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【場】『 星見スカイモール ―展望楼塔― 』

1『星見町案内板』:2016/01/25(月) 00:02:24
今世紀に建造された『東海地方』を対象とする集約電波塔。
低層エリアには『博物館』や『ショッピングモール』が並び、
高層エリアの『展望台』からは『星見町』を一望出来る。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
                                          └┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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2城生 乗『一般人』:2016/01/25(月) 20:45:19

 此処は『星見町』 私の生まれた場所。そして私の生きる場所。

『展望台』から見る『H城』は、いつも『清月学園』で見上げるのとは
また違った顔を見せてくれる。そして見下ろす町の風景も絶景で、たまたま
訪れたのだろう旅行客が感嘆の吐息を上げるのを聞いた時は、思わず私のものでない
のに私の住んでる町なんだ、と言う事で誇らしい気持ちになったりもする。
 まだ寒い時節だけど太陽は燦々と輝いており、目を細めてその太陽を横切る
鳥達を目の端で追いつつ静かに目を閉じて手を当てた心臓の音に耳を傾ける。
 ドクン……ドクン……ドクン。
 ゆったりと脈打つ鼓動は安らかで、今の日々の絶え間ない安らかな日々を謡ってるようで。
私は、その幸せを感じえながら少しだけ、その脈動に申し訳なさを感じてしまった。

『のりー! こっちこっち!!』

「……あ、うんっ。今行く」

 ――今日、展望台へ来たのは他でもない。学園の友人達と『星の程の味金平糖』と
『ほしみまくろうキーホルダー』を買いに来たからだ。
『星の味程の金平糖』は、文字通りに星の味ぐらい色んな味のする金平糖がつまった菓子であり
星見町には沢山売ってるけど『展望台』で密かにレア味のするのが売ってると私の友達の
ムーさんが何処からが耳にして……。
 『ほしみまくろうキーホルダー』は星見町のご当地ゆるキャラで、『展望台』では
中々ない色合いのがあるので、クラスの女子間では意外な人気を上げてたりもする。

『ねーねー! 聞いた話だと、ある場所で夜空を見上げて○時○分に、○○秒間目を閉じて願いことを
秒数間で念じて瞼を開いた時に、流れ星が○回流れたら願い事が叶うらしいよ!』

「……エッちゃん、それジョード?(何処の情報)」

友達のエッちゃんは、こう言う信憑性のあるのか疑わしい噂は、何処から買い占めてるんだろう?
って言うぐらいとても詳しい。私は誰ともなしに噂博士の称号が彼女には付くんじゃないかなと思ってる。

『従妹の友達の話! っあ! その顔は胡散臭さ全開って感じね!? 今回の話は本当に
ほんとーよぉ! 私、今度の天体観察の時でもチャレンジするわ!
 それで陸上部の○○先輩へ今度こそ、こ・く・は・く💚』

きゃあ〜! と叫ぶクラスメイトのエッちゃんの話に相槌うちながら
袋に入った金平糖を一口。……梅干し味、ちょっとだけハズレた感がする。

 今も明日も、こんな日常が変わらず続く気がして。続くと信じていて。
そして、こんな変わり映えのない日々がきっと途方もない幸福の極致なんだと。

 ドクン……ドクン……ドクンドクン……ドクン……ドクン。

胸に手を当て、心臓の鼓動に耳を傾けつつ私は無意識に人の群れを見る。
 ふと……>>3と目が遭った気がした。

3ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2016/01/26(火) 00:52:03
>>2

そいつは普通だった。
極めて日常的な姿だった。

黒髪、黒目、中肉中背。
コートにマフラー、黒スカート。
涼しい中性の顔つきだが、少女。

「……」

(……早く来過ぎたか。)

待ち合わせに急ぎ過ぎた。
だから今は、ここに1人。

その時だった。

      ジ ・ ・ ・


「……?」

目が合ったのだ。
同じ清月学園の生徒だ。
ゼンチは、高二だ。

距離的に判別しきれないが、
知り合い――のような気がする。
でなくても、顔は見たことがあった。
ただ、それほど、親密ではない。

(挨拶――すべきですね。
 これもまた、縁と受け取って。)

     ペコ

まずは、会釈してみよう。
向こうはこっちの顔を、知っていたろうか?

4城生 乗『一般人』:2016/01/26(火) 01:13:44
>>3

     ペコ

「……ぁ」

   ニコッ

 会釈され、私も片手を掲げ手を振って挨拶をする。

 目に留まったのは、『ゼンチ』さん。
黒い目に黒い髪、中性的で何処となく浮世離れしてるような彼女は
同学年の中で印象が残っていた。もっとも、クラスは違ってた気がする。
 奇遇ながら、私もまた肩程で切りそろえた黒髪で黒い瞳。もっとも日本人なら当たり前だけど
今時の女子高生なら、染めてる子も多いし。共通点があるのは何となく嬉しい気分だった。

 それと、これは私事だけど。彼女を見ると何故か……。

――ドクンドクンドクン……ドクンドクン……ドックン……。

 恋とか、ではない。けれど、何故かざわめくように鼓動が早まる。でも、きっとソレは
私の気の迷いであろうから。その『奇妙』な鼓動の音に耳を貸さないようにする。

 学校のブレザーに身を包んだ私は、チラッとエッちゃんとムーさんの挙動を見る。
……また小物を物色中のようで、私は立ち上がり彼女へ近づく事にした。

 「こんにちわ、ゼンチさん。ゼンチさんも此処に買い物に?
私は友達とキーホルダーが目当てで来たんだけど……もし一人で
来たんだったら一緒に見て回らない?」

 誰かと来たり、もしかすればデートなら噂話や恋話が大好物の
エッちゃんの餌食にならない内に早々に避難する事も勧告するのを
考えた上で彼女に提案する。
 私は、出会いの機会があって仲良くなれるタイミングがあるのなら。
その機は逃したくないと思うから。

5ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2016/01/26(火) 01:20:01
>>4

「……」

   ニコ

笑み返す。
やはり知り合いだった。

「城生さん。
 こんにちは、奇遇ですね。」

前置いて。

「エエ――買い物です。
 もっとも、待ち合わせ中でして。」

「残念ながら。とはいえ。
 待ち合わせ時間はまだ先で。」

ゼンチは縁を大事にする。
機会があるならば、縁は結びたい。

「少しの間なら――
 ご一緒、できますが。」

「そちらのお連れの方は……
 私(ワタクシ)がいても、ご迷惑には?」

小さく、首を傾げる。
こちらの相手は、まだ時間ではない。

……城生の鼓動は、ゼンチは、知らない。

6城生 乗『一般人』:2016/01/26(火) 10:29:35
>>5

>「そちらのお連れの方は……私(ワタクシ)がいても、ご迷惑には?」

手を横にやんわりと振りつつ、自信をもって笑みを浮かべて口を開く。

「ぜんっぜん! 私ね、仲良くなれる機会があったら絶対逃がしたくないんだ。
それに連れの二人もモ―マンタイ!」

 そう言って後ろを振り返り、エッちゃん ムーさん! と二人を呼ぶ。

『バリボリガリボリパキボリバリボリガリボリ』

『うぅん、琥珀色ダブッちゃった……ん? おー!! 誰かと思えば
ゼンチさん、略してゼンちゃんさんじゃーん!』

 キーホルダーのガチャガチャを回しつつ唸ってたエッちゃん。
フルネームは『佐々木 江南』。黄色に染めてる髪は入校日に会った時は
結構遊んでる子なのかな? と思ったけど。そんな印象を拭い去る位の
天真爛漫な態度と明るさが、彼女の特徴。

 ゼンチさん(と私)より背の低い彼女は、小走りでこっちに来ると同時に。

『ゼンちゃんさーん。おはおはぁ……ドッキュン!』クネッ!

 と、両手を突き出し手をワキワキして、おはおは言い終わると同時に両手を
額で翳してドッキュンと言いつつ腰を軽くクネッてウインクする。
 これが別に学園の女子ブームの挨拶……になる予定だとエッちゃん談だ。
正直、私にはその感性を理解するにはレベルが足りない。

「はは……うん、ゼンチさん。こう言う娘だから無駄に遠慮する事ないよ。
でね、もう一人の娘が」

 そう、戻ってきた残る知人を紹介しようとするけど。遠くで響いてた
咀嚼音が迫り、自然と口が閉じた。

『ガリガリバリボリボリガリぺキパリボリ……』

 「……ムーさん。レア味当たらないの?」

   『ゴックン  ……一個    蜘蛛味』

「そ そう……良かったね」

ムーさん。フルネームは『比嘉 海霧』。艶のある茶の髪で170過ぎの
高身長な彼女は、私にはない大人びた雰囲気を秘めてる。
ちゃん付けをしないのも、彼女のそんな放つオーラが所以。
 けど、場に関知せずマイペースに星の味金平糖を仏頂面で黙々と咀嚼
するのはどうかと思うんだけどな……。大好物なのは知ってるけど。

   『  よろしく  』

 ムーさんはゼンチさんを一瞥すると不愛想に一言だけで会釈を返す。

「あ、ゼンチさん。ムーさんは何時もこんな調子だから。機嫌悪いとかそう言うのじゃないよ」

『ガリッ……青汁味 ラッキーチャンス』

「ムーさんっ! 流石にマイペースが過ぎると思うんだけどなぁ!?」

 こんな調子だけど、ムーさんも。そしてエッちゃんも掛け替えのない
私の友達。私の取り巻く日常を支えてくれる……大切な。

 『あ! ゼンちゃんさーんアド交しよう、アド交!! それと
琥珀色以外のキーホルダーあったら交換してよぉ!!
 七つ虹色で揃うと開運なんだ! お願いゼンちゃんさーん!!』

 エッちゃんの言葉に、私もスマホを取り出して笑顔で告げる。

「うん。ゼンチさんが良ければアドレス交換しても良いかな?
 あと、エッちゃん。ゼンチさんはキーホルダーコレクターが分んないでしょ?」

 そう、苦笑をエッちゃんに向けつつスマホを掲げる。

ムーさんは、何故か分らないけど変な目でゼンチさんをじーっと見ながら
金平糖をポップコーン見たいに機械的に口に放り込んでは噛んバリボリと
咀嚼する音が、私の耳に届きながら心臓の鼓動は未だ少しざわめいていた。

7ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2016/01/26(火) 16:45:21
>>6

「それは――私も、同感です。」

縁を大事にする。
その考えが一緒なら。

(友達に、なれるかもしれない。)

ゼンチは笑む。
そして。

「……はは。
 これはこれは……」

「お二人とも――
 よろしくお願いします。」

    ペコ

連れ二人の勢い。
笑みは苦笑に変わるが――

嫌では、ない。
むしろ、楽しい。

「キーホルダーは……
 ご期待には、お答えできませんが。」

スマホを取り出す。

「メアドでしたら、ぜひ。
 ……あの、ムーさんも、もしよければ。」

     「交換――しませんか?」

『ムーさん』の視線は気になる。
が、まあ、マイペースなひとらしい。
メアドの交換を、持ちかけてみる。

8城生 乗『一般人』:2016/01/26(火) 22:44:14
>>7

『うっしゃー! ゼンちゃんさんのアド、Getだぜ!』

 何かのトレーナーがボールでモンスターを取った時見たいにエッちゃんは
クルクル回りつつはしゃいでスマホを掲げてる。あんなに回って目を回さないといいけど。

「うん、登録完了」

 私もスマホに登録を完了させ、嬉しさと暖かい気持ちが広がるのを
実感しつつゼンチさんの声で、残る一人へと見遣る。

『ガリボリガリ……』

 「む、ムーさん。ほらぁ、ゼンチさんも困るよ? 一旦食べるの止めてってば」

一方でムーさんは相も変わらずの調子の金平糖を食べるマシーンになっていて
私も呆れ返る。だけど、直ぐにそのムーさんが次に起こした行動で
和気藹々としていた空気も次第と変わっていた。

 ガリボリガリベキと人力で採掘音を醸していたムーさんはじぃ……と
ゼンチさんを見てた。その視線は普段よりも強く、それで今更ながらはたと気づく。

ムーさんは私の幼馴染だ。それでいて良く、何と言えば良いのか物事の勘が
人より彼女は優れてる。マーク式の選択テストや失せ物探し
過去に実力の一端を見た生き証人として、彼女の力が本物だろう事を知ってる。
本人は普段飄々としてるけど、物事の深い部分を見抜くのに長けてる。
 そんなムーさんは、ゼンチさんへと数秒強く視線を向け、そしてふと怠惰な
目つきになると、星の味ほど金平糖を最後とばかりに一つ放り込み
軽く首を横に振って、ポツリと吐き出すように呟いた。

 『……相が見えない』

 「相?」

私がムーさんの言葉を繰り返すと、彼女は軽く頷きながら口開く。
 手を広げ演説するように淡々としながらも人に自然と傾聴させる調子で話し始めた。

『人には生まれつき゛相"と言うのがある。そしてのその相の三つの要素として
栄養質・筋骨質・心性質、と言うもので、その人となりの性格や未来、過去を見れる。
ノリなら、過去に大きな事故・災難により大きな転機が訪れた。と言うのが見て取れる。
エッ子なら過去と現実が直帰されており、今の性格が元からである事が。
……ゼンチさんは、過去に大きな邂逅、事件があった と』

 だけど、とムーさんは力なく言葉を続ける。こんなムーさんは珍しい……。

『……未来が、見れない。ノリもエッ子も、学園のクラスメイトも含めて
先に起きる事柄が私には予見出来ないで、いる。
数ヵ月前までは、こんな事は無かったのに』

 それが、無性に、苛ただしい。とムーさんは新たに二つ目の袋を開けて
金平糖を咀嚼し始めた。あと、無造作に私にスマホを渡したので、これは勝手に
私の分も登録しておいて、と言う事なんだろう。 と言う事で代理で行う、幼馴染ならではの仕事だ。

 未来……私には知る事の出来ない明日。代わり映えが知れないかも知れないし
もしかしたら何か大きな事が起きるかも知れない明日。
 何が起きるのか分らない。それはもしかすれば怖い事なのかも、知れない。
けれど――。

 「……私は、どんな事が起きるのか、この先に起きるか分らないけど。
それでも私の向かう明日にはきっと素晴らしい事が起きる。
 そう、思いたいな。ゼンチさんは、どう? ムーさんの口上を聞いて」

 うん、そうだ。
『未来』は分らない。けど、その先を怖がっていじゃ足を踏み出せないから。
だから勇気を出して、私は暗がりの中を一歩踏みしめたい。そうでなくちゃいけないんだ。

 ……それと、普通にムーさんは新しい袋を開けてたけど。ソレって
私が買ったものじゃない? 別に、そんな細かい事で一々ツっこまないけど……。

9ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2016/01/26(火) 23:02:22
>>8

「はは……どうも。
 ありがとうございます。」

     pi

連絡先を交換した。
二人と、だ。

残る一人。

  ガリボリガリ……

「……あの。」

(不思議なひとだ――)

『金平糖』に夢中の『ムーさん』。
独特のペースに、やや気おされ。

「相?」

城生と同じリアクション。
そして。

「エエト……
 つまり、すると。」

「ムーさんは、未来予知を?
 そして、今は――それが出来ない、と。」

未来予知――
荒唐無稽だ。

(スタンドの一種――
 いや、そういう様子ではない?)

しかしゼンチは、疑う。
荒唐無稽も、時には真実だ。

「……私は。」

「未来がどうなったとしても。
 自分の信じる物を貫きたい、と。」

     「つまり――人との、縁です。」
 
    コク

ゼンチは頷く。
人との繋がりこそが、ゼンチの大切な物。
どんな未来であれ、それを手放したくは、ない。

「……フフ。
 少しクサかったですかね。」

     ニコ

それから。
やや照れたように、そう笑う。

10城生 乗『一般人』:2016/01/27(水) 00:02:59
>>9

 『予知が出来ない!? そりゃぁアレですなぁムーさんや。
ずばり! それはザ! ムーンdayの不調故っスよ!』

 『ズバリ イッツ ザ セクハラ……』

堂々と人差し指を上げてチッチッチ! と舌を鳴らしてセクハラ発言する
エッちゃんにムーさんは淡々と呟きつつ小気味良い音と共にエッちゃんの
頭を平手打ちする。太鼓を叩くように良い音とエッちゃんの『はにゅーん!』と言う悲鳴が展望台の屋内に響く。

>人との、縁です

     
                   ドクン

その言葉を聞いた時、ストンと胸に何かが嵌ったような気がした。

 「……うぅん。クサくなんて 全然ない」

 胸に手を当て、揺り籠のように一定のリズムを鳴らす鼓動を感じながら告げる。

「『縁』があるから……私は、いま、生きてるんだと思う。
 辛い時も、苦しい時も。絶対に駄目だって思えた時も……目に映るものだけじゃない
きっと見えない何処かで繋がる『縁』が、きっと私の力になってたと思うから。
 だから、全然変じゃないよゼンチさん。私も、そう思う。私の『鼓動』もそうだって奏でてる」

傍で漫談めいたやりとりをしていたムーさんは、チラッと私とゼンチさんを見て
何とも言えない表情を一瞬浮かべてから、厳かさを秘めて言ってくれた。

 『……ノリは【レシピエント】だもんね』

 「うん。けれど、それを言い訳にしたくはないよ。私は私だからね」

……数年前、私は私の心臓を取り外して心移植を受けた。
 成功確率は50を切っていた、と聞く。けど、結果は今の生きてる私が物語ってる。
私は、見えない一人分の命を背負って生きてる。

だからこそ、私は私の為に、私を助けてくれた人達の為に、胸を張って生きたい。

「ゼンチさん……有難う。
 今の言葉を聞いて、何だか目が冴えた気がするんだ。
迷っていた訳じゃない、けれど、胸の中で少しあった踵が取れたって感じ」

 感謝をゼンチさんに。私一人で悩んでいては、晴れない事だった筈だから。

11ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2016/01/27(水) 00:11:30
>>10

「……はは。
 お仲がよろしいようで。」

(デリカシ―の無い……
 いや、気ごころ知れた仲、か。)

これには苦笑するばかり。
そして、『ノリ』を見て。

「――そう、ですか。」

「私たち、
 気が合うようで。」

     ニコ

(……レシピエント?)

言葉の意味は、はかりかねる。
けれど、それでいい。

心が?がるならば、言葉はそれほど――

「……助けになれたなら。
 それはとても、エエ、とても幸いです。」

      ニコー

笑みをさらに、深める。
ゼンチはほんとうに嬉しいから。

       ・・・・そして。

「では……
 ご一緒、しましょうか。」

少しの間だけれど。
それはきっと、楽しい時間だろう。

12城生 乗『一般人』:2016/01/27(水) 00:22:41
>>11

 >では……  ご一緒、しましょうか

「――うんっ。それじゃあ最初にね……」

 こうして私とゼンチさん。エッちゃんにムーさんの四人で
ゼンチさんの待ち人が来るまでの間、思う存分に遊んだ。

星の味ほど金平糖の当てっこゲームをしたり、キーホルダーの
交換をしたり、ショッピングモールにあるスターフルーツアイスを食べあったり……

 一日の終わりで回想しても、その四人で遊んだ時の思い出は。
きっと その『縁』は途切れる事のない、長く続く記憶として残り続けると。
 そう、心臓の音と共に感じられる。

 ――だけど。

 ドクンドクンドクン ドクンドクンドクン……。

やはり、『奇妙』な事に。ゼンチさんと不意に視線が交錯する時

緊張とか、そう言った類でない事だけは解る。何か言いしれない
       
         『胸の高鳴り』

ソレを私は感じるのだった。

13ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2016/01/27(水) 00:26:14
>>12

「エエ――」

   ニコ


新たな縁。
ゼンチは、嬉しい。楽しい。
 
    カツ
        カツ

モールを歩いていく。
四人での楽しい時間。

      ・・・・

         ・・・・

その時。ゼンチはまだ――気づいていなかった。
隣にいる少女の――『城生 乗』の、胸の高鳴りの正体を、何一つ。

                ・・・・平和な日々は、きっと、つづく。

14稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/01/31(日) 05:07:56

モールそのものが、開店してすぐの時間帯。

「…………」

(PV見なきゃ……完全に買い逃すとこだった……
  えひ、情弱おつ……でもまあ、かろうじて……グレイズってとこか……)

     トコ
          トコ

商業施設の入ったフロアを歩く。
意味もなく――ではない。買い物だ。

           ・・・・ゲームを買いに来た。

(えひ……時間的に考えて……
 流石に、売り切れはしてないだろ……)

     (そこまで話題でもないしな……僕の観測範囲では……)
  
まあ売り切れはしていまい。
なお、今日の恋姫は眼鏡で変装済みだ(知ってる相手にはばれるが)

                ・・・・ともかく、ゲーム屋へ向かうのだ。

15稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/02(火) 00:40:40
>>14(撤退)

「…………」

     ニヤ

ゲームは売っていたので、買った。
そうとなればもはやここに用はない。

     (帰って耐久戦といくか……えひ。)

           ・・・・これで丸二日はつぶれるだろう。

16流星 越『バングルス』:2016/02/02(火) 23:27:55

   「〜♪」

栗毛の三つ編みを尾のように垂らし、赤ブチの眼鏡をかけ。
ライダースジャケットとダメージジーンズという、いわゆる『パンクファッション』に身を包んだ、少女。
そんな少女が、モール内のフードコートで鼻歌交じりに雑誌を読んでいた。
もちろん何も頼んでいない訳では無く、食べ終わったハンバーガーと飲み掛けのコーヒーが目の前には置かれていたが。

……ところで現在のフードコートは大分込み入っていて、少女が座っている二人掛けのテーブル席は正面が空いていた。。

17ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2016/02/04(木) 00:38:46
>>16

「相席――」

「失礼します。」

  スト

前の席に座る。
黒髪黒目の女。
中性的な顔つき。
コートにマフラー、黒スカート。

       コト

(……こうも混んでいるとは。)

今日は、一人だ。
買い物に来ていた。

机にトレイを置く。
上には、皿うどん。

「ふう……」

   ゴク  ゴク

ようやく一息ついて、冷水を飲む。

18流星 越『バングルス』:2016/02/04(木) 00:52:29
>>17

   「……おや」

視線を雑誌から離し、上に。

   「どうぞどうぞ。ここは自由の国……」

   「――――から10000km以上離れた和の国ですが、ハートはいつでもフロンティアです」

……眉ひとつ動かさず、能面のような無表情で。
にこりともしないが、とりあえず嫌がっているわけではない……のだろう。多分。
どちらかといえば、この込み具合で居座っている流星の方が迷惑な客なのだが。

   「……お買い物ですか?」

   「今日は随分と込み合っていますね。
    ゾンビが発生したら阿鼻叫喚の地獄絵図になりそうなぐらい」

淡々と話しかけながら、コーヒーをひとくち啜る。大分温くなっていた。

19ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2016/02/04(木) 00:58:09
>>18

「――は、はあ。」

「それは。
 ありがとうございます。」

(不思議な人だ。
 ……またもや。)

とはいえ。
悪意はない。

お互いに、だ。
なら、問題ない。

     チラ

「エエ――」

「ご明察、です。
 恵方巻を買いに。」

微笑んで返す。

「節分ゆえ、でしょうか。」

「イベントもやっているそうで。
 なんでも、豆まきが出来るとか――」

      パチ

      「――いただきます。」

手を合わせて、それから箸を取る。

20流星 越『バングルス』:2016/02/04(木) 01:06:15
>>19

   「don't worry baby」

……間違いなく不思議な人であった。
発音は割としっかりしていた。

   「恵方巻、ですか」

   「そういえばそんな時期でしたね。
    煎り豆を悪鬼羅刹に叩きつけ、やい鬼なんぞに跨がせる敷居はねぇやいてやんでいべらぼうめいうんばばうんばば」

   「……と啖呵を切った後にコロッと態度を変えて福におべっか使うアレですね」

啖呵は切らないがまぁ節分である。

   「あ、笑うところですこれ。ははは」

そういう少女の顔はまったく笑っていなかった。

   「…………まぁ冗談はともかく」

   「恵方巻、少々お値段が気になるんですよね。
    いえ、美味しいとは思うのですが、少々足踏みする価格と言いますか。
    西の商人のじゃあくな陰謀を感じます」

21ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2016/02/04(木) 01:12:41
>>20

「ハハ……」

一連の冗談に苦笑する。
何となくだが――

(不思議というか。
 ……独特な人、ですね。)

   バリ バリ

独自の空気。
皿うどんを箸で崩す。

「お値段。
 言われてみれば。」

決して安価ではない。

「まあ」

「一年に一度ですし。
 縁起もですが、イベントとしては。」

    スッ

       「適正価格なのかも。」

            パリ  パリ

そういいつつ、麺を口へと運んだ。

22流星 越『バングルス』:2016/02/04(木) 01:22:46
>>21

   「……ふむ」

   「クリスマスでもなければお高い七面鳥もクリスマスケーキも食べませんし。
    それと同じことと考えれば、確かに。なんとなく適性のような気もしてきます」

   「豆なんか売っても大して利益にならなさそうですしね。ははは」

まぁ豆農家はこの時期ハッスルしているのかもしれないが。
それよりは、恵方巻の方が色々と利益になるだろう。多分。

   「でも私、独り言多い方なのであの『黙って食べる』というルールが苦手なんですよね。
    黙ってると寂しくて死んじゃうウサギさん系の人種なので。ぴょん」

両手を頭に当て、うさ耳のジェスチャー。
……無表情なのでなんとなく不気味だ。

   「でも黙ってると死ぬってどちらかというとマグロっぽいですね」

   「マグロ系女子。……スプリンターかスイマーみたいです」

無表情加減は確かに魚っぽいかもしれなかった。

   「……しかし、ふむ」

   「…………ふむ」

   「…………………ちょっと失礼」

                 ガタ

雑誌を机の上に置き、少女は席を立った。
……雑誌だのコーヒーだのが放置されている辺り、帰ったというわけでもなさそうだが。

23ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2016/02/04(木) 01:28:13
>>22

「でしょう。」

「私(わたくし)も――
 詳しくは、ないですけどね。」

ゼンチは経済を知らない。
だから、何となくだ。

「ウサギ。
 なるほど。」

「……マグロ。
 はあ、ええと。」

少し思案して。

「そうなると――」

     「あっ。」

何か言おうとして。
そこで、席を立たれてしまった。
 
「……ううむ。」

     パリ  パリ

皿うどんを食べつつ、思案する。
何とも不思議な相席になったことだ。

        ・・・・戻ってくるか?
           期待しているゼンチもいる。

24流星 越『バングルス』:2016/02/04(木) 01:34:30
>>23

しばらく時間が経つ。
……といってもほんの数分程度だが……

         ツカツカ

…………少女が帰って来た。
手には、皿うどんが乗ったトレイを持っていた。

   「失敬」

       カタ

そして再び着席。
……一応、小サイズではあるようだが、皿うどんだ。

   「そんなことよりおうどん食べたい」

   「……というわけで、貴女を見ていたら私も皿うどんが食べたくなってしまったので買ってしまいました。
    小サイズなのが乙女ポイントです。
    追加注文してる時点で乙女力が死んでる気もしますが、その辺からは目を逸らすとします」

   「……カロリー計算とかからも目を逸らすとします。人間の認識って、好都合ですね」

           パキッ

   「…………では、いただきます」

ぺらぺら捲し立てて、さっさと皿うどんを食べ始める。
まぁしばらくは箸で崩す時間なのだが。

25ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2016/02/04(木) 01:43:43
>>24

     バリバリ

  ゴクン

「……あ。」

戻って来た。
皿うどんは半分ほど減った。

「なるほど。
 そういうことで。」
 
     ニコ

「美味しいですからね。
 ここの皿うどんは……」

「チェーンですけども。」

あちこちにある店。
つまり、上手くやってる店。
値段もお手頃なのが、嬉しい。

「別腹という言葉も。
 皿うどんは主食ですが……」

「カレーが飲み物の方もいますし。」

       モグ

ここまで取っておいた海老を口に運ぶ。
……節分性はないが、平和な食事時間。

            パリ

                   パリ

26流星 越『バングルス』:2016/02/04(木) 01:59:09
>>25

   「ハンバーガーとコーヒーで済ませるつもりだったのですけどね」

         バリバリ

   「おのれ皿うどん絶対に許さんぞ」

         バリバリ

        「なんて」

   「……まぁおいしくて幸せなので許します。
    我が軍は全面的な降伏を宣言します」

   「あ、今のは降伏と幸福をかけた爆笑ギャグでして……」

食べながらでも、流れるようなトークは止まらない。
喋らないと死んでしまう、というのは、例えとしては的確なようだ。

   「ああ、そういえばいつも思うのですが、カレーは飲み物にしては辛すぎなのでは?
    あれは喉を駆け巡る灼熱に耐えきる苦行僧の発言なのではと思うのですが、どうでしょう」

   「あるいは甘口などという逃げ道に頼った軟弱者の発言なのでしょうか。
    ふははザコめそのような弱者は覇王の国には必要ないわっ」

   「――――まぁ私、カレーは甘口派なのですが。
    ここ乙女ポイントです。テストに出ますよ」

……食べながら、話は進む。
話しながら、食事は進む。

節分っぽくも無ければ、女の子らしくもないかもしれないが。
平穏な、午後のひと時であった。

27稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/16(火) 02:43:08

     トコ   トコ

モールを歩いている。
もちろん、一人でだ。

(まだバレンタインムードが残ってやがるな……)

       (リア充……爆発しろ、ってやつか……)

今日は『買い物』にきた。
とはいえ安くなったチョコレートには興味はない。

(電化製品ってどこで売ってんだっけ……?
 ちょくちょく内装変わってるよなここ……ローグゲーかよ……)

そういうわけで、さまよい歩いている。
まあ地図を見ればすぐだが・・・

       (……あ。アクセサリーか。
         ……えひ、女子力高めるかな……)

                  ・・・他にも見たいものはある。

28稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/23(火) 00:32:51
>>27(撤退)

「…………」

(売りきれてやがった……
  もうちょい早ければ残ってたか……?)

       (……)

            (クソゲーすぎる……)

まあ目的は達成したし、帰ってゲームして寝たのだ。

29稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/03/08(火) 23:37:22

スカイモール内、フードコート。
下層に位置するそこは、安価でほどほどに上手い飯が食える場所――

                    ・・・なのだが。


    ズズ ・・


       「……」

湯気を立てる『海鮮粥』をすする少女。

黒い髪に、桜色の瞳――西洋の人形のような顔立ち。
青い金属フレームの眼鏡、それと帽子が机の上に置かれている。

(これ、あんま美味くねえな……つーかまずい。
  えひ、このお粥を作ったのはだれだぁっ…………)

         (……なんだこの味?
           常識的に考えて甘すぎる……) 

     ズ ゥゥ ン

傍からは何か悩みでもあるかのような顔にも見えるが、
実際にはその、食べている粥が美味しくないというだけのことだ――       

(砂糖と塩でも間違えたのか……えひ……昔の萌えキャラかよ……)

       (でも……味付けミスってんのは確定的に明らかだ……)

                        ・・・向かいの席は、空いている。

30李 春花『一般人』:2016/03/14(月) 02:09:09
>>29
「失礼するね」

 そんな『恋姫』に、向かいから鈴のような甲高い声がかけられる。

 手にはお盆。その上には奇遇にも、同じ『海鮮粥』が乗っている。

「『相席』いいか?
今日はずいぶん、混んでいる」

 つり上がった、切れ長の目が印象的な少女だ。
服装は、この町の『高校』の制服をキッチリと着こなしている。

31稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/03/14(月) 23:09:42
>>30

   「ん……?」

       (清月――高等部か。)

         ゴクン

口内に残ったまずいのを飲み込み、顔を上げる。

「別に……いいけど。
 えひ、この人口密度……なんかイベントでもあんのかな……」

         「そういうの情弱だから……
           知らないけど……えひ。」

良く知らないゆるキャラが来ていた、ような?
よく分からない。あまり詳しくないし……興味も薄い。

(前に共演したのとは違ったよな……
 『こぜにくろう』だっけか……えひ、あのしょぼいの……)

              ・・・ともかく。

「…………」

(おっ! こいつも……これ頼んだのか。
  中華っぽい顔してるしな……喋り方も……留学生とかか?)

                 (まあ……どうでもいいけど……)

       カチャ ・・・

 れんげを器に立てかけたまま沈黙する恋姫。
  二口目に挑んでいきたいとは思わせられない味なのだ……

32李 春花『一般人』:2016/03/14(月) 23:49:02
>>31
「謝々。ありがとうね」

 簡潔な『礼』を述べ、向かいに座る。

「ワタシも、詳しくは知らないね。
ま、賑やかなのは良いことだろう。個人的には好きじゃないけど」

ヒョイ パク

「む……これはずいぶん『甘い』ね」

 他愛のない会話を続けつつ、海鮮粥を一口食し、ちょっと顔をしかめた。
やっぱり、少し変わった味付けのようだ。

33稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/03/15(火) 00:11:36
>>32

「えひ……気にすんなし。」

   (シェイシェイっつったなこいつ……
     マジで留学生……インテリってやつか……)

          カチャ

席はみんなのものだ。
断る理由もないということ。

       ゴク

            ・・・水を一口。

「……僕も、うるさいのは嫌いだぜ。」

         キョロ   キョロ

             「……ゲーセンも。
               ……うるさかったんだ。」

ゲームの音におぼれるのは心地いいが、馬鹿騒ぎはNGだ。
あまり今日の客層はよくない、らしい。

そして。

               「……えひっ。」

「僕のだけ……ルナティックなんじゃなくて……これがノーマルなのか……」

いよいよこれは、おかしな話だ。
こんな味付けふつうするのか?

「甘いよな、これ……こんなの絶対おかしいぜ。」

             「……砂糖と塩、
               間違えたのかな……?」      
    
                     ・・・本場の人に聞いてみよう。

34李 春花『一般人』:2016/03/15(火) 00:31:37
>>33
「このスタイル『粥』は『広東料理』。その味の基本単位は『塩』ね。
海に面した地方だから、当たり前といえば当たり前だけど」

 渋い顔のまま、食を進める。

「つまり何か、これには致命的な『失敗』があるということ……
ワタシが見るにこの『汁』に問題があると思うが、
もしかすると『東南アジア』のスタイルが取り込まれているのかも。
『ココナッツミルク』でも入れたんじゃないか」

パク パク

「しかし頼んでしまった以上、食べないのは『無駄』ね。
ワタシには『マズい』けど、体に悪いものが使われているようではないし」

35稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/03/15(火) 00:49:48
>>34

「…………詳しいのな。
 広東か……あんま知らないけど……」

          「お粥は……好きなんだけどな……」

   ドロ

れんげでひとすくい。
見た目は、美味しそうにしか見えないのだが――

「……ココナッツ?
 ……言われてみりゃ、あー……何か……」

            モグ

口に入れてみる。
甘い。まずい。

  ゴクン

   「そんな感じするわ……
    料理ゲームで受け狙いしたみたいな……」

         「味見したのかなこれ……」

キャッチコピーの本格中華がゆとはなんだったのか?
疑問に思いつつ。

「…………僕は正直……残したいんだけど……」

        「ないわーこの味は……」

                      モグ…

   ゴクン

              「捗らない……」

口には入れて見るものの、どうにも味を楽しめる気はしない。
そうは言っても、本気で食べられない味でもないのが憎い。

                        ・・・後味が嫌だ。海鮮を邪魔している。

36李 春花『一般人』:2016/03/15(火) 01:12:05
>>35
「一抹の『惜しさ』は感じなくもないね。『挑戦』は必要なことだし。
残念なことに『ダメな方』に一歩踏み込んでいるが」

 辛辣にダメ出しをしながら食べる。
『残す』という発想は、ないようだ。

「ま、箸が進まないのは理解するね。
でもワタシには食料が必要。『寮』の食事だけじゃ、足りないときもある――」

モグモグ パクパク

「まあ、つまり、食べないなら、貰ってもいいか?」

 ぶつくさ言いつつ、なんだかんだ完食寸前だ。
ついでに『恋姫』のぶんまで食べよう、という食欲である。

37稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/03/15(火) 01:42:38
>>36

「……クソゲー……だめなゲームってさ……
 挑戦的な要素は……多かったりするんだよな。」

              「……いいぜ。」

   ズズイ

お椀をそちらへとゆっくり押す。
中身は半分ほど減っていて、特に二個あったエビ団子はない。

        ・・・美味しいとこは食べた。

「僕の食べさし……
 出すとこ出せばプレミアつくかも……えひ。」

       「……」

              「……今の冗談な。」
 
れんげは手で持って、お手拭きの上に置いておく。
それから、なんとなく口を開いて。

「……寮って……あれか。
 学生寮……留学生、なの……?」

              「…………えひ、凡質問乙。」

そりゃそうだろ、と自分でも思う質問を、一応してみるコミュニケーションだ。

38李 春花『一般人』:2016/03/15(火) 02:03:04
>>37
「ああ、『清月』の学生寮だ。一年くらい前から、こちらに留学している。
あそこの食堂の料理はウマいからいいけど、量は控えめでね」
「他の入居者からそういう話は聞かないけどね。
皆食が細すぎるんじゃないかな」

パクパク

 喋りながら、粥がガンガン消費されていく。
どうも、相当な健啖家のようだ。

「貴方も、見たところ学生くらいに見えるけれど。
どこかで会ったこと、は、ないな。でも見かけたことは、ある気がするね」

 ジッと『恋姫』を顔を見ながら言う。
この町で生活している中で、『ご当地アイドル』について、
多少なりとも触れてはいる。ただ、それが目の前にいる、とは中々思いつかないものだ。

39稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/03/15(火) 22:56:26
>>38

(あ……くそ、この話題は……
  あんまり、……上手くなかったな……)

「…………」

       「ふぅん……」

   ジ

目を少し細める。
学校の話題は――あまり好きじゃあ、ない。むしろ苦手だ。
適当な話題を振るものでも、なかったか。

「…………学生じゃないぜ。」

桜色の瞳に、長い黒髪。
眼鏡も帽子もない今、顔での判別も容易。

           ――もちろん知っていればだが。


「けど、見たことあっても……おかしくない。
 あー、僕は…………みんなのお姫さま、だかんな。」

やや落とした声で、言う。

幸いにして店内は騒がしい。
もっとも、聞かれたって暴動なんて起きないだろうけど。

  「……」

     「ここだけのレア情報だぜ。
       ……えひ。アイドルなんだ、僕。」

別にばらして、損することでもない。

            (言わせんな恥ずかしい……っても……
              僕が勝手に言ったわけだしな。えひ、自爆乙。)

40李 春花『一般人』:2016/03/15(火) 23:26:08
>>39
「『アイドル』」

 そういえば、と、改めて『恋姫』の顔を見る。

「なるほど。見たことがあったのは、街に張り出されていた『ポスター』を見たからね」

 うむ、と一人頷く。『粥』はもう空だが、もう少し、話していこうと思った。

「しかし年齢的には、やはり学生と言っていい年頃に見えるね。
まあ――ワタシの故郷なら、既に働いていたとしても驚くことじゃないが、
ここでは……いや、それはこちらの通念を押し付けるだけか」

 むむむ、と悩み、暫くして考えを纏めたように口を開く。

「人には人の分がある。貴方がその仕事を
『天分』と感じるなら、何の問題もないね。
ましてやワタシがとやかく言うことではないだろう」

41稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/03/15(火) 23:47:31
>>40

「…………えひ、そういうことだろ。」

          ニタ

陰気な笑みを浮かべる。
ごまかすような――とも、取れる表情。

「……そうだ。」

      「……僕の舞台は。
       僕の舞台は……ここなんだ。」


   「……えひ。
    僕は……そう思ってる。
    学校より……ずっと…………」

         コク


『天分』――そう言いきれるほどの自信はないけれど、ここは輝ける舞台。
少なくとも・・・太陽が当たる場所。

        「……」

「…………お前は……なんで留学してきたの……・?」

話を変えたい、と思った。

      「えひ……何の勉強かってこと。
        常識的に考えて……
         そりゃ勉強は……するんだろうし。」

                カチャ
   
                曖昧な笑みを浮かべて、
                 置いていた眼鏡を掛けなおす。

42李 春花『一般人』:2016/03/16(水) 00:09:14
>>41
「それなら、それでいい。
この国には己の『道』というものがあるのだろう」

 さっぱりと、納得する。

「ワタシは、ここで将来働くためにやって来た。
家族の経済を支えるために、そして何より、ワタシ自身を養うために」
「そのために、ワタシはここを知りたい。
ある土地で成功しようと欲するなら、その地のことを深く知らねばならないね」

 食後のお茶を啜りながら、続ける。

「少なくとも、なけなしの金を搾り出してまで、ワタシに賭けてくれた
家族の期待には答えないといけないね」

43稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/03/16(水) 00:22:42
>>42

「…………」

「…………そうか。」

(くそマジメな奴だな……こいつ……
 まあ、留学なんかしてるんだし、そりゃそうか……)

            ゴッ ゴッ

紙コップに残っていた水を飲み干す。

「まあ……僕が何言えるわけでもないよ……うん……」

            「興味本位で……
             聞いただけだし……」

家族の期待――

(おばあちゃんは僕に……何か、期待してんのかな……
  …………元気でいてくれたらいいって、それで……いいん、だよな。)

                   (……輝けてる、よな。)

あまりなじみはない。
祖母はいつも、基本的に、恋姫を肯定してくれる――

        ・・・ともかく。

「まあ……えひ、僕もここ住んで長いし……
 答えられることもあるとは思うぜ……ゲームの事とか……」

              「ゲームの事とか。
               えひ、大事なことだから二回……」

44李 春花『一般人』:2016/03/16(水) 00:33:58
>>43
「うむ。人の人生は自分にしか決められないね。
他人が決められることなんて、ほとんどありはしないだろう」

ズズ

「そうね、色々教えてもらえると、ワタシとしても助かる……」
「『げえむ』?ええと、遊戯のことか」

 耳になじみのない言葉だ。ちょっとキョトンとした顔を浮かべた。

「『遊戯』、というと、トランプ、麻雀――」

 どうも、知識が卓上のものに留まっているようだ。
基本的にあまり金を使えないので、級友とどこかに遊びに行く、
といったことを避けがち、というのも影響している。

45稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/03/16(水) 00:47:32
>>44

「…………そんなもんかな。
 まあ……僕も、人の人生にあれこれは……言わないけど。」

        「……」

最終的に決めるのは――自分。

アイドルになったのも。
・・・・学校に行かないのも。

       (……まあ、人に言われたからって……)

                 (……行きたく、ないよな。)


    コト

紙コップを置いた。
恋姫の飲食物は、きれいさっぱり無くなったわけだ。

「……あ……ん、そうか……
 まあ……ボードとかカードも、ゲームだけど……」

          「ゲーム、センターとかさぁ……あとは……」

これは思わぬカルチャーギャップ、というやつか。
少し思い悩んで、ポーチに手を入れて。

            ゴソ

   ゴソ

       ス

取り出したのは携帯ゲーム機。
電子の世界と繋がるための、恋姫にとっての魔法のチケット。

                  「・・・・こういうの。
                   あんま……やらない……?」

46李 春花『一般人』:2016/03/16(水) 01:04:46
>>45
「それは、『電卓』――じゃ、ないみたいね」

 携帯ゲーム機を観察する。

「これは……そう、『電算機遊戯(ビデオゲーム)』をするための機械ね?
ワタシはやったことないけど、知識としては知ってる」

 あまり裕福でないこともあったが、そういうものには縁遠い生活を送っていた。
さっきから、かなり興味深そうな眼差しを送っている。

「技術を駆使して『遊戯』のための機械を作るというのは、
無駄と言うべきなのか、むしろそれこそが『文化的』と言うべきか……
それで、どうやって遊ぶものなのか?」

47稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/03/16(水) 01:23:42
>>46

「……えひ、そう。ビデオゲームの……機械。
 …………僕は、ゲームが好きだから……一番。」

「お前に教えられるとしたら……これくらい……
 ……中にカセットが入ってて、色んな遊びが……この画面で、出来る。」

   ズ イ

少しだけ身を乗り出す。
違う世界への窓口が――液晶画面が、『李』に見えるように。

             カチ

「……文化的だと思うぜ。
 少なくとも……無駄なんかじゃ、ないよ。僕の中では……」

電源はすぐ立ち上がる。
液晶に、映像が浮かび上がる――と。

                ザワ   ザワ

「…………」

    キョロ

周囲の話し声に気づく――というよりは思い出す。今は混雑中なのだ。

「あー……ここ、混んでるし……
 時間制限あるな……あんま長い事、見せられない……」

        「……」

               「えひ……ゲーセン、行く……?
                 ゲーム機が、いっぱいある場所……だけど。」

48李 春花『一般人』:2016/03/16(水) 02:26:21
>>47
「なるほど。すごく、興味深いね」

 『ゲーム機』の説明を受けながら、ぽつりと言う。

「何事もやってみなければ分からないね……
案内をお願いするね。お金は、そんなに使えないから、
その辺りは先に言っておくよ」

 会計を済ませ、そう言って立ち上がる。
『ゲームセンター』に向かうか否か……どちらにせよ、この場は後にすることだろう。

49稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/03/16(水) 02:46:52
>>48

「えひ……ゲームはいいぞ。」

   ニター

気の抜けたような笑みを浮かべる。
そして、立ち上がる。

     「僕も……お金は、そんなないよ。
       さっきまで……やってたんだ…………」

                 「……えひ。行こうぜ。」
 
トレイとコップはしかるべきところへ。
あとはゲームをするだけだ。

          トコ    トコ

お金がそんなに使えなくても――
恋姫は少しずつでも、『人とゲームをする』楽しさを、知っているから。

50稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/05/05(木) 23:43:13

「…………」

      ボー


星見スカイモール――展望台。
恋姫はベンチに座っていた。窓際は人で埋まっていた。

(あー……リア充多すぎ……
 爆発したら僕も巻き込まれて死ぬな……)

気の迷いだったのかもしれない。
買い物ついでに、まだ帰りたい気分じゃないし、普段来ない展望台でも――と。

     ザワ

           ザワ

……人は多い。
カップル率も高い。

(金払って……リアルラブコメ鑑賞……ですらないし……)

(選択肢ミスも甚だしいわ……)

     ポチポチ

スマホを弄る。

特に修羅場とか、お熱い雰囲気になるでもない。
いや、そういうのになられても困るが。

        恋姫は猛烈に帰りたい気分だった。
         しかし、気の迷いか、まだここにいた。

51のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/05/06(金) 00:52:28
>>50

やぁやぁ諸君。僕だ。
馬鹿とナントカは高いところが好きという言葉がある。
僕は案外そうなのではないかと本気でそう思っている。
かと言って高いところに上るばかりが阿呆ではないし
高いところにいたとしても阿呆でない者もいる。
しかし目の前を見てみれば展望台には大量のアベック、否カップルの群れ群れ群れ。
まるでヌーの大群である。
僕は目の前の光景に驚愕し、同時に落胆した。
自分がかような阿呆と空間を同じくしている事実に空からの風景を楽しみたいという望は打ち砕かれた。

待てしかして希望せよ。
僕はベンチに座りこの状況を乗り切ることを誓った。
この阿呆共に負けてはいけないのだ。
おや、あんな所にベンチに座っている人がいる。
きっと彼女も僕と志を同じくするものだろうと信じ、僕は彼女の方に歩き出した。
いや、一応同じベンチに座るので云々。下心はない。

            ドンッ

木の枝のような我が体は阿呆なカップルの一組の女とぶつかったが見事にその力を受け流した。
しかし受け流し過ぎて倒れてしまった。転倒である。
柳の葉は風を受け流し続けるが、僕は枯れ葉であったようである。
だが待っていただきたい、風に舞う桜の花は美しいのでは?
つまり僕も美しいことである。

「ふぅー」

僕は立ち上がり、ズボンを叩いてごみを払った。
僕はめげず桜の花のようにキメてみせよう。

「なかなかいい床だ」

52稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/05/06(金) 01:53:49
>>51

思考というのは……人には伝わらない。
恋姫がどういう気持ちで、隣の空いたベンチに座っているか?
それが『のり夫』の知ったこっちゃないように。

「……」

       ドンッ

「……?」

音に、スマホから顔を上げた。

(うおっ……派手にこけてやんの……いたそ……)

     (ちょっとだけ……蜜の味? いや、
      えひ、あいつもソロプレイヤーか……)

恋姫は。のり夫のキメ姿を見て。

「………………えひ。」

(何言ってんだあいつ……
 頭おかしいのか……いや、厨二か……)

人形のような顔に、思わず陰気な笑みを作る。
桜色の目が、明らかに『桜』と化したのり夫に向いている。

(あ……やばい。
 気づかれたら、めんどくさいな……)

         (こっちみんな……
           こっちみんなよ……)

すぐに――やや俯くようにして、顔を背けたけれど。

                  ・・・まあ、気づくだろう。

53のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/05/06(金) 02:04:12
>>52

人は頭部や顔を守らねばならない。
なぜなら生物の思考の心臓部である脳があるからだ。
なので僕は見事な前受身を決めたはずだ。
しかし手が痛い。非常に痛い。
というか受け身をとれていたのだろうか少し息が苦しい僕だ。

「……」

どうやら僕の渾身のキメを彼女は見届けたようだ。
しかし、きれいな色の瞳だ。
僕の瞳は日本人的な黒である。

「……」

この場合、話しかけてもいいのだろうか。
かつて道を尋ねて不審そうな顔をされたことがある身では
人にそれも女性においそれと声をかけるのは少々いい思い出がない。

「隣、いいですか」

しかし声をかけておくのが礼儀ではなかろうか。
断じて下心はない。

「綺麗な瞳だね」

ここは小粋に言葉をかけてみよう。
なにか発展があるかもしれない。
彼女は同志であるはずだ。
いや違うかもしれない。しかしそうかもしれない。
この阿呆ばかりが踊り狂う舞踏会と化した場所で一人静かにたたずむ姿は好感が持てるし
なによりそういった流れに流されない強さも感じるではないか。
仲よくしよう。お近づきになろう。
重ねて誓うが、断じて下心はない。

54稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/05/06(金) 02:28:22
>>53

眼鏡の位置を直す。帽子を深く被りなおす。
それから。

構うことにしたのは、やっぱり気の迷いかもしれなかった。

「……ダメって言ったら……なんて。
 言ってみたかっただけ……好きにしろよ。」

    スッ

顔をまた下げた。
スマホを見る。

「……別に僕の椅子じゃないしな。
 星見町民の血税で作られた椅子らしいぜ。」

やや警戒しつつも……そう返した。
人が多いところだ。もめ事とか、好きじゃない。

そして。
目を少し開いて、まばたきして。

       「……」

「……いくら……カップルが多くても。
 ここがラブコメ時空ってわけじゃない。おk……?」

             エヒ

薄い笑みを浮かべた。
悪意が少し混じった、陰気な笑みだった。

「『僕ルート』のフラグは建たないってこと……」

            「えひ……そういうのじゃない?」

多分そういうのなんだろ?って気持ちを、こめていた。
恋愛の経験なんてあるはずもないけれど、こういう褒めには慣れていた。

                       ・・・ある程度は。

55のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/05/06(金) 23:14:36
>>54

「じゃあ、この椅子は私の者でもないわけだけど」

「星見町の住人として座らせていただこうかな」

僕は未成年だ。
他の大人たちと違いそこまで納税はしていない。
しかし消費税を払っているので、まぁ座る権利はあるであろう。
誰が僕の座る権利をはく奪できようか。

「ラブコメ……? √……?」

謎だ。いったいどういう言語感覚なのだろうか。
僕の知る世界ではなさそうだ。
随分とミステリアスな言葉である。
またそういうのとはどういうものなのだろうか。
ははあ、さては僕をナンパなどをする不埒ものであると思っているのかもしれない。

「ご期待に沿えなくて申し訳ないのだけれど」

「私はそういうのでもどういうのでもないよ」

「こんなムードに流されようとも、思えなくてね」

56稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/05/06(金) 23:29:40
>>55

「……そうすりゃいいぜ。
 みんなのものだからな……この椅子は……」

      ズイ

座るのを止める理由などない。
恋姫は少し、座る位置をずらす。スペースを開けるために。

「……」

「期待ぃ……?」

     ハテ

(……あー……?
 あ……ナンパ待ちと思われたのか……?)

       (……えひ、勘違い乙。)

食い違い……らしきものに気づいたけれど。
特に、訂正の必要も感じない。面倒な誤解でもなさそうだし。

          「あー……」

「じゃあ……僕は安心していいわけだ……?
 お前が……僕の事狙ってるとか、そういう警戒無しで……」

  ポチ   ポチ

微妙な笑みを浮かべて、またスマホに視線を落とす。
ただベンチの隣に座ってきただけということなら。

            「……おkなんだな?
              ……えひ、自意識過剰乙、かな。」

57のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/05/07(土) 00:17:33
>>56

「失礼」

座る。声かけは礼儀だろう。
いや、そうでもないのだろうか。

「え? あぁ、いいんじゃないかな」

「私はそういうのにあんまり興味がないんだ」

嘘である。僕とて高校二年生。そういうのには興味津々であるし
わいせつも歓迎しよう。
僕は一斉の区別差別なく受け入れよう。

「というか、君はなにをしにここまで来たんだい?」

「一人が悪いというつもりはないけど、一人でなにか眺めるつもりだったのかい?」

僕はそう問いかけた。
いや、彼女が一人かどうかは分からないが、実際どうなのだろう。

58稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/05/07(土) 00:57:20
>>57

       「……おう。」

別に自分の椅子ではないけれど。
まあ、自分の余裕を分け与えるわけだし。

「……えひ、そりゃ、よかったよ。
 僕も……リアルのそういうのは、あんまり……な。」

       ニヤ

陰気な笑みを浮かべる。自覚できる陰気だ。
興味がないとかじゃないけど――そういうのは、難しいから。

「僕は、買い物した帰りに、
 ついでだから……たまには展望でも……って。」

     チラ

      「でも……ぼっち……ソロで、
        あそこに混じんのもアレだろ……?」

展望台の展望台であるゆえん――窓際に視線を遣る。
カップル。カップル。カップル。

・・・あまり見ていては、気がやられそうだ。

「えひ……じゃあ、お待ちかねのブーメランを返すけど……」

        「そういうお前こそ……
         こんなとこで何してんの……?」

  ポチ  ポチ

「ナンパでも……ないんだろ? なんでここ来た系……?」
  
恋姫はスマホの画面をタップしながら返した。
眼鏡越しの視線は下を向いているが、少しだけ『のり夫』に流れていた。

59のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/05/07(土) 01:34:26
>>58

「ほうほう……」

そういうものか。
いや、一人で行くならついでの方が多いのではなかろうか。
統計を取ったわけではないので定かではない。

「私もあそこに入ろうとは思わないよ」

まるでリンゴの箱に入れられたみかんである。
不自然かもしれない。
それにあんなものにもみくちゃにされれば僕のか弱い肉体はあっという間に潰れて
床中にオレンジジュースにまき散らすことになってしまう。
人間ならば血だまりである。

「ブーメラン?」

「……あぁ、なるほど」

得心いった。
いや、聞いたのなら聞き返されるのも分かっていたはずだが少し面食らった。
沈黙沈黙。決して奇をてらった答えを出そうと思っているわけではない。

「強いてあげるなら……」

「町を観たかったかな。育った街だからというのじゃなく」

「なんだかぐるりと見てやりたかったんだ」

60稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/05/07(土) 02:05:12
>>59

   「……あそこにいると。
    ……変な電波受信しそうだ。」

こめかみに指を当てる。アンテナのように。
ピピピ……と、小声で音真似して。

            「……えひ。」

それから陰気に笑った。
きっと眩しすぎるし、いらいらするだろう。

「ブーメラン……投げたら戻ってくるだろ?
 物理的に考えて。……僕は投げたことないけど、ゲームとかでさ。」

ブーメランについて、補足して。
どうやら、それは別にいらなかったみたいだけど。

(上手い事でも言おうとしてんのかな……大喜利みたいに……)

黙ったのを見て、そうも思ったけれど。

「……あー……」

答えを聞いて。

        チラ

窓際――ではなく窓の外を見る。
空が見えた。

「……えひ、なんか……」

           ニタ

     「…………思ったより、
      ノーマルな答えだった。えひひ。」

スマホから、視線を離して、『のり夫』を見てダウナーに笑った。
それは、つまらない――という意味じゃあない、むしろ好ましいという意味。

61のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/05/07(土) 20:04:35
>>60

少女はこめかみに指を当て奇妙奇天烈、奇々怪々なことをしている。
その指はまるでアンテナの如く阿呆どもの熱くなにやらそわそわするエネルギーを受信しそうである。
もしもそんな怪電波を受信しようものなら電子レンジの中の弁当のように熱におかされるだろう。
脳みそが沸騰しそうである。

僕の返答を聞くと少女は笑ったのち、ノーマルだとかえした。

「それはもちろん。私ほど普通な人間もそういないよ」

訂正しなければならない。
僕はそこまで普通ではない。
これは中学生のような、お痛な妄想ではない。

「ノーマルなのが好きかい?」

やはり美しい瞳だった。

「にしても、いつまで彼らは外を眺める気なんだろうね」

62稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/05/07(土) 20:48:57
>>61

「えひ……どうだかな……
 さっきの、電波っぽかったぜ?」

          「えひ。」

さっきの――といいながら、指さす先は『良い床』。
つまり、のり夫がこけた場所だ。

「ルナティック(狂気)よりは、
 ノーマルの方が良いってだけ……」

    ニタ

何か冗談なのだろう。
恋姫は陰気に笑って、ぼそりと言って。

           チラ

「……」

窓の方を見た。
熱心に外を見る顔ぶれは、変わらない。

「…………えひ。」

視線を戻す。
桜色の瞳。
恋姫自身には見えないから、美しさは共感できない。

「流れ星でも……降ってくるランダムイベを、待ってるんじゃない……」

    ニヤ…

           「……つまり、えひ。
            夜まで……とかぁ……?」

呆れ半分――といった表情で、肩をすくめて笑う。
その小さな声は、盛り上がっている彼らには聞こえないだろう。

63のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/05/07(土) 23:00:46
>>62

「さっきの……?」

僕は薄く赤面した。
顔に火がついたようだ。

「いやいや。あれは座興さ」

「話しやすいようにきっかけをね」

そういうことにしておこう。
そうしてもらはなければ困る。
いや、困るか困らないかはこの場においては問題ではない。

「ルナティック……まぁそうだね」

「夜かぁ……」

実際そこまで外を見ることが出来るほどの忍耐力があるとは思えない。
むしろなにか別の方面で盛り上がってくるのでは?
熱情と劣情をないまぜにしたような電波など害でしかない。
今すぐ規制せよ。ええい、規制主義者はなにをしている。
こんな時ばかり不在とは。

「月が出てしまうね」

夜になれば当然そうなる。
もちろんそんな事はないだろう。
ないと言ってくれ。
流石にそこまで待つことは不可能である。

「日の高いうちに帰ろうかな」

64稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/05/08(日) 19:06:55
>>63

「えひ……まあ……
 ネタにはなったけどな……」

「……Twitterに上げたら伸びそう。えひ。」

    ニヤ

冗談だぜ、と笑みに含める。
そんなことまでしたくもない。

        「……」
 
    ザワ   ザワ

夜まで彼らはここで過ごす……ことはないだろう。
きっとこの後のプランもあるのだろう。
……あまり深くは考えない。

「……月まで待つのか?
 それこそルナティック……えひ。
 僕は……リア充ウォッチは、もう満足だぜ。」

          スッ

趣味:人間観察でもないし。
椅子から立ち上がる。

      「……」

   チラ

外はやはり見えない。
外の人込みと同じで、人しか見えない。

「……今帰れば、見れるアニメもあるし。
 リアルの人間見るよりは……二次元に沈もう。えひ。」

             ・・・ここに長居する理由は、ない。

65のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/05/08(日) 22:47:01
>>64

「やめてくれよ」

「君はそんなことする人間に見えないけどね」

本当のところがどうかは僕にはわからないが、きっとそうであろう。
そうだといってくれ。
と、誰にいうでもなく僕は考えた。
いや、そこまですることではないはずである。

「ああいう人間にはなりたくないね」

「おや、帰るの?」

僕は立ち上がった彼女を見上げる。
帰るのだろう。

「私はもうすこし待つことにするよ」

「そういえば、お名前を聞いていなかったね」

「私はのり夫。卜部のり夫」

「君は?」

66稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/05/08(日) 23:15:24
>>65

のり夫に背を向けて、『展望フロア』の入り口を向く。
また新たに、家族連れが入ってくるのが見える。

「えひ、やらないよ……
 どう見えてるか知らないけど。」

      「炎上しても、いやだしな……」

          ニタ

スマホをくるりと手の内で回転。
そのまま、ジーンズのポケットに入れる。

「…………えひ。
 なりたくても……難易度高いぜ。多分……」

   クル

振り返って。

「……帰っちゃ、ダメ?えひ。」

冗談っぽく、小さく笑いながら。
今日は買い物帰りで、お金もないから――
    
「ダメでも帰るけど……名前ぇ?
 まあいいか……稗田。稗田……恋姫(れんひめ)。」  

      「Twitterに晒したりはしないから……
       僕の個人情報も悪用すんなよな、えひ。」 

そう言うと、もう一度入り口の方を向いて、歩き出す。

「んじゃ……おつかれ〜」

           ヒラ

去り際に、後ろ手に手を振る。

       ワイ

              ワイ

入れ替わりで、家族連れの客が窓の方へ歩いていく。
恋姫はそれを見ずに、そのまま展望フロアを出て行った。

67のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/05/08(日) 23:26:42
>>66

「炎上ね」

たしかに燃えると大変である。
物も人も思い出も。
しかし火が付くということは悪いことばかりではないというのもまた事実である。

「難易度……まぁ、それもそうだね」

僕の麗しき深窓の令嬢は一体どこにいるのだろうか。
果報は寝て待てというが最早三年寝太郎の如く寝続けている僕だ。
いざ自らの力で探さんと思ったが最後、かつて僕の身に降りかかった災難が蘇る。
あぁ愛しの君よ。なぜ僕を裏切った。君は違うと思っていたのに。
まさかラヴレターを音読拡散されるとは思わなんだ。もう君は信じない。
一度それについて腹を割って話したいが、君を割って薪の用に焼いてやりたい。ふはは。

「稗田恋姫……うん。いい名前なんじゃないかな」

そういう字を書くのだろうか。恋に姫か?
ほほうほほう。名は人を表す。のだろうか?
のり夫が何を表してくれるのだろう。

「お疲れ様」

そういって、僕はちらりと家族連れを見た。
かつては僕もあぁだったはずだ。
あのように輝く笑顔を振りまいていたはずがどうしてこうなった。
全ては火の中。灰のみが答えを知っている。
と思いつつ、僕はずっと待ち続けたのであった。 終わり。

68斉藤刑次『ブラック・ダイアモンド』:2016/05/11(水) 00:22:45
夕暮れどき。
スカイモールの展望台から星見町をぼんやり眺めつつ
タバコをふかしている赤黒ヘアーの青年。
高身長で細身の体の至るところにドクロモチーフのアクセサリーを散らばせている。
一見するとチャラついたバンド風の風貌だが、
どことなく気弱そうなオーラを漂わせており、タバコが似合わない。

   「ケッコー良い時間になっちまったなァ……」

          ギュッ


吸殻を携帯灰皿にツッコみつつ、まだボンヤリと町を眺めている。
いうまでもなくドクロ柄の携帯灰皿であった。

69小角 宝梦『イル・ソン・パティ』:2016/05/11(水) 00:43:04
>>68

「わっ……」

(うわっ……せっかくの展望日和に。
 な、なんだか柄の悪そうな―― ・・・って。)

       「わ、わ……」

   トテ   トテ


似合わない――なりになんだかキまった雰囲気。
だけれど、そこに近付く影。

大きなリボンのついた帽子。
それも、鹿撃ち帽。
歩く姿はさながら探偵。

「………………や、やっぱり。斉藤じゃないか!」

    ズン

         ズン

声がかかったのは、斉藤のやや後方から――だった。
妙に気合の入った勢いで、ずんずん近づいてくる銀髪の少女。

          「……ん、ん、おほん。
           何をしているんだい、こんなところで?」

70斉藤刑次『ブラック・ダイアモンド』:2016/05/11(水) 00:56:22
>>69

    「えッ……オレ……?」

ふと後ろから声をかけられ、ビビったように反応する――――が
振り向いた次の瞬間――――――――

            ドギャンッ

       「お……おォ……その声!そのルックス!」

         「……小角ちゃんじゃあねェかァーッ!!
          スッゲー久しぶりな気がするぜェー……元気?」

       「いや、オレはその……買い物ついでに何となくッつーか」


ポッケに携帯灰皿をねじこみつつ、慌てたように返答する。
なるほど、片手には小さなビニール袋がブラ下がっていた。
さほど気の利いたことは言えないが、それなりに嬉しそうだ。

71小角 宝梦『イル・ソン・パティ』:2016/05/11(水) 01:14:28
>>70

「きみだよ、きみ以外の斉藤がいるものか。」

いるだろうが――
まあともかく。小角は笑顔を隠さない。

      「……まったく!」

「前に会ったのは……そうだね。随分前だ。
 なんだか、いつもより会えてうれしいよ。斉藤。」

        フフン

知的さをイメージしているらしい胡乱な笑みを浮かべる。
ちなみに、その手にはやや大きな買い物袋。

灰皿は――視界に入るが、気にはしない。
タバコくらい吸いもするだろうし。

「ふふん、見ての通り。わたしは元気さ。
 いつでも健康な生活を心がけているからね……」

そういうことらしかった。
胸を張る小角の顔は自信ありげだ。

「ん……そうか、何となくか。
 わたしも、なんとなくなのだが。」

       「それでだな……
         それでなのだけれど……」

                  「……おほん!」

芝居がかって大きな咳払い。
けれどそれは、小角の勇気をやや増すのには必要だ。

「……それでだな、ひとつどうだい? 斉藤。
 少しばかり、空でも眺めないか……その、いっしょにね。」

       「せっかくの機会だし……」

軽い提案のような口調ではあったが、小角の目には熱がこもっていた。
その辺りを隠せるような知的さは、まだない。

72斉藤刑次『ブラック・ダイアモンド』:2016/05/11(水) 01:33:59
>>71

    「ケンコーなセーカツかァ……ソレはいい心がけだなァー
     今日はオレもバイト休みだったからよォー」

      「朝メシ食って犬の散歩とかよォー」

        「昼メシ食って犬の散歩とかよォー」

          「晩メシ前に犬のおやつ買ったりしてよォォー」

今日は犬の日だったようだ。友達とかはいないのだろうか……
ちなみに、小角が知っているかはわからないが、ビデオ屋で深夜のバイトをしている。

      「少しどころか、メッチャ眺めるぜェーッ」

     「たまの休みにこーやって外出てみると
      イイコトあるもんだなァー……」

声を大にして他人に言うほどの関係ではないかもしれないが
何となく、今日は普段より緊張せずにいられるような気がする。

      「おッ……小角ちゃんも買い物…『おつかい』かァー?」


そして、大きなビニール袋が気になっている。

73小角 宝梦『イル・ソン・パティ』:2016/05/11(水) 02:11:37
>>72

「早寝早起き朝ごはん……それに適度な運動。
 わたしはもうしばらく、風邪もひいていないからね。」

      「健康には自信があるぞ。」

どうやら小角には一家言あるらしかった。
腰に手を当て、説くように指を振りながら言う。

「しかしきみも……かなり健康な生活をしているね。
 流石はわたしの仲間というだけのことはある。ふふ……」

     (斉藤は愛犬家なんだなあ……えらいやつだ。)

     ニッコリ

何だか知らないが、小角には好ましい答えだったらしい。

       ・・・そして。

「そ、そうか……!
 うんっ、ものすごく眺めようじゃないか!
 みたまえ斉藤、空がちょうど赤くなっていくよ。」

     パァァ

元々あふれていた笑顔を、一気に明るい物にする小角。
周囲には奇妙がられるか――仲のいい親戚くらいに思われるか?

「いや、きみの言う通りだね。
 たまには外出もするものだ……ふふ。」

     「……ん?」

         ガサリ

「ああうん、お使いだとも。
 明日の夜ごはんのためのね……良い推理じゃないか。」

袋の中身は、案の定食べ物――タマネギやニンジンなどらしかった。
小角家ではカレーか、シチューでも作るのかもしれない。

「ん……待ちたまえ!逆に推理するに、だよ?
 も、ということは――きみもお使いなのかい?斉藤。」

と、唐突にかしこぶった口調で言う小角。
指をびし、と斉藤の旨の辺りに向けている。

               「どうだい? ふふん。」

74斉藤刑次『ブラック・ダイアモンド』:2016/05/11(水) 21:32:35
>>73

    「……やべェーな……やっぱ展望台からの景色はサイキョーだぜェー」

赤く染まる町と、赤く染まる小角を眺めながら独り言のように呟く。
夕方の時間帯的なものか、ちょっぴりセンチな気持ちになっているようだ。

     「ケッコー色々買い込んでるみてェだなァ……
      タマネギ、ニンジン……サイトーくんの推理によると
      今日小角ちゃん家はカレー……か、シチューかァ?(メタ)」

   「オレ?俺もお使いみてーなモンだぜェー」

                   チョイ

身長差の都合上、やや屈みながら、びしっと向けられた指に自分の指を当ててみる。
つまり……『E.T.』のような絵面になるな。オヅノマイフレンド。
夕暮れマジックか、今日の斉藤は若干強気だった。

ちなみに斉藤の持っている袋には犬のおやつ―――
骨のかたちをした何かが入っている。

75小角 宝梦『イル・ソン・パティ』:2016/05/11(水) 23:08:49
>>74

「うん、この時間は特に良い……まるで絵のようだ。」

一瞬、視線が合った気がした。
小角は慌てて、町の風景に集中することにした。

「しかし斉藤? きみ、中々探偵の才能があるらしいね。」
   
       ニコ

「ふふ、その通り……
 これはシチューの材料さ。」

      「とはいえビーフかクリームか――」

              チョイ

   「わっ!!!」

             「……わ……」

   ボッ

指先から燃えるような感覚を小角は覚えた。
多分、それは見た目にもわかる。探偵じゃなくても。

あわてて指を胸の辺りにひっこめ、もう片手で包み込む。

「い、いっ、いきなり何をする斉藤!?
 きみ……び、びっくりするじゃないか……もう。」
 
            ワタワタ

わたわたと慌てる小角の目には、骨はあまり見えていなかった。
見えていたとしたら、けっこうビビっただろう……この後ビビるかもしれない。

76斉藤刑次『ブラック・ダイアモンド』:2016/05/12(木) 21:51:18
>>75

    「!!??」

      「わ……ワリィ……ビビらすつもりはなかったんだがよォー」

                  ワタワタ

夕暮れマジックはスグに解けるのだ。
自分でやっといてアタフタしはじめる斉藤。わたわたする二人。
幸いにして、赤い空が赤面を隠してくれている。

        (や……やべェ……何やってんだオレ……
         な……何か話題を変えるネタを………)

     「あァー……そのォー……シ、シチューならよォー……
      オレは断然『クリーム派』なんだが……シャケの入ったヤツな……」

        「い、いや……最近あったけェーから……やっぱ『ビーフ』かァ?」

目線をそらし、しどろもどろになりつつ、他愛のない会話(?)で取り繕い始める。
手に下げたビニール袋からは、骨のかたちをした何かがチラチラと見えている。

77小角 宝梦『イル・ソン・パティ』:2016/05/12(木) 23:04:29
>>76

「い、いや……おほん。
 わたしも少し驚きすぎたかもしれない。」

        「うう」

     「……うう。」

少しずつ落ち着きを取りもど……そうとする小角。
幸いにも斉藤もそのつもりらしい。

ここは。

「し、シチュー、そうだシチューの話だった。
 よぉし、もう答え合わせをしてしまうぞ今日は。」
 
         「正解はビ――」

   チラ

        「えっ!?」

「うわっ……!?」

       ズザッ

骨を案の定見てしまい、案の定驚く小角。
骨(?)と斉藤の顔の間で、視線をさまよわせる。

「な、な……なんだそれは……!?
 斉藤、き、 きみ、一体なんのお使いを……?」

         「お……音楽的な物なのか……!?」

78小角 宝梦『イル・ソン・パティ』:2016/05/21(土) 01:18:08
>>77

   「……」

      「……あっ!」

「し、しまった……
 と、時計が狂ってるのか……?」

時計を見てあわてだす小角。
楽しい時間は早く過ぎる。それだけのこと。

ともかく。

「さ、斉藤!答え合わせは……また今度といこう!」

お使いには制限時間がある。

    「それと……」

           「……い、いや。きっとまた会おう。
            今日のところは……ばいばい、斉藤。」

   トトトト

小角はそそくさと、その場を去る。

           クル

何度か振り向いたので、そこまでそそくさと、でもないけど。

79小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/05/30(月) 22:33:31
夕陽に照らされた展望台。
今は人影もまばらなその場所に、一人の女が佇んでいる。
洋装の喪服姿に、つば広の黒い帽子を被った女だ。
その横顔は、どことなく憂いの色に彩られているように見えた。
徐々に人々が立ち去っていく中、女は静かに町を見下ろしている。

その足元に、白い布がふわりと音もなく落下する。
どうやらハンカチのようだった。
しかし、それに気付いた様子もなく、女は立ち続けていた。

80ココロ『RLP』:2016/05/30(月) 22:44:09
>>79

セミロングの茶色い髪、緑色が混じった黒い瞳。
その顔に混じる不安な色の原因は、視線の先にあった。

――つまり、『小石川』に。

「…………?」

(あ、あの恰好って……確か、喪服……よね?
 なんでこんなところに、喪服なんて着て来ているのかしら……)

(だ、誰か……ここで亡くなった、とか……いえ、そんな話……
 わ、私が知らないだけかも、しれないけれど……聞いたことはないわ。)

ここからは町が一望できる。
あの場所も、この場所も。

(ファッション……とか? で、でも…・・あの顔……
 ま、ま、まさか。あの人が……い、いえ!それは考え過ぎよ。)

        (考えすぎ……よね?)

だから、たまにここに来たくなる。
・・・・そして今日、ココロは『小石川』を見つけたのだ。

  「あっ……!」

      キョロ

             キョロ

落ちたハンカチに気づく。
他の誰も、それに気づく様子もない。

「あ……あ、あの、落としましたけれど……?
 ごめんなさい、大きなお世話だったら…………」

       スッ

ハンカチを拾い、差し出してみる。
何もなくてもそうしたかもしれないが、今は話すきっかけにもなる。

81小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/05/30(月) 23:07:29
>>80
近くで見ると、女性にしては背が高いことが分かった。
身長は170cm近くあるだろうか?
色白の肌に、喪服の黒がより際立って見える。

「――あら……」

呼ばれて、ゆっくりと振り返る。
まずココロを見て、次にハンカチに視線を落とした。
その口元がほころび、柔らかな微笑みを作る。

「ありがとう。そう……。いつの間にか落としたのね……。ごめんなさい、気付かなくて……」


ハンカチを受け取ると、お礼を言い、軽く会釈する。
しかし、その言葉はどこか含みのある口調だった。

82ココロ『RLP』:2016/05/30(月) 23:16:00
>>81

ココロの身長もまた、女性にしては高い。
170cmほど――つまり、同じくらいだ。

体のサイズに比して……
気弱な姿勢とオーラのせいで、小さく見えるが。

「あ……い、いえ。」

(や、優しそうなひとだわ。で、でも……
 でも何で? 何かしら、この……ひ、引っかかる気持ちは。)

     「お礼なんて……
      偶然、気づいただけなので……」

会釈を返しつつ、ココロは笑みを上手く作れない。
他人からの評価には敏感だから、『含み』は察せる。
中身までは、分からないが。

「あ、あの……」

「……い、いい天気ですね、外は。」

本当に聞きたいのは別のことだ。
けれど、思わずそんなことが口をついて出てしまった。

外の空は……夕焼けがよくわかる程度には、そう、いい天気だ。

83小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/05/30(月) 23:43:08
>>82
「そうね……。とても――とてもいい天気だと思うわ……。こんな風に夕陽を眺めていると――」

ココロの傍らに立ち、夕陽に照り映える町並みを眺める。
言いかけた言葉を途中で区切り、しばしの沈黙が訪れた。
そんな気まずい状況などお構いなしと言わんばかりに、二人の目の前をカラスが横切っていく。

「色んなことを思い出してしまうわね……」

左手を頬に当て、どこか遠くを見ているような視線。
ココロの心情を知ってか知らずか、それは妙に暗示めいた言い回しだった。
ふと、左手の薬指で何かが光る。
それは、飾り気のないシンプルな『指輪』だ。
見ると、右手の薬指にも、同じデザインの指輪をはめているのが分かった。
すると、不意に喪服の女――文子は、ココロの方を向いた。

「――あなたは……この町に住んでいる方かしら?素敵な場所よね……。ここは……」

何気ない調子で、そう問いかけた。

84ココロ『RLP』:2016/05/30(月) 23:50:21
>>83

「ええ――――」

    「……」

         キョロ…

カラスが横切る。けれど、それは心を癒さない。
気まずい沈黙。それを打ち破る言葉。

だから『小石川』の口が開いた時は、少し明るい気がしたけど。

「あっ――」

察してしまった。

「……」

ココロは表情に、不安より沈痛を優らせ押し黙る。
薬指。両方に。片方の持ち主は――喪服、つまり。

「――え、ええ。本当に。
 この町には……いろいろな人がいて。」

        「色々な『場所』が、あるから。」

顔を上げる。
声色に希望の色が差す。

これだけは。どんなに気まずくても、言い切れた。

「あ、貴女は……この町の人では、ないんですか……?」

その勢いで、質問した。
当たり前のことだ、話の流れとしては。

          ・・・・けれど何か、聞きたかった。

85小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/05/31(火) 00:20:18
>>84
どこか『希望』が含まれたココロの言葉。
それを聞いた時、何かしら胸に響くようなものを感じ、わずかに顔を上げる。
その表情は、先程までと比べて、ほんの少しだけ違っているように見えた。
憂いを帯びた顔つきは変わっていなくても、ほんの一瞬だけ陰が拭われた。
そんな印象が見て取れた。

「――そうね……。私も、そう思うわ……。『ありがとう』」

ココロの意見に同意し、感謝の言葉を口にする。
さっきまでとは違う、やや明るさの感じられる、感謝の台詞。
会話としては少々不自然だったかもしれない。
しかし、これは考えるよりも前に自然に出てきたものだった。

「この町の人では『なかった』わ。少し前だったかしら……私がこの場所に越してきたのは……」

「新しい場所で……新しい生活を始めたかったから……」

ぽつりぽつりと、まるで遠い過去を思い出すように言葉を紡いだ。

86ココロ『RLP』:2016/05/31(火) 00:37:08
>>85

「い、いえ……そんな……」

     テレ

ココロは褒められると嬉しいし、照れるし。
あるいは、褒められるような事でもない……と謙虚になる。

(よ……よかった、大したことはいえなかったけれど……
 す、少し、この人の顔色が、良くなったように見えるわ……)

       (お、思い上がりかしら……?
         顔色を窺って、失礼かしら……?)

などと、心配していると。

「……」

言葉を紡ぎ始めた小石川に、ココロは黙る。
聞かなくてはならない、そう思ったから。

「あの、もしよかったら……続けて、下さい。
 私なんかで良ければ……お、お話、お聞きできますから。」

        コクリ

余計な口は挟まずに、続く言葉があるなら、それを待つ。
そうした方が、お互いに、気まずさから離れられる気がするから。

            (……余計なお世話、かしら?)

87小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/05/31(火) 01:23:24
>>86
「――ありがとう……」

穏やかに微笑む。
そして再び話し始めた。
ゆっくりと、静かに。

「――私には、昔、婚約した人がいたの……。でも、その人は私を愛してはいなかったわ。ある日、私の財産だけを奪って姿を消してしまった。自分が騙されていたことに、その時になって初めて気付いたわ……」

「そんな頃だったかしら……。一軒のバーで『彼』に出会ったのは……。偶然にも『彼』も私と同じ経験をしていたわ。それがきっかけで、私達はお互いに心が通じ合い、結婚したの……」

「でも、新婚旅行中に事故に遭って、『彼』は植物状態になってしまった……。私は『彼』の体がクッションになって怪我が軽かったのね……。『彼』は日に日に衰弱していって、意識も戻らなかったわ……」

「ある時、意識が戻った『彼』は、私にこう言ったの。『自分の分まで生きて欲しい』と。そして――そして、『彼』は息を引き取ったわ。私の耳からは、『彼』の言葉が離れなかった」

「だって、私はすぐにでも『彼』の後を追うつもりだったんだから。きっと……『彼』は私の気持ちを見透かしていたんでしょうね……。だから、あんな言葉を残したんだと思うわ……」

「だから、私は今『生きている』の。でも、時々どうしても『彼』」に会いたいと思うことがあってね……。そんな時は……少し自分を傷付けるの……。そうすると『彼』に会いたいという思いを抑えられるから……」

「でも、私は……これからも生きていたいと思うわ……。愛した人の――『彼』の最後の願いを叶えたいから」

そこで、ようやく文子は口を閉じた。

「ごめんなさい。初対面の方に話すようなことじゃなかったわね……。でも……聞いてくれてありがとう……。少し気が楽になったわ……」

そう言って、もう一度微笑みを向ける。
優しく、陰のある微笑みだった。
しかし、夕陽の暖かなオレンジ色に照らされているせいで、その暗さもいくらか和らいで見えるようだった。

88ココロ『RLP』:2016/05/31(火) 01:31:18
>>87

「………………」

ココロは――黙って、その話を聞いていた。

何も言えないし、言うべきじゃないとも思った。
それは上手く言えないことへの言い訳かもしれない。

けれど。

「…………」

聞くと決めたから、上手く聞けなくとも、それだけはしようと思った。
微笑みを見て、それは多分間違いじゃないと思った。

「いえ……貴女のためになれたなら、良かったです。
 貴女は、わ、私なんかでも良いって、言ってくれたから……」

   コクリ

器用な返事は出来ない。
きれいに慰める方法も、知らない。
自傷であっても、それを止める権利なんてない。

「それが、私には、嬉しいから……」

「……」

「やっぱり、いい天気だわ、今日は……
 こんなに……夕焼けが、綺麗だし……ええ。」

何か言うことはないけれど、この景色を共有出来ているのは嬉しい。
お互いに、生きているから、それが出来るわけで。口をついた言葉にしては、いいと思った。

           (な、なんて。うぬぼれだわ……)

89小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/05/31(火) 01:53:55
>>88
「――本当ね……。それに……今日はいい日だわ……。あなたに会えたから」

そう――自分は今、紛れもなく『生きている』のだ。
目の前に広がる美しい景色と、傍らに立つココロの存在が、その事実を証明している。
これ以上の証拠があるだろうか。
少なくとも、この時はただ、そう思った。

「……私は『小石川』――『小石川文子』よ。あなたは?できるなら、名前を聞かせていただきたいわ……」

ふと、自分の名前を口にする。
もしかすると、自分が『生き続けるための力』の一つになってくれるかもしれない。
自分の中にある『自殺衝動』が抑えられなくなった時、それを食い止めてくれる絆になってくれるかもしれない。
そんなことは、初対面の人間に期待するようなことではないだろう。
自分でも都合のいい身勝手な解釈だと思う。
しかし、そんなこととは無関係に、ただ純粋に、自分の話を聞いてくれた彼女の名前を知りたいと思った。

90ココロ『RLP』:2016/05/31(火) 02:05:56
>>89

「そ、そ、そんな……いえ、
 嬉しいわ、私……けど、そんな……」

この出会いが、どんな『未来』に繋がるかは、まだ分からない。
あるいはずっとわからないかもしれない。

「でも、私は……私も。良い日だとは、思うわ――本当に。」

けれど。
今日の夕焼けはいつもより『良い』。

それは――また一つ、『絆』を得たからかもしれない。

「私は……『ココロ』。
 『水溜 意(みずたまり こころ)』と言います。」

      「あ、あの……小石川さん。
        今日は、会えてよかったです。」

さて――そろそろ帰る時間だ。

あまり遅くなっては、門限を超えてしまう。
母親に怒られるのは、いやだ。
それに、ピアノのレッスンの時間は逃したくない。

「また、きっと……どこかで会える気がします。
 そ、その時はまた、お話しましょう……きっと。」

         「また……」

   ペコ


お辞儀をして、その場からゆっくりと歩き去る。
今日はいつもより、良い夕焼けだから、帰り道も良い道に違いない。

91小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/05/31(火) 02:41:12
>>90
「そう……。ココロさんっていうの……。素敵な名前ね……」

『水溜 意』――その名前を心に深く刻み込んだ。
彼女とは、またいつか、どこかで会うことになるかもしれない。
根拠はないが、なんとなくそう思えた。
改めて思い返せば、ハンカチを拾ってもらった時から、『シンパシー』めいたものを感じていたような気がするからだ。

「ええ……。ご縁があれば、またお会いしましょう。また……」

頭を下げて、こちらも挨拶を返す。
そして、遠ざかっていく彼女の背中が見えなくなるまで、見守り続けた。
気付けば、この展望台に残っている人間は、自分一人だけのようだ。
それを確かめたのち、再び振り返り、もう一度町に目をやる。

そして――いつの間にか、その左手には、一振りの『ナイフ』が握られていた。
その刃は、夕陽に照らされて冷たい輝きを放っている。
喪服姿の彼女は、色が白くほっそりとした手の中にある『それ』をもてあそび、さながら『曲芸師』か『暗殺者』を思わせる鮮やかな手つきで回転させる。
最後に、回転の勢いのままに『ナイフ』を宙に放り、落下してきた『それ』を右手でキャッチした。

「――『スーサイド・ライフ』……」

誰ともなく呟くと、『ナイフ』は空気に溶けたように消失する。
ずっと感じていた『シンパシー』の正体。
直感的に一つの予感が脳裏をよぎった。
いや――きっと考えすぎだろう。
そう考え直し、小石川文子は家路に就いた。

新しい友人との出会いを噛み締めながら。

92葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2016/07/17(日) 00:41:25

   ザッ


「わ」

     「ああ」

大きな建物に踏み入って、穂風は感嘆する。
学校も大きい。けれどここはもっと大きい。

お屋敷よりも豪華で。
いろんなお店が入っている。

(ええと、服屋さんは……どこだろう?
 地図とか、どこかに……ないのかな……)

    キョロ

       キョロ

都会に出てきた野生児のように、
モール内をきょろきょろしながら穂風が行く。
 
     キョロ

             キョロ

93朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2016/07/18(月) 01:16:26
>>92
「おっと…!」
突然、葉鳥の向いていた方向と反対から声が聞こえた。

「ちょっとー、そこのあなたぁー。
 よそ見しながら歩いたら危ないわよぉ〜。」
斜め前ほどのところに女性の姿が見られるだろう
其の女性は、幾つかの買い物袋を抱えていた。

ゆったりした服装の女性だ。
長い髪の毛は流れるような輝きの黒い色

閉じてるんじゃないかと思うくらい細い目をしている。デフォルメされたキツネのようだ。

94葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2016/07/18(月) 01:24:23
>>93

「わっ……」

穂風は驚いた。
突然、声がかかったからだ。

「あ、は、はい。
 すみません、でした。
 その、ありがとう、ございますっ。」

    ペコ

注意をしてくれたことに感謝。
――と、顔を見て。

(……?)

何かに似ているな、と穂風は思った。
何だろう、と少しだけ考えてみた。

(綺麗なひと、だけど……
 テレビで見た……きつね……?)

       (し、失礼だよね。)

すぐに目を逸らしたが、感づかれたかも。
穂風は申し訳なくなって、少しばかり俯いた。

95朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2016/07/18(月) 01:34:45
>>94
「あらあらー、
 そこまできにしなくていいわよぉー。
 私の方もちょっと、不注意だったもの」
優しげな顔で応える女性。
葉鳥よりも年上に見えるが、それでも若作りの顔である

「…あら?」
首を傾げて、うつむいた様子の葉鳥を見る。

「もぉー、買い物袋だってこのとおり無事なんだもの。
 そこまで気にすることないわよぉー。」
と言って励ます様子を見せる。

(…怖い顔しちゃったかなぁ?
 キツネっぽいなんて思われてたりとか…)
なんとなくあたっている事を考えている

96葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2016/07/18(月) 01:39:53
>>95

「あ、は、はい。
 ありがとう、ございます。」

    ペコ

再度、頭を下げる。
穂風は挨拶は大切と思う。

「……!」

(気づかれた、かな……)

慌てて、顔を上げた。
良くない事を考えていたのは事実。

「は……はい。
 その、ええと……」

(どう、しよう…………でも、
 わざわざ言うのも、失礼だよね。)

想ってもいないなら、言う方が失礼だ。
気にしてもいないなら、言う必要もない。

      ・・・・心の中までは察せない。

「あ、あの……その。」

「聞きたいことが、その、あるんです。
 その、お洋服を売ってるところを、探していて。」

話題を変えよう、と穂風は思った。
少しズルいかもしれないけれど、今はそれがいい、と。

97朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2016/07/18(月) 01:47:12
>>96
「フヒヒ、どうもどうも。」
変な笑い方をしながら、この女性は励ますように応える。
彼女も割と気が優しそうに見える。
なんというかのんびりしていそうだ。

「あら、聞きたいことって?
 …お洋服を探しているのねー。」
なるほど、と言って頷く。

「ここに来るのは初めてなのね。
 えーっとそれじゃ、案内してあげましょうか?」
そう言って一点を指差しながら

「こっちの方よ。ついてきてちょうだいね。」
微笑みながらゆっくりと歩き始める。
葉鳥に歩調を合わせるようだ

98葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2016/07/18(月) 01:55:13
>>97

「…………?」

(不思議な、笑い方だけど。
 聞くのは初めてじゃない気がする。)

すぐには思いだせない。
少なくとも初対面ではあるはず。

ともかく。

「あっ、は、はい。
 初めて来て、それで。」

「すごく広いから……」

       モゴ

あまりかっこいいことではない。
少しだけ、口ごもってしまうけれど。

「あっ、えっ、良いんですか!?
 あの、案内よろしくお願いしますっ!」

穂風の予想以上の厚意の雨に、ぱあっと表情は明るく。
そうして、後ろに着いて行くのだった。

「あの、あ、ええと……」

……話題を投げかけようとして、名前を知らないと思いだす。

            「その、私、穂風(ほふり)っていいます。」

99朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2016/07/18(月) 02:04:25
>>98
「まぁまぁ、ちょうどうちにも
 あなたくらいの娘がいるから、
 ちょっとほうっておけなかったのよ。」
気にすることはない、という感じで歩き出す。

少したったところで
「ほふり…あら、それがあなたのなまえなのね?
 いい名前だと思うわ。」
振り向いて嬉しそうにこらえる。

「じゃー、私もお名前。
 朱鷺宮笑美(ときのみや えみ)って言うのよ。
 美しく笑う。と書いて笑美。いい名前でしょう?」
ニッコリした顔でこちらも自己紹介した。

100葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2016/07/18(月) 02:10:18
>>99

「あ、そうなんです、か。」

(若く見える、けど……)

咄嗟にそれを口に出せるほど、
穂風の社交はまだまだ上手じゃない。

    トト

        トト

「あ、はい……その、
 ありがとう、ございます。」

   ペコ

穂風は小さく頭を下げた。
名づけの親を思えば、少し複雑だけれど。

「……あっ!」

そして穂風は察した。
名前。既視感。それから。

「はっ、はいっ、良い名前、です。
 それに……ええと、娘さん、その……」
 
      モゴ

          「違ったら、ごめんなさい。
           ……るね、って名前、ですか?」

こうして――いつか、案内してもらったことへの、記憶。


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