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プリキュアで140文字SSに挑戦しよう!

294 運営 :2019/02/10(日) 22:20:17
喧嘩して、トラウムのもとを飛び出してきてしまった。
でも、行く当てはない。
次の街へ向かう元気も、歌う気力も、何故か湧いてこない。

トラウムへの態度を後悔しながら、ただ、うつむいて街を歩く。
…………。
…………。
彼女の聴覚センサーに、優しいメロディが引っかかった。

**********

(ここから30メートル! 右の角を曲がった先!)

人間の耳では拾えないレベルの小さな音量から、位置を特定。
反射的にダッシュ。

人のまばらな通りの端を歩きながら、蚊の鳴くような小声で、だが楽しげに口ずさむ女性を発見。

髪型も、体格も、身長も、全然一致しない。
けれど……。

**********

その女性はルールーと目が合うと、一瞬、硬直。
だが、すぐに後ろを向いて、来た道を逆に走り出した。

「待ってください!」
「ごごご……ごめんなさいなのです!」
優しく背後から捕まえたルールーの腕の中で、女性がバタバタと必死にもがいて逃げ出そうとする。

**********

「なぜ逃げるのですか」
「下手くそな私が真似をしたから、あなたはきっと怒っているのです! 捕まったら最後、身ぐるみ剥がされて街から放り出されてしまうのです!」
「しません。というか、もう捕まってますよ?」
「ひーっ! そうなのですっ!」
「とにかく、落ち着いて私の話を ―― 」

**********

あれ ―― ?
私の話を ―― 。エラー。何を話せばいいのか分からない。
出会ったら話そうと思っていた事は、たくさんあったはずなのに。
エラー。
何も思い出せない。

ルールーが捕まえている女性が、振り返って尋ねてきた。
「ケガをしているのですか?」
「えっ?」
「泣いているのです…」

**********

気が付けば、涙が頬を伝っていた。

「やっぱり、ちゃんとメンテナンスを受けておくべきでした。こんな大事な瞬間なのに、エラーのせいでうまく話せません」

女性を捕まえている腕で、そのまま愛しく彼女を抱きしめる。
そして、ただ心から湧き上がる言葉を口にした。

「ただいま、えみる」

(終)


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