したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【まどか☆マギカ】まどか×さやかスレ避難所

147名無しさん@まどっち:2012/09/23(日) 00:11:53 ID:jdaoQYSE0
 魔法少女と魔女の楽園、まど界。ここでは、現世で魔力を使い果たした魔法少女や、呪いをまき散らして人々に害をもたらす
ことしかできなかった魔女たちが、現世での因果のくびきから解放されて静かに心と体を休めている。
 現世での魔法少女の今わの際というものは、周囲の人々に看取られて心安らかに眠りにつく場合などめったにない。魔女との
凄惨な戦いの末に命を落とすのが魔法少女の常だったし、同じ魔法少女に命を奪われる例だって珍しくない。その上、ただ落命
したならばまだしも、絶望と恐怖から膨大な感情エネルギーの放出とともに魔女になってしまうのが多くの魔法少女の末路だった。
 魔女になってしまった魔法少女は、もう二度と魔法少女に戻ることはできない。希望を祈った分、それよりも多くの絶望を
抱えて、すべてを呪いながら生きるだけの存在になってしまう。しかも、魔女はいずれも絶望の源となる永遠に満たされない
願いを抱えている。それは好物であったり、理想であったり、愛する存在であったりと色々だが、決して手に入らないそれらを、
魔女は魔法少女に討たれるその日まで永遠に追い求め続けるのだ。
 そうした絶望や呪い、因果のすべてを引き受けて魔法少女と魔女を救済してくれたのが、鹿目まどかだ。誰よりも多くの
因果の糸を束ね、あのワルプルギスの夜でさえ一撃で葬るほどの膨大な魔力を持った魔法少女。彼女は有り余る魔力で世界を
丸ごと改変し、円環の理となって魔法少女と魔女を救い、その天国たるまど界を作り上げた。彼女のおかげで魔法少女は
絶命してなお呪いをまき散らす魔女にならずに済み、魔女は自分の意思を取り戻して叶うことのない永遠の絶望から解放された。
 鹿目まどかに導かれてきたまど界の住人は、来世に転生するまでの平穏なひと時を心行くまで楽しんでいる。鹿目まどかが
自分たちのために祈ってくれたことを知った魔法少女・魔女たちは、みな彼女に感謝している。なかには、ほとんど崇拝して
いると言ってもいいくらいに鹿目まどかを敬愛している者もいる。かくいう私もその一人だ。
 私は鹿目まどか……いえ、まどか様に導かれ、まど界にやってきた名もなき魔法少女の一人。魔法少女としての才能には
恵まれず、現世ではろくに魔女を倒すこともできずに命を落としてしまったけれど、今の私は現世で役立たずだった分まで
まどか様に尽くそうと思っていた。魔法少女や魔女をまど界に導いてくる円環の理のお勤めはまどか様にしかできないけれど、
私はまど界の運営や維持管理などまどか様の分霊がなさっている仕事を度々お手伝いして、まどか様に顔を覚えていただいた。
そして、まどか様は私がおそばにつき従うことを許してくださった。ああ、なんという光栄だろう。
 今、私は同じ志を持つ仲間の魔法少女たちと共に、まどか様がご自宅から出てこられるのを玄関先でお待ちしていた。
できることならば、まどか様にはこんな小さな住居ではなく、まど界中どこからでも見えるほど大きな宮殿を建てて差し上げて
そこに住んでいただき、身の回りのお世話もさせていただきたかった。けれど、まどか様は「それには及びません」と私たちを
気遣ってくださった。まどか様に尽くせるのならばどんな苦労も苦労などとは感じないというのに。
 そんなことを考えていると、まどか様の住居の玄関の扉が開いた。私たちお付きの者たちはさっと二手に分かれて道の両脇に
列を作り、その場に跪いて深く首を垂れる。ゆっくりとした、けれど確かな足取りの靴音が聞こえ、うつむいた私の視界の隅に
まどか様の白いおみ足が映った。なんて畏れ多い、とより深く頭を下げた。
「皆さん、いつもご苦労さまです」
 そうお声をかけていただくのは毎日のことだというのに、私の頬がかあっと熱くなる。優しさと気品に満ち溢れた、美しい
響きのお声。そのお声を聞くことができるだけで、私は有り余る至福を感じていた。私はその気持ちの何分の一かでもまどか様に
知っていただきたいと思い、声を張り上げた。
「きょ、恐悦至極に存じ上げ奉りましゅっ!」
 噛んだ。しかもよりによって時代劇のような芝居がかったセリフが口をついて出てしまった。まどか様はこんな私を呆れて
見てらっしゃるに違いない。私は許されることならその場に穴を掘って埋まってしまいたい気持ちになった。
「あなたのその気持ち、私も大変嬉しく思います。さあ、皆さんお顔を上げてください。参りましょう」
 ああ、良かった。まどか様は私のことを呆れてなどいらっしゃらなかった。そうとも、まどか様が他人を蔑んだりなどなさる
ものか。まどか様は凡百の魔法少女などとは違う、心の澄み切ったお方なのだから! 私たちは一斉に立ち上がり、まどか様の
後に続いて歩き出した。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板