にスタンドを解除します。

「こ、こんにちはぁ〜ッ!
 良い天気っすね!
 …あッ!ゲーム!ゲームやってるんすか!
 そうだゲームッ!!」

アセアセ 

 「いいですよね!
  私も好きですよ!」  露骨に話題をそらそうとします。

35 稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』 :2016/02/11(木) 01:28:22
>>34

     (ダイエットでスタンド痩せるとか……
       つーか、もともとどんだけデカかったんだ……?)

     「……」

「…………!」

――と、ここでバレたと気づく恋姫。

         フイ

         (ヤバいか……?)

視線を逸らす。
まあバレていいこともない。

  (ヤバくは……なさそうか……?)

             ・・・目を少し細める。

「あー……うん。いい天気だわな。
  ゲーム……まあ、やってるけど……」

     カチャ

携帯ゲーム機の画面には……
某有名RPGの新作がプレイされている。

「えひ……ゲーマーなの、お前も……?」

            ニヤ

(そういや……さっきの……えひ、例えが、
   漫画と……アニメだったしな。同類か?)

       「あー……どんなゲームするの……?
         あれか? モンスター狩るやつか……?」

    話題逸らしなのは明白だが、恋姫の好きな話題だ。
     ゲームの話は……したい。まずはジャブとして『狩りゲー』で行く。

36 荊木レイ『スティル・ライフ』 :2016/02/11(木) 23:54:07
>>35
「は、はひッ!
 ゲーマーっす!
 ゲーム大好きです!
 三度の飯よりゲーム好き!」

                   ビ
                   ク
                   ッ

話題を反らす為に
咄嗟に口から出てきた言葉に
思わぬ食いつきをされてビクッとなります。

「あれ好きっすよ!
 『ロクヨン』の『スマブラ』ッ!
 ピーケーサンダーッ!ってやつで自分のお尻に、
 雷当てるやつできますッ!」

             「それにッ」

「RPGのレベル上げとかも得意ですよッ!
 ちっちゃい頃、
 お姉ちゃんにお小遣い貰う代わりに、
 延々とレベル上げをしたりしてッ!
 ニハハ…」

37 稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』 :2016/02/12(金) 00:08:43
>>36

「えひ……僕もいっしょだよ。
 面白いよな、『スマブラ』…………」
 
     「最近はネット対戦できるし……
        まあ、えひ……民度はお察しだが……」

ゲームの話なら饒舌になる。
しかし『64』とは・・・・

   (原理主義者か……?
      ライトゲーマーなのかな……)

「…………えひ。
 レベル上げかあ……」

そしてレベル上げとは・・・・

(こいつ……言うほどゲーム好きじゃないな……)

       (僕に合わせてんのか……
         えひ、コミュ力ってやつか……)

少し目を細める。
まあ別に舐められてるとかじゃないのは分かる。

「……あー……」

     ガリ

頭を少し掻いて。

「今なら……あれかな……
 リセマラとか……代わりにやらされたり……」

          「……すんのかな。
            現代的に考えて……」

38 荊木レイ『スティル・ライフ』 :2016/02/12(金) 00:20:12
>>37
「ニハハ…」

目を細める恋姫さんに
若干たじろぐ素振りを見せますが、
笑ってごまかします。

「へッ?
 リセマラ…ってなんすか?
 マラって事はマラソンっすか?」

        「なぁーんか」

「ハードそうっすねェ」 カパカパッ

手持ち無沙汰なので、
ポケットから塗装が剥がれる程使い古した
ピンクの折り畳みのガラケーを取り出し、
カパカパします。

39 稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』 :2016/02/12(金) 00:41:47
>>38

「リセットマラソン……
 まあ、ハードだし、作業ゲーの極致……」

          「……」

  (ガラケーとか……こいつ……
     まじでゲームしないやつだな……)

カパカパされるガラケー。
これはマジだ。

「……まじでベリーハード。」

     ・・・

         ・・・

その後沈黙する恋姫・・・どうすればいい?

(普通に放置プレイ……
   そもそも……スル―推奨だよな……)

          (帰ってスマブラでもするか……)

どうもしなくていいのでは……           
   そもそも向こうは『ごまかしたい』訳だし……

                 (自然な感じで……立ち上がるか……)

40 荊木レイ『スティル・ライフ』 :2016/02/12(金) 00:51:15
>>39

    「うッ」

    「あッ!でも、
     『マリモ』育てるのは得意っすよ!」

シドロモドロに、
一昔前に流行ったゲームの話をします。

          「あのーッ」  ソロォ――

 「すいません。
  実はですねェ〜…
  スタンド見られて、
  「しまった!」と思いましてぇ…
  それでそのぉ〜ッつい」

41 稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』 :2016/02/12(金) 01:08:33
>>40

「…………まりも?
 えひ……北海道旅行でも行ったの……?」

唐突なまりも。
恋姫は『学生のはやり』には弱い……

    「あ……
      ゲームのか……」

           (……タイミング逃した感。)

何となく立ち上がる隙を潰された感じだ……そして。

          「……あー」

「あー……いや……
 僕もなんか…………ごめん、だよな……」

(そもそも僕が笑い耐えてたらこの時間なかったしな……)

歴史的和解の瞬間だ。

   「なんつーか……あれだ。
     ゲーム話だから、乗っちゃったわ……」

                  「…………えひ。
                   お互いハードだったな……」

42 荊木レイ『スティル・ライフ』 :2016/02/12(金) 01:27:05
>>41

 「ニハハ…」
 「そォーっすねェ」

       ズギュンッ

『スティル・ライフ』の全身を発現し、
その姿を恋姫さんに見せてから解除します。

「変なトラブルを避けるために
 変に気を遣ったら
 逆にこんがらがっちゃったてゆーか」
          
             「ニハハ」
「どうにも難しいっすね。
 よいしょっと」    ベンチから立ち上がります。

43 稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』 :2016/02/12(金) 01:38:23
>>42

「えひ…………コミュ力って難しいな……」

      オォォオオ ・ ・ ・

         ボ  ボボ

『ブルー・サンシャイン』を発現して――

        シュゥ ゥ

すぐに解除。
そして、椅子に腰かけ直して。

   「……おあいこ、ってやつだ。情報アド的に。
     えひ……コミュ的に合ってるかは分からんが。」

              「んじゃ……
                 またな……」

特に呼び留めたりはせず、ゲームに視線を戻す。

         カチャ   カチャ

                   (……なんか……
                     変な奴だったな……)

                          ・・・少なくとも、イライラはしなかった。

44 荊木レイ『スティル・ライフ』 :2016/02/12(金) 01:43:10
>>43
「あッ、
 ありがとうございましたっ!」

恋姫さんを見送り、
帰路へとつきます。

45 葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』 :2016/02/25(木) 00:21:59

「…………」

     シャーーー


ペダルをこぎ、タイヤは回る。
ロードバイクに跨り、風になる時間。

      ヒラ   ヒラ

黒いリボンが揺れる。
赤い髪がたなびく。

(最近は、お勉強ばっかりだったし……
  たまには、運動しなきゃね。うん……気持ちいい。)

赤い髪に黒い外套の少女が、
これも真っ赤なロードバイクを乗り回す姿は――

   (……もうちょっと、走ろう。)

                     ――目立つ。

46 イザベル『アーキペラゴ』 :2016/02/26(金) 00:34:30
>>45

小さな背丈に、豊かな胸で押し上げられた白い水兵服、同じく白いショートパンツ。
夏場であれば惜しげもなく晒されていたであろうへそや手足を包む、黒いインナータイツ。
そんな『いつもの格好』で、イザベル・ドレーク・ノルダーノは湖畔公園を歩いていた。
……その肩には、釣り具。

     「…………ん」

そして、視界の端に赤い色。
顔を向ければ、見知った顔。……そこそこ距離はあるが。

   「おっ、ホフリじゃねェの」


       「おォーーーーーーいッ!!」

              ブン
               ブン

大きく手を振り、大声で遠くの穂風に声をかける。

47 葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』 :2016/02/26(金) 23:01:31
>>46

「……………」

     「……あっ!」

穂風もまた、その姿を認めた。
ハンドルを切って。

            シャァァーーz__ッ

「……イザベルさんっ!」

声を返しながら、そちらへと、自転車を走らせる。

        キキーッ

   「っと……」

          トトトト……

そして、止める。
危ないので、途中からは押して近づく。

「……イザベルさんっ。」

「あの、こんにちは。お天気、ですね。
 ええと……お魚釣り、ですか、その道具って。」

      (そっか、ここって釣りの名所……だっけ。)

今日の空は、快晴も快晴。
穂風は笑みを浮かべて、視線をイザベルに、それから『釣り具』へと動かす。

48 イザベル『アーキペラゴ』 :2016/02/26(金) 23:21:09
>>47

    「おー!」

      ブン
       ブン

大きく手を振って、穂風が近寄ってくるのを迎え受ける。

   「Hola! いい天気だな!」

         ニッ

    「まー『魚釣り』だぜ。つってもどっちかっつーと主目的は湖の『水質チョーサ』なんだが」

  「大学は今春休みだからよ。休みの間の研究にな」

そういうことらしかった。
当然だが、この街の湖、川、海はそれぞれ繋がっているので、それぞれ調査することに意味はある。
実際のところは、趣味と実益を兼ねて……というところだが。

      「そういうホフリはサイクリングか? イカした自転車じゃねェの」

49 葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』 :2016/02/27(土) 00:01:07
>>48

「はいっ。」

    ニコ

笑み返す。
太陽のよう――とは言わずとも、明るい笑み。

「水質、調査――ですか。
 ええと、海のお勉強……研究、ですよね。」

     「……偉い、です。
      お休みまで、その、お勉強、なんて。」

穂風は関心したように、大きく頷く。
自分も『勉強』に追われる立場になったからこそ――か。

それから、自転車に視線を向けて。

「あ……はい、サイクリングです。
 これ……えへ、少し前に、福引で当たって。」

     スリ・・・

「お気に入り……です。
 えと、イザベルさんの釣り竿は、お気に入り……なんですか?」

ロードバイクのサドルを撫でつつ、穂風は聞いてみる。
やはり『愛用の一品』という趣、なのだろうか? 穂風は釣りは詳しくないが。

50 イザベル『アーキペラゴ』 :2016/02/27(土) 00:17:13
>>49

    「つっても休みの『手慰み』って奴よ。好きでやってることだしな」

  「まっ、アタシが偉いのはもはや言うまでもねェけどっ!」

鼻高々に豊かな胸を張った。

ともあれ、視線を『自転車』の方に向ける。

      「ほー、『福引』でか。
       大したもんじゃねェの!」

穂風の『幸運』に対してでもあるし、自転車の『質』に対しての言葉でもある。

   「アタシか? アタシの方は……『お気に入り』ってほどでもねェかなァ」

     「そこそこ愛着はあるけどな!」

そんなことを言いながら、『釣り具』の準備を始める。
……ここで『釣り』をするつもりらしい。

       「どうせ季節的に大したもん釣れねーけど、見てくか?」

51 葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』 :2016/02/27(土) 00:19:31
>>50

52 葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』 :2016/02/27(土) 00:29:22
>>50

「え、えへへ、そうですよねっ!」

      ニコ

胸を張るイザベルに、微笑む穂風。
これは『冗談』だって笑えるくらいの仲だと、思う。

            ・・・そして。

「はい、それに、ええと。
 同じ時に……旅行券も、当たって。
 えへ、それは家にしまってあって、それで……」

          「……」

あの時は――幸運だった。
一日にして手に入れた家、自転車、旅行。

       けれどそれより――

「……」

    「…………」

          「……あっ、えっ、は、はい!
              あの、お邪魔じゃないなら。」

ぼうっとしていた穂風だったが、イザベルの誘いに乗ることとした。
自転車にロックをかけ、イザベルの隣へ。

      (……どんなのが釣れるんだろう。)

                         ・・・見てみよう。

53 イザベル『アーキペラゴ』 :2016/02/27(土) 00:36:39
>>52

    「旅行券! そりゃまたスゲェな!」

   「まー急に『旅行』とか言われてもピンとこねーだろーけどなァ。
    期限切れる前に使っとけよ?」

『福引』の景品となると、恐らく国内ではあろうが。
それでも『旅行券』となると中々の物だ。
それも、『自転車』と同時になどともなれば!

      「ン」

    「まァマジでなんも釣れねーかもしれねェけど」

ともあれ、『釣り具』の準備を整えて(エサはミミズだ)……

           ヒュンッ

               ポチャンッ

湖に『釣り針』を投げ入れる。
…………そのまま、待機。

      「ほんとは『海』の方が好きなんだけどなー」

   「今日は研究兼ねてこっちだ。『ボウズ』なら『ボウズ』で研究結果にはならァな」

54 葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』 :2016/02/27(土) 00:56:02
>>53

「ぁう……どこに行こうか、迷ってて……
 この町でだって、まだ、たくさん……
 たくさん……行っていないところがある、から。」

          コク

          「でも……決めなきゃ、ですね。」

町の外のことは、家の中以外、ほとんど知らない。
だから遠くに行こうって思っても、そのイメージは靄のまま。

                   ・・・ともかく。           

           ヒュンッ

               ポチャンッ

(みみずだ……)

湖に沈むみみずと、針。
神妙な面持ちで見守る穂風。

    「海は……お魚、えと、いっぱいですもんね。
      漁師さん、も、海でお魚いっぱい、獲ってますし……」

                   「……ぼうずですか?」
   
お坊さんですか? とでも聞きたげな目で、イザベルを見る穂風。

55 イザベル『アーキペラゴ』 :2016/02/27(土) 01:08:00
>>54

    「ま、どっか行くってなったらアタシも誘えよ。
     適当に時間空けてついてくからよ」

ニシシと笑いかける。
どうせ暇の多い大学生の身分だ。
ちょっとした旅行程度ならいつでもついていけるだろう。

   「海はなー。波の音聞こえるしなー。
    あと湖に魚がいないわけじゃねーんだが、冬はどーしてもなー……」

『ワカサギ釣り』とかならまた話は違ってくるのだが。
年を越した辺りから釣りは難しくなってくる。
雪が溶ける時期になれば、また釣れるようになるのだろうが……

     「ん? ああ」

  「『ボウズ』っつーのはアレだ。
   魚が一匹も釣れなかった時のことを『ボウズ』っつーんだと」

    「ほれ、『坊さん』ってハゲてんだろ?
     毛が無いのと収穫が無いのをかけてんじゃねェかな」

これについては、語源に詳しいわけでもない。
とはいえ推測は簡単だ。どう考えてもその特徴的な頭部にかけた言葉だ。

……『浮き』が反応する気配は、ひとまず無い。

56 葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』 :2016/02/27(土) 01:27:27
>>55

「……! は、はいっ!
 あの、あの、ペア旅行券なんです、だからっ……!
 決まったらその、イザベルさんにきっと、お声、かけますのでっ!」

            ニコーーー

さっきよりも大きく、まぶしく笑う穂風。
知らない場所は楽しいけれど、不安もある。

・・・・一緒なら、不安はないし、楽しいのも、もっと楽しい。

         「……え、へへ。」

そして穂風は視線を湖面に戻す。
冷たい水。魚は果たして。

「……波の音、良い音、ですよね。
 それに、砂浜は……その、色んなもの、落ちてますし……」

ビーチ・コーミングは穂風のささやかな趣味の一つと言える。
赤い綺麗な貝殻を見つけたことだってある……

         ・・・

           ・・・

「お坊さん、あ、そうだった……気がします。
 あんまり、見たこと……ない、ですけど……頭は、禿げてたような。」

             「……」

                    じィーーッ

浮きを見つめて、時々イザベルに視線を戻して、また浮きを……そんな穂風。

57 イザベル『アーキペラゴ』 :2016/02/27(土) 01:44:22
>>56

     「おっ、そりゃ丁度いいやな。
      絶対呼べよ? 約束だかんな?」

少しだけ悪戯っぽい笑みを向ける。
まずもって、この少女がどこに行きたがるのか。
もちろん、どこに行くにしたって喜んでついていく気満々だが。
それにしたって今から楽しみだ。外を知ることは、決して悪い事にはならないはずだ。

   「おう、波の音なら一日中だって聞いてられるぜ、アタシは」

       「まーゴミも落ちてっからその回収もしなきゃだけどな!」

海の清掃ボランティアは、イザベルの習慣のひとつである。
このシーズンは利用客が少ないとはいえ、流れついてくるゴミなどは絶えない。

     「綺麗な物があるし、汚い物もある。海のいいとこだよなァ」

清濁併せ呑む広大さ。そういう考え方だ。
もちろん、海が綺麗であることに越したことはないが。

   「ま、坊主なんざあんま見ねェわな。アタシもあんま見たことねェし」

        「………………」

           「………………」

……『浮き』は、依然動かない。

     「……な? 暇だろ?」

苦笑気味に笑い、そう言った。
忍耐力を要求される釣りは、実のところイザベルとの相性はさほど良くない。
待っている時間を楽しめる『海釣り』が基本なのだ、そもそも。

      「飽きたら言えよー。
       アタシも多分すぐに飽きて帰るからな。
       さっきも言ったが、多分今日も『ボウズ』だからよ」

58 葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』 :2016/02/27(土) 01:54:15
>>57

「はいっ! ……約束、です。」

     (……学校でも、友達は出来たけど。
      旅行なら……イザベルさんと、行きたい。)

             (海がきれいなところが、良いかな……)

他の友達とイザベルは、何となく違う気がする。
穂風は――『親友』というのは、そういうものかもしれないと思う。

「ここも……ちょっとだけ、
 水の……波の音は、しますよね……
 ゴミは……海と違って、汚いゴミばっかり、だけど。」

大きな大きな湖。

「……これはこれで、いいのかも。
  だけど、けど……私も……海の方が好き、かな……」

           「……」

               「……」

浮きは動かない。
風に揺れたり、することはあっても。

    「……ちょっと、だけ。
     でも、その。まだ……大丈夫です。」

         「もうちょっとだけ……うん、見てますね。」

                   ・・・暇でも、見ていても、動かない。

59 イザベル『アーキペラゴ』 :2016/02/27(土) 02:04:15
>>58

    「ここは海と繋がってるからなァ」

      「『流れ』のある湖だ。生きてんだよ、ここは」

川があって。
湖があって。
そして、海がある。
そういう『流れ』があるのだ、この場所には。

   「だからっつーわけじゃねェけど……この湖も悪くねェ」

       「良くも悪くも、静かだからな。
        生きてるけど、静かな奴だ。そういうのも悪くねェよ」

ゆらゆらと、『浮き』が風に煽られて少しだけ揺れる。

     「…………」

   「……おう、そっか」

静かに、湖に浮かぶ『浮き』を眺める。
一人だったら、あるいはさっさと飽きて帰ってしまっただろうが……


――――結局この日、『浮き』が沈むことは無かった。

60 葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』 :2016/02/27(土) 02:16:48
>>59

「…………はい。」

        「……」


       サ  ァ ァアン ・ ・ ・


静かに、波が打ち寄せた。
こんな水辺も悪くない――穂風も、そう思った。

      ・・・

         ・・・

            ・・・

     浮きが沈むことより。
         ――この時間を、穂風は楽しむ。

                 二人でいるから、何もなくたって。

61 流星 越『バングルス』 :2016/03/16(水) 00:06:41

   「〜♪」

栗毛の三つ編みを尾のように垂らした、赤ブチ眼鏡にブレザーの少女。
そんな少女が、鼻歌交じりに湖畔を歩き――――

        コケッ

   「あうっ」

          カシャンッ

――――躓いて転んだ。

   「……まいがっ。痛……くはありませんが」

   「む、眼鏡が……眼鏡眼鏡……」

転んだ拍子に眼鏡が外れてしまったようだ。
手探りで眼鏡を探している……眼鏡は少し離れたところまで滑っていた。

62 ココロ『RLP』 :2016/03/17(木) 05:17:32
>>61

『水溜ココロ』は『湖畔』を愛している。
どんな場所より愛している。
自然が素敵で、人が少なくて。
それに、ここではたくさん素敵なことがあったから。

だから今日も――湖畔にいる。

「ひゃっ…………!?」

      ビクッ

眼の前に眼鏡が飛んできた。


「えっ……!?」

(な、何で眼鏡が? ……あ、あの子がこけたんだわ!)

拾う。

(い、いきなり……素敵でもなんでもないわね。
 ……そ、そういう考え方って酷いんじゃないかしら。
 私がどうだとかじゃあなくて……あの子を心配すべきよ。そうよ。)

茶髪はセミロング、瞳の色は緑色。
スレンダーな体型に――美人、と言って差支えの無い顔つき。
 
              ・・・もっとも、表情は妙にネガティブだが。

    コツ コツ

歩み寄る。
そして、しゃがみ込む。

「あっ……貴女……大丈夫かしら?
 いえごめんなさい、大丈夫ではないのでしょうけれど、ええ……」

              「こ、これ。眼鏡……よ。
               た、立てるかしら……?」

                            ・・・眼鏡を、差し出す。

63 流星 越『バングルス』 :2016/03/17(木) 22:48:15
>>62

   「むむむ……」

       ジッ…

眉根を寄せ、睨むように声の方を見る。
ガンを飛ばしている――――というわけではもちろんなく。
単純に、眼鏡を落としたことで視界がぼやけ、自然と目つきが鋭くなってしまっているだけである。
ともあれどうにか差し出された眼鏡を視認したのか、手を伸ばして眼鏡を受け取る。

   「……これはこれは、失礼しました」

          スチャッ

そしてゆっくりと眼鏡をかければ、打って変わって能面のように無表情。
にこりともせず、居住まいを正して三つ指を着いた。
…………三つ指をついて、深々と頭を下げた。正座で。

        ぺこぉーっ

   「ご親切にどうもありがとうございます。
    この御恩は決して忘れません」

大げさに礼を言って、頭を上げて。

   「というわけで早速恩返しをいたしますが――――」

      スッ
           スッ

   「――――決して中を覗きませぬよう……ぴしゃっ」

そのままパントマイムで戸を閉めた。戸を閉める擬音付きだ。口頭だが。
あまりにも雑だが日本の有名な童話の有名なワンシーンである。

64 ココロ『RLP』 :2016/03/17(木) 22:57:42
>>63

「…………」

      タジ

(に、睨まれているわ……な、なんで?
 あっ、眼鏡をかけていないからかしら?)

           (目を細めているだけね、そ、そりゃあそうでしょう。)

睨まれるいわれもない。
安堵しかけたその時――

「えっ……!?」

まさか三つ指を着かれるとは――そこまでされることか?
しかし、厚意とは無碍にしないもの。

(ど、ど……どうしましょう……?
 恩返し……な、何をするつもりなのかしら……)

       「そ、そんな、ねえ私恩なんて……
        いえ、貴女がそういうのだし、受け――」

  「えっ」

突然目の前で繰り広げられた手の動き――パントマイムなのか?
ココロは判断に困り、周囲を少しだけ見回して。

(あっ……! つ、つるの……恩返しなのね!?)

         フイ

「わ、分かったわ。ええ、見ないわ、私。」

(こ、ここは乗っておいた方がいいわよねきっと……)

そういうわけで、『戸の向こう』を見ないように、目を逸らすココロだ。

              「……」

                   「……な、何をするのかしら?」

65 流星 越『バングルス』 :2016/03/17(木) 23:27:43
>>64

エア戸の裏で後ろを向き、持っていたカバンの中をまさぐり始めた。

         ゴソゴソ

   「ひとつ積んでは父のため……ひとつ積んでは母のため……」

機織り歌的なニュアンスで歌っているがこれは死者が賽の河原で石を積む奴だ。

   「……はて、何をするのかと申されれば……」

   「げへへ、悪いようにはしねぇからちょっと待ってなねえちゃん」

   「……って感じなので少々お待ちくださいまし」

            ゴソゴソ

平たいトーンで悪い人っぽいセリフを吐きつつ。
手元で何やらゴソゴソやっている。

   「ところでお姉さん、甘いのとしょっぱいのでしたらどちらがお好きですか?」

66 ココロ『RLP』 :2016/03/17(木) 23:41:33
>>65

「……………」

     ゴクリ

     (ど、どうしましょう……
       な、何かおかしい気がするわ……
         で、でも、せっかく恩返しと、言っているのだし……)

何か怪しげな雰囲気だが多分問題はない……
ないのだろうか? ないと思いたい。

「えっ、あ……え、ええ。
 悪いようには……ねえ、しないのね……?」

         「……」

(ほ、本当に大丈夫なの? こ、この子……いえ!
 よくないわよ、そんな風に疑うのは……きっと、少し……)

           (ど、独特な世界観の持ち主なのよ……
            な、なんて。私、失礼なことを考えているかしら……)

独特な流星のペースに呑まれつつ――

「……えっ? あっ、ご、ごめんなさい。 
 あ……甘いのと、しょっぱいの……? た、食べ物?」

    「どちらかというと……甘いのが、好きだけれど……?」

                   オドオド

あまりよくない考えをしていたところに声をかけられおどおどするココロ。
指輪をはめた十指を絡めて、様子をうかがうように答えるのだ。

67 流星 越『バングルス』 :2016/03/17(木) 23:54:37
>>66

   「なるほど、甘いものがお好きと」

   「では……」

      クルッ

        スッ

   「お礼の品です。お納めください」

エア戸を少しだけ開ける仕草をして、隙間から差し出す感じの動作で物を差し出す。
差し出したのは……いわゆる『ぽち袋』だ。
折り紙製の……今折ったのだろうか。折り鶴が組み込まれた、そこそこ本格的な奴である。
…………なんか不自然に盛り上がっているので、中に何かが入っていることが予想された。

   「しかしお姉さん。決してこの袋を開けませんよう……」

   「――――とかは言いませんのでお納めくださいお代官様。金の菓子でございますげへへ」

世界観が激しくブレブレだ。
なおこの間常に無表情である。

68 ココロ『RLP』 :2016/03/18(金) 00:10:02
>>67

(芸が細かいわね……演劇部か何かなのかしら……?)

      スッ

「……あっ!」

差し出された折り紙――いや、ポチ袋。
ココロは吊り気味の目を、少しだけ丸くする。

「折り鶴――これ、貴女が折ったのかしら?
 器用なのね……な、中を……ええ、み、見てもいいのね……?」

          (お、お代官様……?
           いえ、ユーモアなんだわ、彼女の。)

   スッ

やや困惑しつつも、それを受け取る。

「ありがとう……
 う、うふふ、開けてみるわね。」

       スッ

袋を、そっと開封する。
中には……何が入っているのだろうか?

         (あ、甘い物って言っていたけれど。
           この大きさだし……飴玉とかかしら……?)

69 流星 越『バングルス』 :2016/03/18(金) 00:37:00
>>68

   「一人遊びにおいては並々ならぬ自信があります。ふふーん」

……そういうことらしかった。

ともあれ『ぽち袋』を開けると……中に入っていたのは、やはりというか包装された『飴玉』だ。
駄菓子屋で売ってる感じの物である。
色は黄色い。……はちみつ飴か何かだろうか。

   「さて、よっこいしょういちっと」

        パンパン

その間に流星は立ち上がり、膝や裾の汚れを払っていた。

   「あ、今のは戦後に終戦を知らずにグアムに潜伏していた残留日本兵、横井庄一氏にかけた爆笑ギャグです」

   「……ともあれ、改めましてありがとうございました。
    眼鏡が無いとおうちに帰るのも危ないぐらいなので、助かりました」

               ペコッ

そのまま、(間にいらん解説を挟みつつ)改めて一礼した。

70 ココロ『RLP』 :2016/03/18(金) 00:49:12
>>69

「そっ、そうなのね……」

(それって素直に褒めていいのかしら……
 自虐で言っているんじゃあ……い、良いわよね?)

        「でも、本当に……
          綺麗に折れているわ、これ……」

ココロも指先の器用さには、自信はあるけれど。
折り紙はここまでは出来ない。

     カサ

          コロリ

掌に飴玉を転がす。

(あ……やっぱり飴玉だわ。これ……べっこう飴?
  いえ、それにしては色が薄目だし……あっ、はちみつかしら?)

「ありがとう、い、いただくわね。」

              スル   パク

包装を解いて、口に運ぶ。

(……知らない子にもらったお菓子……いえ。
 そんな、怪しい物を食べさせたりすること、ないわ……ないのよ。)

           「あっ、そ、そうなの……」

ギャグの解説には、少し反応に困ったが。

「あっ、いいえ、気にしなくていいのよ。
 いえ、気にしてはいないのかもしれないけれど……
 わ、私、そんな……特別なことをしたわけでは、ないもの。」

           「貴女が助かったなら、よ、よかったわ。」

もちろん、良い事はしたかな、という自覚はある。
けれど、あまり深く感謝されるのは、なんだか少し、くすぐったい。

71 流星 越『バングルス』 :2016/03/18(金) 01:00:41
>>70

色は黄色いので、金の菓子と言えば金の菓子と言えなくもない飴玉であった。甘い。

   「いえいえ、その些細な気遣いが特別でないからこそ、私はこんなにも嬉しいのです」

胸に手を当ててそう語る顔は、そう嬉しそうではなかったが。
常に能面を張り付けたような無表情なので、単純に表情の変化に乏しいのだろう。

   「あ、申し遅れました。
    私は流星越(ながれぼし・えつ)と申します」

   「ちょっとした親切に対するこの喜び、さてどう表現したものでしょう。
    余りある喜びエネルギーがオーバーヒートを起こしてしまいそうなぐらいでして」

   「なにかこう……都合よくなにかに困ってらっしゃったりしませんでしょうか」

かくん、と小首を傾げ、尋ねた。

72 ココロ『RLP』 :2016/03/18(金) 01:18:24
>>71

(甘いわね……やっぱり、蜂蜜なのかしら?)

          コロ

口内で飴を転がしつつ。

「そ、そう……? 
 いえ、貴女がそう言うのだし……
 う、嬉しいなら、良かったと思うわ。私も。」

    コク

頷くココロ。
人に喜ばれるのは――いいことだ。とても。

「流星、さん……素敵な名前ね。
 私はココロ、水溜 意(みずたまり こころ)って言うわ。」

          「……よろしくお願いね。
           いえ、別に何をするわけでもないけれど……」

温和な笑みを浮かべて、自己紹介を返して――

「こ、困っていること……?
 そ、そんな、私、そこまで……いろいろしてもらうなんて悪いわ。
 それにご、ごめんなさい、ちょっと、すぐには……思いつかないもの。」

        「ど、どうしましょうかしら。
         何かあれば、いいのだけれど……」

困っていることがあるのが本当に良い事かはさておき。
今のココロは、珍しく――あまり悩みとかはないタイミングなのだ。

              (どうしましょう、な、何か思いつかなくちゃあ……)

73 流星 越『バングルス』 :2016/03/18(金) 01:30:49
>>72

   「水溜、意……」

口の中でその言葉を確かめるように反芻し、こくりと頷く。

   「そちらも素敵なお名前ですね。
    以後お見知りおきますので、水溜さんもよろしければ以後お見知りおきを」

スカートの裾をつまんで右足を下げ、軽く腰を落とした。
よくお嬢様とかがマンガでやる挨拶だ。

   「むむむ、悩みが無いのは素晴らしい事ですが……
    こう……なにか……欲しいものとかないのでしょうか」

   「力とか」

   「世界の半分とか」

   「新車とか」

どちらかと言えば悪魔のささやき系のラインナップであった。

   「まぁその辺は欲しいと言われても流石に出せませんし、もはや腹を切って詫びるしかない案件ですが」

   「ともあれ特に困ったことが無いのであれば仕方ありません……感謝の波動を伝えましょう。ぬぅん」

そう言って、無表情のまま顔の前で手をうねうねし始めた。
思念波を飛ばしているジェスチャーだろうか。
傍から見てあんまり感謝の気持ちを飛ばしてるっぽい感じではない。

74 ココロ『RLP』 :2016/03/18(金) 01:50:52
>>73

「あっ、ありがとう……
 ええ、ぜひお見知りおきさせていただくわ。」

          ペコ・・

小さくお辞儀する。

(な、何だかお上品な挨拶をしているわ……
 これも……冗談なのかしら? それともお嬢様なのかしら?)

その辺りは謎だが、まあいい。
挨拶は大事だ・・・・

「力は……私は大丈夫、必要ないわ。
 せ、世界の半分なんて、もらったって、こ、困るし……」

        「車も別に……免許もまだだもの。
         はっ、腹切りなんてもっと困るわ……!」

  アセ
          アセ

『流星』の悪魔のささやきにあせるココロ。
くれると言われても困るラインナップではないか・・・

          そして。

「えっ…………?」

「か、感謝……そ、そう、感謝の波動。」

                ジリ

「こ、心なしか……ええ、心なしか感じるわ、何か……か、感謝みたいな……
 ご、ごめんなさい本当、感謝、ええ、今こっちに送られてきているのよね、波動が……」

                      (ど、どうすればいいの……!?)

75 流星 越『バングルス』 :2016/03/18(金) 02:08:50
>>74

   「……………………………」

                    ピタッ

しばらく謎の波動を飛ばしていたのだが、ふとその動きをピタリと止める。
顔の前でうねうねさせていた手は下げられ、心なしか、しゅんとしたように俯いた。

   「……すみません。水溜さんを困らせていますね」

   「ついつい舞い上がってしまいました。
    悪い癖だとは、思っているのですが……」

冗談めかした物言いでないのは、真実申し訳なく思っているからだろう。
人に優しくされるというのは……優しくしてくれる人がいるというのは、とても素晴らしく喜ばしい事だが。
喜びのあまり暴走してしまった、という自覚はあるらしい。

   「ご迷惑、おかけしました」

            ペコッ

深々と、頭を下げる。

76 ココロ『RLP』 :2016/03/18(金) 02:24:44
>>75

「あっ……い、いえ、そんな……
 私、いいえ、困ってなんか……いえ。」

          「……」

(こ、困ってないなんて……
 いくら何でも都合のよすぎる嘘よね。
 フォローのために言ったって、言ってるような物よ……)

ココロは少し俯く。困ったのは事実だ。
だけれど。

「大丈夫……大丈夫よ。
 私、何も……気にしてはいないもの。」

    「ちょ、ちょっと……その、分からなかったけれど。
      でも、貴女が……頭を下げるようなことじゃあ、ないわ。」

              コク


それほど、本気で心の底から困ったわけじゃあない。
ちょっと対応に、悩んだだけの事。

「あまり、そう、貴女も……気にしないでちょうだいね、ええ。」

顔を上げて欲しいと、そう思った。

(悩むのも……よく考えたら失礼な話だわ……
 う、動きは良くわからないけれど、感謝と言っているんだもの……)

            (……で、でも、よく分からなかったのは事実よね。)

77 流星 越『バングルス』 :2016/03/18(金) 02:46:49
>>76

   「………………」

噛み締めるように、深く俯いて。

   「……わかりました」

相変わらずの無表情で、顔を上げた。

   「では、この辺りは次回への課題として持ち帰り検討させていただきましょう」

   「次に会った時、完膚なきまでに水溜さんを喜ばせてご覧に入れます」

   「ですので……」

少し、口ごもる。
視線を脇に逸らし、しかし意を決したようにココロを見据えて。

   「……また今度、お会いしましょう」

……なんてことのないセリフ。
しかし、流星にとっては勇気のいる言葉。縁を繋いでおく言葉。

78 ココロ『RLP』 :2016/03/18(金) 02:58:45
>>77

「次回……ええ、また今度会ったら……
 え、偉そうな……本当に、偉そうな言い方になるけれど……」

          「……私、楽しみにしているわ。」

   コク

ココロは頷いて、微笑む。
この場所は――湖畔は素晴らしい場所だ。

ここで会う人も。
ここで紡ぐ絆も。

「私は……この湖畔に、よくいるの。
 だから、またここで……ええ、会いましょう、流星さん。」

真っ直ぐ流星を見て。
それから――時計を見て。

(あっ……ちょ、ちょっと話し込んでしまったかしら……)

        「そ……それじゃあ。
         私……そろそろ行くわね。」

                「じゃあ……『また』」

                    ニコ・・・

小さく笑んでから――ココロは、その場を去る。

79 流星 越『バングルス』 :2016/03/18(金) 04:22:07
>>78

   「……!」

   「ええ、首を洗って待っていてくださいね」

心なしか、本当に心なしか、明るい表情を見せて。

   「また来ます。
    またいつか。
    また会える日を、お楽しみに」

              ペコッ

謝罪でも感謝でもなく、恭しくパフォーマーのように一礼する。
そして顔を上げて、去り行くココロを手を振って見送り。
しばらくそうして……ココロの姿が見えなくなってから、栗毛の少女は鼻歌交じりに去って行った。

80 ジェイク『一般人』 :2016/03/20(日) 23:56:20
男がいた。
寒空の下、男がいた。
日も暮れ始めた時間、男が一人だけいた。

81 ココロ『RLP』 :2016/03/21(月) 00:55:18
>>80

「あ――」

    (あ、あの人……そうよね。
      前にも、ここで……ええ、ジェイクさんだわ!)

ココロはその男を知っている。
その男の『炎』を知っている。

「……」

(ど、どう、しましょう――話しかけるべきかしら?
 お、お邪魔かしらね……? 別に、仲良しというわけでも、無いし――)

          (でも……よ、良かった。
            生きて……また会えたのだもの。)


   ジ ィ ・ ・ ・ ・

けれど、声を掛けるかは迷っていて、少し離れて見ている。
ジェイクにはその視線が伝わるかもしれない――伝わらないかもしれない。

                     ・・・・どうだろう?

82 ジェイク『一般人』 :2016/03/21(月) 01:05:16
>>81

「何を見ている。」

男は空を見上げた。
美しい空には星が浮かんでいる。

「俺は見世物ではない。」

「お前は見世物か?」

83 ココロ『RLP』 :2016/03/21(月) 01:09:33
>>82

「あっ……ご、ごめんなさい。
 話しかけて良いのか……わ、分からなくて。」

            「お……お久しぶり。」

   トコ

少しだけ近づく。
距離感は、大事な物だから。

「いいえ、見世物では……ないわ。
 貴方も……それに、ええ、私もよ。」

           コク

頷いて返す。
見られることには慣れたけれど、見られるための人生じゃない。

                ・・・空を見る。

「……」

「ほ……星を、見ていたのかしら?
 ごめんなさい、どうでもいいことかも、しれないけれど……」

きれいな星だ。
視線は、空に向いたまま、ジェイクに問う。

84 ジェイク『一般人』 :2016/03/21(月) 01:28:58
>>83

「……お前か。」

さして驚いた様子もない。
男の瞳がココロを見つめる。

寒い夜だというのに男は袖のないシャツを着ているだけだ。

「星?」

「そうだな。見ていた。」

「星を空を」

85 ココロ『RLP』 :2016/03/21(月) 01:38:25
>>84

「え、ええ……私よ、ジェイクさん。こんばんは。」

        コクリ

頷くココロ。
覚えられては、いたらしい。

          ・・・それは良い事だ。

(その格好、寒くないのかしら……なんて。
 き、聞いちゃあ、よくないわよね。服を買えないのかもしれないし……)

         (そっ、それも失礼な妄想よね……
          それにしてもいくら何でも寒そうだわ……)

ジェイクは見るからに『普通の暮らし』とは思えない。
袖の無いシャツは、あの時と同じものだろうか――?

「星……空。
 ええ、そうよね、空も……きれいだもの。」

          「……」

    ヒュオ
         オオ ・ ・ ・

春になりつつある、風が吹いた。
まだまだ肌寒い風。ジェイクのあまりに涼し気な服装。
 
  「……さ、寒いわね。」
 
       「かっ、懐炉を持っているの、私。
        ジェイクさん……つ、使うかしら……?」  

                       ・・・そんな、余計なお世話の気分になった。

86 ジェイク『一般人』 :2016/03/21(月) 02:00:04
>>85

こきりと首を鳴らす。
長いヒゲが顔の動きと連動して揺れる。

「お前、星は好きか?」

「俺にはよくわからない。」

そういってランタンに火をともした。
橙の光が夜の湖畔を照らす。

「懐炉。」

「なんだそれは。」

87 ココロ『RLP』 :2016/03/21(月) 02:14:59
>>86

「星……ええ、好きだわ。
 特に――この湖畔から見る星は、好き。」

               「……とても、綺麗だから。」

目を細める。
ランタンの放つ光は――幻想的だ。湖に、よく調和する。

                   ・・・そして。


「えっ」

(あっ、そ、そうよね。
 懐炉は外国には……ないのかしら?
 ジェイクさんが個人的に知らないだけかしら……)

           (どちらでもいいわよね、ええ。)

「あ、ええ、ごめんなさい。
 懐炉は……温かくなる、袋……そう、袋よ。」

                  「こ、これなのだけれど……」

     ゴソ

かばんの中から、未開封の携帯懐炉を一つ取り出し、恐る恐る見せる。
貼るタイプではなく、開ければすぐ使えるやつだ。

          (よ、余計なお世話……だったかしら?)

88 ジェイク『一般人』 :2016/03/21(月) 02:42:48
>>87

「そうか。」

「お前はそうなんだな。」

ココロから視線を外す。
興味が失せたような、感情のない表情。
また、首を鳴らす。
ランタンを持ち上げた。

「俺には分からない。」

「なにもな。」

そういってココロへと近づいてくる。
一歩ずつゆっくり。
確かに地面を踏みしめながら。

「なんだこれは。」

興味を示しているのだろうか。

89 ココロ『RLP』 :2016/03/21(月) 02:50:28
>>88

「 ・ ・ ・ ・ え、ええ。」

       タジ

           「私は……そうなの。」


(な、何か……気に障るような、答えだったのかしら。
 この人は……普通の人とは、違う世界にいる。良い悪いとかじゃあなく……)

思わず、少したじろぐココロ。
とはいえ――初対面でもない。

              ザリ

「…………」

ランタンに視線を誘導されつつ、一歩だけ、下がって。
彼の独白への、気の利いた答えは浮かばない。

ココロは強くない。

「これが……か、懐炉よ。携帯懐炉。
 開けるから、さ、触ってみてくれてもいいわ。懐炉を……」

               ピリリ

妙なふくろう?のキャラクターの絵が描かれた懐炉を開ける。
(※星見町マイナーゆるキャラ『あたたかくしろう』。)

          「す、少しは……寒さがマシになると思うの。」

                          ・・・中身を、手渡す。

90 ジェイク『一般人』 :2016/03/21(月) 03:13:40
>>89

「妹もそうだった……」

「だが、俺には分からない。」

「なにもかも。」

ランタンが男を照らす。
明るい光の中にあって、この男は暗い。
いや、光というものの中にあるからこそ、不気味だ。

「懐炉……」

復唱し懐炉を受け取る。
傷だらけの手のひらの上に懐炉が乗る。
懐炉が酷く小さく感じる。

「ほう……」

「まるで羊だな……」

懐炉を握る。
手に擦り付ける様に片手で懐炉を弄ぶ。
温かみを感じているのだろうか。

91 ココロ『RLP』 :2016/03/21(月) 03:39:20
>>90

「……………」

懐炉を渡した手を、ゆっくりと引き戻す。

「……私には。ごめんなさい。
 貴方の思いは……分からない事、だけれど――」

           「……」

ジェイクの過去は――きっとココロには知り切れない。
掘りだせないほど大きく、持ち上げられないほど、重厚なのだろう。

             ・・・ココロの腕はまだまだ、細い。


「その懐炉は……
 貴方に、あげるわ。」

「邪魔だったら……ご、ごめんなさい。」

けれど。
懐炉くらいの温かみは、渡せる。

        「これも……わ、私の、自己満足……だから。」

                        ニコ ・ ・ ・

                   ココロは、ゆっくりと笑みを作る。

92 ジェイク『一般人』 :2016/03/22(火) 00:17:31
>>91

男が片手で持ったランタン。
炎が揺れる。
男がランタンを揺らしているわけではないのに。
いや、揺れているのかもしれない。
目に見えないところで、揺れているのかもしれない。

「はは。」

男が笑う。
ヒゲまみれの顔がいささか不気味だ。

「これは、尽きるだろう。」

「これは、滅びるだろう。」

「これは、生まれた小鹿より脆弱だ。」

そういって、ランタンを地面に置く。

「なぁ?」

「そうだろう?」

ビリっと嫌な音が懐炉からする。
男は両の手で懐炉を掴んでいる。

「人の手で、こうも簡単に。」

嫌な音は続く。
男はなおも懐炉を破こうとしている。

93 ココロ『RLP』 :2016/03/22(火) 00:36:27
>>92

揺れるランタン――いや、炎?
手は動いていないように、見えるのに。

何が揺れているのだろう。
ココロは視線を揺らしながら。

         ビクッ

「……ど、どうしたの……」

笑い、というよりその不気味さに少しだけ、震える。
彼は悪人ではない。きっとそうだが――

「そ、それは……そうよ。
 数時間もしたら、あ、温かくもなくなるし……」

           「い、いえ」

   「そ、そうじゃない……
    のかしら……ね、ねえ。貴方何を――」

             ビリッ

懐炉から聞こえた音に、思わず目をむく。
破るのか……なぜ?

「そっ、それはっ……破れるかも、し、しれないわ、で、で、でも……」

                    オロ

            「な、何で……!?
             き、気に入らなかったのなら謝るわ、でも」

     オロ    オロ

                   「な、何も、破ることは……
                    あ、危ないわ、中身は凄く熱いのよ……!」

怒りとか、そういうのじゃあなくて――――この心の色は、困惑だ。

94 ジェイク『一般人』 :2016/03/22(火) 00:59:14
>>93

「俺は自分の行いを自己満足と言い切れるお前を評価しよう。」

男の目の中に何かが揺れる。
存在しないはずの物。
それはなんなんのか。
深い闇のようであり、あのランタンの炎のように瞳の中で
男の中で蠢いているものは。

「気に食わないことはない。お前に対してはな。」

「お前は昔を思い出させる。」

「だが同時に俺は思う。」

「俺もいずれ滅ぶ。なら、俺はどう歩けばいい?」

ギュッゥゥゥゥゥゥゥゥ
男は両の手で懐炉を包んだ。
懐炉は破れたのか破れていないのか。
それは男が知っていることだ。
懐炉の姿が見えない以上、男の体と懐炉だけが知っている。

「ここの水は飲んではいけない。」

「この世にはスタンドというものがある。」

「これの中身は熱い。」

「スタンドは後天的に得ることができることがある。」

暗唱する。
顔を地面に向けながら。男の帽子が頭から滑り落ち、地面に落ちる。

「俺もいずれ滅びる。獣よりは長く、人よりは短く。」

「俺は掴んだはずだったが、それは零れた。いともたやすく。」

「光が消えた。」

95 ココロ『RLP』 :2016/03/22(火) 01:13:06
>>94

「……む、昔……?」

      「わ、私は。私は……」

              ギュッゥゥゥゥゥゥゥゥ


     「……!」

          ビク

男の行いは、ココロに目を細めさせる。
懐炉はそう簡単には、破れないだろうけど――それでも。

              ・・・一歩下がる。

「ほ、滅ぶだなんて……」

「わ……私だって……いつかは滅ぶわ……
 け、けれど。けれど……貴方のことは、分からないけれど……」

彼の知ること。
そこから考えること。
それはココロには、完全には――分からないけれど。

           ソロ ・・・

               しゃがみ込む。


「……分からないけれど。
 き、消えた光というのは……私には。」

        「けれど……」

ココロは喋るのは、得意ではない。帽子を拾う、拒まれないなら。

「新しい光は……きっと、見つかると、思うわ。私……
 だって。だって私は……見つけられたもの、この町で。いくつも……」
 
ココロの生命の音は、たった17年しか続いてはいない。
それでも、これだけたくさん、きらきらしたものをつかめたんだから。

                        ・・・だから。

96 ジェイク『一般人』 :2016/03/22(火) 01:31:23
>>95

「昔には獣と泥の中で輝くガラス玉がいた。」

硬い声であった。冷たくもあった。
しかし、突き放しているわけでもない。

「……」

男は、静かにココロの言葉を聞いていた。
ズドンと男が座る。
ランタンの光が男を照らす。
その顔に表情らしいものはない。
しかし背を丸め懐炉を圧縮するように包む男の姿はひどく小さい。
巨体であるはずなのに。

「……俺は光を追ってここへと来た。」

「お前は、いつか見た光を覚えているか?」

「お前は、光の光景を掴んだか?」

「俺は新たな光を掴めるか?」

また、男は口を閉ざす。
それから両手を開いた。
右手の上に被さった左手がのけられる。
懐炉は破られていなかった。今にも中身が出てきそうなほどの状態であるが。

「見ろ。俺はこれを破る気でいた。」

「しかし事実は違う。なら、俺もそうなると信じても構わんだろう。」

「光を追う。もう一度。」

「……なぁ?お前はあの日の光に近づけたか。」

97 ココロ『RLP』 :2016/03/22(火) 01:44:20
>>96

「……………」

ココロは沈黙する。
ジェイクの心を透かせるほど、言葉が上手く紡げないから。

            ・・・顔を見る。

(やっぱりこの人は…………
 悪い人なんかじゃあ、無い。それは分かっているし――)

          (獣――いいえ、きっと。そうよ。
           『獣』みたいに、純粋な……人なんだわ。)

獣とは粗暴なだけじゃない。
獣とは悪い物じゃない。

むしろ――『気高い』『純粋な』面も、獣にはある。


「私は……あの時の光とは、違うものかも……しれないけれど。
 けれど掴んだわ。絶対に……ええ。間違いなく、大きな光を。
 それを手放さなかったら……きっと、私、明るい未来になれる――」

              「……あのお星さまより、綺麗で、大きな光!」

        クイ

視線を空に向ける。
春が近づいても、まだ夜は早い。星が既に見え始めていて。

「貴方も……きっと、掴めると……思うの。
 だって……だって、私が近付いて掴めたのだもの。だから……!」

           「……」

                   「……ご、ごめんなさい。
                     少し、あ、熱くなってしまったわね……」

98 ジェイク『一般人』 :2016/03/22(火) 01:59:13
>>97

「そうか。」

男はただ一言、そう告げた。
懐炉をズボンのポケットに入れ、ランタンを愛おしそうに撫でた。
傾けられたり揺すられたり、ランタンが動けば炎も動く。

「一羽のツバメが来ても夏にはならないし、一日で夏になることもない。
         このように、一日もしくは短い時間で人は幸福にも幸運にもなりはしない。」

「そういった者がいた。」

立ち上がる。
手にはランタン。もう片方の手をココロへと伸ばす。
その先には拾われた帽子。

「待て、しかして希望せよ。」

「そういった者もいる。」

ランタンを顔の横に持ってくる男。
空を見上げ、星を見つめている。
その顔は柔らかな笑みを浮かべていた。
不気味な浮浪者の男ではなく、そこにジェイコブ・ケイディ・ワイアットの名を持つ青年がいる。

「なら俺は言おう。」

「深い闇の中でこそ、炎はより色濃く輝く。」

「礼を言うぞ。水溜 意。」

99 ココロ『RLP』 :2016/03/22(火) 02:11:54
>>98

「……ええ。きっと。」

      コク

頷いて、返した。

       「……」

               ス

帽子を、返す。

ジェイクの言葉は難解に聞こえるけれど。
        ・・・意味があると分かるから、耳を傾ける。


「…………私は。」

「希望はきっと、あると思っているわ。
 自分では、分からないけれど……色んな、ところに。」

      ス

立ち上がる。
そして、少しだけ、笑みを浮かべて。

       「き、気にしないでちょうだいね。
         ……お礼を言われるようなこと、していないけれど。」

                   「でも……お役に立てたなら、良かったわ。」

ココロはそう言うと、空を少し見て、時計を見て。

「あ……わ、私、そろそろ行かなくちゃあ。
 …………また、会いましょう。ジェイクさん。」

              コク

もう一度頷いて。
獣のような男でも――彼は、ココロにとって、悪い人じゃあないから。

                         ・・・立ち去る。

100 ジェイク『一般人』 :2016/03/22(火) 02:19:35
>>99

「あぁ、また会おう。」

「俺に明日が来るのなら。」

帽子を胸に当てる男。
にぃっと笑った顔は不気味な浮浪者のそれであった。

「エレアノーラ。」

「俺を許せとは言わない。」

「しかし、待て。」

沈黙。
まるで祈るかのように。

そうしていつの間にか、男はどこかへと消えていった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら



掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板