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『プリキュアシリーズ』ファンの集い!2

328一六 ◆6/pMjwqUTk:2017/10/29(日) 23:13:15

 小さな刃物を鞘に納めて、せつながようやく、フーッと大きく息を吐く。そして仲間たちのところへ駆け戻ろうとした、その時。

「せーつなぁぁぁっ!!」

 世界中で、せつなが一番好きな声が響く。
 全速力で走って来たラブが、その勢いのままに、せつなに抱き着いた。
「無事で良かったぁ……。凄かった! 凄かったよ、せつな!」
「そんな……みんなのお蔭だわ」
 ラブの後ろから、ウエスターとサウラー、ウエスターに引きずられたままの少女と、あの老人もやって来る。

 ラブのあたたかな身体に抱き締められながら、不意に、ただ一人で占い館に乗り込んだあの日のことを思い出した。
 自分はどうなってもいい。大切な人たちを巻き込みたくない――その一心で、無謀にもたった一人で不幸のゲージを壊そうとした、あの日の自分を。
 あの頃は、守りたいものが増えることが、嬉しい反面、この上なく怖かった。それが今ではどうだ。守りたいものはこんなにも――怖いのは変わらないけれど、そんなことを言っていられない程に増えている。
 大切な家族。仲間。友達。ラビリンスの人たち。そして――。

(私自身も、その中の一人……なのね)

 それが何だか不思議なようにも、勿体ないようにも思えて、せつなは輝くようなラブの顔を見つめて、くすぐったそうに微笑む。
 まだまだ、片付けるべきことは山ほどある。どうしていいか分からないことも、たくさんある。

(守れるかしら……。ううん、守ってみせる。だって、ラブが……みんなが一緒なんだから)

 決意も新たに、今度はせつなから手を伸ばして、ラブの身体を抱き締める。

 その時――。
 少女たちの後ろで、切られたばかりの植木が根元から浮き上がり、植木鉢がカタカタと不気味な音を立てた。


〜終〜


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