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デジモンアドベンチャー T・T・E 〜D-Generation's War〜

1たらこ:2007/02/23(金) 19:14:25
前スレ『デジモンアドベンチャー The Third Evolution』の続スレ
です。
ちなみに、タイトルの『T・T・E』は『The Third Evolution』の略で
す・・・これからも、応援よろしくお願いします。

2ユッケ:2007/02/23(金) 21:09:01
2代目スレおめでとうございます!
前回の最後でゲンナイが手渡した物は何なのかが気になりますね。
次回も頑張って下さい!

3ベルフ ◆X104dp9eBs:2007/02/23(金) 21:20:58
こんばんは!!
これから1代目のスレを見に行きたいと思います!!
よろしくおねがいします!!

4たらこ:2007/02/23(金) 22:30:30
ユッケさん、ありがとうございます!!そして、初めまして、ベルフさん。かな
りの駄作ですが、よろしくです。
ゲンナイが前回の最後で渡すと言ったものがなんなのかは・・・次回のお楽し
みです。まあ、既に登場済みですが・・・わかります?
とりあえずは、前スレのあらすじから始めようと思います。あと、前スレには
投稿しなかった『勇気編』のプロローグも載せようと思ってます・・・

5たらこ:2007/02/24(土) 01:46:28
『プロローグ編』・あらすじ―――

デジタルワールドの命運を賭けた、あの戦いから一年と数ヶ月―――お台場中
学校に、大輔、タケル、ヒカリの三人が入学する。

ヒカリの誘いを受け、京達と共にデジタルワールドに行くことにした大輔とタ
ケル。放課後、指定通り井上家へと行くと、そこには時を同じくして大輔達と
は別の中学校に入学した賢、お台場小学校の五年生となった伊織、そして、見
知らぬ少年がいた。

少年の名は『宮田満(みやだみつる)』。京のいとこで、今年で五年生になった
そうだ。そして、彼がここにいる理由、それは―――数日前、彼の元にデジヴ
ァイスが現れたからだ。今回集まった理由は、満のパートナーを捜すためだっ
たのだ。

その後、デジタルワールドへと赴いた七人と六体の目の前に広がったのは、破
壊され、無惨な状態となった『始まりの町』だった。

その光景を見て、激しい怒りを覚える子供達。そんな彼らの前に現れたのは、
五年前の戦いで、ヴェノムヴァンデモンに喰われて死んだはずのピコデビモン
だった。なんと、町を破壊したのは彼なのだという。

パートナー達が成熟期に進化し、戦いを挑む中究極体・デスモンに進化したピ
コデビモン。パートナー達はジョグレス進化し、対抗するもののデスモンの圧
倒的パワーに押され、インペリアルドラモンだけとなってしまった。

絶体絶命のその時、一つの鉄球がデスモンに直撃した。隙をみたインペリアル
ドラモンのギガデスにより、デスモンを退けることに成功する。現実世界に帰
ると、そこには見知らぬデジモンがいた。どうやら、一緒に現実世界へ来たら
しい。

彼の名はドルモン。さっきデスモンに鉄球を放ったのは、彼だったのだ。しか
も、彼は満のパートナーだったのだ。

その後、選ばれし子供達は全員集まり、ゲンナイと共に会議を開いた。彼が明
かした話の内容―――それは、デジタルワールドに再び危機が迫っているとい
うことだった。そして更に、ゲンナイはあるものを持ってきていた。それはな
んと、『奇跡の紋章』だったのだ。紋章を受け継いだのは、満だった。そう、
これは新しい選ばれし子供だったのだ。

この会議を機に、デジタルワールドを救う決意を固める子供達。だが、新たな
危機はもうすぐそこに迫っていたのだった・・・

6たらこ:2007/02/24(土) 02:18:47
『東京編』・あらすじ―――

会議終了後、子供達は現実世界で着々と戦いの準備を進めていた。だがそんな
なか、暗黒デジモン達の新組織・『フォールダウンナイツ』の作戦参謀である
デスモンが立てた作戦が実行へと移される。作戦の内容は、現実世界への侵攻。
次々とリアライズしてくるデジモン達を相手に、子供達の死闘が始まった。

そんな中、完全体・アノマロカリモンと戦っていた満の持つ、『奇跡の紋章』
が突然輝き、光の矢を放った。光の矢は東京各地で戦っていた子供達の元へと
降りそそぎ、あるものには新たな力を、またあるものには進化の力を与えた。
そのおかげで、子供達はそれぞれの敵を倒すことに成功する。

子供達が死闘を繰り広げる中、タケルとヒカリの前に、ピコデビモンが現れる。
戦いの場に『光が丘』を選ぶ。そんな中、タケル達の前に、見知らぬデジモン
が現れる。彼の名は、ソウルウィザーモン。そう、ウィザーモンがピコデビモ
ンの手によって生き返り、闇へと堕ちた姿だったのだ。タケル達はそれぞれ、
テイルモンはソウルウィザーモンと、パタモンはピコデビモンが進化したデビ
モンと戦うこととなる。

戦いの中、テイルモンの友を救うという決意と共に、光の矢が降りそそいだ。
光が消え、テイルモンは究極体・ホーリードラモンへと進化する。彼女の発す
る聖なる炎は、ソウルウィザーモンの心に巣くう闇の力を焼き尽くし、見事彼
を救出することに成功した。

一方、デビモンと戦っていたエンジェモンとタケル。タケルは、隙をみてデビ
モンを殴り飛ばした。すると、デビモンがキレ、デスモンへと進化。必殺技の
一撃で、タケル達を圧倒する。

戦いの中、タケルとエンジェモンは深い傷を負い、一時戦闘不能に。そんな中、
ヒカリ・ホーリードラモン・ソウルウィザーモン達もまた深い傷を負い、戦闘
不能となる。傷付いたヒカリを見、自らのヒカリへの想いに気付いたタケル。
彼とパタモンの決意と共に、光の矢が降りそそぎ、パタモンを究極体・セラフ
ィモンへと進化させた。

激しい戦いの末、見事デスモンを打ち破ったタケル達。ピコデビモンは最期に、
次に生まれ変わるときにはパートナーがいることを強く望み、消えていった。

デスモンは消えたが、まだ危機は去っていなかった。デジモン達を現実世界に
送還してくるゲートを破壊するため、デジタルワールドへと向かった太一・ア
グモン・ヤマト・ガブモン・空・ピヨモン。

太一・アグモン・ヤマト・ガブモンの四人は、要塞の門番との戦いに入り、空・ピ
ヨモンはその隙に要塞へと侵入し、ゲートを造るためのエネルギーを供給している
装置を破壊するため、地下へと向かう。

そんな二人の前に現れたのは、七大魔王の一人・ベルゼブモン。彼の圧倒的な力の
前に、為す術のないピヨモン。ベルゼブモンの銃口が空へと突きつけられたその時、
奇跡は起きた。二人の『愛情』の力により、ピヨモンが究極体・ホウオウモンに進
化したのだ。

一時はベルゼブモンを圧倒するホウオウモン。だが、ブラストモードへとモードチ
ェンジしたベルゼブモンの力に、地へと伏してしまう。そんな彼女を庇うようにし
てベルゼブモンの前に立ちはだかった空。彼女の目の奥に宿る光を見て、ベルゼブ
モンはよく分からない『何か』を感じ、彼女たちを見逃す。

空達はエネルギー供給マシンを破壊し、要塞を脱出。その頃、太一達はエネルギー
の供給がストップし、破壊可能となったゲートを破壊していた。そして彼らは、現
実世界へと通じるゲートをくぐり、現実世界へと帰還していった。

一方、要塞で戦いが繰り広げられていたその頃、現実世界に残った子供達の前に、
『田崎美恵(たざきみえ)』と名乗る少女とそのパートナー・ギンリュウモンが現れ
る。そんな彼女の首には、『運命の紋章』が提げられていた。そう、彼女もまた満
と同様に、新たな選ばれし子供だったのだ。

新たな仲間の登場に喜ぶ中、異変に気付く子供達。敵の数が、異様に減っていたの
だ。疑問に思うなか、インペリアルドラモンの一撃で全滅した敵デジモン。そんな
中、デジタルワールドより太一達が帰還した。彼らの帰還により、全てを悟った子
供達は、歓喜の声を上げた。そう、彼らのおかげで、危機は去ったのであった・・・

7たらこ:2007/02/24(土) 18:18:39
『勇気編』・プロローグ

オレ達は生まれたその瞬間から歩き出している
生を始まりとし、死を終焉とした
先の見えぬ暗き道を

足下を閉ざす暗き闇は
オレ達の心を喰い尽くし
呑み込んでいく

この道の先に何があるのか
それは分からない
だが、恐れてはならない

不安を押し殺し、踏み出したその一歩
その瞬間に生まれたその想いは
オレ達の背中をそっと押す
大いなる翼となる

オレ達は歩いていく
後悔することもなく
この道を歩いていく
真っ直ぐ、真っ直ぐ・・・

8たらこ:2007/02/24(土) 18:21:31
『勇気編』のプロローグを載せました。
一応、とあるキャラのあおり文(というより、どちらかというと詩といった方
が正しいかも・・・)なのですが・・・誰のものか分かりますか?

9たらこ:2007/02/24(土) 22:49:32
『勇気編』・あらすじ―――

暗黒デジモンの軍勢を退け、つかの間の休息を得る子供達。だが、そんな彼ら
の前に『フォールダウンナイツ』・『十天君』の一人トウテンモンが現れる。

彼の圧倒的な力を前に、次々と力尽き、倒れていくデジモン達。そんな中、皆
の思いが一つになり、聖騎士オメガモンが姿を現す。

みためは、ほとんど互角の戦い。だが、力の差は大きく、オメガモンでさえト
ウテンモンに破れてしまった。

絶体絶命のその時、『トール』と呼ばれるデジモンが現れる。彼は、トウテン
モンを呼び戻しに来たのだ。『首領』の怒りを恐れたトウテンモンは、手柄と
してトコモンを連れ去っていった。

皆が悲しみに暮れる中、ゲンナイが現れる。ゲンナイの話で、明らかになって
いく真実。会議が終わったところで、ゲンナイは渡す物があるといい、何かを
取り出した。果たして、渡す物とは何なのか・・・?

10デジロル:2007/02/25(日) 11:08:29
今更ですが2スレ目、おめでとうございます!
またまた今更ですが、ダブルデジメンタルアップにはそんな秘密があったとは。
しかもゼヴォリューション、あの聖騎士ってまさか……!!
2スレ目でどんな展開を見せるのかとても楽しみです。
これからも頑張ってください!

11たらこ:2007/02/25(日) 12:34:40
デジロルさん、ありがとうございます!!遂に二スレ目に到達しました!!まあ、
まだ本編は更新してませんが・・・
あの聖騎士、そのまさかだと思いますよ・・・長生きだなぁ・・・
これからの展開、それはこれからのお楽しみです。
ところで、しつこいようですが・・・>>7の詩、誰のものだか分かりますか?

12グレン:2007/02/25(日) 23:47:12
2スレ目突入おめでとう!!
多分、あっという間に僕のも抜かしますよ。『02X』遅いですし(苦笑)

プロローグは…大様かな?
『大いなる翼』が、それっぽいです。フェニックスっぽい(それは02Xだろ)

あと、イラスト。明日(26日)には送れるようにしますね。
バイトで忙殺されて死にそうでした。しかもPCは不調になるし…orz

愚痴になってすんません… と、とにかく今後も期待してます!
あらすじを書かれて、すごく分かりやすいですし、読者にやさしいかと(笑)
あと、自然的(笑)なタケヒカも、見物です。『02X』は大ヒカなんですが…(苦笑)
とにかく、今後も頑張って下さい!

13たらこ:2007/02/26(月) 01:46:20
グレンさん、ありがとうございます!!『02X』を抜かすかどうかは分かりませ
んよ・・・受験に向けて、僕も忙しくなってきたので・・・グレンさんも、
身体に気をつけてバイト頑張って下さい!!
プロローグの方は・・・惜しいです。近いんですが・・・答えは、メールの返
信に書きますね。
あらすじは、デジロルさんやカイザーさんも書かれていたので、書いた方がわ
かりやすいかなぁ?と思って書きました。本当に要点しかまとめてませんが・・・
タケヒカの方も、自然な感じにしてます。奥米加獣さんみたいな感じもいいか
な?と思ったのですが、僕では描写に無理があると思って、ソフトな感じにし
ようと決めました。グレンさんの大ヒカも好きなので、進展が楽しみです!!グ
レンさんも頑張って下さい!!

14たらこ:2007/02/26(月) 18:14:02
『勇気編』・第二十四話

Evolution.112 『四神の核と『力』の核 (前編)』

『渡したい物がある』。会議が終わったところで、ゲンナイは子供達に
そう言った。戦いに役立つ物。一体、何なのだろうか?

ゲンナイは懐に手を入れ、しばらくの間ごそごそとしていた。何かを探
しているようだ。

十数秒後、ゲンナイは何かを見つけたらしく、ハッとなった。その見つ
けた『何か』を掴むと、すぐさま取り出した。出てきたのは、蒼い大ぶ
りの真珠―――デジコアだった。その後、ゲンナイは同じ事を三回繰り
返し、順番に紅、茶、黄のデジコアが取り出された。

一つ一つは小さな物質。だが、デジタル生命体―――デジモン達の命の
輝きでもあり、生命の神秘でもある。だが、このデジコアには普通のデ
ジコアとは違う感じがしていた。一つ一つが発するエネルギーが、尋常
じゃないのだ。

「ゲンナイさん・・・これは一体・・・?」

デジコア達の発する、強大なエネルギーに押されて冷や汗をかきながら、
光子郎が尋ねた。だが、エネルギーに気押されているのは光子郎だけで
はなかった。その場にいる全員が、エネルギーに気押されて冷や汗をか
いていたり、体を震わせたりしていた。

「これは、『四聖』―――つまり、『四聖獣』達のデジコアだ。」

ゲンナイが淡々と言った。口調は素っ気なかったが、言葉には深い意味
が込められていた。

「『四聖獣』の・・・?」

京が、恐る恐る、といった感じで聞き返した。

「そうだ。それぞれ―――」

ゲンナイはまず、最初に取り出した蒼のデジコアを指差した。

「―――・・・東の青龍―――チンロンモンの、蒼雷のデジコア。これ
は・・・―――」

続いて、二つ目に取り出した紅のデジコアを取り出した。

「―――・・・南の朱雀―――スーツェーモンの、紅炎のデジコア。こ
れは・・・―――」

今度は、三つ目に取り出した茶のデジコアを指差す。

「―――・・・北の玄武―――シェンウーモンの、幻霧のデジコア。そ
してこれは・・・―――」

最後に、四つ目に取り出した黄のデジコアを指差した。

「―――・・・西の白虎―――バイフーモンの、鋼爪のデジコアだ。」

ゲンナイが、デジコアの説明を一通り終える。四つ―――つまり、東西
南北、全てのエリアの『四聖獣』のデジコアがここに揃っているわけだ。
だが、何のために・・・?

「――――――・・・私はこの四つのデジコアを、あるデジモン達に渡
すよう『長老』に言われてきたのだ。」

「『長老』・・・って、誰のことですか?」

光子郎が尋ねた。初めて聞く名だ。

「・・・すまない。まだ、それは言えないんだ。」

ゲンナイが、申し訳なさそうに言った。

「言えない・・・?何でだよ!?」

今度は、大輔が語気を強めて尋ねた。

「・・・『長老』に口止めされてるんだ。だから、まだ言えない・・・
だけど、いつか話せる日が来ると思う。・・・それまで、待っていてく
れ。」

ゲンナイが、静かに言った。心底すまなさそうな顔だった。

「あ・・・わりぃ・・・あんたの事情もろくに知らないのに、オレ・・
・」

「・・・いや、いいんだ。悪いのは、こちら側だからな・・・」

そう言うと、ゲンナイはフゥッとため息をついて、首を振った。そして、
再び口を開く。

「さて・・・話を戻そうか。さっきも言ったとおり、私はこのデジコア
達をあるデジモン達に渡しに来た。そのデジモン達とは・・・」

ゲンナイが、指をスッとあげ、一体目のデジモンを指す。

「―――・・・チコモン・・・」

続いて、二体目。

「―――・・・ホークモン・・・」

そして、三体目。

「―――・・・アルマジモン・・・」

最後に、四体目。

「―――・・・リーフモン・・・この四体だ。」

「・・・それって・・・全員に力をわけるんじゃなくて、一人につき一
つずつ渡すってことなのか?」

大輔が尋ねた。二年前にチンロンモンの力をわけてもらったときは、全
員が少しずつ力をわけてもらったのだ。だが、何で今回は一人ずつなん
だろう?

15たらこ:2007/02/26(月) 18:15:37
二スレ目初の本編更新です。短いですが・・・書く時間がないから、仕方ない
んですけどね・・・

16ユッケ:2007/02/26(月) 18:24:14
ゲンナイが持って来たのは四聖獣のデジコアだったのですか!
そして、前回はチンロンモンの力を借りて、進化できなかった初代デジモン達が完全体へと進化出来たのですが…何故今回は一個ずつ?
次回も頑張って下さい!

17たらこ:2007/02/27(火) 00:53:55
感想ありがとうございます、ユッケさん。
前回は一個のデジコアを全員でわけてましたが、今回は一体につき一個です。
何故なのかは・・・次回のお楽しみです。

19デジロル:2007/02/27(火) 21:12:30
本編遂に始まりましたね。
しかし何故、1人1つずつ、四聖獣のデジコアが与えられるのか……?
前は1つで皆に分け与えていたので、1人で1つずつとなると強力になりますね。
これがどうでるのかとても気になってしまいます。
次回も頑張ってください!

20たらこ:2007/02/28(水) 01:35:54
感想ありがとうございます、デジロルさん。本編、遂に始められました。
今回は前回と違って一体につき一個なので、その分強力なパワーをえられるこ
とになります。何でそんな分け方をするのかは・・・次回のお楽しみです。

21たらこ:2007/03/03(土) 17:16:17
『勇気編』・第二十五話

Evolution.113 『四神の核と『力』の核 (中編)』

ゲンナイが取り出した『四聖獣』のデジコア。渡したい物とは、これら
のことだったのだ。しかも、今回は一体につき一つずつだという。一体、
何故なんだろうか?

「・・・まあ、そういうことだな。・・・大輔、京、伊織の三人は、特
定の紋章を持っていないだろう?だから、その三体が完全体・究極体に
進化するためのエネルギー補助のために、渡すことになったんだ。」

大輔の質問に、ゲンナイが簡単に答える。

「でも・・・なんで渡すデジモンが決まっているんですか?」

「それはだな・・・チコモン、ホークモン、アルマジモンの三体はデジ
コアの種族データが酷似しているからだ。」

「・・・じゃあ、僕たちは?」

『優しさの紋章』と、更にはタグを持っている賢が尋ねた。紋章も持っ
ているのだから、特にエネルギー補助は必要ないと思うのだが・・・

「・・・リーフモンの場合は、私にもよく分からないが・・・『長老』
が言うには・・・」

「言うには・・・?」

「・・・バイフーモンが君たちのことを気に入ったから、だそうだ。」

その言葉に、賢とリーフモンは思わずがくりとなってしまった。まさか、
そんな理由だったは、予想だにしなかった。

「さて・・・では、ちょっとこっちにきてくれ・・・」

ゲンナイの言葉に応じ、チコモン、ホークモン、アルマジモン、リーフ
モンが近くによる。

「チコモンには・・・青龍・チンロンモンのデジコアを・・・」

蒼のデジコアが宙に浮かび、チコモンの体内へと沈み込んでいった。

「うえぇ・・・なんか変な感じがする・・・」

「・・・少しの我慢だ。チンロンモンのデジコアが、君のデジコアと融
合しているんだ。」

暫くして、チコモンの身体が一瞬だけ強く輝き、光の粒がこぼれ落ちる。
それと同時に、大輔のD−3から光が放たれ、チコモンの身体を包み込
んだ。

「チコモン、進化―――ブイモン!!」

チコモンの体中にエネルギーが満ち、一気にブイモンへと進化した。

「二段階進化した・・・」

光子郎が声を掠らせた。驚いているのだ。二段階進化できるほど、エネ
ルギーに満ちている、ということなのだ。

「ホークモンには・・・朱雀・スーツェーモンのデジコアを・・・」

紅のデジコアが宙に浮かび、ホークモンの体内へと沈み込んでいった。

「むうぅ・・・確かに、これはちょっと・・・」

自身のデジコアと他のデジモンのデジコアが融合する感覚に、ホークモ
ンが顔をしかめる。やがて、ホークモンの体が一瞬だけ強く輝き、光の
粒がこぼれ落ちる。デジコアの融合が、完了したのだ。

「アルマジモンには・・・玄武・シェンウーモンのデジコアを・・・」

茶のデジコアが宙に浮かび、アルマジモンの体内へと沈み込んでいった。

「ううん・・・なんか、体の中がかゆいような感じがするだがや・・・」

何とも言えない、非常に奇妙な感覚に、アルマジモンが苦い顔をする。
十数秒の後、アルマジモンの体が一瞬だけ強く輝き、光の粒がこぼれ落
ちる。無事に、デジコアの融合が完了したようだ。

「リーフモンには・・・白虎・バイフーモンのデジコアを・・・」

黄のデジコアが宙に浮かび、リーフモンの体内へと沈み込んでいった。

「ぐう・・・」

リーフモンが、苦しそうな呻き声をあげる。これまで見た反応の中で、
一番辛そうな反応をしていた。何でかは、分からなかったが。

数十秒が経ち、リーフモンの体が一瞬だけ強く輝き、光の粒がこぼれ落
ちた。これで、四つのデジコアが全て融合した。そして、融合と同時に、
賢のD−3から光が放たれ、リーフモンを包んだ。

「リーフモン、進化―――ワームモン!!」

バイフーモンの強大なエネルギーを受け、リーフモンがワームモンに二
段階進化する。

「凄い・・・身体の奥底から、力がわいてくる・・・」

「ええ・・・まるで、私達ではないみたいだ・・・」

「う〜ん・・・なんだか頭がくらくらしてきただぎゃー・・・」

「それだけじゃない・・・なんだか、意識が遠のいていくよ・・・」

自らに与えられた強大なエネルギーに酔う四体。足下がふらついている。

「まあ、直になれるだろう。今は、急に介入してきた巨大すぎるエネル
ギーに、デジコアの処理能力が追いついていないんだ。ちょっとの間辛
抱すれば、デジコアがその感覚になれるだろう。」

事が安全に為せられ、半ばホッとしたような表情でゲンナイが言った。

22ユッケ:2007/03/03(土) 18:35:22
四神の核を借りて、全員が成長期に進化出来ましたね。
リーフモンに核が渡された理由が……(汗)
兎に角、これで四体が完全体・究極体へと進化が可能になったわけですね!
次回も頑張って下さい!

23たらこ:2007/03/03(土) 18:51:16
感想ありがとうございます、ユッケさん。
リーフモンに核が渡された理由、今回はかなり適当なものでしたが、実際は違
うので・・・今回は『長老』が真意を伏せたため、あんなものとなりました。
本当の理由は、また後々・・・

24シン:2007/03/03(土) 21:10:31
四聖獣のデジコアとの融合は感覚的にはそんなに気持ちよくはなさそうですね。
そしてリーフモンにバイフーモンのデジコアな訳とはいったい……
ジョグレスパートナーなのに東と西でいいんでしょうか?(どうでもいいことを…)
しかし、ブイモンたちの完全体、究極体が楽しみですね。
これからも頑張ってください!

25たらこ:2007/03/03(土) 21:39:22
感想ありがとうございます、シンさん。
デジコア同士の融合は気持ちのいいものではありませんよ・・・多分。人間で
も臓器移植とかに拒絶反応があるので、デジコアもそういうのがあるのかな・・・
と思ってああしました。
ブイモン達の完全体は決まっているのですが(名前だけ)、究極体はまだ決めて
ません。既にあるものにするか、オリジナルにするか・・・考え中です。

26たらこ:2007/03/07(水) 19:05:33
『勇気編』・第二十六話

Evolution.114 『四神の核と『力』の核 (後編)』

『四聖獣』のデジコアを渡し終えたゲンナイ。だが、まだ何か用がある
ようだ。

「さて、もう一つ・・・今度は、全員分だ。」

今度は、懐から漆黒のデジコアを取り出す。

「これは・・・誰のデジコアなんですか?」

光子郎が尋ねた。たったの一個。だが、さっきの四聖獣のデジコア四つ
を全てあわせたエネルギーよりも、更に巨大なエネルギーが放たれてい
た。巨大な波動が、ろうそくの炎を吹き消した。

「これは・・・『三賢者』の一人、『力』を司るもの―――ディオガモ
ンのデジコアだ。」

「・・・『三賢者』・・・?ディオガモン・・・?」

全く知らない単語を連発され、京が疑問符を浮かべる。

「『三賢者』というのは・・・デジタルワールドに存在する、強力な力
を持つ三体の超究極体のことだ。それぞれがデジコアにおける、戦闘機
能の三大要素―――つまり、『力』、『知』、『技』の三つを司ってい
る。そして、今ここにあるのは・・・」

ゲンナイが、漆黒のデジコアを持ち上げる。

「―――・・・『力』を司る『三賢者』・・・ディオガモンのデジコア
だ。―――これも、君たちに託すよう『長老』に命じられた。」

ディオガモンのデジコアが宙に浮かび上がり、十五のかけらに分裂した。
その内の二つはゲンナイの手の中に、残りの十三はタケルを除いた子供
達のデジヴァイスの元に飛んでいき、吸い込まれるようにして消えてい
った。

「さて・・・この二つは、パタモンが戻ってきたときのためのものと、
太一の分だ・・・」

そう言って、ゲンナイは残った二つのかけらを握りしめた。

「あれ・・・?デジモン達のデジコアに直接融合させるわけではないん
ですか?」

さっきとは違う力の与え方に、光子郎が疑問を投げかける。

「ああ。ディオガモンの持つエネルギーは強大だ。『四聖獣』のものよ
りも、遥かにな。だから、直接デジコアと融合させてしまうと、デジモ
ン達の体がエネルギーの強大さに耐えられないんだ。融合させたら、そ
の瞬間体が消し飛ぶだろう。だから、今回はデジヴァイスを経由してデ
ジモン達にエネルギーを送ったんだ。」

ゲンナイが答える。そして、言葉を一旦切り、再び口を開いた。

「このデジコアは、デジモン達に『力』を・・・進化のためのエネルギ
ーを与える。つまり、『デジ・エンテレケイア』の効果が消えても、デ
ィオガモンのデジコアが進化のエネルギーを補ってくれる。」

「それってつまり・・・これからも完全体以上に進化できるって事なん
ですか?」

光子郎が尋ねた。

「そういうことだ。しかも、半永久的にな。」

「すっげえ・・・ありがとな、ゲンナイさん!!」

大輔がお礼の言葉を述べた。

「お礼は、私にではなく『長老』に言ってくれ・・・ディオガモンがデ
ジコアをくれたのは、『長老』のおかげなんだからな。・・・さて、と・・・」

ゲンナイが、言葉を一旦切る。

「もう何もなければ、解散になるが・・・何か訊きたいことはあるか?」

ゲンナイの言葉に、一人の男がスッと手を挙げた。皆がその方向を向く
と、そこにいたのは大輔だった。意外な人物が手を挙げたので、皆呆気
にとられた。

「一つだけ、訊きたいことがある・・・ウォレスの持ってる『運命のデ
ジメンタル』と、ミエの持ってる『運命の紋章』の関係について・・・な!!」

27デジロル:2007/03/07(水) 19:16:21
力の賢者から受け継ぎし力。
これにより大輔達の戦力も多いにアップしますよ。
四神より大輔も力を受け継いだし、今までよりも幾分かは楽になりますね。
そして大輔がゲンナイにデジメンタルと紋章を問う。
一体ゲンナイはなんと答えるか……?

28ユッケ:2007/03/07(水) 21:06:44
更なるデジコアにより大輔達の戦力は大幅アップですね。
しかし、大輔の質問も確かに気になりますね…。
ゲンナイの回答は如何に…?
次回も頑張って下さい!

29たらこ:2007/03/07(水) 21:55:05
感想ありがとうございます、みなさん。

>>デジロルさん
『力の賢者』・ディオガモンのデジコアを受け継ぎました!!大輔達も、大いに
パワーアップしました!!デジメンタルと紋章について、ゲンナイがどんな答え
を出すかは・・・次回のお楽しみです。

>>ユッケさん
もう一つのデジコアを受け継ぎ、大輔達が更にパワーアップしました!!大輔の
質問に対する、ゲンナイがどんな答えを出すのかは・・・次回のお楽しみです。

30たらこ:2007/03/12(月) 20:12:54
『勇気編』・第二十七話

Evolutino.115 『ウォレスのトラウマ (1)[Excuse And Escape]』

『運命のデジメンタル』。それは、今はもう存在しないはずの物質。失
われたはずのチカラ。そして・・・今はもう、存在してはならないはず
の物質。

元々は二年前の夏、ニューヨークでの『チョコモン』との戦いで、ホー
リードラモンが創りだし、ウォレスに与えたはずの物質だ。その『奇跡』
にも似たチカラは、ウォレスのパートナー、『グミモン』を黄金の鎧を
身に纏いし聖騎士―――『ラピッドモン』へと進化させた。

二体の聖なるデジモンによって創り出された、二つのデジメンタル。そ
のチカラによって進化した二体の聖騎士は、暴走する『チョコモン』を
止め、大切なパートナー達を護った。―――・・・『チョコモン』とい
う、大きな犠牲を払って・・・・・・

あらから二年―――正確には一年半だが―――の時が経ち、チョコモン
は復活した。常時耳に装備される、二環の『ホーリーリング』と共に・・・

あの戦いが終わったあと、消滅したはずの二つのデジメンタル。その内
の一つが、『運命のデジメンタル』だ。だが今、『運命のデジメンタル』
は再びウォレスの手の内にあり、それと何らかの関係があるであろう『運
命の紋章』はミエが受け継いだ。

そして今、大輔の疑問は紐解かれたのであった・・・

「『運命のデジメンタル』と、『運命の紋章』か・・・それは・・・」

ゲンナイの声の調子が、突然か細くなった。その視線の先には・・・ウ
ォレスがいた。

突然ウォレスが立ち上がり、部屋の出口の方へと体を向けた。大輔達の
方へ振り向けられた顔。その顔が映し出す表情を見て、大輔はハッとな
った。

「ゴメン・・・夕飯とか買わないといけないから・・・コンビニ行って
来る・・・」

そう言い残して、ウォレスは部屋から出ていった。言い訳だ。誰でも分
かることだった。立ち去ったときの、ウォレスの雰囲気・・・それに、
デジモン達が存分に暴れ回ったあとだ。破壊されたお台場に、営業して
いるコンビニなんて無いだろう。京の親が経営する『アイマート』でさ
え、目の前でブルーメラモンに暴れられから、営業していないというの
に。

「・・・あたし、心配だからちょっと見てくるね・・・」

そう言って、京も部屋を出ていった。ウォレスを追って、閑散としたお
台場の町へ・・・

―――・・・ゴメンね、ウォレス・・・やっぱり、辛いんだよね・・・

グミモンは心の中で、そう呟いた。

「・・・『運命の紋章』は・・・元々は、ウォレスが受け継ぐはずのも
のだったんだ・・・」

唐突にゲンナイが話し始めた。

「ウォレスが・・・じゃあ、なんでミエが『運命の紋章』を受け継いで
るんだよ?」

大輔が疑問を口にした。

「それは・・・」

ゲンナイが、首を背けた。とても、いいにくそうだ。いっても良いのか
どうか、迷っているんだろう。だが、やがて意を決したのか、口を開い
た。

「それは・・・ウォレスが、受け入れを拒否したからだ・・・」

首を背けたまま・・・ゲンナイは、そう言ったのだった。

31ユッケ:2007/03/12(月) 21:49:49
運命の紋章は元々ウォレスが継ぐ筈だったんですね。
それを聞いたミエはどう思うのか?
落ち込んだウォレスは復活できるのか?
次回も頑張って下さい!

32デジロル:2007/03/12(月) 22:11:53
元々受け継ぐはずだったウォレス。
しかしウォレスはその受け継げを拒否してしまった。
だからミエが新しい受け継げの人物として選ばれたわけですか。
一体、どうなってしうまのか、これから……?
これからも頑張ってください!!

33たらこ:2007/03/15(木) 21:48:41
感想ありがとうございます、ユッケさん、デジロルさん。

>>ユッケさん
『運命の紋章』は元々ウォレスが受け継ぐはずのものでした!!ミエがどう思うか、
ウォレスが復活できるかどうかは・・・お楽しみです。

>>デジロルさん。
『運命の紋章』はウォレスが受け継ぐはずのものでしたが、ウォレス自身が拒否
しました!!その代わりに、ミエが選ばれたんです。
これからどうなるのかは・・・次回のお楽しみです。

34たらこ:2007/03/22(木) 22:53:49
『勇気編』・第二十八話

Evolution.116 『ウォレスのトラウマ (2) [Hurting Heart]』

『運命の紋章』が話の話題となって、逃げ出してしまったウォレス。ウ
ォレスの身を案じ、彼を追いかけていった京。そして、ゲンナイの口か
らでてきた言葉は、ウォレスが『運命の紋章』の受け入れを拒否した、
という内容だった。一体、何故・・・?

「それって・・・どういう事だよ・・・?」

ゲンナイの言葉に、言葉を失ってしまっていた大輔が掠れた声で尋ねた。

「・・・分からない・・・だが、あの時のウォレスの顔・・・見て、い
られなかった・・・!!」

その時の状況が脳裏に思い浮かんだのか、ゲンナイが片手で顔を覆う。
それほど、ゲンナイにとっても辛い『何か』をもたらしたのだろう。

「とても・・・悲しそうな顔だった・・・なのに、無理矢理笑顔を作
って・・・」

その後、ゲンナイは暫く沈黙していた。数分の後、ゲンナイは再び口
を開いた。

「・・・その後私は、急いで『運命の紋章』の新たな適合者を捜し始
めた・・・何しろ、世界は広い・・・エージェントを総動員して、や
っと見つけだしたんだ・・・ミエのことをな。」

「・・・そして私は、ゲンナイさんの話を聞いて、『運命の紋章』を
受け継ぐことにしたの。・・・でも、ウォレスさんのことは何も聞い
てなかったわ・・・」

全員が、沈黙した。頭の中は、疑問でいっぱいだった。

「・・・なんでウォレスさんは、『運命の紋章』を受け継ぐことを拒
否したんでしょう・・・?」

重苦しい空気の中、伊織がぼそりと言った。

「・・・多分、戦いが嫌いなんだよ、アイツ・・・」

そう言ったのは、大輔だった。目線を落とし、床を見つめている。

「戦いが嫌い・・・?そんなの、ボク達だって同じですよ・・・」

「いや、そういう意味じゃないんだ、満。」

言い方が悪かったと、大輔が訂正する。

「・・・オレ達がアイツと初めて会った時さ・・・アイツ、チビモン
達を見て『デジモンって、グミモン以外にもたくさんいるんだね』っ
て言ってた・・・多分、アイツが見たことのあるデジモンって、グミ
モンとチョコモンだけだったと思うんだ・・・だから、暴走してたチ
ョコモンと戦うまで、アイツ戦ったこと無かったんだと思う・・・」

大輔は、そこで一旦言葉を切った。

「そんで・・・初めての戦いで・・・チョコモンとの戦いで、かけが
えのない、大切なパートナーを失っちまった・・・戦うことが、トラ
ウマになっちまってるんだよ、アイツ。・・・考えてみろよ・・・初
めての戦いの相手が自分のパートナーだぜ・・・トラウマにならない
方がおかしいぜ・・・」

大輔の言葉で、皆が沈黙した。ウォレスの心中を思うと、とても悲し
かった。

「・・・連れて・・・来なかった方がよかったのかな・・・」

アメリカからウォレスを連れてきたミミが、後悔の念を抱く。ウォレ
スは嫌がっていた。なのに、無理矢理連れてきてしまった。

「・・・いや、そこまで深く後悔することはないだろう・・・」

「どういう・・・事ですか、ゲンナイさん?」

ゲンナイの言葉に、伊織が聞き返した。

「・・・私はウォレスと会ったあと、帰り際に『運命のデジメンタル』
と『黄金のD-ターミナル』を渡した・・・どちらも、『運命の紋章』か
ら創りだした物だ・・・戦う決意が出来たら、使ってほしいと言ってな
・・・きっと、彼なりに決意してきてくれたんだ。暫く、見守っていて
欲しいんだ。」

ゲンナイが、微笑みながら言った。

「・・・そうだな。」

―――今はまだ、決意しきれていないけれど・・・いつかきっと、決意
できるときが来る・・・その時が来ることを信じてるぜ、ウォレス!!

その時だグミモンとチョコモンが、スッと立ち上がった。

「・・・僕たち、ウォレスをさがしてくる!!」

「僕たちは、ウォレスのパートナーだからね!!」

そう言って、二体はウォレスを追って泉家を飛び出していった。

35ユッケ:2007/03/22(木) 23:21:16
ゲンナイがここまで悲しい表情を見せると言う事は、ウォレスの辛い表情に耐えられなかったということですね……。
そしてミエが選ばれた理由もそこにあったのですね。
それ程までに辛い表情を見せつつも、日本にやってきたウォレス。彼の決意はかなり固いですね。
そしてウォレスを探しにチョコモンとグミモンが泉家を飛び出していく…。
彼の身に何も起きてない事を祈りますが……果たして?
次回も頑張って下さい!

36たらこ:2007/03/23(金) 21:57:21
感想ありがとうございます、ユッケさん。
戦うこと自体がトラウマになっているウォレスですが、今回は決意を固め、大
輔達の救援に来てくれました。ですが、まだ完全に決意しきれていないんです。
今彼がどうなっているかは・・・お楽しみです。

37たらこ:2007/03/27(火) 22:24:34
『勇気編』・第二十九話

Evolution.117 『ウォレスのトラウマ (3) [We Are Your Partner!!]』

グミモンとチョコモンがウォレスを追って泉家を飛び出したその頃・・・ウォレ
スはお台場を走っていた。ただひたすらに、走っていた。何か、強い思いをぶ
つけるかのように。

その走りは、後方でウォレスを追っている京の目に、痛々しく映っていた。見
ていたら、目頭が熱くなるほどにだ。

暫くして・・・ウォレスと京は、大きな池のある公園にたどり着いた。結構長い
距離を走ったため、二人とも息を切らしていた。

「・・・ウォレス・・・?」

長い沈黙のあと、京が沈黙を破った。

「・・・京・・・いたの?」

「・・・・・・ずっと追ってきてたんだけど・・・まさか、気付いてなかったの?


「・・・うん。」

ウォレスの返答に、思わずガクッとなってしまった。あんだけ声をかけなが
ら追ってきてたのに・・・気付かないとは。

「・・・ゴメンね。突然飛び出したりして・・・」

ウォレスが、空に昇り始めた月を見ながら言った。

「・・・ボクさ・・・少しでも、京達の手助けが出来るようにと思って、日本に

たんだ・・・でも・・・もう無理みたい・・・」

「ウォレス・・・」

「ダメなんだ・・・『戦い』って聞くと、どうしても頭の中が真っ白になって、
足が震えるんだ・・・こんなんじゃ、京達の手助けなんか出来ない・・・足手ま

いになっちゃうだけだよ・・・」

ウォレスが京の方に顔を向けた。とても・・・とても、悲しい目をしていた。

「ウォレス・・・そんなこと・・・・・・」

「「ウォ〜レス〜!!!!」」

京が何か言おうとして、口を開いたその時。後ろの方から、場の空気に合わ
ない異常なまでに元気で明るい声が二重に聞こえてきた。声のした方を見る
と、そこには・・・

「グミモン・・・それに、チョコモン!?」

二体のパートナーの姿を見て、ウォレスが目を丸くした。

肝心のその二体は、ウォレスに近づくなり、大きくジャンプしてウォレスに
飛びついた。突然かかってきた重さに耐えられず、ウォレスが後ろに大きく
のけぞり・・・尻餅をついた。

「っ痛〜・・・・・・全く、いきなり何するんだよ?」

「ウォレス・・・戦いが怖いの?」

「え・・・?」

撲った部分をさすりながら文句を言うウォレスに、グミモンがいきなり核心
をつく一言を放った。

「・・・それは・・・」

地面の方に視線を向け、戸惑いながらウォレスが曖昧に答えた。

「失うことが・・・僕達を失うことが、怖いんだよね?」

ウォレスの上から下りながら、チョコモンがそう言った。グミモンも、同様
にウォレスの上から下りている。

「・・・でもさ、僕達は怖くないよ、戦うこと。」

「え・・・?」

チョコモンの言葉に、ウォレスがそう言った。『訳が分からない』、という
風に。

「だって・・・・・・僕達は、パートナーなんだよ?」

「もしも戦いで、僕らが死んでも・・・僕らとウォレスの絆は、それで消えち
ゃうの?・・・違うよ。僕らは、ウォレスと『切れない絆』を結ぶために生ま
れてきたんだから・・・」

グミモンとチョコモンが言った。そんな彼らの言葉を聞くウォレスに、京
がゆっくりと歩み寄っていった。

「ウォレス・・・あんた、『足手まといにしかならない』・・・って言ったわよ
ね。そんなことないわよ。・・・あんた、戦いが怖いんでしょ?それなのに、
あたし達を手助けするために戦ってくれた・・・あんた、十分覚悟してるじゃ
ないのよ・・・」

「京・・・」

ウォレスが顔を上げ、京の方に視線を向けた。

「あんたはまだ、自分の覚悟に納得がいってないみたいだけど・・・今はそれ
で十分じゃない?もっとすごい覚悟が必要なときが来るまでは・・・ね。それ
に・・・」

そう言いながら、京はグミモンとチョコモンの方を見た。

「・・・この子達のこと・・・もっと信頼してあげたらどう?」

「そうだよ、ウォレス!!僕達、絶対に死なない!!」

「ウォレスのこと、絶対に悲しませたりなんかしない!!約束する!!」

グミモンとチョコモンがそう言いながら、ウォレスの方に小指を差し出した。

「・・・・・・ありがとう、京・・・ありがとう、グミモン、チョコモン・・・約束だよ・・・」

ウォレスの差し出した小指が、二体のパートナーの小指と絡み合った。その
頃にはもう、月は空高く昇っていた。

だが、その頃・・・別の場所で、二体のデジモンがリアライズしていたことな
ど・・・・・・彼らは、知るよしもなかった・・・

38デジロル:2007/03/27(火) 22:30:59
そうですか、理由は初めての戦いがパートナーだったからですか。
まあ確かに初めての戦いが、自分のパートナーじゃトラウマにもなりますよね。
しかし京のお陰で、そしてパートナーのグミモンとチョコモンのお陰で。
ウォレスは遂に立ち上がりましたね。これからどうなるのか気になります。
次回も頑張ってください!!

39たらこ:2007/03/27(火) 22:47:45
感想ありがとうございます、デジロルさん。
そうなんです。ウォレスが戦いを嫌う理由は、初めての戦いで戦った相手が、
暴走する自分のパートナーだったからなんです。
でも、京、グミモン、チョコモンのおかげで、なんとか立ち直ることが出来
ました。これからどうなるかは・・・お楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

40ユッケ:2007/03/27(火) 22:49:25
諦めかけていたウォレスだが、京やグミモン&チョコモンのおかげで立ち直れましたね。
これで戦う決意を再び固めましたね。
しかし、その頃何処かでリアライズされるデジモンの姿が2体……再び敵襲か!?
次回も頑張って下さい!

41たらこ:2007/03/28(水) 11:40:56
感想ありがとうございます、ユッケさん。
諦めかけていたウォレスですが、京、グミモン、チョコモンの言葉のおかげで
立ち直ることが出来ました。
しかし、新たに二体のデジモンが現実世界にリアライズしてきました・・・再び
の敵襲です。
応援、ありがとうございます!!

42たらこ:2007/03/28(水) 12:04:50
『勇気編』・第三十話

Evolution.118 『太一失踪』

グミモンとチョコモンが泉家を飛び出していった後・・・やることが無くなった
大輔達は、各自の家に帰ることになった。

だが・・・幾つか問題があった。―――ウィザーモン、ミミ、パルモン、ウォ
レス、グミモン、チョコモンだ。泊まる場所が、無い。

かなりの問題かと思われたが、結構あっさりと収まった。ミミ、パルモン
は、

「あ、大丈夫。あたし達ここに泊まるから。」

とあっさり言った。ここ―――つまり、光子郎の家だ。

「ななな・・・何言ってるんですか!!だ、ダメに決まってるでしょうが!!///」

光子郎が、顔を真っ赤にして、あたふたと言った。そんな光子郎に、タケル
が、

「あ、光子郎さん、顔が赤くなってる!」

と言ってからかった。

「〜〜〜!!///そ、それに・・・お母さん達が、ダメと言うに決まってます!!」

「あら、別にいいわよ。」

声のした方を見ると、そこにはいつの間にかドアの前に立っていた光子郎の
母と父がいた。

「好きなだけ泊まっていきなさい、ミミちゃん。」

「ありがとうございます!!・・・で、何か不満でもあるの、光子郎君?」

そんなミミの言葉に、光子郎は、

「いえ・・・別にないですけど・・・」

とぼそぼそ言っていた。

「ウィザーモンはどうするの?」

ヒカリがウィザーモンに尋ねた。

「私は野宿で構わないよ。旅していた間は大抵、野宿だったからな。慣れて
いるんだ。」

微笑みながら、ウィザーモンはそう答えた。

「それなら、家に泊まりなよ!!お兄ちゃんもお母さんもお父さんも、文句は
言わないだろうし。」

「そうよ。それに、話したいことが山ほどあるんだから。」

ヒカリとテイルモンがそう提案した。

「そうか・・・じゃあ、そうすることにしよう。恩に着るよ、ヒカリ、テイル
モン。」

「んじゃ、ウォレスにはオレがメールすることにするよ。『家に泊まりに来
い!!』・・・ってな。」

大輔がD−ターミナルを取り出しながら、そういった。だが・・・

「大輔さん・・・ウォレスさんのメールアドレス、分かるんですか?」

「あう・・・」

伊織のつっこみに、大輔は訳の分からない声を出して、ガクッとなった。と
思ったら、直ぐに立ち直り、ゲンナイの方を向いてこう言った。

「ゲンナイさん・・・ウォレスのアドレス、教えてください・・・」

「全く・・・仕方ないな。」

その後大輔は、ゲンナイから聞き出したウォレスのアドレスに地図を付けた
メールを送っていた。

「でも・・・大丈夫なの、大輔君?エレキモンも泊めてるのに・・・」

「大丈夫だって、タケル。前に賢も泊めたことあるんだから。」

「・・・でも、一乗寺君が泊まったときは、ミノモンとあわせても二人だけだ
ったじゃないか・・・今度は合計四人だよ?大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫。心配なし!!」

タケルの心配など物ともせず、大輔が自信たっぷりにそういった。

「まあ、そこまで言うなら良いけど・・・」

大輔の自信たっぷりな言葉に、タケルも遂に折れた。

「そういえば・・・お兄ちゃん、もううちに帰ったのかなぁ・・・?光子郎さん、
電話借りても良いですか?」

「良いですよ、ヒカリさん。」

光子郎の了承を得て、ヒカリが電話の方へと駆けていった。受話器を取っ
て、番号を押し始める。暫くして、八神家の電話と回線が繋がった。そし
て・・・

「大変・・・!!お兄ちゃん、まだ家に帰ってないんですって!!」

43デジロル:2007/03/28(水) 12:41:30
意外とアッサリと決まりましたね、皆の泊まる所。
特に光子郎がなんか可愛いですよ。
そしてヒカリが八神家に電話すると、家に太一が帰ってないことが……!!
一体どうなってしまうのか、これから……!?
これからも頑張ってください!!

44たらこ:2007/03/28(水) 12:55:01
感想ありがとうございます、デジロルさん。
みんなの泊まる場所、トントン拍子で決まっていきましたよ。
光子郎も表面上は拒否してましたが、内心ちょっと嬉しかったんですよ。
そして、太一は家に帰ってません。これからどうなるのかは・・・お楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

45たらこ:2007/03/28(水) 12:55:34
『勇気編』・第三十一話

Evolution.119 『走れ!! ライドラモン』

母親との通話を終えたヒカリ。その口から出た言葉は、太一の失踪を知らせる
言葉だった。

「太一先輩が・・・いない?」

大輔が、落胆した声で言った。

「・・・そうみたいなの。」

ヒカリの方も、かなり落ち込んでいた。

「くッ・・・!!エレキモン!!」

「なんだ、大輔?」

「わりぃけど、先帰っててくれ。んで、姉ちゃん達に遅くなるって伝えてくれ
ねえか?」

「ああ、わかった!!」

大輔がエレキモンにそう頼み、エレキモンはそれを了解した。

「ちょっと、大輔君!!どうするつもりなんですか?」

「光子郎さん、オレ、太一先輩のこと捜してきます!!行くぜ、ブイモン!!」

「おう!!」

「ちょっと、大輔君!!」

光子郎に訊かれ、大輔は答えた。そして、ブイモンを連れて外へと飛び出して
いった。・・・光子郎の制止も聞かずに。

「まあ、落ち着くんだ、光子郎。」

「ゲンナイさん・・・あ、そうだ。」

ゲンナイに諭された光子郎が、何かを思いついたように言った。そして、ゲン
ナイの方へと詰め寄っていく。

「な、何だ何だ・・・?」

「ゲンナイさん・・・あなた、僕達の戦いをサポートしてくれますか?」

「あ、ああ。もちろんだ・・・」

光子郎の問いに、ゲンナイはそう答えた。光子郎は、その答えを聞いたところ
で、ニヤリと笑った。

「それじゃあ・・・破壊されちゃってる町を何とかしてください。」

「・・・はい?」

「だって、今言ったじゃないですか。『僕達の戦いをサポートする』って・・・
僕達、あんな破壊された町じゃ戦いにくくて仕方ないですよ。直して・・・くれ
ますよね?」

光子郎の言ったことに、ゲンナイは愕然となっていた。つまり、さっき言った
ことを利用されているわけだ。

―――恐ッ!!!!

その光景を見ていた残りの子供達は、全員そう思っていた。

「ぐぅ・・・わ、分かった・・・エージェントを総動員して、明日の朝までには何と
かして見せよう・・・」

―――あ、悪魔だ・・・

ゲンナイはそう思いながらも、そう答えるしかなかった。もしも拒否して、う
そつき呼ばわりされてしまったら、たまったものではない。

「・・・さ、みなさん、解散しましょう。とりあえず、太一さんのことは大輔君
に任せましょう。みなさんは、もう帰ってください。結構遅くなったので。」

光子郎の言葉に従い、子供達はぞろぞろと泉家から出ていった。(ミミ、パル
モン以外だが。)

帰るとき、エレキモンはタケルが家とは別方向に向かっていることに気付いた。

―――アイツ・・・何処に行く気だ?

なんだか急に心配になった。そして、心配だから、後を追うことにした。エレ
キモンは、タケルを追って本宮家からどんどん離れていった。

一方、子供達が泉家を出る数分前・・・大輔は外でD−ターミナルを取り出してい
た。

「それじゃ、頼んだぜ、ブイモン。」

「応、任せとけ!!」

大輔の言葉に、ブイモンは威勢よく応え・・・身構えた。

「デジメンタルアップ!!」

大輔の言葉に応じ、D−ターミナルから一筋の蒼い光が伸びていく。その光は
真っ直ぐと大輔のD−3の背面へと伸びていき・・・D−3の画面から、『友情
のデジメンタル』が光に押し出されるような感じで飛び出してきた。

『友情のデジメンタル』はやがてくるくると回転し始め、蒼雷の輪となって、
ブイモンの体を覆い始めた。そして、ブイモンの体の周りに、少しずつ藍色の
アーマーが形成されていった。

やがて、アーマーは体の形が変わったブイモンの全身を覆った。最後に蒼雷が
ブイモンの体を走り額へと集中していった。集まりきった蒼雷は、雷型の蒼き
角へと、形を変えていく。

「轟く友情―――ライドラモン!!」

雷が唸る轟音とともに、藍の鎧に身を包んだ蒼き雷獣―――ライドラモンが、
雷の如き咆吼をあげた。

「よし、乗って、大輔!!」

「ああ!!」

ライドラモンの言葉に応じ、大輔が雷獣の背へと飛び乗る。それと同時に、雷
獣は風を切って駆けだした。―――その姿、まるで閃光の如く。

「だけど大輔・・・心当たりとかあるのか?」

「ああ。一つだけな。オレが思いつく場所といえば・・・あそこしかねえ。・・・急
ぐぞ、ライドラモン!!」

大輔の言葉に応じ、ライドラモンがスピードを更にぐんぐんと上げていく。大
輔の思い当たるという場所、その一点を目指して・・・

46ジャイロポール:2007/03/28(水) 13:05:45
光子郎……怖いですね。
でも、こういう怖さ、僕は好きですが(何
そして大輔はライドラモンにまたがり、ある場所へと向かう。
大輔の思い当たる場所とは……!?
次回も気になります。がんばってください!

47デジロル:2007/03/28(水) 13:28:43
光子郎、頭良いつーか、機転凄いですね、そして黒い……。
ゲンナイさんも光子郎相手だと厄介なもんですね〜……。
大輔はライドラモンに跨り、どこに向かうのでしょうか……? 気になります。
これからも頑張ってください!!

48たらこ:2007/03/28(水) 15:50:30
感想ありがとうございます、ジャイロポールさん、デジロルさん。

>>ジャイロポールさん
怖いですよ、光子郎。場合によっては、ゲンナイをも言い伏せますからね・・・
怖い怖い・・・
ライドラモンに跨り、大輔が何処に行くのかは・・・次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

>>デジロルさん
光子郎、今回やけに黒かったです。ゲンナイでも光子郎が相手だとこういう結
果になってしまうことも・・・
大輔とライドラモンが何処へ向かっているのかは・・・次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

49ユッケ:2007/03/28(水) 15:56:17
光子郎も鋭い所を突きましたね。ゲンナイの言葉を見事利用して……
ゲンナイの心中をお察し致します。
しかし、太一が突然失踪した。一体何処へ?大輔は思い当たる節があるそうですが…。
次回も頑張って下さい!

50たらこ:2007/03/28(水) 18:42:58
感想ありがとうございます、ユッケさん。
光子郎も、ゲンナイの言った言葉を利用して鋭いところを突きました。今回の
ゲンナイ、かなり不幸でした・・・
そして、太一が失踪しました。何処にいるのかは、次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

51たらこ:2007/03/28(水) 20:27:48
『勇気編』・第三十二話

Evolution.120 『太一と大輔』

フジテレビ付近の海岸にある『お台場海浜公園』・・・この公園に、太一とコ
ロモンはいた。

目の前に広がる、少し濁っている海・・・この海を、太一は何かを思い詰めた
顔で眺めていた。

「太一・・・」

太一の後ろにいる、彼のパートナー―――コロモンが太一に声をかけた。だ
が・・・太一は、コロモンの呼びかけを聞いてはいなかった。

海の方から、一筋の潮風が流れてきた。潮風は太一の髪を、コロモンの耳を
なびかせて、お台場を駆け抜けていった。

潮風が駆けていった次の瞬間・・・今度は太一達の後ろから、一筋の風がなが
れてきた。だが・・・どこか、不自然な風だった。

いぶかしんで後ろを振り返ると、風を起こした犯人がいた。太一もよく見慣
れた、藍の鎧に身を包んだ蒼き雷獣―――ライドラモンとそのパートナー、
大輔だった。

「太一先輩・・・やっぱりここにいたんですね・・・」

「大輔・・・何でここにいると分かったんだ?」

無事に太一を見つけられて安堵の息をついている大輔に、太一はそう尋ねた。
誰にも見つからないように、ここに来たというのに。

「だって・・・ここは、太一先輩が初めてオレにサッカーの個人レッスンをや
ってくれた場所だから・・・」

「なるほど・・・それでか。」

昔、大輔はこの公園で太一にサッカーの練習につきあってもらったことがあ
る。その時、太一は大輔にこう言ったのだった。『ここは、オレが何か思い
詰めたときによく来る場所だ』・・・と。

「あのころは、楽しかったよな・・・戦いもなくて、平和だった・・・」

「・・・太一先輩・・どうしちまったんスか?いつもの先輩らしくないッスよ・・・」

過去を懐かしむ太一に向かって、大輔はそう言った。・・・『いつもらしくな
い』、と。

「別に・・・オレは、いつも通りだ。」

「そんなはずない・・・いつもの先輩なら、敵の情報を話しているときに、逃
げ出したりなんかしない・・・『絶対に勝てない』なんて、死んでも言わない
はずッスよ。」

大輔の言葉を真っ向から否定する太一。そんな太一に、大輔はさっきの会議
に時の言動がらしくないと言った。

「だって・・・そうだろ?オメガモンですら、敵わなかったんだぜ。他のみん
なも一瞬でやられちまってたし・・・あんなやつ、どんな手を使ったって敵い
っこないって・・・」

「そんなはずないですよ!!絶対に勝てます!!こっちだって、超究極体に進化
できるようになるかもしれないんですよ!!」

「可能性の問題だろ・・・そんな話、信じられるもんか・・・」

絶対に敵わないと言い放つ太一に、大輔は慰めの言葉をかけた。だが、その
慰めすらもあしらってしまった太一。明らかに、いつもとは様子が違う。

「太一先輩は、そんな人じゃなかった・・・どんなに可能性が低くても、全力
でそのことをやり抜いたはずです・・・一体どうしちまったんスか・・・いつもみ
たいな『勇気』が、全然ないッスよ・・・」

そう言いながら、大輔は肩を落とし、うつむいていた。肩が少しばかり震え
ている。

「大輔・・・オレは・・・」

太一が何かを言いかけた、その時だった。

「ニードルスコール!!」

声とともに、針の軍団がマシンガンの如く放たれてきた。

52デジロル:2007/03/28(水) 20:43:30
いつもらしくない太一、そんな太一に大輔が説得する。
可能性の問題だ、やら言ってて、本当に太一らしくないですね。
オメガモンでも敵わなかった。
しかしそれでも諦めないのが勇気のはずなのに。
それでも太一は――
そんな時に針の軍団がマシンガンの如く放たれた。
一体何が!? 一体どうなってしまうのか!?
これからも頑張ってください!!

53ユッケ:2007/03/28(水) 21:53:24
意外と諦めムードの太一ですね。
そんな太一に大輔はらしくないと悲しんでますね。
しかし、そこに針の弾丸が……。
一体何モンが襲ってきたのか?
次回も頑張って下さい!

54たらこ:2007/03/28(水) 22:13:50
感想ありがとうございます、デジロルさん、ユッケさん。

>>デジロルさん
太一はいつもの太一らしくないです。
大輔が必死に説得しても、可能性だの何だの言ってちっとも聞きません。
どんな状況でも、諦めないのが『勇気』ですが、今の太一は少し違うんです。
そして、突然針が放たれてきました。一体何があったのかは、次回のお楽しみ
です。
応援、ありがとうございます!!

>>ユッケさん
太一、諦めムードです。
そんなんだから、大輔も悲しんでます。
そして、針の弾丸が放たれてきました。一体何モンが襲ってきたのかは・・・次回
のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

55たらこ:2007/03/28(水) 22:23:18
『勇気編』・第三十三話

Evolution.121 『敵襲』

「危ない、太一!!」

コロモンが駆けだし、太一の背中を思いっきり押し、突き飛ばした。そのおか
げで、太一は針を避けることが出来た。

「誰だ!?」

大輔が、針が飛んできた方向に向かって叫んだ。

「久しぶりじゃねぇか・・・オレサマのこと、覚えてるだろ?」

「お前・・・あの時のプクモン!?」

声の正体。それは、以前大輔達が戦ったプクモンだった。あの時、サジタリ
モン達に降伏した。

「そうだ・・・あの時はよくもやってくれたな・・・今ここに、お前の仲間達はい
ない!!あの時の恨み、今ここで晴らしてやる!!」

そう叫んで、プクモンは拳を引き、身構えた。

「太一、行こう!!」

「ダメだ、コロモン!!お前、まだ体力が戻ってないだろ!!」

コロモンはやる気満々だったが、肝心の太一が許可を出さなかった。だがそ
れは、コロモンの身を心配した言葉でもあり、正しい言葉でもあった。

「行こう、大輔!!」

「ああ!!」

ライドラモンの体が輝き、アーマーが外れていき、ブイモンへと退化した。

「無茶だ、大輔!!相手は究極体だぞ!!」

「相手が誰であろうと・・・オレは絶対に諦めたりはしねえ!!」

大輔を止めようとする太一に、大輔はそう言った。自らが言った、自らに誓
った言葉を。

「ダブルデジメンタルアップ!!」

大輔の言葉とともに、D−ターミナルから赤と蒼、二つの光が放たれていっ
た。二つの光はD−3へと伸びていき、『勇気のデジメンタル』と『友情の
デジメンタル』を出現させた。

「ブイモン、デュアルアーマー進化!!」

二つのデジメンタルは、紅炎と蒼雷を放ちながらブイモンの体を取り囲み始
めた。燃えさかる紅蓮の炎と、轟く蒼き雷。二つの力は、少しずつ合わさっ
ていき、ブイモンの体を成長させ、銀色のアーマーを構成し始めた。

やがて、完成した銀色のアーマーはブイモンの体を包んでいった。更に、炎
の塊がブイモンの右手に収まり、形を変えていった。赤く燃えさかる、炎の
剣へと。

その後、蒼雷が左腕を包んでいき、形を変えていった。轟音轟かす、蒼雷の
銃へと。

そして、首後ろの辺りから、外側は正義を表す白、内側は殲滅を表す赤のマ
ントが伸びていった。

最後に、垂れの真ん中に、紋章か刻まれていった。―――『勇気』と『友情』
を表す、二つの紋章が。

「紅蓮の勇気と蒼雷の友情―――オメガドラモン!!」

雄叫びとともに、銀の鎧を身に纏った、蒼き竜騎士が姿を現した。その夜空
に大きく映り、猛く輝く、銀色の月を背にして・・・

56たらこ:2007/03/28(水) 22:31:27
オメガドラモンのイラストを公開しました。
http://megaview.jp/topic.php?&v=601568&vs=0&vkey=tcdakhr&t=11436945&ts=0&m=n&lmx=16
のレス15と16にあります。

57たらこ:2007/03/28(水) 22:33:32
ああっ!!ミスった・・・直リンになってる・・・すみません、雷神さん。

58デジロル:2007/03/28(水) 22:36:54
なんとプクモンが現われ、攻撃!
コロモンがなんとか太一を救いましたが……。
太一は体力の戻っていないコロモンに許可を出しませんでした。
しかしたとえ相手が究極体でも諦めない大輔はオメガドラモンに進化!!
轟く蒼き友情の雷と、燃え盛る紅蓮の太一から受け継いだ勇気の炎。
その2つを纏い、今、究極体のプクモンと激突!!
一体どうなるのか気になります。次回も頑張ってください!

59ユッケ:2007/03/28(水) 22:42:47
太一達の前に現れたのはプクモン!
前回の敗北を怒りに変えてリベンジに来ましたね。
太一は戦うのは無理だと言って逃げ腰になってますが、対する大輔は絶対に勝つと己を信じてプクモンに向かっていきましたね。
果たして、勝負の行方は…?
次回も頑張って下さい!

60たらこ:2007/03/29(木) 13:28:28
感想ありがとうございます、デジロルさん、ユッケさん。

>>デジロルさん
攻撃してきたのは、プクモンでした。ですが、コロモンが何とか太一のことを
助けました。
コロモンは戦う気満々でしたが、太一が許可を出しませんでした。まあ実際、
コロモンの体力、まだ戻ってないんですけどね。一日の内に何回も究極体およ
びⅩ形態、更にはオメガモンにまで進化したんですから。
が、大輔の方は太一に止められても、絶対に諦めないと言い、ブイモンをオメ
ガドラモンに進化させました。
ヤマトから受け継いだ『友情』の蒼雷、太一から受け継いだ『勇気』の炎。二
つの力を纏って、プクモンと激突します。一体どうなるのかは・・・お楽しみで
す。
応援、ありがとうございます!!

>>ユッケさん
太一達の前に現れたのは、プクモンでした。
前回(未知へのアーマー進化)のリベンジに来たんです。
コロモンもおそらく進化できないので、逃げ腰になっている太一ですが、大輔
は諦めずに立ち向かっていきました。勝負の行方がどうなるのかは・・・お楽し
みです。
応援、ありがとうございます!!

61たらこ:2007/03/30(金) 22:16:46
『勇気編』・第三十四話

Evolution.122 『埋めることの出来ぬ差』

満月浮かぶ夜空の下、オメガドラモンとプクモンが対峙する。一方は完全体
レベル。対するもう一方は、強さを極めた究極体。果たして、勝負の行方は
・・・?

「なあ、オメガドラモン・・・お前、昼間進化したときと姿違わないか?」

「ん?そうかな?」

大輔の問いに、オメガドラモンは自身の体を改めてよく見た。確かにそうだ。
垂れには紋章が刻まれているし、『フレイドソード』の形も随分変わってい
る。『ライドキャノン』も、前は腕を変化させて使っていたものだが、今は
ガントレットに取付けられている。額に生えている角も、前は生えていなか
ったはずのものだ。

「多分・・・チンロンモンのデジコアのおかげだと思うな。」

「そうかもな・・・そういや、さっきライドラモンで走ってたときも、速いな
ーとか思ってたんだよ。」

どうやら、さっきもらったチンロンモンのデジコアのおかげで、身体能力が
全体的に伸びているようだ。ありがたい。

「ぺちゃくちゃ喋ってるヒマがあんのか?おらぁ!!」

しびれを切らしたプクモンが、右の拳を引いて突っ込んできた。

「大輔、下がってて!!」

「あ、ああ。」

オメガドラモンの言うとおりにして、大輔が後ろへと下がる。

「うおらぁ!!ブリテンパンチ!!」

突進の勢いを利用した、重い一撃が放たれてきた。プクモンの一撃と、『フ
レイドソード』の刀身がぶつかり合い、激しく火花を散らす。

「グゥ・・・!!」

両腕に力を込め、全力でプクモンのパンチを押さえ込む。ズザザ、とオメガ
ドラモンが後退し、踏ん張っていた足が、土を掘り起こす。

「ウオオオオオォォォ!!」

オメガドラモンの咆吼にあわせ、『フレイドソード』の刀身が、紅蓮の炎に
包まれた。

「ブレイズドラゴン!!」

オメガドラモンが、裂帛の気合いとともに『フレイドソード』を薙ぎ払い、
プクモンの拳を弾き返した。

「ならば・・・ニードルスコール!!」

プクモンの頭部に生えている無数の棘が、閃光の如く放たれてきた。さっき、
太一を襲ったときに使った技だ。

「くっ・・・ライドキャノン!!」

『ライドキャノン』の砲口が開き、雷のエネルギー弾を次々と連射した。ぶ
つかり合っているのは、『ライドキャノン』のエネルギー弾よりも遥かに小
さい棘の軍団。一発一発の威力は、『ライドキャノン』の方が遥かに勝って
いる。

だが・・・数が違った。まさに多勢に無勢、エネルギー弾は次々とうち消され
ていった。棘の軍団が、次々とオメガドラモンに突進していった。

「ぐああああああ!!」

鋭い棘が、オメガドラモンの全身を覆う鎧を貫き、ダメージを与えていった。

「どうやら・・・終わりのようだな。」

もうもうと上がる土埃を眺めながら、プクモンが勝ち誇ったように言った。
だが、その自信に満ちた視線は、大きく見開かれた、驚きの視線へと変わる
ことになった。

土埃が消えたその先・・・そこには、両手の平の間に、エネルギーをためてい
るオメガドラモンの姿が在ったからだ。その両手の甲には、『勇気の紋章』
と『友情の紋章』が煌々と輝いている。

「エクストリーム・・・オメガ!!」

オメガドラモンの両手から、蒼き光の光線が放たれた。その光線は、真っ直
ぐとプクモンに向かって進んでいった。光線が、プクモンへと直撃する。だ
が・・・

「むんっ!!」

プクモンが左の拳で光線を薙ぎ払い、いとも簡単に在らぬ方向へと弾き返し
てしまった。プクモンはすぐさま体勢を変え、オメガドラモンへと向かって
突進し、両腕の拳を巧みに使ってラッシュをかけてきた。

痛みのせいで体を動かすことも出来ず、オメガドラモンはただ無抵抗にダメ
ージを蓄積していくのみだった。やがて、胸部を覆っていた鎧の強度が限界
に達し、派手な音を立てて砕け散った。それでも尚、プクモンの攻撃は終わ
らない。

暫くラッシュを続けた後、プクモンはオメガドラモンを左のアッパーで宙へ
と突き上げた。そしてすぐさまオメガドラモンよりも高い位置へと移動し、
大きく浮き上がったオメガドラモンの頭部に右のナックルをたたき込み、地
面へとたたきつけた。

プクモンのパンチの威力、地面へとたたきつけられたダメージ、更には砕け
た床のコンクリートの破片がオメガドラモンを撃ち、起きあがることすら出
来なくなった。

「どうやら、終わりみてぇだな。」

そう吐き捨て、プクモンは大輔達の下へと向かって、ゆっくりと歩を進めて
いった。

62デジロル:2007/03/30(金) 22:27:03
チンロンモンのデジコアのお陰で身体能力はアップしたんですか。
しかし身体能力は上がったものの、レベルの違いが大きく出てますね。
究極体と完全体との違いはあまりにも大きい。
それゆえにオメガドラモンも頑張ってはいますが、傷ついてますね。
そしてプクモンの攻撃にオメガドラモンも遂に消沈!
一体どうなってしまうのか!? 次回も頑張ってください!!

63ユッケ:2007/03/30(金) 22:31:17
チンロンモンのデジコアのお陰でスピードやパワーが上がったんですね。
しかし、完全体と究極体の差は歴然。
オメガドラモンも遂にプクモンの拳に沈黙してしまう。
次回どうなるのか!?頑張って下さい!

64たらこ:2007/03/31(土) 19:00:44
感想ありがとうございます、デジロルさん、ユッケさん。

>>デジロルさん
チンロンモンのデジコアのおかげで、オメガドラモン(というよりブイモン)の
身体能力は上がっています。
しかし、相手は究極体。進化レベルが一つ上がっただけで、大きい差がありま
す。猛攻の末、オメガドラモンは倒れてしまいました。
一体どうなるのかは・・・次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

>>ユッケさん
四聖獣の強力なエネルギーのおかげで、ブイモンの身体能力は上がりました。
しかし、完全体と究極体ではかなりの差があります。オメガドラモンも、プク
モンの猛攻に耐えられず、倒れてしまいました。
どうなるのかは・・・次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

65たらこ:2007/03/31(土) 22:44:16
『勇気編』・第三十五話

Evolution.123 『影』

突然大輔達を襲ってきたプクモン。そのプクモンを迎え撃ったのは、オメガド
ラモンだった。しかし、プクモンの猛攻の末、オメガドラモンは力尽きてしま
った。

「オメガ・・・ドラモン・・・」

大輔が、ボロボロになり地に伏すオメガドラモンを見ながら、掠れた声で言っ
た。

「さて・・・あとはお前らだけだな。」

大輔達の方へと進んでいたプクモンが、大輔の前でピタリと止まり、そう言い
放った。

「覚悟は・・・出来てんだろうなァ?」

プクモンが、ゆっくりと右腕を振り上げ始める。だが、その時・・・

「ま・・・て・・・」

かすかな呻き声が、プクモンの背後の方から聞こえてきた。声の主は・・・オメ
ガドラモンだった。傷だらけのボロボロになりながらも、しっかりと意識は保
っていたのだ。

「フン・・・何吠えてやがるんだ?ボロボロで、その場から動けもしないくせに。」

オメガドラモンのことを見下しているかのように、プクモンはそう言った。

「大輔には・・・手を出すな・・・やるなら、オレにしろ・・・」

「!!何無茶言ってんだ!!」

自らを犠牲にするかわりに、大輔には手を出すなと言ったオメガドラモン。し
かしそのオメガドラモンに、大輔は無茶をするなと言った。

「安心しな。・・・こいつを殺ったらテメェに後を追わせてやるからよォ!!」

冷酷にそう言い放ち、プクモンは振り上げた右腕を振り下ろし始めた。反射的
に、大輔は身構えた。

―――大輔・・・チックショ――――!!

心の中で、オメガドラモンは自分の無力さを嘆き、叫んだ。もっと力が・・・大
輔を救うための・・・護るための力が欲しい・・・そう願った、その時だった。

突然目の前の風景がフェードアウトしていき、景色がめまぐるしく移り変わっ
ていった。気付いたときには、目の前は光で満ちあふれた世界になっていた。
ただ眩しく、ただ白く、何もない世界だった。

「ここは・・・?」

オメガドラモンがそう呟いた、次の瞬間。突然巨大な影が世界に現れた。その
姿は、とても大きく、とても長い体をしていた。そう、まるで、蛇を大きくし
たような感じの形だった。

『人の子と戦うデジモンよ・・・お前は何故、力を欲する?』

影の声が響く。まるで、頭に直接語りかけてくるような感じだった。テレパシ
ー、というやつだろう。

「決まってる・・・!!大輔を悲しませないため・・・みんなを護り抜くためにだ!!」

オメガドラモンの想いが、光の世界を震わせた。長い沈黙のあと、影が再び口
を開いた。

『いいだろう・・・我が力を受け継ぎし者よ。我が力を貸してやろう・・・』

「我が力を受け継ぎし者・・・?お前、まさか・・・」

影の言葉に、オメガドラモンは何かを直感し、それを言いかけた。だが、その
言葉を遮るかのように、影は再び言葉を紡ぎ始めた。

『いや、言うな。今ここで我が名を言えば、この世界は崩れる。・・・無論、私
も、お前もだ。』

影の言葉を聞き、オメガドラモンは生唾を呑み込んだ。

『続けようか・・・力は貸そう。だが、我が力はお前にとっては強力すぎる。運
が悪ければ、闇へと変貌してしまう・・・それでも、お前は我が力を貸して欲し
いか?』

「・・・失敗を恐れてたら、前には進めないんだ・・・頼む!!オレに力を、守るため
の力を貸してくれ!!」

一歩間違えば、闇へと変貌してしまうかもしれない、無謀な賭け。だが、それ
でも尚オメガドラモンは力を貸してくれと言った。

『・・・おもしろい!!我が力、汝に託そう!!』

影が大きく口を開き、息を吸い込み始めた。もの凄い強風が吹き荒れ、オメガ
ドラモンは影の方へと引き込まれていった。やがて、オメガドラモンは影の中
へと吸い込まれていった。

意識が飛ぶ直前、頭の中で何かが響いた。狂戦士を意味する言葉が・・・

――――――――――『ベルセルク【凶獣化】』―――――――――!!

66デジロル:2007/04/01(日) 00:05:18
無力さの前に嘆くオメガドラモン。
大輔を救いたい、そんな時に蛇のような姿が。
そして失敗をすれば闇となってしまう、その力。
一体、どうなってしまうのか!? とても気になります。
これからも頑張ってください!!

67ユッケ:2007/04/01(日) 13:53:31
オメガドラモンに謎の声がやって来ますね。
強い力が欲しいと願うが、一歩間違えば力を使う本人は闇に飲み込まれてしまう…。
一体どうなってしまうのか?
次回も頑張って下さい!

68たらこ:2007/04/01(日) 20:32:53
感想ありがとうございます、デジロルさん、ユッケさん。

>>デジロルさん
プクモンに太刀打ちできず、己の無力さを嘆くオメガドラモンの前に、蛇(で
はないんですが、正体はまた後に出すつもりです)が現れ、力を貸すことにな
りました。
しかし、場合によって善にも転ぶし、闇に転ぶかもしれない力。一体どうな
るのかは・・・次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

>>ユッケさん
オメガドラモンの前に、謎の影が現れました。
力を貸してもらうことになりましたが、その強力すぎる力は、力を使うオメ
ガドラモン自身を闇へと誘う場合も・・・
一体どうなるのかは・・・次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

69たらこ:2007/04/01(日) 22:35:55
『勇気編』・第三十六話

Evolution.124 『我を忘れて怒り狂う』

オメガドラモンの精神が謎の世界に行き、謎の影に呑み込まれたその頃・・・現
実世界では、プクモンが今まさに大輔へと拳を振り下ろそうとしていた。

「・・・死ねッ!!」

プクモンの拳が、空気を裂いて振り下ろされた。一直線に、大輔へと向かって。

―――諦めて・・・たまるかぁ!!!!

大輔は、心の中でそっと思った。だが、さっきからじたばたしてはいるが、プ
クモンの腕から解放される兆しは未だに見えない。

大輔は、地面に倒れている自分のパートナー―――いや、今まで自分と共に戦
ってくれた親友に視線を向けた。

―――起きろ、オメガドラモン!!・・・お前は、そのくらいで倒れるようなやつ
じゃないだろ!!

心の中で、親友にそう語りかけた。『諦めるな!!』・・・と。

その時だ。突然、ズザッという、地面を擦るような物音が聞こえてきた。それ
と同時に、プクモンが不意に拳を止める。そして、ゆっくりと背後の方に顔を
向けた。

「・・・まだ動けるのか・・・?」

プクモンがそう言った相手―――オメガドラモンは、膝を着き、手を着いて、
今や地面に立とうとしていた。だが・・・とてもふらふらしていて、立てるとは
到底思えなかった。

「タフなやつだな・・・まあそう急かすなよ・・・こいつが終わったら、次はテメェ
の・・・」

だが、プクモンのその言葉は、突然迸った強力なエネルギーに遮られた。エネ
ルギーの出所は・・・オメガドラモンからだった。

大輔のD−3が、密かに光を放っていた。温かく、優しく感じられる一方で、
とても冷たく、禍々しく感じられる、狭間の光を。

やがて、オメガドラモンの体が変貌し始めた。

砕けた胸部の鎧は再構築されていき、マントは消し飛び、背中からは禍々しい
エネルギーが滝の如く流れ出ていた。

ただ流れ出てただけだったそのエネルギーは、段々とオメガドラモンの全身を
繭の如く包み込み始めた。

弱々しかった尾は、太く強靱に、長く気高く変化していき、両手の爪は、禍々
しいそれへと変貌していった。

―――護り抜く・・・絶対に・・・!!

オメガドラモンは、心の中でただそう思うだけだった。ただ唯一。その思いの
みを持つ、信念の修羅となって。

爪が完全に形成されたあと、今度は全身に蒼き電流が奔った。雷はやがて、オ
メガドラモンの額へと集中していき、銀に輝く角を砕き、それがあった部分へ
と集中していった。そして雷は、蒼く透き通った稲妻形の角へと変化していっ
た。

そして、繭の如くオメガドラモンを包み込んでいたエネルギーは、鎧へ、皮膚
へと同化し始めていた。禍々しい力は、闇を照らす輝く銀の鎧を、絶望を映す
黒ずんだ銀の鎧へと変貌し、相手に威圧感を与える、気高き龍の蒼き皮膚は、
恐怖を与えるべく黒っぽくなっていった。

やがて、戦慄の咆吼とともに、禍々しき波動が放たれた。波動はオメガドラモ
ンの肩の後ろ辺りへ凝縮されていき、闇の如き黒と、血花の如き紅の翼へと具
現化していった。

『フレイドソード』と『ライドキャノン』は、それぞれ紅蓮の紅焔と天を轟か
す蒼雷へと変化し、それぞれの腕へと同化していった。

その翼、その鎧、その角から、黒き雷が周囲へと迸り、地を、天を撃つ。まる
で、天地すらも絶望の底へとたたき落とそうとするかのように。見る者すべて
を、恐怖の淵へと追いやるかのように。その姿・・・まるで、修羅と化した雷神
の如き。

「グルルルル・・・・・・オメガドラモン――――――『ベルセルクモード』―――!!」

混沌と化した竜の雄叫びとともに、地面より黒き波動が光の柱の如く迸る。
―――自らの信念を邪魔する者に向ける、その血走った赤き瞳は・・・理性を失い、
狂乱に満ちた『野生の目』そのものだった・・・

70デジロル:2007/04/01(日) 22:40:29
守りたい者を、大輔を、守るため、己を凶暴化させる。
理性を失ってまで、狂乱に満ちてまで、守りたい者がいる。
禍々しいエネルギーを纏い、究極体のプクモンへと対抗する。
オメガドラモン、ベルセルクモードが君臨しましたね。
一体どうなってしまうのか!? これからも頑張ってください!!

71たらこ:2007/04/01(日) 23:43:41
感想ありがとうございます、デジロルさん。
大切な者―――大輔を護るため、オメガドラモンは己の理性までをも捨て、ベ
ルセルクモードとなって、凶暴化しました。禍々しきエネルギーを纏いて。
一体どうなるのかは・・・お楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

72シン:2007/04/02(月) 11:39:24
太一に続き運命の紋章のことでウォレスまでもが逃走(?)
そして数名のお泊り問題もすんなり解決していたんですね。
そして太一と大輔の前に現れたプクモン。
それに対抗するオメガドラモンに圧倒的な力の差を見せ付けますね。
そんなピンチに謎の声……それと共にオメガドラモンは狂獣と化す。
果たして如何程の力を持っているのか?
これからも頑張ってください!!

73ユッケ:2007/04/02(月) 18:35:06
凶獣と変貌してしまったオメガドラモン。
今回の凶暴化は吉と出るのか凶と出るのか……。
暗黒進化にそっくりなんで心配ですね。
プクモンもどうなってしまうのか……?(そっちかよ)
次回も頑張って下さい!

74たらこ:2007/04/05(木) 18:04:34
感想ありがとうございます、シンさん、ユッケさん。

>>シンさん
太一が逃走したあと、ウォレスもなんだかんだで逃走しちゃいました。(ウォレ
スの方は解決済みですが・・・)
後から来たミミ達が泊まる場所も、結構あっさりと決まってます。
その後、太一達の前にプクモンが現れ、対抗したオメガドラモンはボロボロに
やられてしまいました。
そして、謎の声の主の力を借り、凶獣化。
一体どれほどの力を持っているのかは・・・次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

>>ユッケさん
オメガドラモン、凶獣になっちまいました。
暗黒進化といえば暗黒進化ですし、暗黒進化ではないといえば暗黒進化ではな
い・・・そんなモードチェンジなんですよ、『ベルセルク【凶獣化】』は。
プクモンがどんな目に遭うのかは、次回のお楽しみです(おい)。
応援、ありがとうございます!!

75たらこ:2007/04/05(木) 21:40:00
「テメェ・・・なんだ、その姿は・・・?」

プクモンが、目の前にいる凶獣―――オメガドラモンに向かって言い放った。

―――何だ、その・・・

強すぎる闇の力は!?

心の中で叫んだ、その時。刹那、オメガドラモンの姿が消える。と同時に、自
らの左肩に灼けるような、激しい痛みと違和感を感じ、左腕の方を見た。

視界の端に映ったのは・・・肩から離れ、大きく吹っ飛ばされた自らの左腕だっ
た。

『勇気編』・第三十七話

「グ・・・グアアアアアアアアアアア!?」

あまりの痛みと、理解したくなくなる現実を見て・・・プクモンは、悲痛な叫び
声を上げた。

Evolution.125 『ベルセルク』

叫び声を上げるプクモンの後方・・・そこで、オメガドラモンは自らの爪に付着
した、プクモンのデータの滓をペロリと舐めていた。その真っ赤な瞳に、狂気
という名の光を宿して・・・

「な・・・なんだ、オメガドラモンのあの姿は・・・?」

変貌しきったオメガドラモンの姿を見て、太一が唖然として言った。

「わ、分からない・・・・・・でも・・・」

「でも・・・何だ?」

何かを言おうとしているコロモンに、太一がじれったそうに続きを促した。

「あの力・・・前にも感じたことがある・・・そう、あの力は・・・チンロンモンにそ
っくりだ。」

「チンロンモンに?」

コロモンも、他のデジモン達と同様に以前チンロンモンの力を分けてもらった
ことがある。しかも二回。チンロンモンの力がどんな感じなのかは、一番分か
っているはずだ。

「うん・・・だけど、少し違うんだ・・・あんな禍々しい力じゃなくて・・・もっとこ
う・・・―――なんて言ったらいいのかな・・・?―――威厳があるっていうかなん
ていうか・・・」

いくら二回力を分けてもらっているとはいえ、やっぱりよく分からないようだ。
理解しがたいほど、複雑で、強大な力だったのだろう。

「そう、か・・・」

そう言って、太一は再びオメガドラモンの方に視線を向けた。

「グルルルルルル・・・・・・」

さっきとは、まるで様子が違う。理性がない。・・・そんな感じだ。そう、まる
で・・・

「・・・まるで、猟犬みたいだ・・・」

一方プクモンは、左腕を斬り落とされて出来た左肩の断面を右手で押さえてい
た。押えきれない部分から、プクモンの体を廻るデータが鮮血となって迸って
いた。

「チクショウ・・・チクショウ・・・!!テメェ・・・オレの左腕を・・・!!」

そう喘いで、プクモンは憎悪の炎が燃える瞳をオメガドラモンへと向けた。

「・・・殺す!!ニードルスコール!!」

プクモンの頭部から、無数の針が雨霰と放たれた。凄まじい速度で、一斉に標
的―――オメガドラモンへと向かっていく。

第一弾が、オメガドラモンの手の届く範囲に達した瞬間・・・突然、オメガドラ
モンが大きく息を吸い込んだ。そして・・・

「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

身の毛がよだつような、恐ろしいまでの咆吼をあげた。発生した巨大な波動が、
ニードルスコールを全てデータの粒子に分解した。

「な・・・ニードルスコールを・・・咆吼だけで・・・?」

プクモンが愕然となっているその間、オメガドラモンは右手にエネルギーを凝
縮させていた。徐々に・・・徐々にたまっていったそのエネルギーは、巨大な球
となって、プクモンへと投げつけられた。

黒き雷を纏ったそのエネルギー塊は・・・轟音を上げながらプクモンに直撃し、
黒き雷の花火を炸裂させた。

「ガッ・・・・・・ゲホッ、ゲホッ・・・」

強力な電撃が全身を奔り、強いしびれと衝撃に息が詰まる。肺にたまっていた
空気が一気に抜け、ただでさえ苦しいというのに、咳き込んだ所為でなおさら
苦しむこととなった。

―――何だ、今の技は!?

一見、電撃がメインの技に見えたが・・・何か違う!!

電撃で受けるような痛みだけじゃなかった・・・燃える何かを押し当てられるよ
うな・・・炎の技で受けるような痛みもあった・・・

しかもあの技、あの炎の剣が同化した方の腕―――右腕から撃っていた!!つま
り、本来は炎の方が強いはずの、炎メインの技・・・!!

って事はアイツの技・・・『炎メインの技だが、雷の力が強力すぎて雷メインの
技に見える技』って事かよ・・・・・・

結論にたどり着いたその時。オメガドラモンの両翼に生えていた刺のような突
起が伸び、プクモンの方へと伸びていった。鋭い頂点が、プクモンの両肩を貫
き、風穴を開けた。

76ユージン:2007/04/05(木) 21:54:25
たらこさん、初めまして。

僕の中て゛、暴走した(?)状態のオメガドラモンって、清麿が死にかけていた時の暴走したガッシュを彷彿させます(変な感想でごめんなさい)。
後、今回タイトルの入り方がすごい上手いです。こういうのって、漫画やアニメじゃなくて、小説だから出来る特有の表現ですよね。
続きが気になるので、次回も頑張って下さい。

77ユッケ:2007/04/05(木) 22:01:10
余りにも圧倒的過ぎる力にプクモン為す術がありませんね。
しかし、大輔の言葉も届かない気もしますね。
だが、このまま凶暴化してしまったオメガドラモンはどうなってしまうのか?
次回も頑張って下さい!

78たらこ:2007/04/05(木) 22:08:56
こちらこそ初めまして、ユージンさん。感想ありがとうございます。

暴走・・・といえば暴走中ですが・・・確かに、あの時のガッ●ュと似てますねぇ・・・
『バーサーカー状態』でしたっけ?確か、カードではそんな表記だったような・・・

で、今回のタイトルの入り方なんですが・・・こういう入り方は、デジロルさんが
上手いです。僕、いつもはこういう入り方してないんですよ。
ただ今回は、描写を盛り上げるために(盛り上がったのかどうか分かりませんが)
マンガみたく『本編開始』→『タイトル&扉絵』→『本編続き』みたいな感じで
やりたかったんで・・・

お褒めの言葉、ありがとうございます。これからももっと精進していきます。
応援、ありがとうございます!!

79たらこ:2007/04/05(木) 22:12:16
感想ありがとうございます、ユッケさん。

圧倒的なベルセルクモードの力を前に、プクモンも為す術がありません。
大輔の言葉も・・・届かないかなぁ?(どっちだよ)
オメガドラモンがこのままどうなってしまうのかは・・・お楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

80たらこ:2007/04/06(金) 15:05:58
『勇気編』・第三十八話

Evolution.126 『"復讐"という名の報復の果てに・・・・・・』

「ガ・・・アアアアアアアアアア!!」

鋭き刺に肩を貫かれ・・・プクモンは、悲痛な叫び声を上げていた。大きく開い
た風穴からは、鮮血が流れ出ている。

そんなプクモンの悲痛な叫びを聞いても、オメガドラモンは攻撃の手を緩めは
しなかった。両翼から黒き雷が放電され、伸びた刺をアースの如く伝い、プク
モンの全身を奔った。

「ガッ・・・ハッ・・・!!」

叫びを上げることも許さず、鬼神の如く電撃の攻撃は続いた。暫くして、オメ
ガドラモンは電撃を流すのを止め、プクモンを上空へと振り上げ、コンクリー
トの地面に思い切りたたきつけた。

「ガッ・・・・・・!!」

息つく間もなく、オメガドラモンは次の攻撃の体勢に入っていた。漆黒の翼を
大きく広げ、上空へと飛び立つと、プクモンに向かって左手をかざし・・・勢い
よく突きだした。突き出された手の平から、黒き雷の塊が波動による余韻を残
しつつ、大砲の如くプクモンへと突っ込んだ。爆発が起こり、コンクリートの
破片と砂埃の大盤振る舞いをやってのけた。

砂埃が治まらぬ内に、オメガドラモンは攻撃の着弾点―――プクモンに向かっ
て急降下していった。右手に生える灰と藍の爪が、黒き炎と雷をほのかに纏う。

そして爪は薙ぎ払われ、ゲホゲホと咳き込んでいるプクモンの右肩に刺さり・・・・・・
プクモンの皮膚を、筋を、肉を、骨を、柔らかくなったバターのようにいとも
簡単に斬り落とした。

続いて、斬り落とされた右腕に移った炎と雷が炸裂し、右腕は灰と化し、潮風
とともに世界へと離散した。

プクモンは吹き飛ばされ、勢いよく鉄柵へとつっこみ、鉄柵は思い切りひしゃ
げた。かなりの激痛が、プクモンを襲っただろう。だが、プクモンがにはもう
叫びを上げる体力すら残っていなかった。

そのプクモンへと視線を向け、オメガドラモンはエネルギーをためていた。漆
黒の両翼が、次第に雷へと変化していった。やがて、両翼は真っ黒な、どす黒
い雷の塊と化し、開かれたオメガドラモンの右手の平の少し上に浮かんでいた。

段々と、雷の塊は竜へと形を変えていった。細長い体、蛇をそのまま巨大化さ
せたような形―――まるで、オメガドラモンが見た影のような姿へと。

オメガドラモンが、右腕を大きく振りかぶった。

「止めろ、オメガドラモン!!・・・殺すな!!」

今までの状況を唖然としてみていた大輔が、声を張り上げた。・・・だが、もう
遅かった。放たれた黒き雷の竜は、大きく口を開き、その鋭い牙をプクモン
の体へと打ち付けていた。

巨大な雷の柱が迸り、同時に電撃が炸裂した。断末魔の叫びすらも、聞こえな
かった。大きく焼けこげた地面に残されていたのは・・・プクモンのデータの残
り滓、唯それのみだった・・・

81たらこ:2007/04/06(金) 15:10:07
オリキャラファイル No.8 『オメガドラモン ベルセルクモード』

アーマー体 凶竜型 フリー

自らのデジコアと同化させた青龍の電脳核―――チンロンモンのデジコアの奥底
に潜む『チンロンモンの影』に力を与えられ、オメガドラモンが『ベルセルク
【凶獣化】』によってモードチェンジした姿。

背中に装備されていたマントは漆黒の翼へと替わり、爪も禍々しいそれへと変化
している。また、鎧と皮膚の色は少し黒ずんでいる。

『理性』というものを持たず、ただ己の『信念』を貫くために暴走する。また、
強力な雷を使いこなし、炎が主体の技であっても雷が主体の技と間違えてしまう
ほど、強力な雷を使いこなす。

得意技は、炎の弾に黒き雷を纏わせて放つ巨大な塊・『朧炎獣雷殺』と、爪に黒
き炎と雷を纏わせて敵を斬り裂く『滅焼灼雷爪』。

必殺技は、両翼を巨大な雷の竜にして放つ『黒楼膨破龍雷撃殺』と、まだ能力が
不明な『焦槍焔獣王滅殺陣』。

『OCEAN BLEW』にイラストを載せました。レスNo.17です。
ttp://megaview.jp/topic.php?&v=601568&vs=0&vkey=tcdakhr&t=11436945&ts=0&m=n&lmx=17

モードチェンジ版オメガドラモンです。自分の中では、デュアルアーマー進化は
完全体が出てくるまでの一時的な繋ぎ、『ベルセルク【凶獣化】』は究極体が出
てくるまでの一時的な繋ぎって感じです。

それにしても、ネーミングに苦労しました・・・シルフモンの時に続き、今度は『チ
ンロンモード』、『ガーゴイルモード』、『ベルセルクモード』の三つの間を彷
徨いましたとも・・・

82デジロル:2007/04/06(金) 15:44:02
凶暴化し、理性を失いしベルセルクモード。
とてつもなく強力な力を放ってますね、ベルセルクモードは。
究極体であるプクモンがアッサリとやられてしまうほど。
しかし炎メインの技が雷が強すぎて雷メインに見えるほど。
と、いうことはベルセルクモードは雷の力がメインの属性なんですね。
雷がメインのベルセルクモードですか、とても強力ですね。
しかし大輔の制止を聞かず、プクモンをその雷で消滅させてしまう。
どうなってしまうのか!? 次回も頑張ってください!!

83たらこ:2007/04/06(金) 18:12:11
感想ありがとうございます、デジロルさん。
強いですよ、ベルセルクモードは。極端に・・・ってワケでもないんですが、並
の究極体よりは強いです。その代わりに、『暴走』と『エネルギーの超大量消
費』という二つのリスクと、もう一つリスクがあるわけなんですが・・・残りの
一つは、今のところは秘密です。
で、察しの通り、ベルセルクモードの攻撃は雷が主体のものです。一応キャラ
ファイルにも載せたように、『チンロンモンの影』から力をもらってモードチ
ェンジしてるんで。
大輔の制止を無視して、プクモンを消滅させてしまったオメガドラモン。これ
からどうなるのかは・・・次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

84ユッケ:2007/04/06(金) 18:42:21
ベルセクモードでプクモンを瞬殺…。
しかし、大輔の言うことは気かないし自我も残って無さそうですね…。
果たして元に戻れるのか…?
次回も頑張って下さい!

85カイザー ◆H42n/6LUpI:2007/04/06(金) 22:16:44
たらこさんお久です!(そうでもないが)
頑張ってますね!
僕は改良版が…あ〜…
結構大変です!
Wi-Fiについてはまた後日!(聞きたいことがあったら是非)
みなさんの小説の感想は修正が終了したらカキコすると思います。
小説はしばしお待ちを…(しばしかは分かりませんが…)
失礼しました…(逃走)

86たらこ:2007/04/08(日) 22:01:20
感想ありがとうございます、ユッケさん。そして、お久しぶり・・・でもないで
すね、カイザーさん。

>>ユッケさん
プクモン、瞬殺されました・・・
大輔の言ったことも聞いてませんでした。
元に戻れるかどうかは・・・お楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

>>カイザーさん
カイザーさん、改良版がんばってるみたいですね!!台本書きでもなくなってま
したし・・・前スレの続きが更新されたら、また感想書かされてもらいますね。
改良、確かに大変ですよね・・・僕も、旧掲示板で一月頃から書いてた『D-Link』
を最近こっちに改良して載せたんですが(こっちでは『Ultimate Program』で
すが・・・)、結構大変でした・・・新しい話も二話ほど追加したし・・・
wi-fiについては、また聞きたいことが出来たら質問させていただきます。
改良の方、頑張って下さいね!!

87たらこ:2007/04/14(土) 01:05:31
『勇気編』・第三十九話

Evolution.127 『マモルタメノチカラ (前編)』

ゴオオオオオオオオオオオオ!!

プクモンが消滅した大きな焼けこげた地面―――その横で、オメガドラモンは
勝利の雄叫びを上げていた。

体から垂れ流されている、強大で禍々しいエネルギーは、あれだけの大技を撃
った後にもかかわらず、微塵も衰えることなく健在していた。

暫くして、公園中に広がっていたその雄叫びは不意に鳴り響くのを止めた。そ
の代わり、今度は削岩機が岩を削るような轟音が鳴り響き始めた。

轟音の大元は・・・雄叫びを上げるのを止め、公園を破壊し始めたオメガドラモ
ンの爪の先からだった。鋭い爪が、公園の床を、柵を、遊具を、斬り裂き、
粉砕していった。

「止めろ、オメガドラモン!!」

見かねた大輔が、オメガドラモンに向かって声を張り上げた。だが、オメガド
ラモンは破壊を止めようとはしなかった。それどころか・・・

「グルァァァァァッ!!」

何と、大輔の方に爪を向けてきたのだった。鋭い爪先が、月光を反射してキラ
リと輝く。

光の筋が鮮やかな弧を描き、パッと紅色の血が飛び散る。オメガドラモンの右
の爪に、紅色をした大輔の血が付着した。

大輔は、とっさに後ろへと跳び、オメガドラモンの爪をかわしていた。だが、
流石に避けきることは出来ず、左肩に浅めの切り傷が出来ていた。ささやかに
流れ出る鮮血が、大輔の服をほのかに紅く染めている。

「オメガドラモン・・・お前、本当にオレの声が聞こえてないのか・・・?」

傷を右肩で押さえ、荒い息をつきながら言った。その声には、どこか寂しげな
雰囲気が漂っていた。

「グルルルルルルル・・・!!」

オメガドラモンは、大輔に白けた視線を向けた。まるで、興味を失ったかのよ
うに。そして、一瞥を投げると今度は太一とコロモンの方へと、両腕を振り上
げて飛びかかっていったのであった。

「グルァァァァァァァ!!」

「う、うわぁぁぁ!!」

「や、止めろ!!」

大輔の説得も虚しく、オメガドラモンの爪が太一の首筋へと向かっていった。

次の瞬間には、激しい痛みと、永遠の眠りが襲ってくるんだろう。そう思って、
太一はそっと目を瞑った。

だが、予想したはずの痛みと睡魔は襲ってこなかった。怪訝に思い、ゆっくり
と目を開いた。そして、その目に映った光景は・・・

「だ・・・大輔・・・」

大輔が太一とコロモンのことを庇ってオメガドラモンの爪を、体で受け止めて
いた。左肩から右の脇腹にかけて、袈裟懸けに深い切り傷が出来ていた。大量
の血が滴り落ち、砕けた地面に血溜りを作っていた。

「ゲホッ・・・・・・!!オメガ・・・ドラモン・・・・・・」

掠れた声で、咳き込みながら言った。傷が、肺に達してしまっているのだろう。
息苦しそうだ。

「ゲホッ・・・・・・何やってんだ・・・早く、目ぇ覚ませよ・・・・・・」

そう呼びかけながら、大輔はオメガドラモンの肩を抱いた。禍々しいエネルギ
ーを直に感じ、少しだけ吐き気を覚える。

「グルル・・・?」

さっきとは打って変わった、不思議そうな表情を浮かべ、オメガドラモンが静
かに唸った。瞳に映る光が、一瞬だけ正常さを取り戻した。だが、それもつか
の間。直ぐに、真っ赤に血走った目へと戻ってしまう。

「ゲホッ・・・お前のその力は、すごく黒くて、近くにいるだけでエネルギーに
当てられて、吐き気がする・・・だけどよぉ・・・」

一旦言葉を切って、大輔はオメガドラモンの顔を見上げた。その目には、未だ
野生の光が爛々と輝いていた。とても痛々しい。・・・だが、大輔は視線を逸ら
すことなく、オメガドラモンの目を見ていた。

「お前のその力は・・・『護るための力』だろ・・・?護るってのは・・・敵を傷つけ
ることじゃないんだ・・・大切な仲間を・・・傷つけさせないためのもんだ・・・」

涙がこぼれ落ち、オメガドラモンの肩を打つ。少し・・・ほんの少しだけ、オメ
ガドラモンの目に正常さが戻ってきた。

88ユッケ:2007/04/14(土) 22:54:32
ああ……オメガドラモンが止まりませんね。
大輔までもを傷つけて暴走が……。
しかし、大輔の流した涙によって徐々に瞳も戻りかけて……。
暴走は止まるのでしょうか?
次回も頑張って下さい!

89デジロル:2007/04/15(日) 21:33:40
大輔を守るために起こした暴走の力。
だが皮肉にもその暴走の力が大輔達を襲っていく。
暴走は未だ止まらず……そして太一や大輔達を襲っていく。
ですが大輔の言葉と涙が、少しずつオメガドラモンの瞳も戻りかけて……。
オメガドラモンの暴走は無事止まる事ができるのでしょうか?
次回も頑張ってください!!

90カイザー ◆H42n/6LUpI:2007/04/15(日) 21:39:17
どうもたらこさん…
全然話についていけてないカイザーです……
オメガドラモンカッコイイですね!!
モードチェンジ(でいいのか?)のほうもバッチグーです!!

ある意味オメガドラモンの『不快』進撃は続くのか?
頑張ってください!!

僕の「バトルワールド」10話まで修正しました。
ご指摘(ご指導)よろしくお願いします!!

91たらこ:2007/04/15(日) 22:57:51
感想ありがとうございます、みなさん。

>>ユッケさん
オメガドラモンの暴走は止まりません・・・
大輔までをも傷つけてしまいました。
オメガドラモンの暴走が止まるかどうかは・・・次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

>>デジロルさん
大輔達を護るための暴走でしたが、暴走は止まらず、大輔達をも襲ってしまい
ました。
しかし、大輔の言葉と涙で徐々に正気に戻ってきました。
元に戻れるかどうかは・・・次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

>>カイザーさん
つ、ついていけてませんか・・・(汗)
ま、まあ、別に追いつくのはゆっくりでいいんで・・・
オメガドラモン、そんなにカッコイイでしょうか?(訊くな)
そう言ってもらえて、とても嬉しいです。って、イラスト描いてくださったの
はグレンさんですけどね。
た、確かに『不快』進撃ですね・・・(汗)
この『不快』進撃が続くかどうかは・・・次回のお楽しみです。
『バトルワールド』の方、ちゃんと読ませてもらいますよ。僕なんかが指摘と
か出来るか分かりませんが・・・
もしかしたら、今日は書けないかもしれません・・・
応援、ありがとうございます!!

92たらこ:2007/04/15(日) 23:27:13
『勇気編』・四十話

Evolution.128 『マモルタメノチカラ (後編)』

未だ暴走を続けるオメガドラモン。しかし、大輔の呼びかけと涙の甲斐あって
か、少しずつオメガドラモンにも正常さが戻ってきていた。

そして今も尚、大輔の呼びかけは続いていた。凶獣と化してしまった、オメガ
ドラモンの暴走を止めるために。自らの体を張ってまでも。

「ゲホッ・・・・・・!!さっき、誓っただろ・・・『大切な仲間を護り抜く』って・・・・・・
強くなるって・・・忘れちまったのか・・・?」

「グルル・・・『ナカマヲマモリヌク』・・・・・・?『ツヨクナル』・・・・・・?グルゥ
・・・・・・」

訳が分からないとでもいう風に、オメガドラモンが大輔の言葉を聞き返した。
混乱したかのように、頭を左右に振りながら。

「お前は確かに強くなった・・・・・・ゲホッ・・・・・・だけどよぉ・・・・・・ゲホッ!!」

息が詰まり、言葉をそこで切った。―――とても辛い・・・だが、大輔は言葉を止
めようとはしなかった。

「身に付けた力に呑み込まれて、闇雲に暴れるだけじゃダメなんだ・・・力に呑み
込まれないように強くならなきゃいけないんだ・・・・・・ゲホッ・・・」

そこまで言ったところで、大輔は一旦頭を垂れ、オメガドラモンの
肩を見た。自らのエネルギーを制御しきれず、逆に傷つけられてし
まっている肩の鎧、皮膚。

―――オレが、助けなきゃいけないんだ・・・こいつを助けられるの
は、オレしかいねぇんだ・・・!!

再び頭を上げ、オメガドラモンの瞳を見据える。少しだけ理性が戻
り、困惑と苦しみが表面に出始めた、とても哀しい目を。その目を
見て、『救いたい』という想いが、一層強くなる。

「思い出せ・・・ゲホッ・・・さっき誓った、オレ達の『信念』を・・・『大切な仲間
を護る』っていう誓いを・・・」

大輔の必死な言葉に、オメガドラモンにも変化が現れ始めていた。

「『チカイ』・・・?『シンネン』・・・?『ナカマ』・・・?・・・『マモル』・・・?グ
・・・グルァァァァァァァ!!」

突然、狂ったように吠え始め、体を振り回し、大輔の腕を振り解いた。大輔は
数歩後退し、少しだけよろけたが、何とか踏みとどまった。そして、再び真っ
直ぐとオメガドラモンの瞳を見据えた。

「思い出せ、オメガドラモン・・・!!ゲホッ・・・そんな黒い力に呑み込まれるな・・
・呑み込み返せ・・・自分を・・・取り戻すんだ!!」

「ダイスケ・・・!!ダイスケ・・・!!・・・・・・グルァァァァァァァァァァァァ!!」

オメガドラモンの咆吼とともに、黒く禍々しいエネルギーが、柱となってオメ
ガドラモンの体から迸った。やがて・・・黒い柱は、エネルギーの沈静を表すか
のように、少しずつ、少しずつ途切れ、細くなっていき・・・消滅した。跡には、
チコモンの姿が残っていた。

「・・・・・・大輔・・・」

目をしょんぼりとさせたチコモンが、か細い声でそう言うと、大輔は苦しげな
青白い顔に満面の笑みを浮かべ、ニッと笑った。そして・・・

「ヘッ・・・やっと帰ってきたか・・・それでこそ・・・お前、だぜ・・・」

最後にそう言って・・・大輔は、バタッと地に伏した。血溜りが跳ね、紅い雫が
チコモンの頬を打つ。流れ出る鮮血が、その血溜りを更に大きくしていった。

「大輔・・・?」

呼びかけてみても、大輔はうんともすんとも返事をしない。

「大輔―――――――――!!」

悲痛なチコモンの叫びが、月明かりに照らされる、夜の闇に捕われたお台場の
空へと響き渡った・・・

93薙埜:2007/04/19(木) 19:01:00
はじめまして・・・と言っておきますね。
薙埜(ちや)です。 よろしくお願いします。

オメガドラモンが暴走したり、大輔が生命の危機にあったり・・・
色々と驚く内容です。
続きを楽しみにしてますので、頑張ってください。
それでは。

94デジロル:2007/04/19(木) 19:42:11
オメガドラモンの暴走も大輔の説得のお陰でやっと終わり。
さすが大輔ですねぇ、オメガドラモンの暴走も収まり、チコモンに退化。
と安心した所に、大輔が生命の危機に!!
呼びかけても、大輔は全くうんともすんとも返事しないとは……!!
かなりの重傷であるな。一体どうなるのか……!?
次回も頑張ってください!!

95ユッケ:2007/04/19(木) 19:56:32
オメガドラモンの暴走も大輔の説得で終了しましたね。
一時はどうなる事やら……と思いきや、今度は大輔が!!
過ぎたピンチにまたピンチが!!
一体どうなる!?そして太一の気持ちは変わったのか!?
次回も頑張って下さい!

96たらこ:2007/04/20(金) 23:20:51
感想ありがとうございます、みなさん。

>>薙埜
散々迷った末・・・結局呼び捨てだ(汗)
でも、別にいいよな?勝手知ったる仲なワケだし・・・多分。

>>デジロルさん
オメガドラモンの暴走も、遂に止まりました。
が、今度は大輔が生命の危機に・・・!!
オメガドラモンに斬り裂かれたので、かなりの重傷です。どうなるのかは・・・
次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

>>ユッケさん
オメガドラモンの暴走も、遂に終わりました。
しかし、大輔が倒れてしまいました・・・まさに泣き面に蜂です(いや、それであ
ってるかどうかはわかりませんが)
どうなってしまうのかは・・・次回のお楽しみです。
応援、ありがとうございます!!

97たらこ:2007/04/21(土) 01:03:06
『勇気編』・第四十一話

Evolution.129 『大きい影と小さい影』

「大輔・・・!!大輔・・・ッ!!」

オメガドラモンの爪撃により、遂に倒れてしまった大輔。チコモンの必死の呼
びかけにも答えることなく、虚ろな目を開き、唯地に伏し続けていた。

未だ止めることのない鮮血は、紅き水溜まりを大きく、更に大きくしていって
いた。

「おい!!起きろ、大輔!!」

太一が大輔の体を揺すって、大声で呼びかけても、何の反応も示さない。大輔
の体がどんどん冷たくなっていくのが、大輔の肩を掴んでいる太一の右手を通
して、伝わってくる。

―――クソッ!!まずいな・・・このままじゃあ・・・

『死ぬ』。この一つの単語が、太一の頭をよぎった。

「コロモン!!ウィザーモンを呼んできてくれ!!あいつ、確か治癒の呪文が使え
たはずだ!!」

頭に浮かんだ一つの方法を、すぐさま行動へと移す。・・・・・・だが・・・

「分かった!!・・・でも、間に合うかな・・・?」

そう。ただ一つ気がかりなのは、そのことだ。大輔の血液は、急速に失われて
しまっている。進行形、でだ。今もまだ、傷口からとどめなく鮮血が流れ出て
きている。

何か、もっと早い方法はないのだろうか・・・もっと身近に・・・

―――クソッ・・・!!一体、どうすれば・・・

太一が絶望に打ちひしがれていたその時。遠くの方から、影が近づいてきてい
た。人の形をした、二つの影。大きい方は大地から少しだけ浮かび、軽やかに
低空を飛行を。小さい方は、大きい影の右肩にぶら下がるような形で近づいて
きていた。

声が・・・どんどん、大きくなっていく・・・そう、まさに・・・先ほど太一が望んだ、
希望の声が・・・

「大輔ー!!太一さーん!!」

二つの影―――京とシルフモンが、どんどんこちらへと近づいてきていた。

「京・・・!!それに、シルフモン!!」

京とシルフモンが、静かに地へと降り立つ。残っていた草むらが、僅かな風に
吹かれて撓んでいた。

「どうしてここが・・・?」

「ホークモン―――シルフモンが巨大な力を感じるって言うから、来てみたん
ですけど・・・」

太一の質問に、簡潔に答えを述べ、辺りを見渡し始めた。そして・・・倒れてい
る大輔が、その視界に映ることとなった。

「!!・・・大輔ッ・・・!?」

悲鳴じみた声を漏らし、急ぎ足で大輔の元へと駆け寄っていった。昼間の戦い
でボロボロになった革靴が、紅い水溜まりに入り、大きく振動させ、紅い雫を
そこら中へと飛び散らせた。

「・・・太一さん、一体何が・・・?」

京の問いに、太一は唯首を左右に振るばかりだった。

「・・・・・・その話は後にしてくれ・・・シルフモン、今から急いでウィザーモンの
ことを呼んできてくれないか?」

シルフモンの方へと向き直り、懇願するかのように頼んだ。・・・今は、これし
かない・・・シルフモンが、最後の希望だった。今こうしている間にも、大輔の
生命力は少しずつ削られている。急がなければ・・・間に合わない。

「・・・いえ、その必要はありません。」

至って冷静にそう言い放ち、シルフモンはゆったりとした足取りで、大輔の方
へと歩み寄っていった。

98デジロル:2007/04/21(土) 18:33:53
ウィザーモンが間に合うかどうか、とその時に京とシルフモンが。
しかしその必要がないとは一体どういうことでしょうか……!?
次回も頑張ってください!

99ユッケ:2007/04/21(土) 18:36:28
大輔の命の危機に太一は咄嗟にウィザーモンを呼ぼうと提案しましたね。
しかし、そこに京とシルフモンが登場。
シルフモンが必要ないと言うが……一体何を?
次回も頑張って下さい!

100たらこ:2007/04/21(土) 21:29:35
感想ありがとうございます、デジロルさん、ユッケさん。

ウィザーモンが間に合うかどうか。そんな時、京とシルフモンが現れ
ました。

シルフモンの言葉の真意、それは、次回のお楽しみです。

応援、ありがとうございます!!


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