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【競作】オールスタープリキュア!魔法でつなぐ!冬のSS祭り2017

1 運営 :2016/12/11(日) 16:06:51
こんにちは、運営です。
アカオーニには笑ってもらうとして(笑)来年のお話です。当サイト4回目のSS競作企画を行いたいと思います!

題して『オールスタープリキュア!魔法でつなぐ!冬のSS祭り2017』

どうぞ皆様、奮ってご参加下さい!!

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<企画書>

タイトル:オールスタープリキュア!魔法でつなぐ!冬のSS祭り2017

期間:2017年2月18日(土)〜3月12日(日)の23日間

テーマ:「魔法」または「繋ぐ」 

みらい 「ねぇ、リコ〜。今度のお話祭りのタイトル、もう聞いた?」
モフルン「『魔法』と、『繋ぐ』モフ」
リコ  「ええ! 狙い通りよ!」
みらい 「狙って……たんだ。えーっと、どっちか片方のお話でいいんだよね。『魔法』なら、ホンモノの魔法のお話は勿論大歓迎だし」
モフルン「魔法みたいな不思議な出来事、っていうのも素敵モフ」
みらい 「そうだね。『つなぐ』は、こうやって手を繋ぐ、っていうのもアリだし〜」
リコ  「こ、こら、みらい! 実際に繋いで見せなくたって……」
モフルン「もっといろんなものを繋げてもいいモフ。モフルンは、クッキーをいーっぱい繋げたいモフ!」
みらい 「モフルンは繋げる前に食べちゃうでしょう……。それから、どちらか片方でいいってルールだけど、両方使ってもいいんだよね?」
リコ  「そ、そうだけど……別にわたし、主役になりたいなんて思ってないし」
みらい 「え? どういうこと?」
リコ  「ほら、テーマが『魔法』と『つなぐ』って言えば、何か思い出さない?」
モフルン「……何も思い出さないモフ」
リコ  「え、えーっと……そうね。ヒントは、エクストリーム・レインボーの時の……」
(そこへ息せき切って、ことは登場)
ことは 「ねえねえリコ! 今度のお話祭りのタイトル、聞いた? 『繋がる魔法よ!』っていう、マジカルの台詞そのものだねっ!」
リコ  「あ……(赤面)」 
みらい 「ああ」
モフルン「主役になるって、そういうことだったんだモフ?」

ということで、今年のテーマは「魔法」または「繋ぐ」、どちらかが盛り込まれているお話を大募集します!
テーマの単語そのものが出て来なくても、テーマが感じられるお話なら大丈夫。勿論、「魔法」と「繋ぐ」、両方盛り込んで頂いてもOKですよ。
毎年書かせて頂いていますが、大切なのは、あっつ〜い作品愛!! それさえあれば、大抵のお話はOKです。
短いお話、ふざけた小ネタ、大歓迎! 難しく考えず、いろ〜んなSSを集めて楽しいお祭りにしましょう!

※プリキュア全シリーズは勿論、コラボSS(プリキュア&プリキュア、オールスターズ、プリキュア&その他)もOKです。来年スタートの新シリーズ「キラキラ☆プリキュアアラモード」のSSもどうぞ!

※体裁は、小ネタ、長短編なんでもOK。140文字SSも受け付けます。(140文字SSは、出張所(Twitter)でも受け付けます。)

※ただしお約束として、サイトの特性にあったものでお願いします。(男女間恋愛ネタと、オリジナルキャラのメイン起用・実在する人物(作者含む)を起用した作品はNG。サイトのQ&Aをご参照下さい。)

※お話を書くのは初めてだけど、何か書いてみようかな……という方、書き手じゃないんだけど……という方、大歓迎です!!
お祭り企画を機会に、短いものでも何か書いてみませんか? お待ちしています!
なお、当サイトの運営は、全員がSSの書き手です。何か書いてみたいけどどう書いて良いか分からない、書いてはみたけど、これでいいのかな……等々、何かありましたら「掲示板管理者へ連絡」からいつでもお気軽にご連絡下さい。及ばずながら、お手伝いさせて頂きます。

※SSは書かないけれど、読むのを楽しみにしているよ!と思って下さっているそこのあなた!
読み手の方々なくしてお祭りは成立しません。SSを読んで頂いて、何か一言でも感想やコメントを掲示板にどしどし書き込んで下さい!
コメントは、ものすごーく書き手の励みになります。場合によっては、次の作品にも繋がるかも!?
どうぞ盛り上げ&応援でのご参加、よろしくお願い致します。
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ご参加表明を頂ける方は、①この競作スレッドに参加表明を書き込んで頂く、②運営宛てにメールする、③出張所(Twitter)にDMを送る
のいずれかの方法にてご連絡ください。(勿論、飛び入り参加も大歓迎です!)
皆様のご参加、心よりお待ちしております。よろしくお願い致します!

140 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 19:52:53
大変遅くなってすみません、猫塚です。
10レスお借りします。
ケダモノは居てもノンケは居ない
オー、ウェルカム トゥ ザ 大貝第一中学ぅ

カップリングは、菱川六花&相田マナ。

あくまで服の上からですが、
六花が胸を触られるシーン等があるので(それがメインなので)
R-15とさせていただきます。ご注意を。

タイトルは、『冷たいアイスの溶かし方』

141 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 19:53:58

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 今年の夏は駆け足で過ぎていった。
 そのせいだろうか。
 まだ9月だというのに、今日の早朝の気温は、秋の半ばめいて涼やかだ。
 ベッドの中のぬくもりに包まれながら、まだ気持ちよさそうにウトウトとしていた相田マナが、ふとまぶたを開いた。そして、横たわったままで、視線をぼんやりと部屋に向ける。
「・・・・・・・・・・・・」
 頬を撫でる部屋の空気の涼やかさ。
 そこに、最近の菱川六花の態度が重なる。
 どこがどうとは上手く言えないのだが、マナに対する態度に素っ気なさが混じっている。
 時には冷たいと感じるほどに。
(けっきょく、何が原因なのかな・・・・・・?)
 しばらく考えていたが、ベッドのぬくもりに誘われるように、いつのまにか再び意識がまどろみに浸ってしまった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「相田センパーイ、お願いできますかーっ」
「すみませーん、あとでこっちも・・・・・・」
「いいよっ、まかせてっ」
 第34回の大貝祭を目前にして、相田マナは、当たり前のように張り切っていた。
 明るく、活力に満ちた顔つき。夏服 ―― ワンピースタイプのセーラー服 ―― の半袖から伸びる、スラリとした細い両腕は、男子顔負けのチカラ仕事を今日何回こなしただろうか。
 3年生になって生徒会長を引退した今も大貝第一中学校の大黒柱として、生徒たちの支えになっている。むろん、彼女の後を継いだ現在の生徒会長も十分に努力しているが、規格外のスペックを誇るマナとでは、まだまだ馬力に差がありすぎる。

(はあ・・・)
 と、菱川六花が心の中で小さく溜め息をついた。
 幼い時からずっとマナの女房役を務めてきた彼女は、受験を控えているため、今は勉強に集中するようにしている。・・・・・・はずなのだが。
「まかせてじゃないでしょ」
 と、後ろからマナの肩を掴んで、駆け出す直前の彼女を止める。
 結局はマナが気になって仕方がなく、今日もまた彼女のサポートをしてしまうのだった。

 マナが太陽のように笑うならば、こちらの少女は月のように微笑む表情が似合う。大人びた知性を湛える切れ長な両目と、美しく伸びた黒髪が印象的。マナとは真逆のクールな落ち着きを感じさせるイメージ。
 夏服の半袖から伸びる腕は、マナと同じぐらい細い。そして、細くてもタフな彼女の腕と違って、あくまで普通の少女並みのチカラしかない。しかし、マナをガッチリ押さえて、動きを封じている。
「両方とも、あとでわたしが誰か手の空いてる人を見つけて頼んでおくから。マナはレジーナを捜して回収したら、今日はもう終わり」
 振り返ったマナが『まだ頑張れるよ』と元気さをアピールする笑顔を浮かべるも、六花の有無を言わさぬ眼光を前に、それは苦笑いへと変わっていった。
「頑張りすぎて、去年みたいに倒れたらどうするのよ? もう」
 と、ぼやく六花。
 とりあえずマナは、今、声をかけてくれた二人の生徒にゴメンナサイという表情(カオ)で謝って、この場は引き取ってもらった。そして、あらためて六花のほうへ向き直る。
「心配かけちゃってごめんね、六花」
「とか言いつつ、どうせ明日もわたしに心配かけるんでしょ」
「そ・・・、そうならないよう気をつけるね」
 やや辛辣な六花の口調に、マナがたじたじになってしまう。しかし、すぐに調子を取り戻して明るい表情になった。
「あ、そうだ。ねえ、六花、レジーナはラケルに捜してもらおう」
「ラケルに?」

 かつてはマナにべったりとくっついていたレジーナも、今では気まぐれに他の人にも興味を示すようになっていた。特に、からかうとムキになる真面目なラケルに対しては、いじり甲斐があるらしく、最近はよくちょっかいを仕掛けてくる。
 それはまるで、猫が新しいオモチャで遊ぶ事を覚えたような感じである。マナが忙しい時は、彼女の代わりにラケルに宿題を手伝わせたりもしている。
 ただ、ラケルのほうもストレスを爆発させるほどではなく、なんだかんだとレジーナを気にかけているあたり、
(あー、・・・うん)
 と、六花が心の中で溜め息にも似たつぶやきを洩らす。二人のじゃれあう(?)姿に、つい、自分ともう一人の姿を重ねてしまった。
(今頃どうしてるのかなぁ・・・)
 軽く昔を思い出していた六花の顔を覗きこんで、マナがたずねてくる。
「どうかしたの、六花?」
「ううん、ちょっと懐かしい気分になってただけ」
「?」
「それよりも、レジーナの事はラケルに頼むとして・・・・・・マナはこれからどうするの?」
「ふふっ、六花、少しだけ付き合ってもらってもいい?」

142 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 19:54:58

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 そそくさとマナが立ち去って、しばらくのち ――― 。
 彼女から引き継いだ依頼について、適切な応援を手配し終えた六花が、マナに指示されていた場所へと向かった。
 体育館のステージ裏。
 蛍光灯の光に照らされたそこは、普段は壁際にパイプ椅子の収納台車が並べられている程度の殺風景なスペースだが、今は大貝祭本番に備えて、演劇部の公演やクラス演劇で使う大道具などが、あちらこちらに置かれていた。
 目の前にあるクラシック調のソファーも、その一つなのだろうか。
 マナが来るまで少し座らせてもらおうと、六花が腰を下ろす。
 座り心地は悪くない。

 体育館のほうから、数人の生徒たちが歓談している声が聞こえてくる。この時間だと、リハーサルが終わった合唱部だろうと、六花は見当をつけた。生徒会から離れても、マナと一緒にいるせいで、学校の大体の事は分かってしまう。
 いつのまにか目を閉じて、ソファーのやわらかさに身を委ねてしまっていた。朝方はめっきり涼しくなったものの、日中はまだまだ夏服で十分なほどの気温だ。このステージ裏は、のんびりとウトウトするには、ちょうど良い空間だった。
 マナ・・・、と六花のくちびるが動く。
(・・・・・・ごめんなさい)
 最近、つい素っ気ない態度を取ってしまう。
 きっかけは、文化祭の準備が始まる数日前の、ある男子の恋の告白。
 
 まさか自分が・・・と思いつつも、相手の真剣さに応えるカタチで、その告白に向かい合った。無論、最初から六花の返事は決まっていたけれど。
 なるべく優しい言葉を選んで断った六花へ、ショックを隠すためにバツが悪そうな笑いを浮かべる彼が投げかけてきた一言。
――― あ、もしかして菱川さん、好きな人いた?
 動揺。
 六花は「ええ、まあ・・・」と曖昧な答えでごまかして、その場をあとにした。
 なぜだか分からないが、好きな人と言われて、一瞬、思い浮かべてしまったのだ。
 マナの顔を。
 その事に、自分でも少し驚いていた。

 マナとは女の子同士なのに。
 どうしてだろう。

 その日から、いつもとは違った感じでマナを意識し始めて、それがバレないよう心のガードを固くして・・・・・・。自分の気持ちとは裏腹に、マナへの接し方が冷たくなっていく。


(冷たいわたしを溶かして、幸せの王子様)
 ソファーにもたれかかって、まどろみの中でつぶやく。
 幸せの王子こと相田マナを待ちわびる。童話の中のお姫様のように、胸の鼓動を微かに高鳴らせながら。
 
「 ――― 大変お待たせいたしました。六花お嬢さま」

 ――― いきなり来たっ。
 飛び起きんばかりの勢いで、六花が目を覚ます。
 完全に油断していた。無防備な寝顔を見られたのでは?と思うと、ちょっと恥ずかしい。
(それにしても、マナ・・・・・・、何なの?)
 黒い燕尾服に白いブラウス、黒い蝶ネクタイ、そして、やはり黒色のスリムなスラックスの組み合わせ。深々と優雅な一礼をしている彼女が右手に持っているのは、黒のシルクハット。
 マジシャン ――― のつもりらしい。
 軽く面食らっている六花の前で体を起こし、「では」と勿体付けて左手をシルクハットの内側へ。
 バッ、と取りだされ、宙に放たれたのは数枚の白いハンカチ。
『バサバサバサバサ・・・ッ』
 と、何羽ものハトが一斉に羽ばたく音がシルクハットの中から聞こえてくる。
 やはり面食らったままの六花が、視線を動かして、放物線を描いて落下していく白いハンカチを追う。
 マナが再びシルクハットの内側に左手を差し入れて、何やら操作すると、ハトの羽ばたく音は消えた。そして、数枚のハンカチが床に落ちる。
「・・・・・・えーと、さすがに学校の中でハトを飛ばすのはマズイかなーって思って・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
 マナが床のハンカチを拾い、シルクハットの中へ戻す。そのシルクハットをソファーの端に置いて、六花の右隣へ腰を下ろす。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「えっ・・・、マナ、手品、あれで終わり?」
「う、・・・うん、急な思い付きだったから。 ――― あはは、なんか、滑っちゃったね」
 バツが悪そうに苦笑するマナ。
 この衣装とシルクハットは、大貝祭でマジックショーをする事になったクラスから借りてきた。
 少しでも六花の雰囲気をなごませたいと考えてのコトだったが・・・・・・。

143 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 19:56:04

「ねえ、六花」
 あえて隣を見ずに、マナが口を開いた。
「何かあったの? ・・・・・・あたしが原因かな?」
 最近の態度の事を問われていると察した六花が、それに対して答えようとした瞬間、今さらながらに気付いてしまう。
 マナのパートナー妖精・シャルルは、家でお店のお手伝い。
 ラケルは、レジーナを捜しに。
 だから、この状況 ――― マナと二人っきり。
「マナには関係ないでしょっ」
 ・・・・・・まただ。マナを意識しすぎた。
 気持ちとは裏腹の、冷たい拒絶。
 言ってから五秒もしないうちに、心が後悔で溢れかえる。
 
「そっか」
 と、マナがうつむいた。
 質問に否定を返されたからではない。
 今、六花が声の調子や態度の中に見せた、むき出しの感情。それが『答え』を教えてくれた。女の子同士だからこそ直感的に分かってしまう、相手の本当の気持ち。
(うーん、でも、万が一、あたしの思い違いだったら困るし、どうしよう)
 ちなみに、思い違いじゃなかったとしても悩む所だ。
(六花と・・・・・・)
 そっと左腕を動かして、六花のひざの上に置かれた彼女の右手の甲へ、手の平を乗せる。
 一瞬、六花はハダカでも見られたみたいに慌てふためいてみせたものの、少し落ち着くと、そのマナの左手の甲の上に、自分の左手を重ねてきた。
 マナのほうは見ない。顔をそらしたまま、静かに次の彼女の言葉を待っている。

 体育館のほうから、女子の笑い声が響いてくる。リハーサルの終わったはずの合唱部だが、まだまだ帰る気配が無い。この時間帯なら、体育館のステージ裏は、六花と二人で静かに話すのに最適だと当たりをつけていたのだが。

 マナは、仕方がないとあきらめて、
「ねえ、六花・・・」
 と、六花の反応を窺いながら続けた。
「もし、あたしが男の子だったら ――― あたしは、どんな女の子を好きになってたと思う?」
 それは、六花の心を波立たせる質問。
 マナが「う〜〜ん・・・」と軽く考え込んで、言葉を付け加える。
「もう少し具体的に言うと、『誰を』・・・・・・かな」
 感情のざわめきを抑えた声で、六花はあっさりと答えた。
「そりゃあ、まこぴーに決まってるでしょ」
「・・・あはは、まこぴーは、まあ、好きだけど。他にいないかな? その・・・・・・」
 六花の肩にぐりぐりと自分の肩をくっつけながら、マナは、ちょっと期待するみたいな表情をしてみせる。だが、六花は冷淡ともいえる態度を崩さなかった。
「じゃあ、ありすは? 結婚すれば総理大臣どころか、世界の頂点に君臨できるわよ」
「別に世界の頂点は狙ってないんだけど・・・・・・、えーっと・・・・・・」
「そういえば、マナって随分とレジーナに甘いわよね?」
「うーん、そうかなぁ・・・。でも、それは恋愛感情的なモノじゃないよ? 本当に」
「亜久里ちゃんはどう? 年下だけど、しっかりしてて頼りになるわよ」
「ウンウン、亜久里ちゃんは、しっかり者で頼れそうだけど・・・・・・、そうじゃなくってぇ」
「あっ」
 何かに大切なコトに気付いたような六花の反応に、今度こそ・・・と、マナの瞳が輝く。
 六花はマナのほうを向いて、にっこりと笑った。
「やっぱりマナのパートナーといえば、シャルルよね」

 がくんっ、と一瞬両肩を落としたマナだが、すぐに含みのある笑みを浮かべて、六花へ顔を近づける。虚を衝かれた六花は逃げられない。
 吐いた息が相手のくちびるに届く距離。
 マナの左手に重ねた自分の手の平が汗ばむのを感じる。
「六花ぁ・・・、誰か一番大事な人の名前を言い忘れてないかなぁ〜?」
 と、ゆっくりした口調でマナが言ってくる。
 くちびるが、彼女の温かい吐息で撫でられた気がした。
 六花がとっさにとぼけて「アイちゃん」と言おうとすると、右手の上に置かれたマナの手の平が、
 ――― グッ、
 と、柔らかな圧力を加えてきた。こころなしか、顔の距離も微かに縮まったような・・・・・・。

144 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 19:57:18

「・・・り〜〜っか?」
 と、ささやくみたいな声が耳たぶをくすぐった。
「マ・・・マナは、それを聞いてどうするのよ?」
「んー、どうしよう・・・。あたしも、それはまだよく分からないんだけど・・・・・・」
 
(ひ、卑怯よっ・・・!)

 マナの曖昧な態度に、心の中で抗議の声を上げる六花。
 もしここで正直に言っても、下手をすれば六花の玉砕で終わってしまう。
 答えられない。
 でも、マナは聞きたがるのをやめてくれない。
「・・・・・・あたしが好きになると思う人の名前を・・・・・・言ってみて、六花」
 敏感な耳の内側。
 マナがしゃべるたび、生温かい息で撫でまわされて、こそばゆい。
 あともう少しで、ゾクッ ――― と来る、その一歩手前の感覚。
 いつのまにか瞑ってしまっていた両目を、うっすらと開いて、
「知らないっ・・・」
 と、弱々しい声で突っぱねる。
 ふふっ、と笑うマナ。さらに顔を近づけて、六花のうなじの匂いをスンスンと子犬みたく嗅ぎ始める。
「六花、いいニオイする・・・」
「やっ、ちょっと・・・」
 身体をよじって逃げようとする。・・・・・・けれど、できなかった。
 スンスンと嗅いでくるマナの鼻先が、時折、ちょんっ・・・ちょんっ・・・と、うなじに当たっている。こんな事が妙に嬉しくてたまらない。
(あっ・・・)
 ――― どうしよう、わたし。マナのこと、すごく・・・。

 くんっ、とマナの顔が小さく上向いて、再び六花の耳もとにくちびるを寄せてきた。
 本当にギリギリの ――― 触れるか触れないかぐらいの距離。
「ところで、いいニオイの六花さん、あたしが好きになりそうな女の子に心当たりは?」
「んっっ!」
 六花の背に、びくん・・・と小さな電流が走った。
 今、柔らかな感触が耳の縁をなぞったような気がする。
 マナの手を、ぎゅっ、と掴む。
「どうしたの、六花? ・・・・・・もしかして、今、かすった?」
「平気よ。女の子同士でしょ? こんなの、ただの・・・・・・スキンシップ、だし」
 自分の顔が熱くなっているのが分かる。
 こうしてマナのそばにいるだけで、心臓が ――― 苦しい。
(苦しいだけなら逃げ出せばいいんだけど・・・・・・) 
 六花にとって初めてだった。
 しあわせが胸に収まりきれないために覚える息苦しさ。
 そして、そんな鼓動の切なさ。
(もっと苦しくなってもいいから・・・・・・)
 ――― マナと、ずっとくっついていたい。

 ・・・・・・マナも六花と同じ気持ちだった。
 くちびるを、今度は意図的に耳の縁へ ――― そっと触れ添わせるように。
 こらえ気味の声を上げて、六花が身体を震わせる。予想以上にくすぐったかったみたいだ。
 綺麗な耳の輪郭をなぞり上げたくちびるを少しだけ離して、マナがいたずらっぽくささやいてみせる。
「これも・・・、ただスキンシップだよね? 六花」
 ――― じゃあ、こんなこともしちゃおう。
「・・・ちゅっ」
 マナのくちびるが、六花の耳たぶで小さな音を鳴らした。
 湿った、甘い響き。
 紛れもなくキスの音。
「あっ・・・」
 と、六花が声をこぼしてしまう。
 夏服に包まれた少女の身体は、緊張のあまり硬直。
 六花が抵抗できないのを分かった上で、マナのくちびるが、また甘ったるい音を鳴らした。
「ちゅっ・・・」
 耳たぶで弾ける、柔らかな感触。決して強い刺激ではないのに、なぜか身体の奥で、ビクッ、と痙攣が走る。たまらなくなった六花が、上擦った声を洩らして小さく身悶える。
「う・・・、あぁ・・・、駄目よ、マナ」
「どうして? ただのスキンシップなんでしょ?」
 そう言ったくちびるが、六花の耳の内側へ優しく触れる。ちゅっ、と甘く吸いつく音。
「あっ・・・あっ、だめ、マナぁ・・・」
 ぞくっ ――― ぞくっ ――― 。
 くすぐったさと同時に突き上げてきたのは、甘美な悦びに体の一部を溶かされる感覚。
 初めての体験に、六花の心が翻弄される。

145 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 19:58:19

「・・・・・・・・・・・・」
 耳からくちびるを離したマナが、六花の両手に挟まれていた左手を静かに抜いた。
(六花、ふふっ、とろけちゃってカワイイなぁ)

 ――― だって、ただのスキンシップなんかじゃないものね、本当は。

 六花はまだ、耳に残る甘やかなこそばゆさに酔っているようだ。
 彼女のくちびる ――― 女の子にとって特別な意味を持つ場所へ、優しく左手の人差し指を添わせた。
 その動作に数秒遅れて、六花が、びくっ、と身体を震わせる。
「六花、今度はこっちでスキンシップしてみる?」
「えっ・・・」
 マナの言葉に、目を丸くする六花。彼女の顔が、瞬く間に恥じらいの色で埋め尽くされる。
「駄目よ、さすがにここは・・・」
「ふーん? あたしは別に嫌じゃないけど。・・・・・・六花には無理なんだ」
「無理とかじゃなくて・・・・・・」
 六花の戸惑いに関係なく、胸では心臓の音が高鳴っている。本当に好きな相手にキスを迫られたら、誰だってそうなってしまう。
 マナは、そんな六花の様子を愉しみながら、彼女のくちびるを指先でなぞっていく。
「・・・・・・っっ!」
 あえぎを押し殺した六花のあごが、クッ、と上がった。こそばゆさを堪える表情や仕草がすごく可愛い。
 幼少の頃から連れ添ってきた親友が、初めて覗かせる一面に、マナの胸がキュウッとなる。
「フフッ、六花はどこまで頑張れるのかな〜?」
 なめらかなくちびるを、こしょこしょ・・・とくすぐって声を上げさせようとしたが、六花は悩ましげな顔のまま押し黙って抵抗。両ひざの上で、ギュッとコブシを握って我慢を続ける。
(六花っ・・・)
 半分冗談のつもりだったのに、本気でキスしたくなってきた。
 今の六花なら・・・・・・あと、もう一押しといったところか。

(よしっ!)
 ソファーから腰を浮かせたマナが、六花の前に立ち、そして覆いかぶさるように、ぐいっ、と上半身を前のめりに。
 ほっそりした六花の両肩の、すぐ外側 ――― ソファーの背もたれの部分をがっしりと両手で掴む。これ以上距離を詰められるコトを恐れた六花が、両ひざをそろえて、固く閉じようとする。しかし、遅い。それを読んで、マナの左脚は、六花の両太ももの間を割って深く入っていた。
「やっっ、・・・こらっ、マナっ!」
 ひどく焦った表情で、六花がマナを見上げてくる。逃げ場をふさがれたという心理的な圧迫感によって、いつもの冷静さを完全に無くしている。
 その痛々しいまでに無防備になった幼なじみの姿を目にして、
(あー、しまった・・・かも)
 と、マナが後悔。
 今、この状況で強引に行動に出たら、六花は泣き出してしまうかもしれない。

(仕方ない、キスは後回しってことで)
 それよりも・・・・・・。
「ねえ六花、あたしの質問に、まだ答える気になれない?」
「心当たりは、その・・・あるかも・・・・・・だけど」
「あるんだったら教えてよ、六花」
「それは・・・・・・」
 マナのまなざしから逃げるように視線を逸らした。
 六花の乙女心が揺れる。
(マナ・・・・・・、冗談なんかじゃなく、本当にわたしのこと・・・・・・)
 黒い燕尾服にスラックスという、マナの正装めいた姿のせいか、・・・・・・なんというか、まるでプロポーズに対する返事を聞かれているような気がしてきた。

 ――― どうしよう。マナにキスされちゃったら。

 答えを口にした途端、くちびるを奪われてしまいそうで少しこわい。
 でも、マナを愛しく想う気持ちが、どんどん自分の胸の中で高まっていく。
 心の準備は、まだ全然だけど・・・・・・。
 恥じらいで赤くなった顔をうつむけていた六花が、チラッと視線を上げた。
「答えてあげてもいいけど・・・・・・、マナは、その子と付き合うの?」
 うーん、と苦笑するマナが歯切れ悪く答えた。
「実はまだちょっと・・・、迷ってるっていうか・・・」
「・・・えっ?」
「ほら、大切な相手だけど、女の子同士なわけだし」
「・・・・・・・・・・・・」

146 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 19:59:13

 六花がグッと声をこらえて下を向いた。
(何よ、それ・・・・・・)
 マナへの感情が心の中でグツグツと滾ってくる。
(マナってばホント煮えっっっっ切らないっっっっ!!! 
迷う必要ある!? もう女の子同士でもいいじゃない! わたしなんて、マナとならファーストキスどころか、その先まで進んじゃってもいいかなって覚悟決めかけてたのに!)

 胸の内に激情を一気に吐き出し終えると、スーッと頭は冷えた。
 しかし、心はまだ熱いままだ。
 こうなったら ――― 絶対にマナをわたしのものに・・・・・・ッッッ!!

 そう思ったら、自然に両手が動いていた。
 ソファーの背もたれを掴んでいたマナの右手を、ぐいっと下へ押し下げ、強引に自分の左胸をさわらせた。
 死ぬほど恥ずかしいのに ――― かつてない高揚感で胸がうずく。
「ね・・・ねえ、マナの好きにしていいよ・・・」
 恥ずかしさを精一杯こらえて、誘うような色香を乗せた微笑を浮かべてみたつもり。
 ・・・・・・残念な事に、マナの目には、ぎこちなく引き攣った笑顔としか見えないが。
 唐突すぎて、マナが困惑の笑みを顔に広げた。
(な・・・なんだか六花、無理してるなぁ・・・・・・)
 でも、まあ、この誘いを蹴ったら、それはそれで六花に恥をかかせてしまいそうなので、せっかくだからというカンジで触らせてもらうことにする。
「じゃあ、六花・・・、ちょっとだけね」

 まだ発育途中。制服に浅いカーブを描いて、ようやく自己主張を始めたばかりの胸のふくらみ。
 その幼げな丸みに沿わせた手の平を、ゆっくりと上下に滑らせる。
 夏服の薄い生地の下 ――― ブラジャーの手触りを通して、やわらかな肉感が伝わってくる。
「ん・・・、ンッ・・・」
 くすぐったさをこらえる六花が、わずかに身じろぎ。
「ごめん、くすぐったかった?」
「平気・・・、気にしないで」
「うん、じゃあ、もう少しだけ・・・・・・」
 思春期の胸のなめらかな曲線を、マナの手の平が優しく撫でさする。
 発育途中の小ぶりなサイズのふくらみは、肉付きに関しては物足りなくとも、瑞々しい張りのあるやわらかさが、マナの手をよろこばせる。

「六花の胸のカタチ、綺麗だね」
 ささやきながら、右手の親指の付け根辺りに、ぐっ、とチカラを込めてみる。一瞬押さえつけられた胸の丸みは、柔らかな弾力を持って、ふよっ・・・とマナの手の平を押し返してきた。
「・・・・・・きもちいいよ、六花の胸」
「そ、そう? マナの好きなだけ、さわってくれてかまわないから」
 マナの右手に添えられた両手は、恥ずかしさのあまり、今にも震えだしそう。
 六花は、優しく胸を撫でる手の動きにひどく敏感になっていた。服越しなのにもかかわらず、白い肌が甘美なこそばゆさで蕩かされてゆく。
(やだっ・・・)
 大好きな相手が目の前にいるのに、少しだけ、いやらしい気分になってしまった。
 こんな気持ちを、マナに見透かされたらと思うと ――― 。
「あっっ・・・」
 胸のふくらみを撫で上げてきた手の動きに、六花の背筋が、びくっ、と小さく跳ねて弓反った。
 その反応にマナの手が止まる。・・・・・・が、すぐに再開。さっきまでよりも大胆な手付きで、初々しい胸のふくらみを愛でてくる。
「うっ・・・、あっ、・・・あぁっ、うっ・・・・・・ン゛ッ・・・」
 六花の押し殺した声が、体育館のステージ裏にこぼれる。
 五本の指を広げた手の平が、夏服に浮かび上がる胸の丸みにかろうじて触れているような状態のまま、さわさわと円を描くようにすべり、時折、そのなだらかなふくらみを手の平で優しく押しつぶして上下にマッサージ。
 マナの手の平へ柔らかに跳ね返る胸の弾力。それを、つっ・・・と、くぼませて遊ぶ細い指先。
 まるで、六花をさらにいやらしい気分にさせるための場所を探して触診しているみたいだ。
(駄目っ、マナのさわり方、きもちよすぎて変になっちゃう・・・・・・)
 夏服越しの感触。少女の淡い胸のふくらみへ、マナが指先や手の平を何度もすべらせて、その瑞々しい肌の張りを味わってくる。逆に、そんな彼女の指使いや撫で方を、六花は自分の小ぶりな胸のふくらみで味わいつつ、ひそかに興奮を覚えていた。
「んっ、ふっ・・・あっ、うぅ・・・・・・」
 喘ぎ声を抑えて悶える六花の上半身は、いつのまにか熱く火照っていた。

147 名無しさん :2017/03/12(日) 19:59:47
>>125
凄いな〜まだ執筆本数少ないのに……。セリフのかけあいが面白いです。上げて落すところといい、読者を笑わせることを意識して書いた作品ですね。らしさもちゃんと出ていて、短編としても楽しいです。来年も期待しています!

148 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 20:00:01

(マナ、大好き)
 胸の丸みを愛撫する手付きが、徐々になめらかさを増してくる。それをもっと深く感じようと、うっとり両目を閉じていた六花の上半身が、突如、ビクッ!と『く』の字に折れた。
 なだらかな胸のふくらみのてっぺん。そこをマナの指が強めに、ツツっ・・・と擦ったのだ。
「やっ、やだっ、マナっ・・・」
 服の生地とブラジャー越しだったが、感度の高い胸の先っぽは、陶然としたうずきに一瞬支配されてしまった。マナの指が離れた今も、ムズムズと余韻を残している気持ちよさがたまらない。
「・・・・・・おやおや六花、そんなに気持ちよかったのかい?」
 と、からかうみたいなマナのささやき。
 そして、右手の指先をこまかく動かして、胸先を集中的にまさぐってきた。
「ひっ! ちょっ・・・コラっ、マナっ、ホントにやめっ・・・きゃっ! やっ・・・、駄目って!」
 ソファーの上で騒ぎながら抵抗する六花。
 マナが自分のくちびるの前に左手の人差し指を立てて『しーっ』と、さらにその視線が意味ありげに体育館のほうへと向いた。
 ・・・・・・理解できた六花は、押し黙るしかなかった。
 まだ体育館のほうから、しゃべり声が聞こえてくる。合唱部の女子たちは、完全に歓談モードへと入ってしまったらしい。
 向こうの声が聞こえるというコトは、当然こちらの声も、下手をすれば ――― 。
「気付かれたら、誰かこっちに来ちゃうかもしれないよ? だから、なるべく静かにね、六花」
 そう言ったマナが、左手も伸ばしてきた。
「だ・・・だめよっ、マナ・・・」と、抑え気味の声で言って、首を横に振る六花。ならば・・・と、マナは笑顔を浮かべて策略を行使。
「六花、本当に愛してる」
「な、なによ、いきなり・・・・・・」
「愛してるよ、六花。だから、さわらせて?」
「だから・・・じゃないでしょっ。さわらせませんっ」
「ふーん、じゃあ、これでも?」
 六花の胸から右手を離したマナが、今思いついた手品を試してみる。
「六花、今から手品するから。見ててね」

 マナが上向けた自分の左手に、そっと右手の平を被せた。
 六花の視線がそこへ向いているのを確認してから、そぉーっと右手を持ち上げた。
 ・・・・・・もちろん、上向けた左手には何も乗っていない。
 怪訝な目でマナを見上げてくる六花に、マナがニコッと笑ってみせた。
「六花になら見えるはずだよ。ねっ? よく見て」
「何も無いじゃない」
「そんなことないよ。ほら、そろそろ見えてきたんじゃない?」
 マナの右手が、左手の上で、六花に向かってパカッと何か開けるような動きをしてみせた。さすがに六花にもピンときた。
「給料3ヶ月分?」
 六花がたずねたのは、マナの左手に乗せられた『見えないリングケース』の中身の値段だ。
 ふふっ、と笑うマナ。
 彼女の勝ちだった。
「・・・・・・分かったわよ。さっ、その指輪、はめさせて」
 ツンとした態度で、六花が左手を ――― ほっそりとした薬指をマナへと差し出した。
 マナが『見えないリングケース』から取り出した『見えない婚約指輪』を持ち、六花の左手を自分の左手でそっと支えながら、少女の薬指へ恭しく指輪を通していく。
(わたしとマナ、二人だけの記憶にしか残らない婚約指輪・・・か)
 最初の白いハンカチをハト代わりに使った手品よりも、断然いい。
 物質的には何も無いのに、薬指の第二関節と第三関節の間に、ジンッ・・・と心地良い熱のようなものが生まれている。六花が、その薬指を見せ付けるように顔の隣まで持ち上げて、
「綺麗な指輪ね。ありがとう、マナっ」
 と、純真な笑顔をマナへと送った。
 そして、すーっと息を吐き、腰の横に下ろした両手で、ソファーのクッションをきゅっと掴む。
 マナの目線が下がる。
 それを追った六花が、侵入を阻止するために両太ももでずっと挟んでいたマナの左脚を解放してやった。
「いい? マナ、先に言っておくけど、先っぽばっかりイジメちゃ駄目よ」
「分かってるってば。六花、愛してる」
「あー、もお、ハイハイ」

149 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 20:00:46

 マナの右手と左手が、それぞれ左右の胸のふくらみへ、やんわりと触れてくる。
 夏服越しに感じるくすぐったさ。
「んっ・・・」
 ぴくっ、と片目をつむりかけた六花が、ソファーのクッションを強めに掴む。
 なだらかな曲線のカタチに沿って、マナがゆっくりと愛撫の手付きをすべらせてきた。
「あっ、うぅ・・・うっ、ん・・・・・・」
「六花の胸って、将来大きくなったら色々できそう」
「色々って・・・、何を想像してるのよ。マナ、いやらしい」
「ふふっ」
「あ、あぁっ、ちょっと、マナっ・・・」
 ふくらみかけの胸を撫でまわしているマナの両手が、左右別々の動きで二つの丸みをまさぐり始めた。どちらの胸のほうが感じやすいか、実験するみたいに。
「あっ、そんな風に・・・さわられたら・・・・・・くすぐったっ、うっ・・・」
 ソファーの背もたれに強く背中を押しつけて、胸のこそばゆさに仰け反ろうとする上半身の動きを抑える。
 ・・・・・・しかし、声と表情にどうしても出てしまう興奮の色までは抑えられない。
「いやらしいのは、あたしじゃなくて、六花のほうなんじゃないかな?」
「 ――― わたしをいやらしくしているのはマナじゃないっ!」
 しっとりと潤んだ切れ長の目で、マナを『キッ』と睨みつけた。
 あはは・・・とバツが悪そうな笑みを洩らしたマナが、そんな彼女の顔に見入る。
(勝気な六花の顔もいいなぁ・・・)
 母親譲りの知的な容貌をクールな表情で整えて、涼やかにしている時も綺麗だけど、今、こうして感情をむき出しにしている時の顔も素敵だった。恥じらいに染まりながらも、気持ちよさに流されまいと必死で抗う表情。正直、マナは好きだ。
(けど、どこまで頑張れるかな、六花)
 左右の手の平で包んだ瑞々しい肉感を愉しみつつ、夏服に隠された胸のなだらかな曲線を指先でなぞり上げる。肌を這うマナの手の平や指に、柔らかく跳ね返ってくる肉の弾力。きもちよくて、何度さわっても飽きがこない。
 両胸を愛撫されている六花が、顔を上気させて喘ぐ。
 くすぐったそうにしている六花を見ると、もっといじめたくなる。

 夏服の薄い生地の上に、フワッ・・・と、かろうじて乗せられた程度の指先を、すーーっ・・・と胸の丸みに沿って走らせる。もちろん、左右の手はそれぞれ別の動きで。
「んっ、マナ、何がしたいのよ、もぉ・・・・・・」
 さっきまでとは違う微妙なくすぐったさに、六花は焦(じ)れたみたいな表情。
 マナは、あえて時間をかけて、そういうまさぐり方を続けた。
(も・・・もおっ、マナったらぁっ)
 早く、気持ちよく ――― なりたい。
「あん・・・、もう、いい加減にしてよぉ・・・・・・」
 切なげな声をこぼして、六花がキュッと左右の太ももをきつく閉じた。
 まだそこに残っていたマナの左脚を再び挟んで ――― 大好きな人の脚を太ももで抱きしめるみたいに。
 気持ちよくしてほしいという、おねだりの仕草。
 それが効いたのか、マナの手が、六花の胸へグッと密着。少し強めのマッサージを思わす愛撫によって、小ぶりな二つのふくらみが、軟らかに何度もカタチを崩した。
「ああっ・・・あああ、マナぁ・・・、それ・・・気持ちいいからぁ・・・」
 白い柔肌が、マナの指先や手の平の感触に悦びを求めてしまう。
 悶えながら熱い息を吐く六花に顔を近づけて、マナが興奮のにじんだ声でたずねる。
「六花ぁ、もっと気持ちのイイこと、してほしいんじゃない? ほらぁ」
 夏服の上から胸の丸みの頂点を、指でカリカリと引っかくように・・・・・・。
 両胸の先っぽを責められる六花が、「ふあっ・・・」と、チカラの抜けた声を洩らした。
 相変わらず、夏服の薄い生地とブラジャーの防御力は役に立たない。マナの指の動きに、感度の高い胸の先端は、ムズムズとたまらなくうずいてしまう。
「あ゛ああぁ・・・、マナ、あまり・・・激しく指・・・動かさないで・・・・・・」
 大きな声 ――― 出ちゃう。

150 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 20:01:28

「そうだねぇ、六花・・・、何をされてもガマンしないと」
 意地悪く微笑むマナの両手が、夏服とブラジャー越しに、ツンとこわばっている胸先を強引につまみ上げようとしてくる。
「ひっ、ああ・・・、マナ、こらっ、やめ・・・あ゛あっ・・・」
 ただでさえくすぐったくて敏感になっているのに、そんなことをされたら ――― 。
「あはっっ・・・、やっ、ダメっ、恥ずかしいよぉ、マナぁ・・・」
 胸先の幼い突起に、恍惚とした痺れが走る。
 自分の指でもそんな風に触ったことがないのに、いきなり他人の指でなんて・・・・・・。まだ中学生の少女に耐えられるはずもなかった。
「駄目・・・、マナ、あああ・・・、ひっ、ああ・・・っ」
 胸の先端をまさぐっていた人差し指と親指が、夏服とブラジャーごと感度の高い先っぽを搾り上げるように、キュウッと、きつめにつまんできた。
( ――― 痛ぁっっ!!)
 一瞬、六花の背中がソファーの背もたれに激しくぶつかって悶えた。服の上から電気を流されたみたいな刺激。六花が眉間に悩ましいシワを刻んで喘ぐ。しかし、痛みがジンジンとした疼きに置き換わってくると、六花は身体を熱くするほどの興奮を覚え始めた。
「はぁっ、あっ・・・はぁ・・・、これ・・・すごい・・・・・・いい」
 倒錯的な官能の体験 ――― 六花の知識に無かった甘美な蜜を、感じやすい胸の先っぽで味わってしまったのだ。
 けれど、服と下着を間に挟んでいるせいか、少し感触がもどかしかった気がする。胸先を酔わせる疼きも、なんだか物足りない。
(でも、もしさっきのが直接、何も無い状態でだったら・・・・・・すごく痛いかも・・・・・・)
 ――― でも・・・。
 ――― ゾクッ。
(マナにそういうコトされるのって、ちょっと、期待・・・しちゃうっていうか・・・・・・)
 六花が「・・・ん゛ッ」と鼻にかかった声を洩らした。
 マナの指でいじめられている両胸の先っぽが、さらにムズムズしてきた。

「六花・・・」
 マナの声に視線を上げる六花。マナが注意を向けているほうへ意識を持っていく。
 体育館に居残っていた合唱部の女子たちの声が全く聞こえてこない。物音もしない。
 ようやく帰ってくれたらしい。
「マナ・・・」
 六花の心臓が、はっきりと興奮の鼓動を奏でる。
 今は、本当に、やっと ――― マナと二人きり。

 がばっ ――― 。

 我慢なんて出来なかった。マナの背中に両腕を回して、思いっきり抱きつく。
 ソファーに倒れこみそうになったマナが、とっさに背もたれに左手を着いた。
「六花!?」
「・・・・・・・・・・・・」
 顔を見られるのが恥ずかしくて伏せてしまうけれど、この昂った感情は、もうごまかせない。
 二人っきりになったと思った途端に、気が付いた。
 自分の大切なところが、マナを欲しがっている。
「・・・・・・マナ、いやらしくて・・・ゴメン。わたし、体の奥がすごく疼いて・・・・・・」
「痛いの?」
「ううん、その・・・マナに、撫でてもらいたくて・・・・・・、ス・・・、スカートの奥 ――― 」
「赤ちゃんを産む所?」
 マナの口から、いきなりそんな言葉が出てきたものだから六花は驚いてしまった。しかしまあ、中学三年生にもなれば知ってても普通かな、と思い直し、キュッと彼女の背中を抱きしめた。
「熱く疼いちゃってるの・・・・・・、お願い」
 あとはもう、マナに全部任せようと思った。
 スカートをまさぐり上げた右手が、その生地の下に潜って、六花の太ももを撫でながら這い登っていき、ショーツのサイドを軽く指先でずらす。
 六花はくすぐったくて、マナに抱きついたまま何度も身震いして喘いだ。
 学校でこんな事するなんて絶対に間違っている。それでも ―――――― 。

 その時、唐突に体育館のほうから聞こえてきた声が、二人の睦み事にストップをかけた。

「こらーっ、レジーナ、待つケルーっ、今日はボクと一緒に帰るケルーっ」
「イーヤッ! 今日はマナと一緒に帰る気分なの!」
 六花とマナが顔を見合わせる。
 ラケルとレジーナだ。非常にマズイ。
「ほら、誰もいないケル。これ以上探しても無駄ケル。もうマナは帰ったケル」
「 ――― ねえ、ラケルぅ、体育館の裏って、なんか部屋なかった?」

151 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 20:02:43

「・・・・・・逃げるよっ、六花っ」
 小声で告げたマナが、六花の手を引いて立ち上がらせようとする。
 しかし、六花は「待って」と制止して、マナの顔を申し訳なさそうに見上げた。
「腰が抜けちゃって、立てないんですけどぉ〜〜」
「・・・えーーっ」

 レジーナとラケルが騒がしくステージ裏へとやってきた。
 大道具等に興味を持てないレジーナは、つまらなさそうに一瞥しただけでマナがいないことを確認して、ラケルのことなどほったらかして帰ろうとする。それが気に入らないのか、ラケルが非難の言葉を並べながらレジーナを追いかけて去っていく。

 ――― 壁際から少し離されて置かれたクラシック調のソファーの後ろ。
 中学生の少女二人なら、横になればかろうじて身を隠せる程度の大きさだったのが幸いだ。
(マナ・・・っ)
 マナに抱きしめられた姿勢で床に転がり、ソファーの陰に隠れて息を殺し、なんとかラケルとレジーナをやり過ごした。それはいいのだが。
(どうして、わたしにキスしてるのよっ、もおっ!)
 しっとりと湿りを帯びた、やわらかなくちびる同士の重なり合い。
 息を潜めるために口をふさぐ必要があったとか、そんな理由だろうか。だからといって、キスは無いと思う。大好きな相手との、ファーストキスなのに。
 しかし、ソファーの後ろに隠れ、床の上に転がった状態でしているマナとのキスが、六花の心臓を甘く蕩かしているのも事実だ。
(まあ、もしかしたらラケルたちが戻ってくるかもしれないし、念のため、もう少しこのままで・・・・・・)
 くちづけのやわらかなぬくもりに、心を溶かす。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 

 帰り道。
 二人は手を繋いで歩いていた。
 ・・・・・・手は繋がっているのに、体同士の距離は遠い。周りに人がいないのをいいコトに、六花がマナから出来るだけ離れようとしているのだ。 
「あの〜〜、六花さん?」
「・・・・・・・・・・・・」
「もしかして、とっさにしちゃったキスの事でしょうかぁ?」
 六花の態度の原因を探ろうとしてくるマナに、チラッとクールな視線を向けて、
「キス?」
 と聞き返した。そして、わざと数秒の間(ま)を置いてから答えた。
「あれ、ただのスキンシップでしょ」
 ・・・・・・気持ちよかったとはいえ、人生で一度きりしかないファーストキスをあんな形でおこなったのは許せない。マナに対する冷淡な距離の取り方は、しばらく止みそうにない。
 隣でマナが困っているのが気配で分かったが、六花は何も言わなかった。ちょっとした罰のつもりだ。
「あー、ところで六花さ〜ん」
 またマナが話しかけてきたけれど無視。手を繋いだまま歩き続ける。
 マナが、たたっ・・・と距離を詰めてきて、内緒話をする時みたいに、片手を口もとの隣に立てて訊ねてきた。
「まだ、熱く疼いちゃってます?」
「・・・っっ!」
 あの時はラケルたちが来たせいでうやむやになってしまったし、そのあとも何かをする雰囲気には戻れなかったため、マナと一緒にこうして帰ることにしたのだが・・・。
「な、なに馬鹿な事言ってるのよっ」
 と、六花が顔を赤らめて怒ってみせる。
 しかし、マナはイタズラを成功させた子供みたいに微笑んで、言葉を続けた。
「今夜、六花の家にお泊まりして慰めてあげてもいいけど・・・、うーん、どうしよっかなぁ?」
「マナの好きにすればいいじゃないっ!」
 六花がマナの手を強引にほどいた。そして、マナを置き去りにして走り出す。
 カーッと紅潮した自分の顔を、こんな所でマナに見られるのが恥ずかしかったのだ。
 表情に浮かんでいるのが、怒りだけならかまわない。
 けど、それ以上に嬉しくて、だらしなくニヤニヤと顔が緩みかけているのが分かっていたから。

(何が幸せの王子よっ! マナったら悪い魔法使いじゃない!!)
 まったく・・・・・・、マナがこの胸にかけた魔法のせいで、
 今夜、彼女が部屋に来てくれるまで、六花の心臓はドキドキしっぱなしだ。

(おわり)


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