したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

雑談スレ

1あやまだ:2015/09/05(土) 01:02:46
雑に談じるところ

2tasuku:2015/09/05(土) 02:36:46
二人の相性良さそうでよかったです

3あやまだ:2015/09/06(日) 22:58:02
【3行で分かるトーナメント表作成】
ダイスが大きい順に決めるよ!
> 04・07あやまだ&tasuku <
> あやまだ&tasuku―とりせつ&ヤヅカ <

4あやまだ:2015/09/06(日) 23:26:01
せめて二回戦以降なら……狂華が使えるようになってからだったらまだ何ミリかマシだったものを〜〜〜ッ!

5あやまだ:2015/09/06(日) 23:33:46
>【トーナメント抽選の方針】
>・とにかくベスト8に入りたい
>・とにかく最古参とは戦いたくない

>○最古参と戦わされそうな場合
>・なにがなんでもシードに逃げたい
>・とにかく最古参とは戦いたくない

なんだこれ……フラグかよ……

6あやまだ:2015/09/07(月) 00:29:52
気を取り直して、作戦考えたり日程詰めてったりしましょう。
互いの大丈夫な日を見繕って表掲示板で擦り合わせる感じになります。たぶん。

とりあえず、ぼくはさっき木曜夜に審判のバイトを入れたので、そこ以外は今んとこ大丈夫です。
作戦考える期間もほしいので、金曜以降になりそうですかねー?

7tasuku:2015/09/09(水) 22:49:36
ちょっと灰になっていました。申し訳ありません。
予定は今週の土日が詰まってしまっているのですが、それ以外でしたら今のところ大丈夫です。
審判けっこう大変そうですね…。

8tasuku:2015/09/09(水) 23:29:52
あらためてトーナメント抽選、エクセル、戦術と何から何までありがとうございます!
敵は強大ですが、乗り越えられない壁では決してありません!

9あやまだ:2015/09/10(木) 00:26:49
ヤッターお帰りなさい!
乗り越えられない壁じゃない……そうだ……! がんばりましょう!

ご予定了解しました。
作戦もあまり考えられてないので、とりあえず来週以降の想定で、作戦の進捗を見つつ考えてきましょう。
相手から先に打診が来たらそんとき合わせる感じで。

10tasuku:2015/09/16(水) 02:21:52
34 名前:八津河喬二丁目[sage] 投稿日:2015/09/16(水) 00:33:09
暗黒メガネ隊のお二人へ、試合の日程ですがこちらは
18日または20〜23日が都合良いのですがそちらの都合はどうでしょうか?

とのことです。
私は18日と21日は帰宅が21時回るか微妙なところですが、それ以外ならもう少し早く家にいると思います。

11あやまだ:2015/09/16(水) 18:57:45
ついに来てしまいましたね、この時が……
作戦も多少考えたいのと、21日はこちらも遅くなる可能性があるので、22日か23日で返信しましょうか。

12あやまだ:2015/09/18(金) 00:59:41
表には23日で返事しときましたー。
なんか予定の変更あったら適宜アレしましょう。

13tasuku:2015/09/18(金) 23:34:49
23日で(いまのところ)バッチリ問題ありません
書き込みありがとうございます
審判でお疲れのところ恐縮ですが、作戦会議的なサムシングができたらと思うところです

14あやまだ:2015/09/18(金) 23:47:49
あっ今気付きました!
そうですね、コンセンサスりたいところです。
いつごろがご都合よいでしょうか? こちらは今日今からでも、あんまり遅くまでは無理ですが出来なかないですが……!

15あやまだ:2015/09/19(土) 00:06:29
別日ですと、明日はちょっと微妙、明後日はたぶん大丈夫、月曜は遅くなるかも?
火曜はきっと大丈夫ですが試合前日……! な感じです。

16tasuku:2015/09/19(土) 00:08:07
基本的に連休中は21日の夕方以外ならいつでも都合よいです
なんだったらいまからでも大丈夫ですよ〜

17あやまだ:2015/09/19(土) 00:15:45
ふーむ、じゃあちょっと今からお願いします!
明日以降の日程がかみ合わない可能性があるので……w

18あやまだ:2015/09/19(土) 00:21:07
スカイプには上がってるので、準備できましたらなんか適当に話しかけてもらえればー

19tasuku:2015/09/19(土) 21:40:56
59 名前:とりせつ[] 投稿日:2015/09/19(土) 14:02:19
>>49

暗黒メガネ隊様

連絡ありがとうございます。
23日はこちらは、15時以降でしたらいつでもOKです。
初期配置及びスタメン公開等については、他のチームを参考にして次の内容で大丈夫でしょうか?
変更等がありましたら伝えて下さい。

【初期配置】
トーナメント表の配置に準ずる。
1、2列側:暗黒メガネ隊
6、7列側:とりせつヤヅカ

【スタメン公開】
試合開始と同時に公開。
その後、wiki編集後に先手後手を決定。

【思考時間】
GKの思考時間開始の宣言より15分間。
時間超過1秒につき行動1名キャンセル。
15分以内であれば行動提出の修正が可能。
「最後の提出から3分間修正可能ルール」は採用しない。

【転校生出現時の思考時間】
まずお互いの選択した転校生が公開される。
その後、GKの思考時間開始の宣言から10分間、思考時間が与えられる。
10分後、GKの合図に従い同時に出現位置を指定する。
この時指定がなされなかった場合は、ダイスを振ってランダムに自陣営初期配置可能位置のどこかに出現する。

【封じ手】
4ターン先手の行動処理前に両陣営・GKに対し封じ手にするか否かの決をとる。
決議の結果封じ手となった場合、後手の陣営は自らの陣営掲示板のGK連絡スレに行動提出を張る。
再開時はその行動の処理からはじめる。
思考時間は通常と同様15分。


とのことです!

20tasuku:2015/09/20(日) 01:04:14
狩るにゃんが勝ったみたいですね〜

21あやまだ:2015/09/20(日) 01:30:31
ですね! いやーめでたい!
これは我々も勝たねばなるまいて……!!

とりせつチームからの提言については、ちょっと眠みがアレでソレなので明日かんがえます!

22あやまだ:2015/09/20(日) 19:39:27
交換日記……あ、あったなあ……!!
今からだと最短で3日でおっ死ぬから遺留手記みたいになりそう……w

模擬戦ですが、今日はもう行ける感じなので、例によって大丈夫そうならスカイップしていただければー

23あやまだ:2015/09/21(月) 15:18:13
こちらは準備できました!
5時半くらいには離脱することになりそうですが、一戦できましたら是非〜

24tasuku:2015/09/22(火) 13:52:54
ログと返信ありがとうございます!

25あやまだ:2015/09/22(火) 15:07:35
準備おっけーです! 問題ないようでしたらお話掛け下さい!

本戦で使える応援は73ptかな……?
正念場だから、使い切るつもりでバンバンやってきたいなー

26tasuku:2015/10/02(金) 00:14:08
×次に会った人にぶつけまくったらさ
○次に会った人たちが帰りたくなるまでぶつけまくったらさ
どうでもよすぎて表に書き込むのが躊躇われた修正

27tasuku:2015/10/02(金) 00:16:57
今後の日程ですが、また週末いません。ごめんなさい。
来週の夜は火曜と水曜以外でしたら土日も含めていまのところ大丈夫です。

28あやまだ:2015/10/02(金) 22:47:33
ヤッター! メガネの日SS!
自然体な掛け合いがすごく良い……!

>涙「ポムちゃん、しょっぼいメガネ出てきたよ」
>歩夢「まじか。あげるよ」
>涙「いらない……」

ここと、最後のハモりのところが特に好きです。

29あやまだ:2015/10/02(金) 22:50:49
日程了解です。
ではキリよく木曜から頑張ることにしましょう(アタポンイベントも終わるし)
それまでに仮のスタメン案とか練っときます!

30あやまだ:2015/10/08(木) 20:34:22
こちら準備できましたので、大丈夫になったらスカイップしてくださいなー

31tasuku:2015/10/08(木) 21:39:03
22時ぐらいからになります…

32あやまだ:2015/10/24(土) 22:17:54
流れるといけないのでこっちにも……進研ゼミまとめ用wiki

tp://www25.atwiki.jp/daglatag/pages/14.html (ユーザー名:nation パス:blue)

33tasuku:2016/02/25(木) 23:53:17
《エルピスのチャーム》

歩夢「あっそうだルイ」
涙「なに? ポムちゃん」
歩夢「誕生日おめでとう」
涙「おっサンキュー。さすがポムちゃん、おしゃれな箱! なにかななにかな〜。開けてもいい?」
歩夢「開けてはならぬ……開けると大いなる災いが起きるであろう……」
涙「なに渡してくれてんだよ怖っ。いいもん開けちゃうもーん」
歩夢「あーあ」
涙「憐れみの視線やめろ。……えーっと、これはチョコレートかな?」
歩夢「そうだよ」
涙「…………あの、あたしこれ見覚えあるんだけど……前のバレンタインで配ってたやつだよね?」
歩夢「そうだよ」
涙「なんで!? 誕生日プレゼントだよね!?」
歩夢「あのとき、お父さんの分も作ったんだけど、お母さんのチョコが世界一だからそれ以外は霞む的なこと言ってるからさ、
じゃあ一生お母さんのチョコ食ってろって下げてきちゃったの。
でもせっかく世界で二番目に美味しいチョコレートができたのに誰にも食べてもらえないなんて可哀そうでしょ?
だからルイが食べてくれたらうれしいなって」
涙「なんか良い雰囲気にまとめようとしてるけど、要するにお父さんのお下がりってこと?」
歩夢「そうだね」
涙「やっぱそうなんじゃん! てかお父さん娘からチョコ貰えなかったんかい! かわいそう!」
歩夢「うーんそれは私も反抗期だったなって反省してる」
涙「あたしに対しても反抗期なんじゃないの?」
歩夢「反抗はしてないよ? 挑発してるだけ」
涙「おっしゃケンカ買ったるで! どっからでもかかってこい!」
歩夢「じゃ、遠慮なく。『少女はチョコレートの包装に目を留めた。大円の周辺を彩るギザギザの模様。
それが小刻みに震えたかと思うと――ぱっくりと左右に裂けた。獰猛な獣か、あるいは鋭利な罠のように』」
涙「え」
歩夢「『次に目覚めたのは包装の両の羽。ぶうんと低い音をたて、自由に空へと飛び立つ様はさながら羽化した蜻蛉のごとし』」
涙「ちょ、ちょっと」
歩夢「『解き放たれた災厄はもはや留まることを知らず。
言いつけを破った哀れな少女は無惨にもその柔らかな肌に牙を突きたてられ、恐怖と後悔にその身を塗り潰されたとさ』」
涙「ど、どわーーーー!!」
歩夢「だから開けちゃだめだって言ったのに」
涙「そ、そういうことか……ってばか! なに考えてんだ! 地味に痛いしチョコまみれなんですけど! あーもー!」
歩夢「チョコの味はどう? きのう私が食べて今なんともないから賞味期限的なものは大丈夫だと思うけど」
涙「えっえっと痛い痛い口に飛び込んでくるな! えーっとあれれ普通にめっちゃ美味しい、甘すぎず苦すぎずほろりと口でとけて」
歩夢「でしょでしょ? よかったぁ〜」
涙「いい笑顔だな! あたしは顔まっくろだけど! てか食べかけなの!?」
歩夢「それは大丈夫だよ、個包装だし」
涙「もー信じらんない。なんて誕生日だよ……あれ? まだなんか入ってる」
歩夢「……」
涙「ネックレスかな。なんの石だろう」
歩夢「トパーズ」
涙「………………はあ」
歩夢「なに?」
涙「ポムちゃん」
歩夢「なによ文句ある?」
涙「ポムちゃんはホントに可愛いなあ」
歩夢「………………もうちょっと怒ってよ。調子狂っちゃうじゃん」
涙「えへへー、それはこれでおあいこだ!」
歩夢「わっちょっとくっつかないでよ! チョコが付く!」
涙「ポムちゃんのせいでしょ!」
歩夢「そうだけど! ぎゃー口はやめろ! おなか壊すから!」
涙「おいちょっとまて」
歩夢「ジョークですごめんなさい」
涙「まったく……あーあーまっくろだ。これじゃあ電車はずかしくて乗れなくない?」
歩夢「リボン出してあげよっか? 巻いて歩道に立ってたらおじさんがワゴンで送ってくれるでしょ」
涙「それ知らない家に送られるやつだからね!?」
歩夢「うそうそ。次の交差点で左に曲がってちょっと行くと銭湯あるんだ。寄ってかない?」
涙「しょーがないなあ。ポムちゃん牛乳おごりね!」
歩夢「はあい。あっそうだルイ」
涙「なに? ポムちゃん」
歩夢「誕生日おめでとう」
涙「おっサンキュー。その箱はしまおっか」

おしまい

34tasuku:2016/04/01(金) 23:53:40
《わたぬいて春》


――暗く静かな観客席。
――光り輝くステージ。

目が眩むような空間に放り出された私をよそに、自信満々の歌声を響かせるポムちゃん。
足が震える。唇が渇く。どうして私はこんなところに立っているのだろう。

――体を焦がすライト。
――不安に襲われる心。

なにもできないでいる私の手をそっとポムちゃんが取り、指を絡める。
思い出すのは紅に染まる山。あのときも堂々としてて、カッコ良かったなあ。

――纏わりつくリボン。
――いつかに憧れた姿。

四月一日の夜。「今日だけアイドル」なんて、もはやありふれた話かもしれないけど。
嘘みたいな現実に押し潰されそうになりながら、私は縋りつくようにポムちゃんの手を握りしめた。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


スタッフ「はいリハオッケーです! 本番もよろしくお願いしまーす!」
歩夢「どうもありがとうございました!」
涙「ねえ」
歩夢「さあルイ戻るよ。明日が楽しみだね」
涙「ねえ」
歩夢「ちゃんと本番は歌ってよ? ひとりだとさすがに疲れるし」
涙「いやいやいやいや! なんなのこれは! なんであたしたちがアイドルになってライブするの!?」
歩夢「はぁ……」
涙「わかってないコイツみたいな顔やめて」
歩夢「いい? ルイ。エイプリルフールで嘘をついていいのは午前中だけなんだよ。
でもいまは午後どころか日付が変わる寸前……なら、私に残された手段はひとつ。
嘘を真実に変えるしかない――私の、この能力で」
涙「なにカッコつけてんの!? アイドルしないっていう選択肢はどこいった!!」
歩夢「ルイはそれでいいの?」
涙「え……?」
歩夢「このまま普通の女の子のままでいいの?」
涙「いいに決まって――」
歩夢「永遠の愛なんて面白そう……そう言って私を連れ出してくれたルイは、どこにいっちゃったのかな」
涙「それは」
歩夢「怖くなっちゃった? 本物の魔人を見て。私は、とても楽しかったのに」
涙「…………ほんとに? ほんとに、楽しかった?」
歩夢「うん。私はルイと一緒だったら、どんなところにでも行けるって思った」
涙「そっか……手」
歩夢「手?」
涙「明日のステージでも、手をつないでてくれる?」
歩夢「もちろん! 演劇部の部費のために!」
涙「えっ」
歩夢「まちがえた。カワイイ新入生を歓迎するために」
涙「おい」
歩夢「歌詞はがんばって覚えてきてね」
涙「おい」
歩夢「……生徒会長が入学式の出し物に協力してくれたら礼ははずむって言うから」
涙「演劇部の人とやればいいじゃん!!」
歩夢「私はルイとライブしたかったのっ」
涙「う……」
歩夢「衣装だってサイズぴったりでしょ? ポムちゃん謹製なんだから」
涙「も〜〜〜〜〜〜終わったらおぼえとけよ!」
歩夢「クレープ食べに行こうね」
涙「帰りはおふろね」
歩夢「はいはい」
涙「ありがと」
歩夢「私も」


おしまい

35tasuku:2016/08/26(金) 23:59:43
≪十年後の八月≫


***


「あの森で待ってる」

簡素なメールが届いたのは、蒸し暑い夏の零時過ぎ、汗水たらして帰る道すがら。
ダイエットと称して虚勢を張る給料日前の私の耳に、懐かしい着信音が聞こえた。
私たちが現役女子高生のときから既にメールは駆逐されかけていたが、それがまた特別なことをしているような気にさせてくれるから、二人だけのやり取りはいつもメール。
携帯は変えてもアドレスと着信音はずっとそのままだった。どうやら向こうも同じだったようで、唇が綻ぶ。

それにしても、お互い忙しくなってずいぶんご無沙汰だったけど、急にどうしたのだろう。
普通に大学に行って、普通に就職した私とちがって、ルイは政府系の研究機関に進んだらしい。
私よりずっと勉強のできる子だったから驚きはない。
あの森――伝説の桐の木が聳える、樹海。繰り広げられる戦闘のさなか、私の呼び出した魔人の動かし方を率先して考えてくれたのも、彼女だった。

そんな彼女がどうしていま、どうして私に? 演劇は一応ずっと続けてるけど、それこそ普通の範疇を出ない。
私なんかが役に立てることなどあるのだろうか。
それとも、何か助けを求めているという私のこの予感が間違いで、急に旅行に行きたくなったとか、なんとなく昔を思い出したとか、あるいはただの誤爆メールとか。たったこれだけの文章から危機を読み取るほうがおかしい、穿ち過ぎだと言われても文句はつけられない。
場所だって、あの森がどの森なのかは明らかではない。二人で出かけた場所は物騒なところばかりではなくて、単にピクニック的なことをしてみたこともある。

しかし、間違いなんてそれこそありえないという確信が、私にはあった。
友達になって十年。私が魔人であること以外に普通でないことがあるとすれば、『暗黒メガネ隊』として踏んできた経験にほかならない。
……高校生の時分のセンスを引きずってるのは、アラウンドアラサーにもなればさすがに恥ずかしいのだけれど。
それも私たちっぽいねって笑いあったのは、半年前のどこだったっけ。家に帰ってシャワーを浴びたら手帳を開いてみよう。
折よく明日からは連休。荷造りはそれからだ。

36tasuku:2016/08/27(土) 01:30:08
***


結論から言えば、危機なんて生易しいものじゃなかった。
世界が終わりかけていた。
あの森で繰り広げられた、死闘の残滓。それらが目覚め、外へと溢れ出そうとしていて。
非魔人の力では、理解はできても対処がまったく不可能だった。

「化け物には化け物をぶつけるのが妥当だと思うのよ」
「私がバケモノって言いたいの?」
「んー、ポムちゃんはバケモノテイマー?」
「テイマーはルイじゃないかな」
「じゃあトリマー?」
「ぽい! 知らんけど」

必死な周囲をよそに、軽口を叩く私たち。
だって手帳を見たらなんやかんやで月に一回くらいは会ってたんだもん。
いきなりシリアスを保てというほうが無理な話だ。
それに。

「ほんとに準決勝敗退の私たちで大丈夫なの?」
「平気だよ。だって今回はゲームじゃないから」
「だよね」
「制御するプレイヤーもいないしねー」

いつでも無敵な私たちが、だれよりも当事者に近い。
負ける気が微塵もしなかった。


***


森に入ってすぐ、見るも恐ろしい怪物たちがいた。
あまりにも怖くて、絶望で泣き出してしまいそうだった。
こいつらに世界を奪われてしまうだろう――そう信じさせるほどの魔力があった。

だから私たちは、素数の神を呼び出した。
私とルイと素数神さま。怪物は二体。
おしまい。

これはゲームではない。
世界の存亡が懸かっている。
私たちを縛る禁じ手は存在しないのだ。


しばらく進むと、合唱部っぽい女の子が下着の柄を聞かれていた。
かわいそうだったので、触手をけしかけておいた。


やがて広がる、見覚えのある光景。私たちが負けた場所。
あんなに泣いたのは、人生で他にない。
現在そこに浮かんでいるのは、幾何学状のオブジェクト。ばらばらと小さい駒を生成し続けている。

十字架の使徒で殲滅。
復活。どうやら補助能力者がいるらしい。
赤い糸で複製。更地になるまで続けた。


中心地には樹があるという話。
しかし、ぐるりと壁が囲んでいた。
高すぎて霞んで見える。

「なんか雑じゃない?」
「検討できてないから、イメージわかないんだって」

こちらも壁の女神と二十五代目アリスを呼び出し、壊す。壊す。ひたすら壊す。
不意に黒い光が煌き、私たちを照らした。
だが、お守りが砂になるだけですんだ。

「さすがに雑すぎない?」
「戦闘は私の担当じゃないから」

ほどなくして、壁は崩れ去った。
はやる気持ちがないと言ったら嘘になる。
どちらからともなく手を取り合って、私たちは駆け出した。
あの日の続きのように。
世界のすべてを胸に秘めた少女のように。

37tasuku:2016/08/27(土) 01:30:26
***


――巨大な樹は、驚くほどに普通だった。
たとえば、近所の公園の一番大きな桜みたいな存在感。
二つの名前が刻まれている。
その瞬間に、ひとつのユメが終わったのだろう。

「もっと綺麗だと思ってたのに」
「二人だけの特権ってことかな」
「…………そうかも」
「えっ、ちょっとちょっとポムちゃん!?」

涙がぼろぼろ零れて、止まらなかった。
もう、戻れない。
十年という時の重さが、肩にのしかかってくるようで。
私は、ぺしゃんこに潰れてしまいそうだった。

潰れてしまわなかったのは、ルイがひっぱり出してくれたから。

手を握って、大丈夫だよ、大丈夫だよーって、頭をなでてくれた。
冷静になると恥ずかしすぎる。
お礼もそこそこにハンカチで涙を拭い、ふと大地に目をやると。
新たな芽が、そっと天を見据えていた。

「これに名前を書いたら、不老不死になれたりして」
「どう考えてもまだ早いでしょ。せいぜい百年ぐらいじゃないかな」
「むしろそっちのがいいんじゃ」
「ダメだよ。枯れちゃったらどうするの」

もちろん冗談だけど、次の物語はいずれ始まるのだろう。
残念ながら私たちは機会を逃してしまったけれど、未来のだれかには悔いなく過ごしてほしい。
いや私も別に後悔はしてない。ちょっと寂しくなっちゃっただけで。
そういえば、ルイは不老不死になって何がしたかったのだろう?

聞いてみたら「ひみつ」だって。
いつか教えてくれたらいいな。
戦闘のレポートやら書かないといけないだろうから、待っていなきゃだけど。
本当はもう少し大変だったのに、私には表現する力が足りない。


***


「いやー、世界救っちゃったねー」
「ほんとだ。なんかあっさりすぎて実感がわかない」
「さすがルイ、天才軍師だね」
「んーん、二人だからできたの」

かけると賢くなる眼鏡を光らせながら、嬉しいことを言ってくれる。
私は目がいいから胸元にぶら下げてるだけだけど、存在していることが大事なのだ。

「だから、もっと楽しいこと、やってみなよ」
「ありがと」

初めてルイが仕事をしてるところを見て、本当に大変そうだったけど、本当に溌剌としていて。
私にはあんな顔ができるだろうか。
もし、そう聞けば絶対「できるよ!」って言ってくれるとあらためて思ったから。
私は不言実行する。


「歩夢さん、今回の脚本なんですが……」
「おもしろいでしょ?」
「いや、面白いですけど! 謎組織の薬学青年VS着物火縄銃少女の対決って、どうやって再現するんですか! お金もキャストも全然足りてませんよ」
「ふっふっふ、それが大丈夫なのよ」

だって私は――
やっぱり、普通じゃないみたいだから。
夢を見続けて、やがては現に変えてしまうのだ。
勇気をくれる、大切なひとに届くように。



[了]


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板