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下書き

1幸平@管理人:2012/03/02(金) 23:00:18
 下書き用

2幸平@管理人:2012/03/02(金) 23:01:22
 【あらすじ】
 2011年10月、日本国、航空自衛隊百里基地。

 航空観閲式に実行部隊として参加していた整備俺3尉は、
 同じ部署になった操縦俺曹長と意気投合する。

 観閲式閉会後の夜、基地内はお祭り騒ぎになっていたが、
 飲み過ぎた俺達はふとした拍子で基地の池に落ちてしまう。

 池から這い上がった俺達は、
 百里基地ではなく、異世界の第501統合戦闘航空団基地にいた。

 平和な日本から、ネウロイとの戦争とのど真ん中に放り込まれた俺達は、
 なし崩し的にウィッチ達と共にネウロイと戦うことになる。

 ――はたして、この世界で、俺達は生き残ることができるのだろうか?

10幸平@管理人:2012/03/12(月) 23:51:40
【プロローグ】
 2011年10月中旬。
 航空自衛隊百里基地で、航空観閲式が執り行われた。
 今回は天候が悪く、飛行展示は控えめになってしまったが、式典は無事に終了した。
 この式典の実行にあたっては、全国の部隊等から支援要員が百里に派遣され、
 実行部隊を結成していたのだが、
 幹部候補生学校を卒業し、整備幹部になったばかりの整備俺3尉も、
 原隊から百里基地に派遣されていた。
 そこで、同じ部署になった操縦俺曹長と意気投合したのだった。
 俺達は年が近く、名前も同じで、共通の趣味もあったため、すぐに仲良くなった。

 観閲式の閉会とともに実行部隊は解散となり、各要員は原隊に復帰することになった。
 観閲式の準備期間中は、基地内の広場に屋台村が設けられており、
 仕事が終わったあとは毎日のように飲んだくれていたが、それも今日が最後になる。

 先任幹部「それじゃ、航空観閲式の成功と、皆様の今後の活躍を祈って!」
 年かさの1尉――部内出身だった――が音頭を取り、
 乾杯という言葉が百里の星空に吸い込まれていく。

 俺達は、航空観閲式の成功を祝い、
 そして、別れを惜しみ、屋台村でお祭り騒ぎの真っ只中であった。

 整備俺3尉「空から魔法少女降ってこねえかなwwwww」
 整備俺は、制服のネクタイを頭に巻き、鼻には割り箸。
 俗に言う安来節という出で立ちであった。

 整備俺3尉「俺は血の繋がってない義理の妹が欲しいんだよッwwwww」
 操縦俺曹長「整備俺さん…、明らかに飲み過ぎですよwwwww」
 整備俺3尉「Bullshit! I can't here you! Sound off like your got of pairs?!」
 操縦俺曹長「サー、イエス・サー! …じゃなくて!!」
 整備俺3尉「らいじょ〜ぶ、らいじょ〜ぶっ♪wwwww」

 操縦俺はそこそこ酒に強かったが、整備俺はめちゃくちゃ酒に弱かった。
 やがて消灯時間が近づき、最後のお祭り騒ぎはお開きになった。
 操縦俺は、泥酔状態の整備俺を担ぎ、隊舎に戻ろうとしたのだが。
 整備俺「あ…、やばい///」
 整備俺が突然バランスを崩し、操縦俺も押し倒される形になった。
 ――そして、俺達は、2人揃って基地の池にダイブしたのだった。

11幸平@管理人:2013/03/27(水) 22:28:23
 初夏の陽光が心地よい、1945年の5月の頭。
 高く鳴った汽笛の音で、俺は目を覚ました。
 列車のブレーキが作動し、金属同士がこすれあう音とともに、速度はゆっくりと落ちていった。
「起きましたか、大尉っ」
 やや裏返った女の子の声は、今回の旅のお供でもある、俺の教え子のものだった。
 清潔感のある石鹸の匂とともに、柔らかくて温かい感触が、さっと離れた。

「ん…、ああ」
 俺は欠伸をかみ殺し、体を伸ばす。
 隣に座っていたはずの、教え子である女の子が、俺から少し離れてそっぽを向いていた。
 心なしか、その首筋から頬にかけて、ほんのりと紅色に染まっているような気がする。

12幸平@管理人:2013/03/27(水) 22:31:19
「何かあったんか?」
「は…いえっ、なんでもありませんっ」
「そうか。まあ、もう少しだからな」

 俺は、教え子をなだめるように、その背中に声をかけた。
 その、プレスの効いた濃紺色の扶桑皇国海軍第2種類軍装の背中は、未だにシワひとつついていなかった。
 江田島からの長旅にも関わらず、この教え子は、姿勢を正したまま一度も座席にもたれていないのだろう。

 「無理は良くないが、最後まで気を抜くなよ」
 「はい」
 半分は自分に言い聞かせるように言い、俺は時計を見た。時刻は15:30をわずかに回った頃だった。
 俺の時計が正確で、かつ列車の運行が時刻表どおりであれば、そろそろ目的地に着く頃合いだ。
 俺は、扶桑皇国海軍の制服、若草色の第3種軍装のネクタイを整えた。

13幸平@管理人:2013/03/27(水) 22:35:23
「終点です。着きました」
「そうだな」
 列車が停まり、ドアが開く。俺は、手早く荷物をまとめて席を立った。
 だが、それよりも一足早く、俺の教え子は、長い黒髪のポニーテールを揺らしながらプラットフォームに降りた。
 兵学校の課程生活においては、常に凛とした態度を崩さないこの教え子であるが、
 久しぶりに生まれ故郷に帰ってきたせいか、少女らしい無邪気さを見せてくれたような気がした。
 ふと見せたこの一面に、俺は、この教え子に対する評価をやや上方修正した。

 改札を抜けた俺たちは、のどかな地方都市らしい駅舎を後にした。
 ――四国は、道後温泉で有名な、愛媛県の松山市。それが、俺たちの目的地だった。

14幸平@管理人:2013/03/27(水) 23:43:42
 松山駅からまっすぐ北へ、伊予松山城に向かって歩く。半歩下がって、俺の教え子がついてくる。
 濃紺の第2種軍装をかっちりと着こなした海軍兵学校1号生徒、名を服部静夏という。
 歳は14。長い黒髪をポニーテールに結い、ツリ目がちで意思の強そうな瞳が印象的な少女であった。
 静夏は、兵学校では常に上位の成績を残している優秀な生徒であり、坂本からも高く評価されていた。
 静夏らが入校して間もない頃の、とある訓練における出来事から、
 「根性がある」として基幹隊員からも認められる存在となっていた。

 優秀であることに異存はない。
 ただ、この年齢でここまで振る舞えるということは、逆に、危うさ・脆さを内包しているように思える。
 それが、俺の静夏に対する率直な人物評であった。

15幸平@管理人:2013/03/28(木) 00:00:36
 突き当たって大通り、松山城南のお堀を右手に曲がる。そこで、俺は、教え子に訊ねた。
「中村、って家を知らないか?」
 日本――いや、扶桑にありがちな平凡な苗字の家だったが、俺の教え子は首を横に振った。

「どうしたのですか、大尉」
「大学のゼミの後輩が松山の出身で、今は呉の海兵団で新兵教育を受けているんだ。
 実家が城の近くだと聞いていたんだが」
「そういえば、大尉は、兵学校ではなく一般大学の出身でしたね」
「ああ。それで、この時期は奴も帰省してるはずだから、飲みに行きたいと思っていたんだけどな」

 正確に言えば、少し違う。
 俺の後輩は、2012年の春から海上自衛隊一般曹候補生として呉教育隊に入隊していた。
 この世界に、かつて俺が生まれ育った世界とのつながりを求めてしまうのは、消えることのない古傷を弄ぶ様なものだった。
 墓の中まで持っていかなければならない、愛すべき古傷。

16幸平@管理人:2013/03/28(木) 00:03:11
「士官が、兵と同じ席で飲むのですか?」
「階級じゃない。大学の先輩と後輩だ。俺たちは船乗りじゃないだろう。
 士官だの下士官兵だの、っていうのはあまり気にしてたらあかんで」
 こういう選民意識の強いところは、海兵出身の兵科士官特有の風潮であり、俺が未だに馴染めずにいるところだった。

 マッチボックスのような市電が、警笛を鳴らしながら俺たちを追い抜いていった。
 松山駅から城下町の目的地まで徒歩で移動していたのだが、意外と距離があった。
 松山に来たのは初めてだったので、目的地までは散歩がてら町の空気に直に触れたいという気分もあったためである。
 だが、旅の荷物も抱えているため、市電を使うのもそう悪くない選択肢であったかもしれない。

 後から知ったのだが、高浜の港から城下町へ向かうには、松山城の西、大手町で伊予鉄高浜線から市電に乗り換えるのが便利だという。
 だが、これも後になって静夏から聞いたのだが、俺があまりにも気持ち良さそうに寝ていたため、終点の松山駅まで起こさなかったのだという。
 大通りの向こうへと遠ざかる市電を見送り、俺は、上機嫌で、ある有名小説の一説を諳んじた。

17幸平@管理人:2013/03/28(木) 00:06:05
「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。
 小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜ぬかした事がある。
 なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない」
「?」
 だが、どうやら俺の教え子には通じなかったらしく、半歩引いた位置できょとんとしていた。

「夏目漱石だ。明治の文豪だぞ、知らんのか」
「軍人には、そんなもの不要です」
 静夏は、一転して拗ねたような表情になった。
 この教え子の姿勢・態度を、模範的だ、あるいは背伸びしていて微笑ましい、
 と評する同僚は多いが、俺が一番危ういと思っているところだった。

「軍人である前に、一社会だろう。
 それに、士官として人の上に立つ者であれば、こういう教養も持っておくべきだと思うぞ」
 この頑なな態度はどうにかならないものか。
 確かに、ウィッチとして一線に立てるのは、少女であることを許された非常に限られた期間でしかない。
 故に、早熟であることを求められるのだが、この教え子は、ずいぶんと生き急いでいるように思えてしまう。

18幸平@管理人:2013/03/28(木) 00:07:49
 松山城を過ぎ、なお東へ。
 城下町の中心、松山城跡に比較的近い武家屋敷の前で、教え子は脚を止めた。
「こちらです」
「おお……」
 その立派な門構えに、俺は感嘆の声を上げた。
 俺自身もそこそこの家柄の生まれだと自負しているが、それ故に、この教え子の出自を感覚的に理解することができた。
「静夏、ただいま戻りました」
 この、伝統を感じる荘厳な武家屋敷が、俺の教え子、扶桑皇国海軍兵学校第0課程1号生徒、服部静夏の生家であった。

 木製の門をくぐり、静夏は、玄関の引き戸をがらがらと開けた。
静夏、ただいま戻りました」
おお、静夏。よく帰ってきた」
 姿を現した初老の男性は、静夏の祖父である、服部予備役海軍少将であった。

19幸平@管理人:2013/03/28(木) 22:47:40

――
――――

 2週間前、扶桑皇国海軍江田島海軍兵学校、教育部庁舎教官室にて。
「以上。報告終わります」
「あいよ。んーと、印鑑印鑑。ほあたぁ!」
 教育当直学生の勤務日誌に目を通し、俺は確認印を捺した。
 勤務日誌を返しながら、俺は、ふと壁のカレンダーを見遣った。
 彼女ら**期零課程が兵学校に入校してから、1ヶ月ほどが経過していた。
「服部候補生」
「はい」
「ここの生活には慣れたか?」
「はい!」
 当直学生、服部静夏候補生は、よく通る声で答えた。
 この時期というのは、少女達の顔つきや立ち振る舞いに、軍人らしさが感じられるようになる頃である。
 (と、言われている)
 1ヶ月という期間は、成長期の少女たちを変えるのに十分な時間であるようだった。

20幸平@管理人:2013/03/28(木) 22:50:11
「服部候補生は、連休は帰省するのか?」
「はい」
「そうか。親御さんに成長した姿を見せてこいよ。くにはどこなんだ?」
「はい。松山です」
「松山かあ。道後温泉は近いのか?」
「はい。近いです」
「いいね。俺も連休は道後温泉に行ってみたいと思ってたんだ。近くまで、一緒に行ってもいいか?」
「はいっ!」
 ――普段は凛としたこの教え子の声が、心なしか弾んでいる気がした。

――――
――


21幸平@管理人:2013/03/28(木) 22:51:58
 現在、愛媛県松山市、道後温泉本館。
「――――」
 いい湯だ。俺は、浴槽のなかで、大きく体を伸ばした。
 服部家に荷物を置いたあと、俺たちは、市電を乗り継いで道後温泉まで来ていた。
 モダンと古風が同居する温泉街は情緒にあふれており、俺たちは、
 そのなかでも、ひときわ大きな存在感を放つ、道後温泉本館を訪れていた。
 身も心もすっかり温まったところで、俺は風呂から上がり、浴衣に着替えた。もちろん、着付けなんてテキトーだ。

22幸平@管理人:2013/03/28(木) 22:53:25
 脱衣所ののれんをくぐり、板張りの廊下の先には休憩室がある。
 その、畳張りの座敷では、浴衣姿の静夏が姿勢を正して待っていた。
 まるで、よく躾られた犬みたいだな、と、俺はそんな印象を抱いた。
 静夏を横目に、ビン入りの牛乳を2本買い、俺は静夏の前に座った。
「悪い、待たせたかな」
「はい。…あ、いえ」
「まあ、飲めよ」
 俺は、牛乳ビンのキャップを外し、静夏に勧めた。
「は、はい。ありがとう…、ございます」
 静夏は、恭しく両手で牛乳ビンを受け取った。
 その頬が心なしか紅くなっているのは、多分気のせいではないと思う。
 俺がビンに口をつけると、それに合わせて静夏も牛乳を飲み始めた。律儀な奴だ、と俺は思った。

23幸平@管理人:2013/04/17(水) 23:57:06
【√確定前】

 整備俺「この、どたわけえぇぇぇぇぇ――――ッッ!!」
 エイラ「ひいいいぃぃぃっ!?」

 整備俺とエイラが言い合いになったとき、サーニャが、さらっと爆弾発言をしてくれた。
 サーニャ「仲良いんですね。エイラと、整備俺さんって」
 整備俺・エイラ「「はああ!?」」
 あ、ハモった。
 サーニャ「整備俺さんの前だと、エイラって、なんだか無防備になっているような気がします」

 エイラが物凄い表情をしている一方、サーニャは心底嬉しそうな様子だった。
 サーニャ「2人とも、仲の良い、兄妹みたいです」
 整備俺「はあ。さいですか」

 そんな、やりとりがあった、数日後。

24幸平@管理人:2013/04/17(水) 23:59:06
【√確定(1)】

エイラ「サーニャが部屋を間違えて、私のベッドに寝に来ることがある」

エイラ「そのことが、実はちょっぴり、いや、けっこう嬉しかったりする」

エイラ「それを、今度は私がアイツに仕掛けてみようと思う」

エイラ「占いの結果は節制の正位置」

エイラ「きっと、なんとかなる」

エイラ「だから、アイツに、とびきりのいたずらをすることにしたンダ」

----

【エイラSide】
 今日のシフトはデイアラート要員だったので、夜はオフ。
 消灯ラッパが鳴り終わったあと、部屋を抜け出し、
 ウィッチ居住区から一般隊員居住区のBOQ(独身士官隊舎)に向かった。
 普通の基地のBOQは相部屋が相場となっているが、501はウィッチを除いた士官の数が極端に少ないため、
 1人に対し1部屋が与えられていた。
 BOQは空き部屋が多いので、アイツの部屋を探し当てるのは簡単だった。

 部屋の鍵は当然のように開いている。
 夜目だけを頼りに、アイツのベッドの下に忍び込んだ。
 これでいたずらの準備はOKだったが、アイツはちっとも部屋に帰ってこなかった。

25幸平@管理人:2013/04/18(木) 00:05:33
【√確定(2)】

エイラ「(遅いナ…)」

エイラ「(仕事終わんないのかナ…)」

 ただ、どれだけ仕事が夜遅く朝早くても、意地でも自分の布団で寝る、というアイツのこだわりはリサーチ済みだった。

エイラ「(眠い……)

 せっかくだから、アイツの布団にもぐりこんでみることにした。

エイラ「(布団、温かいナ。アイツの匂いがする……)」

 温かくて、気持ちよくて、なんだか眠くなってきた。

エイラ「Zzz...」

 ドアの開く音。
 この足音は、間違いなくアイツだ。
 部屋の明かりが灯る前に、急いで、かつ物音を立てないようにして、ベッドの下に隠れた。

 服を脱ぎ捨てる音。
 シャワーの水音。
 くやしいけど、その様子を妄想してドキドキしてしまった。

27幸平@管理人:2013/06/17(月) 23:00:32

――
――――


 美汐「聞こえますね。夜の響きが」
 真琴「うんっ、しびれちゃう。わたしたちの音!」
 美汐「走りたくて、うずうずしてますね」
 真琴「ぶっとばしたくてね!」

 真琴「あうーっ、おそいのよ!」
 美汐「“Bay-LagoonRACING”!!」
 一同「水瀬名雪!」
 一同「水瀬名雪!!」

28幸平@管理人:2013/06/17(月) 23:06:45
PrologueNight
CrimsonMoon


 祐一「ついてないよな」
 舞「………なにが」
 祐一「こわくないのかよ? お前のファーストランが、こんな夜でさ」
 舞「…………?」
 祐一「いい度胸じゃないか」
 舞「なにが言いたい?」
 祐一「今夜は、さ…………」

 祐一「伝説が蘇る夜さ……」

 美汐「わかっていますね? ルールはいつも通りです」
 真琴「あうーっ、水瀬名雪!」
 真琴「わたしたち“NightRACERS”の美汐かあんたか、どっちが『横浜最速』にふさわしいか、今夜はっきりさせてやるんだから!」
 久瀬兄「不敗記録だかなんだかしらねえが、貴様のレジェンドは、ここでジ・エンドってわけだ!」
 名雪「能書きならもう十分だよ。安心してよ、全員まとめてかまってあげる」


 名雪「舞ちゃん、気にしないでいいんだよ。ただ走ればいいの。感じるままに」
 祐一「おれたちの獲物は、久瀬圭介のインテRってとこだな」
 舞「獲物……?」
 祐一「獲物、すなわちライバルのことだな」
 舞「ライバル……?」
 祐一「ほら、見ろよ。あそこにいるだろ」
 祐一「あいつだ、あいつ。ナイトオレンジのインテR、あれが久瀬圭介だ」
 舞「……ああ……」

29幸平@管理人:2013/06/17(月) 23:13:56
――――
――


 舞「(伝説が蘇る夜…か)」
 舞「(……くだらない)」
 舞「(私はなにひとつわかってなかった)」
 舞「(今夜、ベイラグーン埠頭に集まってる人たちが、なにを待っているのか、なぜこんなに熱くなってるのか)」
 舞「(もてあました時間を埋めるために来てるのは、私ひとりだけ…みたいだった)」


Bay-Lagoon SHORT 2Laps

Starting GRID
PP Nayuki Minase(BLR) SKYLINE RS-Turbo [DR30]
2nd Mishio Amano(NR) 180SX type-X [RPS13]
3rd Makoto Sawatari(NR) Silva Q's [S14]
4th Sayuri Kurata(BLR) RX-7 GT-X [FC3S]
5th Keisuke Kuze(NR) INTEGRA type-R [DC2]
6th Yuichi Aizawa(BLR) SUPRA TwinTurbo-R [JZA70]
7th Mai Kawasumi(BLR) LEVIN GT-V [AE86]

MISSION : ナイトオレンジのインテRを駆る久瀬圭介に勝利せよ

――――
――


30幸平@管理人:2013/06/17(月) 23:14:38

 舞「(……嘘みたいだった……)」
 舞「(私の手が震えてる。ステアリングが汗ばんでる)」
 舞「(私はゴールするだけで精一杯だった)」
 舞「(窓を開けて、風を入れる)」
 舞「(熱くなった空気を冷やさなきゃ、どうかなってしまいそうだった)」
 舞「(聞こえてくるのは、風の音にまじったエンジン音と、名雪先輩を讃える声)」
 舞「(ギャラリーしてた人たちが、口々にざわめいてる)」

 「勝ったのは“BayLagoonRACING”の水瀬だ!!!」
 「天野をあんなに離すなんて、どうなってるの!?」
 「これで何連勝じゃ!? 不敗神話も生きてるのう!」
 「たしかに、10年前の最速の男よりも速いかもね」
 「『横浜最速の走り屋』…水瀬名雪。新たな伝説の始まりだなッ!!」


 舞「(………熱い風に溶けてく…………)」
 舞「(……伝説の始まりを告げる……)」
 舞「(……夜を讃える声の群れが……)」

 舞「(これが……新たな伝説の生まれた夜の話)」
 舞「(誰もが浮き足立ってた。もしかして、私も……)」

 舞「……冗談じゃない」

 舞「(何一つ見えなかった。名雪先輩の走り……)」
 舞「(………テールランプすら、私の視界に入ってなかったんだ)」
 舞「(私は………ただ身体の震えがとまらなかった)」
 舞「(……こんなのは、はじめてだった……)」


【The Night is COMPLETED】

31幸平@管理人:2017/08/19(土) 23:08:23
Name Entry System Login Password ********
NAME : MAI KAWASUMI(川澄 舞)
AGE : 18
SEX : Female
→EXIT

◆!WARNING!◆
この物語はフィクションであり、登場する人物・地名・団体等はすべて架空のもので、実在するものとは一切関係ありません。車の運転は交通ルールを守り、安全運転を心がけましょう。


――
――――

「よくやるよな、お前も」
 横浜市内に店を構えるチューニングショップ“RBF”、その片隅にある旧ガレージで、ハチロクレビンのボンネットを閉め、依田孝介は、半ばあきれたように言った。
「…………何が」
 川澄舞は、ペットボトルのミネラルウォーターを一口だけ飲み、答えた。
「もうちょっと、緊張したりするもんだろ。普通は」
「…………?」
「ハチロク、オモテに出すぞ。相沢、手伝ってくれ」
「りょーかいです」

 今ひとつ状況を把握できていない舞の様子に、孝介は心の中でため息をつき、相沢祐一とハチロクの車体を押し出した。ガレージの軒先に、白黒ツートンのハチロクと銀色の180SXを並べ、孝介と祐一は顔を見合わせ、にやりと笑った。くたびれた感じの180SXと比べると、ハチロクの真新しい塗装が際立って映える。
 銀色の180SXも、白黒のハチロクも、どちらも元々は祐一が乗っていたクルマだった。舞が新人としてチームに加わったのは、ちょうど祐一が180SXから70スープラに乗り換えたタイミングであったため、ハチロクを製作している期間は、舞が練習用として一時的に使用していた。180SXではなくハチロク乗りとしてデビューするのは、孝介や祐一を含む周囲が望んだことであった。
「まったく。天然というか何というか。そういう所まで名雪にそっくりだ」

 水瀬名雪。舞や祐一が所属するチーム“RacingStars”のリーダー。祐一の従妹かつ幼馴染にして、かつては群馬最速のダウンヒラーとして名を知られたハチロク乗り。そして――今夜の主役となるべき人物。

「こわくないのかよ。お前のファーストランが、こんな夜でさ」
 ああ、こいつ、先輩風を吹かすどころか、柄にもなく酔ってやがる。そんなことを思いながら、孝介は、後輩2人のやりとりを眺めていた。でもまあ、今夜ばかりは仕方ないか。
「何が言いたいの?」
「今夜は、さ…………」
 もったいぶるように一呼吸して、祐一が続ける。
「……伝説が蘇る夜さ……」

 6月なので、だいぶ日が長い。月が上ったあたりで、赤黒ツートンのクルマがRBFの敷地に入ってきた。往年のシルエットフォーミュラーを模した旧いスカイラインRSターボは、チームリーダーである水瀬名雪のクルマだった。チームNo.2である倉田佐祐理が合流したのは、もう少し経って、日が完全に暮れた頃だった。
 打ち合わせの途中で夕立が降ったが、すぐに晴れた。

「祐一さん。そろそろ時間ですよ。ほら、舞も」
「舞ちゃん。気にしないでいいんだよ、ただ走ればいいの。感じるままに」
 名雪がRSターボに、佐祐理がFCに、祐一が70スープラに搭乗し、エンジンを始動させる。舞もハチロクレビンに乗り込み、孝介は親指を立てて送り出した。
「(残る奴と降りる奴…、だた、それだけだ)」
 そう思うのは、一線を退いた者特有の感傷なのだろうか。店舗2階の事務所の窓から、紅い満月を見上げ、孝介はマグカップの冷めたコーヒーを飲んだ。遠くから、エンジンの爆音が響いてくるような気がした。

33幸平@管理人:2018/01/06(土) 13:51:28
緑ソフィア「ラトルスネーク!!」
ソフィア「あうっ」「ぐはっ」
緑「その程度?あんたの力ってのは…」高笑い
緑「全く話にならない殺試合だわ」
ソフィア「だまれ!!」
ソフィア「貴方は何も感じないの!?」「こうして同じ容姿をした私達がこんな形で闘ってるなんて!!」
ソフィア「私達はあの秘密結社によって運命までも弄ばれようとしているのよ!!」
緑(高笑い)
緑もちろん知ってるわよその程度のこと」「でぇもねぇ…」
緑「要は世の中強い者が勝つ…それでいいじゃない」
緑「それにこの闘神大武会…」「私にとっては願ってもないチャンスなのよ」
緑「まず第一に己の力の限界を知る為に――」「そして第二に――」
緑「私は二人いらない!!」「目ざわりなんだヨ実験体の分際で!!」「消えてしまいな!!」
ソフィア「ああっ」「ううんっ」「ぐはっ」「!」「はっ!!」
ソフィア「フッ」「あの小娘に教えられるとは…私もまだまだ未熟だな」
ソフィア「そうだよォ」「何が何でも私はこの大会」「負けられないんだよ!!」
緑「貴様ァァ」
ソフィア「コール・ミークィーン!!」
緑「ぐああああっ」
ソフィア「いつでもお相手するわヨ」

34幸平@管理人:2018/01/06(土) 14:43:42
第304飛行隊

霧谷 鷹子(きりたに たかこ)
本作の主人公。2等空佐、第304飛行隊長(TACネーム“キリー”)
搭乗機はF-15DJを改修したF-15DJi“イーグルアイ”
(東大卒、技官補制度を利用した2佐相当であり、正規の自衛官ではない)

國村 武(くにむら たけし)
3等空佐、第304飛行隊飛行班長(TACネーム“クッキー”)
第304飛行隊においては部下の久茂1尉と並んでトップクラスの腕前だと評されているが
オーバーGの常習犯でもあり、久茂1尉から「ダンプカー」と呼ばれる等、直情的な性格
ヘルメットに描かれた目が本人の感情と連動するコミカルな描写がある
(航空学生出身であると考えられる)

久茂 誠太郎(くも せいたろう)
1等空尉、第304飛行隊所属(TACネーム“メッシュ”)
第304飛行隊においては上司の國村3佐と並んでトップクラスの腕前だと評されている
(航空学生出身であると考えられる)

児島 敦弥(こだま あつや)
2等空尉→1等空尉、第304飛行隊整備小隊長
叩き上げの部内幹部であり、國村3佐からも一目置かれている様子が見られる
整備補給群司令からも信頼されており、吉村や椎原とも旧知の仲であり人脈が広い
硫黄島における日米合同演習の後、1等空尉に昇任

蝶野
3等空佐、第304飛行隊所属(TACネーム“パピ”)
穏やかな雰囲気のベテランである
國村3佐をして「おれと蝶野で何とかする」と言わしめた
終盤の空中戦で、中国空軍機に乗機が撃墜される(生死の描写はない)
(航空学生出身であると考えられる)

古矢
1等空尉、警戒航空隊(浜松)から第304飛行隊に異動(TACネーム“ウルフィ”)
要撃管制官、E-767 AWACSに搭乗していたが、イーグルアイの後席に搭乗する
児島2尉から「浮いている」と心配される

付幹部
3等空尉、丸顔の若手幹部であり、のん気な性格

機付整備員
主に2等空曹クラスの体格の良い女性自衛官(WAF)である
整備作業中は『イーグル愛』と記入された部隊Tシャツを着用している

その他、第8航空団
松澤 駿一(まつざわ しゅんいち)
空将補、第8航空団司令

江久間 籾蔵(えくま もみぞう)
1等空佐、飛行群司令

根来 龍生(ねごろ たつお)
2等空佐、第6飛行隊長

御堂(ゾロ)、照川(テリー)、一文字(モンジ)、田内(ウッチ)
第6飛行隊所属。階級が判明しているのは御堂のみ(2等空尉)

大胡内 力(おおこうち りき)
1等空佐、整備補給群司令

椎原
階級不明、第6飛行隊がF-1を運用していた時代に整備班長を務め
F-1の用途廃止に伴い事務職に転向


南西航空混成団隷下

織田
1等空佐、南西航空混成団副司令

ジャック、ディッシュ、ジェリー、フィーバー
第83航空隊第302飛行隊所属、3等空佐

整備小隊長
第83航空隊第302飛行隊の整備小隊長を務めるパンチパーマ

その他
吉村 実(よしむら みのる)
1等空佐、飛行開発実験団Jファイタープロジェクト推進室副室長
モデルは元空将補で補給本部副長や第1術科学校長を務めた人物か?
(作者の前作『原子力空母信濃』に実名で出演し、整備隊長を務めた)

391st/緑:2018/01/15(月) 23:14:15
「ラトルスネーク!!」
「あんっ! ああんっ!」
 体じゅうを鞭で打ちのめされ、私――ソフィアは、リングの床に叩きつけられた。
「っは……!」
 鞭打と足技で手ひどく痛めつけられた体は、なかなか言うことを聞かない。
「その程度? あんたの力ってのは…」
 敵――もうひとりの『ソフィア』が、私を見下し、耳障りな高笑いをあげた。
「全く話にならない殺試合だわ」
「だまれ…っ!」
 なんとか立ち上がる。
「貴方は何も感じないの…? こうして同じ容姿をした私たちが、こんな形で闘ってるなんて…っ!」
「私たちは、あの秘密結社に、運命までも弄ばれようとしているのよ!?」
緑(高笑い)
緑もちろん知ってるわよその程度のこと」「でぇもねぇ…」
緑「要は世の中強い者が勝つ…それでいいじゃない」
緑「それにこの闘神大武会…」「私にとっては願ってもないチャンスなのよ」
緑「まず第一に己の力の限界を知る為に――」「そして第二に――」
緑「私は二人いらない!!」「目ざわりなんだヨ実験体の分際で!!」「消えてしまいな!!」
ソフィア「ああっ」「ううんっ」「ぐはっ」「!」「はっ!!」
ソフィア「フッ」「あの小娘に教えられるとは…私もまだまだ未熟だな」

「そうよ。何が何でも、私は、この大会――――」
 私は、自分自身に気合を入れるため、鞭を鳴らした。
「負けられないのよっ!!」
 鞭を振り、雷の環を放つ。
緑「貴様ァァ」

「コール・ミー…」
 練りあげた闘気を開放し、ダイヤモンドダストのように輝く光に包まれる。 
「クィーン!!」
「あああああんっ!!」
 断末魔の悲鳴を上げ、吹き飛んでいった。
 リングの縁、リングアウトすれすれのところに留まる緑を見下し、私は、勝ち名乗りを上げる。
「いつでもお相手するわよ」

401st/緑:2018/01/16(火) 20:15:34
 ソフィアはKGBのトップエージェントとして働いていた。組織の誰からも羨望のまなざしを受け、完璧な人物に見られていた彼女も、苦しみを心に抱えていた。
 家族との思い出が矛盾している――。
 家族と自分の記憶に違いがあるのだ。
 祖国の崩壊によりKGBが消滅した際、あらゆる組織や企業からスカウトされたが、彼女はすべて断り、どんなに些細な情報でも手に入れるために、しがない私立探偵となったのだ。調査を重ねるにつれ、記憶に関わる結社の存在が浮かび上がった。そして、本格的に動き出そうとした矢先に、結社から闘神大武会参加招待状が届いた。
 母は反対したが、ソフィアは翌朝旅立った。家族には何も告げずに、愛用の鞭のみを携えて。母は哀しむだろうが、それでも行かなければならない。駆け出すソフィアの後ろ姿を、母親はだまって見送っていた…。

42幸平@管理人:2018/02/15(木) 23:14:50
「それでは、これはいかがです?ミス・ウラヌス」
「これは…?」
「もとは【新人類計画(人間兵器プロジェクト)】の実験体のひとつです」
「名を【ソフィア】といいます」
「新人類計画というと、肉体的に優れた人間を創り出す計画だったな」
「強いのですか?」
「この実験体が、奇妙な技をいくつか使うことも確認されております」
「中には強度のキルリアン反応を示すものもありました」
「ほう、増幅器なしにですか?」
「はい。実はこの実験体は新人類計画の職官者――この実験体の母親らしいのですが」
「彼女と共に脱走し、消息を絶っておりました」
「しかし、このところ我が結社を調査している者がありまして」
「そこがこの実験体だったというわけです」
q's reception
「おそらく自分が何者なのか調べているのでしょう」
「あと、非常に興味深い現象がありまして――」
「うん?」
「この実験体の外観のせいなのか、何なのかはわかりませんが…」
「ある種の人間に対し、物別な影響を与えることも確認されております」

45幸平@管理人:2018/02/24(土) 11:10:29
 日本、東京
 廃墟となったダンスフロアで、ソフィアは踊っていた。
 (荒れ果てた)
 しなやかで華麗な舞いは、新体操やフィギュアスケーター
 しかし、ソフィアが手にしているのは、リボンではなく、革の鞭だった。

「サンダーリング!」
 雷の環を放つ。
「オーロラレボリューション!」
 フィギュアスケーターのように、高速でスピンする。
「ラトルスネーク!」
 鞭を操り、

 ひととおり技の感覚を確かめ、ソフィアは動きを止めた。
 結社の四天王の一角、“緋色の堕天使”クピード
 傷ついた体を癒し、次の道へ進もうとしていた。

46幸平@管理人:2018/02/25(日) 10:03:51
「とりあえず、お手並み拝見といくぜっ!」
「烈空斬!」
「サンダーリング」
「いない!?」
鞭、蹴上
Q'sR
「なかなかやるね、お姉さん」
「おだまりっ」
「ラトスルネーク」
「オーロラレボリューション」
「コールミークイーン」

47幸平@管理人:2018/02/25(日) 10:32:02
 至近距離から放たれた円環状の雷撃が、ソフィアに吸い込まれるように直撃する。
「サンダーリング」
「あんっ!」
 体じゅうにスパークが走り、ソフィアは体を折った。

「オーロラレボリューション」
 遠心力で破壊力を増した鞭が、ソフィアの無防備な脇腹を何度もえぐる。
「あんっ! あんっ! あんっ! あんっ! あんっ!」

「ラトルスネーク」
 乱舞する鞭が、ソフィアの体を何度も撃ちのめす。
「――――!」
 絶え間ない鞭の連撃に、声すら出ない。フィニッシュの一撃に足元をすくわれ、ソフィアはきりもみ状態に回転しながらリングの床に沈んだ。

「コールミークイーン」
 ダイヤモンドダストのように輝く闘気を身にまとい、空中に不規則な軌道を描いて加速する。
「あああああんっ!」
 威力を増した体当たりが直撃し、ソフィアはなす術もなく吹き飛ばされた。

「はっ!」
 気合の声とともに、鞭が加速する。
「サラマンダー!」
 闘気の炎に包まれた鞭の乱舞は、ラトルスネークよりも、威力、スピードも桁違いであった。
「――――!!」
 炎の鞭をまともに受け続けたソフィアは、フィニッシュの一撃で吹き飛ばされ、リングの床に叩きつけられた。

「触ってもいいのよ」
 胸を強調するように手招きし、ソフィアに近づく。体と体が触れ合った瞬間――
「ラブラバー」
 闘気の光とともにスピンを描き、ソフィアの周囲を回り始める。
「あんっ!あんあんっ!あんっ!」
 遠心力が乗り、闘気で破壊力を増した鞭が、ソフィアを何度も打ちのめす。

58【ver.1.80】(1):2018/04/23(月) 21:14:25
「あん! あんっ! ああんっ!!」
 白一色の無機質な空間、その中央のリング上で、ソフィアは途切れることのない攻撃を浴び続けていた。鞭打たれ、足蹴にされるたびに、ソフィアは艶のある喘ぎ声をあげる。
 上段から鞭を叩きつけられ、ソフィアの体がぐらつく。つま先が腹部に突き刺さり、体を折ったところで、今度は胸部を蹴り上げられて大きくのけ反る。その横っ面を後ろ回し蹴り(ウィンドミル・キック)で撃ち抜かれ、ソフィアはリングの床になぎ倒された。
 闘いというにはあまりにも一方的な蹂躙の様子は、リングを取り囲むように設置された多数のカメラに記録されていた。
 白っぽい灰色のバトル・コスチュームをまとったソフィアは、【被験体3号】というコードが与えられた個体であり、性能の一部を抑えるかわりに打たれ強さを重視した特性に調整されていた。鞭や足技がヒットするたびに、その衝撃で、豊満な乳房や長いポニーテールが不規則に揺れる。
 被験体3号を一方的に痛めつけているのは、彼女とよく似た容姿の女だった。【被験体4号】のコードが与えられた個体は、ライトブラウンの髪をポニーテールにまとめ、朱色と橙色を基調にしたコスチュームをまとったソフィアだった。
 被験体3号の白いコスチュームは、オリジナル・ソフィアと基本設計を同じくしていたが、被験体4号のコスチュームは、新型のものが採用されていた。上半身のデザインは、材質が一部変更されたものの基本的な設計は従来型を踏襲していたが、下半身には前後に垂が追加され、足元もニーハイブーツからシンプルなデザインのハイヒールに変更されていた。
 従来型ソフィアのコスチュームは、SMの女王様を強くイメージさせるようなボンデージスーツ風のデザインであり、挑発的な色香を放つものであったが、新型ソフィアのコスチュームは、フォーマルなドレスのようなデザインも取り入れられており、エレガントな色気を感じさせるものに変更されていた。

59【ver.1.80】(2):2018/04/23(月) 21:15:32
 被験体3号の鞭や足技はことごとく防がれ、避けられる一方で、被験体4号の攻撃は面白いように決まり、次々と被験体3号を打ちのめす。その様子は、ジェラード財団の会議室にライブ中継されており、その会議室には、ジェラード財団の主要幹部が召集されていた。

「この性能差。確かに、パワーもスピードも、更に強化されているようですね」
 スクリーンの正面に座る女の言葉に、何人かが頷いた。出席者のほとんどが黒服を着用しているのに対し、この女だけが白銀の甲冑を装備していたが、それが許されているのは、この女が、財団で最も高い地位にいるからに他ならなかった。

 スクリーンには、足元を蹴り飛ばされ、リングの床にうつ伏せで倒れる被験体3号の様子が映し出されていた。カメラが操作され、白いニーハイブーツがズームアップされる。焦茶色のストッキング、大胆なハイレグ状のボディスーツ、緑色の長いポニーテールへと、被験体3号のボディを舐め回すようにカメラが移動する。苦悶の表情が浮かぶ横顔が大写しになったところで、被験体3号は薄目を開けた。片膝を立て、何とか立ち上がろうとしたところで、再び鞭打のシャワーを浴びる。振り下ろされた鞭に首元を撃たれ、被験体3号は力なく崩れ落ちた。
 リングの床に仰向けになった被験体3号を、被験体4号が前かがみの姿勢で覗きこむ。カメラが切り替わり、被験体4号を正面からアップで映し出す。図らずとも胸の谷間が強調されるような構図となり、会議室の視線が、被験体4号の胸部に集中する。被験体4号のバストサイズは、被験体3号のそれよりも、より大きな闘気に対応するため、幾分か増量されているようだった。

65【ver.1.80】(3):2018/04/25(水) 21:17:07
「オーバードライブ・システムを適用したのですね」
 甲冑の女が、白衣の研究者風の男に訊ねた。 
「は。ご明察のとおりです」
 満身創痍の被験体3号は、片膝を突き、なんとか立ち上がった。その足元はふらついており、鞭を構えるのがやっとの状態であった。
「改修による性能向上は、確かに目を見張るものがある。より強力な技も必要なのではないか?」
 別の幹部の男が、白衣の男に意見を述べた。白衣の男は、その幹部の言葉に頷きつつも、端末機器にコマンドを打ち込んだ。
「オーバードライブ・モードを披露いたしましょう」
 被験体4号が、闘気を解放した。輝く闘気を身にまとい、被験体3号に向けて手招きする。キラキラと光輝く闘気が尾を引き、被験体4号が加速する――――。

「あん! あんあんっ! ああんっ!!」
 重い打撃音とともに、被験体3号の悲鳴が何度も響く。衝撃で体を折り、突き飛ばされて何度も床を転がり、リングの端でようやく停止した。うつ伏せに倒れる被験体3号の無防備な背中を、被験体4号がヒールで何度も踏みにじったが、被験体3号の反応はない。戦闘の継続が不可能なのは、誰が見ても明らかだった。
「オーッホッホッホッホ!」
 白一色の無機質な実験場に、被験体4号の高笑いが木霊する。

67【ver.1.80】(4):2018/04/25(水) 21:46:46
 オーバードライブ・モードの威力を目の当たりにしたことで、会議室に小さな波紋を生んでいだ。その余波が残っているなか、別の白衣の男が、状況を淡々と伝えた。
「被験体3号、闘気残量5パーセントを切りました。生命反応低下」
「よいでしょう。ソフィア強化改修型の研究開発計画は、この実証試験をもって完了とします」
 甲冑の女が、その美貌に似つかわしい優雅な口調で、満足の意を示した。最高幹部の言葉に、会議室の空気も幾分か緩む。
「ロールアウト待ちのソフィアは何体ありますか?」
「強化型は、この4号と5号が試験運用中、6号と7号がほぼ完成しております」
「わかりました。では、7号までの供用を認可します。被験体3号も、順次強化型に改修すること。廃棄待ちの2号は、改修の素材に用いて構いません」
 甲冑の女は、追加の指示を与えると、数人の腹心を伴って会議室を退出した。その美貌が、野心と欲望で醜く歪んでいることに気付いた者は誰もいない。
「人間兵器開発プロジェクト…、思わぬ拾い物でした。せいぜい、組織の――ひいては私の糧になるのです」
 甲冑の女――コードネーム【ウラヌス】は、かつてはクピードらと並び、ジェラード財団の【四天王】と称されていた。前回の闘神大武会で、クピードらがオリジナル・ソフィアに敗れ去ったことにより、組織の最高権力者となったウラヌスは、人間兵器開発プロジェクトすらも手中に収めていたのであった。

69【ver.0.01】:2018/06/06(水) 21:44:30
 景色が色彩を失い、全ての音が遠のいていく。意識が落ちようとするそのとき、ソフィアは、幻を見た。目の前の空間が淡い光を放ち、浮かび上がる一振りの鞭、どこか懐かしさすら憶える女の声が優しく響く。
『闘いなさい、ソフィア』
 その声は、幻聴にしては、やけにはっきりと聞こえた。ソフィアの手が、自分の意思とは関係なく、目の前の鞭へと伸びる。その鞭の名は――――
「来なさい…っ! クラースヌイ…ブーリァ……っ」
 鞭を手にした瞬間、ソフィアの体の中を、熱い鼓動が駆け巡った。
「(私のなかで…何が…起きてるの……?)」

 次の瞬間、ソフィアの闘気が爆発的に膨れあがり、至近距離で巻き込まれたプロトが吹き飛ばされていった。まばゆい光に包まれたソフィアは、空中に浮かびあがり、十字架に磔にされたような姿になった。ボロ雑巾同然になったライトグレーのパーカーも、デニムのホットパンツも、黒いサイハイソックスも光の中で弾け飛び、ソフィアは一糸まとわぬ姿になる。虚ろだったソフィアの瞳に力が宿り、白磁の柔肌に刻まれた無数の傷跡が一瞬で癒えた。なおも奥底から沸き続ける闘気が、黒光りするソフィア・オリジナルのバトル・コスチュームを形成していく。
 ピンヒールのニーハイブーツと、二の腕まであるロンググローブに、レオタードに似たタートルネックのボディスーツが、ソフィアの体にフィットした。超ハイレグのボディスーツは、胸元のジッパーが開け放たれ、そこから見事な谷間が覗いている。SMの女王様のようなコスチュームは、腕と脚が絶妙なバランスで露出しており、エナメルの光沢と相って倒錯的なエロスを醸しだしていた。長いブロンドの髪は、赤い髪留めでポニーテールにまとめられ、下乳にフィットする金属製の鎧と、丈の短い半袖のジャケットが装着され、ソフィアのバトル・コスチュームが完成した。

「オーッホッホッホッホ!」
 全身を満たす高揚感に、ソフィアは、女王様然とした高笑いをあげた。

71幸平@管理人:2018/07/16(月) 21:14:11
エイジ(まいったな…中距離はこの姉ちゃんの間合いだし)
エイジ(かといって懐に飛び込んでもスキはねーし…)
ソフィア(しぶとい…!!ずい分と体力バカの坊やだね)
ソフィア(だけど私の過去を取り戻すためにも――とどめを刺させてもらうよ!!)
ソフィア「コールミークイーン!!!」
ソフィア「え!?あの目は!?」
エイジ「今だ!!」
エイジ「飛翔斬!!」
ソフィア(あの目はどこかで――)
ソフィア「ああっ!!」
ソフィア(この技もどこかで…――どこで?)
ソフィア(ああ…やっぱりこの技だ…じゃあ あの人は…?あの男の人は一体――!?」
エイジ「連続でいくぜ!!!」
エイジ「百鬼猛襲剣!!!」
ソフィア「だめだ…思い出せても記憶の断片でしかない…すべての過去を取り戻すことはできないのか!?」

72幸平@管理人:2018/07/16(月) 21:33:07
ソフィア「どっからでもかかっておいで坊や」
エイジ「なに!?」
エイジ「とりあえずお手並み拝見といくぜっ!!烈空斬!!!」
エイジ「いない!?」
鞭蹴
エイジ「あぶね――っ」
ソフィア「まだまだよっ」
Q'sR
エイジ「ハァハァフウ――ッ」
エイジ「なかなかやるねお姉さん」
ソフィア「おだまりっ!!」
ソフィア「ラトルスネ――ク」
エイジ「うわっ!ちょっとまて!」
ソフィア(このまま一気に!!勝たせてもらうよ坊や!」
エイジ「くそっ!痛えーじゃねーかよチクショー!!」
ソフィア「オーロラレボリューション!!!」

75【エイジ1.0】:2018/07/19(木) 23:11:40
 洞窟内のステージに夕陽が差し込み、円形の闘技場が紅に染まる。濃い血の色を思わせる風景の中で、金髪ポニーテールの女戦士が、挑戦者を待ち受けていた。
ソフィアと名乗る美貌の女戦士は、愛用の鞭を手に、露出の多いボンテージスーツ風のバトル・コスチュームを展開していた。
 鞭を手にしている間、ソフィアは、しがない私立探偵という表の顔から、“風裂き”の二つ名で知られる冷酷無比の女王様と化す。
「……クラースヌイ・ブーリファ…………」
 物憂げな表情をしつつ、愛用の鞭を指先で撫でながら、ソフィアはその名を唱えた。戦いを前に、精神を集中させ、闘気を高める。やがて、対戦相手が闘技場に姿を現し、太刀を鞘から抜き放った。武道着を現代風にアレンジしたような、和洋折衷のバトル・コスチュームを展開したのは、冒険家を自称する、エイジ・シンジョウという若い東洋人だった。

 ソフィアとエイジの身長は、ほぼ同じであったが、ピンヒールのニーハイブーツを履いているぶんだけ、ソフィアがエイジを見下ろす形になっていた。
「どこからでもおいで。坊や」
 ソフィアは、一礼して太刀を構えるエイジに、挑発的に手招きした。
「とりあえず…! お手並み拝見といくぜっ」
 先に動いたのは、エイジだった。大上段に振りかぶった太刀から、闘気の炎弾を撃ち出した。
「烈空斬!」
「サンダーリング!」
 ソフィアが鞭を操り、雷の環を放って迎え撃つ。互いの闘気がぶつかり合い、リングの中央で爆発する。爆風で盛大に舞い上がった砂埃に紛れ、ソフィアは床を蹴って加速した。
「いない!?」

76【ウラヌス元】:2018/08/20(月) 09:11:05
ウラヌス「ようこそ、闘神大武会へ」
ウラヌス「待ちかねていましたよ、ソフィア」
エイジ(何だ…?こいつの異様なまでの闘気は……)
ソフィア(ま…まさか、ウラヌス自身が……戦闘…強化人間に!!?)
ウラヌス「私のめがねにかなった者、あなたがジェラードにやって来るこの時を」
エイジ「預かっててくれ、エリス」
エリス(エイジ…?)
エリス(う…うそ、今までこんなこと、鞘をあたしに預けるなんてことなかったのに……)
エリス(何…だろう、嫌な予感が…する)
ウラヌス「けれど…それも今や過去の話」
エイジ「いいっくいぜええっ!!」
エイジ「烈空斬!」「飛翔斬!!」
カイン「うまいっ!主導権を握ったぞっ」
エイジ「蹴撃弾!」「骸割り!!」
エリス「決まった!?」
!?

77【ウラヌス元】:2018/08/20(月) 09:14:12
ウラヌス「こんなもの……なのか?」
トレーシー「き……効いてない」
ソフィア「全然……?」
カイン「ばかな…全て絶妙のタイミングで入っているはずなのに」
イーグルレイジ
カイン「たった一撃で……」
エリス「エイジ〜〜ッ!!」
エイジ「地獄門!!」
(スワニースワップ)
ウラヌス「がっかり……だわ。この程度のボウヤに固執していたなんてね」
カイン「エイジの技が全く通用しない!!?」
(膝突)(ダウン)(一方的)
トレーシー「ダメだぁ!まるでウラヌスに遊ばれているっ」
ソフィア(ジェ…ジェラードの強化人間とは、これほどのもの…なの!?」
ソフィア(だとしたら…だとしたらあたしは、戦闘人形としてもなんて中途半端なの…)
ソフィア「くっ…」

78【ウラヌス元】:2018/08/20(月) 09:15:48
トレーシー「なぁに、あたしは知ってるよ、エイジの力も底が知れないってことを!」
カイン「俺もそう思いたい。思いたいがしかし…」
カイン「事実エイジの攻撃は全くといっていいほどウラヌスには効いちゃいない。それも、俺が今まで知る中で技のキレもタイミングも最高のものだというのに」
エリス「そんな…そんなことぉっない!絶対にないわよっ!!カインのバカ!ここっからのエイジが凄いんだから〜〜っ」
ウラヌス「!?」
ウラヌス(妙だ……さっきから全力でエイジにトドメを刺そうとしているはずなのに、まさか、この私にくだらぬ哀れみの心でも残っていたとでも!?はは…バカな)
ウラヌス(だが奴の目!あの目の輝きは全く衰えていないではないか……!?)
エイジ(つ……強え…やっぱとてつもなく強え…や)
エイジ(こっちの攻撃をことごとく見切ってやがる……どうする!?)
カイン(どうするエイジ!!)
エリス(どうするつもりなの、エイジ!?)
エイジ(どうするもこうするも、だったら奴をも上回るスピードと、より以上の気合をもって立ち向かうっきゃねえよな!!)
エイジ「行っけええええっ」
ウラヌス「まだ来るかっ!」
ウラヌス「諦めの悪いっ!」
エイジ(速く!もっと速くっ!!)
エリス「あ!」カイン「ううっ!?」エリス「うそ……ぉ」カイン「は…速…い」
エイジ「くっ」

79【ウラヌス元】:2018/08/20(月) 09:16:55
ウラヌス「だが、まだこの程度では……」「!!?」「うぐっ」
エイジ(入った…!?入るじゃねえかっ)
ウラヌス(う…腕の自由が一瞬奪われた!?何故…)「何ぃっ!?」「くはぁっ」
ウラヌス(今度は足が…ば…バカな!)
ウラヌス「ちいいっ、何だってこんな時に、私の身体に何が起こったというのかっ」
ウラヌス「!?」
ソフィア(何だ!?あんなに隙だらけだったのかよ。あの隙を同時に攻撃出来ねえか…いや!やってやるぜっ!!」
ウラヌス「う…うぅ」
強化なんざよォ…ただのゴマカシに過ぎねえんだよ、ええ?ウラヌス
確かに仮初めには戦闘力は跳ね上がる、相手が弱え時はその差も圧倒的なものとなるが……だが一度計り知れない力と出会うと、その仮面はいとも容易く崩れちまうんだよ
ウラヌス「黙れっカオス、キサマなぞに何が分かるっ!!」「うっ!?」
エリス「や…やだ、鳥肌たってきちゃっ……」
ウラヌス「ぐううっ」「くそっ」「振り切れないっ」「うっ」
ウラヌス(バカな、バカなぁあっ、奴はただの人間のはずだ!!)ゲホォ
ソフィア(か…身体がバラバラになりそうだ、息も…出来ね…え)
ウラヌス「ええいっ、身体が思うように動かぬ……くっ」
エイジ「まだだぁっ、まだ、行けるっ!」「叩き込むんだ、この一撃にぃ」(俺の全てを!!)
エイジ「百鬼猛襲剣!!!」

80【ウラヌス元】:2018/08/20(月) 09:19:59
エリス「やったあ!」カイン「信じ…られない俺にも……エイジの力は本当に無限だとでも…いうのか」
ウラヌス「認めぬ……ぬ」「このようなこと……決し…て認めて…なるものか〜〜っ」
ソフィア「ウラヌス!?」「やめろ〜〜っウラヌス!勝負はまだ終わっちゃいねえだろっ!!」
ウラヌス「くくっ、そうか…くっくっくっ………やはりエイジ・シンジョウ、私が欲しがっただけある男だったというわけ……ね」
カイン「まずいっこのままでは塔が崩れるぞっ」
エイジ「な…何を言っているんだウラヌス」
ウラヌス「だからといって、勝ったと思ったら大間違いだ」「これ以上このウラヌスに指一本触れさせるものか〜〜っ」
エイジ「ウラヌス〜〜っ」
エリス「待って!エ…エイジがまだ……!」
カイン「エイジ〜〜っ」エリス「逃げて〜〜っ」

81【ウラヌス】:2018/08/20(月) 16:16:18
「サンダーリング!」
「オーロラレボリューション!!」
「上手い、主導権を握ったぜっ」トレーシーが拳を握った。
「ラブシャワー!」
「ラトルスネーク!!」
「決まった!?」
鞭の先端を握り、無傷で立っていた。
「!?」
「こんなもの……ですか?」心底落胆したような声、ゴミを見るような蔑んだ目

「き……効いてない」エリス
「全然……?」トレーシー
(ばかな…全て絶妙のタイミングで入っているはずなのに)ソフィア
「イーグルレイジ!」
「お姉さま――――っ!!」
「たった一撃で……」
吹き飛ばされながらも、空中で受身を取った。
「コールミークイーン!!」
「スワニースワップ!」
「がっかり……ですね。この程度の失敗作に固執していたなんて」
「お姉さまの技が全く通用しない!!?」

82【ウラヌス】:2018/08/20(月) 22:14:15
 バトル・コスチュームを展開したソフィアは、エリスとトレーシーを従える形で、闘いの舞台へと踏み入れた。
「ようこそ、闘神大武会へ」
 ソフィアは、声のする方を見上げた。翼を持つ異形が、闘気の淡い光を放ち、空中に浮いていた。
「貴女が秘密結社の最高幹部、ウラヌスね。貴女に聞きたいコトが沢山あるわ」
「待ちかねていましたよ、ソフィア」
 ウラヌスの優雅な口調の裏には、妖しい闘気が渦巻いていた。
「私の眼鏡にかなった者、あなたがジェラードにやって来るこの時を」
 ウラヌスの闘気が一段と輝きを増し、白銀色の甲冑に身を包まれていた。
「その力、まんざら失敗でもなかったようですが…、それも今や過去の話」
 “朱雀の弓”が姿を現し、ウラヌスの手に収まった。

「サンダーリング! オーロラレボリューション!!」
 雷の環がウラヌスを直撃する。左足を軸に高速でスピンし、遠心力の乗った鞭がウラヌスの中段を抉るように撃つ。
「上手い、主導権を握ったぜっ」
 ソフィアの速攻に、トレーシーが拳を握った。
「ラブシャワー! ラトルスネーク!!」
 変則的な軌道を描く足技に続いて、鞭の乱れ撃ちが炸裂する。
「決まった!?」

86【エイジ1.1】:2018/08/22(水) 10:36:36
 洞窟内のステージに夕陽が差し込み、円形の闘技場が紅に染まる。濃い血の色を思わせる風景の中で、長いアッシュブロンドの髪をポニーテールにした女闘士が、挑戦者を待ち受けていた。ソフィア、と名乗る美貌の女闘士は、愛用の鞭を手に、黒光りするバトル・コスチュームを展開していた。露出の多いボンデージ風のハイレグスーツと、ピンヒールのニーハイブーツ、二の腕まであるロンググローブから構成されたバトル・コスチュームは、ソフィアが手にしている鞭と相まり、女王様のような妖しい色香を放っていた。
「……“クラースヌイ・ブーリファ”…………」
 物憂げな表情をしつつ、愛用の鞭を指先で撫でながら、ソフィアはその名を唱えた。この鞭を手にしている間、ソフィアは、しがない私立探偵という表の顔から、“風裂き”の二つ名で知られる冷酷な女戦士となる。ソフィアは、戦いを前に、精神を集中させ、闘気を高めていた。
 少しして、ソフィアの対戦相手が闘技場に姿を現した。エイジ・シンジョウ――自称、冒険家――という若い東洋人は、、太刀を鞘から抜き放ち、武道着を現代風にアレンジしたような、和洋折衷のバトル・コスチュームを展開した。

 ソフィアは、ヒールの高さのぶん、エイジを見下ろす形になっていた。一礼して太刀を構えるエイジに、ソフィアは、挑発的に手招きした。
「どこからでもおいで。坊や」
「とりあえず…! お手並み拝見といくぜっ」
 先に動いたのは、エイジだった。大上段に振りかぶった太刀から、闘気の炎弾を撃ち出した。

87【エイジ1.2】:2018/08/22(水) 10:37:33
「サンダーリング!」
 ソフィアが鞭を操り、雷の環を放って迎え撃つ。闘気のエネルギー同士がぶつかり合い、リングの中央で爆発する。爆風で盛大に舞い上がった砂埃に身を隠し、ソフィアは床を蹴って加速した。
「いない!?」
 ソフィアの姿を見失い、狼狽するエイジの背後に、ソフィアは回り込んでいた。その無防備な背中に、ソフィアの鞭が、蹴りが、面白いようにヒットする。
「まだまだ、よ……」
 ソフィアは、エイジをひとしきりいたぶった後、後ろから抱きしめた。柔らかな乳房を押し当てるように、腕に力を込める。耳元に吐息を吹きかけては唾液を含んだ舌で舐め、それを繰り返しながら、ソフィアの手は、エイジの股間を探り当てた。ソフィアが撫でるたびに、その部分は急速に膨張していく。ソフィアは、ズボンのジッパーを開き、その中に手を突っ込み、エイジの肉棒を引っ張り出した。
「あら、可愛らしいボウヤね…」
 屹立する男根を指先でしごき続けきながら、ソフィアは甘い声で囁いた。
「私と対等に闘えるのかしら?」
 亀頭の先端、その裏側を指先で軽くつつくと、粘性の液体がじわりと染み出た。すると、ソフィアは、興醒めといった風に、エイジの体を手放した。
「ラトルスネーク!!」
 ソフィアの鞭が乱舞し、次々とエイジを打ちのめす。フィニッシュの一撃がエイジの足元を崩し、エイジは、錐揉み状に回転しながら地面に崩れ落ちた。

89古河ベイカーズ:2018/08/22(水) 16:39:45
「今日はサードやってましたけど、今はどこ守ってるんですか?」
「相変わらずだよ、キャッチャーとショート以外ならどこでも。空いたポジションを適当に使い回されてる感じ」
「セカンドもやるんですか?」
「たまーにね」
 俺は、軽く返事し、ジョッキ一杯の冷えたコーラを一気に飲んだ。

 あの日も、暑い夏だった。もわっとした湿気を含んだ熱い風が、内野グラウンドの不快指数を更に引き上げていた。あの日も、俺は、チームの正二塁手が不在だったため、その代わりにセカンドの守備位置についていた。
 右打者の速い打球が、秋生の足元を抜いた。俺は、二塁ベースの右側後方、深いところで手を伸ばし、グラブの先端でボールを捕まえた。右手でグラブの網を叩く、いわゆるウッドペッカー・トスを上げたのか、今でもよくわからない。何となく、ショートがそこに走って来るんじゃないか、ショートにボールを渡せば後は何とかなるだろうと、今思えば、そんな気がしていたんだと思う。
 実際、俺が上げたトスを、ショートの川澄舞が素手で掴み、素早いスナップスローで打者走者を一塁フォースアウトにした。

「あの時、何が起こったかと思いましたよ」
 その時の一塁手が、この岡崎朋也だった。
「俺もさ。アライバの真似事なんて、あれっきり見たことも無い」

 10年前の当時は、中日ドラゴンズの荒木と井端はまだ一線級の選手で、12球団一の二遊間と言われていた。足が速くて守備範囲の広いセカンド荒木が、センター返しの打球に追いつき、ショート井端にトス、それを受け取った名手井端が一塁転送して打者走者をアウトにするというのは、年に1回、出るか出ないかというビッグプレーで、アライバでなければ不可能だと言われていた。

「あのプレーが出来そうな二遊間といえば、他にあったか?」
「北川さんと舞さん、芽衣と杏、美佐枝さんをショートにしても違うよなぁ…。リトルバスターズの恭介と来ヶ谷なら出来たかもしれないけど、あの2人、ポジション違うしな」
「あー確かに。リトバスも恭介と来ヶ谷で二遊間を固定してれば、ひょっとしたら出来たかもしれんな」

「懐かしいよな。中日の井端は巨人に行ってコーチになってるし。荒木も2000本打ったから、もう引退するんじゃないか?」
「俺、最近セ・リーグは見てないから、わかんないですよ…」


「けどあの時、井ノ原が巨人の原監督みたいな顔してたの、見ました?」
「まじか、俺、そのときコケてたから見てねーわ」
「残念」
「起き上がった後に春原からツーアウトって言われて、お前の方見たらランナーいねえし、そこでアウトになったのを知ったからな」

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・川澄舞(大3)右投左打、遊撃手、背番号6
 弾道3/ミートA/パワーD/走力A/肩力C/守備A/エラーB
 スタミナD/コントロールC/球速C/変化球C
 投B/二B/遊A/中C
 アベレージヒッター、流し打ち、守備職人

92【セツナ】:2018/09/14(金) 23:20:59
華麟の声が、雪那に届くことは、二度とない。“守護天使”の物語は幽祢の前に終焉を迎えた。

94【エイジ1.1】:2018/09/15(土) 22:54:51
 洞窟内のステージに夕陽が差し込み、円形の闘技場が紅に染まる。濃い血の色を思わせる風景の中で、長いアッシュブロンドの髪をポニーテールにした女闘士が、今日の挑戦者を待ち受けていた。ソフィア、と名乗る美貌の女闘士は、愛用の鞭を手に、黒光りするバトル・コスチュームを展開していた。露出の多いボンデージ風のハイレグスーツと、ピンヒールのニーハイブーツ、二の腕まであるロンググローブから構成されたバトル・コスチュームは、ソフィアが手にしている鞭と相まり、女王様のような妖しい色香を放っていた。
「……“クラースヌイ・ブーリファ”…………」
 物憂げな表情をしつつ、愛用の鞭を指先で撫でながら、ソフィアはその名を唱えた。この鞭を手にしている間、ソフィアは、しがない私立探偵という表の顔から、“風裂き”の二つ名で知られる冷酷な女戦士となる。ソフィアは、戦いを前に、精神を集中させ、闘気を高めていた。
 やがて、ソフィアの対戦相手が闘技場に姿を現した。エイジ・シンジョウ――自称、冒険家――という若い東洋人は、、太刀を鞘から抜き放ち、武道着を現代風にアレンジしたような、和洋折衷のバトル・コスチュームを展開した。

 ヒールの分、ソフィアはエイジを見下ろす形になっていた。一礼して太刀を構えるエイジに、ソフィアは、挑発的に手招きした。
「どこからでもおいで。坊や」
「お手並み拝見といくぜっ! 烈空斬!」
 先に動いたのは、エイジだった。大上段に振りかぶった太刀から、闘気の炎弾を撃ち出した。
「サンダーリング!」
 ソフィアが鞭を操り、雷の環を放って迎え撃つ。闘気のエネルギー同士がぶつかり合い、リングの中央で爆発する。爆風で盛大に舞い上がった砂埃に身を隠し、ソフィアは床を蹴って加速した。
「いない!?」
 ソフィアの姿を見失い、狼狽するエイジの背後に、ソフィアは回り込んでいた。その無防備な背中に、ソフィアの鞭が、蹴りが、面白いようにヒットする。

95【エイジ1.2】:2018/09/15(土) 22:55:48
「まだまだ、よ……」
 ソフィアは、エイジをひとしきりいたぶった後、後ろから抱きしめた。柔らかな乳房を押し当てるように、腕に力を込める。耳元に吐息を吹きかけては唾液を含んだ舌で舐め、それを繰り返しながら、ソフィアの手は、エイジの股間を探り当てた。ソフィアが撫でるたびに、その部分は急速に膨張していく。ソフィアは、ズボンのジッパーを開き、その中に手を突っ込み、エイジの肉棒を引っ張り出した。
「あら、可愛らしいボウヤね…」
 屹立する男根を指先でしごき続けきながら、ソフィアは甘い声で囁いた。
「私と対等に闘えるのかしら?」
 亀頭の先端、その裏側を指先で軽くつつくと、粘性の液体がじわりと染み出た。すると、ソフィアは、興醒めといった風に、エイジの体を手放した。
「ラトルスネーク!!」
 ソフィアの鞭が乱舞し、次々とエイジを打ちのめす。フィニッシュの一撃がエイジの足元を崩し、エイジは、錐揉み状に回転しながら地面に崩れ落ちた。

「美しい薔薇には、棘がある、って言うでしょう?」
「なかなかやるね…、お姉さん」
 鞭を握りなおしたソフィアに、エイジが起き上がりながら軽口で応じた。肩で息をしながらも、余裕そうなその態度に、ソフィアの視線が険しくなる。
「その粗末なモノを仕舞いなさいっ!」
 太刀を構えようとしたエイジの胸倉を掴んで持ち上げ、ソフィアは、鞭を手放した方の手で、エイジの頬を張り倒す。往復ビンタからフィニッシュの蹴り上げを決め、再び鞭を手にした。

 リングの床に仰向けになり、身動きができない様子のエイジに、ソフィアは馬乗りになり、体を重ねた。エイジに甘えるように、体全体をこすりつけ、唇同士を触れさせた。
「私を、イかせてくれるのかしら?」

97【エイジ0.5】:2018/09/24(月) 16:26:31
夜の闇の中、女が、ベッドで眠るエイジの姿を見つめていた。その微かな気配を感じ、エイジは浅い眠りから醒めた。エイジは、月明かりを頼りに眼だけを動かし、部屋中を見渡した。すると、ベッドルームの入口に、麗しいシルエットの女が立っているのが見えた。
エイジがベッドから身を起こすと、女は、ランウェイを歩くショーモデルのような足取りで、エイジの足元に近づいてきた。
すらりと伸びる手足と、魅惑的な曲線を描く腰まわりは、ただ細いだけではなく、しなやかに鍛えられた筋肉が隠れている。

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窓から差し込む満月の光に、女のカラダが照らし出される。
一糸まとわぬカラダが青白い光を浴び、幻想的な神々しさを放っていた。
左右の乳房が二の腕に挟まれ、深い谷間を見せつけていた。
唇同士を軽く重ねる。エイジの胸板に豊満な乳房が押し当てられ、
柔らかな尻肉
警戒心を抱くことなく、不思議と、エイジは女の行為を受け入れていた。

「ワタシハソフィア…………」
抑揚の無い声で囁いた。
瞳孔が開く。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!!」
濁った咆哮とともに、鞭を振り上げる。
【白虎の太刀】を掴み取り、抜刀したのは、ほとんど本能的な行動だった。

「く…!」
エイジは、窓際から飛び降り、紅白2色のバトル・コスチュームを展開した。エイジを追いかけるように、ソフィアも、満月を背景に、バトル・コスチュームを展開した。バランスを崩しながらも辛うじて踏みとどまったエイジとは対照的に、ソフィアは、両脚を綺麗に揃えたまま宙返えりを決めた。

着地でバランスを崩したが、エイジはなんとか踏みとどまった。

エイジとは対照的に、

りし、静かに着地を決めた。
体操選手のような優雅で洗練された動作
青白い満月、幻想的ですらあった


「サンダー・リング」
鞭先から放たれた闘気の雷撃を、エイジは、居合い抜き真っ二つに叩き斬った。
「やめろ、【ソフィア】ッ!」
 エイジは一喝した。
「オーロラ・レボリューション!!」
耐えられず、吹き飛ぶ。吹き飛ばされたエイジに、追撃。
「やっっ!」
クイックなモーションで鞭先から放たれた追撃のプラズマ・リングが、もう一段、更にエイジを吹き飛ばした。
エイジは、無様に地面に叩きつけられた。
ソフィアが迫る。


「死ね――エイジ・シンジョウ」
 無機質な表情で死刑宣告を下したソフィアは、鞭を高く掲げた。上段から振り下ろされた鞭の先端から、乾いた破裂音が鳴る。体が思うように動かないエイジにとって、しなる鞭が叩きつけられる様子が、やけにスローモーションに感じられた。全身を強烈な痛みが駆け抜け、射精感とともに、エイジの意識はそこで途絶えた。

98【エイジ1.1】:2018/10/15(月) 22:47:45
 洞窟内のステージに夕陽が差し込み、円形の闘技場が紅に染まる。濃い血の色を思わせる風景の中で、長いアッシュブロンドの髪をポニーテールにした女闘士が、今日の挑戦者を待ち受けていた。ソフィア、と名乗る美貌の女闘士は、愛用の鞭を手に、艶のあるバトル・コスチュームを展開していた。胸部を大胆に露出したハイレグスーツと、ピンヒールのニーハイブーツ、二の腕まであるロンググローブから構成されたバトル・コスチュームは、ソフィアが手にしている鞭と相まり、SMの女王様のような妖しい色香を放っていた。
「……“クラースヌイ・ブーリファ”…………」
 物憂げな表情をしつつ、愛用の鞭を指先で撫でながら、ソフィアはその名を唱えた。この鞭を手にしている間、ソフィアは、しがない私立探偵という表の顔から、“風裂き”の二つ名で知られる冷酷な女戦士となる。ソフィアは、戦いを前に、精神を集中させ、闘気を高めていた。
 やがて、ソフィアの対戦相手が闘技場に姿を現した。エイジ・シンジョウ――自称、冒険家――という若い東洋人は、、太刀を鞘から抜き放ち、武道着を現代風にアレンジしたような、和洋折衷のバトル・コスチュームを展開した。

 ハイヒールの分だけ、ソフィアはエイジを見下ろす形になっていた。一礼して太刀を構えるエイジに、ソフィアは、挑発的に手招きした。
「どこからでもおいで。坊や」
「お手並み拝見といくぜっ! 烈空斬!」
 先に動いたのは、エイジだった。大上段に振りかぶった太刀から闘気を撃ち出した。
「サンダーリング!」
 ソフィアが鞭を操り、雷の環を放って迎え撃つ。リングの中央で、ソフィアとエイジの闘気が衝突し、爆風が巻き上がった。舞い上がった砂埃が視界を遮るなか、ソフィアは床を蹴って加速した。
「いない!?」
 ソフィアは、狼狽するエイジの背後に回り込んでいた。その無防備な背中に、ソフィアの鞭が、蹴りが、面白いようにヒットする。
「まだまだ、よ……」
 ソフィアは、エイジをひとしきりいたぶった後、後ろから抱きしめた。柔らかな乳房を押し当てるように、腕に力を込める。耳元に吐息を吹きかけては唾液を含んだ舌で舐め、それを繰り返しながら、エイジの股間を撫でる。ソフィアは、ズボンのジッパーを探り当て、一気に引きおろした。その中に手を突っ込み、エイジの***を引っ張り出す。
「あら、可愛らしいボウヤね…」
 盛大に勃起した***を指先でしごき続けきながら、ソフィアは甘い声で囁いた。
「私と対等に闘えるのかしら?」
 亀頭の先端、その裏側を指先で軽くつつくと、粘性の液体がじわりと染み出た。すると、ソフィアは、興醒めといった風に、エイジの体を手放した。
「ラトルスネーク!!」
 ソフィアの鞭が乱舞し、次々とエイジを打ちのめす。フィニッシュの一撃がエイジの足元を崩し、エイジは、錐揉み状に回転しながら地面に崩れ落ちた。

99【ソフィア3.0】:2018/10/31(水) 20:31:24
闘気を吸い取られ、足元がふらつく

ハイレグのコルセットとハイヒールの靴に、裸リボンという
「大丈夫? お嬢ちゃん」
両手を掲げ、闘気を解き放った。金色の光の壁が現れた。ステージ3に覚醒した状態ではじめて使用可能なソウルボム

ステージ2のコスチュームは完全に破壊され、残された闘気では、ステージ1を維持するのが精一杯という状態になっていた。
ローキック、ローキック、蹴り上げ、ウィンドミル・キックと足技を繰り出し、アッパー・ウィップ、無抵抗な3号機に鞭打のシャワーを浴びせる。
「オーロレレボリューション!」
指先で掴まれていた。
闘気の光「あんあんあんあんあんっ! ああんっ!!」闘気の乗った超高速の往復ビンタ、フィニッシュの蹴り上げ

「どっちが食い込んでるかしら?」

100【ソフィア0.00】:2018/12/23(日) 23:03:42
 東欧諸国の夜ははやい。それは賑やかな街の中心部でも同じだ。そんな街中の簡素なマンションの一室。
 ダイニングのソファに家族を招いた姉に、妹が話しかけた。
「何よ、姉さん。仕事でイヤなことでもあったの?」
 母親も心配顔で部屋に入ってくる。姉はふたりを見つめ、話した。
「私の記憶が変なこと、知ってるでしょ?そのことを調べている内にある結社が浮かんだんだけど、その結社から一昨日、私あての手紙が来たの。武闘大会の招待状」
 母親の顔が恐怖に歪んだ。
「(闘神大武会!やはり私たちはすでに見つかっていたんだわ……)」
「私、参加するわ。ずっと調べてきた謎の答えが見つかるかもしれない」
「ダメよ!!そんな危険なこと、母さん許しません!決して!!」
 しかし、翌朝、姉は旅立った。ふたりを起こさぬように静かに、愛用の鞭だけを持って。その姿を見送る母には気付かず。
「(ソフィア、お前が真相を知ったとき、母さんを許してくれるかしら。それとも……。それでもいいんだよ。無事に帰ってくれさえすれば……)」
 老いた女科学者は、朝靄の中でいつまでも自分の「実験体」の後姿を見送っていた。


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