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リリカルなのはクロスSS木枯らしスレ
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幾分か感情を表情に出しながら、フェイトは言った。すると淳はあからさまに不快な顔をしながら「ちっ」と大きな舌打ちをして、何も言わずにフェイトから顔を背けて歩き始めた。
「ちょ、ちょっと!まだ話は……」
フェイトがその腕に掴みかかると、淳はその手を引き離そうと激しく抵抗した。
「うるさい!離せ外国人!」
「あなたこそ!どうして話してくれないんですか!?」
「何度も言ってるだろ!痴呆なのかお前は!?」
「痴呆って……」
雨に濡れた泥道の真ん中で堂々と掴み合い、大声で怒鳴る淳と、それに比べれば静かな声で言い返すフェイト。
淳に掴みかかりながら、こんな姿を局の仲間達に見られたらきっと呆れられ窘められるだろう、とフェイトは不意に思った。
だがそれも全ては、仲間達の元に戻ってからの話である。そのために、この男の持つ情報は必要不可欠なのだ。
「とにかく話を!」
「うるさい!」
淳が叫んだ、その直後だ。
ぱぁん
どこからともなく甲高い、乾いた破裂音が聞こえてきた。ほぼ同時に、淳を掴んでいたフェイトの腕に何かが掠る。
即座に鋭い痛みが腕に走り、見ると服が切れ、裂けた皮膚から血が溢れ出していた。
淳とフェイトは途端に黙り、血相を変えて離れた。辺りを見渡すが人影は見当たらない。
あの音、服の切れ目から焦げたような臭いがする。
(は、発砲……!?)
間違いない、誰かに銃器で狙われている。フェイトが腕を押さえていると、すぐ近くの茂みからがさがさと音がした。
即座に振り向く二人に、鉄の塊が向けられる。
「了 解…… 射 殺 し ます」
そう言って二人に拳銃を向けていたのは、目から血を流した蒼白の警官だった。
息を呑む二人に向けて、警官は容赦なく引き金を引いた。再び鳴り響く発砲音に二人は身を竦める。
放たれた弾丸は地面に着弾したらしく、足元から甲高い音が聞こえてきた。
「くそっ!!」
淳はそう言い捨てると、即座にその場から元来た道に向かって走り出した。
フェイトは、淳を追おうと駆け出しそうになった衝動を抑え、逆方向の道に目をやった。
(……仕方ない!)
淳から聞き出したいことは多々あったが、同方向に言ったらあの警官に追撃され兼ねない。
まずは命だ。二人とも安全に退避するため、警官を攪乱するためと、フェイトは淳とは逆方向へと駆け出した。
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