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『プリキュアシリーズ』ファンの集い!2

327一六 ◆6/pMjwqUTk:2017/10/29(日) 23:12:41
 ラブがせつなの顔を見つめて、嬉しそうに微笑む。その目の前に、せつなは持っていた球根を差し出した。
「お願い、ラブ。これを持っていて」
「え……あたし!?」
 思わず素っ頓狂な声を上げるラブに小さく頷いてから、せつなが強い光をたたえた目でその顔を見つめる。
「あなたなら大丈夫。私が絶対に、守り抜くわ」
 驚きに見開かれていたラブの瞳が、すぐにせつなに負けずとも劣らぬ強い光を宿す。うん、と頷いてから、ラブはせつなの手から球根を受け取って、大切そうに胸に抱いた。

 せつなの戦闘服が、再び風を纏って舞い上がる。
 上空高く跳び上がったせつなは、バリアを避けて襲ってきた触手をことごとく回避しながら、鋭い眼差しで地上を見つめた。
 やがて人並外れたせつなの視力が何かを捉える。

(あった!)

 すぐさま着地し、目的の場所へ向かって走り出したせつなを見ながら、ノーザは楽しげにほくそ笑んだ。
「あら……早速一人裏切ったってわけかしら?」
 だがほどなくして、その顔が今度は呆れた表情に変わる。駆け戻って来たせつなが、バリアの真ん前に立って、鋭い眼差しでノーザを睨み付けたのだ。
「おい、何をする気だっ?」
「いいから、黙って見てて」
 心配そうに声をかけたウエスターが、あっさりと一蹴される。それを見て、ノーザが相手をいたぶるような目つきに変わった。

「その目……。思い出すわぁ。生意気な幹部だった頃とおんなじじゃないの。生まれ変わろうがプリキュアになろうが、人間はそう簡単には変わらないってことかしら」
 からかうようにそう言ってから、その唇が、氷のように冷たい一言を発する。

「そうでしょう? ねぇ……イース」

 ノーザの笑みが高笑いに変わりかけて――そこで止まる。
 じっとノーザを見つめ続けていたせつなが、その言葉を聞いて、ニヤリと不敵に笑ったのだ。

「そうね、やっと分かったわ。何があろうと、私は――私よ!」
「……小癪なぁっ!」

 声と同時に、せつなが再び空中高く跳び上がる。その軌道を追うように放たれる触手。だがせつなは無表情でそれを見つめたまま、今度は一切避けようとしない。
 その時、何かが空を一閃する。
 華麗に着地したせつなの後を追うようにバラバラと落ちて来たのは、すっぱりと切り落とされた、大量の触手だった。

「あいつ……あの爺さんの刃物を取って来たのか!」
「なるほど。確かにあの戦い方は、昔の彼女を思い出すね」
 ウエスターとサウラーが、驚きを隠せない様子で呟く。
 獰猛で、果敢で、華麗で、刃物のように鋭くて――そんな彼女の姿を目の当たりにして、彼らの瞳にもせつなと同じ、不敵な戦士の光が宿る。
「ふん、イースに負けてはいられないな、サウラー!」
「当たり前だ!」
 二人のバリアが俄然力を盛り返し、一回り大きくなったのを、ウエスターに腕を掴まれたままの少女は、信じられないものを見るような目で見つめた。

「おのれ……。いつまでも続くと思うな。これで終わらせてやる!」
 ノーザの声と共に放たれた触手が、今度はことごとく刃物を持ったせつなの右手を狙う。その一本を、せつながグイッと掴んだ。
 そのまま触手を手繰り寄せるようにしながら、勢いよく自分の身体を滑らせて、空中を高速で移動していく。
「何を……何をする気だ!」
 せつなの意図に気付いたノーザが、再びせつな目がけて触手を放つ。
 だが当たらない。焦ったノーザが触手の数を増やしたが、一向に当たらない。
 大量の触手は目標を失って絡み合い、こんがらがったロープのようになっている。それをしり目に、せつなが植木の元へと辿り着き、今はまさに頭の上に広がるノーザの映像を見上げた。
「大丈夫。ちゃんと手入れをすれば、枝はまた伸びるそうよ」

「やめろ! 何を」
 それが最後だった。まるでテレビのスイッチを切られた様に、ノーザの映像がぷつんと途絶える。
 後には全ての枝を短く切られた植木が、所在なげに残された。


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