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緊急用本スレファイナル 『ZERO-2ND』

1名も無き生徒:2006/08/05(土) 23:38:51
 終わりゆく世界の中に、抗い踊る孤影の群れ。
 絡み合う因果断ち切る鋭剣、齎すものは生か、死か。

 拓かれるのは永遠の死か、新たなる世界へ続く生か──


 願わくば終わり行くこの世界が、幸せな夢の残滓と
なりますように。
 
 願わくばこの世界の眠りの果てに、新たな世界の
目覚めがありますように──

 
             ──終焉第二幕、開帳。

163ルーディット・スレイン@天馬:2006/08/16(水) 00:32:20
>>160
「―――――」

(これは、流石に分かる。
 今あのメタスを持って行かれる訳にはいかない、貴重な輸送力なのだ。
 手元にある武器は――メスが二本に筋弛緩剤が一本、これでは難しい。

 だが、これだけは止めなければ。)

「――クレアさん、行きたい気持ちは分かりますけど。

 あの機体は駄目です、今此処には輸送力が足りない。
 それでも持っていくというのなら―――

 凄いですよ?」

(何がだ、と言わんばかりの物凄い重圧の笑顔が。)

164ギラ・ドーガ:2006/08/16(水) 00:41:54
>>162
 やはり、避ける。
 動きのとおり、かなりの使い手だ──
 その事実に、男はあせるどころかむしろ高揚を覚える。  

 そうでなくては、甲斐が無い。

 この身を人ならぬ、戦を捕食するのみの獣、否獣に
すら劣る畜生に貶めた甲斐が無いというものだ……
 
 ……ギラ・ドーガの機体側面が、刹那の間に見える。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ビームマシンガンが、腰部にしっかりとマウントされていた。

 ならば、右手に握られているのは──

 次の瞬間刀身めがけて凪がれた豪風は、戦くほどに巨大な斧の形をとっていた。

165クレア:2006/08/16(水) 00:43:25
>>161、163
 ふるふる。
 また首を振る。

 そして自分を指した。
 メタスを指した。

 クレアの腹が、ぐーと鳴いた。

 ・・・・・・食べたいのだろうか(メタスを)。

166橙目の少女@天馬:2006/08/16(水) 00:50:01
>165

( 'д')

(;'д')

だめですー!

167ルーディット・スレイン@天馬:2006/08/16(水) 00:53:31
>165-166


( д ) ' '

(; д ) ' '

「ちょ、それは駄目―――ッ!? 」

(あぁなんて事だろう、そろそろ戻らないと軍医さんに申し訳無いと言うのに。
 何故こうも目の前に、放置できない人間が現れてしまったのだろうか。)

168クレア:2006/08/16(水) 00:53:53
>>166
 ふるふると首を振る。

 手首の辺りにじんわりと六角形。
 
 キリー・キルはすでに知ろう。
 クレア・シモンズの体は偽体。

 それを組成するものは人類が天敵たるDG細胞。
 食う気になれば、本気で食える。おそらく一瞬とかかるまい・・・

169クレア:2006/08/16(水) 01:00:40
>>167
 ふるふる。
 ぐぅぅぅぅぅぅ。
 ふるふるふる。
 きゅるるりー。

170橙目の少女@天馬:2006/08/16(水) 01:04:22
>168
駄目です駄目です駄目です絶対に駄目なんですっ!!!!

(片手に配給されたスポーツドリンク系の物を持ちながらメタスとクレアの間に立つ少女。
 ば、と両手を広げ。これでもかといわんばかりに威嚇の表情を見せる。)

食べるなら敵軍が使ってきたMSの残骸とか、あるでしょう?!
わざわざ使用できる物を食べようとしないでください!!

171ルーディット・スレイン@天馬:2006/08/16(水) 01:07:43
>>169
「(…DG細胞の報告は読んだけど、ここまで来ると強烈ねー……)」

「うん、私も敵軍の食べた方が良いと思いますよ、クレアさん。
 ここはキリーの言うとおりです。」

(やや呆れ顔で、こめかみを手で押さえながらも何とか対応する。
 そろそろ戻りたいとか考えてるのか、コーヒーを口に運ぶのだけは早い。)

172クレア:2006/08/16(水) 01:09:10
>>170
「何か誤解があるようなのだけれど?」
 空腹が我慢できなくなったらしく腰のポーチからジャーキーを抜いて
かじりながら。
「私にはMSが必要なだけ」
 ぐー。

173クレア:2006/08/16(水) 01:12:12
>>171
「ううん、余計空腹を意識するから、あまり多弁を弄したくは無いのだけれど」

「彼女は今輸送に従事している。
 そして私にはMSが必要。
 

 人一人乗せる輸送力ぐらい充分にあると思うのだけれど」

 ・・・・・・要するに「前線基地でmsを受領して
戦うつもりだから乗せていってくれ」と言いたかったらしい。

174刀女@G3セイバー:2006/08/16(水) 01:15:20
>>164

「ビームアックス!? 二段構えだったのか・・・」
 ビームソードの突きをギラ・ドーガがビームアックスで防がれたのを知ると直ぐに次の行動を取る。
「この距離なら外さない!」
 ビームアックスによって突きを崩されたビームソードで薙ぎ払うように切り払う。
 同時に右手に持ってたビームライフルの銃口もドーガに向け、発射する。
 ビームソードの斬撃と至近距離で威力が衰退してないビームの弾丸がギラ・ドーガを襲う。

175橙目の少女@天馬:2006/08/16(水) 01:15:34
>172-173
ごごご誤解を受けるような状況と目つきで誤解を受けるようなジェスチャーしないで下さい!

(ふぅ、と一息つき手に持ったドリンクを一口。)

わかりました。
そうなると少しでも急いだ方がいいと思うので、部品交換が終わり次第全速力で運びます。
いいですね?

176ルーディット・スレイン@天馬:2006/08/16(水) 01:21:59
>>173
「……不要な手間を………」

(後悔しても後の祭りである。
 幾らか負傷者の搬入が落ち着いていたのが、せめてもの救いか。)

「……そういう事なら話は早そうですね、私もそろそろ戻ります。
 キリーもあぁ(>>175)言っている事ですしね。」
(手術着の帽子を被り直し、マスクを着用しながら。)


>二人
「…それでは二人とも、気をつけて下さいね。
 私の方も、今しばらくは何とかしますので。

 特にクレアさん、今みたいにボケボケな真似はしないで下さいよ。
 それでは―――!」

(――そう言って、素早く医療用のテントへと走って行く。
 少なくとも肩の力は程好く抜けたか、緊張感は適度なままで、心労だけは拭えたらしい。

 死中に活を見出す戦い、兵器によって戦われる死闘とはまた異なる戦いだが―――
 彼女達もまだ、諦める事だけはしていない。)

177ギラ・ドーガ:2006/08/16(水) 01:32:32
>>174
 刹那。ギラ・ドーガの身長が半分ほどに為った──と見えた。
 いや──倒れたのだ。
 低く、なお、低く、身をよじるようにして右肩を下にして倒れていく。
突き上げられた左肘のビームシールドの力場が、シールド力場すら切り裂きかねぬ
程の出力を与えられたビームソードを受け流していく。
 倒れこんだことによって、真っ向から刀身を形成するメガ粒子の威力を
受ける愚を冒さず、ビームシールドの描く曲面を生かして斬撃の勢いを
流し、避ける。
 同時に斧ごと右手を大地に着き、身をひねりこんだ。
 だが、雪風は同時にビームをギラ・ドーガめがけて放っている。
 その一撃はシールドの発生装置を貫いて、さらには本体コクピットをも
貫く角度を取っていたが。
 しかし、ビームの一撃が放たれるその直前、敵のモーションから
隊長は動作を見越している。直前、ギラ・ドーガは足を振るい、
その勢いを生かして身をよじっていた。
 突き出された左肘のシールド力場発生装置にビームがかすめ、
当代最悪とも言われる攻防一体の防御兵装を破壊するが……し
かし身をよじったことによって、ギラ・ドーガ本体はビーム
の直撃を完全に逃れていた。

 そして、左足を振るったのは……回避のために身をよじる、その
速度を向上させるのみではなかった。

 右腕が、大地を押す。
 半ば跳躍するようにして、左の足が凪がれた。
 狙うは、セイバーの右足、複雑な構造が集中しなおかつ
その重量を支える支点のひとつであるがゆえに
いかなるMSとて脆弱な急所と為る膝間接!

178クレア:2006/08/16(水) 01:35:45
>>175
「すまないけれど、お願いするわ」
 女は素直に、うなずいた。

>>176
「MSを食べるという発想はどこから浮かぶのかしら……」

 なおも小首をかしげつつ。

 そういえば、同化という手段もあるのかもしれない、
とふと気づく。 
 試したことは無いが、案外出来そうなものではないだろうか。
しかし、機体と同化してしまえばパイロットがいなくなる。
 仮にシュバルツがDgに同化したとしても、操るキョウジが
いないのでは動かぬだろう。

 ああそうか、キリーにパイロットになってもらえばいいのか……

と、ぽんと手を打って。

「けれどゾンビ兵になるかもしれないわね」

 とても物騒なことを、口にした。

179橙目の少女@天馬:2006/08/16(水) 01:41:25
>176
はい、お気をつけて!

>178
・・・・

(口には出さないが少々おびえているようでもある)

180クレア:2006/08/16(水) 01:42:33
>>179 
 ?

 にっこり。

181刀女@G3セイバー:2006/08/16(水) 01:59:36
>>174

「また防がれた!? このパイロット・・・やる・・・」
 ギラ・ドーガはビームソードの一撃を倒れこむんでシールドで受け流す事で防いだ。
 更にコックピットを狙ったビームライフルの一発も左肘のビームシールド発生装置を破壊するにとどまった。
 そして、そのギラ・ドーガの左足の動きに気がついた。
 明らかに右足・・・それもデリケートな膝関節を狙っている。
「関節は修理にお金掛かるからするなぁ!」
 すかさず、膝を避けるために右足を上げる。ギラ・ドーガの蹴りは臑ぐらいの高さの箇所に当たった。
 膝への直撃は逃れたものの流石に片足立ちな状態だったために衝撃でバランスが崩れ、倒れかけてしまう。
 だが、ただ倒れるわけには行かない。ビームライフルを放し、腰にマウントしてあった予備のビームサーベルを掴むと起動。
 倒れながら真っ直ぐに伸びたビームの刃でギラ・ドーガを突く!

182ギラ・ドーガ:2006/08/16(水) 02:23:02
>>181
「射撃よりも格闘戦が得意か、やはりッ!」
 放つ一撃一撃がいずれも必殺。
 しかし防御を捨てた渾身ではない、致命をこうむるを
確実に避け、したたかに反撃に転じてくる。
 生半のキャリアでは、これほどの域にはたどり着くまい。
才覚か。あるいは、強化か。
 いずれにせよ人の身がこれほどの高みに上り詰めるに、
いかほどの修羅を狩り羅刹を倒したか──想像もつかず、
それが男のほほに、より深い笑み皺を刻み込む。
 肉をほしがる商人の笑み。
 戦い倒すを本分とする、戦士の本能が感じる歓喜が
背筋を上るのを覚えながら、相反して脳は冷水で満たされて
いるかのように怜悧を保ってもいる。
 
 悪くは、ない。人生においてこれ以上ないほどに、この五体も
頭脳も満足のいく動きを見せている。

 男に思想なく、大義なく、夢もまたなし。
 あるのはただひとつの理想──戦士としての理想像。
 そこへと至るためにどれほどの人体を肉泥と変えてきたか──

 その成果を、渾身を持って試せる相手に、恵まれたことを。
この世ならざる場所にある何者かに感謝しながら。
  
 振り来る刃、見据え。
 はじかれた左足を大地に、右の足を天空に翳す。
 蹴りの勢いのまま、五体は空中で回転。  
 ギラ・ドーガの背部統合スラスターユニットが、
数百トンもの物体を押し上げうるほどの推力を
高熱ガス炎として吐き出した。
 寸部の差で、ギラ・ドーガは刃を逃れる。
 身をよじる勢いはまだ生きていて、右手は斧を飛び上がりざま
吸着装置を利用してつかんでいる。

 よじる勢いのままに、右腕を振り上げ、機体の回転速度を増す。
 左足を進行方向に突き出し、バーニア制動で大地にえぐりこませ、ブレーキを
かけつつ足を曲げ機体をおこし座り込むような姿勢をとる。
 エネルギーと重量とを、脚部が受け止めきった瞬間。
 もてるすべてのスラスターを噴射し、一息に飛翔。
 
 左の拳銃を放し捨てざま腰のビームマシンガン──
強化ジャケットを装着したことにより、一発一発が
大気圏内狙撃用ビームスナイパーライフルに匹敵する
ほどの出力と収束率を誇る──を握り、構える。

 刃の間合いの僅かに外。セイバーが踏み込み斬るにはやや
遠い間合い──銃が剣を上回る間合い。

 会心の笑みを以って、セイバーを男はにらみすえた。

 戦の夏、その終わりを告げる夕立よ……
 受けて微塵に珠と散れ!

 その無骨な指が、トリガーを引き絞り……

183企業軍MS格納庫:2006/08/16(水) 02:42:34
「ここはまだ焼けていないのね」
 天馬からそれほど離れてはいない、前線近くの企業軍基地。
 整備兵たちが走り回り。 
 負傷兵が次々に運ばれていき。 
 ジェガンのコクピットハッチから顔を出したパイロットが
15分じゃ遅すぎる10分で済ませろと怒号を上げている。

 まごうことない、前線基地の空気。
 汗と血潮、それ以外の何かから発せられる生々しい臭い。
 気化した推進剤の塩素臭に近い臭い、漏れ出したオイルの臭い、
電子機器から発せられる電子臭、開口部から吹き込んでくる硝煙の
臭い、どこかで何かが焼ける臭い……

 まごうかたなき、前線の臭い。

 それを、深々と吸い込んで、クレア・シモンズは。

「やはり・・・・・・落ち着くわね」
 感慨深げに、うなずいた。

184橙目の少女:2006/08/16(水) 02:50:32
>183
みんな、がんばってます。本当に・・・
だからこそ、ここもまだ機能している。

(ヘルメットを脇に抱え何故か付き随うキリー。
 早く輸送作業に戻るべきなのだが何をしているのか。)

185刀女@G3セイバー&ついてない男@RGM-196IKC:2006/08/16(水) 02:55:20
>>182
 倒れざまの突きも避けられた・・・
 倒れた機体の中でモニターに映る銃を構えた敵機にもはや雪風はこれまでかと歯を食い縛った。
「相棒、ビームシールド展開!」
 絶望の中でスピーカーから聞きなれた声が鳴り響く。

 ギラ・ドーガの後方にはビームマシンガンの弾幕で頭部と左肩を被弾して地面に転がったはずのインディのフリーダムが左手でビームライフルを持ち、その銃口をギラドーガに向けていた。
 パイロットと同様、フリーダムも頑丈で被弾して地面にぶつかり、転がっても尚もまだ戦う事が可能だったのだ。
 インディの言葉どおり、ビームソードをOFFにしてビームシールドを展開。同時に僅かにシールドから出ている頭部の30mmガトリング砲を発射、さらに使えるスラスターとバーニアを総動員して撃ち込まれるはずのビームを避けようとする。
 そして、ギラ・ドーガ後方で頭部を失い、肩を撃ち抜かれた左腕をぶらぶらとさせたインディ機も狙いを定めたビームライフルを発射する。
 フリーダムのビームと雪風の回避行動が早いか、ギラ・ドーガのパイロットがとりっがーを引くのが早いか・・・

186クレア:2006/08/16(水) 03:03:55
>>184
「キリー、輸送はさっきの仕事で仕舞いだ、ごくろうさんだったな」 
 整備兵が、キリーにそんな言葉をかけてくる。
 その言葉に、クレアは眉をひそめた。
 輸送するべきコンテナは、まだいくつか残っているのが見て取れた
からだ。
 だからこそ、キリーも先ほどから少しばかりそわそわしていたのだが。

 ……戦況が逼迫してきた。そういうことね。

 クレアは、キリーのほうを振り返る。
 そして、聞いた。

「現状におけるあなたのメタスの武装をおしえてもらえるかしらね、
キリー・キル候補生」

 その声音は、後方地帯である天馬での、どこかのんびりしたそれとは
異なる・・・・・・研ぎ澄まされた鋼のような、青く冷たい響きを
孕んでいた。
 つい先ほどまで表情にあった和らぎも失われ、眼光は蒼天を舞う
猛禽のそれに変じている。

187橙目の少女:2006/08/16(水) 03:13:24
>186
え、え・・・?

(状況を微妙に飲み込めずにいる少女は少々うろたえるが
 相手の雰囲気が変わった事を察知し)

は、はい。
アーム・ビームガンが2丁・・・弾が残り少ないので補給する必要がありますが。
それにグレネードが左腕に一発。ビームサーベルが・・・6本です。

(覚えている限りの情報を報告する少女)

188ギラ・ドーガ:2006/08/16(水) 03:16:46
>>185
「そこから来たかよッ!」
 無論男のことは覚えていた。
 矢張り、仕掛けてきたか……
 部下どもと戦う二機の姿を、覚えている。
 張り合い競い合うような動きは和すること
ないように見えながら、しかし総体としてみれば
実に調律の取れた運動となり目に映っていた。
 長年ともに戦わねばたどりつけぬ境地へと、
確かに達していると思う。
 己独りを頼んだ自分と、互いに互いをサポートしつつ、
あるいはサポートされつつ。
 どちらが主ともなく、従ともなく。
 支えあうようにして生き延びてきたであろう彼ら。

 互いが互いに、対極の存在。
 
 そうであるがゆえに、男は。

 この二人をねじ伏せずにはおかぬ、そう決断した。
 苦境にあるのは自分だろう。
 だが勝たねば為らない。
 何もかもを捨て去った自分の道が誤りではなかったことを。
ひとつの頂点をこそ追い求めた己の求道が過ちではなかった
ことを示すために。

 内心、僅かに意識する。 
 背中を預け合うに足るほどの相棒を見つけ出した彼らへの、
ごくごく些細な嫉妬を、意識せずには居られない。
 
 だからこそ、勝ちたい。 そう、思った。

 30ミリなど恐ろしくもない。
 バルカンの嵐にさいなまれながら、かまわずとばかりに
身を捻る。インディの狙撃がギラ・ドーガの左肩を貫き、
腕部もろとも脱落したが・・・・・右手はまだ残っている。
 フリーダムに狙いを定めた。 
 躊躇なくトリガーを引き絞る。
 雨霰と秒間15発に及ぶ狙撃の嵐・・・!

189クレア:2006/08/16(水) 03:22:03
>>187
「武装が偏っているわね、それに威力も不足……
 ライフルすら受領していないなんて。
 私が乗れるようなMSも残っていない、GMⅡでは死にに
いくようなもの、せめてⅢ……機体が私をもてあますわね。
 補給が逼迫してきているか、だから……」

 ぶつぶつとつぶやく。

「たしかこの基地は……
 ……可能性は低くはない……

 ……軍法……機密事項に抵触……
銃殺も……コネでむりやり……」

 ぶつぶつ。ぶつぶつ。
 そして、キリーに。

「私の記憶が確かならば。
 もう少し『充実した』補給が受けられるかもしれないわね。
 
 ついてきなさい」

 言うなり、さっさと歩いていく。
 一瞬、振り返って。

 それはもうこわいこわい笑みを浮かべて見せた。
ハリー(急げ)!ハリー!という軍隊調の叫びが聞こえてくるような。

190橙目の少女:2006/08/16(水) 03:28:31
>189
はぁ・・・一応、たまに使ってるネモも養成所にあった筈ですが誰かが使ってないとも・・・

(一応可能性を示唆しようとして相手の異変に気付く)

・・・・・あ、あのー?

(ぶつぶつ言ってやまない相手。
 そして突然ついてくるよう促してくる・・・・底冷えするような笑みを浮かべ。

 少女は多少、混乱しながらも)

は、はい・・・

(肯定の意を表し、小走り気味についていった。)

191刀女@G3セイバー&ついてない男@RGM-196IKC:2006/08/16(水) 03:42:09
>>188

つ「へぇ・・・シャワーは風呂場でするもんだぜ・・・」
 ギラ・ドーガがこちらに銃口を向けるのを見てに左に飛び、回避行動を取る。
 そして放たれる秒間15発に及ぶビームの嵐・・・回避行動を取ったものビーム弾の一部は避け切れず、ライフルを持っていた右腕を吹き飛ばされ、右足も膝から下がビーム弾によって蒸発してしまう。
 インディ機はそのままバランスを失い、再び地面に倒れてしまう。
つ「さあ、やれ! 相棒!」

刀「私を忘れるなぁぁ!!」
 コンビの片割れ、G3セイバーを操る雪風が咆える。
 既に体勢を立て直し、インディに気を取られてるギラ・ドーガに一気に加速して肉迫。
 再び起動させたビームソードで斜めに斬りかかり、それに続いて右手のビームサーベルで思いっきり突く!

192クレア:2006/08/16(水) 03:46:24
>>190
 なぜか彼女は「お気の毒様」という視線を少女に向けた。
 が、それも気のせいかと思われるほどの時間でしかなく。
 
 そして。

 説得という名の脅迫でもって基地司令らを片っ端から論破していく
クレアの姿はまさに詐欺師のようだった。
 というか鬼だった。

 ・・・・・・がこん。
 音を立ててドアが開く。51番倉庫。 
 企業軍が研究・開発中の試験兵器が収められた機密の塊のような
倉庫のドア。

 ・・・・・・とりあえず知ったらあとで死ぬ類のものがたくさんたくさん
おさめられているのはうたがいない。

193橙目の少女:2006/08/16(水) 03:50:27
>192
(途中(何故かはわからないが)何度か見失い、迷いかけるもその都度声をかけられ
 結局クレアと同じく倉庫に来てしまった少女。)

ここは・・・?

194ギラ・ドーガ:2006/08/16(水) 03:58:59
>>191
「やはり来たかよ、ガンダムッ!」
 一機は無力化した。 
 そして、残るは一機。

 ……そう、分かっている。
 あのフリーダムを倒せば、このセイバーに斬られる。
 セイバーにこだわれば……あのフリーダムに射抜かれていた。
  
 勝ち味の薄さなど先刻承知。 
 だからこそ、賭けた。最悪の中の最善に。
 マシンガンの先端に瞬間巨大な刀身が生じる。
 グリプス戦役以降、多くのビームライフルに装備された
ビーム刀身形成機構。
 号して「メガ・ビームサーベル」と呼ばれるそれをもって、
後背から迫る袈裟懸けの斬撃をかざした刀身で受け流しつつ。
しかし片腕では受けきれない。その勢いに流されるようにして
機体が揺らぐ。

 いや、それは、揺らぎなどではない──袈裟の一撃に乗せられた
重みと速度によって、機体が斜め方向に回転を開始しているのだ。
全身のアポジモーターが噴射される。 

 そして、突きが放たれた瞬間。

 袈裟懸けの斬撃を受けた衝撃でもって身の旋転を加速された
ギラ・ドーガは。
 瞬間光の倶風と変じ、セイバーの右わき腹から右胸に
走り抜ける逆袈裟の斬撃を放っていた……!

195クレア:2006/08/16(水) 04:04:41
>>193
「いろいろな理由で『見せられないけれど作るほかない』兵器の、
吹き溜まりのような場所よ」
 MSすら収められる大きさに作られた倉庫の内部は聖堂を思わせる。
 無数に並べられたガスタンクやMSよりもなお大きい大型ミサイル、
見慣れない戦車のシャーシ部分や試作中らしいムーバルフレームな
どが陳列品のように並べられていた。 
 巨人のための博物館なのだ、といわれても信じられそうなほどに、
なにもかにもが大きかった。

「ここにある情報を他国に売るだけで一生食べられるほどの大金が
手に入るわね。もっとも一生をまっとうできるかどうかはあやしい
ものだけれど」

 とんでもない事実を平然と口走りながら。

「こういう戦況では扱えないタイプの兵器ばかりね。
G3の後継である制圧用ガス『G4』に、これはサイコミュ誘導型
惑星間ミサイルの試作品……」

 物騒どころではない陳列物ばかりだ。

 そして、二人はMS用の武器が並べられたハンガーにたどり着く。
メタスでも使える武器、というのは限られてくるわね、さて……」

196橙目の少女:2006/08/16(水) 04:11:07
>195
(並べられている物の解説を聞き一瞬にして顔がムンクになる。
 迂闊に近づけない触れないというか来ない聞かないくらいの心構えだったほうが良かったのではないか。
 比較的穏やかな性格のキリーにそんな気さえ起こさせる代物ばかりであった。)

い、いえあの無理はしなくても・・・

(これ以上聞きたくなかったのかそれとも本意かそのような言葉を口に出す少女)

197刀女@G3セイバー:2006/08/16(水) 04:19:56
>>194

「メガ・ビームサーベル!?」
 ビームソードの袈裟斬りをビームマシンガンのメガ・ビームサーベルで受け流され、ビームサーベルによる突きも避けられしまう。
「くぅ・・・ビームサーベル、持って・・・」
 ギラ・ドーガがそのまま放つ逆袈裟の斬撃をビームサーベルの出力を限界まで上げ、何とかそれを受け止めた。
 ビームサーベルの出力は本当に限界まで上げられていた。長くこの出力を出す事は出来ない。
 だから、いつまでもメガビームサーベルを受け止めておくわけには行かない。
 戦いを終わらせる為に左腕を振るい、右肩から斜めに切るように袈裟に斬りつける。

198クレア:2006/08/16(水) 04:25:57
>>196
「もしも上にばれたら一人は見せしめに殺されて、
もう一人は行方不明かもしれないわね」

 くすくす。 
 声だけ笑って目も表情もガチンコ能面モードなんですが
そのへんどうなんですかクレアさん。

「使えそうなのは……
 このあたりかしらね」

 などと言って、試験兵器をいくつかリストアップしてきた。
 説明が添付されているが……よくわからない。

1・ビームライフル(?)
2・メガビームランチャー(?)
3・斬艦刀(?)

 クレアがリストアップしたのは、以下の三つだった。

199橙目の少女:2006/08/16(水) 04:38:24
>198
(洒落になってないと言わんばかりに涙目で首を振るキリー。実際洒落になってない。)

・・・・携行火器としては取り回しがいいビームライフルだとは思いますが・・・
威力がどのぐらいかわからない以上使いづらいですね。
大出力が見込める大筒のほうがまだ・・・

(涙を拭いリストを一見、即座に「通常の兵器感覚での」考察を述べる。
 ちなみに斬艦刀らしきものは「格闘戦はあまり得意ではないので」と初っ端から除外した。)

200ギラ・ドーガ:2006/08/16(水) 04:38:52
>>197
「やらせんさ…!」
 彼は両腕を用いた二刀、それに対して我は隻腕、一刀のみ。 
 不利はとうに知れていた。
 この小さな戦いを終えたところで、帰還が叶うとも思えず。

 ならば、知れている。
 ただこの身は勝利を目指すのみ。ただその一点を望めば良し。

 斬撃は渾身。
 勢いあまり、敵に無防備な背をさらす。
 背を向けたがゆえに、袈裟懸けの一撃がのめりこむのは左肩から
胸にかけ。
 刹那の間にギラ・ドーガのコクピットめがけ走る剣閃き。


 そして、その正逆の方向……ギラ・ドーガの左脇腹が。
瞬間、泡だった。 
 貫くものがある。正反対の方向から。

 見れば──ギラ・ドーガは手首を返し刀身を発生させたままの銃身をつかむや。
 己の脾腹に、その刀身を惑いなく突きたてていた。

 そして、己もろとも敵を薙ぎきるべく。
 左わき腹から右肩へとその刃を駆け上らせた──
ギラ・ドーガの背を引き裂きながら、セイバーめがけて上る光刃!

201クレア:2006/08/16(水) 04:51:29
>>199
「運び出した後機体に装備させてインストーラーで具体的な
性能を確かめるほかないわね。
 どちらもなにやら機能があるようだけれど、担当技官も
どうやら整備に駆り出されていて1パイロットのために
時間を作っている暇もないようだし、説明をうける暇は
なさそうだわ。

 メタスの兵装ラックの形状からして、もっていけるのは
どちらかひとつのようね。

 どちらにする?兵装チェックや運用プログラムのインストールの時間、
性能テストの必要性を考えると、それほど時間は残っていない気がするわ」

202刀女@G3セイバー:2006/08/16(水) 05:00:01
>>200

 ギラ・ドーガの左肩から胸にかけビームソードが切り裂いた時、やっと終わったと思った。
 だが、ギラ・ドーガの左脇腹が泡立ったのを見た瞬間、相手の意図を悟った。
 己もろとも自分を葬ろうとしている事を・・・
刀「執念深さは褒めてあげる。でも、まだ私は死にたくない!」
 ビームソードOFF。
 ギラ・ドーガを切り裂いていたビームの刃が消えると同時にまだ限界出力を出しているビームサーベルでギラドーガの刃を再度受け止める。

203橙目の少女:2006/08/16(水) 05:01:15
>201
・・・・・

(考え込む。
 前者は使い勝手もよし、恐らく自分のメタスでも出力不足にはならずに出撃できるだろう。
 しかし肝心の兵器性能がまったくわからないと来ている。下手には扱えない。
 後者は大筒にするほどである、それなりに威力を見込めはする。
 しかしどれほど出力を食われるかわからない、下手をすればまともに機動すらできないかもしれない。
 更に砲身が長い為接近戦に持ち込まれた時にデッドウェイトとなる可能性がある。
 こちらも迂闊には使えない兵装ではある。

 悩む。
 これにより戦闘の勝手もまた大きく違ってくるのだ。

 そして、悩みぬいた末に。)

・・・ライフル、使ってみます。

(少女は、そう告げた。)

204ギラ・ドーガ:2006/08/16(水) 05:08:12
>>202
 無慈悲に突き出されたサーベルに阻まれ、己の命すら犠牲とした刃は届かず。
 最後の瞬間、総身を炎よりもなお熱いメガ粒子の光に灼かれながら、
男は果たして何を思ったか──
 
 いずれにせよ。男が最後の瞬間、己の命などより勝利をこそ
求め、そのために平然と命を捨てたのは確かなことだった。

 それは果たして執念故か──

 大地にひとつの火球が咲いた。
 それはひとつの魂が、己の歩んだ人生もろとも弔われゆく
火葬の炎──

 後に残るのは無残に歪んだ鉄塊。それはもはや動くことなく、
そこに男はもはや居らず。

 ゆえに、それは墓標とすら呼べぬ、ただの残骸へと成り下がって
しまっていた。

205クレア:2006/08/16(水) 05:10:34
>>203 
「ビームライフルね。 
 悪くはない選択だわ、短砲身のアームビームガンに比べて
著しく火力は向上する・・・と、思う。
 
 ・・・・・・問題はこのライフルが何を主眼において開発された
かだけれど・・・・・・

 まぁライフルはライフル。そうそう得体の知れない機能が付与される、
と、いうのは、たぶん・・・・・・」

 しかしクレアは目をそらしていた。

206橙目の少女:2006/08/16(水) 05:12:25
>205
・・・・・

(冷や汗だらだらにかきながら)

何とかなると思います!多分!

(拳でガッツポーズを作り意気込みを見せた。)

207刀女@G3セイバー&ついてない男@RGM-196IKC:2006/08/16(水) 05:26:13
>>204

刀「やっと勝った・・・」
 執念深いギラ・ドーガの爆発を爆発する直前に展開したビームシールドで防ぎ、目の前にドーガの残骸を認めてやっと肩から力が抜けた。
 そして、大破に近い状態のパートナーのフリーダムにG3セイバーを向かわせる。

つ「あのパイロット、いい腕だったな」
 損傷した機体からは既にインディはコックピットから出ていた。
刀「今まで相手をした中で最も執念深い相手だったわね・・・」
つ「ああ、ああいうのはまた相手にはしたくはないな。さて、とりあえず養成所に行くか」
刀「インディのフリーダム、どうする?」
つ「G3で引っ張れ。でも、壊さないようにしろよ」
刀「はいはい・・・」
 フリーダムのまだ無傷な左足を掴むと養成所目指してG3セイバーは歩き始めた。

208整備兵:2006/08/16(水) 22:38:40
>>206
 そして、MSハンガー。
 運びこまれてきたコンテナを開放し、その内部の物体を確かめる整備兵。
 少女をみつめ、意味ありげに微笑んだ。

「面白みがないっちゃないやつを引いちまったな。
 開発コードMST-01、『全領域重装火器』なんて物騒な
分類名を付けられた兵装だ。
 ライフルの銃身上下に半月刀型の超震動ブレードを搭載、
さらに機関部中央部左右にビームシールド発生機構を搭載して
近接戦闘能力と防御能力を共に合わせ持たせてある。 
 
 ん?それじゃあ長距離戦闘に対応してねえだろ、だと?


 ・・・あ、いや、いちおうな。 
 長距離攻撃用オプションはあるんだよ。
 ほれ、銃身の下にグレネードランチャーみたいのがついてるだろ。
 専用弾頭を二発搭載できる。
 遠距離の敵はそいつで殲滅するってコンセプトなわけだ。

 弾頭の名前? 
 いや、ちょいと旧式でな。
 形式番号がMk-82なんだが。

 この基地にも『一発だけ』あるんだが。


 積むか?」

 
 男はこれ以上ないほど極上極まりない笑顔でもって少女に問うた。

209橙目の少女:2006/08/16(水) 22:46:35
>208

(il ヮ )

(少女は顔を青ざめさせた後静かに首を横に振ったという)

210クレア@格納庫:2006/08/18(金) 23:35:17
……喧騒と怒号に満ちた格納庫。
 無数のパーツやコンテナが散乱し、整備兵がわめき散らしながら
部下に指示を下している中。
 片隅に、まるで忘れられたように。
 白いシーツが敷かれている。
 見下ろすようにして、クレア・シモンズは立っていた。
 人の形に膨らんで、ところどころが赤くまだらに染まっている。
胸の辺りが不規則に、信じられないほど大きく膨らんではしぼむのを
繰り返している。
 震えているようにも、見えた。
 人型が奇妙な動きを繰り返すたび、シーツの赤いシミは大きく
なっていく。

 ああ──死ぬのだ。

 その事実を、クレア・シモンズはただ事実として認識する。
先ほどほとんど墜落するようにしてハンガーに入ってきた
ブルーアースのエールストライクだろうか。
 おそらくHESHなどの武装をまともにコクピットに受け、
砕けた内装に全身を引き裂かれたのだろう。

 傍らには誰もいなかった。
 おそらくこの基地に、今、彼の知人は誰もいないのだろう。
衛生兵はきっとモルヒネの一つも打って「簡単に助けることの
できる」負傷者の治療に当たっているのだろう。治る可能性
の低い重傷者に何時間も治療行為を行うより、簡単に治療できる
軽傷者を何人も救うほうが効率がよい。軽傷者ならば、治療を
施しさえすれば再戦力化すら可能であるからだ。
 
 そして、彼は、誰にも見取られることなく死んでいく。
 振り返れば、ところどころに傷を受けた漆黒のエールストライク
に整備兵たちが蟻のように群がり、必死の補修作業を行っていた。
 今この場にあっては、人の命よりも機械のほうが重要だ、と
いわんばかりの光景。
 きっと、平和主義者とやらなら怒号をあげるのだろう──そうも、
思う。どちらが大切か、考えずともわかりそうなものだろうに、と。
 ばかげた、話だ。
 戦場にあっても人の命が、味方の命が(それが「消耗品」と
して扱われることは紛れもない事実であるにせよ)大切にされる
ことは変わりない。
 そう──整備兵たちも、衛生兵たちも。 
 戦場という人命が乱費される定めにある空間にあって、「一人でも
多くの人間を救おう」としていることには変わりがない。
 一人でも多くの。そう、一人でも多くの命を救わねばならないから。
救いようのない命は、こうして見捨てねばならない。

211クレア@格納庫:2006/08/18(金) 23:35:30

 だから、こそ。

 クレア・シモンズはニュータイプであり、そうであるがゆえに
感じられる。
 力が足りず、人手が足りず、物資が足りず、設備が足りず、それ
ゆえに救えぬ命があることを衛生兵たちはああも悔やんでいて、
苛烈なローテーションの中、とても満足のいく仕事ができぬまま
傷ついたMSを送り出さねばならない整備兵たちもまた悔やんでいる。

 そう、こんな風景は戦場ではありふれたもので──
 彼らの中には悔やむ、悲しむなどという感情を忘却してしまう
ものもある。
 けれど、その多くはやはり人間で──それゆえに、怒りも悲しみも
忘れることができず、ゆえに苦しまねばならない。

 ……彼はどう思っているのだろう。
 ノイズだらけで急速に弱まっていく思念波など読みとりようがない。
これでは末期の声すら聞くことはできないだろう。
 こうして五体満足にある身が、このような感慨にふけること自体
贅沢きわまりない傲慢であり、なにより無駄な時間をすごしている
ことにほかならないことはわかっている。
 
 それでも、クレアは。
 身をかがめるとシーツをつまみ上げ、その最後の顔を記憶しようと
思った。

 彼ではなく、彼女だった。
 血に穢れたブロンドの髪を自分と同じショートボブに刈った、
おそらく20台前半くらいの女性。あるいは十代かもしれない。
 前髪に埋もれるようにして、こめかみに深々と構造材が突き
立っていた。これだけの傷を負って、彼女はそれでもこの基地に
帰って来たのだ。
 クレア・シモンズには、わからない。 
 機体をすくうために?あるいは助かろうとするために?
 なぜ彼女はこれほどの傷を負いながら意思を保ちえたのか、
脳に損傷すら負っているだろうに。

 横たえられた彼女の胸が、力尽きたようにしぼんでいく。
 白磁のように色がうせた肌が、かすかに青みを帯びていく。
喧騒の中、名も知らぬ彼女がゆっくりと息を吐き出す音が確か
に聞こえた気がした。
 それきり彼女の動きは止まる。
 クレアは周囲の人々がそうしているように、死体がまるで
存在せぬかのように背を向けた。
 まっすぐ、修理が進む漆黒のMSへと歩んでいく。
 乗り手が失われた以上、その機体がパイロットを必要として
いることは明白だったからだ。
 あるいは、探し回ればもっとましな機体が見つかるのかもしれない。
 あるいは、乗ったところでエラーが続出し、まともに戦うことすら
かなわないかもしれない。

 けれど──クレアには迷いはなかった。

 言葉を交わしたわけではない。
 意思をつないだわけでもない。
 ただ、命が消えていくのを見守っただけの関係。
 そんな関係しか持たなかった彼女の死に顔は。

 何かに満足したかのように、ほほえんでいた。

 そして、それだけで充分だった。

 作業を指揮する整備班の班長らしき男に、自分の姓名と所属を
告げる。
 班長は何も言わずに、うなずいた。

 復仇、というわけではない。彼女のことなど何も知らない。
 怒りを覚えたわけでもない。覚えるには魂は戦の味を覚えすぎている。

212クレア@格納庫:2006/08/18(金) 23:35:40

 それは言ってみれば義務感だった。
 名も知らぬ彼女が倒れ、そして彼女のMSには今乗り手がない。
ならば誰かが受け継がねばならなかった。引きつがねばならなかった。
これはきっとその程度のもので──そしてそれ以上の意味なんてない。

 だから、クレア・シモンズが死者に約束できるのは、たった一つの
ことだった。
 その微笑の理由は知らない。けれど、私はきっとそれを無駄になど
しない。
 クレア・シモンズが胸に刻んだ誓いとともにエールストライクに
搭乗、出撃したのは死を看取ってより10分後のことだった。


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