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【競作】オールスタープリキュア!魔法でつなぐ!冬のSS祭り2017

1 運営 :2016/12/11(日) 16:06:51
こんにちは、運営です。
アカオーニには笑ってもらうとして(笑)来年のお話です。当サイト4回目のSS競作企画を行いたいと思います!

題して『オールスタープリキュア!魔法でつなぐ!冬のSS祭り2017』

どうぞ皆様、奮ってご参加下さい!!

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<企画書>

タイトル:オールスタープリキュア!魔法でつなぐ!冬のSS祭り2017

期間:2017年2月18日(土)〜3月12日(日)の23日間

テーマ:「魔法」または「繋ぐ」 

みらい 「ねぇ、リコ〜。今度のお話祭りのタイトル、もう聞いた?」
モフルン「『魔法』と、『繋ぐ』モフ」
リコ  「ええ! 狙い通りよ!」
みらい 「狙って……たんだ。えーっと、どっちか片方のお話でいいんだよね。『魔法』なら、ホンモノの魔法のお話は勿論大歓迎だし」
モフルン「魔法みたいな不思議な出来事、っていうのも素敵モフ」
みらい 「そうだね。『つなぐ』は、こうやって手を繋ぐ、っていうのもアリだし〜」
リコ  「こ、こら、みらい! 実際に繋いで見せなくたって……」
モフルン「もっといろんなものを繋げてもいいモフ。モフルンは、クッキーをいーっぱい繋げたいモフ!」
みらい 「モフルンは繋げる前に食べちゃうでしょう……。それから、どちらか片方でいいってルールだけど、両方使ってもいいんだよね?」
リコ  「そ、そうだけど……別にわたし、主役になりたいなんて思ってないし」
みらい 「え? どういうこと?」
リコ  「ほら、テーマが『魔法』と『つなぐ』って言えば、何か思い出さない?」
モフルン「……何も思い出さないモフ」
リコ  「え、えーっと……そうね。ヒントは、エクストリーム・レインボーの時の……」
(そこへ息せき切って、ことは登場)
ことは 「ねえねえリコ! 今度のお話祭りのタイトル、聞いた? 『繋がる魔法よ!』っていう、マジカルの台詞そのものだねっ!」
リコ  「あ……(赤面)」 
みらい 「ああ」
モフルン「主役になるって、そういうことだったんだモフ?」

ということで、今年のテーマは「魔法」または「繋ぐ」、どちらかが盛り込まれているお話を大募集します!
テーマの単語そのものが出て来なくても、テーマが感じられるお話なら大丈夫。勿論、「魔法」と「繋ぐ」、両方盛り込んで頂いてもOKですよ。
毎年書かせて頂いていますが、大切なのは、あっつ〜い作品愛!! それさえあれば、大抵のお話はOKです。
短いお話、ふざけた小ネタ、大歓迎! 難しく考えず、いろ〜んなSSを集めて楽しいお祭りにしましょう!

※プリキュア全シリーズは勿論、コラボSS(プリキュア&プリキュア、オールスターズ、プリキュア&その他)もOKです。来年スタートの新シリーズ「キラキラ☆プリキュアアラモード」のSSもどうぞ!

※体裁は、小ネタ、長短編なんでもOK。140文字SSも受け付けます。(140文字SSは、出張所(Twitter)でも受け付けます。)

※ただしお約束として、サイトの特性にあったものでお願いします。(男女間恋愛ネタと、オリジナルキャラのメイン起用・実在する人物(作者含む)を起用した作品はNG。サイトのQ&Aをご参照下さい。)

※お話を書くのは初めてだけど、何か書いてみようかな……という方、書き手じゃないんだけど……という方、大歓迎です!!
お祭り企画を機会に、短いものでも何か書いてみませんか? お待ちしています!
なお、当サイトの運営は、全員がSSの書き手です。何か書いてみたいけどどう書いて良いか分からない、書いてはみたけど、これでいいのかな……等々、何かありましたら「掲示板管理者へ連絡」からいつでもお気軽にご連絡下さい。及ばずながら、お手伝いさせて頂きます。

※SSは書かないけれど、読むのを楽しみにしているよ!と思って下さっているそこのあなた!
読み手の方々なくしてお祭りは成立しません。SSを読んで頂いて、何か一言でも感想やコメントを掲示板にどしどし書き込んで下さい!
コメントは、ものすごーく書き手の励みになります。場合によっては、次の作品にも繋がるかも!?
どうぞ盛り上げ&応援でのご参加、よろしくお願い致します。
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ご参加表明を頂ける方は、①この競作スレッドに参加表明を書き込んで頂く、②運営宛てにメールする、③出張所(Twitter)にDMを送る
のいずれかの方法にてご連絡ください。(勿論、飛び入り参加も大歓迎です!)
皆様のご参加、心よりお待ちしております。よろしくお願い致します!

2 Mitchell & Carroll :2016/12/13(火) 22:38:26
さっそく出来ました!(よい子は絶対に真似をしないで下さい)

『fLyInG MeMoRy』

ジュン「いやー、久々のナシマホウ界!ワクワクすんなぁー!」

リコ「ケイは、メモ帳持参なのよね?」

ケイ「うん。私、あれから大事なことはメモするようになったの」

エミリー「――あ!あそこで何かイベントをやってるわ!」

みらい「あー、漫才コンテストだね。漫才はね、“間”が大事なの」

ケイ「ま……、と」

エミリー「――それにしても、黄金の国というだけあって、田んぼが一面に広がってるわね」

リコ「“穂”がこんなに垂れ下がって、今年は豊作ね」

ケイ「ほ……、と」

ジュン「――おい、アレ!オッサンが鳥を吐かせて、魚を自分のモンにしてんぞ!?」

モフルン「あれは“鵜飼い”といって、伝統的な漁法モフ」

ケイ「う……、と」

ジュン「――おい!何だ、このデッカい魚は?カチカチじゃねぇか!」

みらい「それはマグロだよ。それを油漬けした物を“ツナ”っていって、おにぎりの具とかにするの」

ケイ「つな……ぐ、と」

3 名無しさん :2016/12/13(火) 23:07:27
超フライングwww 
オープニングの小ネタっぽくて面白いですw
これは、参加表明ということですよね、楽しみにしてまーす!

4 名無しさん :2016/12/14(水) 00:00:22
>>1乙です! どんな作品が読めるのか楽しみにしてます!!
と思ったら>>2 早っ!!

5 名無しさん :2016/12/18(日) 19:33:07
>>2
このタイトルは多分、ホントは魔法文字で書いてあるんですよねw

6 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2016/12/31(土) 05:40:23
猫塚鶉です。
今回も参加させていただきます・・・・・・が、
カップリングが絞り込めない。
一応「マナりつ」でいくつもりですが、まだ迷ってます。
他のカップリングも面白そうで・・・・・・。

15禁予定。
少女二人の頭脳戦(ゲーム)です。

7 名無しさん :2016/12/31(土) 16:29:35
>>6
わーい、猫塚さん!
今回もガッツリ美しいエロかと思いきや、R15ってなんか新鮮!
楽しみにしています。

8 名無しさん :2017/01/03(火) 23:31:16
猫塚さんの15禁!
ワクワクもんだぁ!!(←最近になってようやく使いこなせるようになった)

9 通りすがり :2017/02/13(月) 06:20:26
えーっと、名も無い通りすがりですが、参加表明させていただきます。
締め切りギリギリになるかと思いますけど……おそらくスマイルネタ……あかなおになるのかな?
を予定してます。まあ予定は未定なのですが。
その折はよろしくお願いいたします。それでは、また。

10 名無しさん :2017/02/13(月) 06:27:24
あー、名も無い通りすがりなら名前欄名無しさんで良かったですね……orz 
ともあれ、よろしくお願いいたします……。

11 名無しさん :2017/02/13(月) 07:34:31
>>10
通りすがってくれるの楽しみにしてます!

12 運営 :2017/02/17(金) 21:08:49
こんばんは、運営です。
いよいよ明日0時(本日24時)から、SS祭りスタートです!
今年は遅くなってしまいましたが、参加表明を頂いている方々のお名前をお知らせしたいと思います。
受付順に、
猫塚 ◆GKWyxD2gYE様、kiral32様、そらまめ様、makiray様、たれまさ様、コロ助MH様、ねぎぼう様、ゾンリー様、
Mitchell&Carroll様(参加表明として受け取りました♪)、それから名もない通りすがりの御方。
それから運営の、夏希 ◆JIBDaXNP.g、一六 ◆6/pMjwqUTkも参加予定です。
※あくまでも予定です。

以上の12名と、お名前は公表しませんが参加を検討して下さっていると伺っている方が、あと2名ほどいらっしゃいます。
飛び入り参加も、大大大歓迎ですので、どうぞよろしくお願いいたします!
また、読み手の方々の感想、ツッコミ、コメントも大大大歓迎ですので、こちらも何卒よろしく!!
では、スタートまでもう少しお待ちください。

13 夏希 ◆JIBDaXNP.g :2017/02/18(土) 00:31:21
みなさん、こんばんは。いよいよ始まりましたね。では、恒例の開幕の挨拶をSS風に。2レスお借りします。

14 夏希 ◆JIBDaXNP.g :2017/02/18(土) 00:32:39
 芝生公園の桜の木々が小さな蕾をつける頃、パンの移動販売店「Mofu Mofu Bakery」に並ぶ列の中から、大学生くらいの女の子が二人、中学生くらいの女の子が一人、仲良く談笑しながら山のようなパンを抱えて出てきた。
 中身は人気ナンバーワンのイチゴメロンパン。とは言え、軽く見積もっても50個以上はあるだろう。とてもじゃないけど3人で食べきれる量ではない。
 女の子の名前は、朝日奈みらい。十六夜リコ。花海ことは。みらいの肩にはクマのぬいぐるみ・モフルンが乗っかっている。ここ数日は、この顔ぶれで毎日のようにこの店に足を運んでいた。

「はー! 今日もいっぱい買っちゃったね」
「これどうするモフ? こんなに食べられないモフ」
「大丈夫! 計算通りだし……って、そんなわけないでしょ。私は指を立てて6つと言ったのよ? なのに、みらいったら60個も注文しちゃうんだから。誰かに配るアテでもあるの?」
「い、いやぁ、そういうわけじゃないんだけどね。みんなにも食べさせてあげたいな〜って思ったら、つい……」

「「みんなって?」」

 リコとことはの問いに応えるように、みらいは何通かの封筒を、大切そうにバックの中から取り出した。

「わぁー、かわいい封筒! なんて書いてあるの? 読んでもいい?」
「ちょっと、みらい! これって……」
「うん。まだはーちゃんと出会う前のことなんだけどね、わたしとリコはある森でプリキュアの先輩達と会ったの。これは、その時のみんなからの、お話し会の招待状なんだ」

 そう語るみらいの口調は、楽しそうというよりも、むしろ懐かしそうな響きを伴っていた。

「あ、でもこれって……もう何年も前の日付になってるよ?」
「一番古いのは、私達と別れた直後くらいね」
「うん。毎年誘われてたんだけど、わたし一人じゃ行く気になれなくて」
「でもみらいは、招待状だけはちゃんと取っておいたモフ」

「そうだったの。今頃みんなどうしているのかしら」
「高校を卒業した頃くらいから招待状も来なくなっちゃってね。でも、きっとみんな仲良く元気にしてると思うんだ。わたし達みたいに」
「そうね」
「きっと、そうモフ!」

「だったら会いに行こうよ! 私も他のプリキュアの子達と会ってみたい!」
「でも、どこに住んでいるのか、どうしているのか、何もわからないんでしょ? それに人数だって50人以上居るみたいだし、全員と会うなんて無理よ」
「もしかして、できるの? はーちゃん」

「できるよ! 今のみんなじゃなくて、この手紙に込められた思いをたどって、その時のみんなになら!」
「それって、イチゴメロンパンの魔法と同じだね!」
「じゃあ、私達も中学生に戻って――行きましょう!」

「「「キュアップ・ラパパ!」」」

(手紙に込められた絆の力よ、わたし達を導いて。あの日、あの時、あの場所で、あの人達に会いたい!)

 イチゴメロンパンに込められた思い出の力で、みらいとリコが中学生の姿に戻る。スタイルは、ことはも揃って魔法学校の制服だ。続いて手紙に込められた絆の力で、4人は封筒の中に吸い込まれるように姿を消した。

15 夏希 ◆JIBDaXNP.g :2017/02/18(土) 00:33:19
 ポンっと飛び出した先は、見知らぬ町の空中だった。リコは慌ててホウキを出そうとするものの――間に合わずに、ドッシーンとお尻から落ちてしまう。

「みんな〜! 怪我はないモフ?」
「アハハ……なんとか……」
「アイタタタ……なんか思い出しちゃうね。あの時もこうして落ちたっけ」
「あれは、落ちてないから! 計算通りだし、今回も魔法を使うまでも無いと思っただけよ!」

「みなさ〜ん! 大丈夫ですかぁ?」

 軽快な足音と共に、元気な声が近付いてきた。ツインテールの女の子が小走りに駆け寄ってくる。4人の無事を確認して、それからは、キラキラとイチゴのような綺麗な瞳で、好奇心いっぱいの表情でみらい達を見つめる。
「最近は、生クリームだけじゃなくて人間まで降るんですね〜」なんて冗談を、大真面目な顔で口にしながら。

「もしかして、あなたは!?」
「え……私のこと、ご存知なんですか?」
「え? だって昨日、モフルンケーキをご馳走してもらったばかりだし」
「ああ! あのケーキ、美味しかったよね〜」
「おかしいですね。昨日はお話し会の準備で忙しくて、誰とも会ってないはずなんですけど……。でも、言われてみると、なんだか初めて会うような気がしませんね」
「だよね〜。だって昨日……」
「ちょっと、みらい。はーちゃんが言ってたでしょ? わたしたちは、招待状に込められた絆の力でここへ来たのよ? と言うことは……」
「んー……。リコの言うこと、難しいよ」
「はーちゃんがそれ言う!?」
「それより今、お話し会って言ったモフ?」

「ぬいぐるみがしゃべったぁ!?」
「あ、驚かないでね。実はモフルンは……」
「ああ、平気です。ペコリンも……あわわわ、じ、実は、そんなに驚いてませんから。それよりもしかして、その封筒は――やっぱり!」

「おーい、いちかちゃーん。ケーキが焼けたよー! みんな待ってるよー!」
「あ、はーい! さあ、みなさんも来て下さい。ようこそ、先輩達。プリキュアの秘密のお話し会に!」

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

『オールスタープリキュア!魔法でつなぐ!冬のSS祭り2017』

 テーマは『魔法』、もしくは『繋ぐ』、あるいはその両方です。初代からキラプリまで、さあ! プリキュアの秘密のお話会の始まりです!

16 夏希 ◆JIBDaXNP.g :2017/02/18(土) 00:34:09
以上です。みなさんの作品を楽しみにしています。

17 コロ助MH :2017/02/18(土) 02:31:34
こんばんは、私なりですが「まほプリ」の愛を込めて、彼女達が「一緒」にいられる事を願って書いてみました TV本編49話で朝日奈家の方々はみらいとリコとはーちゃんのお別れを目撃しててその後にみらいから全ての事情を聞いて知っていると言う設定です それではよろしくお願い致します。


「ETERNAL HAPPINESS」




「それでは行ってきます おばさま」と私は家の裏手に向かう。
「リコちゃん気をつけてね って気をつけるも何もないんだったわね」と微笑み合いながら別れた。


みらいとはーちゃんと奇跡の再会を果たしてから数ヶ月後、私達はまた同じ屋根の下で暮らせるようになった。と言うのも…
「おはようございます リコさん」
そこにはヤモーとドクロムシーが立っていた。
「おはようございます ドクロクシー様、ヤモーさん ではお願いします」
「はい、かしこまりました それではお願いしますドクロクシー様」
と言うと何もない所に丸い穴の空間が出現し3人で飛び込むと次の瞬間、魔法学校の校門の前に到着していた。そして
「では夕方にまたお迎えに上がります」
とまた別の空間を作り出しあっと言う間に去っていってしまった。

ドクロムシーの虫歯を治し別れて少ししてから、ヤモーとふたりで魔法学校にこれからの身の振り方について相談しに来た。私は彼の能力を最大限に生かせる職業に就くべきだと、総合的に考えて人間界で言う「タクシー」が最適ではないかと提案した。すると
「そんな下々の仕事などをドクロクシー様にさせる事は出来ません!!」
と猛反発してきたので
「でもこの仕事はきっと上手くいくと思うし そうすればドクロクシー様に今よりも安定してお菓子を提供出来るし、そして何より魔法界の住人からやがてはナシマホウ界の住人からも敬われる様にきっとなります」
と諭した。疑心暗鬼のヤモーだったが確かに一理あるかもしれないと考えている様子で
「あまり気が進みませんがとりあえずあなたの提案を受け入れてみましょう でも上手く行かなかった場合は… オボエテーロ!」
と姿を消した。

その後「タクシー」を始めたふたりだがこれが予想以上に大好評で、と言うか今では魔法界では知らない人はいない程の人気者になり、皆からは感謝と親しみを込めて「ドクロクシー様」と呼ばれる様になるまでになった。一方、ヤモーも利用者が増え続け過密スケジュールになりつつあるも、そこは有能な執事の腕の見せ所と主人の為に身を粉にして働く姿に皆が好感を持つ様になり、誰に対しても少しキツイ口調も全ては職務に忠実の為だと言う事が周囲に浸透し、彼もまたいつの間にか尊敬の念を込めて「ヤモーさん」と呼ばれる様になった。利用客は主にナシマホウカイと魔法界を行き来する者が多かったがそれ以外にも広大な土地を持つ魔法界を移動する手段としても重宝されるようになった。

ただの職務と割り切って忙しい日々を自身の仕事とこなし続けたヤモーも、何度か容易に再会出来ない距離にいる人々の感動の再会に立ち会う事が重なりその都度、利用者に涙ながらの感謝の言葉を聞くうちに、最初は何とも思わなかったけれどひょっとして自分は天職を得たのではないかなと 事実、ドクロクシー様は皆に敬愛され自分にまでも声をかけてくれる様になったと「全てはリコさんの仰る通りだった」と感激し、それで彼らから私に、お礼にせめて通勤の送迎には是非、私達を使って下さいとの申し出があった。その瞬間、それならまた夢にまで見た朝日奈家でみらい達と一緒に暮らす事が出来ると、送迎をお願いした。
こうして朝日奈家にお世話になる事を勝手に決めてしまったんだけれど、事情を話すとみらいを筆頭におばさま達には大歓迎してもらえて今日に至る。

そして私達の愛娘と言うべきはーちゃん、私がまたみらいと暮らせる様になったと伝えると
「私も一緒に暮らしたい!」
と、一体どんな原理か魔法使いの私でもさっぱり分からないんだけど宇宙の果てからでも
「ビューっと飛んで行って、サーっと帰れるから大丈夫だよ!」
と言う事で朝は宇宙の果てまで行って夕方には帰って来ると言う事…で、はーちゃんもまた一緒に暮らせる様になった。ただ当時と変わらない姿だと色々と問題があるので朝日奈家の外に居る時は魔法を使って私達と同じ年頃の姿でいる。

18 コロ助MH :2017/02/18(土) 02:33:13
放課後、事務仕事も終わり校門で待っていると予定通りの時間に丸い空間が出現しヤモーとドクロムシーが現れた。
「お待たせしました どうぞ」
「ありがとう」
と言い終わる前に朝日奈家の裏庭に到着した。するとみらいを先頭に家族総出で待っていてくれた。
「リコ(ちゃん)お帰り〜 」x5の声には何だかどうにもこうにも笑みがこぼれて仕方ない。
「そうだドクロクシー様、ヤモーさん、夕食はいかがですか? これから庭でバーベキューをやるんですよ 良かったら是非!」
とおじさまが気さくに声をかけているのを見ると最初、二人を紹介した時のおばさまとの反応を思い出す あの時のおじさまとおばさまの表情ったらと でもおばあさまは特に驚いた様子もなくいつもと変わらない反応だったけなあと、ふと彼女の方を見ると目が合って微笑んでくれて
「そうですよ お二人とも是非、食べていって下さいな」
「いかが致しますか? ドクロクシー様」
の問いに頬を染め満面の笑みで返す彼の姿に。
「御相伴に与ります いつもありがとうございます」
と深々と頭を下げているヤモーの姿にはあらためて彼は変わったんだなあと感慨深く感じた。

次々と焼き上がるバーベキューに皆が舌鼓を打ち、おじさまとヤモーは酒を酌み交わし最新家電と魔法についての談議に花を咲かせている。ドクロムシーは食後のデザートのプリンをおばさまとおばあさまに用意してもらってはーちゃんとモフルンと一緒になって食べていた。そんな光景を見て本当に皆一緒って良いなあと そして異世界の住人が仲良くしている様子を見ながら、近い将来にはこんな光景は珍しくなくなるんだろうなとしみじみと思っていると、いつの間にかみらいが隣に来てそっと私の手を握ってきた。
「本当に幸せだよね、私達 こんな楽しい日々がまた来るなんて夢みたいだよ」
の言葉とその手の温もりに幸せを感じつつ。
「そうね、でもこれからもずっと私達は一緒よ、だって家族なんだしね そしてここから世界中の皆と仲良くしたいと言う私達の夢が始まるんだわ」
すると、意を決した様にみらいが。
「ねえリコ、大学を卒業したら私また魔法学校に通いたいと思っているんだけどダメかな? そして卒業したら私もリコのお手伝いをして一緒に魔法でこのふたつの世界をつなげたいと思っているんだけど」
突然の申し出に、その言葉を聞きつけたはーちゃんとモフルンが飛びついて来た。
「みらいが魔法学校に行くんだったらはーちゃんも行きたい〜」
「モフルンも行きたいモフ〜」
「リコさん、その時はこのヤモーとドクロクシー様がお役に立ちますので遠慮なく是非、お知らせ下さい!」
とその様子を見ていた顔を真っ赤にしたヤモーとデザートで満腹になったドクロムシーが満面の笑顔で申し出てくれた。
その姿に思わず苦笑しつつ
「ええ、その時は是非、お願いしますね」
と思わぬ展開に一瞬、戸惑いつつも
「だったらこれからは私の事は『リコ先生』と呼んでもらわないとね」
と右手の人差し指を立てて芝居がかった風に胸を張って皆に宣言すると
「リコ先生〜」x2
「リコ先生モフ〜」
と返ってきた。そして皆と目が合うと笑いの渦が巻き起こった。本当に楽しくて嬉しい! 何かみらい達と会えなかった分だけ、ここに来て尋常ではないほど夢の様な事ばかり起きる様な気がする。そしてそれはこれからもずっと続いて行くんだと思うとあらためてこの出会いに感謝するばかりだ。みらいと皆との出会いに そしていつも願っている
「キュアップ・ラパパ! 明日も良い日になれ」
と きっともう願わなくても私達はずっと一緒で幸せでいられる自信はあるのだけれども でもやっぱり願わずには、感謝せずにはいられない。
「ありがとう」
と。



以上です お読み頂きましてありがとうございました。

19 名無しさん :2017/02/18(土) 09:31:59
>>13
ついに始まりましたね!どのシリーズのどの子のどんなお話が飛び出すのか楽しみです!
いちごメロンパン60個分のお話が聞けると信じて(むちゃぶりwww)

>>18
最終回のさらにその後のお話、みんな一緒に居られて、それぞれ夢を持っていて、ナシマホウカイと魔法界の明るい未来が目に浮かぶようでした。
ヤモーさんとドクロクシー様も意外な職に就き今やなくてはならない存在になってたことは嬉しかったですね。キャラの幸せを願う作者様の気持ちを感じられました。

20 ドキドキ猫キュア :2017/02/18(土) 11:31:19
先を越されたようだ。
では わたしも1つお話を。 魔法つかいプリキュアのある話の続編的なものを考えてみました

タイトルは魔法つかいモフデレラ 8スレです

21 ドキドキ猫キュア :2017/02/18(土) 11:32:31
魔法つかいモフデレラ

昔 昔 あるところにモフデレラという女の子がいました。

モフデレラは意地悪なお母さん?と二人のお姉さんに酷い事をされていましたが
魔法つかいに助けられ 色々あって魔法つかいになりました。

モフデレラは自分のように困ってる人を助けたいと 立派な旅に出たのでした

とはいえ 旅に出たものの何をすればいいのか モフデレラは分かりませんでした

モフデレラがとぼとぼあるいていると 困った顔をしているおばあさんがいました

モフデレラ「おばあさん どうしたモフ?」

モフデレラがおばあさんに近寄って話をかけると

おばあさん「実は道に迷ってしまってね〜」

そう ため息をついておばあさんが言いました

モフデレラ「それなら モフデレラが連れていってあげるモフ〜」

モフデレラがキュアップ・ラパパ!と呪文を唱えると 魔法のじゅうたんが現れました

モフデレラ「さぁ これにのるモフ」

モフデレラはおばあさんをじゅうたんにのせて ひとっとび あっというまに町までとんで行きました

おばあさん「ありがとう 助かったよ これはおれいだよ(微笑)」

おばあさんはお礼を言うとモフデレラにカチコチンに凍ったみかんをくれました。

モフデレラ「ありがとうモフ」

モフデレラもお礼を言って 去って行きました。

22 ドキドキ猫キュア :2017/02/18(土) 11:33:21

またモフデレラが歩いていると 今度は子供の泣く声が聞こえて来ました

モフデレラがかけつけると そこには小さな女の子がいました。

モフデレラ「どうしたモフ?」

心配そうにモフデレラが聞くと

女の子「お腹が空いてもう一歩も動けないの」

そう力のない声で女の子は言います

モフデレラ「それなら さっき貰ったみかんをあげるモフ」

女の子「でも カチカチで食べれないよ」

カチコチンの凍ったみかんを見て残念そうに女の子がいうと

モフデレラ「大丈夫モフ♪」

そう言って モフデレラは呪文を唱えます

キュアップ・ラパパ!とモフデレラが唱えると カチコチンの氷が溶けて 美味しそうなみかんが出てきました

女の子「すごーい!」

女の子はモフデレラの魔法に驚いていました

モフデレラ「はい どうぞモフ」

女の子「美味し〜♪魔法つかいさんも一緒に食べよう」

モフデレラ「美味しいモフ♪」

モフデレラもみかんを食べて二人とも笑顔になりました

女の子「ありがとう これ魔法つかいさんにあげる この前拾った綺麗な石なの」

モフデレラ「とっても綺麗モフ〜 ありがとうモフ♪」

それは綺麗な緑色の石です。

モフデレラ「なんだか心がポカポカ温かいモフ♪」

モフデレラはとってもご機嫌でした。

23 ドキドキ猫キュア :2017/02/18(土) 11:34:17

そんなモフデレラを影からみる怪しい者がいました。

モフデレラ「モフ モフ モフ〜♪」

そんな事は知らないモフデレラは暢気に鼻唄を歌いながら歩いていました

モフデレラ「モフ〜 甘い匂いがするモフ〜♪」

とても 甘い匂いに釣られてモフデレラは森の奥へ進んで行きました


モフデレラ「甘〜いハチミツ沢山モフ〜♪」

そこは 美味しいハチミツの採れる花畑のようでした。

モフデレラ「幸せモフ〜」

モフデレラはハチミツを美味しいそうに嘗めていました。

チクルン「おい!お前 オイラ達の大事なハチミツ盗み食いしてると チクチクすんぞ」

モフデレラがハチミツを嘗めていると ハチの妖精が怒って襲いかかって来ました

モフデレラ「ごめんモフ〜 ゆるして欲しいモフ〜><」

モフデレラは慌てて謝ります

チクルン「ったく・・・ それにしても ここに妖精以外のやつがいるなんて珍しいな」

妖精はもの珍しそうにモフデレラを見て言います

モフデレラ「ここは何処モフ?」

チクルン「おまえ 知らないで来たのか!?」

モフデレラ「甘い匂いがして夢中だったモフ〜」

チクルン「随分と食い意地が張ってるんだな(呆れ) ここは妖精の里がある森だぜ


モフデレラ「モフ〜 妖精さんの森モフ〜」

妖精の森・・・そんなものがあったのだとモフデレラはとても驚きます

チクルン「この花畑は美味しいハチミツが採れる花畑さ。オイラはここにハチミツを取りに来てたんだよ 女王様に頼まれてな」

モフデレラ「モフ〜 それは大変モフ〜」

チクルン「お前は何もんなんだよ 変わった格好してるけど」

チクルンは不思議そうにモフデレラを見ながら聞きます

モフデレラ「モフデレラは魔法つかいモフ〜 立派な魔法つかいになる為に旅の途中モフ」

と、モフデレラがいうと

チクルン「ふーん 立派な魔法つかいねぇ〜 それってなんなんだよ」

チクルンが更に聞いてきます

モフデレラ「モフデレラにもよく分からないモフ」

チクルン「分からないのかよ!!」

モフデレラの言葉にチクルンはずっこげした。

24 ドキドキ猫キュア :2017/02/18(土) 11:34:54

チクルン「全く・・・ こんなに嘗めやがって ハチミツが殆ど残ってねぇじゃないか!!」

モフデレラ「ごめんモフ〜」

ここのハチミツはモフデレラが嘗めたせいで 少なくなってしまいました。モフデレラは申し訳なさそうに謝ります

チクルン「美味しいハチミツは後 森の奥の奥の花畑にしかないんだよ ったくめんどくせぇなぁ〜」

チクルンがとても嫌そうに言います

モフデレラ「モフ〜 お詫びにモフデレラも手伝うモフ〜」

チクルン「当然だろ!」

モフデレラも一緒にハチミツを取りに行く事になりました。

チクルン「楽チン 楽チン♪ こりゃあいいな」

魔法のじゅうたんで楽が出来てチクルンはご機嫌でした

モフデレラ「モフ〜?」

チクルン「どうしたんだよ 急に」

モフデレラ「何か聞こえるモフ」

鳴き声を辿ると そこにペガサスの子供がうずくまっていました

モフデレラ「大変モフ!怪我してるモフ」

どうやら怪我をしているようです

チクルン「魔法でちゃちゃっと治せないのかよ?」

モフデレラ「そんな魔法使えないモフ〜」

モフデレラは申し訳なさそうに言います

チクルン「なんだよ 肝心な時に役にたたねぇな〜」

モフデレラ「どうしようモフ どうしようモフ」

ヤモー「おや おや 何かお困りのようですね」

モフデレラ達が困っているとヤモーが声をかけて来ました

チクルン「なんだぁ お前は」

ヤモー「通りすがりのすごーい魔法つかいですよ(笑)」

モフデレラ「モフ〜 すごい魔法つかいなら ペガサス治せるモフ〜?」

ヤモー「この森の奥の奥 どんな怪我でも治せる花が咲いているのですよ」

モフデレラ「ほんとモフ〜♪ ありがとうモフ〜」

チクルン「おい 待てよ〜」

モフデレラはお礼を言うと花を探しに行ってしまいました。

ヤモー「ふふふ・・・」

25 ドキドキ猫キュア :2017/02/18(土) 11:36:00

モフデレラ「モフ〜?」

チクルン「本当にそんな花あるのかよ オイラずっとこの森に住んでるけど そんなの聞いた事もないぜ」

モフデレラ「おかしいモフ〜」

モフデレラ達は花を探していますが 森が広がるだけで そのような場所は見つかりません

モフデレラ「困ったモフ〜」

チクルン「おい!あれを見ろ!」

チクルンが指差すと そこには 癒しの花はこちらと書いてある看板がありました

モフデレラ「モフ〜 これで この子を助けられるモフ〜」

明らかに怪しい看板ですが モフデレラはその看板の通りに進んで行ってしまいました。

モフデレラ「モフ〜?」

しばらく進むと洞窟がありました。

モフデレラ「癒しの花はきっとこの洞窟にあるモフ〜」

チクルン「ちょっとまてって・・・」

チクルンが止めるのも聞かずにモフデレラは洞窟の中へと入って行きました

モフデレラ「モフ〜暗くて何も見えないモフ〜」

ヤモー「私が明かりをつけてあげましょうか?(笑)」

モフデレラ「それは助かるモフ〜」

ヤモー「なーんてね(笑)」

ヤモーが魔法を唱えると 洞窟が閉じて閉じ込められてしまいました。

チクルン「何をしたんだ!!」

ヤモー「残念 癒しの花はここにはありません。」

モフデレラ「騙したモフ〜?」

ヤモー「私の目的はただ一つ あなたのもっているエメラルドをよこしなさい!!」

モフデレラ「この綺麗な石モフ〜?」

チクルン「ヤバそうだから さっさと渡しちまえよそんなもん」

モフデレラ「モフ〜 でも」

チクルン「何を戸惑ってるんだよ」

ヤモー「さっさとよこすのです」

モフデレラ「やっぱり駄目モフ〜。これはモフルンの宝物モフ!悪い人なんかに渡したくないモフ><」

モフデレラはエメラルドを渡す事を頑なに拒みます

ヤモー「やれやれ・・・ 痛い目に合いたいようですね」

チクルン「もうおしまいだ〜><」

モフデレラ「モフ〜><」

ヤモーがエメラルドを奪おうとモフデレラに襲いかかった時です

ピカーッ!

ヤモー「ぎゃああ」

モフデレラ「な、何が起こったモフ〜?」

チクルン「分からねぇけど とにかく逃げるぜ!」

エメラルドが突然光りだし ヤモーは怯み 洞窟が崩れだしたのです。モフデレラ達はその隙に急いで逃げ出しました

モフデレラ「はぁ はぁ はぁ・・・」

チクルン「ここまで逃げれば安心」

モフデレラ「モフ〜 とーっても甘い匂いがするモフ〜」

チクルン「おい!?」

モフデレラ「モフ〜?おっきなお花モフ〜」

モフデレラが甘い匂いに釣られて行くと そこは大きな花が咲く花畑でした

26 ドキドキ猫キュア :2017/02/18(土) 11:37:31

ペガサスの子「ヒヒーン!」

モフデレラ「急に元気になったモフ〜!!」

チクルン「もしかしてこれが癒しの花なのか!?」

モフデレラ「きっとそうモフ!よかったモフ〜♪」

それはどうやら癒しの花で ペガサスの子供の怪我が治ったようでした

お母さんペガサス「ヒヒーン」

子供ペガサス「ヒヒーン」

モフデレラ「もしかして お母さんモフ?」

チクルン「どうやら 迎えに来たようだな 全く もっと早くこいってんだ」

ペガサスのお母さんが探しに来たようで 子供ペガサスは 一緒に行ってしまいました

モフデレラ「よかったモフ」

チクルン「やれやれ とんだ道草食っちまったぜ ほら行くぞ 早くハチミツを採って帰らねぇと 女王に大目玉くらっちまう」

モフデレラ「待ってモフ〜」

モフデレラ達はペガサス親子を見送ると また ハチミツ集めに戻りました

ヤモー「このままでは終わりませんよ・・・」

まだ諦めていないヤモーが 何かを企んでいるようでした

女王「はるばる よく来ましたね チクルンがお世話になったようで 何もないところですか ゆっくりしていって下さい」

モフデレラがチクルンと妖精の里に来ると 女王と里の妖精達が暖かく迎え入れてくれました。

女王「おや?それは」

女王がモフデレラの持っている石を見て言います

女王「それはエメラルドというとても強い魔力を秘めた石。」

モフデレラはその石を悪い魔法つかいに狙われた事を話します

チクルン「全く・・・その石のせいで とんだ酷い目にあったぜ」

女王「モフデレラ 魔法は良い心をもった者が使えば素晴らしいものになりますが 悪い心をもった者が使えば 人を傷つける恐ろしいものになります。その事を忘れずに この石を大切にするのですよ」

女王はそうモフデレラに言います

モフデレラ「分かったモフ」

モフデレラはエメラルドをギュッと握りしめ 大切にしまいました。

それから モフデレラは里で ごちそうを食べたり 妖精と遊んだりして 楽しく過ごしていました。

そんな時です 突然 里に暗雲が立ち込めました

チクルン「な、何だよいったい!?」

ヤモー「モフデレラは何処です」

女王「何者です!」

チクルン「お前は!!」

モフデレラ「ヤモー モフ〜」

なんと ヤモーが妖精の里へ入って来たのです

ヤモー「渡しはなんとしてもエメラルドが欲しいのですよ」

モフデレラ「悪い人には渡せないモフ!!」

ヤモー「私を見くびると怖いですよ」

チクルン「な、何だよ これ」

女王「みんな 早く安全な所へ!!」

モフデレラ「モフ〜><」

ヤモーは大きな怪物になり襲いかかって来ました

27 ドキドキ猫キュア :2017/02/18(土) 11:38:29

チクルン「やめろ〜 里が 里が><」

女王「なんて事を・・・」

ヤモーは大暴れし 里をメチャクチャにしていました

モフデレラ「モフ〜・・・」

力のないモフデレラはどうする事も出来ません。

モフデレラ「どうすればいいモフ・・・」

諦めては駄目よモフデレラ!!

モフデレラ「誰モフ?」

リコ「きゃあああ〜!!」

チクルン「今度はなんだ!?」

みらい「リコ 大丈夫ちゅー?」

ことは「はでに落ちたちゅー><」

リコ「落ちてないし!計算通りだし!!」

モフデレラ「魔法つかいさんモフ〜ー!!」

絶対絶命のピンチにあの魔法つかいさんがかけつけてくれました。

みらい「私たちが来たからにはもう大丈夫でちゅーよ モフデレラ」

ことは「妖精の里は絶対守りまちゅー!」

モフデレラ「どうして来てくれたモフ〜?」

ことは「実はリコが」

リコ「私は偉大なる魔法つかい!! 困ってる人がいたら 何処だろうとすぐ駆けつけるわ☆」

モフデレラ「本物の魔法つかいはやっぱりすごいモフ〜!!」

みらい「モフデレラだって立派な魔法つかいでちゅ♪」

モフデレラ「モフデレラは駄目駄目モフ。あんな怪物相手に何も出来なかったモフ・・・」

モフデレラが悲しそうに言うと リコが微笑んで言います

28 ドキドキ猫キュア :2017/02/18(土) 11:39:30

リコ「そんな事ないわ。あなたはこれまで 魔法で色んな人を助けてきた 笑顔にしてきた・・・ それは十分立派な事よ。」

モフデレラ「モフデレラも立派な魔法つかいモフ?」

ことは「モフデレラはきっといい魔法つかいになれるでちゅ〜♪」

モフデレラ「モフ♪」

リコ達の言葉を聞いてモフデレラに元気が戻ります

リコ「いい、モフデレラ。魔法に大切なのは想いよ。その強い想いさえあれば あんな怪物になんて負けないわ!」

モフデレラ「分かったモフ!」

みらい「さぁ みんなで杖を振るでちゅ♪」

モフデレラはリコ達と共に怪物に向けて呪文を唱えました

キュアップ・ラパパ!怪物よ消えなさい!!

ヤモー「ぎゃああああ!!」

杖から光が放たれヤモーは消えてなくなりました。

モフデレラ「やったモフ〜♪」

みらい「これで安心でちゅ」

ことは「ちゅ〜♪」

リコ「ふふふ。」

里も元通り 妖精達もよろこんでいました

女王「なんとお礼を言ったらよいか」

チクルン「すげぇなぁ・・・お前なら立派な魔法つかいになれるんじゃねぇか?(笑)」

モフデレラ「リコ達のおかげモフ・・・あれ? 」

いつのまにかリコ達はいなくなっていました。

チクルン「おーい パーティー再開するぞ〜! モフデレラも早くこいよ!! 」

モフデレラ「今いくモフ〜」

モフデレラはチクルン達と楽しくパーティをしました。

みらい「モフデレラ 幸せそうでよかったでちゅ〜」

リコ「これで めでたし めでたしね」

ことは「リコも安心でちゅ(笑)」

リコ「はーちゃん><」

みらい「リコは優しいでちゅ モフデレラの事をずっと見守っててくれてありがとうでちゅー」

リコ「い、偉大なる魔法つかいとして 当然の事をしただけで( ; ゜Д゜)」

慌てて誤魔化そうとするリコ。そう・・・リコ達はモフデレラの様子をずっと見守っていたのでした。

みらい「モフデレラならきっと立派な魔法つかいになれでちゅよね(微笑)」

リコ「勿論よ♪ 私も負けてられないわ!」

ことは「はー お腹空いたでちゅ〜」

みらい「私達も そろそろ帰るでちゅ〜」

リコ「そうね♪ 今回は出番が少なかったけど また素敵なお話だったわね」

リコ達は馬車にのって消えていきました。

モフデレラはまた旅に出ました。立派な魔法つかいを目指して これからも色んな事が きっと待ち受けているでしょう。

魔法つかいモフデレラ お・し・ま・い

29 ドキドキ猫キュア :2017/02/18(土) 11:40:13
以上です

30 名無しさん :2017/02/18(土) 14:05:39
>>28
何とモフデレラの続編が読めるとは!
リコがモフデレラの心配をしているのが素敵でした。

31 名無しさん :2017/02/18(土) 16:11:19
>>28
絵本の中の世界にいるような気分で読みました。
リコの励ましや助言が良かったですね、モフデレラも一つ成長できた!

32 名無しさん :2017/02/18(土) 22:36:02
>>18
これは確かに愛が感じられますね。今まであまり誰も書かなかったヤモー・ドクロクシーを
ここまで活き活きと書けるのは凄いことだと思います。てゆうかメッチャええ話ですやん。

33 ゾンリー :2017/02/19(日) 11:14:40
こんにちは、ゾンリーです。
私も投稿させて頂きます。よろしくお願いします。
スイートプリキュアで、タイトルは「苦味緩和の魔法!?」です。

34 ゾンリー :2017/02/19(日) 11:15:13
「エレン?」
「アコ!偶然ね」
街の図書館でアコとエレンは遭遇した。
「何探してるの?」
「学校の課題で必要な資料をね。アコは?」
「その…チョコに関する本。奏から借りたノートだけじゃ分からない所があって。」
「もうすぐバレンタインだもんね、やっぱりあの子にあげるのかしら?」
「だっ誰でもいいでしょ!…エレンのいじわる」
アコはマフラーに顔を埋めて頬を膨らませる。
「ごめんごめん。飲み物買ってあげるから、ね?」
2人カウンターで貸出手続きを済ませると、ロビーの自販機に向かった。
エレンは白猫の財布から小銭を取り出し自販機に入れる。
「何がいい?」
「エレンからどーぞ」
「あらそう?じゃあ…」
ガタッという音と同時に黒い缶が取り出し口に落ちてくる。
「何?それ」
「ブラックコーヒーよ。まっいわゆる大人の飲み物ってやつね。」
(大人の…飲み物!)
「私もそれ!」
ジャンプして同じボタンを押す。
「あっ凄く苦いわよそれ!」
「えっ…だ、大丈夫!」
アコはエレンの忠告を聞いて少しだけ恐る恐る臭いを嗅ぎ、思い切って1口飲む。
「〜〜〜〜っ!?」
残されたほんの一摘みのプライドで、なんとか飲み込む。
「ほらぁ言わんこっちゃない」
エレンは缶を開けて一気に呷る。
「うぅ〜!」
目尻に少しだけ涙が貯まる。
「ふふっ、家に持って帰りましょ。そしたら私が美味しくなる『魔法』を掛けてあげる♪」
「魔法?」

「じゃあいくわよ…キュアップ・ラパパ!ブラックコーヒーよ、甘くなりなさい!」
エレンは素早くマグカップを取り出し、アコが1口だけ飲んだコーヒーを入れる。
帰る途中で冷えきっていたのでレンジで温める。
その後砂糖を大さじ1杯半入れて、コーヒーと同じ量の牛乳を入れる。
「はい完成っ」
「単なるクッキングじゃん!」
「てへ。まあ飲んでみなよ」
アコはこれまた恐る恐る口に運ぶ。
すると今までの苦味はどこへやら。
コーヒーの芳醇な香りとしっかりとした甘味がアコの舌を駆け巡る。
「すごい…魔法みたい……!」
「でしょ?まあ響からの受け売りなんだけどね。私も最初魔法かと思ったのよ。」
エレンは冷えたコーヒーを飲み干し、缶のゴミ箱に入れる。
アコも一気に飲み干してマグカップを台所に置く。
「でも夕方以降に飲むと夜に眠れなくなるから注意してね。」
「はーい」


(私も皆への態度、苦かったんだろうな。でも奏太が、響達が、砂糖と牛乳の様に私を混ぜて繋げてくれた。それはまさしく、『魔法』…なんだ。)
醒めた意識の中で、アコはそんな事を思ったのだった。

35 ゾンリー :2017/02/19(日) 11:15:48
以上です。読んで頂けたら嬉しいです。

36 名無しさん :2017/02/19(日) 11:38:52
>>35
コーヒーはお子ちゃまでも、ホントの意味で大人になったなぁ、アコちゃん。

37 名無しさん :2017/02/19(日) 15:27:15
>>35
素敵なお話ですね!アコちゃんが今すごく幸せなんだと分かりますね。
なんだか、甘〜いコーヒーが飲みたくなりましたw

38 kiral32 :2017/02/19(日) 19:10:30
こんばんは、kiral32です。今回も競作に参加させていただきます!
プリキュアS☆Sの薫とみのり、咲舞満でタイトルは「航空写真」です。
お題は「魔法」。のつもりでした。3レス使用します。

39 kiral32 :2017/02/19(日) 19:14:34
「ねえねえ薫お姉さん、夕凪町の航空写真が新しくなったんだって。
 知ってる?」
「えっ?」
満が咲にパンの作り方を教えてもらっていたある日のこと。
薫はみのりと一緒にいたが、みのりが突然こんなことを言い出した。

「航空写真って、何?」
薫がきょとんとした表情を浮かべるのにみのりはうふふと得意気に笑う。
それから、薫お姉さんの知らないことを知っていることがうれしくて仕方がないというように、
「市役所の航空写真が新しくなったんだよ」
と告げる。
まだみのりの真意がわかりかねて首を捻る薫に、みのりは「市役所の航空写真」について説明を始めた。

市役所のロビーには市内の大きな写真が飾ってある。それは飛行機から撮影した
写真なのだが、最近新しく撮影しなおした。
新しい写真が最近、市役所に飾られたのである――といったことをみのりは一通り説明すると、
「この前クラスのみんなで、新しい写真見に行ったんだよ!」
と続ける。
「へえ、そうだったの」
と薫は――航空写真と言うものが何なのかよく分からないままに答えていた。
市役所には行ったことがあるはずだが、古い方の航空写真を見た記憶も薫にはなかった。

みのりはまた、笑みを浮かべる。
「薫お姉さん、今から見に行ってみようよ! すごいんだから」
「え? 今から?」
「うん! お姉ちゃんたちまだ時間かかりそうだもん」
と言って、みのりは薫の手を引いた。

 * * *
 
市役所に行ってみると、航空写真の場所はすぐに分かった。市民に向けて大々的な
アピールということなのか、大きく題字を付けて展示してある。
「海がここで、この辺が大空の樹でしょ、だったらPANPAKAパンは、えーっと」
「この辺りね」
薫が地図の一点を指さす。確かにその建物は、PANPAKAパンと同じ屋根の色をしていた。
屋外の喫茶スペースを構えるPANPAKAパンの敷地は普通の住宅より少し広い。
その分、写真でも見つけやすかった。

「そうそうここ。……ねえ、コロネとか写ってないかなあ」
みのりは大きく目を見開いてその場所を見つめる。薫もつられて見てみるが、
コロネは写っていたとしても判別できそうになかった。

「分からないわね」
「そうだね」
やっぱり、とみのりは少しがっかりしたように言うと写真から薫に目を向けた。
「ねえ薫お姉さん、飛行機に乗ったことある?」
「ないわ」
「みのりもないんだよね、ねえ空からだと本当にこんな風に見えるのかな。
 見てみたいね」
「……」
薫はただ微笑んだだけで、何も答えなかった。

40 kiral32 :2017/02/19(日) 19:15:04
その翌日。夕凪中の教室の隅で薫は満と咲、舞と一緒にお昼ご飯を食べていた。
話題は昨日のみのりと薫が一緒に航空写真を見に行ったという話だった。
咲によれば、みのりは薫お姉さんと一緒に写真を見に行ったことを嬉しそうに
話していたらしい。

薫も咲のその話に相槌を打ちつつ、はあとため息をつく。
満は目ざとくそれに気づくと、
「それで? 薫」
と水を向けた。
「え?」
「何なのよそのため息。みのりちゃんと楽しかったんでしょ?」
「ええ」
薫は頷いた。でも、と続ける。
「みのりちゃんが空から町を見たいって言ってたのよ」
「ふうん……」
咲と舞はきょとんとした表情で満と薫の会話を聞いていた。薫の言っていることは分かる。
みのりがそんな風にいうことも想像できる。
しかし、薫がどうして浮かない顔をしているのかが理解できなかった。

「あの、なんで薫そこで落ち込んでるの?」
薫は咲の顔を見ると、
「私は空からの町を見ているのにって思って。みのりちゃんにも見せてあげられたら……」
「そんな気にしなくていいよ、薫」
咲は軽い調子で言ったが、
「ねえ、たとえば後ろからみのりちゃんを抱っこして飛んでみるとか」
と薫は言い始めた。
「確かに空から町は見られるだろうけど。薫が空を飛べるってことを
 みのりちゃんにどう説明するつもり?」
満はばっさりと薫の提案を切り捨てた。

「じゃあ……」
と薫は考える。考えて考えて、ふと以前テレビで見たものが脳裏に浮かんだ。
「気球、っていうのを見たことあるんだけど」
「気球?」
「こんな感じで」
薫は机からノートを出すと簡単な図を描いて見せた。
「籠に人が乗るの。で、上にある風船みたいなのにこう、熱を送ることで
 空気を温めてそうすると浮かぶって」
「仕組みは分かるけど」
満は見せられたノートを薫に返した。
「みのりちゃん一人でも、乗せて飛ぶとなるとこの空気を温める機械が
 相当大きくないとだめじゃない?」
「そこは……なんとか」
「何とかってどうするのよ」
「籠の下から私が支えて飛んでいくとか」
「誰からも見られないならそれでいいけどね。飛んでる間、町中の人たちに
 空を見上げないように言うつもり? 魔法でもない限り、みのりちゃんに
 空からの町を見せてあげるのは難しいんじゃないかしら」
満は再びばっさりと言う。

41 kiral32 :2017/02/19(日) 19:15:41
「あーあのさ!」
と咲が割って入った。
「薫、本当にそんな考えなくていいから! みのりだってちょっと思い付きで
 言ったことだと思うし、そんなに一生懸命になるようなことじゃ」
「でもね」
薫は咲の目をまっすぐに見て言い返した。

「私は、この町が空から見てもとても綺麗なことを知ってるの。
 だから、みのりちゃんにも見せてあげたいなって」
「あー、うん……」
咲は曖昧に頷いた。空から見た町が綺麗なことは咲もよく知っている。
とはいえ、妹のために薫に無茶なことをさせるわけにはいかない。

「ねえ」
ここまで黙って話を聞いていた舞が初めて口を開いた。三人が舞に注目する。
「薫さんが見せたいのは、薫さんが見たこの町が綺麗だったからなのよね?」
「ええ、そうよ」
「だったら、それを絵にしてみのりちゃんに見せてみたら?」
「でもそれはみのりちゃんが町を見たことにはならないわ」

「薫さんが綺麗だと思っているものをみのりちゃんに見せてあげることにはなるんじゃない? 
 市役所の航空写真と違って、絵だったら薫さんが一番いいと思ったものを
 描くこともできるもの。薫さんがみのりちゃんに見せてあげたいと思った景色を
 素直に描いてみたら? 見せるときは『想像して描いた』ということになるけど」
「……」
薫は少しの間考え込んで、舞の言ったことを反芻しているようだった。
それからようやく口を開いて、
「そうね、そうしてみるわ」
と答える。咲はほっと胸をなでおろしていた。

「将来一緒に飛行機にでも乗ってみたら?」
満が投げかけた言葉に薫はそうねと答えるものの、どんな絵を描くかですっかり頭を
一杯にしているらしかった。


-完-

42 kiral32 :2017/02/19(日) 19:16:11
以上です。ありがとうございました!

43 名無しさん :2017/02/19(日) 20:11:42
>>42
kiral32さん、キター!
あれこれ悩む薫が可愛くて、つい頬が緩んでしまいました。
薫おねえさんの絵、みのりちゃん喜ぶだろうなぁ。
素敵なお話、ありがとうございました!

44 名無しさん :2017/02/19(日) 21:49:08
>>42
とても良かったです!綺麗な景色を見た喜びをみのりにも感じてもらいたいという薫の気持ちが嬉しかったです。
舞の提案もすばらしいですね。絵に描いて伝えるって、薫にピッタリだしすごく素敵!

45 名無しさん :2017/02/19(日) 23:38:32
>>35
良いお話でした。エレンも実は一口目我慢してますね、猫舌ですから。
さり気にまほプリも絡んでて微コラボごちそうさまでした。
そういえばもう一人のお子ちゃまも何年か前に苦いチョコ食べさせられてたな……(思出笑)

46 ドキドキ猫キュア :2017/02/20(月) 01:25:07
2作目です 今度は繋ぐのほうで GO!プリのお話
タイトルはもしも・・・ずっと繋がっていられたら

3スレです

47 ドキドキ猫キュア :2017/02/20(月) 01:27:13
もしも・・・ずっと繋がっていられたら

きらら「トワっち・・・ トワっちってば!!」

トワ「うーん」

トワは眠そうな目を開ける

きらら「もう いつまでも寝ていると遅刻するよ」

トワ「きらら? どうして」

きらら「もう いつまで寝ぼけてるの? 早くしないと 本当に置いていっちゃうよ〜」

呆れた声でいうきらら。トワはようやく目を覚まします

トワ「待って下さい 今支度しますわ」

ゆい「おはようきららちゃん トワちゃん」

トワ「おはようございますわ ゆい」

きらら「おっはよ〜。はるはるは?」

ゆい「また 忙しいみたいで」

トワ「ふふふ 生徒会長ですもんね」

ゆい「毎日大変そうだけど はるかちゃん とっても生き生きしてるんだ」

きらら「はるはるは相変わらずだね〜(笑)」

ゆい「きららちゃんも 今日もお仕事?」

きらら「最近 ますます忙しくなってね も〜大変」

トワ「でも きらら とっても嬉しそうですわ♪」

きらら「まぁね♪♪」

ディスピアとの戦いから1年・・・2年生になって はるかは生徒会長になった。 きららも モデルのお仕事を相変わらず頑張っている。

みなみ「ごきげんよう 」

トワ「みなみ ごきげんようですわ」

いつもの丘でバイオリンを弾いているとみなみがやってきた

みなみ「いつ聞いても素敵な音色ね」

トワ「みなみはまた海を?」

みなみ「ええ。少し風にあたりにね」

トワ「受験生というのは大変だと聞きますが 余り無茶はしてはいけませんわよ」

みなみ「ふふふ 心配してくれてありがとう。トワはもう ここの生活には慣れた?」

トワ「ええ。初めは 知らないことばからりで大変でしたけど 今はもうすっかり」

みなみ「それは よかったわ」

トワの嬉しそうな顔を見てみなみも微笑む。他愛もない会話をした後 花壇のほうへ寄ると はるかがいるのが見えます

はるか「は〜><」

トワ「はるか?大丈夫ですか」

はるか「トワちゃん。生徒会の仕事で疲れちゃって」

トワ「ゆいから聞きましたわ はるかは頑張っていると」

はるか「みなみさんみたいにこの学園をもっと素敵にする為に頑張りたいんだ♪」

トワ「はるかならきっと出来ますわ(微笑)」

アロマ「生徒会の仕事で疲れてるのに花壇の手入れだけはいつもしっかりしてるロマ(呆れ)」

はるか「もっと もーっと素敵にしたいんだもん」

トワ「ふふふ(笑)」

48 ドキドキ猫キュア :2017/02/20(月) 01:28:11

はるかと別れてトワが第二生徒会室に行くと ゆいが絵を描いていました

トワ「ゆい 今度は何を描いていますの?」

ゆい「パフちゃんの絵を描いていた所なんだ♪」

パフ「パフ〜♪」

トワ「まぁ よかったわね パフ」

パフ「パフ〜♪」

ゆい「うーん」

トワ「どうかして?」

ゆい「何か足りないなぁ・・・そうだ! ねぇ トワちゃん パフちゃんを抱いてこの椅子に座ってくれない」

トワ「こ、こうですか?」

ゆい「これだ!!」

トワ「ゆい?」

ゆい「トワちゃん このまま絵のモデルになって」

トワ「それは構いませんけど」

ゆい「ありがとう」

それからしばらく ゆいが絵を描き終わるまでトワはじっとしていました。

トワ「ふ〜 じっとしているのは疲れてましたわ・・・でも ゆいが喜んでくれてよかった。」

ゆいと別れてトワは部屋へ戻りました

トワ「きらら?」

部屋に戻ると誰もおらず 静まりかえっていました。

トワ「きらら 今日も仕事 忙しいのですね・・・」

トワ「今日も楽しかったですわ・・・ 明日は何をしましょう」

ゆいの絵は完成するのでしょうか? はるかの花壇を手伝いましょうか? 久しぶりにみなみともゆっくりお話したいですわね・・・

今日の事を振り返り 明日の事を考えて トワはワクワクしていました。

トワ「あら・・・(涙)」

知らずの内に目から涙が流れていました。

トワ「きららはいつ帰って来るのかしら・・・」

部屋で一人きりなのはいつもの事なのに 今日は何故か 不安でした。このままずっと独りぼっちになってしまう気がして トワは 眠れませんでした。

49 ドキドキ猫キュア :2017/02/20(月) 01:33:34

きらら「ただいま トワっち 寝てるかな」

トワ「おかえりなさい」

きらら「うわっ!! 起きてたの? 寝ててもよかったのに 」

トワ「驚かしてしまいましたか」

きらら「ううん。どうしたの 」

トワ「・・・なんだか眠れなかったのですわ このままきららと会えない気がして」

きらら「変なトワっち(笑) 私たちはこれからもずっと一緒じゃん」

トワ「そうですわよね・・・」

きらら「そうだよ(笑)」

トワ「ねぇ きらら もし きららがモデルの仕事で遠い国に行く事になって 私もホープキングダムに帰らなくてはいけなくなったら・・・ やはり 悲しい?」

きらら「え?」

トワ「へ、変な質問をしてしまってすいません」

我ながら変な質問だとトワは思いました。

きらら「うーん。悲しくないっていったたら嘘になるかなぁ」

そんな質問にもきららは迷わず答えます

トワ「きらら」

きらら「やっぱ 大好きな友達と離れるのは 悲しいし 寂しいと思う。でも 世界に羽ばたくモデルになる為なら 私は迷わないよ♪」

トワ「きららは凄いですわね・・・」

きらら「離れていたって 私たちは友達でしょ? 会いたくなったら会いにいけばいい」

トワ「きらら・・・」

きらら「今みたいにずっと一緒でも 離れ離れになっても 私たちは変わらないよ♪」

トワ「そう ですよね」

きららの言葉にトワはホッとしていました。 そして そのまま静かに眠りにつきました・・・

50 ドキドキ猫キュア :2017/02/20(月) 01:34:30
きらら「トワっち・・・トワっち」

トワ「・・・うーん」

きらら「トワっちってば!!」

トワ「きらら・・・?もう学校の時間ですか?」

きらら「はぁ? 何寝ぼけてんの!!」

トワ「・・・」

きらら「今日は一緒に遊ぶって約束だったじゃん。」

トワ「はっ!!」

トワが目を覚ますとそこはきららの家でした。

トワ「花見の後 みんなと別れて きららの家に」

きらら「おーい 目が覚めたかー?」

トワ「もう!きらら どうして起こしてくれなかったんですか><」

きらら「あんまり気持ちよさそうに寝てたからさ 写メっちゃった(笑) いい夢でも見てた?(笑)」

トワ「ええ とってもいい夢でしたわ・・・」

そう・・・とてもいい夢を見ていた気がした

きらら「ふうん」

トワ「ねぇ きらら もし 私たちが離れる事なくて 2年生になっても ノーブル学園にいられたら どうだったんでしょう?」

きらら「きっと 楽しいだろうね はるはるとみなみんとゆいゆいと トワっちと たくさん おしゃべりして 遊んでさ・・・って 今もそうだけどね♪てゆうか 素敵な夢があって 今のほうがもっと楽しいかな♪♪」

トワ「そうですわね(笑)」

夢でも現実でも きららは変わらないとトワは思いました。

きらら「ほらほら 早くしないと 時間が無駄になっちゃうよ」

トワ「待ってください!!」

トワは起きると慌てて支度を始めました。

51 ドキドキ猫キュア :2017/02/20(月) 01:35:09
以上です

52 そらまめ :2017/02/21(火) 14:52:39
そらまめです。競作参加させていただきます。

フレッシュプリキュアで、
タイトルは、僕を構成するひとかけら です。

53 そらまめ :2017/02/21(火) 14:53:35
「―――!!? ―――せつなああぁっ!!!」

最後に聞いたのは、誰かの叫び声だった。

瞼が重い。白い光が視界に入るのを拒むように、いつまでも微睡んでいたい気持ちになるが、それではいけないと頭の隅の方で訴えかける声が聞こえてくる。起きてしまってはいけないような予感がふと全身を支配した。

「―――」

言葉にならない声を喉に残し、せつなは目を開けた。視界に入ってくるのは真っ白な天井。
ここは一体どこだろうか。どうしてこんなところにいるのだろう。今は何時だろうか。いや、そんなことよりも…

「せつなっ!!」

寝起きには少々辛い音量の声が近くで聞こえる。大粒の涙を流しながらこちらを見ている人が一人、二人。

「せつなちゃん! 大丈夫っ? 今お医者さん呼ぶからね!!」

そう言って枕もとにあるナースコールを押したのは先ほど声を上げた人とは別だった。

「せつな痛いとこある? 頭とか腕とか足とか目が見え辛いとかっ、せつなビーム打たれて倒れた時受け身とれてなかったでしょ?! 全然目を覚まさないしこのまま意識が戻らなかったらって思ったら怖くて怖くてあたしっ…」
「落ち着いてラブちゃんっ、せつなちゃん意識が戻ったばかりなんだからそんな一辺に聞いたら混乱しちゃうよ」
「だってブッキぃいー…」
「ラブちゃんの気持ちはわかるけどね? でも、ほんとによかった…」


うるうると潤ませた目で見てくる二人に、随分と心配をかけさせたということは痛いほど分かったが、自分は一体どのタイミングで第一声を発すればいいんだろうか。ちょっと焦る。
なんて考えているうちに看護師や医者が来て何やら色々と聞かれた。その間にも心配そうにしている二人を横目に、これ以上悲しませてはいけないと心の中で漠然とした想いが募る。たいした怪我もなく検査入院の後、明後日には家に帰れることが難なく決まった。
退院決定を聞き、二人が抱き付いてくるのを受け止めながらこれからどうしようかという悩みは、おくびにも出さない様にこっそりと小さく小さく息を吐いた。


面会時間も終わり、一人きりになったベッドの上で天井を見ながら考える。
さて、私は一体誰でしょう?
答えは東せつな。壁に貼ってある名前の所にそう書いてあるし、実際せつなと呼ばれたし。
では、また明日も来るから! と大きく手を振ったあの子の名前は?
答えは桃園ラブ。会話の端々からどうやら自分はあの子の家に住んでいるらしい。苗字が違うあたり姉妹ではなさそうだが関係性は不明。
もう一人はブッキー。またの名を山吹祈里。友人であることに違いはない。その他は不明。
…と、これだけしかわからない自分は、どうやら記憶がないらしい。
日常生活知識以外がきれいさっぱりどこかへ行ってしまった。正直にそのことを言わなかったのは、これ以上悲しませたくないと記憶がないのにそんなことを思ったから。

さて、どうしようか。

「せつなー! 改めてお帰り!!」
「ありがとうラブ」

ニコニコと手を引かれ自分の部屋(と思われる)にやってきた。ラブの両親も目の端に涙を浮かべ、退院を喜んでくれた。東せつなはとても愛されているらしい。そこに血の繋がりは見えなくても。

「ホンマ無事でよかったわパッションはん!」
「きゅあー! せつなー」

と、フェレットっぽいものとぬいぐるみが喋りながらこちらに寄ってきた…え、これって一般家庭では当たり前の事なのだろうか。だとしたら自分は常識も一部欠落していることになるが。ただ、どんなに考えてもぬいぐるみは普通浮かないと思う。フェレットも喋らないはず。っていうかなんで関西弁。パッションって誰っていうか何に情熱を燃やせと。
口まででかかった色んなツッコミをすんでのところで抑えて、出来る限りの笑顔で謎生物達に応えた。

「た、ただいま…心配かけてごめんねみんな」

笑顔は絶対引きつっていたと思う。あと声がうわずってる。近づいてくるフェレットとぬいぐるみ…もとい、タルトとシフォンを抱きしめる。あ、意外ともふもふしてる。

54 そらまめ :2017/02/21(火) 14:56:58
――――

「ドーナツ4個ください」
「はいよーいつもありがとーちょいと待っててねー」

自分も随分慣れたものだ。最初は店員の怪しさ溢れるサングラス姿に警戒していたのが懐かしい。まあ数日前の話だけど。

「お、ここで会うのも久しぶりだな、イース」

商品を待っていると後ろから声が聞こえた。多分お客だろう。行列を作ってはいけないと受け取ったドーナツの袋を胸に抱え急いでその場から離れる。と、しばらく歩いてから

「おい、いくら何でも無視は酷いんじゃないか?」

なんて声と一緒に腕を掴まれ、進行方向を無理やり変えさせられる。振り向かざる負えなかった。
予想より何倍もの高い背と図体とで思わず固まってしまう。大男はこちらをしっかりと見ているため人違いではなさそうだがせつなの知り合いだろうか。でも確かこの人はイースと呼んでいた。せつなはパッションと呼ばれることはあってもイースなんて誰からも言われたことがない。やっぱり人違いではないだろうか。

「あの…人違いじゃないですか…?」
「はあ? 俺は仲間を見間違えたりなんかしない」
「え…なか、ま…?」
「お前はもうそうは思っていないとしても、イースは俺達の仲間だ。俺は今でもそう思ってる」

なんで、こんなに胸が苦しいのだろう。彼の顔が真剣で迫力があるから反射的にドキドキとするのだろうか。それとも、この苦しさはせつなが感じているものなのだろうか。
分からない。分からないことがもどかしくて苦しい。

「そんな顔すんなよ…」

掴まれた腕が解放される。頭をガシガシと掻いて困ったように眉を下げられた。

「そんな顔見たら、ここから今すぐお前を連れ去りたくなる」

はーっと深いため息をついてからまたこちらを見る男の眼は、小さな、けれどとても強い意志を瞳の奥に宿している。

「連れ去るって、どこに…」
「そんな心配そうにするな。別に本国に連れ帰りたいわけじゃない」
「本国…」

本国とはどこなんだろう。せつなは日本人ではないのだろうか? 確かにこの男の人は日本人の顔立ちではないが、せつなという名前だけど海外にでも住んでいたんだろうか。また謎が増えた。

「………なあ、イース。俺の勘違いかもしれんが…お前、本当にイースか?」

考えに思考を飛ばしていたら、思わぬ言葉が降ってきてドキリとした。バレた? なんで?どこが違っていたんだ。知られた。自分がせつなではないと、せつなの知り合いから。まずい。どうすればいい?なんとかしなければ。なんとかごまかさなきゃ。

「何言ってるのよ」
「今日のお前なんか変だ」
「なんかってどこがよ」
「わからん。ただ、俺が知ってるイースとは空気…? みたいなのが違う気がする。いつもならもっとトゲトゲしながら俺のこと見てくるし」
「変わらないわよいつもと。ただ、そう、今日はちょっと体調が悪いのよ。それだけ」

そう言えば途端に目つきが鋭くなった。まるで心まで射抜かれたように感じ冷や汗が流れた。

55 そらまめ :2017/02/21(火) 14:57:36
「……やっぱりお前、イースじゃないな」
「なっ! なんでよ!」
「本物のイースなら、本当に体調悪くてもそれを人には言わない。俺には尚更だ。お前誰だ!」
「ちょっ…!」

腕を掴まれる。さっきよりも強く、離さないという意思が全身から伝わってくる。
怖いと思った。睨まれることがじゃない。自分が張りぼてだと知られてしまったから。

「離してよ!」
「いーや離さない! イースの真似なんかして何のつもりだ!」

その言葉に涙が出そうになって奥歯を噛み締めた。真似したくてしてるんじゃない。そうしなければ自分がせつなの場所に居ていい理由がなくなる。
イースなんて知らない。せつななんて知らない。どうやったら知らないものになれるというんだ。必死になって取り繕って知らないものになろうとしても、それは彼が言ったように真似にしかならない。自分はどうやったって本物にはなれない。ならどうすればよかったんだ。偽物がいていい場所なんてあるのか? 悔しくて、やりきれなくて、そんなどうしようもない感情が零れ落ちる。

「そんなの私が…私の方が聞きたいわよ! イースでもせつなでもないっていうなら私は何なのよ! しょうがないじゃないわからないんだから! どんなに頑張っても何者にもなれないなら私はなんでここにいるの!? 私がいる意味なんてあるの?! …私って…誰なの…?」

涙が一つ二つと地面に吸い込まれるように落ちていく。掴まれている腕も痛い。声を張って喉も痛い。心も痛い。今までどこにもぶつけられなかった感情を一気に吐き出して、自分がどれだけ不安な日々を過ごしていたのかに気付いた。大切にされているせつなを感じて、今の自分が疎外感を覚えて、間違っていないかビクビクと過ごす内に、悪いことをしているかのように感じ始めていた。偽物が本物の場所を奪って何をしているんだと、薄々感じていた。それなら自分に記憶が無いと正直に言えばいいのに、それを言う勇気ももうない。悲しませてしまうとの想いと、それ以上に誰でもない自分を受け入れてもらえないのではないかと思ったから。だから必死にせつなとして振舞っていた。そんなところに必死にやっていたことを違うと言われてしまえば、それはもう殴られたような衝撃で、張りぼてを壊すには余りある破壊力だった。


「…辛いのか?」

問いかけに返事をせずゆっくりと一つ頷いた。

「そうか。わかった」

何を決めたのかわからないが、芯の通った声が降ってくる。
それまでずっと掴まれていた腕が不意に離された。じんじんと腕が痺れてまだ掴まれている様に感じる。感覚が残る部分をさすっていると、ふっと突然身体が軽くなった。不安定に地面から離され、視界が高くなる。

「えっ? ちょ、な、なに?!」
「あんま暴れんなっ、持ちにくい」

男の肩に担がれた。まるで米俵の気分だ。ってそんなことよりもなぜ自分は担がれているのだろうか。しかもどこかへと歩いていく。

「どこ連れてく気?!」
「耳元で怒鳴るなうるさい」
「ちょっとこれって誘拐…っ!」
「違うっ! これはちょっとあれだ。そう、家に連れて帰るだけだ!」
「それ完全に誘拐じゃないっ! 離しなさいよ変態!」
「おいやめろって勘違いしたおまわりさん来ちゃうだろーが!」
「勘違いじゃないからっ! むしろ来てくださいおまわりさーん!!」
「うるせーー!!」

56 そらまめ :2017/02/21(火) 14:58:08
「今度は何を連れ帰ってきたんだウエスター…しかもなんで顔が傷だらけ」

結局米俵状態のまま連れてこられたのは洋風の館だった。進行方向には顔を向けられないため、男が歩いてきた道のりを見るしかできなくて、固定された視界には次第に木が増えていくことに、どこへ向かうのかもわからないまま本格的に山にでも連れ込まれるのかと思う程だった。

「この傷はこいつが足やら手やらをバタつかせたからだ」
「君は色んなものを連れては来るけど、まさか人間まで持ってくる日がくるなんて。そこまで馬鹿だとはさすがの僕も驚きだよ。犯罪者になる前に元あった場所に返してこい」
「馬鹿じゃないし犯罪者でもない! そして返さん!」

男、もといウエスターとは別の声が聞こえてはくるが、いっこうに肩から下ろしてくれないから背中に隠れて姿が見えない。それでも会話を聞く限り話を聞かない誘拐男よりは常識を備えた人の様な気がする。

「いい加減下ろして欲しいんだけど…」
「おっと忘れてた」

人担いどいて忘れるってどういうことだ。道中ですっかりと涙は引っ込んで、代わりに意味の解らない行動の数々に怒りにも似た謎のイライラに支配されていた。

「っ! イースじゃないか」

やっと下ろされて正面を見れば、長髪の男が心底驚いたように自分をイースと呼んだ。

「違うぞサウラー、自称イースだ」
「私一言も自分のことイースだなんて名乗ってないんだけど」

自称とは人聞きの悪い。自分は最早誰とも言えないのに。

「どういうことだいウエスター」

先程よりも低い声で、ともすれば怒りも混じっているかのような視線をウエスターに向ける。そのあまりの圧にうっとたじろぎながらもウエスターは拳を作って答える。まるで蛇を前にしたネズミの様な小動物感。

「いや、こいつはイースだけどイースじゃなくて、でもなんかあそこに置いていくのも俺的に嫌で…っ」
「イースだけどイースじゃない…?」

ウエスターの要領を得ない説明に眉を寄せたサウラーは、こちらに歩いてきたかと思えばずいっと顔を寄せる。思わず一歩後ずさった。まるで品定めされているかのような居心地の悪い視線に、眼が泳いでしまう。

「…ふむ。ねえ君、携帯って持ってる?」
「? 持ってるけど…」
「それ見せてもらってもいいかい?」

なんで携帯を持っているのか聞かれたかわからないが、ポケットに入っていたそれを出して見せる。少し驚いた顔をしたサウラーだったが、しばらくの間携帯を様々な角度から眺めていた。
そんな姿を見ながら、無警戒で携帯をだしてしまったが、もしこれを取られたら本格的に外との連絡手段が無くなるのではと気付いて、携帯を握りしめる手に力を込める。

「…もういいよ。ウエスターが言ったことは多分当たってるよ。野生の勘かな」
「おお! 流石サウラーわかってくれたかっ!」
「言っとくけどウエスター、彼女はイース本人だよ」
「なにっ!?」
「やっぱりそこはわかってなかったのか。イースじゃなかったら本当に誘拐犯の出来上がりだったよ」

やれやれと呆れたように首を左右に振ったサウラーは、それからウエスターを手招きして何かをこそこそと話している。何を話しているのかは分からないが、ウエスターがチラチラとこちらを見てくるのできっと自分に関する何かなのだろう。
そして待つこと数分…

「おおっ! よく帰ってきたな我が妹よ!」

と、明らかに嘘と分かる芝居がかった台詞を言ってきた。

「いや、流石に嘘だってわかるわよ。馬鹿にしてるの?」

何故だろう。ウエスターに対して無性に腹が立つ。

「ウエスター、君は馬鹿な上に言葉足らずなんだよ。僕達は兄弟ではないけど、それに近しい間柄ではあるよ。君が久々に帰ってきてくれたから嬉しいのさ」

サウラーから流れるようにスラスラと紡がれる言葉は、説得力はあるのにどこかゾワゾワとする。警戒心を拭えない。大体こんな森の中で三人には不釣り合いな大きさの家に住んでいるなんて変じゃないか? やっぱり誘拐だろうか。

「イース。お前の部屋出ていった時のままなんだぜ。こっちだ」

ウエスターが嬉しそうに手を引く。されるがままに歩いて行けば、一つの部屋の前に来た。

「ほら、お前の占い道具だってまだ置いてあるぞ」

ドアを開けた先は、色の無い部屋だった。せつなの部屋とは全く違う。個性がごっそりなくなってしまったかのようだ。なのに占い道具だと言われたそれや本棚、寝具を見ると、じわじわと何かが込み上げてくるようで、せつなの部屋を初めて見た時と似たような感覚に襲われる。
身体中が言っている。ここはきっとせつなの部屋だ。

57 そらまめ :2017/02/21(火) 14:58:48
「イース、カオルちゃんのドーナツ食べるか?」

しばらく手に取ってみたり眺めていると、ウエスターが背後から声を掛けてきた。そういえば自分が買ったドーナツはどこへやってしまったのだろうか。来る途中で暴れた時に落としてしまったのか。勿体ないことをした。

「私もドーナツ買ったんだけど落としてきたみたい。戻って探しに行きたいんだけど」
「…だめだ。ドーナツなら俺が買ったのあるしこっち食べようぜ」

一瞬だけ声が固かった。外には出したくないと。誘拐ではないのだとしても過保護には過ぎる。兄弟ではないけど近しい人間とは一体どういった間柄なんだろう。悩みながらリビング(と思われる)に行けばサウラーが椅子に座って宙に浮いたウィンドウを見ていた。
その光景に驚きを隠せない。少なくとも日本の技術にはないはずだ。その反応に気付いたサウラーは、

「ああ、これかい? こちらでは珍しいかもしれないが僕達の世界ではこれぐらいの技術は当たり前だよ」

と、何でもない様に言った。やはりせつなは日本人ではないらしい。それ以上にこの世界の人間ですらないのかもしれない。
ドーナツを三人で食べている今もそうだが、ここに来た時から頭がチクチクと痛みを訴えている。何か、大事なことを忘れているような…自分を忘れている時点で大事なことは欠落しているが、それとはまた違う焦燥感のようなものに襲われる。思い出せと何かに駆り立てられるような感覚。
…ふと時計を見ると、ここに来てから随分と時間が経っていた。お昼過ぎにドーナツを買いに行ってもう夕方近くだ。そろそろラブの家に帰らなければきっと心配している。椅子から立ち、座っている二人を見る。

「私そろそろ家に帰るわ」

帰ると耳にした途端がたりと立ち上がったのはウエスター、ピクリと肩があがったのはサウラーだった。

「いや、その必要はないよ。今日はここに泊まるといい。向こうにはもう連絡してあるから」
「え、そうなの…?」
「ああ。久しぶりだろうし、しばらくはこちらに居てもいいとも言っていたよ」

サウラーが笑みを浮かべてそう言う。ラブ達が了承しているなら別にいいか。

「一応ラブに電話してもいいかしら」
「ああ、構わないよ」
「おいっサウラーっ!」

焦ったようなウエスターの声を聴きながら、携帯を取り出してラブに電話を掛ける。ドーナツを買っていけなかったことも言わないと。と、

「あれ、繋がらない…」
「ああ、ここら辺はよく電波が乱れるんだ。森の中にあるからね。いつものことさ」
「そう…また後で掛けてみるわ」
「そうするといい」

ラブへの連絡はまた後ですることにして座りなおす。一連のやりとりが終わるとウエスターも大きなため息をついてドカッと椅子に座った。

「あー、なんか腹減ってきたなー」
「君あれだけドーナツ食べたのにまだ食べるのか? どんな胃袋してるんだ」
「ドーナツはおやつだからご飯とは違うんだよ! 大体ドーナツ食べた後に山盛りの砂糖入れた紅茶飲んでたやつにそんなこと言われたくない」
「僕は頭を使うから糖分が必要なんだよ。頭を使わない筋肉には言われたくないね」
「俺だって頭を使う時くらいある! 馬鹿にするな!」
「ほー、どんな時だ? 是非とも聞かせてほしいね」
「例えば、カオルちゃんのドーナツを日にいくら分買えば一か月金が足りるかとか!」
「それって小学生の算数レベルじゃ…」

二人の会話に思わずツッこんでしまった。ぼそっと言えば「イースまで俺を馬鹿にするっ」と落ち込むウエスターに、「いつもだろ」と鼻で笑ったサウラーにヒエラルキーを感じた。

58 そらまめ :2017/02/21(火) 14:59:25
「ところで、なんで私のことイースって呼ぶの?」

この二人には自分に記憶が無いことは知られているし、時間もある今この際疑問に思っていたことを聞いてみる。

「イースはイースだからだ!」

まったく説明になっていないのに自信満々なウエスター

「それじゃ説明してないだろ…君も気付いてるだろうけど元々僕達はこの世界の人間じゃない。君もそうだ。そしてイースという名前は君のあちらでの名前。せつなはこちらでの名前だ」
「ならこっちでもイースって名前で過ごせばいいのに」
「それだと何かと不自由だからって君が決めたんだよ」
「じゃあパッションは?」
「「え…」」
「私のことそう呼ぶ人(?)もいるのよ」
「…ニックネームか何かじゃないかな? 君がここに居た頃には聞いたことないから、あちらで暮らすようになってから呼ばれるようになったんじゃないか?」
「本名よりニックネームの方が長いって意味あるのかしら…」

なんて考えている正面ではまたこそこそと話す二人がいたが、名前がたくさんあると詐欺師みたいでちょっと嫌だと思う方が自分の中では重要だったのでスルーした。





自分の部屋だった場所にいく。そろそろいい時間だからとサウラーが出て行くのを見送って自分も席を立てば、ウエスターが「部屋分かるか? 案内するぞ」と言ってくれたが断った。廊下を歩いている後ろからこっそりとついてきていたウエスターには悪いが実際迷わずに部屋に来られた。考えなくても身体が勝手に動いたから。
部屋についてからもう一度携帯を出してラブの番号に掛ける。でも繋がらない。電波が不安定と言っていたし今日はもう諦めようかと枕もとに置く。
部屋を見回して、水晶を手に取った。占いをしていたらしいが今の自分は水晶を見ても何にも見えてこないし、カードもよくわからない。今回は身体が勝手に動いたりはしなかった。
…そういえばあの二人は、自分に記憶が無いというのに悲しんだりはしていなかったな。案外みんなあんな感じなのだろうか。ラブ達も、こんな自分を受け止めてくれるだろうか。悩んでいるうちに次第に瞼が重くなる。意識が遠のく直前何かに呼ばれたような気がしたが、それに答える前に眠っていた。




―――――
「おい、いいのかあの携帯。イースから取り上げとかなくても」
「この館は異空間にあるんだ。携帯の本来の機能は使えないよ。大体いきなり携帯を取り上げたら警戒するだろ」
「だがプリキュアにでもなられたらすぐ出ていかれるぞ」
「夕方の会話聞いてただろ? イースは今記憶が無い。自分がプリキュアだったことも忘れている。なんで記憶喪失なのかはわからないがプリキュア達の仲を裂くチャンスだ」
「イースの記憶が急に戻ったりとかしたら…」
「そこは気を付けるしかないね。イースはこちらの仲間であっちが敵と思わせればいい」
「ちなみにサウラー、イースにあっちには連絡しといたって言ってたのは?」
「もちろん嘘だ」
「だよな」

59 そらまめ :2017/02/21(火) 14:59:57
―――― 

「せつなが帰ってこない!」
「確かドーナツ買いに行ったのよね?」
「そう。お昼すぎぐらいに行ってくるって。でもそれから全然帰ってこなくて、リンクルンで連絡しようとしたら全然繋がらなくて…」
「…やっぱりダメ。わたしのリンクルンからも繋がらないわ」
「いくら連絡しても応答なし。そしてこれ」

どさりと机に置いたのはドーナツが入った袋だった。しかも所々土で汚れている。

「これが見つかったのは街の外れの方。せつなが落としたとは断定できないけど、中身はせつなとラブが好きな味のドーナツ」
「それに、大きな男の人と紙袋を抱えたせつなちゃんが話しているのを見たって配達中のそば屋のお兄さんが言ってたよ…」
「それってやっぱりウエスター…? だとしたらせつながっ!!」
「待ちなさいラブっ! どこに行くのよ」
「どこって占い館だよ!!」
「落ち着いてラブちゃん! 占い館は今はあそこには無いんだよ?」
「でもっ…だって…! せつながあそこにいるかもしれないんだよ? それにもしラビリンスにでも連れていかれてたら…っ! …無事でいて、お願い…」

ぼろぼろと涙を零し嗚咽交じりのラブにつられて、美希も祈里も涙を滲ませる。ラブが言うまでもなく無事でいてほしい。本当は今すぐにでも迎えに行きたい。でも、それじゃどうやってもあそこには辿り着けない。どうすればいい。今の自分達に出来ることは…




―――――

「そういえば、僕らがこの世界に来た理由って覚えているかい?」
「ここに来た理由?」

明けた翌日。ラブに連絡をとろうと試みるも相変わらず繋がらなかった。仕方がないので本棚にあった本を読んでいると扉をノックする音がして振り向けば、部屋に入ってきたのはサウラーだった。

「観光…ってわけではないわよね?」
「さすがにね。この世界に来た目的は、僕らの世界の技術を伝えてこの世界を発展させるためだ」
「技術の発展…?」
「君も昨日驚いていただろ? ウィンドウを空中に投影させるなんて僕らの世界では常識的なことなのに、この世界はそれすら追いついていない。進んだ技術を教えることで今よりも発展させた世界にしたい。そうすればこの世界は今よりもっと平和になるはずだ」
「平和に…」
「ただ、どんな場所でも技術を提供しますと言って素直に受け取ってくれる人は中々いない。それは信用という面からもそうだが、それ以上にその技術が世界に知られると都合が悪いと思う奴らがいるからだ。それはどんな奴らかわかるかい?」
「そうね…この世界の技術でこれまで利益を得ていた人達かしら…?」
「そう。この世界の技術を使って利益や富を得てきた側からすればそれを根こそぎ奪われることになる。それじゃ都合が悪いと妨害してくる過激なのもいるんだ。僕らはこの世界の未来のために、そういう奴らと戦ってる」
「へえ…」
「技術を伝える手段は僕が考えて、妨害を阻止するのはウエスター、そしてこの世界との友好を築くのが君。だから君はこの世界にホームステイという形で現地の人にお世話になってたんだ。まあ、この役割は大まかにだから、妨害がきたら僕達二人も戦っていたよ」
「ラブの家にいたのはそういう理由だったのね…」

この世界の人間ではないのにラブの家に居た理由はずっと気になっていた。だとしたら、一般常識に当てはまらなかったタルトやシフォンに説明がつく。

「それでだ。記憶がない君に無理にとは言わないが、もしそういった妨害が来た時は僕らと一緒に戦ってほしい。この世界の為にも」

あの家を思い出す。笑顔に溢れていて、とても居心地がよかった。ドーナツ屋がある公園にも笑い声や楽しそうに遊ぶ子供達が溢れていて、ああいう人達の為に自分にできることがあるなら、今の自分にできることがあるのなら、喜んで受け入れる。

「…そうね。わかったわ。ラブ達の世界の為だもの」

サウラーの笑みがかすかに深くなった気がした。

「ありがとう。そうだ、僕らが戦っている奴らの名前を教えておくよ」

「プリキュア」

「そう呼ばれている。表では正義の味方として世間を欺いているけど、裏では様々な手を使って自分達の不利益になるものを排除しているあくどい奴らさ」

相手の名前を聞いた瞬間、チリチリと頭が痛みを訴えた。
なんだろう。歯車が軋むように、思考を無理やり止められているような感じだ。気持ち悪い。

しばらく眉を寄せていた自分を、サウラーは変わらずほほ笑みながら見ていた。

60 そらまめ :2017/02/21(火) 15:00:51
――――――
「ナケワメーケが現れたってホントっ!!?」
「ええっ! 公園のアウトドア場で暴れてるってっ!」
「せつなちゃんもまだ見つかってないのにっ!」

翌日になってもどうすればせつなと連絡がつくのか分からず話し合っている時に、飲み物を買いに行ったはずの美希が走って持って帰ってきたのは、飲み物ではなく今の自分達には最悪の情報だった。嫌な予感が三人の頭を過る。

「っ…今は公園に行こう!」
「そうね。このままにはしておけないもの」
「うん。早く倒してせつなちゃん探そう!」

顔を見合わせ頷いた三人は公園へと走る。そうでないことを祈りながら。



「そこまでだよ!」
「これ以上は許さない!」
「ひどい…公園が滅茶苦茶にっ…!」
「来たかプリキュア! 今日こそは倒してやるっ!!」

アスレチックのタイヤが巨大化したナケワメーケを連れたウエスターが吠える。
ウエスターが飛びかかり、いつものように戦いが始まった。



「イース、プリキュアが現れたらしい。今ウエスターが一人で応戦してる」
「えっ、ホントっ?!」

紅茶を飲もうとやかんに水を入れていた時に、サウラーが眉を寄せながらリビングに入ってきた。
まさかこんなに早く戦いが始まるとは思わなかった。

「僕はウエスターを手伝いに行くけど君はどうする? …もし乗り気でなければここに居て構わない」
「私も一緒に行くわ! だって二人が頑張ってるのに私一人ここに残るなんて嫌だもの」

自分だけ指をくわえて二人が戦っているのを待ってるなんて嫌だと伝えれば、サウラーは意表を突かれたかの様な、形容し難い顔をした。なぜそんな顔をするのかわからず首を傾げると、それに気づいたサウラーは一度だけ溜息をついた後表情をいつものほほ笑みに戻し、戦い方を教えるよとゆっくりとした歩みで近寄ってくる。せつなでもイースでもない自分が今必要とされていることが、とても嬉しい。




「うおおおぉっっ!!!」

拳に全身の体重を乗せたパンチが防御した腕からでも身体にダメージを与えてくる。
タイヤのナケワメーケは攻撃しても胴体のゴム部分で威力を吸収し弱る素振りを見せず、あちらからの予想できない動きに吹き飛ばされた。


「このままじゃ公園が壊れちゃうよっ!!」
「なんとかこれ以上先に進ませない様にしないと! 住宅街があるんだからねみんなっ!」
「わかってるわよピーチ!」
「うん!」

アスレチック場は自然を主体としており森が多いため建物は少ない。だがこれ以上押されてしまえば、広場や、公園の外には人が住んでいる家がたくさんある。被害をこれ以上増やさないためにもなんとかここで決着をつけたかった。

「コンビネーションいくよ二人とも!」
「オッケーッ!」
「いつでもいいよっ!」

三人での動きは久しぶりだけど大丈夫。息を合わせるのは二人となら朝飯前だ。

「ウエスター、手伝いにきてあげたよ」

と、今まさに動き出そうという時にウエスターの背後からやって来たのはサウラー、そして

「サウラー! それにイースも来てくれたのかっ!」
「え…なんで…」
「うそ、でしょ…」
「でもあれは…」

サウラーと隣歩く小柄な少女は確かにイースの姿で、自分達が必死に探していたせつなだった。

61 そらまめ :2017/02/21(火) 15:01:29
「ウエスター! 大丈夫?」
「おおイース! 俺はまだまだ大丈夫だ!」
「せっかく僕らが加勢に来たんだ。いつもみたいなヘマは許さないよ」
「当たり前だ! こっちも三人になったんだ! 今日は負けねーよ!!!」

ウエスターが気合を入れるように拳に力を込める。そんな様子も視界に入れながら、せつなは敵だという三人を見た。三人とも固まったかのように動かず、でもこちらを見ている。なんだろう、見られすぎて視線が痛い。

「女の子よね…」
「ああ、だが見た目に騙されてはいけない。あの姿で油断させるのもあちらの戦略だ」

どこからどう見ても少女だ。もしかしたら自分と同じぐらいの年齢かもしれない。それでもサウラーは油断させるためにああした姿だと言っている。侮ってはいけないのだろう。

「今日はなんか行ける気がするぞっ!! うぉおおおっ!」

ウエスターはそんな掛け声と共に相手に向かっていった。

「僕らも行こうか」
「ええっ」

一言サウラーとやりとりをして自分たちも動く。大丈夫、戦い方は教えてもらったから。
各々動き出し、それぞれが敵と対する。自分もピンク色の衣装を着た女の子に攻撃する。戦い方は教えてもらったが、いざ相手を前にすると考えなくても身体が勝手に動いてくれる。どの部分を狙えばいいか、どうやったら動きが止まるのかが自然と浮かんでくる。

「はああああっっ!!」
「くっ…! ぅ、やめてせつなっっ! あたしだよ!! わからないのっ?!」
「あなたのことなんてっ、知らないわっ!」

サウラーが言った通りだ。相手はなぜか自分を仲間に引き入れようとしているらしい。そのために自分をせつなと呼ぶこともあるし、親しい間柄の人間を装ってくることもあるのだとか。とにかくこちらを揺さぶるために様々なことをしてくるらしい。

「せつなっ!! やめてっ! あたしせつなとなんて戦いたくないよっ!!」
「なら引いてちょうだい、私だってあなたのような人と戦いたくなんてない。でも、この世界を守るためだものっ!」
「この世界のために戦ってるなら、あたしたち戦う理由なんてないよっ!!」
「あなたたちが諦めるまで止めないわっ!」
「なんでっ…?! なんでそっちの味方なんてしてるのっ??! せつなはあたしたちの仲間でしょっ!!」
「…あなたたちの仲間になった覚えなんてっ、ないわっ!!」

右手で胴体に向かって拳を打ち付ける。相手が両腕をクロスしてそれを受け止めたが、衝撃を殺せず後ろへと後退した。数十メートルの距離が生まれる。相手はゆっくりと腕を下げた。次の攻撃が来るのかと構えたが、あちらが顔を下に向けているため表情がわからない。何をするのか読み取れない。
と、小さく何かを呟いているのが風に乗って耳に届いた。

「なんで…だって、あたしたちは…」
「……」

肩が震えている。両手の拳も、力の入れ過ぎでカタカタと小刻みに揺れる。

「あたしたちはっ…仲間じゃんっ!!! 思い出してよっっ! せつなああぁっ!!!」

叫ぶような声と共に勢いよくこちらを向いた顔は今にも泣きそうで、少しもしないうちに両目から涙が零れ落ちた。表情も声も悲痛すぎて目を背けたくなるがなぜか逸らせない。
それになんだろう、どこかで聞いた気がする。涙交じりに自分の名を呼ぶ声を。どこ、だっけ…

「っつ…あたまが、痛い…なんで…」

今までに感じてきた痛みとは比べ物にならない激痛が頭に響く。ガンガンと殴られているようで、頭が割れそうだ。両手で頭を押さえても痛みは消えない。それどころか視界が痛みで霞んできた。

「せつなっっ!!」
「イースっっ!!!」


ウエスターの焦る声が聞こえた。誰かが自分を呼ぶ声も聞こえる。だめだ、もう意識を保っていられない。
崩れ落ちるように全身から力が抜ける。こんな倒れ方では受け身一つとれない。地面への衝撃を覚悟するが、予想とは違う人のぬくもりに受け止められた。

「しっかりしろイースっ!!」

ウエスターの必死な呼びかけを聞いたのを最後に、意識が落ちた。

62 そらまめ :2017/02/21(火) 15:02:05
……――――

「―――…思い出して」

声が聞こえる。

「大切なことだよ―――…」

誰?

「―――…そのかけらを無くしたら―――」

何を言っているんだ。

「きっと、後悔するよ…―――」



「…だ、れ…」

ゆっくりと瞼があがる。手触りのいいシーツの感触、フカフカとしたベッド、天井。
いつの間に自分は寝ていたんだろう。確か、何かをしていたような…

「気付いたかイースっ!」

耳元でバカでかい声が聞こえてゆっくりとそちらを見ると、大の男だというのに泣きそうな顔のウエスターが見ていた。

「ウエスター…」
「大丈夫かイース?! 痛いとことかあるかっ?!!」
「ん…特にないわ。大丈夫。でも、もうちょっと声のボリューム落として。うるさい…」
「あ、すまんつい…」
「私なんでここにいるの…?」

徐々にはっきりとしてきた思考。確かプリキュアと戦っていたはずで、相手に何か言われて急に頭が痛くなってそれで…

「戦ってる時にお前が急に倒れたから運んだんだ」
「そう、ありがとう…あの後どうなったの?」
「お互い決着つかなくて撤退した」
「ごめんなさい」
「謝るなよ。お前の所為じゃない。それより、大丈夫そうで安心した」

自分が倒れたせいで戦いが中断したことに申し訳なさを感じたが、ウエスターは自分の無事を嬉しいという。ほっとしたような顔が印象的だった。ただその笑顔はイースが無事だったからか、自分が無事だったからか、どちらに喜んだのか疑問を聞くのは怖かった。

「倒れた時助けてくれたのってウエスターよね? ありがとう」

地面に倒れる直前でウエスターが受け止めてくれたから、怪我をせずにすんだことを思い出した。

「気にすんな! 仲間を助けるのは当たり前だからなっ!」

仲間。ウエスターのその言葉を聞き、頭にチリッと一瞬だけ痛みが走る。だがその痛みも瞬間で引いた。あの割れそうな頭痛ももうない。

「起きて平気か?」
「ええ。もうどこも痛くないし、大丈夫よ」
「そうか。サウラーはリビングにいるから行くか。あいつに紅茶でも入れてもらおう」
「え、サウラーって人にお茶入れるの…?」
「多分十年に一回くらいは他人のためにも入れるんじゃね?」
「十年に一回ってそれもう入れてくれないのと同じじゃない…」

ゆっくりとベッドから起き上がる。身体の異常は無いことを確認して部屋を出た。

「眼が覚めたのかイース」
「ええ。ごめんなさい戦いの途中だったのに」
「構わないよ。それより違和感があるところはないのか?」
「大丈夫みたい」
「そうか…」

リビングに行くと、キッチンに立っていたサウラーがこちらに気付いて振り向いた。一言二言会話をしている間にも手を動かし、あっという間にテーブルの上に紅茶の入ったカップが三つ並べられた。

「…まじかよ。あのサウラーが俺らにお茶入れする日が来るなんて…明日は雪か」
「失礼なそこの男は飲まなくていいよ」
「わーうそうそ! ありがとなサウラー!! …なんか入ってるわけじゃないよな…?」
「ほんとに失礼だね君。自分の分を入れている時に君達が来たから仕方なく入れてあげたんだよ。有難く飲むんだね」
「十年に一回が今来ちゃったわね」
「優しいサウラーが逆に怖い」
「お茶入れただけでこの反応ってどういうことだいまったく…」

飲んだ紅茶は悔しいがおいしかった。何に悔しがったのかは自分でもわからないが。
じわじわと身体に入って行くのがわかってほっと息をつく。自分にとっては初めての戦いだったからだろうか、思っていたよりも緊張していたらしい。
紅茶を飲みながらさっきの戦いを思い出す。戦い方は身体が覚えていたから問題ない。気になるのはあのプリキュア達だ。特にあのピンクの少女。戦いの最中防御しかしなかった。
自分へ攻撃をしてこなかったこと。自分を仲間と言ったこと。そして名前を呼ばれた時に感じた既視感。どこだ。どこで聞いたんだっけ。
わからないといえば夢の中のあの声も、どこかで聞いた気がするが思い出せない。少女のような幼さの残る声を、自分は確かに耳にしたことがあるはずなのに。
…思い出せない。
紅茶を飲みながら色々なことがグルグルと回っている。終始ぼーっとしていた自分は、ウエスターの視線もサウラーの視線にも気付くことはなかった。

63 そらまめ :2017/02/21(火) 15:03:21

――――

日にすれば一日に満たないが、安静にしろと言われてほとんどを部屋かリビングで過ごした。本当は外に出て散歩にでも行きたかったが止められたため、代わりに本の虫となった。本は好きだし退屈ではないが、この家にはテレビ等の娯楽は無く外の情報が入ってこないのは不満ではある。そして相変わらず携帯は繋がらなかった。どうも自分が寝ている間に豪雨が来たらしく、その影響で電線が切れたんだとか。サウラーがそんなことを言っていた。
リビングで本を読んでいる横ではウエスターが腕立てを繰り返し、かれこれ数時間になる。一度いつまでやるのか聞いた時には「1000になったら辞める」と言っていたはずだが、カウントを聞いていると590と数えた次には491と言っていたのでもう永遠に終わらないと思う。指摘はしなかったが内心馬鹿だなあとは思った。

「そういえばサウラーはどこにいるの? 部屋?」

ちょっと前にリビングを出ていったきり帰ってこないサウラーに気付いた。部屋にいることも多いし別に気にする必要もないけど、飲みかけのコーヒーがなんとなくその存在を主張している。

「サウラーならプリキュアを倒しに行ったぞ」
「えっ?! ひとりで?! 私達行かなくていいの?」
「あいつ邪魔されるの嫌がるからなぁ…」
「嫌がるってでも相手は三人なのよ? 心配だわ…」
「心配ねぇ…あいつなら大丈夫だと思うけど」
「でも…やっぱり私も行くわ!」
「えっ…! いやほらでもお前まだ本調子じゃないしっ」

椅子から立ち上がってリビングを出ようとしたところで、慌てたようなウエスターが扉の前に立ちはだかった。

「どいてよ」
「ほらまた倒れたらあれだし昨日の今日だしっ」
「身体ならもうどこにも異常はないわ。それに一人で戦わせるなんてそんなの嫌だわ」
「でもな…」
「私達、仲間じゃないの…?」
「うっ…」

仲間という言葉にたじろぐウエスターは何かに悩んでいる様子。あともうひと押しだ。

「ねえウエスター、私一人で行くなんて言わないから。一緒にサウラーの所に行きましょう? もしダメそうならその時はすぐ帰るから」

出来る限りの弱気と上目遣いを駆使する。役者にでもなった気分だ。

「…ダメならほんとにすぐ帰るか?」
「ええ」
「ダダこねるならまた担いででも連れ帰るぞ」
「大丈夫。止められたら素直に帰るから」
「……わかった」
「ありがとうウエスター!」

必死の懇願に溜息をつきながら折れたウエスター

「お前のその眼は絶対折れないって決めた時の眼だからな」

苦笑いしながらそう言われた。それを共有できないことがもどかしい。

64 そらまめ :2017/02/21(火) 15:04:10
「くっ! はぁああっ!!」
「そんな攻撃が僕のナケワメーケに効くとでも思っているのか?」
「間を置かず来るなんてっ!!」
「あっちの作戦でしょそんなのっ 揺さぶられたら相手の思うつぼよっ!!」
「わかってるよっ!」

不発に終わった攻撃に一旦横並びになって態勢を立て直す。
せつながラビリンスの仲間として現れたことに動揺している今がチャンスとでも思っているのだろう。気持ちの整理を着けさせる猶予を与えない様にしているのが難なくわかる。
だが、こっちだっていつまでも嘆いていた訳じゃない。なんであってもせつなを信じると決めたから。撤退していった後話し合うまでもなくみんなの気持ちは一緒だった。急に倒れたこともそうだがあの時のせつなはいつもと違う気がした。でもそれだってきっと意味があるはず。どんな姿のせつなだって、自分達は信じている。仲間だから。
だから悲しいという感情より、絶対に取り戻すという意気込みでいっぱいだった。


「サウラー!!」
「…っ、イースっ…! どうして…なんで連れてきたんだウエスター」

やっぱり来た。前回もウエスターのことを心配している様子だったから、今のせつななら仲間と思っている人が一人で戦うのを黙っているわけがない。せつなは自分達の思っていた通り、仲間想いのせつなだ。

「すまんサウラー、でもイースがお前一人で戦ってるって知って嫌だっていうから…」
「それでのこのこ連れてきたのか…?」
「ごめんなさいサウラー、私が無理やり頼んだの。相手は三人なのよ? 一人でなんて心配で…」
「君は全く……本当に…調子が狂うよ」

睨み付けるサウラーは明らかに怒っていた。その反応をウエスターは予想していたようで特に驚く様子はない。仲裁に入ればあからさまな溜息をつかれる。最後の言葉は呟くように小さな声だった。

「来てしまったならしょうがない。くれぐれも僕の邪魔はしないでよ」
「わかってるわ」
「おう!」

「せつなをおおぉっ返せぇええーーー!!!」

敵に向き直った瞬間にピンクの少女が勢いよくこちらに飛びかかってくる。その攻撃に構えると、横に並んでいたはずのウエスターが飛び出し迎え撃った。全力の拳と拳がぶつかり周囲に爆風が巻き起こる。

「イースは渡さねぇえええっーーー!!!」
「どけえええええっ!!!」
「どかねぇええよぉおおおっ!」

巻きあがる土煙の中で、ぶつかり合う音が響き渡る。

「ウエスター…」
「さあ僕らも行くよ」
「ええ」

迫力ある戦いに圧倒されたがサウラーの言葉で気持ちを持ち直す。自分にできることをしなければ。サウラーに倣って自分も勢いよく地面を蹴った。

65 そらまめ :2017/02/21(火) 15:04:47
「はあっっ!!」
「…つっ! せつなちゃんっわたしのこと本当にわからないのっっ?」
「だからあなたたちのことなんて知らないって、言ってるじゃないっっ!!」

黄色の衣装を着た女の子と対する。ピンクの子と一緒で攻撃をしてこないことが気に掛かる。こちらの攻撃を受けている間も終始眉を下げ今にも泣きそうだ。

「…やっぱり洗脳とかされてるのかな…? うーん…だとしたら…」
「ぶつぶつと独り言なんて余裕ねっ」

何をしても防御を続ける彼女は、何かを考えているようで戦いに集中していないのがわかる。こっちは本気でやっているというのに舐められているように感じて少しイラッとする。もう一撃してやろうと足に力を入れ飛びかかった時、初めてあちらが行動した。なにか棒のようなものを手に持ちこちらに構えている。

「ごめんねせつなちゃん…ヒーリングプレアー・フレーシュっっ!!」
「なっ…!?」

碌に回避も出来ず、棒から放たれる謎の光をもろに浴びてしまった。
そのまま地面に着地する。だがおかしい。敵の攻撃を受けたのに全く外傷が無い。思わず身体中を確認してしまった。

「何を、したの…?」
「せつなちゃん…わたしのこと、わかる…?」

気弱そうに棒を胸に抱き、恐る恐るといった感じに先ほどと同じ問いを繰り返す。

「何度聞かれても答えはさっきと一緒よ。知らないわ」
「そう…洗脳じゃ、ないんだね…」

肩を落とし悲しそうな表情。洗脳だとかよくわからないことを言っていたが、ダメージの無い攻撃といい思わず首を傾げた。何がしたいのかまるで理解できない。

「でもわたし、信じてるっ!」
「何を信じてるのかわからないけど、そんなんじゃ私は倒せないわよ」

眉が上がる。何かを決意した時の顔だ。こういう顔をする時の彼女は普段のほんわかとしているのとは対照的に意外と頑固で、誰が何と言おうと自分が信じる想いを貫き通すんだから厄介だ。思わず苦笑いする。

……え、なんでそんなこと、わかるんだ…自分が彼女に会ったのは二回目のはずなのに…
自分で自分の思考に驚き思わず彼女を見る。突然見られたからか目が合ったあちらは首を傾げている。つられてこっちも首を傾げる。しばらくお互い同じ格好をしていたが、はっとして顔を左右に振った。敵を前にして呆けるなんて命取りで戦士としては致命的だ。こんな体たらくでは――の期待に応えることなんてできない。

……誰の期待に応えないといけないんだ? ――って誰だ。自分は今自分の意思で戦っているはずなのに。なんだ? さっきからおかしい…自分の知らない感情がどこからか湧いてくるみたいだ。小骨が喉に詰まっているかのような違和感に思わず額に手を当てる。

66 そらまめ :2017/02/21(火) 15:05:18
「せつなちゃん大丈夫っ? どこか痛いのっ?」
「…敵の心配なんて余裕ね」
「せつなちゃんは敵じゃないもの。心配するのは当たり前だよ。仲間だからね」
「あなたたちってみんな同じこと言うのね。いくら否定してもまるで聞く耳持たないし」
「ピーチもベリーも、もちろんわたしも、みんな気持ちは一緒だから。信じてるから」
「だから…何を信じるって言うのよっ」
「せつなちゃんをだよ。どんなせつなちゃんだって、わたしたちは…」
「せつなせつなっていい加減にしてよっっ!!」

思わず叫んだ。

「私のこと知ったような口振りで勝手なこと言わないでっ!! みんなしてせつなだとかイースだとか言ってっ、せつなもイースも私じゃないっ、私は私よっ! ここにいるのも私の意思でいるんだからっ!! 私が頼まれたんだ! 私が!…だって…私が、イースじゃなくても行こうって、言ってくれて…」
「えっ…それって…」

イース。せつな。どちらの名前を口にする人もそこに確かに絆があって、繋がりが見て取れる。だけどその繋がりの糸の先に自分がいない。まるで除け者にされているみたいで、ひとりきりのような感じがして孤独だった。
一緒に戦おうと言われたことが嬉しかった。でも、それは自分がイースだからだってことも、イースとして戦ってきたこれまでを期待されてのことだってことも気付いていた。本当は全部わかっていた。
みんなせつなを、イースを必要としている。ならやっぱり、自分はここに居るべきじゃないのかもしれない。あの館にも、ラブの家にも居るべきではないのかもしれない。
自分は存在してはいけないのではないか。いや、存在するべきじゃないんだ。だってあそこにいることを許されるのは本物だけだから。
偽物は、消えてしまえばいい。

「あなたも、せつながいいのよね?」
「なに、言って…」
「こんな偽物なんかじゃなくて、本物が」
「待って。落ち着いて?」
「私が死ねば、イースもせつなも帰ってくるかもしれない」
「死ぬなんてそんなこと言わないでっ!」
「偽物がいなくなって本物が帰ってくればみんな嬉しいでしょ?」
「わたしは誰であっても死んでなんて欲しくないよっ!! もしあなたがせつなちゃんじゃなくても、あなたが死んでせつなちゃんが帰ってくるとしてもっ、死んで欲しいなんて思わない! 絶対」
「…なんでそんなこと言えるのよ。私のこと何も知らないのに」
「…仲間想いで人の心配ばかりで自分のことは後回し。それに頑固で一人で悩んじゃうのが困ったところ。少し話しただけでも、あなたはとても優しくて良い子だってわかる。そんな子が泣いているんだもの。なんとかしてあげたい。あなたが誰であっても助けてあげたいって思ったこの気持ちは嘘じゃない。だから助けるよ絶対。信じて?」

泣いていると言われて思わず頬に手を当てた。指が冷たい水に触れる。この涙は誰のものだ。自分だろうか。それとも記憶にない過去の自分だろうか。ただ、今自分は彼女に掛けられた言葉がとても嬉しいと感じていて、それがせつなでもイースでもなく自身に向けられたものと気付いて心が震えている。その上、そんな優しさでできた笑みで見られたら、揺らいでしまう。信じてみたくなってしまう。

「…ここにいても、いいの?」
「うん。いいよ」
「私、あなた達が求めてるせつなじゃないのよ?」
「それでもいい」
「せつなが帰ってこなくても?」
「それは悲しい。でも、あなたとも友達になりたい」
「私が私でもみんな許してくれる?」
「不安にならないで。大丈夫だよ」

ゆっくりと近寄ってきて頭を撫でられる。そっと触れる手の温かさにまた涙が零れた。

67 そらまめ :2017/02/21(火) 15:06:00
――気付けば、近くでサウラーが出したと言っていた大きな何かが竜巻を起こしている。その風に涙が連れていかれてつられてそちらを見る。涙だけじゃなく枯葉や枝、石等も巻き上げられていた。あまりの強風に身体まで持っていかれそうで、目の前の彼女も風に煽られ目を瞑りふらついている。
…と、風で細めた視界に、何かがこちらに飛んでくるのが見えた。
スローモーションのように切り取られた思考で、あれは花壇のブロック片だと気付く。軌道の先には目の前で未だ目を瞑る黄色の女の子。このままでは直撃コースだ。
理解した瞬間彼女の背に両腕を回し頭を守るように全身で抱え込んだ。直後、ガンッと鈍い音が頭に響き、衝撃が全身に伝わって一瞬息が出来なくなる。腕に力が入らずズルりと崩れ落ち、意識が刈り取られた。




「―――…思い出して」

ああ、またこの声。

「無くしたんじゃないよ―――ただ、絡まって見つけられないだけ…――」

聞いたことのある声。

「――…かけらは今もまだ、君の中にある…―――」

もしかして。

「――…大丈夫」

あなたは…―――

「…―――今ならきっと、見つかるよ…――――」



ゆるりと意識が浮上する。でも瞼が重くて眼を開けられない。全身が何かに包まれているような気がする。暖かい。頭の痛みも徐々に薄れてきた。指先がピクリと動く。

「しっかりしてせつなちゃんっっ!!」

雨みたいな水が頬に触れて、ゆっくりと眼を開けた。

「…泣かないで…」
「ごめん、ごめんねせつなちゃんっ、わたしのせいでまたっ…!」
「…大丈夫…あったかいわ…ブッキーの、ちから」
「せつなちゃんっ…わたしがわかるのっ…?!」

驚く祈里にそっと笑う。また雨のように涙が降ってきた。
記憶が戻ってくる。イースとしてラビリンスにいたこと。ラブと戦ったこと。プリキュアとして仲間になったこと。全てが繋がって今の自分がいること。
ああ、なんだ。私は私だったのか。記憶が無くても人に頼れず一人でグチグチと悩んでいたなんて、悩み方から何からすべて一緒だったことが、今なら笑えてしまう。

パインの癒しの力で頭の痛みも薄れてきた。身体も動かせる。このままみんなの所に帰れば、謝って真相を話した後に怒られてから迎えてくれるんだろうけど、それでは心が落ち着かない。未だ吹き荒れる竜巻に視界と音が遮られている為か、他の人は自分たちの一連には気付いていないみたいだ。だから…

「…ごめんなさいパイン。私まだみんなの所には帰れない。やり残したことがあるの」
「…帰ってきてくれるんだよね?」
「ええ。もちろんよ。私の帰る場所はみんなのいる所だから」
「うん。なら待ってるね。わたしせつなちゃんが帰ってくるって信じてる」
「すぐ帰ってくるわ。信じて」

お互い顔を見合わせて笑い合う。理由も問わず送り出してくれることが、繋がっている証拠だと思えた。



「プリキュア、ラブサンシャインフレーーッシュ!」
「プリキュア、エスポワールシャワーッフレーーッシュ!」
「プリキュア、ヒーリングプレアッ、フレーーッシュ!」

最初は劣勢だったプリキュアだが、記憶が戻った自分がプリキュアに積極的に攻撃することはもちろんあり得ないため、次第に三人の息が合わせられるようになり、コンビネーションが今ナケワメーケに向かって放たれた。シュワシュワと消えていくナケワメーケにウエスターもサウラーも悔しそうだった。「覚えてろよ!」といつものようにウエスターが捨て台詞を叫んでその場から立ち去る。ラブも美希も自分の名前を叫んでいるのが分かり、後ろ髪を引かれるように振り向いたが祈里の眼を見て再び正面を向いた。あの顔をしている時の祈里は信じていることを疑っていない顔だ。それが分かることがとても嬉しかった。

68 そらまめ :2017/02/21(火) 15:06:31
「はーまた負けちまった。今回は三人だからいけると思ったのによー」

館に続く森を進む二人の背中を見ながら、少し遅れて歩く。両手を頭の後ろで組んだウエスターがぼやくように呟いていた。

「負け惜しみは惨めに見えるよウエスター」
「なんだよいいだろ別にこんくらいっ、ったく細かいんだよサウラーは。もっとガツガツ攻めてたら勝ってたかもしれないってのに作戦がどうとか言ってよー」
「入ってきたのは君達だろ。僕が考えていた戦略は完璧だった」
「なんだよ俺等が来たから負けたって言いたいのか? 人の所為にするなんてそれこそ負け惜しみだ」
「ねえ、この会話不毛な争いになるだけだからやめた方がいいんじゃない?」

立ち止まりバチバチと目線が絡み合う。今にも喧嘩が始まりそうだったので思わず口を挟んでしまった。二人はこちらをちらりと見て、それからお互いを見てまた歩き出した。

「腹へったなー、戻ったらドーナツでも食べるか。買った残りもあることだし」
「言っておくけどお茶は入れないよ」
「んなことわかってるよ。イースは何味食べる? チョコとクリームとバナナは残ってたはずだ」
「……」
「どうしたイース? ドーナツ食べないのか? 腹でも壊したか?」

応えない自分にどうしたと振り向いてくるウエスターは、純粋に自分の心配をしているんだとわかる。今ならわかってしまう。彼らは敵になったけどそれでも心の底から憎み切れないのは、こういう誰かに優しくできる心を持っていることだ。そしてそんな彼らに、これから自分は酷いことをする。

「……何度も言ってるはずよウエスター、私はもう、イースじゃないって」
「え…」
「君、もしかして…」

眼を見開いて愕然とするウエスター、サウラーも一瞬驚いたような顔をして、でもすぐに厳しい視線を向けてきた。敏いサウラーはもう状況を理解して次の一手を考えているんだろう。でも、こちらもポケットの中でリンクルンを握りしめていつでも動けるようにしている。

「さっきの戦いで思い出したの。全部」
「…戦いの最中に思い出したのにこうして僕らについてきたのは何が目的だ? まさか記憶が戻ってもこちらに戻ってくる気になったのかい?」
「…違うわ。私がラブ達の敵になることはもうない。ただ、迷っていた自分を助けてくれたことを…あの時救われたことを…あなたたちにも人を救うことが出来るってことを、この気持ちを伝えておきたかったから」
「…いらねーよそんなもん。知りたくもないっ」
「ウエスター…」

拳を震わせて下を向いているウエスターの声は、いつもよりも低く重い。酷いことをしていると改めて思う。敵となった自分をイースと、仲間と呼び続けていた人に、自分はもう仲間ではないと再び拒絶すること。拒絶される辛さをまた味合わせているなんて、とても残酷なことだ。

「私がそっちにいた時もっと周りを見る余裕があったら、手を伸ばされていたことに気付けたかもしれないわね…」

確かに暖かった。あの館で過ごした時間、どれだけの想いを受けていたか今ならわかるんだ。心配されていた。信頼されていた。限りなく細かったかもしれないけど確かに糸は繋がっていた。どうしていつも後になってから気付くんだろう。大事なことを知るのが遅すぎて、知りたかったのはあの時なのに。悔しい。

「もしもの話なんてすんじゃねーよ。戻ってくる気はねーんだろ。なら、さっさと行けよ。でないとまた力ずくで連れてくぞ」
「あんな担がれ方されるのはもう御免よ」

でも、もう道は違えてしまった。もう一緒にドーナツは食べられないし、お茶を飲むこともできない。

「アカルン」

赤い光で包まれる自分を二人は止めなかった。見えないくらいの細い細い糸はいまだ切れずに繋がったまま、こうしてまた敵となった。

69 そらまめ :2017/02/21(火) 15:07:09
ジャンプした先はラブの部屋ではなくあの丘にした。話したかった相手はもう一人いたから。

「…アカルン、あなたがずっと呼びかけてくれてたのよね…?」
「…そうキー」
「ずっとそばに居てくれたのに、気付かなくてごめんなさい」
「あそこにいる時は元気がでなくて出られなかったキー…」
「あの館は異空間にあったし、FUKOの源も多かったから」
「アカルンはせつなとリンクしてるキー、だから心の中でなら動けたキー」
「あなたのおかげで思い出せたわ。ありがとうアカルン、あなたがパートナーでよかった」
「アカルンもせつなと一緒で嬉しいキー」

喜ぶようにくるくると自分の周りを飛んでいるアカルンを横目に、しばらくの間街を見下ろしていた。

「もう一仕事いいかしら、アカルン」
「どこ行くキー?」
「ラブ達にドーナツ買っていかなくちゃ。おつかいの途中だったもの」

結局ラブにドーナツを買っていくことが出来なかったから、今度はラブだけじゃなく祈里と美希の分も買っていこう。きっとたくさん怒られた後に揃ってお腹が空くはずだから。

70 そらまめ :2017/02/21(火) 15:08:35
以上になります。
長々としてしまい申し訳ありませんでした。

それでは。

71 名無しさん :2017/02/21(火) 20:44:01
>>51
どうしても考えてしまう「もし……だったら」という夢。
夢の中も幸せだけど、今も幸せで良かった!
最後のきららの台詞が、とても彼女らしかったです。

>>70
今年も大作! しかも凄い読み応え。
引き込まれて思わず一気読みしてしまいました。面白かった!
自分が誰かに悩みつつも、せつながラブたちともウエスターたちとも仲間になっていく過程が凄く良かったです。
最後の、ウエスターとサウラーに別れを告げる場面と、アカルンと語り合うシーンが凄く好き。
素敵なSS、ありがとうございました!

72 名無しさん :2017/02/21(火) 22:58:03
>>51
みんなが一緒にいる世界はトワの心の奥にある願望が見せた夢だったんでしょうね。
どちらの世界も、みんなキラキラと輝いていているのが素敵です。

>>70
これは…面白かったです!せつながあんなことになるとは新鮮でしたねー。
プリキュア側にもラビリンス側にも大切に思われてるんだなと改めて感じられて良かった。
10話くらいで、じっくりと読みたい内容でした。

73 名無しさん :2017/02/22(水) 01:13:51
>>70
いつか誰かが書かなくてはと思っていたせつなの記憶喪失ネタ……そらまめさんでしたか(分かる人にしか分からんレベルの話)。
おつかれ様です。相当な情熱がないと書けませんから。自分は無理でした_| ̄|○

74 ドキドキ猫キュア :2017/02/22(水) 14:56:50
3作目 魔法と繋がる 二つを合わせたお話です
魔法つかいプリキュアのお話
タイトルははじまりの春

2スレです

75 ドキドキ猫キュア :2017/02/22(水) 14:58:37
はじまりの春

もうすぐ中学生 わくわくもんだー!!

春にはこの制服を着て 中学に通う事になる

新しい学校生活には いったいどんな事が待っているんだろう?

新しい友達 新しい授業

想像するだけで わくわくが止まらない

もうすぐ・・・ もうすぐ 私は魔法学校の生徒になる。この制服に恥じないように 魔法も勉強も頑張って 目指すは一番!! 気をぬいてなんかいられない

私はお姉ちゃんのような立派な魔法つかいになるんだから・・・!!

もうすぐ2年生わくわくもんだぁ!! 1年なんて ほんとあっというまだなぁ〜
今年はどんな楽しいことが待っているのかな♪♪

もっと もーっと 素敵な わくわくする事が 起きるといいなぁ


あれから1年・・・ まだ信じられない 自分が補習だなんて・・・。 きっと何かの間違い・・・そう思いたかった。

立派な魔法つかいになるって決めたのに こんなことでは いけない・・・ 優等生の妹が補習なんて情けない・・・ だけど エメラルドで名誉挽回よ!!

そうして 私たちは出会った

もうすぐ3年・・・ この1年色々あったな
リコに出会って モフルンがしゃべって はーちゃんとも出会って・・・ 大変なことも辛いこともあったけど 沢山素敵なものをもらった・・・

今年も・・・わくわくもんだといいな

魔法学校での生活も最後の年・・・ 去年は みらい達とナシマホウ界で暮らしていたから 魔法界にずっといるのが 何か不思議な感じ

みらいと出会って 魔法界やナシマホウ界でも 沢山の事を教えてもらった・・・ いつか あなたと再会するその日まで 私は魔法も勉強も もっと もっと頑張る

胸を張って あなたに会えるように・・・

76 ドキドキ猫キュア :2017/02/22(水) 14:59:16

中学を卒業して 高校生になって 気づいたら 大学生になってた

新しい生活 新しい友達 新しいわくわくの中で リコ達と別れた悲しみも 寂しさも 少しずつ だんだんに 忘れていった

私 思うんだ リコとみんなと過ごした時間は まるで魔法にかけられたように 夢のような時間だって・・・

夢はいつかは覚めるもの 魔法も楽しい時間も ずっとじゃない・・・ でもだからこそ ワクワクするんだって

混沌によって魔法界とナシマホウ界が一つに なって みんなが当たり前のように仲良くしているのを見て嬉しかった。

でも・・・ 魔法界があってナシマホウ界がある 妖精やペガサスや人魚 色んな人や生き物がいて リコは魔法つかいで 私は私で モフルンはぬいぐるみで はーちゃんは妖精で・・・

みんな違うからこそワクワクで楽しいんだと私は思う。

だから もし 願いが叶うなら・・・もう一度 みんなと リコと会いたい

魔法学校を卒業して もっともっと魔法も勉強も頑張って 私は魔法学校の先生になった。お姉ちゃんのような立派な先生かどうかは 分からないけど

私があなたに教えてもらった あなたの世界でもらった素敵な事をみんなにも伝えているの 魔法学校や魔法界をもっと素敵にする為に

自分で言うのもなんだけど生徒には割りと慕われてるのよ?(笑)

・・・あなたに見せたい もっと素敵になった魔法界を 私の可愛い生徒達を・・・

あなたなら きっと ワクワクもんだぁって言うわよね(笑)

また あなたに会いたい だから 私は魔法をかけつづける いつか きっと二つの世界が繋がると信じて

また 春が来た とってもワクワクもんな春が

また あなたに会えた あの時と同じ十六夜の夜に

これから また楽しい1年が始まる

77 ドキドキ猫キュア :2017/02/22(水) 15:00:14
以上です。

78 コロ助MH :2017/02/22(水) 20:07:10
こんばんは。
前回の投稿させて頂いた作品の続きを書いてみました TV本編49話ではーちゃんが一人ではるか遠くの次元に飛び立とうした時のみらリコの様子と彼女達と再会した時にはーちゃんだけが昔の姿ままで登場したのが気になりまして書いてみました よろしくお願いします。

タイトルは「Eternal Family」
3レス使わせて頂きます。

79 コロ助MH :2017/02/22(水) 20:07:59
こつん、何か額にあたった軽い衝撃で私は目を覚ました。ここは朝日奈家の屋根裏部屋ではーちゃんの部屋に魔法で大きくしたベッドにリコ、はーちゃん、モフルン、私と同じベットに川の字で寝ていた。
「また皆で暮らせるようになったから魔法学校の寮の時みたいに一緒に寝ようよ」
との私の提案にはーちゃんとモフルンは賛成してくれたのだがリコは。
「もう私達子供じゃないのよ」
と一人反対してたのだが何だかんだと行っても結局付き合ってくれる事になり。
「もう最初だけなんだからね」
と言ってた割にはあれから3ヶ月程経ったが続いており、今では就寝まではそれぞれの部屋で過ごすが夜になるとはーちゃんの部屋に集まって一緒に寝るのが私達の習慣になっていた。

私の額に当たったモノの正体ははーちゃんの左手だった。よく観ると両手を挙げたあのポーズでグッスリと眠っている。
「そういえばはーちゃんがこの姿でウチに来た時もモフルンと一緒に寝てたっけ」
静かに体を起こしそっと彼女の両手をふとんに入れてあげてると自然と笑みがこぼれてきた。
その寝顔を観てると本当に愛おしくなってくる。私達が成長して大きくなったのもあるんだけども、そのせいか昔と変わらない姿のはーちゃんは本当に自分たちの娘にも妹の様にも思えてくる。だからこそ今のうちに何とか出来ないかなあと思ってしばらく見つめていると。
「みらい、どうしたの?」
と小声でリコが話しかけてきた。
「ごめん、起こしちゃった?」
「大丈夫よ、でも何かあったの」
と尋ねてきたので。
「実はずっと考えてきた事があるの、はーちゃんと私達の事で」

静かにふたりを起こさない様にしてベッドを出て私の部屋でずっと胸に秘めていた事を打ち明けると。
「う〜ん、難しい問題ね でもその魔法は一時的な効力なものだったらあるって聞いた事があるけど 大体、そんなものがあったら魔法界の住人には老人はいない…」
と言いかけた所で。
「思い出した!一つだけあるわ 私、実際にその人には会っているし 但しかなり厳しいみたいなんだけどね」
明日その人物の所に行って来て『それ』を分けて貰ってくるので、はーちゃんが帰宅する一時間前にこの部屋で待ち合わせの約束をしてまた屋根裏部屋に戻ってふたりを起こさない様にベッドに戻り眠りについた。





   「Eternal Family」





次の日の夕方、みらいの部屋にモフルンと3人で集合した。テーブルの上には急須と普通サイズの湯飲みがふたつとままごとで使う様な小さな湯飲みが置いてあった。
「モフルンはぬいぐるみだし、きっとずっとそのままなんだから私達に付き合わなくても良いのよ」
の言葉に。
「みらいとリコがはーちゃんの為にやるんだったらモフルンもやるモフ!」
と鼻息を荒くしながら答える。
「それなら覚悟してね、みらいもね」
急須からお茶が注がれ各人の手に渡った。
「それじゃ行くわよ、1、2、3」
と同時に湯飲みを口した次の瞬間、3人の体には衝撃が走った。予想をはるかに越える苦さだった。確かに年をとらないと聞いてもこれは飲めた代物じゃない。そういえばアイザック先生も若返ると知ってても飲んでなかったわね。
「こ、これは…」
「モフォ」
何とか飲み終えた3人だが共に眉間に皺を寄せ、脂汗が止まらない。でもそんな中
「私は大丈夫、はーちゃんの為だよ、頑張って続けよう」
と青い顔でみらいが作り笑顔で言う。彼女の懸念はこうであった。
「きっとはーちゃんはこの先もあの姿のままだと思うんだ、だから私達だけ成長していってそしていつかは… なんて日が来たらはーちゃんはひとりぼっちになってしまうから何とかずっと一緒に居てあげられる方法ってないかなとずっと考えてたんだよね」
「それはつまり私達もこのまま若い姿のままでいるって事?」

80 コロ助MH :2017/02/22(水) 20:08:38
「そうなるのかな、でもリコには迷惑かけたくないから私だけでもと考えているんだ」
「何を言っているのはーちゃんは私も大切よ、そしてみらいあなたもよ 分かったわ何とか方法を探しましょう」
と言う事になりそこで実際、ずっと若い姿を維持し続けている校長先生を思い出し若さの秘訣と言う薬膳茶を分けてもらいに行き、事と次第を伝えお願いすると。
「君達のはーちゃんへの想いはよく分かった 好きなだけ持って行きなさい」
と快く分けて頂けんだけど…これは。
「『良薬口に苦し』だよリコ、こっちのことわざであるの身体に良く効くお薬ほど苦いんだって」
落ち着いたのかみらいが今度は本当のいつもの笑顔を向けてきた。
「モフルンもちょっと苦かったけどこれから毎日飲むモフ〜」
「私だって大丈夫よ、それにいつか校長先生になるんだしどうせなら今の校長先生みたいに若いままの姿が良いしね」
とウインクしてみせるとみらいが飛びついてきた。
「ようし決めた私も魔法学校の先生になる!そしてリコと一緒に校長先生になるんだ!!」
まだ魔法学校に通い始めてもいないのに何だかなあと内心思いつつも、でもみらいとふたりでの校長先生の衣装で並んでいる姿を想像したらそれはそれで悪くなかったので。
「そうねみらい、待っているわよ! それではこれからもはーちゃんの為に皆で頑張って行きましょう ではカンパ〜イ!」
「おー!」
「モフ〜」
と3人で2杯目のお茶を高らかに掲げ口にした瞬間に
「ただいま〜 みらい、リコ、モフルン、私が何〜?」
突然、はーちゃんが部屋に入ってくるものだから今度は3人とも盛大に吹いてしまった…
「もうっ3人とも汚〜い、はーちゃん雑巾持ってくるね〜 おばさま〜」
と階段を降りていった。
「ゴホッ、ゴホッ」
突然の出来事にむせてた私達だったが治った後にお茶まみれになっているお互いの顔を見てたら。
「うふふっ」x2
「ふふっモフ」
と何だかおかしくて笑いが止まらなくなってしまった。
「もう部屋中、お茶まみれにして何で皆で笑ってるの? はい、拭くの手伝って」
とはーちゃんが少し頬を膨らましながら雑巾を渡してくれたんだけどいつまでも笑っている私達を観て。
「私の知らない所で皆で楽しそうな事してて〜 もう知らない!」
と部屋を飛び出して行ってしまった。
その後、皆で部屋を掃除し風呂に入り夕食を終え就寝の時間になっても、なかなかはーちゃんの機嫌は直らなかった。
「今晩は一緒に寝るのは無理かな」
屋根裏部屋への階段を見上げながらみらいの表情が曇る。
「そうね、でもちょっとだけ覗いてみましょうか」
3人でこっそりと階段を上がっていくとはーちゃんがベッドに腰掛けて座っていた。私達と目があうと
「遅〜い、もう皆寝るよ」
とふとんに入っていった。これは大丈夫かなと目で合図し、いつものはーちゃんを中心にした定位置で続いてふとんに入っていく。
「はーちゃん、さっきはごめんなさい」x2
「ごめんなさいモフ」
「別にもう怒ってないよ でも何でみらいの部屋で3人だけでお茶を飲んでたの?」
の言葉にみらいとモフルンと目配せすると頷いて返してきたので。
「実はね…」
事の顛末を話すとはーちゃんはボロボロと涙をこぼしながら抱きついてきた。
「みんな大好き! はーちゃんもずっとリコとみらいとモフルンとずっと一緒に居たいよ そうだ私も薬膳茶を飲んで校長先生になる!」
「いや薬膳茶飲んだだけじゃ…」
とつっこむ間もなく。
「だったらモフルンも薬膳茶を飲んで校長先生になるモフ」
「よーし、明日から皆で薬膳茶を飲んで校長先生になろう!」
「えっみらいまでもが?」
あまりにもコントの様な展開にお腹がよじれる位おかしくて。
「ぷっ、あははは〜」
思わず笑いころげてしまいベッドから落ちてしまった。
「どうしたのリコ?」x2
「大丈夫モフ?」
と心配そうに声をかけてくる。
「これはあなた達のせいだからね」
と内心思いつつ、ベッドに戻り息を整えてから彼女達に伝える。
「あのね最初に言っておくけど薬膳茶を飲んだだけじゃ校長先生にはなれないのよ まずは魔法学校に通う所から始めないとね」

81 コロ助MH :2017/02/22(水) 20:09:10
最初ポカンとしてた3人だったんだけど次第に私の言葉の意味が理解したみたいで恥ずかしそうに顔を真っ赤にしてバツが悪そうな顔をしていた。そんな姿を観てたらまた笑いが込み上げてきて、そしてみらい達もまた照れ臭そうに笑いはじめるとあっと言う間に部屋の中が笑い渦に包まれた。
「何よリコ〜、最初に言ってよ〜もう〜恥ずかしい〜」
「あなたが何を言っているのよ全く」
「リコ、じゃあはーちゃんも魔法学校に行って薬膳茶を飲んで校長先生になる〜」
「モフルンも魔法学校行に行って薬膳茶を飲んでから校長先生になるモフ〜」
と賑やかにしてると。
「こら〜静かにしなさい!ご近所迷惑よ」
と階段下から今日子の声が聞こえてきた。
「ごめんなさーい」x3
「ごめんなさいモフ」
と思わず皆で布団を頭まで被ると。
「もう遅いんだから皆ちゃんと寝なさいね おやすみなさい」
の言葉と共に足音が離れて行ってしばらくしてから布団を首元まで下ろして皆で目が合うとまた笑いが込み上げて来そうになるのをこらえて。
「もう寝ましょう、明日も早いしね それとあの秘密のお茶会は皆が帰宅してからやりましょう おやすみなさい」
「おやすみなさい」x2
「おやすみなさいモフ」
目を閉じたらあっという間に眠れた。たくさん笑ったおかげかもしれない。その夜は私達4人が校長先生の衣装を着て校長室でお茶会をしている夢を見た。



その頃、魔法界の校長室では
「新たなお告げがありました!また新たな校長先生がまた3人も生まれつつあるとの事です」
魔法の水晶が予言を告げた。
「何じゃと〜3人も!どうなっているじゃ?」
「それは良く分かりません」
「そういえば前のその予言の時には聞かなかったのじゃが、新たな校長が出現した時にはわしはどうなっているんじゃ?」
「……」
「おい教えてくれ」
「今日はもう疲れたので休ませて頂きます」
瞬間、フッと電源が落ちた様に水晶のキャシーの横顔が消える。
「おいっ、わしはその時はどうなってるんじゃ〜教えてくれ!」
と取り乱している様子を聞き流しながら。
「ちょっと意地悪しちゃった でも大丈夫よその頃も校長はご健在で理事長になっているわ」
とほくそ笑んでいた。
「明日にでも話してあげようかしらね」
遠くに校長の声を聞きながら水晶は眠りについた。

82 コロ助MH :2017/02/22(水) 20:09:40
以上です お読み頂きましてありがとうございました。

83 名無しさん :2017/02/22(水) 22:17:21
>>76
出会いは春。だから二人とも春になるたびに、お互いのことを思い出していたんじゃないかなぁ。
(魔法学校は年中春だけど、暦として。)
時間の経過の描き方が、なんかとてもリアルに感じられました。

>>81
どう考えてもモフルンには効果無いと思うのに、ちゃんと二人に付き合うモフルン、健気や(涙)

84 名無しさん :2017/02/22(水) 23:03:12
>>76
これまでの大切な想いと、これからの希望に満ちた未来が、それぞれの独白によってジンワリと感じられました。

>>81
とても可愛いお話でほっくりきました。ベットの上で4人、いつまでも見ていたいw

85 名無しさん :2017/02/23(木) 00:16:09
>>81
これまた愛が感じられるお話!オチが素晴らしい。「モフォ」に激笑しました。

86 一六 ◆6/pMjwqUTk :2017/02/25(土) 21:55:56
こんばんは。
競作、沢山の素敵な作品が集まっていて、本当に嬉しく有り難い限りです。楽しませて頂いております。
さて、私も投下に参りました。
一作目はフレッシュで。2レスで足りると思います。

87 一六 ◆6/pMjwqUTk :2017/02/25(土) 21:58:33
「つなぎ」のレシピ




 美希が涙ぐみながら切ったタマネギを、ひき肉と一緒にフライパンで炒め、塩コショウで味をととのえる。
 次にラブや祈里にも手伝ってもらって、茹でたジャガイモの皮をむき、半分をマッシャーで潰して、半分を賽の目に切る。
 こうして下準備が出来た材料を全てボウルに入れたら、よく混ぜ合わせて――。

 初めて教わる、コロッケの作り方。あゆみの説明にひとつひとつ頷きながら調理を進めていたせつなは、そこで調理台の上のある物に目を留めて、パッと顔をほころばせた。
「コロッケにもパン粉を使うんですね。“つなぎ”って言うんだって、この前ラブに教わったわ」

 それは、せつながラブから料理そのものを初めて教わったときのこと。
 メニューは当然のようにラブが得意なハンバーグだったのだが、その時ラブは、ハンバーグの材料を入れたボウルの中に、牛乳で湿らせたパン粉を加えてこう言ったのだ。
「パン粉の役目はね、“つなぎ”って言うの。ひき肉とタマネギがバラバラにならないようにひとつにまとめて、ふっくら美味しくする、大切な役目なんだよ」
 その言葉を思い出して、きっとこのボウルにもパン粉を入れるんだろうな、と思ったせつなだったが、あゆみは微笑みながら、ゆっくりとかぶりを振った。

「パン粉は、つなぎに使うだけとは限らないのよ、せっちゃん。コロッケでは、パン粉は衣にするの」
「ころも?」
 またひとつ、聞き慣れない言葉にせつなが小首を傾げる。
「ええ。コロッケの表面の、カリカリッとした部分ね。あれを作っているのはパン粉なの。そして、パン粉と中の具材とのつなぎに使うのは〜……」
 そう言いながら、あゆみは楽し気な、少し芝居がかった様子で、卵と小麦粉を取り出した。

 ボウルの中身を適度な大きさに丸めて、小判型に成形する。その表面に薄く小麦粉をまぶし、溶き卵を絡ませてから、それを“つなぎ”にして、しっかりとパン粉を付けていく。
 そうして出来上がったものを、そろりと高温の油の中へ――。

「せっちゃんに言われて気が付いたけど、お料理って、食材のいろんな顔が見えるところも楽しいわよね」
 緊張気味な表情で、しかしとても手際よくコロッケを揚げるせつなを見ながら、あゆみがそう語りかける。そして、せつながまた少し不思議そうな顔になったのを見て、きれいに揚がったコロッケを指差した。
「パン粉も、ホラ、ハンバーグとは全然違う顔になったでしょう? ある時は“つなぎ”になったり、またある時はつないでもらったり。何だか、わたしたちと一緒よね」
 あゆみがもう一度ゆったりと微笑んだとき、玄関の方から大きな声が聞こえた。

「こんばんは〜!」
「お父さん、お母さん!」
 祈里の両親の山吹夫妻が、リビングに姿を現す。
「んふふ〜、わたしが呼んだの。どうせなら大勢の方が、楽しいじゃない?」
「さっすがお母さん。分かってるぅ!」
 得意げに胸を張るあゆみに、グッと親指を立てて見せてから、ラブはせつなに向かって悪戯っぽくこう囁いた。
「お母さんも、今日は“つなぎ”の役目だねっ」

 せつなが少し赤い顔で、こくんと頷く。
 明日はコロッケの作り方を教えてもらえる――昨日はただそれだけが楽しみで、ラビリンスに明日を奪われた時は、ただそんな明日を取り戻したくて。
 それがこんなに大勢の人たちが集まる、素敵なパーティーになるなんて。

 ラブのツインテールの向こうで、あゆみが山吹夫妻と笑い合っている。やがてゲストたちも一緒になって、庭の一角にテーブルと椅子を並べ始めた。人数が多くなったので、立食のガーデンパーティーにしようというのだろう。
 せつなは、出来上がったコロッケをお皿に並べると、尊敬の眼差しであゆみの横顔を見つめた。



   ☆



 タマネギをひき肉と一緒にフライパンで炒め、塩コショウ、そしてカレー粉で味をととのえる。
 次に茹でたジャガイモの皮をむき、半分をマッシャーで潰して、半分を賽の目に切る。
 こうして下準備が出来た材料と、“ある物”をボウルに入れたら、よく混ぜ合わせて――。

「せやけど、さすがにその二つを“つなぐ”っちゅうんは難しいんとちゃいまっか? コロッケの外側と中身をつなぐよりも、ハードル高いで」
 少々呆れた様子で腕組みするタルトに、せつなが生真面目な顔で頷く。
「そうね。でも、私も“つなぎ”の役、やってみたいの。お母さんみたいに上手く出来なくても、人と物なら、何とかつなげられないかな、って」

88 一六 ◆6/pMjwqUTk :2017/02/25(土) 21:59:19
 そしたらいつか、人と人だって――そう小さく呟くせつなの声は耳に入らなかったのか、タルトはニヤリと笑ってせつなの顔を覗き込んだ。
「それ、ホンマに成功したら、ある意味あゆみはんより凄いでぇ、パッションはん」
「そんなこと……。でも、失敗しても大丈夫よ。普通のコロッケもちゃんと作るから。もしもラブが全然食べられなかったら、可哀想だもの」
「ハァ……キビシイんだか優しいんだか、わからんわ」
 腰に手を当ててハァッとため息をついたタルトに、せつながクスリと笑う。

 今日はあゆみがパートの遅番で、ラブとせつなが夕食当番。メニューはすっかりせつなの得意料理になったコロッケだ。
 ラブはせつなの手伝いに回るはずだったのだが、ソースが切れていたから買って来て、とせつなに頼まれて、もう一度スーパーへ出掛けていた。

 ボウルの中身を適度な大きさに丸めて、小判型に成形。その表面に薄く小麦粉をまぶし、溶き卵を絡ませてから、しっかりとパン粉を付けて――。
「よし。後は揚げるだけね」
 せつながそう呟いた時。
「ただいまぁ!」
「ただいま〜」
 玄関から、ラブとあゆみの声が聞こえた。

「スーパーを出たところで、お母さんとばったり会っちゃってさ。ハイ、せつな。ソース買ってきたよ」
 そう言って買い物袋をテーブルの上に置いたラブが、ひくひくと鼻をうごめかせる。
「この匂い……」
「何?」
 内心ギクリとして振り返ったせつなに、ラブはぱぁっと輝くような笑顔を見せた。
「カレーコロッケかぁ! せつな、やるじゃん。新作食べるの、超楽しみ!」
「え、ええ……」

 チクリと胸の痛みを覚えて、せつながラブから顔をそむけ、コロッケを油の中に投入し始める。
 だが、続いてラブが弾んだ声で言った言葉を聞いて、慌てて顔を上げた。
「じゃああたしは、流しにある物、先に洗っちゃうね」
「え……ちょ、ちょっと待って!」

 流しに置いてあるのは、コロッケの材料を混ぜたボウルと、タマネギやジャガイモを切ったまな板。それから、目にも鮮やかなニンジンの擦り下ろしが、わずかにくっついているおろし金――。

「ん? せつな、どうかした?」
「いや、あの……」
 心底不思議そうにこちらを見つめるラブの表情に、ついに耐えられなくなったせつなが「ごめんなさい!」と口にしようとした、まさにその時。

「ほら、せっちゃん。油から目を離したら危ないわよ。もうコロッケ揚がりそうだから、ラブは先にお皿の用意してくれる?」
 台所に入って来たあゆみが、二人の後ろからテキパキと指図をした。
「はぁい」
 ラブが素直に食器棚へと向かう。それを見届けてから、あゆみは流しにチラリと目をやって、パチリとせつなにウィンクして見せた。

「お母さん、どうして……?」
 今日の秘密の計画――コロッケにニンジンの擦り下ろしを混ぜて、匂いを消すためにカレーコロッケにしてラブに食べてもらおう、という計画は、あゆみにも言っていなかったはず。それなのに……。

 ポカンとこちらを見つめるせつなに、あゆみがニコリと笑いかける。
「せっちゃんのあんな困った顔を見たら、何かあるな、って思うじゃない? そう思ったら、わたしだってせっちゃんの応援したいもの。上手く行って、良かったわ」
 そう言って、あゆみがせつなの耳元に口を寄せる。
「きっと、せっちゃんの作戦も上手く行くわよ」

 囁くと同時にせつなの傍を離れ、何でもないような顔でテーブルの準備を始めるあゆみ。でもその“何でもないような”素振りが、いかにもわざとらしくて、そして嬉しそうで――。
 思わずクスリと笑ってから、せつなは心の中で呟く。

(やっぱり、お母さんには敵わないわ……)

「ただいまぁ。おーっ! いい匂いだなぁ」
 折良く帰って来た圭太郎が、リビングに入るや否や、歓声を上げる。
「お帰りなさい、お父さん」
 せつなはラブと元気に声を揃えてから、きれいなキツネ色に揚がったコロッケの油を切って、慎重な手つきで盛り付け始めた。


〜終〜

89 一六 ◆6/pMjwqUTk :2017/02/25(土) 22:00:06
以上です。どうもありがとうございました。
それでは次の方、どうぞ!

90 名無しさん :2017/02/26(日) 14:32:09
>>88
ラブを思っての愛情レシピだけど、胸が痛むってのもせつならしいw
あゆみお母さんがちゃんと気づいてくれて応援してくれたのも嬉しかったです。
ラブが味見した瞬間、見てみたかったですね〜。

91 makiray :2017/02/26(日) 23:52:51
Girl Meets Girl (前)
--------------------

「まったく、ほのかの頭の固いのには参るなぁ…」
「まったく、つぼみの真面目なのには参るなぁ…」
「宿題、どうしよう」
「どうしよう、宿題」
 公園通りの路上で二人の少女が出会った。
 美墨なぎさ。
 来海えりか。
「今、宿題って言った?」
「言った…」
「…」
「!」
 短い会話から、ふたりはお互いの境遇を理解した。いや、一瞬にして通じ合った。
 長期休みの宿題が溜まっている。今からやっても、到底、間に合わない。
 パートナーに手伝ってもらおう――正確に言えば、写させてもらおう――と思ったが、どちらも根が真面目であるため言下に拒否された。取りつく島がなかった。…宿題、どうしよう。
 ふたりは、差し伸べた手を何も言わずにつないだ。
 そして、横の公園に飛び込む。
「何が残ってる?」
「全部」
「わたしも」
「ほのかが見せてくれなくってさぁ」
「つぼみも冷たいんだよ」
「融通の利かないパートナーを持つと苦労するよねぇ」
「うんうん」
 頷きあう。
「そこで。
 全部を一人の人に見せてもらおうとするから断られる。ここは分散しようと思う」
「おぉ」
「国語はやっぱり、みゆきちゃんかな」
「いや、あのコは、本は読むけどテストはさっぱりらしい。むしろ、書道をやってるれいかちゃんの方が」
「英語は、ひめだね」
「決まり」
「社会…」
「ここは奏ってことで」
「あのコも真面目だよ」
「いや、結構、世話好きと見た」
「おぉ…。
 数学は」
 これは難しい。
「あたしがほのかちゃんに頼んでみるよ。グループが違ったら断りづらいだろうし」
「悪知恵が働きますなぁ、来海殿」
「いやいや、美墨殿ほどでは」
「じゃ、あたしがつぼみに理科を、ってことで」
「はいはい」
「さらに提案。
 もう少し人数を増やそう」
「なんで?」
「ふたりだとばれたときに怖い。
 人数が多いと、怒りも分散されるでしょ」
「ほんっとに悪いよね、なぎさってば」
「いやぁ、それほどでも」
「じゃぁ…。
 響とめぐみって線で」
「乗って来るかな」
「この二人に限って宿題きちんとやってるってことはあり得ない」

92 makiray :2017/02/26(日) 23:53:40
Girl Meets Girl (後)
--------------------

「あとは、上手く言いくるめれば」
「我々の口車で」
「言葉の魔法って言ってよ」
「そうそう、魔法をかけて、弱き者が手をつなぐわけですよ」
 ふっふっふ。
「楽しそうね」
「うん、結構、楽しい」
「すごい計画力です」
「でしょ。あたしってば、これで中々頭の回転早くって」
「仲間に入れてもらえるかしら」
「そうだね、響とめぐみに話をしてから――」
 顔を上げた二人の上から影がのしかかってくる。
「ほ…のか」
「つぼ…み」
 その影は、雪城ほのかと、花咲つぼみだった。
「宿題は自分でやらないと身につかないのよ、なぎさ」
「計画的にやれば楽です、って言いましたよね、えりか」
「ラクロス部の練習が…」
「ファッション部の用事が…」
「言い訳は聞きませんっ!」
「それに、響さんやめぐみさんまで巻き込もうとはどういう了見ですかっ!」
「ふたりがかけようとしてるのは、『魔法』じゃない。『迷惑』よ!」
「もう、堪忍袋の緒が切れました!」
「だって、もう時間がないんだもん!」
「間に合わないよ!」
 反省の色は見られない。切羽詰まっている、ということだけはわかる。ほのかはしばらく無言だった。
「わかったわ。
 みんなが承諾したらいい、ということにしましょう」
「ほのかさん」
 突然の変化に、つぼみも戸惑っている。
「いいんですか?」
「それぞれみんな忙しいでしょうし、それでもいい、って言うんだったら、外から止めることでもないと思う。
 ただし、響さんやめぐみさんを引きずり込むのは許しません」
「ほのか…ありがとう」
「ありがとう。次のお休みには、絶対、ちゃんとやります」
「本当ですか?」
「やるっしゅ!」
「つぼみさん、行きましょう」
 ほのかは、つぼみを連れて踵を返した。
 なぎさと えりかも、急いで走り去った。とにかく時間がない。
「でも、本当にいいんですか?」
「大丈夫よ」
「でも…」
 ほのかが立ち止まる。
「宿題のワークブックは学校ごとに違うんだから。
 れいかさんに頼もうが、ひめさんに頼もうが、書き写すことはできないわ」
「そうでした!」
「教えてもらうことはできるかもしれないけど、さすがに丸々一冊分を教えてあげられる暇がある人はいないだろうし」
 つぼみが深く頷く。
「きっと、ほかに教えてくれる人はいないかって、あちこちを回ることになる。
 そうするうちに、ゆりさんの耳に入ったりすることもあるかもしれないわね」
「え…」
 つぼみには、ほのかが薄く笑ったように見えた。
「くるみさん、みなみさん、あ、意外にこまちさん…怒ると怖い人って、プリキュアにはいっぱいいるのよね。
 奏さんもそうだし、なおさんも曲がったことが嫌いよね」
 ふふふ、という声も聞こえた。
 つぼみは、真面目に宿題をやっておいてよかった、と心の底から思った。

93 名無しさん :2017/02/27(月) 00:26:34
>>92
これはオモロイ。珍しいコンビ、スリリング過ぎる会話。

94 名無しさん :2017/02/27(月) 00:37:18
>>92
面白かった!
一番悪知恵が働いてるのはほのかですね。
自分は手を汚……おっと、アドバイスしただけで、事態は彼女の思う通りに。
大した魔法ですw

95 Mitchell & Carroll :2017/03/03(金) 23:57:54
同属の繋がりということで……

『ブルーにこんがらがって』


 せっかく出向いた足も、本日は御引き取り願おう。いつものように例の公園で、ドーナツでも食べながらガールズトークに勤む――そんな休日の予定だったが、先客が、それも珍妙なのが占拠していたので、渋々、公園を後にすることにした。その先客たちの織り成す会話に多少の興味もあったものの、夢に出て来られたりしては月曜日に影響が出兼ねないからだ。

 公園には幾羽かの鳩が、彼らの、いや彼女らの、いや、彼らのおこぼれを頂戴しようと屯(たむろ)していた。ここ四葉町は最近、白い鳩が増えたようである。ピンクのハートは愛ある印というが、白い鳩は幸せを運んでくるらしい。だが、そんな鳩たちに負けないくらい真っ白なズボンを彼女ら、いや彼らは穿いていた。

「ねえ、美味しいでしょう?ここのドーナツ。フランソワ、聞いてる?」
 その男の着ている薄紫のシャツは薄手と見え、時おり、風に靡(なび)きながら体に張り付いて乳首を浮き立たせている。
「ええ、ほんとだわ。それで、どうなの?モメール。最近、男とは」
 こちらは青紫を基調とした服を着ている。体つきも喋り方も、もう一人のほうと比べると些か華奢である。
「男運なんて最悪よッ!」
 そう怒鳴りながらモメールは足元に寄ってきた鳩を、ヒールを履いた足で蹴りかえす。鳩は今まで出したことも無いような声を上げてどこかに飛んでいった。
「掴んでも掴んでも、スルリスルリとすり抜けていくのよ、男が!あああ!!」
と、まるで悲劇のヒロインのように大袈裟に身振り手振りを交えて熱弁する。そしてまたムシャムシャとドーナツを貪り始めるのだが、その都度、イヤリングやらネックレスやらが重なって絶えず音を立てている。
「仕事とプライベートの両立は不可能なのよ!」
 真っ赤な口紅にドーナツのかすを付けて喋るモメールに、フランソワは
「あら、わたしはそんなこと無いけど?」
と、足元の鳩にドーナツのかけらを分け与えながら答える。当然、鳩は次第に彼の黒いロングブーツの方に擦り寄って来る。
「なんですってッ!?」
 天と地をひっくり返すようなモメールの大声に、せっかく寄ってきた鳩も散ってしまった。顔を真っ赤に紅潮させるものだから、かえって青々しいひげを際立たせる事になる。
「不平等〜!!」
「まあまあ、落ち着きなさい」
「恋愛格差〜!!」
「好きなだけおっしゃい」
「全速前進〜!!」
 
 一頻り叫んで、モメールの怒りもようやく治まり始めた。顔の下半分には、澄んだ湖のように青いひげが広がっている。それも間も無く、夕焼けに照らされ虹色に輝き始める。そうなると先程とは打って変わってご機嫌である。
「――そうだわ、今度ハワイへいらっしゃい。マカダミアナッツた〜っぷりのチョコレートをご馳走してあげるわ」
 颯爽と席を立つモメールに、フランソワは魔法のステッキを一振り、魔法をかけてやった。
「キュアップ・ラパパ!」
「――?どこも変わってないじゃないの」
「頭の上に付いてた鳩の糞を取り除いてあげたのよ」
「んまぁっ!何でもっと早く言わないのよッ!?」
「あら、よく見たら、左右の眉毛も繋がってるじゃないの」
「モメモメ〜!!」


 完

96 一六 ◆6/pMjwqUTk :2017/03/04(土) 15:00:37
こんにちは。二本目投下させて頂きます。
初めてキラプリに挑戦。あの先輩とのコラボです。

タイトル:ひまりとらんこ! 根性ドーナツ君を救え!!

5、6レスお借りします。

97 一六 ◆6/pMjwqUTk :2017/03/04(土) 15:01:21
 幼い頃の忘れられない思い出が、思っても見ない形で現れる。
 ぜんぜん科学的じゃないけれど、そういうことって、本当にあるものらしい。
 それが吉と出るか凶と出るかは、誰にも測ったり出来ないけど。
 だけど、今日のわたしは――。

「……あれは!?」
 掃除当番の宇佐美いちかを、校門近くで待っていた有栖川ひまりは、学校の前を大きな影が通り過ぎたのを見て、びくりとした。
 最近この町によく出没する、スイーツを狙う怪物――プリキュア・キュアカスタードとして何度か戦ったことのある怪物に、よく似た後ろ姿に見えたからだ。
「また、キラキラルを奪いに……?」
 慌てて門まで走って恐る恐る覗いてみると、とても普通の人間には見えない真ん丸の胴体が、校門の前の坂を下っている。

「いちかちゃんは、まだ……ですよね」
 校舎の方を窺うが、頼りになる仲間がやって来そうな気配はない。
「あおいちゃんは……」
 もう一人の仲間・立神あおいの顔が頭に浮かんだが、すぐに、ライブが近いから放課後はずっとレッスン・スタジオにいるからね、と彼女が昼休みに言いに来てくれたことを思い出した。
 と、言うことは……。
「わたしが行くしか……ないってこと、ですね?」
 自分に言い聞かせるように震える声でそう呟いて、ぐっと拳を握る。そして怪物らしきモノの後を小走りで追いかけると、彼女が追いつく寸前に、それはくるりとこちらを振り向いた。

「ひっ!」
 思わず悲鳴を上げて飛び下がろうとしたひまりの目の前に、小さなビニール袋が差し出される。
「マーブル・ドーナツ5号店、来週オープンで〜す。これ、試食のドーナツです。食べたら絶対、絶対、買いに来てくださいねっ!」
「マーブル……ドーナツ? え、あなたは……」
 それは怪物などではなくて、巨大なドーナツの被り物を被った若い女性だった。
 被り物のせいで分かりにくいけれど、おそらく身長は、ひまりより少し高いくらいの小柄な体型。高校生……いや、ひょっとしたらもう立派な大人だろうか。
 ちょうどドーナツの穴の部分に、すっぽりと顔がハマっている。その顔が、ひまりを見つめて得意げにニヤリと笑った。

「あら! あなた、わたしのファンの子ね? ならば、わたしのサイン付きのをあげてもいいわよ?」
「あ……すみません。わたし、あなたのこと存じ上げなくて……」
「あ、そう。将来のトップアイドル・一条らんこよ。よ〜く覚えておきなさい」
 知らないと言われて一瞬不機嫌そうな声になった彼女が、すぐに自信満々の笑顔でひまりの顔を覗き込む。ひまりの方は、大きく目を見開いて、目の前の女性を見つめた。

「一条……らんこ?」

 幼い頃の記憶がよみがえる。同級生たちにプリンの話を長々と語ってしまった結果、「その話、いるか?」と切り捨てられた、あの時のこと。
 少しでも友達の話題に付いていけたらと、あの日ひまりは、同級生たちが口にしていた名前を頼りに、新聞のテレビ番組欄を熟読したのだ。
 頼りは同級生の一人が言った、「らんこちゃん、歌上手かった〜」という、あの言葉。
 前日の新聞には確かに小さく「一条らんこ」という名前が載っていて、同級生たちが話題にしていた「らんこちゃん」というのはこの人だろうと予想できた。だが、その日の新聞にも、その翌日の新聞にも、テレビ欄に「一条らんこ」の名前は無くて……。

(そうだった……。それでいつしか、その名前を探すことも、同級生たちとおしゃべりすることも、なくなってしまったんですよね……)

「どうやら思い出したようね、わたしのこと」
 ひまりの呟きを違う意味に受け取ったらしい目の前の女性――らんこが、もう一度得意げに胸を……もとい、着ぐるみのドーナツを反らせる。
「はい。小さい頃、同級生が話しているのを聞いたことがあります。あの、とても歌がお上手だって……」
「ふぅん。あなた、今中学生? あなたが小さい頃ってことは、わたしがデビュー曲を出した頃かしら? あの曲だけはそこそこ売れて……ま、まあ、立ち話もなんだから、どこかで……ねえ、どこかこの辺に、座れるところって、無いの?」
 ひまりの言葉に気を良くしたらしいらんこが、そう言って彼女を誘う。もっとも、最後の方は少々呼吸が荒くなって、額には汗の粒が浮かんでいたから、実は本当に休憩したかったのかもしれない。



 近くのベンチまでやって来ると、らんこはドーナツの穴の下の部分、ちょうどお腹の辺りをゴソゴソと探って、試食のドーナツを取り出し始めた。どうやらそこに、大きなポケットがあるらしい。
「ちょっと持ってて」
 当たり前のようにそう言って、ひまりにドーナツ入りの小さなビニール袋の束を押し付けてから、手慣れた様子でスポンと着ぐるみを脱ぐ。そして同じくポケットに入っていたらしいペットボトルの水を一気に飲み干して、ぷはぁっ、と大きな息をついた。

98 一六 ◆6/pMjwqUTk :2017/03/04(土) 15:02:34
「大変なんですね。着ぐるみを着て、ドーナツ屋さんのキャンペーンだなんて」
 持たされたドーナツの袋をベンチに置いて、遠慮がちに話しかけるひまりに、らんこは相変わらず自信たっぷりの笑顔を向ける。
「いつもこういう仕事をしてるわけじゃないのよ? マーブル・ドーナツは、特別なの。ま、体力には自信あるし。何たってこの格好で、町内マラソンレースをしたことだってあるんだから」
「す、凄い……。ごめんなさい。わたし、てっきりキラキラルを……あっ!」
 つい口を滑らせたひまりが、慌てて口元を押さえる。そんなひまりの頭上から、やけに凄みを帯びた声が降って来た。

「今、なんて言った?」
「え、あ、べ、別に何も……」
「きらら、って言ったわね。どうしてそこで、天ノ川きららの名前が出て来るのよぉ!?」
「へ?」

 予想外の展開に、目をパチクリさせるひまり。そんな彼女の様子にはお構いなしに、らんこは鼻息荒くまくしたてる。
「わたしは、あの子にだけは負けたくないの。一緒にしないで頂戴!」
「す、すみません。その方……誰ですか?」
 今にも逃げ出しそうな様子で、ひまりが何とか口を挟む。が、その一言で、らんこの勢いが止まった。
「え……あなた、知らないの?」
「すみません。わたし、あんまりテレビを見ないもので……。そんなに有名な方なんですか?」
「……まあ、わたしほどじゃないかしらね。あなたも、わたしのことは知ってたけど、あの子のことは知らないわけだし」
「は……はぁ」
「わたしの中学時代の、生意気な後輩よ。まあ根性だけは、あの子も大したもんだけどね」
「……そうなんですか」
「さ、そんなことより、さっきあげた試食のドーナツ、食べてみなさい。とっても美味しいんだから」
「はい……」

 凄い勢いで凄まれたと思ったら、突然上機嫌でドーナツを勧められて……。ジェットコースター並みのテンションに引きずられるように、ひまりはさっき手渡された小さなドーナツを口にする。
 途端に彼女の瞳が、幸せそうにキラキラと輝いた。今度は彼女のテンションが上がる番だ。
「美味しいです! ドーナツのポイントは、やっぱりこのサクサク感。それにはやはり、生地の捏ね具合と、油の温度が大切なんですねっ。それに、このチョコレートの苦みとカスタードクリームの甘さとのバランスも、重要なポイントですね!」
「く、詳しいのね」
 いきなり饒舌になったひまりに一瞬たじろいだらんこが、しかしすぐに、ニッと不敵な笑みを浮かべる。

「ま、そこまでなら初心者でもわかるわね。でも、プロが作るドーナツにとって何より大切なのは、根性よ!」
「え……根性、ですか?」
「そう。何度倒れても起き上がる根性! どんな時でも、食べる人全てをまぁるい甘さで包み込む度量の深さ。周りがどんなに目まぐるしく変化しようが、中心でど〜んと構えて決して揺らがない。ライバル店に先を越されようが、イチゴメロンパンという強力なライバルが出現しようが、とにかくこのスタイルを貫く根性! ドーナツだけじゃないわ。トップアイドルになるためにも、これが何より大事なの。よ〜く覚えておきなさい」
「は……はい」

 どうしてスイーツとアイドルが同レベルに……とツッコむことも出来ないひまりに向かって、らんこが満足そうに、フンっ!と荒い鼻息を吐く。そしてさっきのポケットの中から、ゴソゴソと何かを取り出した。
 大事そうに開いた紙包みの中から現れたのは、これまたビニール袋に入ったドーナツだった。ただし、さっきひまりが貰ったものとは違う、普通サイズのドーナツだ。極太の眉毛に真ん丸の目、それに赤い鉢巻が描かれている。

「これって、この着ぐるみと同じデコレーション……」
「そう。“根性ドーナツ君”。わたしが中学生の頃に、ある番組の企画で作ったゆるキャラよ」
「ゆるキャラ……ですか」
「そうよ。以来、お店のマスコットとして可愛がってくれて、わたしのこともずっと応援してくれて。だから、マーブル・ドーナツが支店を出すときは、必ずこうやって応援してるの」
 そう言って、らんこはもう一度、得意げにニヤリと笑う。

「知ってるかしら? 根性の次に大切なのは……」
「あ、ということは、やはりそれは“感謝の心”でしょうか」
「惜しいわね。それは“アピール”よ!」
「……惜しくはないと思いますが」
 ひまりの呟くようなツッコミなどどこ吹く風で、らんこはさらに得意げに話を続ける。
「そうやってアピールを怠らなかったわたしに、今日、新しい5号店の店長が、これをくれたってわけ」
「へぇ。可愛いですね」
「でしょ!?」
 ひまりの言葉に、らんこがまたも鼻息を荒くした、その時。

99 一六 ◆6/pMjwqUTk :2017/03/04(土) 15:03:09
「見つけた! サックサクの、ドーナツのキラキラル、寄越せ〜!」

 甲高い声に続いて、ドーンという衝撃音が響く。
「ま〜た天ノ川きららですって!? って、な、何なの? あれ!」
 驚くらんこの目の前に、着ぐるみの大きさの倍はありそうな、巨大なドーナツの怪物が出現した。



「サックサクのキラキラル、いっただき〜!」
 怪物がその場で、まるで円盤のような高速回転を始める。途端にベンチに置いてあった試食のドーナツから、ビニール袋など通り抜けて流れ出る、小さな星々のような煌めき。それは残らず怪物に吸い込まれていき、残ったドーナツは皆、黒い灰になってしまった。
「わぁ、ドーナツが……。ちょっとあんた! 何してくれるのよ!」
 らんこが怪物に向かって食ってかかる。が、その顔はすぐに恐怖に歪んだ。怪物の身体から黒いオーラのようなものが立ち昇った途端、その身体が急に大きくなったのだ。
 今では着ぐるみの十倍はありそうな大きさになった怪物の目は、らんこではなく、その右手にある“根性ドーナツ君”のドーナツを見つめている。
「そのキラキラルも……寄越せ〜!」
「らんこさん、逃げて下さい!」
 らんこを突き飛ばすようにして前に出たひまりが、決死の表情でスイーツパクトを構える。と、その時、向こうから二つの足音が近づいてきた。

「ひまりん!」
「ひまり!」
「いちかちゃん、あおいちゃん!」
 ひまりの表情が、パッと輝く。ハァハァと荒い息を吐きながらそこに立っていたのは、ひまりの大切な二人の仲間だった。
「わぁぁぁ、何なのこの展開! なんか、すっごいデジャブを見てる気がするんだけど!」
 騒ぎ立てるらんこをしり目に、三人が怪物の前に立ちはだかる。

「らんこさんの“根性ドーナツ君”は、わたしたちが守ります!」
「わかった。行くよ!」
「やるか!」

「「「キュアラモード・デコレーション!!!」」」

「ショートケーキ!」
「プリン!」
「アイス!」

 想いの力で結晶となったアニマルスイーツを、それぞれのスイーツパクトにセットする。

「元気と、笑顔を!」
「知性と、勇気を!」
「自由と、情熱を!」
「「「レッツ・ラ・まぜまぜ!!!」」」

 二つの光を混ぜ合わせて生まれたクリームのようなエネルギーを纏って、今、変身の儀式が始まる。
 いちかには長いウサギの耳が、ひまりには大きなリスの尻尾が、あおいは髪型がライオンのたてがみに変化して――。

「キュアホイップ! 出来上がり!」
「キュアカスタード! 出来上がり!」
「キュアジェラート! 出来上がり!」

 三人の伝説のパティシエ・プリキュアが姿を現した。

「何なの何なの!? ま、魔法じゃあるまいし、一体どんなマジックよ! どんな早替えよ! しかもお姫様じゃなくて動物!? う、うーん、悔しいけど、これはこれでキャッチーな……」
「危ない!」
 突然の変身を目の当たりにして、我を忘れてわめきたてるらんこを、怪物の太い腕が襲う。リスの高速疾走で駆け寄ったキュアカスタードが、間一髪で彼女を抱きかかえた。

「はぁっ!」
 キュアホイップが、怪物めがけて薄桃色のクリームの鞭を飛ばす。
「わたしも行きます!」
 キュアカスタードが、薄黄色のクリームのチェーンを高く投げ上げる。
「あたしも!」
 キュアジェラートが、水色のクリームを氷の槍に変えて投げつける。
 だが、怪物は高速回転して、プリキュア三人もろともその攻撃を跳ね飛ばした。

「「「うわぁぁぁっ!!!」」」

 三人が地面に投げ出される。

100 一六 ◆6/pMjwqUTk :2017/03/04(土) 15:03:47
「もう一回!」
 キュアホイップの声に、再度三色のクリームが宙を舞う。しかし、やはりあっさりと弾き飛ばされて……。
「……も、もう一回っ!」
 三度。四度。五度。
 何度も地面に叩き付けられ、起き上がれなくなったプリキュアたち。
 と、その時、ベンチの陰から、怪物の回転音に負けない大声が飛んできた。

「何やってるのよ、あんたたち! 世界を守るヒロインなんでしょ? だったら、止まってる場合じゃないでしょ!? どこの誰よりも、根性見せなさいよっ!」
「根性……」
 その言葉に、キュアカスタードがハッとした顔で立ち上がった。
「周りがどんなに変化しようが……中心は決して揺らがない? そうか! 分かりました。回転には必ず、回転軸があるってことですね。そしてそれは、ドーナツの場合……」

「ホイップ! ドーナツの穴を狙って下さい!」
 ようやく身体を起こしたキュアホイップに、キュアカスタードが叫ぶ。
「そんなこと言われても、穴なんか……あ、そっか!」
 キュアホイップがそう叫ぶが早いか、力強く地を蹴る。ウサギの跳躍力で上空まで高々とジャンプすると、怪物を見下ろし、ニコリと笑った。
「ここからなら、穴もよく見える〜!」
 薄桃色のひも状のクリームが二本、怪物の中心にある空洞に突き刺さる。そのままくるりと先を曲げて先端を結ぶと、怪物の胴体を縛った二本のひもが出来上がった。
「カスタード!」
 その一本を仲間めがけて放り投げ、キュアホイップが地上に降り立つ。
「せーのっ!」
 両側から渾身の力を込めて引っ張ると、怪物の回転が止まり、その身体が一瞬、宙に浮いた。
「やった!」
 だが。

「う、うわぁぁぁ!!」
 再び高速回転を始めた怪物に、キュアホイップとキュアカスタードが振り回される。
「任せて!」
 キュアジェラートが進み出て、思い切り息を吸い込んだ。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 キラキラルをまとったライオンの雄叫びがこだまする。その途端、怪物の回転の軸がぶれ始め、一気にスピードが落ちた。
「チャンス!!」
 薄桃色のクリームエネルギーがもう一度引き絞られて、怪物の身体が宙に浮く。その穴を今度は下から狙って、キュアジェラートが氷の杭を突き立てた。

「よし! じゃあ、みんなの想いをひとつに……えっ?」
 仲間たちに呼びかけようとしたキュアホイップが、そこで驚きの形相になる。
 先程キュアカスタードが助けた女性――らんこが突然、怪物の傍に駆け寄ったのだ。
「ふっふっふっ……。声が武器になるのなら、あたしだって!」
「いや、それはキラキラルの力がないと無理で……」
 キュアジェラートが、なだめるようにそんな言葉を口にする。だが、それが完全に裏目に出た。

「だぁれぇがぁ、天ノ川きららに負けるですってぇぇぇぇぇ!!」

 ピシッ、と鋭い音がして、氷の杭にひびが入る。
「ちょっと! なんであたしたちの方が攻撃されてんのよ!」
 悲鳴を上げるキュアジェラート。だが、崩れ落ちた杭の上で、怪物は目を回して失神していた。

「らんこさん、凄い……」
「え? らんこって、あの一条らんこ? わたし、小さい頃テレビで見た!」
「じゃあ、天ノ川きららって、あのパリへ渡ったトップモデルの!?」
「わぁ! 雑誌で見たことある〜!」
「え、そうなんですか? らんこさんの、中学時代の後輩だそうです」
「「らんこさん、すっご〜い!!」」
 既に怪物などそっちのけでひそひそ……から次第にキャアキャアと話し始めるプリキュアたちに、再びらんこの檄が飛ぶ。
「こぉら〜! 人に手伝わせておいて、仕事は最後までちゃんとやりなさい!」

「え〜、手伝ったっていうか……」
「まあまあ、ジェラート。じゃあ」
「はい。ドーナツ、返してもらいましょう」
 桃色、黄色、水色。三色のクリームエネルギーが混ざり合って光の塊となる。そして最後の呪文を唱えようと息を吸い込んだ仲間たちを、キュアカスタードが慌てて止めた。

101 一六 ◆6/pMjwqUTk :2017/03/04(土) 15:04:17
「らんこさん。これは後輩の方のことじゃなくて、“根性ドーナツ君”を守るための、魔法の言葉ですから」
「あ……わ、わかったわよ」
 ようやく合点がいった様子で、少々赤い顔で渋々頷くらんこに、キュアカスタードがニコリと笑う。

「じゃあ、行きます!」
「「「キラキラキラル!!! キラキラル!!!」」」

 光の塊がパチンと弾けると、色とりどりの星のような光が降る中、小さなドーナツ型の妖精が、ふらふらとその場から逃げ去って行った。



「ふん。世界を救うスーパーヒロインとしては、あなたたち、まだまだのようね」
 再び着ぐるみを身に着けたらんこが、腰に手を当て、完全に上から目線で、まだ変身を解くに解けないでいる三人の顔を見渡す。
「いえ、わたしたち別に、そんな凄いことやってるわけじゃ……」
「まあいずれにせよ、お礼を言うわ。わたしの“根性ドーナツ君”を守ってくれて、ありがとう」
 その顔がほんの一瞬しおらしくなったかと思ったら、すぐにまた、不敵な笑みがその顔に浮かんだ。

「これ、あと二人の分の試食のドーナツ。食べたら絶対、マーブル・ドーナツ買いに来なさいよ。それからお礼と言っては何だけど、明日、この町の野外ステージでコンサートをやるの。良かったら、聴きに来てもいいわよ」
「ホントですか? やった!」
「ただし!」
 そう言って、らんこがビシッと三人の目の前で指を立ててみせる。

「間違ってもそんな格好じゃなくて、ちゃんと着替えて来ること! わたしより目立ったりしたら、承知しないわよ! じゃあね」
「は……はぁ」
 ポカンと口を開ける三人を置き去りにして、らんこが悠々とその場を後にする。すれ違う人たちに、さっきとは打って変わった笑顔で試食のドーナツを配りながら。その後ろ姿を見送りながら、三人はようやく変身を解いた。

「らんこさんって……あんなパワフルな人だったんだ」
「パワフルって言うか……暑苦しかったなぁ」
 いちかとあおいがそう呟く中、ひまりが小さくクスリと笑う。

 幼い頃の忘れられない思い出が、思っても見ない形で現れる。
 ぜんぜん科学的じゃないけれど、そういうことって、本当にあるものらしい。
 それが吉と出るか凶と出るかは、誰にも測ったり出来ないけど。
 だけど時には、そこに新しい思い出が混ぜ合わされて、違う輝きを放ち始めることも、あるらしい。

「らんこさん……。今度はきっと、テレビでも応援しますね」
 仲間たち二人に囲まれ、小さくなっていく真ん丸の後ろ姿に向かって、ひまりは笑顔で呟いていた。


〜おわり〜

102 一六 ◆6/pMjwqUTk :2017/03/04(土) 15:05:15
以上です。ありがとうございました!

103 一六 ◆6/pMjwqUTk :2017/03/04(土) 16:01:50
>>102
今気が付いたけど、「救え」じゃなくて「守れ」ですね。
タイトル変えます(汗)

「ひまりとらんこ! 根性ドーナツ君を守れ!!」
で、お願いします。

104 makiray :2017/03/05(日) 00:10:35
ひたすら(1/3)
-------------

 去年の春のこと。
 みらいとリコは初めて会った先輩プリキュアたちに、「立派なプリキュア」になる方法を聞いて回っていた。まじめに教えてくれる人もいたし、照れくさげに語る人もいたが、剣崎真琴はふたりの熱心さに苦笑しながら、こう言った。
「ちょっと変わったライブがあるんだけど、見てみる?」
「はい!」
 後日、送られてきたチケットを持って、二人はあるライブハウスに向かった。
「思ったより小さいのね」
「だけど、これはワクワクもんだよ」
 春日野うらら、剣崎真琴、天ノ川きらら、という一風変わった組み合わせ――もちろん、彼女たちにはプリキュア同士だということがわかるのだが――のライブである。三人とも人気者なのに、このライブハウスはそれほど大きくない。そのため、チケットの争奪戦は相当なものだった。真琴はふたりに、実験的なものだから、と言った。
 客電が消える。息を詰めて待っていると、ピアノの音が聞こえてきた。点だったスポットが大きくなっていく。
「まこぴー…?」
 大人っぽいドレスでピアノを弾いているのは真琴だった。そう言えば、ストリートライブをしていたころは自分で弾いていた、ということも聞いた。
 上手(かみて)から別の影が踊り出てきた。体の動きにつれて長い髪が優雅な弧を描く。背格好から言って、これは うららのようだった。
「さすがね」
 女優としてのレッスンの中にダンスもあるに違いない。素早いときは素早く、ゆったりとするべきときはゆったりと、止まるときには完全な静止。めりはりの効いた身のこなしである。
 あとは きららを待つだけだ。おそらく素敵なドレスを披露してくれるに違いない。舞台の中央から現れるのか、それともサプライズで客席からか、みなが固唾をのんで待っていると、ピアノの横にもう一本のピンスポットが当たった。
 透き通った声がライブハウスを満たす。客席がざわめいた。歌っているのはきららだった。
「え、これって…」
 気持ちの半分が困惑している。ほかの客も同じらしい。みらいもリコも、その違和感の原因が気になるところではあったが、やはりみなと同じように、そのステージに魅了されて行った。
 真琴のピアノと、それとわずかに遅れてきららの声がクレッシェンドしていき、四小節後、うららが飛んだ。
「羽…」
 高いグラン・ジュテ。
 うららの背中に羽が見えたような気がした。
 やがて、きららの声が途切れ、ピアノのリタルダンド。フィーネ。
 魔法にかかかった観客は呼吸を忘れている。拍手が起こるまで、優に十秒はかかった。

105 makiray :2017/03/05(日) 00:12:22
ひたすら(2/3)
-------------

「行きましょう!」
「うん!」
 ふたりは息も荒く楽屋に駆け込んだ。興奮のあまり、真琴から“GUEST”と書かれたパスを貰っていたことも忘れて、スタッフと一もめあったが、無事に入ることができた。
「剣崎さん!」
 ドアを開けると、汗を拭いていた真琴たちが振り向いた。充実した笑顔だった。
「どういうことなんですか?!」
 開口一番、リコが言う。
「あんなすごいステージ…ひょっとしてみなさんは魔法を使えるんですか?!」
「ちょ、ちょっと、リコ」
 いつもとは立場が逆である。みらいがリコを押しとどめる。真琴たちは、顔を見合わせて笑った。
「何が?」
「何が、って。
 今日のステージです!」
「だから、何が?」
 きららが意地悪げに笑う。
「それぞれの得意技を封印してる、このステージの意図です!」
 みらいが、え? と首を傾げた。
「気づいてなかったの?
 普通だったら、歌手の剣崎さんが歌って、モデルの天の川さんがランウェイを歩いて、女優の春日野さんがたとえば詩を朗読する、それが自然な配置でしょ?」
「そう言えば」
「でも今日は、剣崎さんは歌ってない、歌ったのは天の川さん、春日野さんは踊りだけで一言も台詞を言わない。
 どうして、こういうステージになったんですか?
 それが、私たちが相談した立派なプ――」
 みらいが慌ててリコの口を塞ぎ、後を続けた。
「えっと、あのことと関係があるんですか?」
 それぞれが、自分の「本業」で人々に「魔法」をかけられる実力の持ち主だ。それを封印したステージにはどういう目論見が隠されているのだ。
「それだけじゃない、っていうことです」
 うららが小さな椅子を並べた。
「…。
 色々なことを勉強しなきゃいけない、っていうことですか?」
 不安げな表情のみらいとリコ。
「ちょっと違うかな」
 きららも座った。
「色んなことをやると、その色んなこと同士が影響を与え合うんだよね。いい影響」
「色んなこと同士…」
 みらいとリコは腑に落ちていないようだった。
「すごくわかりやすいことを言えばさ。
 今回、ちゃんとしたボイストレーニングをやったんだ。腹式呼吸をしっかり勉強してね。
 それって、スタイルキープしたいあたしにとっては好都合なわけ」
 うなずくふたり。
「それだけじゃありません。
 さっき言ってくれたみたいに、セリフ無しで表現する、ということは私にとってはすごいチャレンジで、すごい勉強になりました。
 ダンスだけのステージを経験したことは、きっとお芝居にも帰って来るんです」
「あ…」
「新しいこと、苦手なこと、得意じゃないことをやると、私自身が成長できる。
 そうやって成長した私が、前から得意だったことをやったとき、そこにはきっとなにかいい変化がある筈」
 みらいとリコは一生懸命にメモを取っている。その手を真琴の手が包んだ。
「あの、剣崎さん…」

106 makiray :2017/03/05(日) 00:13:47
ひたすら(3/3)
-------------

「ふたりとも、目の前しか見てない、って感じがしたんだ。こないだ」
「え?」
「立派なプリキュアになるにはどうすればいいですか、どうすればいいですか、って」
「でも…」
「もし、なにか方法があったとしても、それだけひたすらやってたら立派なプリキュアになれる、ってわけじゃないと思うんだ。
 逆に、それだけやってたら、別のなにかを失う。
 それって多分、逆効果」
「…」
 みらいとリコの視線が落ちる。意気消沈、である。
「あんたたち、魔法使えるんでしょ?」
 きららが言った。はい、と答えそうになったリコは慌てて周りを見渡した。よかった。この五人だけ。
「それはアドバンテージだよね。
 あたしたちなんか、最初に変身したとき、何もなかったもんね」
 うららときららが顔を見合わせて笑った。
「気合だけでなんとかなった、って感じ。
 でも、その内、様になってきてさ。
 それって多分、同じこと」
「色んなことをきちんとやりました。そのことが積み重なって、今の私たちがあるんだと思うんです」
「学校に行って、勉強して、当番が来たら掃除して、友達と笑って、もしやってるんだったら部活に打ち込んで、帰ったらうちのお手伝いをして。そういうのが全部、後で帰って来る」
「逆にさ、そういうのを全部手抜きしたら、ダメなプリキュアが出来上がるよね」
「そうか…そうですね」
 リコの顔が上がる。
「なるほど…」
 みらいが言い、リコと頷きあった。
「私たちには魔法がある。
 その魔法となにかもうひとつ、次には別の何かをもうひとつ、そうやって積み重ねていけばいいんだね」
「うん!」
 真琴たちも笑顔になる。
「DB」
 真琴に声にドアが開いて、DB の姿になったダビィが顔を見せる。
「今日の打ち上げ、ふたり分の余裕ないかな」
「大丈夫だと思うわ」
 みらいとリコが顔を見合わせる。
「いいんですか?」
「うん。私たちの友達だもん」
「帰りは私が車で送るわね」
「ありがとうございます!」
「あ、『魔法』とか『プリキュア』とか言っちゃだめですよ」
 うららがウィンクする。
「また、新しい世界が見られるのね」
「ワクワクもんだぁ!」
 その「ワクワク」を楽しめる心があるのなら、「立派なプリキュア」になる道はそれほど遠くないはず、と真琴は思った。

107 名無しさん :2017/03/05(日) 12:24:45
>>106
春映画の頃のみらいとリコなら、先輩プリキュアに聞きまくるってやりそう!
それに対するまこぴーの対応が、ある意味真面目で、しかもマナたちとの出会いで色々と視野が広がったまこぴーらしかった。
それにしてもこのライブ行ってみたいですな〜。特に、きららの歌は聞いてみたい。

108 名無しさん :2017/03/06(月) 22:15:28
>>102
例の先輩、あいかわらず元気だな〜。確かにパッと見バケモン。

109 Mitchell & Carroll :2017/03/07(火) 00:13:37
まほプリより、エミリー×ジュン(18禁)。2レスお借りします。

『mAiDEn VoYAgE』


 男の子になりたい。
それは私の小さな頃からの夢。
 見た目は女の子らしいって言われるけど。
 でも中身は違うの。
 日に日に強くなってゆく想いは、
 彼女に出会って爆発したの。
 
 ―ー青い髪の女の子、ジュン。
 
 彼女を初めて見た時、体の奥がビクッって疼いて、
 何かが熱くドクドク脈打って、ムクムク起き上がってくるような気がしたの。
 
 でも、あると思っていたそれは、いざ見てみると……無い。無いの。無いなら――
 ――作ってしまえ。
  

 「――おい、エミリー!どんだけ高く飛ぶつもりだよ?」
 エミリーは、もうだいぶ上達した魔法の絨毯にジュンを乗せて、夜間飛行に繰り出していた。見せたい物がある、などと言ってまんまと呼び出して。エミリーの目は虎視眈々としていたが、まんまる眼鏡にカモフラージュされていて、おまけにレンズには満月まで映っていた。

「――ねぇ、ジュン。私のこと、どう思ってる?」
「どうって……」
「ジュンにはね、私のことを、男の子だと思って欲しいの」
「なに言ってんだ?」
「手、貸して」
 エミリーはそっとジュンの手を取り、自分の股間へと誘った。そこには女の子には無いはずの、こんもりとした膨らみがあった。
「おい、何の冗談だよ?まさかこれ、魔法――」
「そう、魔法。魔法で、おちんちん生やしちゃったの。ずっと欲しかったの、これが。そして、ジュンのことも」

 こんなに高い所を飛んでいては、ここで起こっている事は誰からも見えない。魔法の絨毯の操縦も、エミリーの手次第。

 星空の中央に鎮座する満月。それを遮って近付く、エミリーの顔。触れた唇はやわらかく、甘く――だがすぐさま、ジュンはエミリーの肩を退(の)ける。
「ア、アタイは女同士でこんなことする趣味はねぇぞ!」
「嘘」
「嘘なもんか」
「それに……言ったでしょ?私は男の子だって」
 もう一度、唇で唇を塞ぐ。
「――そしてジュンは、女の子……」

110 Mitchell & Carroll :2017/03/07(火) 00:15:28
 優しくボタンを外してやると、そこには普段のジュンのようにツンと尖った物があった。それはすっぽりとエミリーの口に収まる。
「ふあっ……」
 いつもより高い声に、ジュン自身、体中を染めて恥じらってしまう。
「舐めやすいね、ジュンのおっぱい……こっちもしてあげる」
 もう片方の突起も掬い取られる。エミリーの唾液で濡れたそれは、微かな夜風を受けて妙に涼しい。ジュンの嫌がるような、求めるような動きに応じて、エミリーの顔も、花の蜜を吸う蝶の如く左右の乳首を行き来する。
「だ、だめだ、もう、アタイは……」
「ほんとだね、こんなに敏感だとは思わなかった」
「欲しくなっちまったんだ……」
「何を?」
「エミリーの……」
「私の……何?」
「………」
 エミリーはスカートを捲り上げて、ゆっくりと下着を下ろし、ジュンの目の前で弾けるそれを見せてやった。先っぽがジュンの瞳に負けないくらい潤んでいる。そのとっておきに触れさせてやると、途端にジュンは素直になった。
「欲しい……エミリーのこれ……エミリーの……おちんちん、アタイの中に……」
 ジュンの下着も、エミリーは優しく剥ぎ取ってやる。お互いの大事なものを口付けさせる。エミリーのそれは、顔をぬっぽりと埋(うず)めて、次第に奥へと進んでいく。
「エミリー……アタイ、本当はずっと、こうなりたいって思ってた……」
「私もよ、ジュン」
「ずっと、エミリーのが欲しいって、初めて会った時から、ずっと……」
「知ってる。私もずっと、ジュンの女の子に部分に気付いてたんだからね?」
 優しいキスをしてあげれば、もう普段の勇ましいジュンはどこへやら―――エミリーの逞しいそれをひたすらに欲しがる。自ら腰を押し付けてくる。やがて根元まで受け入れて――
「ジュン、わたし、出ちゃうかも……」
「アタイの中に……エミリーの……」
「赤ちゃん出来ちゃう」
「……赤ちゃん欲しい!エミリーとアタイの……」
「私の赤ちゃん、産んでくれる?」
「うん……」
「いっぱいあげる!わたしの……!!」
「ほ、欲しい!エミリーの、欲しいぃぃ〜〜!!」


 大きな願いも、小さな願いも叶った夜。二人は抱き合ったまま、夜空に浮かんでいた。ちょんちょんと風に肩を叩かれた気がして、エミリーは名残惜しそうに、魔法でこしらえたそれをゆっくり引き抜いた。
「――赤ちゃんが出来たら、ジュン、おっぱいを飲ませてあげなきゃね」
 気のせいかジュンの乳房は、さっきよりも少し膨らんだように見える。エミリーは予行演習をするように、それをチュパチュパと吸い始めた。
「あんっ……飲ませる……赤ちゃんに、おっぱい……」
「私にも、飲ませてくれる?」
「……ふぅぅっ!」


 
 おわり

111 Mitchell & Carroll :2017/03/07(火) 00:22:11
さっそくですが8行目、「―ー」ってなってますが「――」です。訂正よろしくお願いいたします。
・(プリキュア書き手あるある)投稿した直後、ミスに気付きがち ←これもうテッパンですね

112 Mitchell & Carroll :2017/03/08(水) 22:41:33
そうです、「ふたなり」でした。申し遅れてゴメンなさい。

113 Mitchell & Carroll :2017/03/11(土) 22:36:20
たまたまお題に沿ったんでこちらに投下させていただきます。
メチャクチャ豪華になってしまいました。5レス使わせていただきます。

『利き唇』

114 Mitchell & Carroll :2017/03/11(土) 22:37:25
みらい「第一回 プリキュアオールスターズ チュパチュパ この一口に魔法をかけろ 利き唇〜!!」

リコ「挑戦者のベニーギョ選手、意気込みをどうぞ!」

ベニーギョ「ちゃちゃっとGETって感じ?」

モフルン「じゃあさっそく目隠しするモフ〜」

なぎさ「(――さて、誰が行く?)」

ほのか「(ここはジャンケンで決めるってのはどう?)」

全員「「「(ジャーンケーン……)」」」

みらい「(あちゃ〜、わたしか〜)」

ベニーギョ×みらい「「(チュッ)」」

ベニーギョ「(やわらかい……そういやアタシ、キスって初めて……)」

モフルン「目隠し、外すモフ〜」

リコ「ベニーギョ、なんか顔が赤くない?」

ベニーギョ「も、元からだよ!!」

みらい「じゃあ、この50人の中から、当ててみて!」


ベニーギョ「この中から当てるとか……ちょっちキビシクない?」

ペコリン「さっきのキスの感触はどうだったペコ?」

ベニーギョ「なんていうか……レモンの味?みたいな」

全員「「「………」」」

のぞみ「ベニーギョさん、もしかして――」

りん「(シッ!のぞみ、シッ!!)」

ベニーギョ「じゃあ、まずはこの子から行ってみる?」

はるか「キャ〜♡」

ベニーギョ×はるか「「(プチュ)」」

ベニーギョ「(ああ……この子、ほんわかしてるけど、芯はしっかりしてる……さっきは初めてだったからよくわからなかったけど、キスってこんなに相手の気持ちが伝わってくるんだ……)」

115 Mitchell & Carroll :2017/03/11(土) 22:38:12
きらら「で、どうなの?」

ベニーギョ「アタシ……魔法にかかっちゃったかも」

トワ「まあ、それは大変ですこと」

ベニーギョ「キスって魔法なんだな、って」

みなみ「何か語ってるわ」

ベニーギョ「でも……アタシがキスしたのは、春野はるかではございません!」

判定「ピンポーン」


ベニーギョ「だんだん分かってきたよ、キスってものが。よし、次はこの子」

ベニーギョ×うらら「「(チュッ)」」

ベニーギョ「(こ、これは……レモンの味!!)」

のぞみ「(恋バナ中)――でね、ファーストキスはレモン味って言うけれど、2回目はメロン味、3回目はサクロなの」

ベニーギョ「(なにっ!?ということは……)アタシがキスしたのは、春日野うららではございません!!」

判定「ピンポーン!」

ベニーギョ「図ったな、小娘!!」

うらら「何がです?」


ベニーギョ「次は……この子かな」

あかね「おっ、ウチ?」

ベニーギョ×あかね「「(ブッチュ)」」

ベニーギョ「違う!」

あかね「早っ!!」

ベニーギョ「アタシがキスしたのは日野あかねではございません!」

判定「ピンポーン」

あかね「何でや!?何ですぐ決断できたんや!!?」

みゆき「あかねちゃんの口はお好み焼きみたいな味がするから……」

116 Mitchell & Carroll :2017/03/11(土) 22:40:09
やよい「(女の人どうしでキスかぁ〜……男の人どうしのはマンガでよく見るけど)」

あゆみ「(女の人どうしでキス……男の人どうしってのはマンガでよく見るけどなぁ〜)」

ベニーギョ「さて、次は……」

ラブ「えっ、もしかしてあたし!?」

せつな「(殺気)」

祈里「ひっ!?」

ベニーギョ「……やっぱりやめた。じゃあ、このお団子頭のお嬢ちゃん」

六花「(あ〜あ)」

ベニーギョ×ありす「「(チュ)」」

ベニーギョ「!!!!!」

真琴「どうしたの?ガクガク震えてるけど」

ベニーギョ「お、恐れ多い事を……アタシはしてしまった……」

ありす「ベニーギョさんとやら」

ベニーギョ「はっ、はいっ!!」

ありす「 わ た し の 足 に 口 づ け な さ い 。」

ベニーギョ×ありす(足)「「(ちゅ)」」

響「えぇ〜、スゴい世界……」

六花「これくらいで済んで良かったわよ。ホントだったら足の指の間まで舐めさせられてるところよ」

ベニーギョ「……ア、アタシがキス“させていただいた”のは、四葉ありす様ではございません」

判定「ピンポーン」


ベニーギョ「(何だったんだ今のは……おっ、こんな清楚な感じの子と、キスなんかしていいっての?」

ベニーギョ×舞「「(チュッ)」」

ベニーギョ「(!!!し、舌が……)」

117 Mitchell & Carroll :2017/03/11(土) 22:41:08
咲「ベニイモさんがヒザから崩れ落ちた!?」

ひかり「そして、産まれたての仔馬のようになってます!!」

亜久里「さあ、立ち上がるのです!!」

エレン「頑張って!もう少しよ!!」

ベニーギョ「ア、アア……アタシがキスしたのは、美翔舞ではございません!!」

判定「ピンポーン!」

マナ「お見事ー!!」


ベニーギョ「(あんな清楚な子が……しかし、なんか自分もやりたくなってきたよ)よし!この子で」

ベニーギョ×あおい「「(ブッチュ)」」

ベニーギョ「(舌に何か当たるな……八重歯か?だが、それが気持ちイイ……)」

あおい「(コイツ……)」

ベニーギョ「――ふぅ。アタシがキスしたのは、立神あおいではございません!」

判定「ピンポーン!」

あおい「あの女、舌入れてきやがった」

ひまり「えぇ〜〜〜っ!!?」

ゆかり「まあ、耳まで真っ赤にしちゃって♥」

あきら「科学では、こういう事は説明できないからな」


ことは「(チラチラ)」

ベニーギョ「(なんだろう、懐かしい何かを感じる……)」

ベニーギョ×ことは「「(ブチュッ)」」

ベニーギョ「(優しい……伝わってくる……アタシを包み込んでくれてる……この子の愛が、温もりが……ああ……)」

いちか「ベニーギョさん……泣いてる……」

ベニーギョ「……決めた。この子だ。悔いは無いよ。アタシがキスしたのは、花海ことはです!!」

118 Mitchell & Carroll :2017/03/11(土) 22:41:49
判定「ブーーー!!(ダダ〜ン♪)」

みらい「残念でした〜!ベニーギョさん、罰ゲーム!!」

えりか「罰ゲームは“すっぴんお披露目”〜★」

ベニーギョ「はぁ!!?」

奏「あ〜、これは勇気いるわね〜」

ベニーギョ「冗談じゃないし!!」

アコ「観念しなさい。いい大人が見苦しいわよ」

ゆり「おとなしく罰を受けるのよ(羽交い絞め)」

ベニーギョ「や、やめろ!!」

いつき「(羽交い絞め)よしっ、ことはちゃん、今だ!」

ベニーギョ「やめてくれ!!!」

ことは「キュアップ・ラパパ!ベニーギョさんの顔のメイク、落ちろ〜!!」

美希「(――えっ、魔法で落とすの!?あたしせっかくメイク落とし持って来たのに!!)」

ベニーギョ「………」

全員「「「………」」」

ゆうこ「……かわいい!!」

きらら「へぇ〜!」

ひめ「ぜんぜん可愛いじゃん!」

つぼみ「キレイです〜!」

ベニーギョ「そ、そんなこと無い……」

こまち「だいぶ塩よ……しおらしくなりましたわね」

かれん「メイクで勝気な女性を演出していたけど、素に戻ったってわけね」

くるみ「メイクは魔法、よね!」

めぐみ「うんうん☆」

いおな「(メイク……あたしもお姉ちゃんみたいな素敵な女性になる為に、もっと勉強しないと!)」

なお「よかったね、れいか。唇奪われなくて」

れいか「ええ。初めては、結婚式の日に教会でなおと、と決めていましたから」



END

119 Mitchell & Carroll :2017/03/11(土) 22:43:42
以上です、ありがとうございました。
補足ですが、れいかはウエディングドレスに憧れがある、ということで。

120 名無しさん :2017/03/11(土) 23:11:13
>>119
本編・SS通じて、初めてベニーギョさんが可愛く見えましたw
最後のれいかが、めっちゃれいからしかったwww

121 たれまさ :2017/03/11(土) 23:16:02
こんばんは
先日リニューアルしたプリキュアプリティストアに行って見つけたアイドルシリーズ、その立ち上げをフレッシュの小説を絡めて想像してみました。

タイトルは、「UP TO ME!!」
3レス使わせて頂きます。

122 たれまさ :2017/03/11(土) 23:16:51
 アタシ、蒼乃美希。17歳。パパの紹介で、パリにモデルの修行にやってきて1年。自分で言うのも何だけど、今や誰もが憧れるナンバーワンのカリスマモデルよ!
 今日も朝から通販モデルの撮影に雑誌インタビューが3本、車で移動しつつ次の仕事の内容が書かれた文書に目を通す。まったく、食事の時間すら惜しいなんて売れ過ぎってのも問題ね。
 フッと窓の外を一瞥してからサングラスを外すと、車内に用意してあったドーナツを一口かじる。カロリーに配慮しつつ甘さと香ばしさを兼ね備えたカオルちゃんの逸品だ。
 隣では、マネージャー兼後輩の天ノ川きららがスケジュールの調整中。しっかり管理してちょうだいね、あなたもアタシみたいに売れたいんでしょ? そう思いつつ……若干の違和感。
 アタシ、何でこんなに売れたんだっけ。やっぱり環境がよかったのかしら? それとも努力と才能?
 ま、確かなのは、こっちでアタシの実力が開花したってことよね! 日本で応援してくれてるママやみんなの為にも、もっともっと輝かなくちゃ!
「アタシって……なんて完璧なの〜!! あーはっはっはっ!!」



 キキーーーッと甲高いブレーキ音が鳴り響き、アタシは前の座席に頭をぶつけて目を覚ました。
「どぁああっ!! イタタぁ! 何っ!?」
 寝起きに、モデルですとはとても言えないような叫び声をあげてしまい、キョロキョロと辺りを見回しながら今の状況を思い出す。そうだ、レッスン帰りのバスでついうとうとして……。よだれが出てないか慌てて確認。うん、アタシ完璧。
 なぁんだ、さっきの売れっ子カリスマモデルは夢か……と、現実を受け入れると今度は別の疑惑が。やばっ! 寝過ごした……?
「わー! すみません、降ります! ちょっと! 降ろしてー!!」
 急停車したままだったバスのドライバーに頼みこみ、降ろしてもらう。てっきり怒られるかと思ったが、ドライバーはあまり気にしていない様子で、すぐ側の乗客と何やら興奮気味に話してる……?
“なんだったんだ、今のは!?”
“絶対撥ねちまったと思ったら、消えたんだ! う、宇宙人だったんじゃ”
“バカ言え! 普通の人間だったぞ! 宇宙人ってのは足が8本あってほら、真っ赤なタコみたいな……”
 フランス語で聞いても血の気が引きそうな単語が聞こえてきたので、アタシは慌ててバスを降りた。

 車道沿いに来た道を戻ろう、そう考えて歩き始めた時、どこからともなく声が聞こえた。しかも……日本語?
「……りかさん……えりかさん。えりかさん!」
「え? 誰?」
 茂みの方から聞こえるので恐る恐る近づくが、何も見当たらない。
 気のせいか、と首をかしげて再び車道の方へ向き直った瞬間、アタシの目の前に若い女の生首が現れた。
「私です! 十六夜……」
「ひいいいぃぃぃやぁぁああああ!!!」
 アタシの意識はそこで途絶え……
「ちょ、ちょっと! えりかさん!? 来海えりかさん!!」
「違うわよっ!! ってか、色以外何も似てないでしょ!!」
 意識を失う寸前で、思わず突っ込んだお蔭でアチラから帰って来られた。あー危なかった。

 ぜぇぜぇと息を整えながら、改めて振り返る。確かこの子は……。
「十六夜リコちゃん、よね? 」
「あ、はい。すみません。驚かした上に名前間違えてしまって。えっと、黒川……」
 ギロッと無言で睨むと、リコちゃんは慌てて目を逸らした。
「えーっと……お名前なんでしたっけ? プリキュアの先輩なのは、間違いなく覚えてるんですけど」
 ついに思い出してもらえなかったわね……。
 わかってる、この子は悪くない。プリキュアは40人以上もいるんだし、この子とは2年前の花見で一度会ったきり。覚えておけって方が無理だ。
 アタシは超有名だったさっきの夢の自分との反動でがっくりと肩を落とし、名乗った。
「蒼乃美希よ、フレッシュプリキュアの」
 ようやく思い出したらしく、ああ、と頷いてリコちゃんは続ける。
「フレッシュの他の皆さんとは離れたんですか?」
「今はトップモデル目指してここで修行中なの。もちろん連絡は取り合ってるけどね。ああ、プリキュアって言えば、アタシんちの近所にきららもいるわよ」

 天ノ川きらら。夢の中ではアタシのマネージャーだったが、実際はあたしよりはるかに格上。
 こっちでモデルの修行を始めた時期もアタシより1年早かったし、ボワンヌ氏の立ち上げたブランドで専属モデルとして活躍しているだけでなく、雑誌、グラビア、CMにも引っ張りだこ。更に日本のアイドル・春日野うららとコンビを組んで歌手デビューまで果たした、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの注目株だ。

123 たれまさ :2017/03/11(土) 23:17:26
(敵わないからって立場が逆転した夢を見るなんて、何だかちょっと惨めな気分……)

 急に泣きそうになったアタシの顔を見て、リコちゃんがワケもわからずうろたえている。いけない、いけない。
「で、あなたはどうしてここに?」
「それが、よくわからないんです。みらいに会い……コホン、この世界にどうしても来たくて、魔法界の図書館でいろいろな方法を探していたら、“どこにでも行ける扉”って言うのを発見して」
「ふんふん」
「これでみらいに会え……い、いえ、ナシマホウ界に行ける! って思ったら、力が入り過ぎたみたいで」
「……」
「急いで扉をくぐったら見たこともない土地で、元の世界に戻ろうにも扉がなくなっちゃって」
「はぁ……」
「で、みらいのところにどうしても行きたいから、姿を隠して箒で飛んでたら……」
「バスにぶつかりそうになって、慌てて避けたら茂みに落ちて、アタシに会った、っていうワケね?」
「落ちてないです! ちょっとびっくりして突っ込んだだけです。でも……箒も折れちゃって、私、どうしたらいいのか……」
 茂みに突っ込んだ時に折れてしまったらしい。それでも落ちてないと言い張るとは相当の強がりね。ってか、どれだけみらいちゃんのこと好きなのよ……。

「まぁ事情はわかったわ。箒もそんなだし、しばらく帰る当てがないんでしょ? アタシの下宿、もう一人くらい泊まれるから、しばらく居られるように頼んであげるわ」
「あわわ……ありがとうございます!! あの、失礼ついでに聞いていいですか?」
「何?」
「ここ、どこですか?」
「さあ……」
「完璧……?」
「ではないわね。フフッ」
 このままじゃ、アタシも彼女も帰れない。結構大変な事態なのに、なんだか今の状況がおかしくて、二人で笑った。
 まぁ時間はかかるかもしれないけど、一人じゃないんだし、何とかなるでしょ! 意味もなく思った、その時。
「あ、美希たんだ! ヤッホー!」
 今はあまり聞きたくない声が聞こえて、アタシは振り返りざまに思わず叫んだ。
「な、なんであんたがここにいるのよ!?」

 マネージャーを従えて車から華麗に現れたのは、天ノ川きらら。世界的トップモデルの母ステラにも引けを取らない、カリスマ的な存在感だ。
 アタシがパリに来てしばらくは、一緒にレッスンを受けたり友人として遊びに行ったりしたこともあるが、今やお互い仕事を取り合うライバル……
「え? ライバルだったの? あたしの仕事紹介したり、モデルの相談に乗ってあげたりした事ならあったけど〜?」
「ぐっ……」
 そう、多忙なのは彼女の方。アタシはまだモデルとして生活できるレベルではない。少ない仕事をこなしつつ、語学やモデルの勉強をしてレッスンを受け、支援をもらいながら何とか暮らしている段階だ。

「あたし、今日はこの辺で撮影だったんだ。美希たんこそ、こんなとこで何やってんの?  あ、もしかしてバスで寝過ごしちゃったとか!?」
 にひひ〜っと笑いながら、ラブにしか呼ばれてない呼び名まで使ってる。プリキュア仲間じゃなかったから蹴ってやりたい――そんな気持ちを抑えてきららに向き合い、「アタシもこっちに用事があったのよ」と強がってみせる。
「ふーん。あ、ところでそっちの子だれ? 美希たんの妹?」
「何言ってんの、十六夜リコちゃんよ。ほら、2年前の花見の時に来てた……」
「あーっ! 思い出した、魔法使いの子だ!! ひっさしぶりー! 元気? ねぇ、また魔法使うとこ見せてよ!」
「お久しぶりです、きららさん。魔法のことは、一応こちらの世界では内緒なので、今ここでってワケには……」
「そっかー。魔法で美希たんに仕事あげられたら、って思ったんだけどなぁ」
「ちょっ! あんた、魔法を何だと思ってるのよ!!」
「あ、ごめんなさい。さすがにそういった魔法は……」
 申し訳なさそうなリコちゃんの声と、アタシの怒りの声が重なった。
「あはは! 冗談よ、ジョーダン。リコちゃん、あの時より大人びてて、ちょっと美希たんに似てたからさ、からかいたくなっちゃって。ゴメン。で、今から何か用事あるの? 帰るんなら送るよ?」

“待ちなさい、きらら。まだ次の予定があるのよ”
“いいじゃん、少しくらい遅れても。友達を送る方が大事だよ”
 向こうを向いて、マネージャーとフランス語で話すきらら。
 普段アタシと話す時は表に出さない優しさ。もともと彼女は、気に入った人以外とはあまり話す事は無いそうだ。軽口を叩きながらも、アタシのことをとても気にかけてくれていることがわかる。
 アタシだって負けないよ、きらら。いつかあなたに追いついてみせるから。だけど、今は頼らせてね。
「ありがとう。リコちゃんもいるし、助かるわ」

124 たれまさ :2017/03/11(土) 23:17:57



「素敵な方ですね、きららさんって」
 きららに送ってもらって無事部屋に帰ると、二人きりになった途端、リコちゃんはそう言った。
「そう? あの会話でそう思えるなら大したものだわ。まあ、優しいとこもあるけど」
「美希さん、きららさんみたいになりたいんですか?」
「そう……ね。悔しいけど、今のアタシにはあそこまでの実力はないから」
「美希さんも素敵ですよ! 私は、美希さんにも活躍してもらいたいです」
 活躍、か。
 うつむいてついため息が出たアタシに、リコちゃんはグイッとさらにこちらに迫って来た。
「さっき、言ってくれましたよね? “魔法を何だと思ってるの”って。きららさんに悪気なんて無いのはわかってますけど、私、嬉しかったです」
「そりゃあ、あんなこと言われたらああでも言わなきゃ……」
「魔法は、努力と根性と経験。それを積み重ねて、成長するものだと思いますから」
「え……?」
 思わず顔を上げたら、目の前に大真面目な、少し得意そうなリコちゃんの顔があって。
 ああ、同じなんだ。モデルも、魔法も――そう思ったら、惨めな気持ちが晴れていって、アタシはようやく笑えた。

 そうよ。これからも努力していくしかない。経験を積んでいくしかない。でも、色々な努力はしてきたと思うけど、きららとの差が縮まった気はしないけどね。
 アタシには専属モデルの仕事もなければ、アイドル的な活動も……アイドル?
 その途端、我ながら名案が閃いて、久しぶりに、アタシ完璧! と胸を張って言いたくなった。
「ありがとう。ねえ、リコちゃん!! アタシと一緒に、アイドルやらない?」
「アイドルですか!? 私が?」

 驚いたように目を大きく見開いてから、リコちゃんが何やら考え込んで、ブツブツと言い始める。
「どうしよう……。みらいに会うために来たけど、津成木町にはとても行けなさそうだし、帰る手段も見つからないし。箒も、自分で直すほかないわよね。それなら……今は美希さんとユニットを組むのも、チャンスなのかも」
 心の声がダダ漏れになっているのを、言ってあげるべきかそれとも……と思っていると、彼女が意を決したように顔を上げた。
「私、やってみたいです。どこまでやれるかわからないけど、いつか大事な人に会った時に、誇れる自分になれるように頑張りたいから!」
「うん、いい返事! じゃあユニット名はどうしようか?」



 努力家の二人が新たな挑戦を始めたこの日。広がったパリの夜空には、明るく十六夜の月が輝き始めていた。



『もう! 美希たん、なんでもっと早く教えてくれなかったのよ。せつなに連絡して、アカルンで連れて行ってあげればいいじゃん』
「ダメよ、ラブ。簡単に会わせてしまっちゃ、あの子の努力が報われないわ」
『でも、会いたくて違う世界から帰る当てもないのに飛んできたんでしょ? くぅー! アツアツだねぇ! あたしとせつなみたい』
「なによ、またノロケ? 心配しなくても、あの子が自分の力でみらいちゃんの所まで行ける日が来るでしょうよ。時間はかかるかもしれないけど」
 会いたいって気持ちを持ち続けていれば、国だって世界だって越えられる。
 アタシ達ができたんだから、あの子達にだってできるはず。
 それに何より、あの子はそれだけの根性を持って、誰よりも努力しているんだから。
「さぁ、アタシももっと頑張らなきゃ」
 リンクルンの通話を終えたアタシは、少し煙ったパリの月を見上げて、グッと小さく拳を握った。

125 たれまさ :2017/03/11(土) 23:18:29
以上です。ありがとうございました。

126 コロ助MH :2017/03/12(日) 14:31:01
こんにちは。
前回のお話の続きです 今回で完結になります 「まほプリ」の世界がいつまでも続く事を願って書いてみました それと前二作にコメント頂けた方々、本当にありがとうございました それではよろしくお願いします。
5レス使わせて頂きます。

127 コロ助MH :2017/03/12(日) 14:31:38
「はあ゛〜」
「モフォ」
今日もはーちゃんとモフルンは盛大に突っ伏した。4人で始めた秘密のお茶会も今日でちょうど1ヶ月目になる。毎日飲んでいれば少しは慣れるかと思いきや依然と手強い薬膳茶、最近ではお茶会と言うより何か罰ゲームの様相を呈して来た様な気がする。
「『良薬口に苦し』だよはーちゃん、モフルン」
と懸命に作り笑顔のみらい。
(その言葉、毎日聞いてるわよ、みらい)
と内心思いつつもこちらも。
「このお茶の効果が分かるのはずっと先だけど信じて皆で頑張りましょう!」
といつも通りに高らかに宣言すると。
「お〜」x2
「モフ〜」
どこか力無い返事だけれど、どうやら皆の士気が落ちてない様なのでまだまだこのお茶会は続けられるわねと思っていると。
「モフ〜良い事を思いついたモフ。この薬膳茶を魔法で甘くすれば飲みやすくなるモフ!」
と突然の夢の様な提案に。
「すご〜い、モフルン!」
「頭良いね〜モフルン!」
モフルンと万歳して歓喜するふたりの姿を見て成る程、盲点だったわと。でも。
「確かに良い案だと思うんだけど、でもそうなると薬膳茶の成分も変化して効き目が無くなっちゃうじゃないかしら?」
の言葉に皆が瞬時に凍りついたように固まり、一気に雰囲気が暗くなりかけた時にはーちゃんが。
「大丈夫だよ、こうすれば良いんだよ! キュアップ・ラパパ! 薬膳茶よ中身はそのままで甘くな〜れ!」
「お〜」
「モフ〜」
と再び歓喜が沸き起こる。魔法がかかった薬膳茶はさっきと見た目は変わらないけれども果たしてと思っていると。
「甘いニオイがするモフ〜」
とモフルンがお茶に近づき一口飲むと。
「美味しいモフ〜。紅茶みたいな味だモフ〜」
その言葉にみらいとはーちゃんの目が輝かせて続いて飲む そして。
「本当だ!美味しい〜。これなら毎日飲めるね〜。リコも早く飲んでみなよ」
恐る恐る飲んでみると自然と溜め息がこぼれた。
「美味しい……!」
これがあれだけ苦労した同じ薬膳茶だとは思えなかった。あまりのことに感動に浸ってる私の横でみらいとはーちゃんがモフルンを胴上げして盛り上がっている。
「これで明日からのお茶会が楽しみだね! そうだ、どうせならお父さんとお母さんとおばあちゃん達とも一緒にお茶会しようよ!」
「待ってみらい、それだと行く行くは色々とまずい事になるんじゃないの?」
「え、何で? ちゃんとこの薬膳茶の効き目の事は話すしそれに私、お父さん達とも一緒に居たいもの」
その言葉に確かにと、私もお父様、お母様、お姉ちゃんは勿論の事、みらいのおじ様、おば様、おばあ様の事も大好きだから。
「分かったわみらい、でもおじさま達には薬膳茶の事は十分に説明しなきゃね」
「うん、分かったよ。じゃあ一緒にお願い、はーちゃんもモフルンもね」
と4人で階段を降りていった。そして次の晩から朝日奈家では夕食後に皆でお茶会をするのが習慣となった。



「ETERNAL WORLD」



「いってきます、お母さん」
「いってきます、おばさま」x2
「いってきますモフ〜」
ここは朝日奈邸の玄関前。
「おはようございます」
とリズが隣の家から出てくる。
「おはよう、リズちゃん。今日も皆で一緒の通勤は賑やかね」
と今日子がほがらかに笑う。
「今日は私が運転ね」
とみらいがまほうの絨毯を広げその上に5人が座り出発する。
「いってらっしゃ〜い」
の言葉が終わる前にあっと言う間に彼女達の姿が見えなくなる。さて私も出勤の準備をと家に入ろうとした時に窓に映った自身の姿が目に入り、今日子は周囲を見回して思わず呟く。
「まさかあの時のみらいとリコちゃんの言ってた事が本当だったとはね〜 まあでも私は今もこの通りピッチピッチの美人で元気だし良いっか!」
と上機嫌で家に入って行った――。

128 コロ助MH :2017/03/12(日) 14:34:54
現在、朝日奈邸は魔法界の私の実家の隣に、ナシマホウ界の時と同じ姿で建っている。あのお茶会を始めてからもう20年程経過していた。みらいは大学卒業後、宣言通りにモフルンと一緒に魔法学校に復学した。一方、はーちゃんも全ての世界が安定しつつあると言う事と魔法界とナシマホウ界の距離が以前と変わらない距離までに近づいたとの事で、彼女もまた魔法学校に通う事になった。

みらいは伝説の魔法使いだったと言う事もあったし元より素質もあったのだろう、更には会えなかった4年間の間に見違える程に努力家になっていた彼女は、あっという間に魔法学校を卒業し、教職課程を履修し教員免許を取得してしまった。教育実習の時には私の授業に同行して彼女の実地指導を監査する事もあったのだが、当時の自分の時と比較しても少し……いや正直かなり上手くこなしている姿を見て、いつか追い越される日が来るかもしれないと内心ちょっと冷や汗がものだったが。
「私の方が先に先生になったんだし、いつも頑張っているから大丈夫」
と自分を元気付けるも、数日後のはーちゃんの教育実習に同行した時にはものの見事に打ちのめされてしまった。

彼女もまたみらいと一緒に教育課程を履修し教員免許を取得したのだが、元より右に並ぶ者がいない程の魔法力の持ち主に加え「フェリーチェ」を思わせるその高貴で聡明な佇まいと口調で分かりやすい授業をするので、瞬く間に生徒間の中で人気ナンバーワンの先生になってしまった……。少し前までは私とお姉ちゃんとで「美人姉妹教師どっちが上か?!」なんて騒がれてたのが遠い昔の様に思える……とここまでが、今から15年前の出来事である。

そして現在、私達3人は魔法学校で教鞭を執っているのだが、最近になって魔法界全体で注目を浴びる様になっていた。話題になっているのは私達の容姿の事である。同世代の人達と比較しても圧倒的に若くてまるで時が止まった様に美しいままだと。
「その若さを保つ秘訣は?」
とものすごい問い合わせが来たのだが、別に隠すつもりはないので例の薬膳茶のおかげだと言う事と、飲む時に魔法をかけると美味しく飲める事を皆に伝えると、魔法界では空前の薬膳茶ブームになった。実は私達の身近な人達には薦めてたのだけれども、元々の味が味なだけに、美味しい飲み方を教えても私の家族とみらいの家族しか飲んでくれなかったんだけれど、でもこうして実際に効果が出ている私達を見て、今になって多くの人が躍起なって薬膳茶を求め飲みはじめている。そうして皆が飲む様になって分かった事は、その効能には個人差があり、校長先生の様に若返るまでの人はほとんど見られる事はなく、どちらかと言うとその人の老化の速度を緩和させると言うのが一般に認識されるようになった。先日久々に補習メイツに会った時も。
「本当に全然変わってないわよね〜、モフちゃんも」
「昔の写真と比べても一緒だわ」
「あ〜あ、あの時みらいとリコが薦めてくれた時に飲んでりゃあ、アタイもなあ〜」

しかし、魔法界においては若い姿を維持出来る事は賞賛される事があっても、ナシマホウ界だとそうはいかなかった。家族全員が何年も同じ姿で若いままでいられると言うのは、当人達には嬉しい事であったが、残念ながら周囲から奇異な視線を浴びる事になり、噂になりついにはマスコミまで動き始めた事から、校長先生に事情を話し特別に許可を頂きこうして朝日奈邸ごと魔法界に引っ越してきたのである。ちなみに引っ越し先が私の実家の隣なのは、お父様が私がみらいの家でお世話になっているので是非、にと申し出たからである。良かれと思ってやった事とは言え思わぬ混乱を招いてしまい、結果、住み慣れた街を離れなければならなくなってしまった事態に陥った事をおじ様達に皆で謝ると。

129 コロ助MH :2017/03/12(日) 14:35:40
「良いんだよ、みらい、リコちゃん、ことはちゃん、モフルン、分かってるよ、皆が僕らとずっと一緒にいたいと思うのと同じで僕も今日子もお母さんもずっと一緒にいたいと思っているんだよ君達と。だって家族なんだから。皆一緒だったらこの世界でも絶対うまくいくから大丈夫!」
と満面の笑顔でサムズアップしてくれた。その温かい言葉と笑顔に胸が一杯になり、次の瞬間、みらい達とおじ様達の胸の中に飛び込んでいってしまった。その後、おじ様とおば様は魔法商店街のひとつの店舗をパワーストーンの店と電気屋を半々で営業している。正直、最初はパワーストーンはともかく、魔法界で電気屋とはどうかなと思ってたのだけれども意外に評判が良く、何よりもおじ様の誠実な人柄のせいもあるのだろう、修理やアフターメンテナンスは勿論、お客様の希望に見合った電気製品を用意するのでそこそこ賑わっていた。また商品の仕入れにはドクロムシー様とヤモーさんにお願いすればすぐにナシマホウ界に行けるので、商品の確保については困る事なく繁盛していき、ついには人気店となり今ではフランソワさんやグスタフさんのお店と肩を並べるまでになった。

おばあ様は長年、魔法使いの存在を信じていたせいもあって、観るもの触れるもの全てが新鮮らしくて、毎日魔力が込められた絨毯や道具を使って様々な場所に散策に出かけている。先日はみらいと私の授業を観てみたいと言うので魔法学校で一日体験をしたのだけれども、その際に校長先生が。
「みらいくんのお身内の方がお見えになられてるなら是非、ご挨拶をせねばならぬな」
とお忙しい中をわざわざ会いに来て下さった。この時のおばあ様の様子はいつもと少し違ってたので未だに覚えている。校長先生の顔を見るなり、一瞬だけ驚いた表情を見せつつもすぐいつもの温和な表情に戻り。
「そう、あなたが魔法学校の……」
と誰にも聞こえない程にそっと呟き。
「初めまして、いつもみらいと……」
と傍目は社交辞令の様な挨拶を交わしていたのだが、よく見るとおばあ様の目が微かに潤んでいる様にも見えたので帰り際にそれとなく尋ねると、うふふっと実に可笑しそうに微笑んで。
「やっぱり長生きはするものね。みらい、リコちゃん、はーちゃん本当にありがとう」
とまるで少女を思わせる様な笑顔を向けてくれた。おばあ様はその後も機会があれば魔法学校に来る様になった。

そして今日、私達に突然の転機が訪れた。校長先生が大切な話があるので放課後に校長室まで来る様にと連絡があったので行ってみると。
「わしはこれからの魔法界の発展の為に、新しい活力を与える為にも若い君達を校長に推薦しようと思っているのじゃが、どうかの」
あまりに突然な申し出に、私達は目を丸くして顔を見合わせている事しか出来なかったのだが。
「校長の職務については教頭先生をはじめ、皆に君達をサポートする様に既にお願いしてある。勿論、このわしもじゃ」
とにこやかに校長先生は仰ってくれたのだけれども。
「私達が校長先生になるのでしたら、その前に教頭先生もアイザック先生もお姉ちゃ、いやリズ先生もいらっしゃるのに何故私達なんでしょうか? それに校長先生は校長先生をお辞めになられたらその後はどうなさるおつもりなんですか?」
と気が動転したあまりにまくし立ててしまった。直後、心配したのかみらいとはーちゃんが側に来て手を取ってくれたおかげで、すぐに我に返る事が出来たんだけれども。
「申し訳ありません、取り乱してしまいました」
「いや、良いのじゃ。確かにいきなりじゃったからの。教頭先生達は教師として学園で生徒に魔法を教える事が一番大切なんじゃそうだ。それをこれからも続けて行きたいと言っておったわ。わしはこの後は理事長となって君達のサポートもしつつ、魔法界をもう一度ゆっくりと巡ってこれまでとはまた違う方法で発展させられないか見つけたいと考えておる」
「リコ君、君達を校長に推薦したのは、君達が常々、いつか魔法界とナシマホウ界の人々を繋げたいと言っておったのを聞いてたからじゃ。その為に校長先生になりたいと言う事も。 残念ながらナシマホウ界との交流は未だにこちらからの一方通行のままじゃが、君達だったら……かつてこのふたつの世界の危機を救った君達だったら、いつかはそれが実現出来る日が来るとわしは信じている。どうじゃ引き受けてはくれぬか?」
いつだって魔法界全体の事を、私達の事を考えて下さっている校長先生の真摯な言葉に胸を打たれた私は。
「お引き受け致します」
と伝えようとした瞬間にみらいに遮られた。
「あの、校長先生なんですが、モフルンも一緒ではダメでしょうか? 私達はこれまでもずっと4人で頑張って来たので是非、お願いします!」

130 コロ助MH :2017/03/12(日) 14:36:15
その言葉にはーちゃんも同調し、一緒になってお願いしている。みらいの行く所、必ず一緒のモフルンは彼女の授業の時も一緒で、生徒に混じって講義を聞くこともあれば実技の授業の時などは手伝ったりもして、陰になり日向になりサポートしている。その姿に加え、元より愛くるしい容姿をしているせいもあって生徒達に親しみ込めて「モフルン先生」と呼ばれて慕われてはいるんだけれども、さすがにそれは無理でしょうと思っていると、校長先生は一瞬、考え込む様子を見せ。
「そうじゃな、君達は4人で数々の奇跡を起こして来たんだったな。良かろう。但しモフルン君は表向きは校長先生の補佐と言う事にしておいてくれ。教頭先生達にはわしから上手く伝えておくのでな」
「やった〜4人で校長先生だ〜」x2
「モフルンも校長先生モフ〜」
ハイタッチしあって喜び合うみらい達に、それをにこやかに見守る校長先生の様子を観て。
「いやいや、モフルンもってありえないでしょう、あと4人で校長先生なんて……」
と一瞬呆然としてしまったけれど、よくよく考えたら長年の夢が叶った訳でそれを理解した瞬間、私も皆の中に入って行って喜びを分かちあっていた。

その後、お姉ちゃんと待ち合わせし皆で魔法の絨毯で帰宅途中。
「お姉ちゃん、私達が校長先生になる事知ってたんでしょう? 何で教えてくれなかったの?」
「だって校長先生がご自分でお伝えするからと仰るから言わなかったのよ」
「でもその、お姉ちゃんは良いの、私が校長先生で?」
「大丈夫よ、だってリコ達は『伝説の魔法使いプリキュア』で、あの時ふたつの世界を救ったんでしょう?」
「え、何で知っているの?! それを知っているのは私達と校長先生とみらいのおじ様達とヤモーさん達位しか知らない筈なのに」
「実はね、あなた達以外の先生が集められて会議があって、次期校長にはあなた達をと校長先生が推薦したんだけども皆、難色を示したの。そこで校長先生が水晶に記録されてたあなた達3人のプリキュアとしての活動の映像を観せてくれたら、皆一様に感動して満場一致で決まったのよ。でも安心して、これは先生達の間で絶対秘密にすると言う事で決まったから」
「……」
それを聞いた私達は言葉が出なかった。でもまあでもとりあえずは長年の夢が叶った事だし、結果オーライと言う事で納得する事にした。

朝日奈邸に到着するとおば様達が出迎えてくれた。
「おかえりなさい」x3
「ただいま〜」x2
「ただいま、帰りました」x2
「ただいま、モフ〜」

「お父さん、お母さん、おばあちゃん、今日は私達、重大発表があるの!!」
少し興奮気味にみらいがおじ様達に言い寄る。その妙な迫力にたじろぎながらも。
「そうかそれは楽しみだな〜 夕食の時にでも教えてくれよ。そうだリズちゃんも夕食はご一緒にどう?」
「ありがとうございます、それでは後ほどお邪魔させて頂きます。それじゃリコ、また後でね」
「うん、お姉ちゃん後でね」
と朝日奈邸に皆と一緒に入って行くと、お姉ちゃんの苦笑気味の呟きが聞こえてしまった。
「全くリコったら、自宅がすぐ隣にあるのに当たり前の様にみらいさんの家に帰って行くのね」

その後、ただの夕食は盛大な祝賀パーティーに変更になり、大いに盛り上がった。



新しい校長が決まった夜、校長室にある人物が訪問した。私の占いには昼間のうちに出ていたので、校長にはお知らせしていたのだが。
「校長、お見えになられました」
「ん、来たか」
そこには半透明の状態のクシィ様が立っていた。
「今日はどこを観て回ったのじゃ? クシィ」
校長が椅子から立ち上がり笑顔で迎える。
「ふむ、今日は魔法の森に行ってきたのか。それで動物達は皆健やかに過ごしておったか?」
「……」
「そうか、あのペガサスの子供はそんなに成長して、今度は子供が生まれるのか。時間が経つのは早いものだのう」
「……」

ふたりの会話はいつもこんなカンジで、傍で観てると校長がひとりだけで喋っている様に見える。クシィ様の口元は動いているのできっとお話されているのだろうけれども、その声は校長にしか届いてない様であった。なのでおふたりだけの世界で話している間は、何となく疎外されてる気がしてちょっとだけ寂しい思いもするのだけれども、でも校長が普段は見せない程の笑顔で旧友との語らいを楽しんでいる姿をみると何も言えなくなってしまう。

131 コロ助MH :2017/03/12(日) 14:37:04
校長の話によると、クシィ様は闇の魔法の呪いから解放された後は魂だけの存在として、自由に魔法界とナシマホウ界を行き来し世界を観て回って楽しんでいたそうなのだが、あのデウスマストの眷属との最終決戦でふたつの世界が分断された時にナシマホウ界に居たせいで帰れなくなってしまったそうで、そして再び世界が繋がる事が出来たので、こうして旧友の校長の元に訪れる様になったとの事である。

「おい、どうしたのじゃ?」
ふと物思いにふけっていてボーッとしてしまったらしい。
「いえ、何でもありませんわ。ちょっと考え事をしていました」
「そうか、ところでさっきリコ君達に話した事なんじゃが、実は魔法界を巡ってみたいと言ってたのはこのクシィの影響なんじゃ。理事長になればこれからは時間に余裕が出来る筈なので一緒に巡ってみたいと思う」
実に楽しみだと言わんばかりの笑顔の校長には胸がチクリと痛んだが、私はまた新たなる校長の元で自分の使命を果たすだけと心の中で言い聞かせた時。
「それでな、君にも是非一緒に来て欲しいのだ。本来なら君の役目は魔法界の長たる校長の元で相談役として職務を果たすべきだと分かってはおるのだが、わしがこれまで幾多の困難を乗り越えてこれたのは君と一緒に居たからこそだし、これからも一緒に居たいと思っている。どうじゃろうキャシーよ」
一瞬プロポーズともとれる突然の校長の言葉に有頂天になりかけるも全力で平静を装い、努めていつも口調で。
「分かりました、これからも私はどこまでもお供させて頂きますのでご安心下さい」
私が人間だったらきっと、つま先から頭のてっぺんまで真っ赤になっているんだろうなと思いつつ、ふと周囲を見渡すといつの間にかクシィ様のお姿が見えなくなっていた。気を使って下さったのだろうか。私の占いは自分の未来までは見る事は出来ないけれど、きっとあの子達と同じ様に自分も光輝いているのかもしれないと思えてきた。この方とこれからもご一緒出来るならきっと、と。その後は校長とふたりでいつもの他愛のない話で盛り上がり、明け方までついつい話し込んでしまった。



祝賀パーティーが終了し、恒例のお茶会も終わり部屋に戻り、明日の準備をしてそろそろ寝ようかなと思っているとドアがノックされた。どうぞと答えると、みらいがモフルンを抱いてはーちゃんと入ってきた。ちなみにはーちゃんは本来の姿に戻っている。
「ねえリコ、今晩は皆で一緒に寝ない?」
「あのねみらい、私達もういくつだと思っているの? いつまでも子供じゃないのよ」
とわざとらしく溜め息をつき一応、表面上は大人な対応を取ってみる。
「いつまでも子供じゃない私達、ね〜はーちゃん、モフルン」
「はー!」
「モフ〜」
彼女達にとってはオンとオフのスイッチの切り替えなのか、家で4人だけになるといつもこの調子になる。昔と変わらない心地よいこの雰囲気は、教師の責務と言う張り詰めた1日を過ごした私自身にとっても随分と癒しとなってて感謝しているし、嬉しいお誘いなのだが一応先輩として。
「今度私達は校長先生に任命されるのよ、だからこれからは魔法界全体の代表として公私ともに分別のある行動を取るべきだと思うの」
とわざとらしくキリっとした表情とポーズでみらい達に伝えると。
「だからさ〜リコ、そのお祝いに皆で一緒に寝ようよ!」
「は〜記念、記念!」
「記念モフ〜」
と満面の笑顔で訳の分からない回答と波状攻撃を受けたので仕方ないという風に。
「分かったわ良いわ、でも今晩だけ特別だからね。じゃあ行きましょう」
とすまして先に部屋を出て屋根裏部屋のはーちゃんの部屋に向かってると、後ろから歓声に混じって。
「相変わらずリコってチョロいね〜」
「チョロいよね〜」
「チョロいモフ〜」
と微かに聞こえてきたけど気にしない事にする。

132 コロ助MH :2017/03/12(日) 14:37:35
途中、廊下でおば様とすれ違って。
「あれ、あなた達また今夜も一緒に寝るの?」
と尋ねられる。実は私とはーちゃんが再びこの家に住み始めた時に4人ではーちゃんの屋根裏部屋で寝るのが習慣になってしまい、いつまで経っても続いているのでみらい達が教師免許を取得したのを機に。
「みらいとはーちゃんも先生になったんだし、これからは皆それぞれ自分の部屋で寝ましょう」
と提案すると3人から激しく反対されのだけれども心を鬼にして。
「今度あなた達は教師になるのよ、これからは教師として公私ともに生徒達に恥ずかしくない行動を取るべきだと思うの」
「じゃあ今晩は私とはーちゃんが先生になった祝いに……」
と言った具合に何だかんだと理由をつけて一日を置かずして私を誘いにくる。なので結局は1年の内の大半は4人で一緒に寝ている。

「ええ、今日は皆で校長先生になったお祝いだそうです」
「そうなの、じゃあ皆おやすみなさい」
「おやすみなさい」x3
「おやすみなさいモフ」
私たちが屋根裏部屋の階段を上がって行くのを見送りながら。
「本当、いつまで経っても仲が良いんだから。昨日はピーカンみかんが豊作で、一昨日は薬膳茶の茶柱が立ってた祝いとかだったかしら。全くあの子達にとっては毎日が何かしらの記念日なのね」
と楽しげに微笑みながら、おば様は部屋に戻って行った。

はーちゃんの部屋、4人はいつもの定位置でベッドで寝ている。
「私達、本当に校長先生になるんだね〜。ワクワクもんだ〜」
「ワクワクもんだし〜」
「ワクワクモフ〜」
「そうよ、でも4人で任命されたと言う事は、それだけ校長先生のお仕事が激務と言う事よ。だから心してかからなければいけないと思うの」
「そうだね、頑張らないと。でも大丈夫だよ。4人一緒なら、これまでも色んな困難を乗り越えて来たし、何より私達の夢にもつながっているんだから」
「魔法界とナシマホウ界が繋がったら、まゆみとかなと壮太とゆうとを招待したいね〜」
「モフルンは、いちごメロンパンのお店が魔法界にも出来て欲しいモフ」
とそれぞれが描く未来についていつまでも話は尽きなかったが時計を見るとそろそろ12時に差し掛かろうとしてたので。
「皆、明日も早いしもう寝ましょう。おやすみなさい」
と皆に伝え部屋の電気を落とすと。
「おやすみなさい」x2
「おやすみなさいモフ」
の返事の後の数分後には規則正しい寝息の音が聞こえてきた。どうやら今日は色々と劇的な事があったせいで疲れてたらしい。つられて私も眠りに落ちそうになる時ふとはーちゃんが最初に魔法を使った時の光景が蘇った。
「キュアップ・ラパパ! 大好きなみらいとリコとモフルンとずーっと、ずーっと一緒にいられますように……」
「きっとあの時の魔法が今も効いているんだわ。だから私達は……ありがとうね、はーちゃん」

その晩は、魔法界とナシマホウ界との友好交流の調印式に、私達4人が正装で立ち会っている夢を見た。周囲を見回すと皆、知った顔ばかりで盛大に祝福してくれている。その光景に何となくこれは夢なんだなと感じつつも観衆に大きく手を振って回った、そしていつか絶対に実現しようと思いながら夢の中の私は大いに楽しんだ。翌朝、みらい達に夢の事を話すと、偶然か皆同じ夢を見たそうで朝から朝日奈家の食卓は大いに盛り上がった。そして。
「リコ、今日は皆で同じ夢を見た記念だよ!」
とみらいとはーちゃんとモフルンと鼻息を荒くして迫ってきた。まだ朝なのにと苦笑するしかなかったけれど、でもどうやら今日も良い1日になりそうだ。思えばみらいと巡り逢えた奇跡が今もずっと続いている様な気がする。そしてこれからもずっと。でも、それでも心配性な私は気がつくとついつい呟いてしまう。

「キュアップ・ラパパ!今日も良い日になあれ」
と。

133 コロ助MH :2017/03/12(日) 14:38:15
以上です
結局、6レスになりました。
どうもありがとうございました。

134 名無しさん :2017/03/12(日) 14:39:36
運営さんお疲れさまです
祭り最終日になってようやく読み始めたんで感想入れてこうっと

>>16
夏希さん恒例のオープニング! まほプリの最終話と絡んでてお祭り気分が高まりますね
会えなかった4年分の寂しさを楽しさに変えるなんてワクワクもんだし!

>>18
カタツムリニア廃業w それはさておき、みらリコって再会後絶対離れられなくなってそう
魔法界でもナシマホウ界でも同棲してればいいさ!

>>28
プリキュアのマスコットでこんなに好きになったのはモフルンが始めてなんでモフデレラの話 大好きです。
生意気口調のチクルンがまたいい味出してて楽しく読ませていただきました!

>>35
背伸びアコちゃん可愛い! エレンがお姉さんポジションなのが新鮮でした。案外カッコいいぞ エレン!!

135 名無しさん :2017/03/12(日) 14:53:36
>>42
薫お姉さんは絵のことだけじゃなくいつもみのりちゃんのことで頭がいっぱいなんですよね、そう それでいい。

>>51
あー…どっちの世界も優しさに包まれてていいですね! すごく彼女たちらしい学園生活。
世界観がステキです!

>>70
これはすごい大作! 記憶を無くしたせつなとウエスター、サウラーとの距離感がうまいと思いました。
バラバラだと思っていたラビリンス側にもちゃんと繋がりはあったんだっていう所がすごく好きです。
続きが読みたい!

>>77
視点がクルクル変わって始めは戸惑ったけど詩的な綴り方は読み易かったです。
知らない人は中2と中3の間に何があったんだってなりそうですね

136 名無しさん :2017/03/12(日) 15:54:50
>>82
みらリコ夫婦と娘はーちゃん&マスコットモフルン。これぞ魔法使いプリキュア安定ポジション!
遠くからそっと見ていたいです。薬膳茶、私も欲しい!

>>89
SSなのに香りまで伝わってきそうなせっちゃんのコロッケ! そしていい所で終わってしまう!
思わずオチを想像しちゃいますね、ラブは気付くかな?

>>92
めっちゃ笑いました! なぎさとえりかの組み合わせ、アリですね! 黒いつぼみも可愛いです
ほとんどセリフだけなのに光景が目に浮かびますわw

>>95
これは…w いいのかな? ここに投下してw
あえて言います。私は大好きです!

137 名無しさん :2017/03/12(日) 16:07:55
>>101
多分らんこちゃんの名前が出たのはキラプリスタッフのお遊びだったと思うんですけど そう来たか! って感じで面白かったです! キャラが生き生きしてる…
戦闘描写も凝っててすごく彼女たちらしさが出てますね、楽しくてメッセージ性もあってこんなSSが書けるようになりたい…

>>106
まこぴーがカッコいい…だと…? (失礼)
きちんとした積み重ねが人を立派にしていくって実践する姿は、このメンバーならではの重みがあって胸を打たれました!

>>111
あー… すみません、ノーコメントで。
でももっとじっくりした展開でもいいと思います!

>>118
ベニーギョさんなにやってんすかw
色んな人間模様が見えるこういったシリーズ大好きです! やよい、あゆみ…こいつら早く何とかしないと…

138 名無しさん :2017/03/12(日) 16:15:54
>>125
誰か書くかなーと思っていたアイドルシリーズ! 特にこの二人の組合せは絶妙ですよね。
美希たんの隠そうとして隠しきれない百面相と、リコの強がろうとして強がり切れないみらい好きが炸裂してて面白かったです。
きららも交えて、パリが賑やかになりそうだな〜。

>>133
ついに三部作! まさか舞台が魔法界に移るとは思っていなかったので驚きました。
しかし、薬膳茶まさかの大人気w 思いがけないキャシーさんやあの方のその後も読めて、一粒で二度楽しかったです。

139 名無しさん :2017/03/12(日) 18:28:43
>>125
きららと同じような道を進んでるのにどうしてこうなった… でもmktnは完璧じゃない所がかわいいのよw

>>133
3部作お疲れ様でした、そしてまさかの20年後! いつまでも若いなんて羨ましい!
みらリコはーモフに幸あれ!

140 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 19:52:53
大変遅くなってすみません、猫塚です。
10レスお借りします。
ケダモノは居てもノンケは居ない
オー、ウェルカム トゥ ザ 大貝第一中学ぅ

カップリングは、菱川六花&相田マナ。

あくまで服の上からですが、
六花が胸を触られるシーン等があるので(それがメインなので)
R-15とさせていただきます。ご注意を。

タイトルは、『冷たいアイスの溶かし方』

141 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 19:53:58

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 今年の夏は駆け足で過ぎていった。
 そのせいだろうか。
 まだ9月だというのに、今日の早朝の気温は、秋の半ばめいて涼やかだ。
 ベッドの中のぬくもりに包まれながら、まだ気持ちよさそうにウトウトとしていた相田マナが、ふとまぶたを開いた。そして、横たわったままで、視線をぼんやりと部屋に向ける。
「・・・・・・・・・・・・」
 頬を撫でる部屋の空気の涼やかさ。
 そこに、最近の菱川六花の態度が重なる。
 どこがどうとは上手く言えないのだが、マナに対する態度に素っ気なさが混じっている。
 時には冷たいと感じるほどに。
(けっきょく、何が原因なのかな・・・・・・?)
 しばらく考えていたが、ベッドのぬくもりに誘われるように、いつのまにか再び意識がまどろみに浸ってしまった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「相田センパーイ、お願いできますかーっ」
「すみませーん、あとでこっちも・・・・・・」
「いいよっ、まかせてっ」
 第34回の大貝祭を目前にして、相田マナは、当たり前のように張り切っていた。
 明るく、活力に満ちた顔つき。夏服 ―― ワンピースタイプのセーラー服 ―― の半袖から伸びる、スラリとした細い両腕は、男子顔負けのチカラ仕事を今日何回こなしただろうか。
 3年生になって生徒会長を引退した今も大貝第一中学校の大黒柱として、生徒たちの支えになっている。むろん、彼女の後を継いだ現在の生徒会長も十分に努力しているが、規格外のスペックを誇るマナとでは、まだまだ馬力に差がありすぎる。

(はあ・・・)
 と、菱川六花が心の中で小さく溜め息をついた。
 幼い時からずっとマナの女房役を務めてきた彼女は、受験を控えているため、今は勉強に集中するようにしている。・・・・・・はずなのだが。
「まかせてじゃないでしょ」
 と、後ろからマナの肩を掴んで、駆け出す直前の彼女を止める。
 結局はマナが気になって仕方がなく、今日もまた彼女のサポートをしてしまうのだった。

 マナが太陽のように笑うならば、こちらの少女は月のように微笑む表情が似合う。大人びた知性を湛える切れ長な両目と、美しく伸びた黒髪が印象的。マナとは真逆のクールな落ち着きを感じさせるイメージ。
 夏服の半袖から伸びる腕は、マナと同じぐらい細い。そして、細くてもタフな彼女の腕と違って、あくまで普通の少女並みのチカラしかない。しかし、マナをガッチリ押さえて、動きを封じている。
「両方とも、あとでわたしが誰か手の空いてる人を見つけて頼んでおくから。マナはレジーナを捜して回収したら、今日はもう終わり」
 振り返ったマナが『まだ頑張れるよ』と元気さをアピールする笑顔を浮かべるも、六花の有無を言わさぬ眼光を前に、それは苦笑いへと変わっていった。
「頑張りすぎて、去年みたいに倒れたらどうするのよ? もう」
 と、ぼやく六花。
 とりあえずマナは、今、声をかけてくれた二人の生徒にゴメンナサイという表情(カオ)で謝って、この場は引き取ってもらった。そして、あらためて六花のほうへ向き直る。
「心配かけちゃってごめんね、六花」
「とか言いつつ、どうせ明日もわたしに心配かけるんでしょ」
「そ・・・、そうならないよう気をつけるね」
 やや辛辣な六花の口調に、マナがたじたじになってしまう。しかし、すぐに調子を取り戻して明るい表情になった。
「あ、そうだ。ねえ、六花、レジーナはラケルに捜してもらおう」
「ラケルに?」

 かつてはマナにべったりとくっついていたレジーナも、今では気まぐれに他の人にも興味を示すようになっていた。特に、からかうとムキになる真面目なラケルに対しては、いじり甲斐があるらしく、最近はよくちょっかいを仕掛けてくる。
 それはまるで、猫が新しいオモチャで遊ぶ事を覚えたような感じである。マナが忙しい時は、彼女の代わりにラケルに宿題を手伝わせたりもしている。
 ただ、ラケルのほうもストレスを爆発させるほどではなく、なんだかんだとレジーナを気にかけているあたり、
(あー、・・・うん)
 と、六花が心の中で溜め息にも似たつぶやきを洩らす。二人のじゃれあう(?)姿に、つい、自分ともう一人の姿を重ねてしまった。
(今頃どうしてるのかなぁ・・・)
 軽く昔を思い出していた六花の顔を覗きこんで、マナがたずねてくる。
「どうかしたの、六花?」
「ううん、ちょっと懐かしい気分になってただけ」
「?」
「それよりも、レジーナの事はラケルに頼むとして・・・・・・マナはこれからどうするの?」
「ふふっ、六花、少しだけ付き合ってもらってもいい?」

142 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 19:54:58

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 そそくさとマナが立ち去って、しばらくのち ――― 。
 彼女から引き継いだ依頼について、適切な応援を手配し終えた六花が、マナに指示されていた場所へと向かった。
 体育館のステージ裏。
 蛍光灯の光に照らされたそこは、普段は壁際にパイプ椅子の収納台車が並べられている程度の殺風景なスペースだが、今は大貝祭本番に備えて、演劇部の公演やクラス演劇で使う大道具などが、あちらこちらに置かれていた。
 目の前にあるクラシック調のソファーも、その一つなのだろうか。
 マナが来るまで少し座らせてもらおうと、六花が腰を下ろす。
 座り心地は悪くない。

 体育館のほうから、数人の生徒たちが歓談している声が聞こえてくる。この時間だと、リハーサルが終わった合唱部だろうと、六花は見当をつけた。生徒会から離れても、マナと一緒にいるせいで、学校の大体の事は分かってしまう。
 いつのまにか目を閉じて、ソファーのやわらかさに身を委ねてしまっていた。朝方はめっきり涼しくなったものの、日中はまだまだ夏服で十分なほどの気温だ。このステージ裏は、のんびりとウトウトするには、ちょうど良い空間だった。
 マナ・・・、と六花のくちびるが動く。
(・・・・・・ごめんなさい)
 最近、つい素っ気ない態度を取ってしまう。
 きっかけは、文化祭の準備が始まる数日前の、ある男子の恋の告白。
 
 まさか自分が・・・と思いつつも、相手の真剣さに応えるカタチで、その告白に向かい合った。無論、最初から六花の返事は決まっていたけれど。
 なるべく優しい言葉を選んで断った六花へ、ショックを隠すためにバツが悪そうな笑いを浮かべる彼が投げかけてきた一言。
――― あ、もしかして菱川さん、好きな人いた?
 動揺。
 六花は「ええ、まあ・・・」と曖昧な答えでごまかして、その場をあとにした。
 なぜだか分からないが、好きな人と言われて、一瞬、思い浮かべてしまったのだ。
 マナの顔を。
 その事に、自分でも少し驚いていた。

 マナとは女の子同士なのに。
 どうしてだろう。

 その日から、いつもとは違った感じでマナを意識し始めて、それがバレないよう心のガードを固くして・・・・・・。自分の気持ちとは裏腹に、マナへの接し方が冷たくなっていく。


(冷たいわたしを溶かして、幸せの王子様)
 ソファーにもたれかかって、まどろみの中でつぶやく。
 幸せの王子こと相田マナを待ちわびる。童話の中のお姫様のように、胸の鼓動を微かに高鳴らせながら。
 
「 ――― 大変お待たせいたしました。六花お嬢さま」

 ――― いきなり来たっ。
 飛び起きんばかりの勢いで、六花が目を覚ます。
 完全に油断していた。無防備な寝顔を見られたのでは?と思うと、ちょっと恥ずかしい。
(それにしても、マナ・・・・・・、何なの?)
 黒い燕尾服に白いブラウス、黒い蝶ネクタイ、そして、やはり黒色のスリムなスラックスの組み合わせ。深々と優雅な一礼をしている彼女が右手に持っているのは、黒のシルクハット。
 マジシャン ――― のつもりらしい。
 軽く面食らっている六花の前で体を起こし、「では」と勿体付けて左手をシルクハットの内側へ。
 バッ、と取りだされ、宙に放たれたのは数枚の白いハンカチ。
『バサバサバサバサ・・・ッ』
 と、何羽ものハトが一斉に羽ばたく音がシルクハットの中から聞こえてくる。
 やはり面食らったままの六花が、視線を動かして、放物線を描いて落下していく白いハンカチを追う。
 マナが再びシルクハットの内側に左手を差し入れて、何やら操作すると、ハトの羽ばたく音は消えた。そして、数枚のハンカチが床に落ちる。
「・・・・・・えーと、さすがに学校の中でハトを飛ばすのはマズイかなーって思って・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
 マナが床のハンカチを拾い、シルクハットの中へ戻す。そのシルクハットをソファーの端に置いて、六花の右隣へ腰を下ろす。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「えっ・・・、マナ、手品、あれで終わり?」
「う、・・・うん、急な思い付きだったから。 ――― あはは、なんか、滑っちゃったね」
 バツが悪そうに苦笑するマナ。
 この衣装とシルクハットは、大貝祭でマジックショーをする事になったクラスから借りてきた。
 少しでも六花の雰囲気をなごませたいと考えてのコトだったが・・・・・・。

143 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 19:56:04

「ねえ、六花」
 あえて隣を見ずに、マナが口を開いた。
「何かあったの? ・・・・・・あたしが原因かな?」
 最近の態度の事を問われていると察した六花が、それに対して答えようとした瞬間、今さらながらに気付いてしまう。
 マナのパートナー妖精・シャルルは、家でお店のお手伝い。
 ラケルは、レジーナを捜しに。
 だから、この状況 ――― マナと二人っきり。
「マナには関係ないでしょっ」
 ・・・・・・まただ。マナを意識しすぎた。
 気持ちとは裏腹の、冷たい拒絶。
 言ってから五秒もしないうちに、心が後悔で溢れかえる。
 
「そっか」
 と、マナがうつむいた。
 質問に否定を返されたからではない。
 今、六花が声の調子や態度の中に見せた、むき出しの感情。それが『答え』を教えてくれた。女の子同士だからこそ直感的に分かってしまう、相手の本当の気持ち。
(うーん、でも、万が一、あたしの思い違いだったら困るし、どうしよう)
 ちなみに、思い違いじゃなかったとしても悩む所だ。
(六花と・・・・・・)
 そっと左腕を動かして、六花のひざの上に置かれた彼女の右手の甲へ、手の平を乗せる。
 一瞬、六花はハダカでも見られたみたいに慌てふためいてみせたものの、少し落ち着くと、そのマナの左手の甲の上に、自分の左手を重ねてきた。
 マナのほうは見ない。顔をそらしたまま、静かに次の彼女の言葉を待っている。

 体育館のほうから、女子の笑い声が響いてくる。リハーサルの終わったはずの合唱部だが、まだまだ帰る気配が無い。この時間帯なら、体育館のステージ裏は、六花と二人で静かに話すのに最適だと当たりをつけていたのだが。

 マナは、仕方がないとあきらめて、
「ねえ、六花・・・」
 と、六花の反応を窺いながら続けた。
「もし、あたしが男の子だったら ――― あたしは、どんな女の子を好きになってたと思う?」
 それは、六花の心を波立たせる質問。
 マナが「う〜〜ん・・・」と軽く考え込んで、言葉を付け加える。
「もう少し具体的に言うと、『誰を』・・・・・・かな」
 感情のざわめきを抑えた声で、六花はあっさりと答えた。
「そりゃあ、まこぴーに決まってるでしょ」
「・・・あはは、まこぴーは、まあ、好きだけど。他にいないかな? その・・・・・・」
 六花の肩にぐりぐりと自分の肩をくっつけながら、マナは、ちょっと期待するみたいな表情をしてみせる。だが、六花は冷淡ともいえる態度を崩さなかった。
「じゃあ、ありすは? 結婚すれば総理大臣どころか、世界の頂点に君臨できるわよ」
「別に世界の頂点は狙ってないんだけど・・・・・・、えーっと・・・・・・」
「そういえば、マナって随分とレジーナに甘いわよね?」
「うーん、そうかなぁ・・・。でも、それは恋愛感情的なモノじゃないよ? 本当に」
「亜久里ちゃんはどう? 年下だけど、しっかりしてて頼りになるわよ」
「ウンウン、亜久里ちゃんは、しっかり者で頼れそうだけど・・・・・・、そうじゃなくってぇ」
「あっ」
 何かに大切なコトに気付いたような六花の反応に、今度こそ・・・と、マナの瞳が輝く。
 六花はマナのほうを向いて、にっこりと笑った。
「やっぱりマナのパートナーといえば、シャルルよね」

 がくんっ、と一瞬両肩を落としたマナだが、すぐに含みのある笑みを浮かべて、六花へ顔を近づける。虚を衝かれた六花は逃げられない。
 吐いた息が相手のくちびるに届く距離。
 マナの左手に重ねた自分の手の平が汗ばむのを感じる。
「六花ぁ・・・、誰か一番大事な人の名前を言い忘れてないかなぁ〜?」
 と、ゆっくりした口調でマナが言ってくる。
 くちびるが、彼女の温かい吐息で撫でられた気がした。
 六花がとっさにとぼけて「アイちゃん」と言おうとすると、右手の上に置かれたマナの手の平が、
 ――― グッ、
 と、柔らかな圧力を加えてきた。こころなしか、顔の距離も微かに縮まったような・・・・・・。

144 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 19:57:18

「・・・り〜〜っか?」
 と、ささやくみたいな声が耳たぶをくすぐった。
「マ・・・マナは、それを聞いてどうするのよ?」
「んー、どうしよう・・・。あたしも、それはまだよく分からないんだけど・・・・・・」
 
(ひ、卑怯よっ・・・!)

 マナの曖昧な態度に、心の中で抗議の声を上げる六花。
 もしここで正直に言っても、下手をすれば六花の玉砕で終わってしまう。
 答えられない。
 でも、マナは聞きたがるのをやめてくれない。
「・・・・・・あたしが好きになると思う人の名前を・・・・・・言ってみて、六花」
 敏感な耳の内側。
 マナがしゃべるたび、生温かい息で撫でまわされて、こそばゆい。
 あともう少しで、ゾクッ ――― と来る、その一歩手前の感覚。
 いつのまにか瞑ってしまっていた両目を、うっすらと開いて、
「知らないっ・・・」
 と、弱々しい声で突っぱねる。
 ふふっ、と笑うマナ。さらに顔を近づけて、六花のうなじの匂いをスンスンと子犬みたく嗅ぎ始める。
「六花、いいニオイする・・・」
「やっ、ちょっと・・・」
 身体をよじって逃げようとする。・・・・・・けれど、できなかった。
 スンスンと嗅いでくるマナの鼻先が、時折、ちょんっ・・・ちょんっ・・・と、うなじに当たっている。こんな事が妙に嬉しくてたまらない。
(あっ・・・)
 ――― どうしよう、わたし。マナのこと、すごく・・・。

 くんっ、とマナの顔が小さく上向いて、再び六花の耳もとにくちびるを寄せてきた。
 本当にギリギリの ――― 触れるか触れないかぐらいの距離。
「ところで、いいニオイの六花さん、あたしが好きになりそうな女の子に心当たりは?」
「んっっ!」
 六花の背に、びくん・・・と小さな電流が走った。
 今、柔らかな感触が耳の縁をなぞったような気がする。
 マナの手を、ぎゅっ、と掴む。
「どうしたの、六花? ・・・・・・もしかして、今、かすった?」
「平気よ。女の子同士でしょ? こんなの、ただの・・・・・・スキンシップ、だし」
 自分の顔が熱くなっているのが分かる。
 こうしてマナのそばにいるだけで、心臓が ――― 苦しい。
(苦しいだけなら逃げ出せばいいんだけど・・・・・・) 
 六花にとって初めてだった。
 しあわせが胸に収まりきれないために覚える息苦しさ。
 そして、そんな鼓動の切なさ。
(もっと苦しくなってもいいから・・・・・・)
 ――― マナと、ずっとくっついていたい。

 ・・・・・・マナも六花と同じ気持ちだった。
 くちびるを、今度は意図的に耳の縁へ ――― そっと触れ添わせるように。
 こらえ気味の声を上げて、六花が身体を震わせる。予想以上にくすぐったかったみたいだ。
 綺麗な耳の輪郭をなぞり上げたくちびるを少しだけ離して、マナがいたずらっぽくささやいてみせる。
「これも・・・、ただスキンシップだよね? 六花」
 ――― じゃあ、こんなこともしちゃおう。
「・・・ちゅっ」
 マナのくちびるが、六花の耳たぶで小さな音を鳴らした。
 湿った、甘い響き。
 紛れもなくキスの音。
「あっ・・・」
 と、六花が声をこぼしてしまう。
 夏服に包まれた少女の身体は、緊張のあまり硬直。
 六花が抵抗できないのを分かった上で、マナのくちびるが、また甘ったるい音を鳴らした。
「ちゅっ・・・」
 耳たぶで弾ける、柔らかな感触。決して強い刺激ではないのに、なぜか身体の奥で、ビクッ、と痙攣が走る。たまらなくなった六花が、上擦った声を洩らして小さく身悶える。
「う・・・、あぁ・・・、駄目よ、マナ」
「どうして? ただのスキンシップなんでしょ?」
 そう言ったくちびるが、六花の耳の内側へ優しく触れる。ちゅっ、と甘く吸いつく音。
「あっ・・・あっ、だめ、マナぁ・・・」
 ぞくっ ――― ぞくっ ――― 。
 くすぐったさと同時に突き上げてきたのは、甘美な悦びに体の一部を溶かされる感覚。
 初めての体験に、六花の心が翻弄される。

145 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 19:58:19

「・・・・・・・・・・・・」
 耳からくちびるを離したマナが、六花の両手に挟まれていた左手を静かに抜いた。
(六花、ふふっ、とろけちゃってカワイイなぁ)

 ――― だって、ただのスキンシップなんかじゃないものね、本当は。

 六花はまだ、耳に残る甘やかなこそばゆさに酔っているようだ。
 彼女のくちびる ――― 女の子にとって特別な意味を持つ場所へ、優しく左手の人差し指を添わせた。
 その動作に数秒遅れて、六花が、びくっ、と身体を震わせる。
「六花、今度はこっちでスキンシップしてみる?」
「えっ・・・」
 マナの言葉に、目を丸くする六花。彼女の顔が、瞬く間に恥じらいの色で埋め尽くされる。
「駄目よ、さすがにここは・・・」
「ふーん? あたしは別に嫌じゃないけど。・・・・・・六花には無理なんだ」
「無理とかじゃなくて・・・・・・」
 六花の戸惑いに関係なく、胸では心臓の音が高鳴っている。本当に好きな相手にキスを迫られたら、誰だってそうなってしまう。
 マナは、そんな六花の様子を愉しみながら、彼女のくちびるを指先でなぞっていく。
「・・・・・・っっ!」
 あえぎを押し殺した六花のあごが、クッ、と上がった。こそばゆさを堪える表情や仕草がすごく可愛い。
 幼少の頃から連れ添ってきた親友が、初めて覗かせる一面に、マナの胸がキュウッとなる。
「フフッ、六花はどこまで頑張れるのかな〜?」
 なめらかなくちびるを、こしょこしょ・・・とくすぐって声を上げさせようとしたが、六花は悩ましげな顔のまま押し黙って抵抗。両ひざの上で、ギュッとコブシを握って我慢を続ける。
(六花っ・・・)
 半分冗談のつもりだったのに、本気でキスしたくなってきた。
 今の六花なら・・・・・・あと、もう一押しといったところか。

(よしっ!)
 ソファーから腰を浮かせたマナが、六花の前に立ち、そして覆いかぶさるように、ぐいっ、と上半身を前のめりに。
 ほっそりした六花の両肩の、すぐ外側 ――― ソファーの背もたれの部分をがっしりと両手で掴む。これ以上距離を詰められるコトを恐れた六花が、両ひざをそろえて、固く閉じようとする。しかし、遅い。それを読んで、マナの左脚は、六花の両太ももの間を割って深く入っていた。
「やっっ、・・・こらっ、マナっ!」
 ひどく焦った表情で、六花がマナを見上げてくる。逃げ場をふさがれたという心理的な圧迫感によって、いつもの冷静さを完全に無くしている。
 その痛々しいまでに無防備になった幼なじみの姿を目にして、
(あー、しまった・・・かも)
 と、マナが後悔。
 今、この状況で強引に行動に出たら、六花は泣き出してしまうかもしれない。

(仕方ない、キスは後回しってことで)
 それよりも・・・・・・。
「ねえ六花、あたしの質問に、まだ答える気になれない?」
「心当たりは、その・・・あるかも・・・・・・だけど」
「あるんだったら教えてよ、六花」
「それは・・・・・・」
 マナのまなざしから逃げるように視線を逸らした。
 六花の乙女心が揺れる。
(マナ・・・・・・、冗談なんかじゃなく、本当にわたしのこと・・・・・・)
 黒い燕尾服にスラックスという、マナの正装めいた姿のせいか、・・・・・・なんというか、まるでプロポーズに対する返事を聞かれているような気がしてきた。

 ――― どうしよう。マナにキスされちゃったら。

 答えを口にした途端、くちびるを奪われてしまいそうで少しこわい。
 でも、マナを愛しく想う気持ちが、どんどん自分の胸の中で高まっていく。
 心の準備は、まだ全然だけど・・・・・・。
 恥じらいで赤くなった顔をうつむけていた六花が、チラッと視線を上げた。
「答えてあげてもいいけど・・・・・・、マナは、その子と付き合うの?」
 うーん、と苦笑するマナが歯切れ悪く答えた。
「実はまだちょっと・・・、迷ってるっていうか・・・」
「・・・えっ?」
「ほら、大切な相手だけど、女の子同士なわけだし」
「・・・・・・・・・・・・」

146 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 19:59:13

 六花がグッと声をこらえて下を向いた。
(何よ、それ・・・・・・)
 マナへの感情が心の中でグツグツと滾ってくる。
(マナってばホント煮えっっっっ切らないっっっっ!!! 
迷う必要ある!? もう女の子同士でもいいじゃない! わたしなんて、マナとならファーストキスどころか、その先まで進んじゃってもいいかなって覚悟決めかけてたのに!)

 胸の内に激情を一気に吐き出し終えると、スーッと頭は冷えた。
 しかし、心はまだ熱いままだ。
 こうなったら ――― 絶対にマナをわたしのものに・・・・・・ッッッ!!

 そう思ったら、自然に両手が動いていた。
 ソファーの背もたれを掴んでいたマナの右手を、ぐいっと下へ押し下げ、強引に自分の左胸をさわらせた。
 死ぬほど恥ずかしいのに ――― かつてない高揚感で胸がうずく。
「ね・・・ねえ、マナの好きにしていいよ・・・」
 恥ずかしさを精一杯こらえて、誘うような色香を乗せた微笑を浮かべてみたつもり。
 ・・・・・・残念な事に、マナの目には、ぎこちなく引き攣った笑顔としか見えないが。
 唐突すぎて、マナが困惑の笑みを顔に広げた。
(な・・・なんだか六花、無理してるなぁ・・・・・・)
 でも、まあ、この誘いを蹴ったら、それはそれで六花に恥をかかせてしまいそうなので、せっかくだからというカンジで触らせてもらうことにする。
「じゃあ、六花・・・、ちょっとだけね」

 まだ発育途中。制服に浅いカーブを描いて、ようやく自己主張を始めたばかりの胸のふくらみ。
 その幼げな丸みに沿わせた手の平を、ゆっくりと上下に滑らせる。
 夏服の薄い生地の下 ――― ブラジャーの手触りを通して、やわらかな肉感が伝わってくる。
「ん・・・、ンッ・・・」
 くすぐったさをこらえる六花が、わずかに身じろぎ。
「ごめん、くすぐったかった?」
「平気・・・、気にしないで」
「うん、じゃあ、もう少しだけ・・・・・・」
 思春期の胸のなめらかな曲線を、マナの手の平が優しく撫でさする。
 発育途中の小ぶりなサイズのふくらみは、肉付きに関しては物足りなくとも、瑞々しい張りのあるやわらかさが、マナの手をよろこばせる。

「六花の胸のカタチ、綺麗だね」
 ささやきながら、右手の親指の付け根辺りに、ぐっ、とチカラを込めてみる。一瞬押さえつけられた胸の丸みは、柔らかな弾力を持って、ふよっ・・・とマナの手の平を押し返してきた。
「・・・・・・きもちいいよ、六花の胸」
「そ、そう? マナの好きなだけ、さわってくれてかまわないから」
 マナの右手に添えられた両手は、恥ずかしさのあまり、今にも震えだしそう。
 六花は、優しく胸を撫でる手の動きにひどく敏感になっていた。服越しなのにもかかわらず、白い肌が甘美なこそばゆさで蕩かされてゆく。
(やだっ・・・)
 大好きな相手が目の前にいるのに、少しだけ、いやらしい気分になってしまった。
 こんな気持ちを、マナに見透かされたらと思うと ――― 。
「あっっ・・・」
 胸のふくらみを撫で上げてきた手の動きに、六花の背筋が、びくっ、と小さく跳ねて弓反った。
 その反応にマナの手が止まる。・・・・・・が、すぐに再開。さっきまでよりも大胆な手付きで、初々しい胸のふくらみを愛でてくる。
「うっ・・・、あっ、・・・あぁっ、うっ・・・・・・ン゛ッ・・・」
 六花の押し殺した声が、体育館のステージ裏にこぼれる。
 五本の指を広げた手の平が、夏服に浮かび上がる胸の丸みにかろうじて触れているような状態のまま、さわさわと円を描くようにすべり、時折、そのなだらかなふくらみを手の平で優しく押しつぶして上下にマッサージ。
 マナの手の平へ柔らかに跳ね返る胸の弾力。それを、つっ・・・と、くぼませて遊ぶ細い指先。
 まるで、六花をさらにいやらしい気分にさせるための場所を探して触診しているみたいだ。
(駄目っ、マナのさわり方、きもちよすぎて変になっちゃう・・・・・・)
 夏服越しの感触。少女の淡い胸のふくらみへ、マナが指先や手の平を何度もすべらせて、その瑞々しい肌の張りを味わってくる。逆に、そんな彼女の指使いや撫で方を、六花は自分の小ぶりな胸のふくらみで味わいつつ、ひそかに興奮を覚えていた。
「んっ、ふっ・・・あっ、うぅ・・・・・・」
 喘ぎ声を抑えて悶える六花の上半身は、いつのまにか熱く火照っていた。

147 名無しさん :2017/03/12(日) 19:59:47
>>125
凄いな〜まだ執筆本数少ないのに……。セリフのかけあいが面白いです。上げて落すところといい、読者を笑わせることを意識して書いた作品ですね。らしさもちゃんと出ていて、短編としても楽しいです。来年も期待しています!

148 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 20:00:01

(マナ、大好き)
 胸の丸みを愛撫する手付きが、徐々になめらかさを増してくる。それをもっと深く感じようと、うっとり両目を閉じていた六花の上半身が、突如、ビクッ!と『く』の字に折れた。
 なだらかな胸のふくらみのてっぺん。そこをマナの指が強めに、ツツっ・・・と擦ったのだ。
「やっ、やだっ、マナっ・・・」
 服の生地とブラジャー越しだったが、感度の高い胸の先っぽは、陶然としたうずきに一瞬支配されてしまった。マナの指が離れた今も、ムズムズと余韻を残している気持ちよさがたまらない。
「・・・・・・おやおや六花、そんなに気持ちよかったのかい?」
 と、からかうみたいなマナのささやき。
 そして、右手の指先をこまかく動かして、胸先を集中的にまさぐってきた。
「ひっ! ちょっ・・・コラっ、マナっ、ホントにやめっ・・・きゃっ! やっ・・・、駄目って!」
 ソファーの上で騒ぎながら抵抗する六花。
 マナが自分のくちびるの前に左手の人差し指を立てて『しーっ』と、さらにその視線が意味ありげに体育館のほうへと向いた。
 ・・・・・・理解できた六花は、押し黙るしかなかった。
 まだ体育館のほうから、しゃべり声が聞こえてくる。合唱部の女子たちは、完全に歓談モードへと入ってしまったらしい。
 向こうの声が聞こえるというコトは、当然こちらの声も、下手をすれば ――― 。
「気付かれたら、誰かこっちに来ちゃうかもしれないよ? だから、なるべく静かにね、六花」
 そう言ったマナが、左手も伸ばしてきた。
「だ・・・だめよっ、マナ・・・」と、抑え気味の声で言って、首を横に振る六花。ならば・・・と、マナは笑顔を浮かべて策略を行使。
「六花、本当に愛してる」
「な、なによ、いきなり・・・・・・」
「愛してるよ、六花。だから、さわらせて?」
「だから・・・じゃないでしょっ。さわらせませんっ」
「ふーん、じゃあ、これでも?」
 六花の胸から右手を離したマナが、今思いついた手品を試してみる。
「六花、今から手品するから。見ててね」

 マナが上向けた自分の左手に、そっと右手の平を被せた。
 六花の視線がそこへ向いているのを確認してから、そぉーっと右手を持ち上げた。
 ・・・・・・もちろん、上向けた左手には何も乗っていない。
 怪訝な目でマナを見上げてくる六花に、マナがニコッと笑ってみせた。
「六花になら見えるはずだよ。ねっ? よく見て」
「何も無いじゃない」
「そんなことないよ。ほら、そろそろ見えてきたんじゃない?」
 マナの右手が、左手の上で、六花に向かってパカッと何か開けるような動きをしてみせた。さすがに六花にもピンときた。
「給料3ヶ月分?」
 六花がたずねたのは、マナの左手に乗せられた『見えないリングケース』の中身の値段だ。
 ふふっ、と笑うマナ。
 彼女の勝ちだった。
「・・・・・・分かったわよ。さっ、その指輪、はめさせて」
 ツンとした態度で、六花が左手を ――― ほっそりとした薬指をマナへと差し出した。
 マナが『見えないリングケース』から取り出した『見えない婚約指輪』を持ち、六花の左手を自分の左手でそっと支えながら、少女の薬指へ恭しく指輪を通していく。
(わたしとマナ、二人だけの記憶にしか残らない婚約指輪・・・か)
 最初の白いハンカチをハト代わりに使った手品よりも、断然いい。
 物質的には何も無いのに、薬指の第二関節と第三関節の間に、ジンッ・・・と心地良い熱のようなものが生まれている。六花が、その薬指を見せ付けるように顔の隣まで持ち上げて、
「綺麗な指輪ね。ありがとう、マナっ」
 と、純真な笑顔をマナへと送った。
 そして、すーっと息を吐き、腰の横に下ろした両手で、ソファーのクッションをきゅっと掴む。
 マナの目線が下がる。
 それを追った六花が、侵入を阻止するために両太ももでずっと挟んでいたマナの左脚を解放してやった。
「いい? マナ、先に言っておくけど、先っぽばっかりイジメちゃ駄目よ」
「分かってるってば。六花、愛してる」
「あー、もお、ハイハイ」

149 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 20:00:46

 マナの右手と左手が、それぞれ左右の胸のふくらみへ、やんわりと触れてくる。
 夏服越しに感じるくすぐったさ。
「んっ・・・」
 ぴくっ、と片目をつむりかけた六花が、ソファーのクッションを強めに掴む。
 なだらかな曲線のカタチに沿って、マナがゆっくりと愛撫の手付きをすべらせてきた。
「あっ、うぅ・・・うっ、ん・・・・・・」
「六花の胸って、将来大きくなったら色々できそう」
「色々って・・・、何を想像してるのよ。マナ、いやらしい」
「ふふっ」
「あ、あぁっ、ちょっと、マナっ・・・」
 ふくらみかけの胸を撫でまわしているマナの両手が、左右別々の動きで二つの丸みをまさぐり始めた。どちらの胸のほうが感じやすいか、実験するみたいに。
「あっ、そんな風に・・・さわられたら・・・・・・くすぐったっ、うっ・・・」
 ソファーの背もたれに強く背中を押しつけて、胸のこそばゆさに仰け反ろうとする上半身の動きを抑える。
 ・・・・・・しかし、声と表情にどうしても出てしまう興奮の色までは抑えられない。
「いやらしいのは、あたしじゃなくて、六花のほうなんじゃないかな?」
「 ――― わたしをいやらしくしているのはマナじゃないっ!」
 しっとりと潤んだ切れ長の目で、マナを『キッ』と睨みつけた。
 あはは・・・とバツが悪そうな笑みを洩らしたマナが、そんな彼女の顔に見入る。
(勝気な六花の顔もいいなぁ・・・)
 母親譲りの知的な容貌をクールな表情で整えて、涼やかにしている時も綺麗だけど、今、こうして感情をむき出しにしている時の顔も素敵だった。恥じらいに染まりながらも、気持ちよさに流されまいと必死で抗う表情。正直、マナは好きだ。
(けど、どこまで頑張れるかな、六花)
 左右の手の平で包んだ瑞々しい肉感を愉しみつつ、夏服に隠された胸のなだらかな曲線を指先でなぞり上げる。肌を這うマナの手の平や指に、柔らかく跳ね返ってくる肉の弾力。きもちよくて、何度さわっても飽きがこない。
 両胸を愛撫されている六花が、顔を上気させて喘ぐ。
 くすぐったそうにしている六花を見ると、もっといじめたくなる。

 夏服の薄い生地の上に、フワッ・・・と、かろうじて乗せられた程度の指先を、すーーっ・・・と胸の丸みに沿って走らせる。もちろん、左右の手はそれぞれ別の動きで。
「んっ、マナ、何がしたいのよ、もぉ・・・・・・」
 さっきまでとは違う微妙なくすぐったさに、六花は焦(じ)れたみたいな表情。
 マナは、あえて時間をかけて、そういうまさぐり方を続けた。
(も・・・もおっ、マナったらぁっ)
 早く、気持ちよく ――― なりたい。
「あん・・・、もう、いい加減にしてよぉ・・・・・・」
 切なげな声をこぼして、六花がキュッと左右の太ももをきつく閉じた。
 まだそこに残っていたマナの左脚を再び挟んで ――― 大好きな人の脚を太ももで抱きしめるみたいに。
 気持ちよくしてほしいという、おねだりの仕草。
 それが効いたのか、マナの手が、六花の胸へグッと密着。少し強めのマッサージを思わす愛撫によって、小ぶりな二つのふくらみが、軟らかに何度もカタチを崩した。
「ああっ・・・あああ、マナぁ・・・、それ・・・気持ちいいからぁ・・・」
 白い柔肌が、マナの指先や手の平の感触に悦びを求めてしまう。
 悶えながら熱い息を吐く六花に顔を近づけて、マナが興奮のにじんだ声でたずねる。
「六花ぁ、もっと気持ちのイイこと、してほしいんじゃない? ほらぁ」
 夏服の上から胸の丸みの頂点を、指でカリカリと引っかくように・・・・・・。
 両胸の先っぽを責められる六花が、「ふあっ・・・」と、チカラの抜けた声を洩らした。
 相変わらず、夏服の薄い生地とブラジャーの防御力は役に立たない。マナの指の動きに、感度の高い胸の先端は、ムズムズとたまらなくうずいてしまう。
「あ゛ああぁ・・・、マナ、あまり・・・激しく指・・・動かさないで・・・・・・」
 大きな声 ――― 出ちゃう。

150 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 20:01:28

「そうだねぇ、六花・・・、何をされてもガマンしないと」
 意地悪く微笑むマナの両手が、夏服とブラジャー越しに、ツンとこわばっている胸先を強引につまみ上げようとしてくる。
「ひっ、ああ・・・、マナ、こらっ、やめ・・・あ゛あっ・・・」
 ただでさえくすぐったくて敏感になっているのに、そんなことをされたら ――― 。
「あはっっ・・・、やっ、ダメっ、恥ずかしいよぉ、マナぁ・・・」
 胸先の幼い突起に、恍惚とした痺れが走る。
 自分の指でもそんな風に触ったことがないのに、いきなり他人の指でなんて・・・・・・。まだ中学生の少女に耐えられるはずもなかった。
「駄目・・・、マナ、あああ・・・、ひっ、ああ・・・っ」
 胸の先端をまさぐっていた人差し指と親指が、夏服とブラジャーごと感度の高い先っぽを搾り上げるように、キュウッと、きつめにつまんできた。
( ――― 痛ぁっっ!!)
 一瞬、六花の背中がソファーの背もたれに激しくぶつかって悶えた。服の上から電気を流されたみたいな刺激。六花が眉間に悩ましいシワを刻んで喘ぐ。しかし、痛みがジンジンとした疼きに置き換わってくると、六花は身体を熱くするほどの興奮を覚え始めた。
「はぁっ、あっ・・・はぁ・・・、これ・・・すごい・・・・・・いい」
 倒錯的な官能の体験 ――― 六花の知識に無かった甘美な蜜を、感じやすい胸の先っぽで味わってしまったのだ。
 けれど、服と下着を間に挟んでいるせいか、少し感触がもどかしかった気がする。胸先を酔わせる疼きも、なんだか物足りない。
(でも、もしさっきのが直接、何も無い状態でだったら・・・・・・すごく痛いかも・・・・・・)
 ――― でも・・・。
 ――― ゾクッ。
(マナにそういうコトされるのって、ちょっと、期待・・・しちゃうっていうか・・・・・・)
 六花が「・・・ん゛ッ」と鼻にかかった声を洩らした。
 マナの指でいじめられている両胸の先っぽが、さらにムズムズしてきた。

「六花・・・」
 マナの声に視線を上げる六花。マナが注意を向けているほうへ意識を持っていく。
 体育館に居残っていた合唱部の女子たちの声が全く聞こえてこない。物音もしない。
 ようやく帰ってくれたらしい。
「マナ・・・」
 六花の心臓が、はっきりと興奮の鼓動を奏でる。
 今は、本当に、やっと ――― マナと二人きり。

 がばっ ――― 。

 我慢なんて出来なかった。マナの背中に両腕を回して、思いっきり抱きつく。
 ソファーに倒れこみそうになったマナが、とっさに背もたれに左手を着いた。
「六花!?」
「・・・・・・・・・・・・」
 顔を見られるのが恥ずかしくて伏せてしまうけれど、この昂った感情は、もうごまかせない。
 二人っきりになったと思った途端に、気が付いた。
 自分の大切なところが、マナを欲しがっている。
「・・・・・・マナ、いやらしくて・・・ゴメン。わたし、体の奥がすごく疼いて・・・・・・」
「痛いの?」
「ううん、その・・・マナに、撫でてもらいたくて・・・・・・、ス・・・、スカートの奥 ――― 」
「赤ちゃんを産む所?」
 マナの口から、いきなりそんな言葉が出てきたものだから六花は驚いてしまった。しかしまあ、中学三年生にもなれば知ってても普通かな、と思い直し、キュッと彼女の背中を抱きしめた。
「熱く疼いちゃってるの・・・・・・、お願い」
 あとはもう、マナに全部任せようと思った。
 スカートをまさぐり上げた右手が、その生地の下に潜って、六花の太ももを撫でながら這い登っていき、ショーツのサイドを軽く指先でずらす。
 六花はくすぐったくて、マナに抱きついたまま何度も身震いして喘いだ。
 学校でこんな事するなんて絶対に間違っている。それでも ―――――― 。

 その時、唐突に体育館のほうから聞こえてきた声が、二人の睦み事にストップをかけた。

「こらーっ、レジーナ、待つケルーっ、今日はボクと一緒に帰るケルーっ」
「イーヤッ! 今日はマナと一緒に帰る気分なの!」
 六花とマナが顔を見合わせる。
 ラケルとレジーナだ。非常にマズイ。
「ほら、誰もいないケル。これ以上探しても無駄ケル。もうマナは帰ったケル」
「 ――― ねえ、ラケルぅ、体育館の裏って、なんか部屋なかった?」

151 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 20:02:43

「・・・・・・逃げるよっ、六花っ」
 小声で告げたマナが、六花の手を引いて立ち上がらせようとする。
 しかし、六花は「待って」と制止して、マナの顔を申し訳なさそうに見上げた。
「腰が抜けちゃって、立てないんですけどぉ〜〜」
「・・・えーーっ」

 レジーナとラケルが騒がしくステージ裏へとやってきた。
 大道具等に興味を持てないレジーナは、つまらなさそうに一瞥しただけでマナがいないことを確認して、ラケルのことなどほったらかして帰ろうとする。それが気に入らないのか、ラケルが非難の言葉を並べながらレジーナを追いかけて去っていく。

 ――― 壁際から少し離されて置かれたクラシック調のソファーの後ろ。
 中学生の少女二人なら、横になればかろうじて身を隠せる程度の大きさだったのが幸いだ。
(マナ・・・っ)
 マナに抱きしめられた姿勢で床に転がり、ソファーの陰に隠れて息を殺し、なんとかラケルとレジーナをやり過ごした。それはいいのだが。
(どうして、わたしにキスしてるのよっ、もおっ!)
 しっとりと湿りを帯びた、やわらかなくちびる同士の重なり合い。
 息を潜めるために口をふさぐ必要があったとか、そんな理由だろうか。だからといって、キスは無いと思う。大好きな相手との、ファーストキスなのに。
 しかし、ソファーの後ろに隠れ、床の上に転がった状態でしているマナとのキスが、六花の心臓を甘く蕩かしているのも事実だ。
(まあ、もしかしたらラケルたちが戻ってくるかもしれないし、念のため、もう少しこのままで・・・・・・)
 くちづけのやわらかなぬくもりに、心を溶かす。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 

 帰り道。
 二人は手を繋いで歩いていた。
 ・・・・・・手は繋がっているのに、体同士の距離は遠い。周りに人がいないのをいいコトに、六花がマナから出来るだけ離れようとしているのだ。 
「あの〜〜、六花さん?」
「・・・・・・・・・・・・」
「もしかして、とっさにしちゃったキスの事でしょうかぁ?」
 六花の態度の原因を探ろうとしてくるマナに、チラッとクールな視線を向けて、
「キス?」
 と聞き返した。そして、わざと数秒の間(ま)を置いてから答えた。
「あれ、ただのスキンシップでしょ」
 ・・・・・・気持ちよかったとはいえ、人生で一度きりしかないファーストキスをあんな形でおこなったのは許せない。マナに対する冷淡な距離の取り方は、しばらく止みそうにない。
 隣でマナが困っているのが気配で分かったが、六花は何も言わなかった。ちょっとした罰のつもりだ。
「あー、ところで六花さ〜ん」
 またマナが話しかけてきたけれど無視。手を繋いだまま歩き続ける。
 マナが、たたっ・・・と距離を詰めてきて、内緒話をする時みたいに、片手を口もとの隣に立てて訊ねてきた。
「まだ、熱く疼いちゃってます?」
「・・・っっ!」
 あの時はラケルたちが来たせいでうやむやになってしまったし、そのあとも何かをする雰囲気には戻れなかったため、マナと一緒にこうして帰ることにしたのだが・・・。
「な、なに馬鹿な事言ってるのよっ」
 と、六花が顔を赤らめて怒ってみせる。
 しかし、マナはイタズラを成功させた子供みたいに微笑んで、言葉を続けた。
「今夜、六花の家にお泊まりして慰めてあげてもいいけど・・・、うーん、どうしよっかなぁ?」
「マナの好きにすればいいじゃないっ!」
 六花がマナの手を強引にほどいた。そして、マナを置き去りにして走り出す。
 カーッと紅潮した自分の顔を、こんな所でマナに見られるのが恥ずかしかったのだ。
 表情に浮かんでいるのが、怒りだけならかまわない。
 けど、それ以上に嬉しくて、だらしなくニヤニヤと顔が緩みかけているのが分かっていたから。

(何が幸せの王子よっ! マナったら悪い魔法使いじゃない!!)
 まったく・・・・・・、マナがこの胸にかけた魔法のせいで、
 今夜、彼女が部屋に来てくれるまで、六花の心臓はドキドキしっぱなしだ。

(おわり)

152 猫塚 ◆GKWyxD2gYE :2017/03/12(日) 20:04:08

・・・・・・以上です。
おそまつさまでした。

153 名無しさん :2017/03/12(日) 21:16:10
>>152
猫塚さんのマナりつ!
それも、六花がなんっっっって初々しくてカワイイんでしょう!
体育館の裏で、時々他の生徒の声が聞こえてきて……ってところが、余計にドキドキするシチュエーション。
いやぁ、眼福でした。楽しませて頂きました!

154 名無しさん :2017/03/13(月) 00:24:16
>>133
超愛が詰まってて、超面白かったです。自分もこれだけ書けるスタミナと情熱が欲しいです……。
何より「モフォ」がもう聞けないのかと思うと寂しいです。
年を取らないと聞いて、おジャ魔女どれみドッカ〜ン!の40話を思い出しました。そこに出てくる女性も「みらい」さん。

>>152
丁寧な描写、さすがです。自分もこういう繊細さが欲しいです……。

155 一六 ◆6/pMjwqUTk :2017/03/13(月) 00:33:06
こんばんは。
競作最終日を過ぎましたので、ここで一旦、ゆる〜く締めさせて頂きます。

156 一六 ◆6/pMjwqUTk :2017/03/13(月) 00:33:38
ことは 「あー、面白かった。いろんなお話が沢山あって、楽しかったね〜」
みらい 「そうだね。テーマは“魔法”と“つなぐ”のどちらか片方でいいってことだったけど、どこかしらに両方出て来るお話も多かったような……」
リコ  「そりゃそうよ! 狙い通りだし」
モフルン「……何を狙ってたモフ?」
リコ  「コホン。いい? 魔法は、誰かのために使うことが多いでしょ? 自分のためだけに使う魔法って少ないもの。だから魔法を使うと、それだけで誰かとつながることが出来るのよ!」
みらい 「そっか……そうだよね。凄いよ、リコ!」
リコ  「それほどでもないわよ!(得意げ)」
ことは 「わたしは、自分の箒を出したりしちゃってたけどね……」
モフルン「はーちゃんは、みらいとリコが箒で飛んでるのを見て、羨ましいと思ったモフ。だから、ちゃあんと二人とつながってたモフ」
ことは 「モフルン!」
モフルン「それに、自分のための魔法が全く無いってわけじゃないモフ。リコだって、最初は補習を受けたくなくて……」
リコ  「ああっ、モフルン! そんな昔のことは言わないで〜」
みらい 「あ、でも、“まるで魔法みたい”とか、“魔法じゃないんだから”とか、そういう本当は魔法を使っていないお話の場合は、どうなのかな?」

いちか 「あーっ! キラッとひらめいた!」
ひまり 「こんなところで、スイーツを作るんですか?」
あおい 「今度はどんな動物なんだ? あ、モフルンはクマだけど」
いちか 「そーじゃな・く・てぇ! 魔法が使えないから、いろんなことをしたり、考えたりして、誰かのために気持ちを伝えようとするんですよねっ?」
みらい 「あ、だからやっぱり、誰かとつながってるんだ。いちかちゃんも凄〜い!」
ゆかり 「へぇ。なかなかやるわね」
あきら 「いちかちゃんの場合は、それがスイーツ作りってワケだ」
いちか 「エヘヘへ……」

ことは「気持ちを伝えて、誰かとつながる、か。わたしたちにとっては、それが魔法なんだね」
みらい「うん。他にも、音楽とか、ダンスとか、あと、みんなでおしゃべりするとか、いろ〜んな方法があるよね」
リコ 「ええ。そう考えたら、お話の種っていろんなところに転がっているのかもしれないわ」
いちか 「わ〜、そう考えたら楽しいなぁ! 何だか跳ねたくなってきた。ホイップ、ステップ、ジャーンプ! わっ! あわわわ……」
ひまり 「大変です、いちかちゃんが!」
あおい 「坂道、転がってっちゃう!」
リコ  「待ってて。キュアップ・ラパパ! 箒よ、飛びなさ……わぁっ!」
あきら 「あ、落ちた」
ゆかり 「いちかの上ね……」
いちか 「はわわわ……。と、止めてくれて、ありがとうございまふ」
みらい 「リコ、慌てすぎ!」
リコ  「お、落ちてないし! 計算通りだから!」

 オチが付いたところで(笑)、今年の秘密のお話し会も、そろそろお開きの時間に。
 今度はまた、魔法の時間が訪れたとき。
 その日まで、あなたとつながる大切な人とのお話の種を、大事に育てて下さいね。
 それでは皆様――。

「キュアップ・ラパパ! 明日もいい日になぁれ!」

157 一六 ◆6/pMjwqUTk :2017/03/13(月) 00:36:16
お粗末様でした!
今年も沢山の素敵な作品を投稿して頂き、どうもありがとうございました!
このスレッドは、例年通り、一カ月の間このままにさせて頂きます。
「間に合わなかった!」という方は、どうぞ心置きなく投下して下さいませ。
「新たに書いてみた!」という方も、勿論大歓迎です!
このスレッドに投下されたSSは、全て競作作品として保管させて頂きます。
狙ってないんですが(笑)毎度毎度のことながら、管理人自らもう一本書きたかったSSが間に合いませんでしたので、後日投下させて頂きます。

158 名無しさん :2017/03/13(月) 21:14:11
>>125
美希たんもそれなりに凄いんだけど、きららと比べちゃうとどうしてもねぇ(笑)
でも、大丈夫、まだまだこれからよっ!リコとのコンビは意外と似た者同士で息が合いそう!
>>133
何年経っても変わることなく一緒で、でも様々なことを乗り越えて今があるんですよね。
みんなハッピーな理想的な世界だと思いました。
>>152
最後の最後でチューがとはやられた!良いしめですな。しかし、今夜この二人はどうなることやら…妄想が(笑)

159 名無しさん :2017/03/13(月) 21:21:56
>>157
運営さん、書き手の皆さん、おつかれさまです!
ギャグあり、シリアスあり、ほっくりあり、15(18)禁あり…と、どの作品もハートフルで素晴らしかったです。
楽しませていただき、ありがとうございました!
まだ、投下があるということで、引き続き、ワクワクしながらお待ちしてます!

160 名無しさん :2017/03/16(木) 23:22:06
通りすがりの者なんですけど、誰もいないみたいなので、お話を半分だけ置いていきます。
残り半分は今月中に………。今回は前半〜中盤です。
スマイル、あかなおで、って予告してたんですけど、急遽変更してフレッシュで。
ラブせつ・美希ブキ。
タイトルは

『安楽椅子探偵は魔法を使う』

161 名無しさん :2017/03/16(木) 23:23:15
1―――発端

 客間中央にあるテーブルの周りに置かれた椅子には、性別年齢のみならず、警察署長、小説家、絵描き、女優等々、それぞれ職種もまるで異なる何人かの男女が腰掛けている。
 けれど、そのような社会的位置付けからはその関連性が見出し難い彼等ではあったものの、実は三つの共通点があった。
 一つは、最近新聞を騒がせている三件の連続殺人事件に、各々何らかの形で関わっているという点。
 一つは、皆が皆、その顔に恐怖や怯えを含んだ、硬く強張った表情を浮かべているという点。
 そして最後の一つは………彼らの視線が、壁際にある暖炉の前の椅子に座った、のんびりと編み物をしている品の良い老婦人の姿に集中しているという点だった。
 かく言う私の目もまた、その一挙手一投足までも見逃さないようにと、今や瞬きすら忘れて、彼女に釘付けになっている。
 そんな緊張感に満ちたこの場の空気などどこ吹く風、という様子で、老婦人は手にしたかぎ針を脇に置くと、老眼鏡を直して編み物をまじまじと眺めた。

「あら、また編み目を飛ばしてしまったみたい……駄目ねぇ、やっぱりお話ししながらだと……一つ、二つ……ええと、ここからやり直せばいいのね……」

 そう一人ごちて、老婦人は顔を上げると、部屋の中にいる一同を見回した。そこでようやく自らが注目されていることに気が付いたのか、彼女の頬がほんのりと赤くなる。

「ああ。ごめんなさい。けどねえ、昔私の家にいたメイドに娘が産まれるっていうものだから………産着の一つも作ってあげたくて……」
「ええ?熱心に編んでいると思って見ていたら、まだ産まれてもいないんですか?その色から見たところ女の子用みたいですけど、まだ性別なんて分かりはしないでしょうに……順序が逆ではないですか、伯母さん?それともひょっとして、お年を召されましたか?」

 老婦人の甥が、場の雰囲気を和らげようとでもいうかのように、そう冗談めかして憎まれ口を叩いた。勿論、そんな軽口では重苦しい空気は何一つ変わりはしなかったけれど。
 しかし老嬢はにっこりと微笑むと、彼女の甥に優しい視線を投げかけた。

「ええ、そう思われても仕方ないかもしれないわね。けれどこの年になるとね、時間の過ぎるのが早くて………前もっていろいろ準備しておかなくてはね………。それと性別だけど、あの娘の家は代々女系でね………それにほら、あの娘の顔つき………あれの母親が身籠った時も同じように目元が険しくなったものですよ」
「伯母さん、話の続きを―――」
「そうそう、それと気が付いていないようだけれど、あなたは今とても良い事を言ったわ」

 テーブルの周りに座った人々の顔を見渡しながら、老婦人はゆっくりと、落ち着いた声で話し出した。

「『順序』。そう、なにより大事なのはそこなんですよ、皆さん。それを間違えてしまうと、さっきの編み物のように、間違えた所からやり直さなくてはならなくなる。それにね、産まれてもいない女の子用の産着を作るのに、しっかりした理由があると知らなくては、ああ、もう子供は産まれているのだ、と大多数の人は考えるでしょうね。あるいは甥の言うように、私が少し呆けてしまったのではないか、とね」
「失礼ですがご婦人、あなたが言っていることはまるで―――」
「ええそうですわ、署長さん。私は事件の順序を皆さん勘違いしている、と申しておりますの。いえ、騙されてしまっている、と言ったほうがいいでしょうね。ですから解決には至りません。間違えた所からやり直さない限りは」

162 名無しさん :2017/03/16(木) 23:24:46

 老婦人の台詞に、私は思わず息を飲んだ。そうか、三つの事件が発見された通りの順序で起こったという確証なんて何一つ無い………そう考えて順序を並び替えて話を整理すると………ええと、どこから間違えていたんだろう………私の推理が正しければ―――。
 必死に頭を回転させる私を他所に、老婦人の視線はある人物の前で止まる。

「私の言っている事、あなたならお分かりですよね?事件の順番をまあ見事に入れ替えて見せたようですけど………綺麗すぎるとね、逆に不自然なものなんですよ。上手に嘘をつきたいのなら、もっと真実を織り交ぜないといけません」

 彼女の言葉に、まるで時間でも止まってしまったかのように場が静まり返った。そして皆無言のまま一斉にその人物へと目を走らせる。

「あなたが―――犯人ね」

 老婦人が語り掛けた相手、それは―――!

「はいよ、ご注文のカフェオレとオールドファッションドーナッツ、お待たせ、お嬢ちゃん」

 唐突に掛けられたカオルちゃんの声と、漂う香ばしい芳香によって、私―――東せつなの意識は1900年代のイギリスの片田舎から、一気にドーナツカフェ―――現実へと引き戻された。

「おっと、ゴメンよ。もしかしてオジサン、読書のお邪魔しちゃったかな?」
「いいえ、平気よ、カオルちゃん。ありがとう」
「随分と熱心に読んでたみたいだけど………よかったら何の本か、オジサンにも教えてくれるかい?」
「あ、これ?この本は―――」

 私は手にした文庫本のブックカバーを外してカオルちゃんに見せた。本の表紙には内容を象徴したような一見シュールなイラストと、作者と翻訳者の名前。そして大きく『安楽椅子探偵は魔法を使う』というタイトルの文字が。

「へえ、オジサンもこの作者の名前くらいは知ってるよ。推理小説、だよね?」
「ええそう。古典って言われるくらい昔の作品だけど………それでも今なお知名度も人気も高いのは、色褪せない名作、という証拠かしらね」

 『安楽椅子探偵は魔法を使う』は、イギリスの女流作家による、老婦人の探偵が活躍する人気シリーズの一冊だ。最も活躍するといっても、主人公の老婦人はあちこち手がかりを探して駆け回るなどという事はしない。何故なら題名にもなっている『安楽椅子探偵』とは、大雑把に言えば事務所なり自宅なりの椅子に座り、助手役や関係者達の話を聞くだけで推理していく、というスタイルの探偵の事だからである。
 この作品の主人公に限って言うと、作中の誰よりも事実を把握し、鮮やかに事件を解決していく様は、老婦人という設定も相まって、まさに題名通り、『魔法使い』と呼ぶに相応しい。
 それでいて素晴らしいのは、犯人が分かってからもう一度読み返すと、魔法どころか、本文内に置いてきちんと証拠は提示されているし、きっちりとした伏線も張られている。つまりは「フェア」なのだ。だからこそオチの部分での「やられた!」というカタルシスが際立つのだろう。無論、それは推理小説全般に言える事ではあるが。
 最も、「やられた!」といっても、その感覚は悔しいとか騙されたとかいう嫌な気持ちではなく、どちらかといえばスッキリとした爽快感に近いものだった。
 もともと私は理論立った思考は好きだったし、自分の観察力、洞察力に少しは自信もあったので、挑戦的な気持ちがミステリーを読み始めたきっかけになっていたのだが、今となっては「今回はどう驚かせてくれるのだろうか」という期待のほうがそれを上回っていた。

163 名無しさん :2017/03/16(木) 23:26:05

「これもとっても面白くてね。今精一杯頑張って推理しながら読んでるところ」
「ふうん、推理ねえ………」

 カオルちゃんは何やら難しい顔で顎に手をやると、お客さんのまばらなドーナツカフェのテーブルを見渡した。それから右手の人差し指を立てて、ニカッと白い歯を見せる。

「それじゃあ名探偵のお嬢ちゃんに、オジサンからちょっとしたミステリーを。休日の昼下がりだっていうのに、どうしてこの店にはあんまりお客さんがいないと思う?」
「え?あ、言われてみれば確かにお客さんが少ないけど………」
「正解は、ミステリーだけに、どーもお客さんにミステらリーちゃったみたいなんだよね、グハッ!」
「カオルちゃん………さすがに自虐的過ぎて笑えないわよ、その駄洒落………」

 確かに、いつものドーナツカフェなら、もっと家族連れとか恋人同士とかで賑わっていそうなものだ。日曜日で、しかも小春日和といった暖かな日差しの午後なのに、これはちょっとおかしい。
 カオルちゃんもグハハ、と笑いつつも何やら複雑な表情。

「まあたまたまだと思うんだけどね。近くに競合店が出来たわけでもないし。最もどんなドーナツ屋が出来たって、オジサンのドーナツは負けないけどさ」
「そうね。カオルちゃんのドーナツは天下一品ですもの」
「とは言うもののこう暇だとねえ………なにか知恵は拝借できないかい、名探偵殿?」

 カオルちゃんの問い掛けに、私はうーん、と握った手を口元に当てる。カオルちゃんの力になりたいのは山々だし、名探偵って言われたのもちょっぴり嬉しいから、なんとかアイディアを出してあげたいんだけど………名探偵………推理………あ、そうだわ!

「ねえカオルちゃん、新商品を作るっていうのはどう?」
「新商品?まあ名物になりそうなものなら悪くはないけど………なにか閃いたのかな?」
「ええ………せっかくだから『ミステリードーナツ』、なんていうのはどうかしら?週替わりで、味は内緒のドーナツを出すの」
「んー、『シェフの気まぐれなんとか』、みたいにかい?」
「ええそう。それでいて、普通はあり得ないような味の組み合わせをしてみたりして………ちょっと面白そうじゃない?」
「ふうむ、普通はあり得ないような味の組み合わせねえ………それでいて美味しくなきゃ意味がない………難問ではあるけど………」

 カオルちゃんは少し考え込むように腕組みをして空を見上げた。きっと今、カオルちゃんの灰色の脳細胞もフル回転しているに違いない。
 私は後押しするようにカオルちゃんに微笑みかけた。

「そこは腕の見せ所でしょ、名ドーナツ屋さん殿?」

 カオルちゃんは一瞬私の顔を見て、それから豪快に笑いだした。

「そう言われちゃったら、信頼に応えなくちゃ男がすたるってもんかな―――まあやってみるよ。ありがとう、お嬢ちゃん」

 カオルちゃんは手を振ってバンの中へと姿を消した。きっと頭に浮かんだであろう面白い組み合わせのドーナツをすぐにでも試作してみるに違いない。

164 名無しさん :2017/03/16(木) 23:27:05
 そんなカオルちゃんに心の中でエールを送り、私はちらっとカフェ近くに建てられている時計を見た―――約束の時間にはまだ余裕がある。これならこの本を読み切ってしまえそうだわ。
 もとはといえば、今日のラビリンスでの復興作業がお休みになったのが突然過ぎた。決まった休日、なんて持てるほど余裕はないし、急にお休みになる、なんてことも無くはなかったけれど、今回はなんと、今朝唐突にお休みを言い渡されてしまったのだから。
 そうなるとせっかくの休日なのに予定の組みようがなく―――それでもラブ―――桃園ラブに、ダメもとで連絡してみたら、リンクルン越しの彼女は嬉しそうに弾んだ声で言った。

「じゃあ久しぶりにせつなとデートだね!う〜、幸せゲットだよー!!」

 ラブのはしゃぎ様、そしてデートと言う言葉に、私もまた心が浮き立つのを隠せなかった。アカルンでいつでも会える、とは言うものの、最近はお互い多忙を極めていたからその機会もなかなか取れなかったし。
 とはいうものの、やはり休日という事もあり、ラブにはラブの予定があって………今日中にどうしてもミユキさんと次のダンスイベントの打ち合わせを済ませなければならないというのだ。それでもなんとか午後には終わらせて飛んでいくから!というラブと待ち合わせの時間を決めて、私は一人、ここドーナツカフェで読書にいそしんでいるという次第。
 さて、とカオルちゃんの持ってきてくれたドーナツを一口齧り、カフェオレで軽く喉の奥へと流し込むと、私はしおりの挟んであったページを開いた。
 物語はいよいよクライマックス―――老婦人が指し示した犯人とはいったい誰なのか………私の推理が当たっているならば、その人物はおそらく―――!!

「ぜづな〜〜〜!!あだしの話を聞いてよおぉ〜〜〜!!!」

 ………残念ながら、私は再び読書を再開して1900年代のイギリスへと戻る事は出来なかった。いやそれどころか、文字の一つを読む事すらも。
 何故ならば………開いた文庫本と私の間に、泣き声とともに涙でぐしゃぐしゃになった彼女―――蒼乃美希の顔が割り込んできたから、である。

165 名無しさん :2017/03/16(木) 23:29:06
2―――事件


「………うぐっ………ひっく………」

 テーブルを挟んで私の前に座った美希は、ようやく落ち着いてきた様子で、カップに入ったミルクティーをズズッと啜った。泣きじゃくったせいで目は真っ赤で瞼も腫れてるし、これじゃあモデルだって言ったって誰も信じてくれないわね………。
 完璧を自称していて、いつもなら私達の中でも大人っぽく振舞っている美希だというのに、今はそんな自信も余裕も跡形もなく消し飛んでいて、私の目に映るのは、年相応以下のちっぽけな女の子に過ぎなかった。
 名探偵でなくとも、美希のことをよく知っている人間なら、何故彼女が取り乱して泣きじゃくっていたか、大方の予想はつく。
 だからこそ、逆に聞き出しづらくもあり………。
 私はまず一度大きく深呼吸をした。大袈裟でも何でもなく、気分は今や地雷原に向けて恐る恐る一歩を踏み出そうとする兵士、といったところ。

「―――その………ブッキーと、喧嘩でも………した?」

 出来るだけさりげなく話を切り出したつもりだったけれど、ブッキー―――山吹祈里の名前を聞いた途端、美希の目が再びウルウルと潤みだした。こ、これは………まともに話を聞けるようになるまで、まだしばらく時間がかかるんじゃないかしら………。
 けど、どうやら意外にも地雷はギリギリ不発弾だったらしい。美希は大泣きするのを必死の様子で堪え、嗚咽交じりにたどたどしくも話し出した。聞き取りにくかったりする部分もあったのだが、大まかに彼女の話を整理してみるとこんな感じだ。

 ―――時を遡り、今日の午前中。場所は山吹動物病院、ブッキーの自室。

「ごめんね、美希ちゃん。本当は今日は診察お休みなんだけど……」
「いいってば。気にしないでよ、ブッキー」

 申し訳なさそうにするブッキーに続き、どことなく嬉しそうに美希は彼女の部屋へと足を踏み入れた。
 今日は二人で久しぶりにショッピングや映画を楽しむ筈で――――まあ私とラブと同じく、いわゆるデートの予定だったのだそうだ。あ………そう言われて見たら、確かに今日の美希、服装にしてもお洒落にしても気合入ってるわ………まあ今となってはそれが余計不憫さを際立たせてるんだけどね………ビシッと決めていたであろうメイクなんか涙で流れ落ちてほぼ見る影もないし。
 さて、それなのに何故揃ってブッキーの部屋に来たのかというと。

「本当にごめんなさい………突然ラッキーの調子が悪くなったって電話があったみたいで………」
「もう………別にブッキーに責任があるわけじゃないし………それにしても、大した事ないといいんだけどね、ラッキー」

 ラッキーというのは近所に住むタケシくんという少年が飼っている中型犬の名前である。この山吹動物病院がかかりつけであり、何かあるとここに連れてくるのだ。
 私も彼等とは面識はあり…………というか、それ以外にも過去には色々とあったのだが、ここでは割愛。

「うん、平気とは思うんだけど………ラッキー大きいし、お父さんが診察するにもお母さんと私が手伝わないと………」
「分かってるわよ。診察が終わったら、予定通り楽しみましょう、ね?」

 美希は落ち込み気味のブッキーの鼻の頭を子犬を慰めるように人差し指でつつくと、くるりと彼女に背を向けた。

「それにね、あたしちょっぴり嬉しいのよ。最近外で会う事が多かったから、ブッキーの部屋に来るのも久々だし………ホラ、覚えてる?小学生の頃はまるで持ち回りみたいに、お休みの日はあたし、ブッキー、それにラブの家に毎週代わる代わる集まってよく遊んだわよね」

 見渡す風景が子供の時見たものと変わってないか確かめるように、美希は窓を開けると、外の空気を大きく吸い込む、
 そう昔の事でもないのだから、そこからの景色はそれほど変わっている筈はない。けれど、多少身長が伸びたからか、幼い時より遠くまで眺められるような気がして、美希は心に懐かしさ混じりの寂しさを感じた。
 小学校を出て以来、美希はこの時期になると、三人が離れ離れになる事になった小学校の時の卒業式を思い出して、感傷的になる事があるという。

「きっと、成長して目にする世界が広がった分、逆に見えなくなったり、失くしちゃってるものもある気がするのよ。それが何なのかはうまく言えないんだけど………子供の時にしか分からなかった、何か」

 窓から吹き込む風になびく髪を軽く押さえる美希。その瞳は今や外の風景ではなく、今はもう思い出せなくなりかけている幼き頃の情景を見ていた。
 時間が経つのも忘れて、三人で日が暮れるまで夢中で遊んでいた、あの日々を。

166 名無しさん :2017/03/16(木) 23:30:41

「あ、あははは……ご、ごめんなさい、なんかしんみりしちゃった!!あ、そ、そうだ!ブッキー、何も外でデートしなくても、こうやって部屋にいるだけで、嬉しい事だってあるじゃない!ね………何か、分かるかしら?」

 美希は過去を振り切るかのように、長く美しい髪を優雅にたなびかせ、クルリと華麗な動きで背後へと振り返った。彼女の両腕はというと、まるで舞踏会の相手を待ちわびるように、ブッキーへと大きく広げられている。

「ふふっ、それはね………周りの人の目を気にしないで、あなたと思う存分キ―――………って、え、えぇ!!?」

 しかし、美希の台詞は残念な事に途中から驚きの声へと変わってしまった。何故なら、いつの間にか彼女の想い人は室内からその姿を消していたからである。
 そしてなんと、代わりに彼女の眼前に立っていた人物はといえば―――。

「うーん、難しいなあ………なぞなぞ?ヒントちょーだい。おねーちゃん!」
「たたた、タケシくん!?い、いつからそこに!?って、ていうかブッキーは!?」

 そう、そこにいたのは、昔どころか今でも絶賛小学生中の少年、ラッキーの飼い主であるところのタケシくんだったのだ。
 タケシくんはキョトンとした不思議そうな顔をして、辺りをキョロキョロと見回す美希を見つめていた。

「えっと、祈里お姉ちゃんなら、僕が呼びに来たから今病院の方に行ったよ。さっきお姉ちゃんにもそう言ってったのに………聞こえてなかったの?」
「え?い、いつの間に?………ま、まるで気が付かなかったわ………」

 どうやら追憶の世界に浸りきっていた美希には、生憎と今起こっていた出来事は何一つ届いていなかったらしい。
 あたしとした事が………と、頬を赤く染め、額に手をやり反省モードの美希。そんな彼女の服の裾を、タケシくんはせがむようにツンツンと引っ張る。

「ね〜、それよりさっきのなぞなぞの答え教えてよ〜!」
「い、いや、そ、それはその………ご、ゴホン、そ、それよりタケシくん、女の子の部屋に男の子があんまり長居するものじゃないわ。マナーってものがあるでしょ………それにホラ、君は飼い主なんだから、ラッキーの傍にいなきゃダメ!」

 決まりが悪そうに一つ咳ばらいをして、美希は腰に手をやり、タケシくんにたしなめるようにそう言った。それから、出てった出てった、と彼の背中をグイグイ押して部屋の外へと追いやる。
 バタン!と背中でドアを閉じ、美希はそのまま疲れ切ったようにズルズルとその場にへたり込む。それから大きく、はああぁぁぁぁ、と溜息………それは、さっき折角格好良く言った台詞が、ブッキーの耳に全く届いていなかったから落ち込んで………という訳ではない。
 美希は、自分の抱いた漠然とした不安を、ブッキーに話す事で打ち消したかったのだ。彼女が「見えなくなったり、失くしたりなんかしてないよ」と言ってくれたなら、それだけできっと、心は晴れたはずだから―――例えそれが嘘だと分かっていても。
 ………ひがむ訳ではないが、私から言わせたら、そんな幸せな過去を共有していたというだけで充分に羨ましいとは思うのだけど、ね

167 名無しさん :2017/03/16(木) 23:31:41

「………きっと、タケシくん位の歳ならまだ見えてたのよね………」

 ふと美希の口からそんな言葉が漏れた。
 もう少し大人になったなら、今こうして感じてることも、綺麗に忘れてしまうのかも知れない………その想像に震えた肩を、美希は両手できつく抱いた。

「………欲張りなのかしら、あたし………」

 そう呟いて何とはなしに視線を床へと落とした美希は、ブッキーの机の下、立っていたなら決して気が付かなかったであろう奥の方に、一冊の本が落ちていることに気が付いた。
 ブッキーにしては珍しいミスだ。几帳面とか潔癖症とまではいかないまでも、彼女はだらしなかったり、物を大事にしなかったりするような女の子では決してなかったから。
 美希もまたそれを不思議に思いつつも、手を伸ばしてその本を机の下から引っ張り出す。

「あ!もしかしたらこの本………」

 落ちていたのは少し大きめの動物図鑑。シマウマやライオン、象やキリンのイラストが描かれた表紙を見た美希の口からは、思わず嬉しそうな声が漏れた。ふふ、と笑みをこぼし、ぺージを何気なくパラパラと捲っていく。
 と、美希はあるページに一枚のカードが挟まれているのに気が付いた。

「何?これ………?」

 何の変哲もない、一枚の水色のメッセージカード。しかし、その表面に書かれた文字を見た瞬間、美希の全身に雷の様に衝撃が走った。
 そして―――、一拍遅れて美希の背後で、ガシャン、という陶器が割れる音。

「美希ちゃん………それ………」

 動揺したのは美希一人ではなかった。
 美希の為に持ってきたのであろう、カップに入った紅茶や皿に乗っていたケーキを手にしたトレイごと床に落として、ブッキーは蒼白な顔で呆然と立ち尽くしていた。

「あ、あの、ブッキー、こ、このカードって………そ、その………い、一体、だ、誰から―――?」
「………!!」

 美希の問い掛けに、ブッキーはハッと我に返った。
 途端に、その小さな肩がブルブルと震えだす。俯き気味のブッキーの顔は前髪で隠れているが、固く結ばれたその口と、同じく固く握りしめられたその拳から見るに、彼女がただ悲しんでるという訳ではなく、何かに傷つき、怒りを堪えてもいるのだろう、というのは美希にも察しがついた。

「…………出てって、美希ちゃん………」
「え、出てけって………ブッキー―――」
「出てってーーーーーーッ!!!」

 その理由を問いただそうとした美希だったが、いつもは大人しいブッキーからは想像も出来ない、有無を言わせぬ強い口調に逆らうことは出来なかった。
 美希に出来たのは、ノロノロと立ち上がり、彼女の横を言葉も無くただ通り抜け、そのまま山吹家を後にするという、ただそれだけだったのである。
 そして途方に暮れて町を彷徨っているうちに、たまたま立ち寄ったこのドーナツカフェで私を見つけ、駆け寄った、という。

168 名無しさん :2017/03/16(木) 23:32:38

「ぶええぇええええぇ〜〜〜っ!!」

 美希はここまで話した後、まるで許容量を超えてなお水を堰き止めていた堤防が、一気に決壊するかのようにして号泣し出し、テーブルへと突っ伏した………ここまでよく堪えたわね……え、偉いわ、美希。褒めてあげる。
 さて、と温くなってしまったカフェオレを口に運びつつ、私は考えを巡らせる。
 美希の相談を受けた以上、彼女の力になってあげたいのは山々ではあるけど………仮に私が仲裁に立った所で、事が丸く収まる確証はない。むしろ、下手に余計な首を突っ込んでは、ややこしい事になっていまう可能性の方が大きいかも。
 そうなると、この事件―――って言っていいか分からないけど―――を解決するためには何をするべきなのか。
 まあどう考えても一番重要なのはブッキーの怒りを解く事よね………だとしたら、何がブッキーの逆鱗に触れてしまったのか、それを知らなくてはいけないんだけど………その為に必要な鍵が、どう考えても不足している。

「………せめてそのメッセージカードっていうのが手元にあればね………」

 私の声に反応して、美希はグズつきながらテーブルから上体を起こすと、傍らに置いてあったバッグを漁りだし、一枚のカードを取り出した。

「え!?そ、それ、も、持ってきちゃってたの………?」
「ぐず………づい………がえじぞびれちゃって………」

 ほ、本当に偉いわ、美希!大手柄よ!頭でも撫でてあげたいくらい!
 私は美希の差し出してきた一枚のメッセージカードを指で挟み、そこに書いてある文に目を走らせる。 

「………ふぅん………成程、ね………」

 カードの表面にはシンプルに、たった一行だけ記されていた。

『あなたのことが、好き』

169 名無しさん :2017/03/16(木) 23:39:36
To Be Continued……。

170 名無しさん :2017/03/17(金) 00:29:19
すいません、165の最後の行
三人で日が暮れるまで夢中で遊んでいた、あの日々を。

三人で日が暮れるまで夢中で遊んでいた、懐かしい日々を。

に修正お願いしてよろしいでしょうか…。

171 名無しさん :2017/03/17(金) 01:03:37
>>169
おおっ! 今年はまた新たな切り口ですな。
せつな名探偵は登場するのか?
続き楽しみにお待ちしています!

172 名無しさん :2017/03/18(土) 12:59:46
>>169
貴方、ただの通りすがりじゃありませんねw もしかして昨年や一昨年も…? っと邪推は置いといて…
登場人物みんなに味があって、プロの小説家が書かれているんじゃないかと思うくらい引き込まれます…
愛らしくて謎めいてて続きがめちゃくちゃ気になるじゃないですか! 報われない美希たんに愛の手を!!

173 名無しさん :2017/03/18(土) 23:37:53
2014年の「ばとる☆ひーたー」にはビビったなぁ。明らかに毛並みが違うのが紛れ込んでて。
まあでも、プロの野球選手が草野球に飛び入りしてホームラン打つのもいいと思います。


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