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【SS】 AZALEA : DIVE TO PLANET
1
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 02:49:59 ID:F4VIDa2E
最近ラ板のほうで立てたssですが修正部分が結構あったので
その変更と自身の更新速度も踏まえて、こちらのほうに立て直させていただきました
よろしくお願いします。
2
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 02:50:57 ID:F4VIDa2E
─ とある星 ─
ザザッ… ザザザッ…
……至急…応答せよ……こちら、○○…
…こちら、○星……応答…
フッ
“…………着いたな”
“……ほう、ここには文明があるのか…これが……ん?”
“…アレは、なんだ……? 他とは明らかに異質だな……”
“………成程、面白い……少し、興味が出てきた…”
“…決めた……【核】はこれにしよう……それと”
“…よし、これでここにもう用はない”
“次の星に、向かうとしましょうか”
ヒュンッ
ゴーッ ゴーッ ……
3
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 02:51:36 ID:F4VIDa2E
……
…
─ それから幾日が過ぎ、現在 ─
4
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 02:52:37 ID:F4VIDa2E
─
ダイヤ「ふわぁ〜……」
果南「あっ、おはようダイヤ、よく眠れた?」ガチャ
ダイヤ「ええまあ、それなりには……果南さんは?」
果南「私? えーっと、早く起きすぎちゃったからちょっとそこら辺走ってた」
ダイヤ「はあ!?」ガタッ
果南「えっ、なに?」
ダイヤ「なに? じゃありません! あれほど単独行動はやめてくださいと言ったじゃありませんか!」
5
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 02:53:33 ID:F4VIDa2E
果南「いやあ…そう言われてもさ、日課みたいなものだし」
ダイヤ「ここは! 私たちがよく知っている内浦ではないのですよ! それは貴女もよく実感しているはずでしょう!?」ズイッ
ダイヤ「それなのによくもまあ朝からこんな……!」
果南「わかったわかったよ! 控えるから! あー…ほら、朝ごはん食べようよ? ちょっとは落ち着けるかもよ」
ダイヤ「誰のせいだと…はぁ……花丸さんからも何か言ってあげてください」
花丸「……」サラサラ
ダイヤ「…花丸さん?」
花丸「え? ああ、朝ごはんだよね? うん、マルもすぐ行くから少し待ってて」
6
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 02:55:42 ID:F4VIDa2E
ダイヤ「いえ、そっちの話ではなく…」
果南「わかった、じゃあ先行ってるね、行こダイヤ」グイ
ダイヤ「はい!? いやあの、お二人ともお願いですから私の話を……ああぁぁぁ……」ズルズル
花丸「…こう、かな? うーん、本を読むのは好きだけどいざ自分が書くとなると難しいなあ……」トントン
花丸「うん、とりあえずこのくらいにして…マルもそろそろ行かなくちゃ」パタン
ガチャ
7
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:05:25 ID:F4VIDa2E
─
皆さんはじめまして、国木田花丸です
最初のあの出来事から早くも二日が経って、少しだけ今の状況に慣れてきたけど
やっぱりまだ不安は残っていて、これから先の生活がちょっと心配です
頼りになる先輩はいるけど、ここは分からないことばかりだし…どうしようって
8
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:05:56 ID:F4VIDa2E
…あ、ごめんなさい、マルたちのことをまだ教えていなかったね
さっきも言ったけどマルの名前は国木田花丸
それと、マルの他に一緒に行動している仲間が二人いるんだ
その人たちが黒澤ダイヤさんと松浦果南さん
とっても頼りになるマルの先輩ずら
9
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:06:31 ID:F4VIDa2E
えっとね、マルたちは三人とも浦の星女学院って学校の生徒で、スクールアイドルをやっているの
これを今読んでいる人はもしかしたら、スクールアイドルってなに? って思っているかもしれないけど
そこを話すと長くなっちゃうから、説明は割愛させてもらうずら
ただ、それ自体は少なくともマルたちの間では、さほど珍しくもないし特別でもないってことだけは一応伝えておくね
そして最後に、マルたちの出身地は地球です
10
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:07:04 ID:F4VIDa2E
…あの、多分これを見て驚いてるよね
うん、分かるよ、形は違うけどその気持ちはマルたちも同じだから
だけど、これは本当のお話
そう、マルたちはこの星に住んでいる人じゃありません
もっと遠くの、別のところから、やってきたんです
【 第1話 】 Welcome To Planet!
11
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:07:29 ID:F4VIDa2E
事の始まりは、遡ること三日前
その日、マルたちはスクールアイドルAqoursのみんなと一緒に天体観測へ
つまり星を観に行ってたの
いつもと変わらない日常、みんなで過ごす時間
この一日もそうなるはずだった…でも
12
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:08:07 ID:F4VIDa2E
─
千歌・曜「着いたーっ!!」タンッ
梨子「わあ…綺麗な場所だね」
果南「都会と違って何もないかもしれないけど、こういういいところだってあるんだよ」
果南「東京じゃ中々見れない景色でしょ?」ニコ
梨子「はい…本当に」
13
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:08:36 ID:F4VIDa2E
ダイヤ「しかし見事に晴れましたわね…満月まで出て」
鞠莉「うーん! 絶好の観測日和ね!」
花丸「善子ちゃん、晴れてよかったね」
善子「な、何がよ」
ルビィ「クスッ、一生懸命てるてる坊主作ってたもんね」
善子「いや、あれは別にそういうのじゃないし…」
花丸「相変わらず素直じゃないずら」ニヤニヤ
善子「うっさいわねもう!」
14
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:09:15 ID:F4VIDa2E
ダイヤ「─それでは各自観測ポイントを探してみましょうか、とは言ってもあまり離れすぎないように」
「「はーい!!」」
─
梨子「どこにしよう……あっちかな…それともこっち?」ウロウロ
善子「リリーがあんなにそわそわしてるの初めてみたかも…」
鞠莉「そうね、たださっき果南も言ってたけど都会のほうじゃあまり経験出来ないことだもの、浮かれるのも分かるわ」
鞠莉「まあそれを取ってもあの楽しみよう…フフッ、梨子ったら可愛いわね」
梨子「善子ちゃん、鞠莉さん、どうしたの? 早くいきましょうよ」
鞠莉「ほら善子、リトルデーモンが呼んでるわよ? 私たちもあっちへ行きましょう」クスクス
善子「…ま、いいけど? たまにはこういう関係も悪くないしね」フッ
15
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:09:56 ID:F4VIDa2E
─
千歌「いやあ今日は星が綺麗だね-!」
曜「うんうん! すごい開放感だよ-! ね、ルビィちゃんもそう思うでしょ?」
ルビィ「えっと、それは分かるんだけど…」
千歌・曜「?」
ルビィ「どうして二人はそんなところで寝転がってるのかなぁって…」
千歌「え? 一回やってみたかったから」
曜「右に同じであります!」
16
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:10:25 ID:F4VIDa2E
ルビィ「でも、せっかく望遠鏡とか持ってきてるのに」
曜「そうかもだけど、これはこれで気持ちがいいよ!」
千歌「そうそう! ルビィちゃんもこっちにおいでー! やってみたら分かるから!」ポンポン
ルビィ「えっと…じゃあ」ポフッ
キラッ
ルビィ「……あっ…」
曜「ね? いいでしょこういうのも」
ルビィ「はい…すごく、綺麗です…」ニコ
千歌「えへへ、よかった!」
17
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:11:50 ID:F4VIDa2E
─
ダイヤ「果南さん、いい場所はありましたか?」
果南「うーん、全部」
ダイヤ「またそんな当てにならないようなことを…」ハァ
果南「いやいや本当だって、でも強いて言うならあっちのほうかな?」ユビサシ
ダイヤ「ふむ、ではそちらに移動しましょうか」
ダイヤ「花丸さんを呼んできますから少し待っててください」
果南「まってダイヤ、私も一緒にいくよ」
18
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:13:12 ID:F4VIDa2E
スタスタ…
果南「あのさあダイヤ」
ダイヤ「なんですか?」
果南「ん、いや、大したことじゃないんだけど」
果南「なんか、懐かしいなあって」
ダイヤ「果南さん、お願いですから主語を入れてください」ハァ
果南「あはは、ごめんごめん…えーと、この時間が…かな?」
19
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:13:31 ID:F4VIDa2E
ダイヤ「時間?」
果南「ほら、今まで結構忙しかったからさ、中々こういった形でみんなが集まることなんてなかったじゃん」
ダイヤ「確かにそうですわね」
果南「だから懐かしいなあって、星を観にいったのなんて子供の頃以来だし」
果南「久々になんか、こう、うずうずするっていうか…」
果南「凄く楽しいんだよね!」ニコッ
ダイヤ「…そうですか」クス
20
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:13:49 ID:F4VIDa2E
ダイヤ「─あっ、見えてきましたわね」
果南「ほんとだ、おーい花丸ちゃーん!」
花丸「……」
果南「あれ? 聞こえていないのかな?」
ダイヤ「もっと近いところで呼んでみたらどうですか?」
果南「そうだね」タッ
21
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:14:07 ID:F4VIDa2E
花丸「……うーん」
果南「花丸ちゃん、花丸ちゃんってば」
花丸「……」
果南「……」
果南「よっ」ガシッ
花丸「わあぁっ!? な、なんずらあ!? ……って、あれ?」
果南「あ、やっと気づいた」
ダイヤ「とはいえ、少々驚かせすぎでは?」スタスタ
果南「えー、だってさあ」
花丸「果南さん、ダイヤさんも……ごめんなさい、気づかなくて」
22
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:14:30 ID:F4VIDa2E
果南「いいよ別に気にしてないから、ねえダイヤ?」ナデナデ
ダイヤ「ええ、特には」
花丸「そっか…それで二人はマルに何か用があったの?」
果南「ん、いい観測場所が見つかったからそっちに移動しようと思ってね」
果南「それで花丸ちゃんを呼びに来たわけ」
花丸「そうだったんだ、ありがとう」ニコ
ダイヤ「しかし、随分と考え込んでいたようですが…何かあったんですか?」
花丸「うん、ちょっとね…望遠鏡が落ちてあって」
23
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:14:50 ID:F4VIDa2E
ダイヤ「望遠鏡?」
花丸「ほら、これ」ハイ
果南「ホントだ、誰かの忘れ物かな?」
ダイヤ「三脚や台も見当たりませんし、その可能性はありますわね」
花丸「この望遠鏡をどうしようかなあって、さっきまで考えていたの」
ダイヤ「成る程、そういうことでしたの」
果南「うーん…でもこれだけ忘れて帰るなんてことあるのかな?」
ダイヤ「忘れ物かと言ったのは果南さんでしょう…」
果南「いや、そうだけどさ」
花丸「……」スッ
24
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:15:12 ID:F4VIDa2E
ダイヤ「花丸さん?」
花丸「あ、えっとね」
花丸「やっぱり、せっかくだからちょっとだけ覗いてみようかなあって」エヘヘ
ダイヤ「それを?」
花丸「うん」
花丸(どうしてか、すごい気になって……)
果南「あっ私も見たい、あとで貸してよ」
花丸「うん、いいよ」
ダイヤ「果南さんまで…」
果南「いいじゃん減るもんじゃないし、ダイヤもどう?」
25
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:16:02 ID:F4VIDa2E
ダイヤ「結構です、私はそれが使えるとは思っていませんし」
果南「なんで?」
ダイヤ「だってよく見たらその望遠鏡、ファインダーがついてませんもの」
果南「え? …本当だ、やけに真っ直ぐだなー何か足りないなあって思ってたけどそれか、どおりで」
ダイヤ「…果南さん、あなたの趣味は天体観測だったのでは…?」
果南「ほ、ほら観察力の問題だから」アセッ
ダイヤ「余計におかしいと思うのですが……」
花丸「……ん?」
26
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:16:24 ID:F4VIDa2E
ダイヤ「はあ…まあいいですわ、話を戻しますけど」
ダイヤ「状態から察するに…大方、壊れてしまったからここに置いて去って行ったのでしょう」
果南「なるほどね、それなら落ちているのも納得いくけど」
果南「でも、もしそうだとしたらあんまり気分のいい話じゃないかな」
ダイヤ「そうですわね…ともあれこのまま放置するのもよくありませんし、これは一先ず私たちが回収して─」
花丸「……ダイヤさん、それは違うずら」スッ
ダイヤ・果南「え?」
27
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:17:07 ID:F4VIDa2E
花丸「だってこれ、望遠鏡じゃないもん」
ダイヤ「はい?」
果南「ちょっと見せて………ん? 何これ?」
ダイヤ「? あの、いったい何が…」
果南「ねえ、ダイヤもちょっと見てみてよ、なんか変だよ」ハイ
ダイヤ「なんかって何ですか全く…………? これは・・・もしかして」
花丸「うん、形が似てたから勘違いしてたけど…」
花丸「万華鏡だよ、それ」
ダイヤ「ですわね……しかし、どうしてそんなものがここに─」
ピカッ
28
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:17:36 ID:F4VIDa2E
ダイヤ「…? 何でしょうか今の光は」
花丸「……え……?」
果南「!? ダイヤっ!」
ダイヤ「果南さん? どうしたのですか突然…」クル
ダイヤ「っ!?」
果南「は、花丸ちゃんの体が急に……っ!」
花丸「な、なにこれ…」スゥー
花丸「どうしてマルの中から光が、湧いてきてるの…?」
ダイヤ「これは、一体何が…起きて……」
29
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:18:09 ID:F4VIDa2E
果南「分かんない…分かんないけど…っ…!」
果南「花丸ちゃん! 花丸ちゃんは大丈夫なの!?」
花丸「え…う、うん、特に痛いところはない─」
フッ
果南・ダイヤ「!!」
果南「え……嘘…」
ダイヤ「花丸さんが、消えた……」
果南「そんな……っ! 花丸ちゃん! 花丸ちゃんってば!!」
果南「返事してよ! ねえ!」
ダイヤ「果南さん! とりあえず落ち着いて…」
果南「そんなこと言ったって! だっていきなり消え──」
ピカッ ピカッ
30
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:18:30 ID:F4VIDa2E
果南「!? な、なんで…」
ダイヤ「私たちまで……光って」
果南「ち、ちょっと待ってよ…それってつまり」
ダイヤ「先程の花丸さんと同じように私たちも……」
果南「ここから─」シュンッ
ダイヤ「っ! 果南さんっ! ……そんな、嘘でしょう……? こんな…」
ダイヤ「こんなことって……どうして─」スウーッ
……
31
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:18:49 ID:F4VIDa2E
タッタッタ
「こっちだよ、確かこっちのほうから光が!」
「千歌ちゃん、それ本当なの?」
「本当だって! 丁度このあたりからって…………あれ?」
「…何もないわね」
「えーっと…おかしいなあ、私の見間違いだったかな…」
「ねえちかっち、それも気になるけど、ダイヤたちは一体どこに行ったのかしら?」
「それが…まだ連絡がなくて」
「本当に? …あのダイヤさんが集合時間に遅れるなんて珍しいわね」
「何よもう、集まろうって決めたのはダイヤのくせに…」
「まあまあ、とりあえずもう少し探してみようよ」
「…ええ、そうね」
スタスタ
……
…
32
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:19:20 ID:F4VIDa2E
それから…
─???
「……どうですか、様子は」
「ん、全員特に問題なし、ただ一つだけ気がかりがあるとすれば」
「一体いつ目を覚ますのかってところだけど…」
「そうですか、まあ今回は初の試みで予測が立てづらいものでしたからね」
「全くよ…“情報”はともかくとして、人そのものでしょ? 必要とはいえ随分大掛かりな─」
花丸「……うぅん…」パチ
「! っと、このタイミングでか…」
「ええ、お目覚めみたいですね」
33
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:19:41 ID:F4VIDa2E
花丸「……あれ…ここは……?」
「おはよ、やっと目が覚めた?」
花丸「…え……」ボー
「丸一日眠ってたのよ貴女」
花丸「……善子ちゃん?」
善子?「いや違うけど、私はその善子ちゃんって人じゃないわよ?」
34
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:20:00 ID:F4VIDa2E
善子?「私の名前はねイチゴっていうの、で・・・こっちが」
レム「レムです、初めまして」
花丸「……イチゴ? ……レム?」
花丸(……善子ちゃん、何言ってるんだろう…? マルをからかっているのかな…)
花丸(それに、初めましてって言ってた…善子ちゃんの隣にいる人)
花丸(被り物のせいで、顔がよく見えない……本当に誰?)
35
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:20:26 ID:F4VIDa2E
花丸「…! そうだ、みんなは!?」
善子?「みんな? ああ、それなら」
レム「貴女の隣で眠っていますが」
花丸「え?」フリムキ
果南「ふわぁ〜……ん…あれ? 花丸ちゃん?」ポケーーッ
花丸「果南さん!」
果南「良かったあ無事だったんだ、あっ善子ちゃんも一緒なんだね」ニコ
36
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:21:31 ID:F4VIDa2E
善子?「いや、だから善子じゃなくて私はイチゴだって……」
果南「え? 何それ、どういうこと」
花丸「善子ちゃん、まだそんなこと言ってるの?」
善子?「はあ!? 何よ! あんたこそまだ疑っているわけ!?」
果南「え? 善子ちゃんじゃないのこの子?」
37
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:22:10 ID:F4VIDa2E
善子?「そうよ! 別人よ!」
花丸「ううん、どう見ても善子ちゃんずら」
善子?「そこ! あんたはちょっと黙ってなさい!」
果南「だよねー」アハハ
善子?「そっちもあっさり信じるなあっ!!」
ダイヤ「……」パチ
ダイヤ「……ふぁ……なんですか…騒々しいですわねぇ……」ゴシゴシ
花丸「あっ、ダイヤさん!」
果南「ダイヤー、おはようー」テヲアゲ
ダイヤ「! 花丸さん! 果南さんも……無事でしたのね」
38
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:23:19 ID:F4VIDa2E
果南「うん、そうみたい、特に体におかしなところも無いし」
ダイヤ「そうですか、一先ず安心しましたわ……あら?」チラッ
善子?「…………」
ダイヤ「善子さん、いつの間に私たちのところへ?」
善子「…ああもう分かったわよ! じゃあもう善子でいいわよ面倒くさい!!」
ダイヤ「? 貴女は善子さんではないのですか?」
善子「本当はね! だって別人だもの! 私の名前イチゴだし!」
善子「でもいいわよ! そっちの方が呼びやすいっていうなら仕方ない!」
39
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:24:18 ID:F4VIDa2E
花丸「えっと……な、なんか」
果南「悪いことした? ごめんね」
善子「だからもういいって、あんた達に悪気がないのは分かってるし、それに」
善子「元はといえばそこのフード女が悪いのよ、全く」フンッ
ダイヤ「あの、フード女とは?」
レム「私のことですよ、レムといいます」ザッ
レム「はじめまして」
ダイヤ「ああ…はい、こちらこそ」ペコリ
レム「それよりイチゴさん、文句の一つも言いたくなるのは分かりますが」
レム「そういったことはなるべく控えていただけると」
善子「……あっ、しまったつい…」
40
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:32:53 ID:F4VIDa2E
レム「いや…まあいいでしょう、仕方のない部分もありますから」
善子「そう言ってもらえると助かるわね」
花丸(…何の話だろう?)
果南「…あっそうだ、ねえレム…でいいんだよね? 聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
レム「はい、なんでしょうか?」
果南「んっと、さっきから気になっていたんだけどさ…ここ何処なの?」
ダイヤ「私も同じことを思っていましたわ」
ダイヤ「少なくとも私たちのいた場所でないことだけは、確かですが…」
ダイヤ「かと言って見覚えのあるところでもありませんし…」ウーン
レム「…そうですね、まずはそこから話しておくべきでしょうか」
41
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:34:08 ID:F4VIDa2E
レム「……しかし、今目覚めたばかりの貴女たちにこんなことを言うのも…なんですけどね」
ダイヤ「? それはどういう…」
レム「いえね、つまりは──」
レム「こういうことですよ」パチン
ブワッ
ダイヤ「なっ!?」
果南「け…景色が…」
花丸「変わった……?」
42
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:34:43 ID:F4VIDa2E
イチゴ「何てことないわ別に、私たちが場所を移しただけよ」
ダイヤ「……何者ですか、貴女たちは」
レム「何者かあ……うーん、そうですね…」
レム「あなた方の呼び名で例えるなら、異世界人といったところでしょうか」
果南「は……? 異世界…?」
花丸「…じゃあ、あなた達は…違う世界の人だっていうの?」
レム「ええ、そのとおり」
レム「ダイヤさん、果南さん、そして花丸さん」
レム「もう薄々感づいてるとは思いますが」
レム「簡潔に述べましょう…ここは、貴女たちの住んでいる星ではありません」
43
:
42訂正
:2018/08/09(木) 03:36:43 ID:F4VIDa2E
善子「何てことないわ別に、私たちが場所を移しただけよ」
ダイヤ「……何者ですか、貴女たちは」
レム「何者かあ……うーん、そうですね…」
レム「あなた方の呼び名で例えるなら、異世界人といったところでしょうか」
果南「は……? 異世界…?」
花丸「…じゃあ、あなた達は…違う世界の人だっていうの?」
レム「ええ、そのとおり」
レム「ダイヤさん、果南さん、そして花丸さん」
レム「もう薄々感づいてるとは思いますが」
レム「簡潔に述べましょう…ここは、貴女たちの住んでいる星ではありません」
44
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:37:20 ID:F4VIDa2E
「─!!」
ダイヤ「…地球では……ない…」
花丸「別の星…」
レム「そう、貴女たちは“偶然にも”この星へ迷い込んでしまったんです」
レム「つい先日の出来事ですがね」
善子「……」
45
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:38:39 ID:F4VIDa2E
果南「ちょ、ちょっと待ってよ…確かに、何かおかしいとは感じてたけど」
果南「でも…まだ、何がなんだか……」
レム「そうでしょうね、ですが説明の前に一つだけ、言っておくべきことがあります」
花丸「えっ……」
レム「……」スッ
レム「皆さん、ようこそ私たちの星へ」
レム「─我ら一同はあなたたちを心より、歓迎いたします」
46
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:39:13 ID:F4VIDa2E
そう、これがマルたちと彼女の最初の出会い─
地球ではないどこか…違う星にやってきたという
そんな衝撃的な事実から始まったこの物語
でも、このときはまだ知らなかった、分かるはずもなかった
自分たちの置かれている状況も、ここに来た意味も
マルたちAZALEAと彼女との邂逅、その先に待つものが
やがて、星一つの運命を変える、とても大きな出来事になるということも…全て
─このときのマルたちはまだ、知らなかったのです。
47
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:41:29 ID:F4VIDa2E
【 第2話 】 繋がりの導<しるべ>
「………………」
果南「……本当に…」
果南(そうだっていうの…)
花丸「…………」
ダイヤ「……」
ダイヤ「……あの、レムさん」
レム「はい」
48
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:42:27 ID:F4VIDa2E
ダイヤ「時間を、くださいませんか? 少し外の様子を見て回りたいのですが」
果南「ダイヤ…?」
ダイヤ「確かに今起きた現象やこの状況を見ただけでも、私たちが普段目にしているものとは違った」
ダイヤ「異様なものであるため、頷きそうな話ではありましたが」
ダイヤ「しかし、いくら何でも信じるための情報が少なすぎます」
ダイヤ「それに、それを受け入れる心の余裕も……私たちには…」
49
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:44:53 ID:F4VIDa2E
レム「成る程…だから一度落ち着くために」
レム「そして、自分たちの目で確かめて、受け入れるための時間がほしいと」
ダイヤ「はい、お願いします」
善子「…レム」
レム「分かっていますよ、では一日あれば大丈夫でしょうか?」
ダイヤ「十分ですわ」
レム「分かりました、それならその間に私たちは寝床を用意しておきましょう」
レム「場所はそこの扉から出て廊下を右に真っ直ぐ…その突き当たりに、空き部屋があります」
レム「探索から帰ってきましたら、みなさまはそこを使ってください」
50
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:45:35 ID:F4VIDa2E
ダイヤ「…ありがとうございます、色々と手を回していただいて…」
レム「いえいえ、これくらいは」
ダイヤ「それでは……」ペコリ
レム「はい、また明日に」
ダイヤ「…果南さん、花丸さんを」
果南「う、うん…わかった」
果南「ほら、花丸ちゃん」スッ
花丸「……うん」ギュ
ダイヤ「失礼します…」バタンッ
51
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:46:52 ID:F4VIDa2E
善子「……ふぅ、先送りにはなったけど」
善子「一先ず、無事に済んだってことでいいのかしら?」
レム「ええ、見事な対応力です」
レム「彼女の言うとおり、混乱している頭では本来ならば理解できる範疇のものですら受け入れがたいものになる」
レム「この状況では、尚更そうでしょう」
レム「それでも、即座にこの判断を下せたということは…相当“慣れて”いるんでしょうね」
52
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:48:08 ID:F4VIDa2E
善子「よくもまあそんなに賞賛の言葉が出てくるもんだわ…白々しいわね、ほんと」
レム「ごめんなさい、そういうつもりでは」
レム「私自身も半信半疑でしたので、ほら、聞くのと見るのとでは違うと言うでしょう?」
レム「実際にその目で確かめて、心からそう感じただけです、他意はありません」
善子「ふーん、そういうもの」
善子「……で? どうなのよ、実際に見て、関わった結果は」
善子「いけそうなの?」
レム「ああ、それも彼女…ダイヤさんが仰ってた言葉どおりになりそうですよ」
善子「は?」
レム「つまり、その答えは明日次第ということです」
53
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:49:16 ID:F4VIDa2E
善子「…相変わらず回りくどい言い回しねえ」
レム「あはは…あっ、それはそうとして」
善子「なによ?」
レム「いえ、私も善子さんと、呼んだ方がいいのでしょうか?」
善子「さあね、どっちでもいいわよそんなの……けど」
善子「イチゴ、の方がいいんじゃないの? だって」
善子「これ、あんたが付けた名前なんだからさ」
レム「……それもそうですね」
54
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/09(木) 03:57:17 ID:F4VIDa2E
一応ここまでです。
レムというキャラクターについてですが、容姿はこの画像のような感じでイメージしていただければと思います
あとネタバレになってしまうため深くは言えませんが、完全オリジナルキャラというわけではありません
ちゃんとラブライブに関係のある人物です
https://i.imgur.com/Ol2ELuv.jpg
55
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/08/10(金) 13:25:48 ID:1oxT8BOM
立て直し乙
無理しないでやってください
56
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/08/10(金) 18:57:36 ID:7dEru2YM
乙
結構長そうだし期待
57
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/08/12(日) 00:35:06 ID:BOXAFjV2
乙
58
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/08/13(月) 03:25:13 ID:nsW.u0mA
ほう
59
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/08/15(水) 00:40:22 ID:kM.bnP7I
立て直し乙
60
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 13:49:05 ID:ng/RX2Jo
─数時間後
ダイヤ「どうですか、そちらは?」
果南「駄目だね、全部圏外になってる」ハイ
ダイヤ「やはり、ですか…」
果南「ねえ、ここだけ電波が通ってないっていうのは?」
ダイヤ「それはないでしょう、ここに来る途中、電子機器の類をいくつか見ました」
ダイヤ「電波が通っていないのであれば、それらがここに置かれることはないはずですわ」
ダイヤ「あるだけ無駄ですもの」
果南「…じゃあやっぱり私たちのスマホだけ“対象外”ってことかあ…」ウーン
61
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 13:50:37 ID:ng/RX2Jo
ダイヤ「しかし、外に出てはみたものの…だいぶ入り組んでますわね」
果南「だよね、建物がたくさん建てられているところは都会と似てるけど」
果南「物自体はなんかこう、映画に出てくるような感じというか」
花丸「未来ずらあ……」
果南「そうそう、近未来的っていうのかな? 私たちのところより少し進んでる印象があるよね」
ダイヤ「ネオンカラーだったかしら? ここは全体的に色が強めに感じますが……」
ダイヤ「そのおかげで明かりがなくて困るということもなさそうですし」
ダイヤ「これならもう少し探索を続けられますわね」
62
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 13:51:17 ID:ng/RX2Jo
果南「頃合いはちゃんと見計らった方がいいと思うけど、ダイヤなら心配ないか」
「ふーん…でもあなた達、帰り道分かるの?」
ダイヤ「え?」クルッ
花丸「あ、善子ちゃん」
善子「その顔は忘れてたって顔ね」
果南「……ダイヤ?」
ダイヤ「…すみません、完全に抜け落ちていました」
63
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 13:52:06 ID:ng/RX2Jo
善子「はぁーっ…だと思ったわ、けど仕方ないわよ」
善子「いろいろと切羽詰まってたんだろうし」
ダイヤ「そう、ですわね……それはそうと善子さんはどうしてここに?」
善子「レムから頼まれたのよ、道案内してあげてって」
善子「いや案内というか、もし迷っていたら部屋まで送っていけって感じだったけど」
ダイヤ「…あの方は、なんでもお見通しですのね」
善子「ん? まあ周りに目を向けたり、気を配ったりするのが得意なのよ、立場上ね」
花丸「立場?」
善子「仕事の話よ、彼女にはそういう役割があるの」
64
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 13:52:38 ID:ng/RX2Jo
ダイヤ「……」
果南「へえ〜、仕事ね」
善子「とりあえずそういうわけだから、迎えに来たわよ」
花丸「でもまだ少し早いと思うけど」
善子「いいのよこれくらいで、回り道するから」
ダイヤ「それはどうして?」
善子「そっちのルートは一本道なのよ、大きく曲がっているから時間はかかるけど」
善子「今いる街の中心みたいに複雑に分かれていないから、行き先に迷うことはないわけ」
善子「それに今覚えておけば、その後もここに来るとき何かと便利でしょ?」
果南「成る程……やっぱり善子ちゃん頭いいよね」
善子「そう? 別になんてことないわよこれくらい…さ、行きましょ」
65
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 13:53:08 ID:ng/RX2Jo
─
善子「でも正直驚いたわ、数時間経ったとはいえ全員落ち着いてるんだもの」スタスタ
善子「もっと動揺しているものだと思っていたわ」
果南「うーん、確かに最初はびっくりしたけどね…」アッハハ
果南「いきなり別の星に来たとか言われるし、外に出たら見たことないものだらけだし」
果南「ただ、一度そうだって分かっちゃったら意外とすんなり飲み込めてさ」
果南「それに、今はまだ何も分からないかもしれないけど、それも私たち次第でどうにかなることだと思ったから」
果南「いつまでもオロオロしていたら駄目だなってね」ニコッ
66
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 13:53:46 ID:ng/RX2Jo
ダイヤ「…とまあ、似たようなことを私たちも言われまして」
花丸「今に至るというわけずら」
善子「ふーん…受け入れるのが早いのね」
善子(器の大きさってやつかしら?)
果南「あんまり考えるの得意じゃないから」ハハ
ダイヤ「とは言っても、流石にアレには驚愕しましたけどね……」
花丸「うん、見たのも外に出た直後だから余計にね…」
善子「? アレって、もしかして」
善子「あの万華鏡のことを言ってるの?」ユビサシ
67
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 13:54:29 ID:ng/RX2Jo
花丸「やっぱり万華鏡だったんだ……大きすぎるからもしかしたら違うと思ったけど」
果南「うん、それにしてもまだ結構な距離がある場所からでも見えるなんて、相当なものだよね」
善子「そりゃまあ、この星の象徴みたいなものだし」
ダイヤ「象徴ですか? あの万華鏡が」
花丸「あんなに巨大なものだと何かの兵器にも見えるけど」
善子「失礼ね、あのサイズになっているのはちゃんとした理由があるのよ」
善子「それを説明するのは明日になるでしょうけど」
68
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 13:54:58 ID:ng/RX2Jo
花丸「明日?」
善子「ええ、きっとレムの口からね」
ダイヤ「!」
善子「分かった? そのくらい重要なことなのよ」
ダイヤ・花丸「……」
善子「そろそろ着くわよ」
69
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 13:55:41 ID:ng/RX2Jo
果南「あっ、ちょっと待って善子ちゃん、最後に聞きたいことがあるんだけど」
善子「何かしら?」
果南「私たちが出てきたあの万華鏡の場所ともう一つ、同じくらい大きなものが向こう側に見えるんだけど」
果南「あれは何?」
ダイヤ「そう言われれば…」
花丸「うん、ちょっと気になるね」
善子「あー、あれね」
善子「会場よ、ただの」
70
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 13:56:39 ID:ng/RX2Jo
花丸「会場? 何かライブでもやるの?」
善子「その予定よ」
ダイヤ「予定? まだ決まっていないのですか?」
善子「完成したばかりで何もイベントが入っていないのよ、やること自体は大体決まってるんだけどね」
花丸「なにをやるの?」
善子「そうね…“ラブライブ”っていうものなんだけど」
ダイヤ「!?」
果南「ラブライブ!? 嘘、そっちでもあるんだ!」
善子「……なに、知ってるの?」
花丸「知ってるも何も……」
ダイヤ「私たちの住んでいたところでは有名ですから」
善子「……へえ、奇妙な偶然もあったものだわ」
ダイヤ「偶然、ですか」
善子「ええ、ほら着いたわよ、部屋まで案内するから付いてきて」
71
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 13:57:25 ID:ng/RX2Jo
─
善子「じゃあ私自分の部屋に戻るから、何かあればそこにある通信機で連絡して」
ダイヤ「はい、今日はお世話になりました」
善子「別にいいわよ頼まれただけだから、それじゃね」ガチャ
バタン
花丸「…終わったね」
ダイヤ「…そうですわね」
果南「…………あぁ、疲れたあ〜…頭が疲れた」ボフンッ
ダイヤ「ちょっと果南さん、だらしないですわよ」
果南「いいじゃん、私たち以外誰もいないんだし」
ダイヤ「そういう問題ではなくて」
花丸「まあまあ、ダイヤさんそう言わないで」
72
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 13:57:57 ID:ng/RX2Jo
果南「ほら、花丸ちゃんもこう言ってくれてるし」
ダイヤ「後輩への示し、のようなものは持ち合わせていないのですか…」
果南「自然体が一番だって、ね? 花丸ちゃん」
花丸「クスッ、そうだね」
ダイヤ「……もう、分かりましたわよ…まさか花丸さんまでそちら側につくとは思いませんでしたけど」
ダイヤ(まあ納得出来なくはありませんけどね、果南さんはともかく、花丸さんもどこか天然なところがありますし…)
ダイヤ(やはりその辺りで、どこか通じ合うところがあるのでしょうか)フム
果南「あ、拗ねてる」
花丸「あはは、ごめんねダイヤさん」
ダイヤ「違いますわよっ!」
73
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 13:58:44 ID:ng/RX2Jo
果南「じゃあ考え事でしょ、悩みすぎはよくないと思うよ」
ダイヤ「いや…そんな悠長な」
果南「休むことも大事なんだって」
ダイヤ「果南さんの言うことも分かりますけど、しかし…」
果南「うん、そういうわけだから先に寝るね、おやすみ」
ダイヤ「はあ!? 果南さんあなた人の話聞く気ないでしょう!」
果南「……」スースー
ダイヤ「……ああもう」
花丸「……ほんとに寝ちゃったずら、早いね」
ダイヤ「流石にマイペースが過ぎますわ…」タメイキ
74
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 13:59:25 ID:ng/RX2Jo
花丸「でも果南さんらしいずら」フフッ
ダイヤ「いや、まあ…そうですわね」
花丸「とにかく一息つこうよ、これお茶」ハイ
ダイヤ「…あっ、どうも」スッ
ズズッ…
ダイヤ「ふう…おかげで少し落ち着けました」
花丸「それは良かった」
ダイヤ「…花丸さんはどう思いますか?」
花丸「ん? 果南さんのこと? それとも」
ダイヤ「この星のことについてですわ」
花丸「……そうだね」コトン
花丸「考えてることは何個かあるかな」チラッ
75
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 14:00:12 ID:ng/RX2Jo
ガヤガヤ
花丸「確かにここには見たことのないものが色々あったけど……」
花丸「それ以上に、マルたちが知っているものもたくさんあった」
花丸「加えてあの会場と、ラブライブっていう言葉」
花丸「だからなのかな、ここは…何か、地球にすごく似ている気がする…」
ダイヤ「……」
花丸「ううん、地球というよりはマルたちとの共通点というか…そんな気もして」
花丸「まだ、あまりよく分からないんだけど…」
ダイヤ「…………偶然ですわね、花丸さん」
ダイヤ「私もいま、全く同じことを考えていたところです──」
……
…
76
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/19(日) 14:00:50 ID:ng/RX2Jo
ここまでです。
77
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/08/20(月) 20:11:32 ID:059sHF4g
待ってた
78
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/08/20(月) 22:06:15 ID:F4Qdrw5Y
llil,,,
lllllllllllliii,,,,_
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79
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/22(水) 06:05:21 ID:gLDGPH8g
─翌日、館内通路
カツン… カツン…
ダイヤ「──突然現れた? 私たちが?」
レム「ええ、今から二日前のことです」
レム「夜もだいぶ慣れてきた頃でしょうか、帰ろうと思ったその矢先に」
レム「突然、私の前にまばゆい光が放たれたのです」
レム「何事かと思い近くまで駆け寄ってみると、そこには私たちとちょうど同じくらいの女性が三人倒れて眠っていました」
果南「それが私たちってこと?」
レム「はい、目が覚めたらここへ来た事情を伺おうと思っていたのですが」
レム「なかなか起きないもので…結局そこから丸一日かかってしまいました」
花丸「なるほど…そこから昨日の話に繋がるってわけだね」
レム「ええ、その通りです」
80
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/22(水) 06:06:01 ID:gLDGPH8g
ダイヤ「…話を聞く限りでは、貴女方のほうでも私たちがここへ来たことは」
ダイヤ「不意を食った事故のようなものだと受け取れるのですが」
レム「そうですね、少なくとも」
レム「私の知る限りではこんな現象は初めてです」
善子「…レムはこの星でもかなりの古株なの、そのレムがここまで言うとなると」
善子「こっちでも相当、異例の事態ってことになるわね」
ダイヤ「どちらにとっても不可思議な出来事というわけですか…」
81
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/22(水) 06:06:40 ID:gLDGPH8g
果南「ねえ、ところで私たちはどこに向かっているの?」
果南「付いてきてくれって言われたから、そうしているけど」
レム「あの巨大万華鏡のところですよ」
果南「あそこに? どうして」
レム「先日皆さんから話を聞いて、少し思うところがあったので」
花丸「……それって、マルたちがこの星に来る前に覗いた万華鏡と」
花丸「ここにあるものが大きさ以外はそっくりだっていう話?」
82
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/22(水) 06:08:29 ID:gLDGPH8g
レム「そうです、先ほど私は貴女たちがこの星へ招かれたことを異例だと申しましたが」
レム「一つだけ分かっている点があります」
レム「それは、何もなしに特異な事象が起こるということはまず無い、ということです」
レム「何か起きるにしても、そこには必ずものとものを結ぶ“原因”があります」
ダイヤ「…つまり、私たちの元いた世界にこの星へ来るきっかけのようなものがあって…」
ダイヤ「それがあの万華鏡である可能性が高い…と、そういうことですか?」
ダイヤ「確かに筋は通っていると思いますが」
善子「凄い理解力ね…今の話でそこまで分かるわけ」
83
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/22(水) 06:09:26 ID:gLDGPH8g
果南「ふーん、あれがきっかけねえ…でもまあ確かに」
果南「花丸ちゃんが急に光り出したのも、あの万華鏡を覗いたあとだったしね」
ダイヤ「そうですわね、今思い返せば消えた順番も先に覗いた人からと、発生した時間差も含めて一致していますし…」
ダイヤ「心当たりがいくつかあるのは確かですわ」
花丸「うん、それにやっぱり─」
花丸「あんなところに落ちていたっていうのも、奇妙な話だと思うずら…まるでマルたちが来るのを分かってたみたいで」
善子(ふーん…ポケーッとした顔の天然とばかり思ってたけど、この子もこの子でなかなか鋭いわね)
善子(融通も利きそうだし…) 「レム、どう思う?」
レム「そうですね……まだ断定するには早い気がしますが」
レム「今の証言を聞くに、ほぼ間違いないかと」
84
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/22(水) 06:11:27 ID:gLDGPH8g
果南「…あーそっか、だから今そこに向かってるんだね」
果南「原因になったものと瓜二つの万華鏡を調べれば」
果南「もしかしたら、何か分かることがあるかもしれないもんね」
レム「ええ、大体そんな感じです」スッ
キイィ……
レム「さあ、この通路を抜ければ到着です、もう少し付き合ってくださいね」
85
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/22(水) 06:13:12 ID:gLDGPH8g
─
レム「時にみなさん、月の魔力…というのはご存知でしょうか?」
果南「どうしたの急に? まあ…なんとなく分かるくらいかな、私は」
ダイヤ「月の満ち欠けに比例して、人体が影響を及ぼされる…などというのは有名な話ですわよね」
花丸「創作物でもお月様を不思議な力として扱っている作品は数え切れないくらいあるずら」
花丸「それ以外でも、愛情の表現やモノの喩えとして、よく使われたりするよね」
花丸「著名なところから選ぶと、夏目漱石の“月が綺麗ですね”が一番分かりやすいかな」※
果南「ほえ〜…物知りだねえ」
※月がとっても青いなあと訳した説もあるよ、でも出典元の出所や年代の関係上
夏目漱石の月関連のエピソード自体が後付けされた逸話、デマであるとして否定されてるずら
86
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/22(水) 06:13:52 ID:gLDGPH8g
ダイヤ「それがどうかしたのですか?」
レム「先ほど申されましたように、人は古来から月には魔力があると信じ、言い伝えられてきました」
レム「それは私たちの星も同様で、そこに我々には想像もつかない程の神秘の力が宿っているとも」
ダイヤ(……? 今の言葉、なにか違和感が……)
レム「なので、もしかしたらと思いましてね」
果南「何が?」
レム「皆さんの身に何かが起きたあの日、そこには満月が浮かんでいたのではないかと」
87
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/22(水) 06:14:28 ID:gLDGPH8g
ダイヤ「満月……」
果南「確かに、出ていたような…」
レム「月の力が最も強いとされているのが満月、若しくは新月だと言われています」
レム「ならばもし、月の神秘的な力が本当にあったと仮定するなら」
レム「それもまた、皆さんにとって一つの重要な手がかりになるんじゃないかと…あくまで推測ですがね」
88
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/22(水) 06:16:46 ID:gLDGPH8g
果南「うーん、神秘の力か…二人はどう思う?」
ダイヤ「頷けなくはありませんわね、そもそも」
ダイヤ「私たちが体験した出来事そのものが、既に不思議というカテゴリの中に入っているわけですし」
ダイヤ「そのような力が作用していたとしても、何らおかしくはないでしょう」
花丸「うん、それにさっきレムさんが言ってた“ものとものを結ぶ”という言葉に倣って当てはめてみると」
花丸「模様、景色を見るために必要な満月の光が、万華鏡とマルたちを結んでここに連れてきたっていう考えかたも出来るし」
ダイヤ「確かに、あり得なくはないですね」
善子「……」
89
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/22(水) 06:36:59 ID:gLDGPH8g
一旦ここまで
90
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/08/22(水) 12:17:26 ID:/CPSXYBk
期待
91
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 12:58:19 ID:gnGXSP/U
トッ…
レム「さあ、着きましたよ」
果南「いやあ、でもまさか万華鏡の中に入れる日が来るなんて思いもしなかったよ」
果南「中は案外質素だけど」
ダイヤ「仕組み上、それは仕方ないでしょう」
果南「まあそうなんだけどさ」
ダイヤ「…しかし何故、これほどの大きさにする必要があったのですか?」
92
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:00:48 ID:gnGXSP/U
レム「理由はあります、万華鏡の原理…はご存知ですよね」
ダイヤ「ええ、とは言っても精巧なものになるとまた話は違ってきますが…」
ダイヤ「簡単な仕組みなら一応は」
ダイヤ「大雑把に言うと万華鏡の構造はミラー部分、私たちが今いる場所ですわね、その鏡のところと…」
ダイヤ「オブジェクト、つまりは模様を作るための小物を入れる先端部分の二つに分かれています」
ダイヤ「この先端部分というのが万華鏡を覗くときに見えるものですが、ただ映るのではなく」
ダイヤ「先に筒に組み立てておいた鏡がそれを繰り返し反射することで、元の素材とはかけ離れた幻想的な模様が目の前に映し出されるわけです」
ダイヤ「それが大まかな万華鏡の仕組みだと、私は記憶していますが」
93
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:01:33 ID:gnGXSP/U
レム「ええ、それで合っていますよ、その上で先ほどの質問に答えますと」
レム「この万華鏡がここまで大きなものに仕上がっているのは、さっきダイヤさんが説明してくれた」
レム「先端部分…これに合わせる必要があったからです」
ダイヤ「合わせる…?」
果南「…あっ、分かった」
花丸「果南さん?」
果南「小物だよ、多分だけどその先のところに入れるための道具が普通の万華鏡じゃ入りきらない大きさなんだ」
ダイヤ「そんな単純な…」
レム「正解です」
ダイヤ「ええっ!?」
94
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:02:20 ID:gnGXSP/U
果南「ほらやっぱり」
花丸「でも、そのためにわざわざ大きさを合わせたっていうことは、その入れるものじゃないとこの万華鏡が意味をなさないってことでもあるよね」
花丸「それに、普通じゃ入りきらないほどの大きなものって一体何なんだろう……」
善子「へえ…いいところに気がついたわね、それじゃあ私がその疑問に答えようかしら」
善子「貴女が気になった先端に嵌め込むもの…それはね」
善子「ピース・オブ・メモリー、星の結晶と呼ばれているものよ」
95
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:03:09 ID:gnGXSP/U
ダイヤ「ピース・オブ・メモリー……」
果南「星の結晶? なにそれ?」
善子「実際に見た方が早いと思うわ、ねえレム?」
レム「そうですね、では先端のところまで移動しましょうか」ガチャッ
ダイヤ「ちょっ…待ってください! 外側から行くんですか!?」
レム「? はい、内側からあそこまで辿り着くのは難しいので」
花丸「え、ええ……」ヒキッ
レム「大丈夫ですよ、階段はしっかり整備していますから」
96
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:04:57 ID:gnGXSP/U
─
カタン カタン
ダイヤ・花丸「……」ギュウ
果南「…あの二人とも、そんなにくっつかれると」
果南「私も動きづらくて危ないんだけど…」
ダイヤ「…ごめんなさい果南さん、ですが……これは…流石に」
花丸「高すぎるずら……」
果南「まあこれだけ大きいとね、そうだよね」
善子「いや、むしろそこまで慣れてる貴女はなんなのよ…」
97
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:07:07 ID:gnGXSP/U
レム「ダイヤさん、花丸さん、最上部まで来ましたよ」
ダイヤ「…ようやくですか」
花丸「凄く長い間…歩いたように感じるよ……」
果南「お疲れ様、二人とも」ポン
レム「この中です、どうぞご覧になってください」ガタン
キラ
ダイヤ「─! これは………宝石、ですか…?」
花丸「綺麗……」
果南「うわっ凄く真っ赤な色、ルビーとかガーネットとか宝石ならそのあたりかな…ずっと見ていたら吸い込まれそうなくらい…」
98
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:08:30 ID:gnGXSP/U
善子「そうね、色や形はそれに近いかもしれないけど中身は全くの別物よ」
善子「これは“ある惑星”の力が凝縮されたエネルギーの塊だからね」
ダイヤ「エネルギーですか?」
善子「ええ、現にこの星の多くのものはこれを動力源にして動いているの」
果南「え!? これ一つだけで!?」
花丸「そんなに凄いものがあるなんて…未来ずらあ……」
ダイヤ「しかし腑に落ちた点もありますわ、確かに今の話が本当なら」
ダイヤ「私たちのスマホだけ電波を傍受しないというのも頷けます」
ダイヤ「地球とこの星では、元々の資源とそこから変換して得られるものにかなりの違いがあるようですし…」
99
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:09:42 ID:gnGXSP/U
善子「ま、そういうことね、ついでにもう一つ補足しておくと」
善子「ピース・オブ・メモリー…長いからメモリーでいいか」
善子「それがあるのは一個だけじゃないの」
花丸「複数あるってこと?」
善子「ええ、元の万華鏡も小物をいくつか入れたりするでしょ?」
果南「確かに、スペースもまだかなり空いてるしね」
ダイヤ「それでその数は?」
善子「この場所にあるものを含めて7つ」
100
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:12:07 ID:gnGXSP/U
果南「ん? ちょっと待って、ここを含めてっていうことは」
果南「他の6つはそれ以外の場所に置いてあるってこと?」
レム「はい、そのメモリーがそれぞれ置かれている場所のことを」
レム「私たちは“エリア”と呼んでいます」
ダイヤ「エリア……」
レム「ええ、起点となるここ第一エリアから時計回りに第二、第三……とほぼ均一的に」
レム「合計七つのエリアに、この星は区分されているのです」
101
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:12:56 ID:gnGXSP/U
果南「へえ〜、なんかパワースポットみたい」
ダイヤ「例えとしては間違っていないと思いますけど…ああ、すみません続きを」
レム「私も昨日の間に色々考えてみたのですが、不思議なものには不思議なもので対抗するのが最も有効なのではと思い至りました」
善子「それがこの万華鏡とそれを彩る7つのメモリー…星の力が詰め込まれたこの結晶全てを埋めて完成させることが出来れば」
花丸「もしかしたら、元いた場所に帰ることが出来るかもしれないってこと?」
レム「可能性としては、ですがね」
102
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:14:24 ID:gnGXSP/U
ダイヤ「確証はありませんか…」
果南「でもやってみる価値はあるんじゃない?」
果南「今のところ、それ以外に何か方法があるわけでもないだろうし」
ダイヤ「…ええ、そうかもしれませんわね」
レム「ただ、これにはあともう一つだけ条件があるんです」
「「条件?」」
レム「ええ、期限です」
レム「我々は年に一度、月の力が強くなる日にこの万華鏡を完成させ、その景色を月に映し込ませるという」
レム「いわば儀式のようなものを執り行ってきました…いや儀式というよりは、祭りに近いかもしれませんね」
103
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:15:20 ID:gnGXSP/U
レム「そしてそれは今年も同様なのですが」
レム「今年は特にその力が強くなる日が来ると云われています、その月の魔力は過去最大規模だと」
レム「それがXDay〈エックスデイ〉……私たちが待ち焦がれていた日でもあります」
果南「あっ、そうか神秘の力っていうなら月の光も使えば」
レム「はい、月の力と万華鏡…貴女たちがここに来た原因は現状この二つだと考えられます」
レム「ならば必ず、この条件が揃えば何かが起きるはずと…皆さんはどう思いますか?」
花丸「マルは間違ってないと思うな」
果南「うん私も、ダイヤは?」
ダイヤ「…………」
ダイヤ(……何でしょう、どこか、引っかかりますわ…)
104
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:16:02 ID:gnGXSP/U
ダイヤ(何というか、話がうまく出来過ぎているような……そんな)
ダイヤ「…」
花丸「ダイヤさん?」
ダイヤ「…いえ、私もその意見に賛成ですわ」
ダイヤ「…レムさん、そのXDayがやってくるのはいつになりますか?」
レム「ざっと見積もって、48日後ですね」
果南「今から大体一ヶ月半か…」ウーン
105
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:16:55 ID:gnGXSP/U
花丸「つまり、それまでに全部集めて完成させればいいわけだね」
レム「ええ、私とイチゴさんは準備で忙しくなるため、貴女たちにその役目を任せてしまうことになるのですが」
善子「引き受けてもらえるかしら?」
果南「いいんじゃない? 自分たちのことだもん、自力でどうにかしなくちゃ」
花丸「そうだね、確かに」
ダイヤ「その役目、任されましたわ」
レム「ありがとうございます」
ダイヤ「ええ、ですから─」
ダイヤ「そろそろ……下に降ろしていただけませんか……」
レム・善子「…………あっ」
106
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:18:28 ID:gnGXSP/U
─
果南「よっと…ほら、ダイヤ」スッ
ダイヤ「すみません…」ギュ
花丸「ふう……やっと下に着いたね」
レム「申し訳ありません…つい、疎かになっていました」
ダイヤ「いや、そんな頭を下げるほどのことでは…」アセッ
善子「全く、逆に気遣わせてどうするんだか…」タメイキ
善子「さてと、とりあえず私たちの話はこれで終わりだけど」
善子「貴女たちはこれからどうするの?」
107
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:19:15 ID:gnGXSP/U
果南「もう少し外を見て回ろうと思うよ、まだ気になるところもあるし」
レム「そうですか、お気をつけて」
ダイヤ「はい、それではまた」
レム「ええ、今日のところはこれで…」スタスタ
花丸「善子ちゃんも、また明日ね」
善子「……」
善子「あー、あんたはちょっと待ちなさい」ガシッ
花丸「え?」
108
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:20:39 ID:gnGXSP/U
善子「ねえ、悪いけど少しの間借りるわよこの子、大事な話があるから」スタスタ
花丸「ずらああああああ!?」
ダイヤ「なっ…待ってください善子さん! 大事な話とは…っ」
果南「……行っちゃった」
ダイヤ「どうしたのでしょうか急に」
果南「分かんないけど…うーんしょうがない、じゃあ二人で行動しようか」
ダイヤ「…気がかりではありますが、仕方ありませんわね」
ダイヤ「それで果南さん、気になるところとは?」
果南「ん、ラブライブ」
ダイヤ「成る程──会場、ですか」
ダイヤ「確かに私も気になっていましたわ、ではまずはそこから…ですわね」
109
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/23(木) 13:21:12 ID:gnGXSP/U
ここまでです。
110
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/08/23(木) 20:42:35 ID:Z0jgLpR6
おつおつ
111
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/08/24(金) 03:36:04 ID:nknAGsMY
修正しながらで大変だったと思うけど、追い付いてきた感じだね、乙
楽しく読ませてもらってます
112
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/27(月) 18:47:36 ID:8DGvhPIQ
果南「よし、そうと決まったら早速…」ノビー
ダイヤ「…徒歩で行くつもりですか」
果南「十分いける距離でしょ」
ダイヤ「恐らく交通機関があるはずです、それを使っていきませんか」
果南「お金持ってないのに?」
ダイヤ「…………あ…いや、それは」
果南「行こうか、ダイヤ」ニコ
ダイヤ「……それしかないようですわね」ハァ
113
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/27(月) 18:48:18 ID:8DGvhPIQ
それから…
ダイヤ「着きましたわね…」
果南「お疲れダイヤ、お水持ってきたよ」
ダイヤ「…ありがとうございます」
果南「しっかし近くで見ると本当に大きいねー」
果南「大きさでいったら、東京のラブライブ会場と同じくらい…かな?」
ダイヤ「外観もよく似ていますわね、偶然でしょうか?」プハッ
果南「さあね、とりあえず中に入ってみようよ」
114
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/27(月) 18:49:30 ID:8DGvhPIQ
コツッ
コツッ
果南「誰もいないね」
ダイヤ「何も予定が入っていない、完成したばかりの会場ならこんなものでしょう」
果南「そういうものかな」
ダイヤ「ええ、配置されている備品も少ないですし、準備と言っていたからこれから取り付けるのでしょうが」
果南「いつやるんだろうね、ライブ」
ダイヤ「さあ…ですがもしかすると、私たちがいる間に行われるかもしれませんわね」
115
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/27(月) 18:50:15 ID:8DGvhPIQ
果南「だったらちょっと見てみたいよね、どんな感じなんだろう?」
ダイヤ「また暢気なことを言って、まあ気にならないといえば嘘になりますけど」
果南「あはは、やっぱり」
ダイヤ「と、当然でしょう! 私たちはスクールアイドルですわよ!」
ダイヤ「さあ、ここはもういいでしょう次行きますわよ!」クルッ
果南「はいはい」
116
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/27(月) 18:51:35 ID:8DGvhPIQ
果南「─えっと、これで一通りは見て回ったけど…特に変なところは無かったね」
果南「普通の会場って感じ」
ダイヤ「いえ、一つだけ気になるところが」
果南「なに?」
ダイヤ「これを見てください、地図上だと出入り口が私たちが入った南ゲートの他に西ゲートと東ゲートがありますわよね?」
果南「うん、それが?」
ダイヤ「北側にも出口はあるのですが、それだけ明記されていないのです」
果南「ふーん、じゃあ行ってみる?」
ダイヤ「相変わらず迷いがありませんわね、貴女は…」
117
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/27(月) 18:53:21 ID:8DGvhPIQ
─
果南「んーと? 正面が南ゲートだから、北となると会場の裏側ってことになるけど…どうなってるんだろう」スタスタ
果南「…よし、出れた……って、あれ?」
ダイヤ「! ……随分、殺風景な場所ですが」
果南「反対側は建物が全然建っていないんだね、あたり一面が草原になってる」キモチイイナア
ダイヤ「…しかしこんなことが、あり得るのでしょうか」
果南「都会と田舎の境界線みたいなものだと思えば少しは」
ダイヤ「……そうですわね…こうして目にしてしまっている以上、自分の常識内だけで語るのもよくはありませんか」
果南「……ん? ねえダイヤ、向こうに何かあるよ」ダッ
ダイヤ「ちょ…待って果南さん、いきなり走らないでくださいもう!」タッ
118
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/27(月) 18:54:14 ID:8DGvhPIQ
果南「……」
ダイヤ「はぁっ…やっと追いつきましたわ……全く貴女という人は本当に…」
果南「…ダイヤ」
ダイヤ「はい?」
果南「見てよこれ」
ダイヤ「……汽車ですわね」
果南「ねえ、どうしてこんなところにあるんだろう?」
ダイヤ「と、言われましても分かりかねますわね…近くに駅もありませんし」
果南「…そっか、そうだよね」
果南「……」
ダイヤ「果南さん?」
果南「…ああいや、なんかちょっと不思議な感じがしてさ、うん」
119
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/27(月) 18:54:51 ID:8DGvhPIQ
果南「何かに呼ばれているような、そんな感覚…」
果南「まあ多分、気のせいだよ」
ダイヤ「そうですか?」
果南「うん、きっと」
果南「それよりさ、そろそろ帰らない?」
ダイヤ「…そうですわね、随分と遠くまで歩いてしまいましたし、流石に戻らないと遅くなりそうですわ」スタスタ
果南「花丸ちゃんは解放されてるかなあ」
ダイヤ「どうでしょうね」フフッ
120
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/27(月) 18:55:18 ID:8DGvhPIQ
果南「……」チラッ
果南「……まさか、ね…そんなわけないか」
ダイヤ「果南さん、遅れていますわよ」
果南「ごめんごめん、すぐ行く!」タッ
……
…
121
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/08/27(月) 20:17:45 ID:XUd0KAJA
来た!
122
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/30(木) 13:23:10 ID:hXXn1/Xc
─2時間程前…
善子「はい到着」パッ
花丸「ひ、引っ張りすぎずら……それで善子ちゃん、大事な話って?」
善子「あんたに渡すものがあるわ」ガコン
花丸「マルに?」
善子「ここ私の部屋なの、仕事場としても使ってるけどね」
善子「それで確かこの辺りにしまって……あった」
花丸「…本?」
善子「そうよ、名前は星の道標<ほしのみちしるべ>…なかなか洒落てるでしょ」
123
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/30(木) 13:25:49 ID:hXXn1/Xc
花丸「ふーん…表紙は上製本で、紙自体も結構新しいものだね…ただ」パラパラ…パタン
花丸「表紙に埋め込まれている、この丸いものが何なのか気になるずら」
善子「ああそれはね、この本で最も重要な部分よ」
花丸「?」
善子「この石はメモリーを取り込む力を持っているの」
花丸「えっ、あんなに大きなものをこの本が吸い込むの!? そんなこと…」
善子「出来るわよ、この石もメモリーも素材は一緒なの…つまりは共鳴みたいなものね」
善子「互いに反応し合ってそれが混ざり合い、一時的に一つの場所に納まるの」
善子「花丸、あなた残り6つのメモリーを集めるって聞いたとき、あんなに大きなものをどうやってって思わなかった?」
花丸「……そういえば」
善子「この本はね、その問題を解消するために作られたものなの」
124
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/30(木) 13:26:44 ID:hXXn1/Xc
花丸「成る程…ねえ、だから名前が星の道標なの?」
花丸「星の結晶であるメモリーを一つの場所に集める役割があるから」
善子「正解、とはいっても名前の意味はそれだけじゃないんだけどね」
花丸「え?」
善子「ダブルミーニングとか好きなのよ、私」フフッ
花丸「あんまりよく分からないけど…他にも何か秘密があるってことだよね」
善子「そのうち分かるようになるわ、ともかく、今まではレムが使ってたけど」
善子「今回はあなたたちがその役目を担うわけだから渡しに来たってわけ」
125
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/30(木) 13:27:47 ID:hXXn1/Xc
花丸「でも、どうしてマルなの?」
善子「あんたが一番適任だと思ったから、それだけよ」
善子「果南は大らかで、誰かにとっては受け入れがたいものも、広く受け入れる器を持っている」
善子「ダイヤには与えられた情報を整理し、考え、自らが出した答えで人を導く…判断力と知恵がある」
善子「そして花丸、あなたには物事の本質を見抜く力が宿っている」
花丸「!」
善子「…と私は思っているわ、あくまで個人の見解だけどね」
善子「奇怪や不可思議の真理を見抜く上で必要なものは、常識でも理屈でもない──感受性よ」
善子「心の目で見るの、あなたが感じたその想いを歪めることなく真っ直ぐにね」
善子「そうすれば、きっと答えは出てくるはずだから」
花丸「真理……」
126
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/30(木) 13:28:29 ID:hXXn1/Xc
善子「そういうわけだから頼むわね、はい」ポン
花丸「…うん、わかった」
花丸「マルに任せるずら」
善子「ええ、お願いね…あっそうだ、ついでと言ったらなんだけど、折角の縁だしもう一ついいかしら?」
花丸「? なに?」
善子「そこまで大したことじゃないんだけどさ、日記を付けてもらいたいのよ」
花丸「日記?」
善子「そう、だって白紙だらけなんだものこの本」
善子(それに──)
善子(“記憶”を司るものなら、思い出を記した方がよりらしくなるでしょうし…ね)
127
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/30(木) 13:29:11 ID:hXXn1/Xc
それから……
果南「ただいまー」
ダイヤ「今戻りましたわ」
花丸「あっ二人ともおかえり、どうだった?」
果南「うん、楽しかったよ色々と」
ダイヤ「収穫もありました、あとで話しますわね…花丸さんは?」
花丸「マルもあったかな、大事な情報だと思うよ」
ダイヤ「そうですか、それは気になりますわね」
128
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/30(木) 13:29:54 ID:hXXn1/Xc
果南「ねえ、お腹すいたからご飯食べようよ」
ダイヤ「いや、ここは一度部屋へ戻って…」グゥ〜
ダイヤ「?」フリムキ
花丸「えへへ…実はマルももう限界ずら」
ダイヤ「……食堂へ行きましょうか」
129
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/30(木) 13:30:56 ID:hXXn1/Xc
─
「「「ごちそうさまでした」」」パン
果南「あー美味しかった」
ダイヤ「ふむ、星の道標ですか…」
花丸「うん、これにメモリーを入れて運ぶんだって善子ちゃんが」
ダイヤ「石が同じ素材で出来ているというのが気になりますわね」
果南「確かに言われてみれば、透き通っていて綺麗だもんねその石も」ズイッ
果南「あのとき見たメモリーと似てるといえば似てるかも…ただ」
ダイヤ「ただ?」
果南「この石の形状、なんか見覚えあるんだよね……なんだったかな?」ウーン
130
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/30(木) 13:31:27 ID:hXXn1/Xc
ダイヤ「それは地球にあったという意味で?」
果南「うん」
ダイヤ「そうですか…しかし、丸い形をしたものなどいくらでもありますから判断がつきまんわね…花丸さんは?」
花丸「マルもあまりピンとこないずら…」
果南「そっか、じゃあ今は後回しにしておく? そのうち思い出すだろうし」
ダイヤ「ええ、今のところはそうしたほうがいいかもしれませんわね」
131
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/30(木) 13:32:40 ID:hXXn1/Xc
花丸「そっちも、草原の真ん中に汽車があったなんて驚きだね…線路とかは無かったの?」
ダイヤ「はい、駅もなにも」
花丸「よく分からないね…会場の裏に繋がっているっていうことに何かありそうだけど」
ダイヤ「裏口というのがミソでしょうか? 私たちでも行けた以上、そこまで隠すことでもないのでしょうが」
ダイヤ「あの場所、もしくは汽車にはまだまだ私たちの知らない秘密がありそうですわね」
果南「勘ぐりすぎじゃない?」
ダイヤ「しかし、あまりにも意味深じゃありませんか」
果南「……まあね」
132
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/30(木) 13:34:20 ID:hXXn1/Xc
ダイヤ「とはいえ、そこに囚われすぎるのもよくないというのは一理ありますわね」
花丸「マルたちの目的は元の世界に帰ることだしね、そのための情報収集なんだけど」
ダイヤ「それで手段と目的が入れ替わってしまっては元も子もありませんか…」
ダイヤ「分かりました、では話は一旦ここで止めましょう」
果南「…ふぁ……食事のあとにこんな話をするもんだから眠くてかなわないよ…」
花丸「お疲れ様、果南さん」クスッ
果南「うん…ねえダイヤ、スッキリしたいから走ってきてもいい?」
ダイヤ「駄目です、一人で行動するのは控えてください、まして今は夜ですわよ」
果南「え〜…分かったよ、じゃあ先に寝る……おやすみ〜」トタトタ…
133
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/30(木) 13:35:37 ID:hXXn1/Xc
ダイヤ「私たちもそろそろ寝ましょうか」
花丸「そうだね、今日も色んな事があったし…マルも疲れちゃった」
ダイヤ「私もです……慌ただしくて中々ゆっくり出来ませんわ」フワ…
花丸「…しばらくはこの状況が、続きそうだね」
ダイヤ「少し考える癖を抑えられれば、楽になれるのですけどね」
花丸「そこは果南さんを見習った方がいいのかも」
ダイヤ「…かもしれませんわね」フフッ
花丸「マルもそろそろ寝るね、おやすみダイヤさん」スタスタ
ダイヤ「はい、おやすみなさい」
ダイヤ「……まあ、慣れていくしかないのでしょうね」
134
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/30(木) 13:36:16 ID:hXXn1/Xc
果南「……」スヤスヤ
ダイヤ「……」スゥースゥー
花丸「…………」ゴソッ
花丸「日記…かあ、何を書けばいいんだろう?」
花丸「明日ちょっと、やってみようかな…」
135
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/30(木) 13:37:49 ID:hXXn1/Xc
マルたちがこの星に来てから2日目…ううん、丸一日眠っていたっていう日を入れたら3日かな
この日に今書いている本を受け取って、マルの日記をつける日々が始まったの
まだぎこちない部分が多かったんだけど、こういうの…とても新鮮だったから
本を手に取ったとき、ちょっとだけワクワクしたのを覚えてる
これから一体何が起こって、マルはどんな出来事をこのページに記していくんだろうって
先の不安がある一方で、どこか待ち遠しくなるような、そんな高揚感が
マルの心の中に、生まれていたんです
─ Xdayまで…残り48日 ─
136
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/08/30(木) 13:38:07 ID:hXXn1/Xc
今回はここまでです。
137
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/08/30(木) 20:30:54 ID:ZPcvJWNM
おつおつです
138
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/01(土) 12:22:11 ID:povdVDFs
【 第3話 】 旅立ちの日
─翌日、食堂
ダイヤ「─全く、どうしてこうも人の話を聞かないのでしょうね」
ダイヤ「早朝からランニング? 信じられませんわ、昨日釘を刺したばかりだというのに……」ブツブツ
果南「だからごめんってば」
花丸「それでどこに行ってたの?」パクッ
果南「えっとね昨日とは逆の方向、何かないかなーって」
ダイヤ「逆ぅ!!?」
果南「つ、次からはあまり離れないようにするから……ああ、そういえば」
ダイヤ「…なんですか」
139
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/01(土) 12:23:13 ID:povdVDFs
果南「いや、その走ってる最中に大きなカプセルみたいなものを見つけて」
花丸「カプセル?」
果南「うん、ドアみたいなものが付いてたから多分中に入れるんじゃないかな」
果南「大きさは数十人なら余裕で入れそうなくらい」
ダイヤ「…ではそれは後で調べてみましょう」
花丸「今すぐ行かないの?」
ダイヤ「昨日、花丸さんの本のことを聞いて気がついたことがありまして」
花丸「気づいたこと?」
ダイヤ「ええ、一度図書館のほうへ行ってみませんか?」
140
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/01(土) 12:23:48 ID:povdVDFs
果南「図書館に?」
花丸「……あっそうか、図書館へ行けばこの星について詳しく書かれている本だってきっと置いてあるはずずら!」
ダイヤ「はい、ですが余り詳しく書かれすぎているものだと読み終えるのにもかなりの時間を使ってしまうので」
ダイヤ「軽く読み終えられるものを探そうかと、そうですわね…例えば各世界の歩き方とかその辺りでしょうか」
果南「なんでそんなガイドブックみたいなのが読みたいの?」
ダイヤ「私たちの目的はこれから各エリアを渡って、それぞれのメモリーを集めることですわ」
ダイヤ「つまり別の場所を転々と移動するわけです」ズズッ
141
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/01(土) 12:24:42 ID:povdVDFs
ダイヤ「それならまずは触りだけでも、他のエリアについて知っておいた方がいいでしょう?」フゥーッ
果南「なるほどー確かに」
花丸「それにそういうガイドブックとかって、短いページで各地域のことを紹介するから誰でも知ってる名所や名物とかが必ず入ってるもんね」
花丸「大体写真やイラスト付きで、説明も分かりやすく手短に」
花丸「簡潔にまとまっているから、マルたちでもすぐ理解出来るはずずら」
ダイヤ「そういうことです、そこに住んでいる人達からすれば当たり前のことすぎてつまらない代物でも」
ダイヤ「今の私たちにとってはこれ以上ないくらいのナビゲーションになるはずですわ」
果南「初めてを逆手に取って、そこである程度の知識をつけておくわけね」
果南「…というか本当二人とも、よくそんなに考えつくよね……全然気づかなかった」
142
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/01(土) 12:25:21 ID:povdVDFs
果南「よし、そうと決まれば早速行こうよ、ごちそうさま!」ガタン
ダイヤ「ええ、出発は十分後あたりが丁度よさそうですわね」
果南「じゃあそれまでちょっと走って…」
ダイヤ「部屋でストレッチでもしていなさい!」
果南「……へ〜い」スタスタ
ダイヤ「……全く油断も隙もありませんわね」
花丸「あはは…そういえばダイヤさん、本で気になったことならマルも一つ」
ダイヤ「何ですか?」
143
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/01(土) 12:26:21 ID:povdVDFs
花丸「文字のこと、食堂のメニューもそうだけどどうして日本語で書かれているんだろうって」
花丸「マルたちだけにはそう見えて、他の人には別の文字に見えるって可能性もあるにはあるけど…それは何か違うと思うし」
花丸「ダイヤさんは多分そのことを分かっていたから、図書館に行くなんて言ったんだろうけど」
ダイヤ「ええ、会場の地図を見たあたりで薄々勘づいてはいました」
ダイヤ「ただ絶対とは言えなかったので、本当に“そうなっているのか”確かめるための提案でもあったのですが」
ダイヤ「しかし、もしその予想が当たっているのなら…また一つ共通点が増えることになりますわ」
ダイヤ「私たちと、この星の…」
花丸「進んでいけばいつかは分かるのかな、その答えも」
ダイヤ「どうでしょう…いずれにせよ、今は頭の片隅に置いておくことしか出来ませんわ」
ダイヤ「そのいつかやって来るであろう答え合わせのために…」
144
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/01(土) 12:27:09 ID:povdVDFs
========
─図書館
果南「……うーん」
果南「ねえ花丸ちゃん」チョイチョイ
花丸「どうしたの?」
果南「ちょっと見て欲しいところがあるんだけど」
花丸「ダイヤさんは?」
果南「ああ、ダイヤは……」チラッ
ダイヤ「…………」ペラッ…ペラッ
145
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/01(土) 12:27:42 ID:povdVDFs
果南「駄目だよ、あの状態になったら」
花丸「あー、うん…あれは話しかけられないね…」
花丸「まあ読書のことならマルも人のことは言えないんだけど」
果南「え? でも今は私の話ちゃんと聞いてくれてるじゃん」
花丸「マルが特に集中するのは純文学とかその辺りなの、今見てるような観光本なら問題ないずら」
果南「ジャンル違いだからってことね」
花丸「うん、そんな感じかな…それで見て欲しいところってどこ?」
果南「そうだった、この部分なんだけどさ」スッ
146
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/01(土) 12:28:27 ID:povdVDFs
花丸「ん? これってさっき果南さんが言ってたカプセルのやつだよね?」
果南「そう、エリア転移装置って名前みたい」
花丸「えーと何々、この装置を使えば隣り合ったエリアなら一瞬で移動することが出来る…」
花丸「その分金額は高くつくが、現在最も速い移動手段であるため利用する者は後を絶たない」
花丸「稼働時間は午前7時から午後9時までの14時間…残りの10時間はエネルギーの充填に使われる……かあ」
花丸「これの何が気になるの?」
果南「その先のとこだよ、隣り合ったエリアなら移動できるって書いてはいるんだけど」
果南「対応されているエリアが5つだけなんだ」
果南「どうしてか分からないけど、第3エリアと第7エリアはこの方法じゃいけないみたいなんだよね」
147
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/01(土) 12:29:19 ID:povdVDFs
花丸「本当だ…何か理由があるのかなあ?」
果南「私も気になったし、花丸ちゃんもそう言うと思ったから持ってきたんだ」
果南「第3エリアと第7エリアについて書かれているやつ、簡単そうなの!」ジャン
花丸「おぉー! 果南さん凄いずら!」
果南「あははっ、まあこれくらいはね」
148
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/01(土) 12:30:19 ID:povdVDFs
ダイヤ「ちょっと二人とも、図書館なんですからもう少し静かにしてください」スタスタ
花丸「あ…ごめんなさい、つい」
果南「いやあ、ちょっと盛り上がっちゃってさ…そっちは一段落ついたの?」
ダイヤ「ええまあ、休憩がてらの様子見といったところですわ」
果南「生真面目だねえ」
ダイヤ「それで何かあったみたいですが」
果南「そうそう、ダイヤも見てよ」
ダイヤ「…? 第3エリアと第7エリアの本、ですか」
149
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/01(土) 12:31:42 ID:povdVDFs
ダイヤ「確かその二つはエリア転移装置の対象外でしたわね」
果南「やっぱり知ってたんだ、で、何でか気になったから調べようと思って」ペラッ
果南「えーっと……あーっ!! ちょっと見てよ二人とも!!」
ダイヤ「果南さん! 静かにしてくださいと言ったでしょう!」
果南「海! 海中にあるって書いてあるよこれ! ほら!」バッ
ダイヤ「…第3エリアは海底都市、海の都?」
花丸「通りで果南さんの機嫌が一気によくなったわけずら」
150
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/09/02(日) 04:25:26 ID:R1v4L2j6
更新来てた
151
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/09/07(金) 03:05:13 ID:VHk3.mEU
>>1
です。
しばらく更新出来ない状況になりました
とりあえずこちらの状態が落ち着き次第、更新を再開しようと思っていますのでよろしくお願い致します
152
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/09/07(金) 03:44:16 ID:AuNetDaI
ゆっくりでええんやで
153
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/09/09(日) 08:31:46 ID:RuhT5Eqc
こっちも再開されるかな?
154
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 12:59:58 ID:6AhYPfnU
果南「気になるなあ、一体どんな感じなんだろう」
ダイヤ「皆目見当もつきませんわね、花丸さんそちらは?」
花丸「うん、第7エリアは空にあるらしいね…天空の街って書いてあるずら」トントン
ダイヤ「空と海…確かに普通の方法ではたどり着けない場所ですわね」
ダイヤ「ですが、資料に載っているということはつまり、基本とされている交通手段以外で」
ダイヤ「そこに向かえる方法があるということになります」
果南「まあ都市伝説ってわけでもないし、実際にそこに誰かが住んでいることだしね」
花丸「じゃあ、場所に問題があるってだけで環境自体はそこまででもなさそうだね」
155
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:00:42 ID:6AhYPfnU
ダイヤ「ですわね、とりあえずそれは追々確かめることにしましょう」
果南「まずは次に行くエリアが優先だもんね」
ダイヤ「ええ、その通りですわ」
ダイヤ「さてと…では一通り情報を探ったことですし、ここで一回まとめますわよ」
ダイヤ「まず私たちの状況について、私たちは現在ピース・オブ・メモリー、略称メモリーを集める役割を任されています」
ダイヤ「総数は合わせて7つ、集める期限は47日後まで…今は何も手元にない状態ですが」
ダイヤ「一つはすでに万華鏡に埋め込まれているので、実質集める数は6つです」
花丸「集める方法はマルが持っているこの本で、メモリーを中に入れればいいんだよね」
果南「うん、頼んだよ花丸ちゃん」
156
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:02:25 ID:6AhYPfnU
ダイヤ「次にエリアについて、エリアというのは私たちのところでいう大きな国みたいなものですわね」
ダイヤ「この星は計7つのエリアに分けられていて、大きさ、広さはどれもほぼ同じのようです」
ダイヤ「そして各場所に一つずつメモリーが置かれています、エネルギーの供給元なのですから当然ですわね」
果南「あれ? じゃあさ、それを取ったら不味いんじゃないの?」
ダイヤ「いえ、そこについては問題ないと思いますわ、星自体のエネルギーもあるみたいですし」
果南「??? どういうこと?」
ダイヤ「メモリーが無くなればその間は惑星そのものから力を借りるということです」
ダイヤ「身近にあるもので例えるならスマートフォンですね、惑星の力が本電力、メモリーは予備バッテリーと考えてもらえれば」
果南「あー成程、そう言われるとしっくりくるかも」
157
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:03:23 ID:6AhYPfnU
ダイヤ「最後に移動手段、今までは徒歩で渡ってきましたが」
ダイヤ「エリア間の移動ともなるとそうもいきません」
果南「国を渡るわけだしね、でも私たち一文無しだし…」
果南「食事だって、今日までサービスで有り付けてたわけだから」
花丸「うん、そこが一番の問題ずら……」
ダイヤ「そこは心苦しいですが、レムさんや善子さんに頼んでどうにかしてもらいましょう」
ダイヤ「流石にこればかりはこの星の住人である彼女たちに頼ったほうがいいですわ」
果南「だね」
158
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:04:06 ID:6AhYPfnU
ダイヤ「─とまあ大体このような感じですわ、何か質問とかは?」
果南「特になし」
花丸「うん、マルも」
ダイヤ「そうですか、ではそろそろ次の場所へ向かいましょうか」ガタッ
果南「エリア転移装置のところだよね? オッケー、案内するから付いてきて」
159
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:04:37 ID:6AhYPfnU
─
ワイワイ ガヤガヤ
果南「えっと、確かこの辺りだったはずだけど…」キョロキョロ
花丸「あっ、あそこじゃないかな」
果南「んー、かもね…人が増えてきたからちょっと見えづらいけど」
ダイヤ「近くまで行ってみましょう」
160
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:05:28 ID:6AhYPfnU
果南「お、やっぱりあった!」
シュンッ シュンッ
ダイヤ「! 本当に消えて、移動しているのですね」
花丸「未来ずらあ……」ホエー
「どう? 親しみを感じるでしょ」
果南「あれ、善子ちゃん」
善子「こんにちは、ここに来てたのね貴女たち」
ダイヤ「それよりも親しみとは?」
161
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:06:21 ID:6AhYPfnU
善子「ああ、だって一回体験したことあるでしょ」
果南「え?」
花丸「…もしかして、最初に会った日にいきなり景色が変わった…あのときのことを言ってるの?」
善子「そうそう、それね」
ダイヤ「あれですか…確かに、感覚としては一緒なのでしょうか」
善子「似たような感じだと思うわよ、で? ここに何か用でもあるの?」
果南「そうだ、二人とも折角だから聞いてもらおうよ」
ダイヤ「あのことについてですわね、賛成ですわ」
善子「あのこと?」
果南「うん、実はさ───」
162
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:07:13 ID:6AhYPfnU
善子「─なるほどね、移動手段としてエリア転移装置のことを知ったのはいいけど」
善子「そのための資金がなくて困ってると…ふーん」
花丸「それもあるんだけど、他にも食事代とかどうしようって」
果南「働いて稼ごうにも、私たちには集めるっていう役目の上に期限もついてるから時間が足りるのかとか考えちゃってさ」
ダイヤ「そこで何とか善子さんたちにお力添え願えればと」
善子「まあ、確かにそうなるのが自然よね」
善子「でも丁度良かったわ、私もその件でレムに頼まれてあなた達を探していたところだったから」
163
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:08:22 ID:6AhYPfnU
ダイヤ「まさか、お金のことについてですか?」
善子「ええ、本当は今日の朝渡しておくつもりだったらしいわよ」
善子「はい、このカードで引き落とせるから…言っておくけど無駄遣い厳禁ね」
ダイヤ「それは承知していますが……!? こ、こんなに!? よ、善子さんこれ大丈夫なんですか!?」
果南「うわっ、なんか数字の桁が凄いことになってる」
善子「だから無駄遣いは駄目だって言ってるのよ、支援金といっても限度があるからね、つまり紛失して全額沈めるのももちろんアウト」
善子「まあ貴女達にとってもこのカードは生命線だから、そこは余り心配していないけど」
164
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:10:15 ID:6AhYPfnU
善子「でもそれさえ守ってくれれば自由に使ってくれて構わないわ」
花丸「そう言われても、中にこれだけたくさん入ってるって知ったら」
果南「ちょっと躊躇っちゃうよね、いきなり宝くじの一等が当たったような気分だよ」
ダイヤ「…何というか、よく反応しづらい例えをしますわよね、果南さんは」
果南「え? そうかな」
善子「はいはい世間話なら後でやって、私も暇じゃないんだから」
ダイヤ「あ、すみませんつい」
善子「とにかく、それで移動だの生活だのはどうにかなるから後はよろしくね」
善子「あっと…そうそうカードの使い方だけど、店の支払い場所に置けば勝手に清算されるから」
善子「あとは機械を使えば貨幣を引き下ろすことも出来るから、状況によって使い分けてね、それじゃ良い旅を」タッ
165
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:12:02 ID:6AhYPfnU
花丸「行っちゃった…それにしても善子ちゃん、見送りの挨拶にしては随分とあっさりずら、ついでというか」
果南「まあまあいいじゃん、おかげでお金の悩みも何とかなったんだし」
ダイヤ「ええ、本当に助かりましたわ…それで先ほどの説明を聞く限りだと」
ダイヤ「このカードは銀行のキャッシュカードとクレジットカード…その両方の機能を合わせたような感じですわね」
果南「ねえ、早速使って別エリアに行ってみようよ」
ダイヤ「そうですわね、折角ですし……ここにタッチすればいいのかしら?」スッ
ピッ ブォン…
花丸「光った、大丈夫ってことなのかな?」
ダイヤ「支払金額と残高が表示されていますわね、おそらく今ので完了したのでしょう」
166
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:12:50 ID:6AhYPfnU
果南「えっと、じゃあ後はこの中に入れば……」
シュンッ
花丸「わっ! 果南さんが消えたずら!」
ダイヤ「……デジャヴを感じますわね」
花丸「え?」
ダイヤ「いえ何でもありませんわ、花丸さん私たちも行きましょうか」
花丸「うん、そうだね」
シュンッ シュンッ
…………
……
167
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:13:36 ID:6AhYPfnU
善子「─よし、こんなものかしらね」トントン
レム「お疲れ様です、イチゴさん」
善子「レムか、頼まれごとやっといたわよ」
善子「今頃彼女たち、別エリアに行ってるんじゃないかしら」
レム「そうですか、ありがとうございました」
善子「別にいいわよこれくらい……それよりも」
善子「ちょっと気になってることがあるんだけど、いい?」
168
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:14:18 ID:6AhYPfnU
レム「なんでしょうか」
善子「今から大体三年前…いや向こうからすれば三ヶ月くらいかしら」
善子「その時期に私たちが生まれて、名前と人格そして役割を貴女から与えられた」
善子「ここまではいいわ、問題は」
善子「どうして私たちの姿を彼女たちの知り合いにしたのかってところよ」
善子「仮に馴染みを持たせるためにそうしたとしても、出来過ぎた話だわ」
レム「そうでもありませんよ、前々から決めていたことですから」
169
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:15:31 ID:6AhYPfnU
善子「前から?」
レム「はい、もし自分が関わりを持つのならそれは彼女たちだろうと」
善子「どうしてよ」
レム「名前です」
善子「名前……って、なんの?」
レム「日の光を浴びて、水を注がれ、花が咲く……素敵じゃありませんか」
善子「はあ?」
170
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:16:37 ID:6AhYPfnU
レム「だからこそ私は彼女たちを選んだんです」
レム「そう、あの人達ならきっと私が探し求めているものを」
レム「教えてくれるかもしれないと、そう思ったから」
善子「……へえ」
善子(何言ってるのかさっぱりだわ…でも)
善子「珍しいわね、貴女が誰かから何かを教えてもらうだなんて」
レム「ええ…そうかもしれませんね」クルッ
171
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/17(月) 13:16:58 ID:6AhYPfnU
今回はここまでです。
172
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/09/17(月) 22:11:21 ID:BUgfKrgM
再開待ってました!
173
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/26(水) 13:40:35 ID:8pRTTUkw
─
花丸「わっ……とっとっ、着いたのかな」
ダイヤ「みたいですわね、ほら」
果南「あーやっと来た! 待ちくたびれたよ」ニコッ
ダイヤ「そこまで遅くはなかったでしょう」
果南「ハハッまあね、言ってみただけだよ」
果南「それより外見てみなよ、凄いから」ガチャン
174
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/26(水) 13:41:07 ID:8pRTTUkw
花丸「外? ……わあ! た、高いずらー!!」
ダイヤ「これは、建物内ということですか? 結構な高さがありますけれど」
果南「んー分かんない、私もちょっと出てみただけだし」
「あら、お客様はここに来るのは初めてですか?」
ダイヤ「? あの、貴方は…」
従業員「失礼いたしました、私はここで働いているものです」
従業員「見たところ何かお困りのようでしたので、声を掛けさせてもらいました」
ダイヤ「ああそういうことでしたか、お気遣いいただきありがとうございます」ペコリ
175
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/26(水) 13:41:45 ID:8pRTTUkw
果南「じゃあ早速なんですけど、ここがどこか教えてもらえませんか?」
従業員「はい、ここは第2エリアの転移ポイントの一つで、その最上階です」
果南「転移ポイント?」
ダイヤ「転移装置は各エリアに何ヶ所か設置されていて、その場所を転移ポイントというらしいですわよ」
従業員「その通りです、よくご存じで」
ダイヤ「ある程度の予習はしましたので」
従業員「ここは観光地としても有名なんですよ、転移装置がここに置かれているのはそういったサービスも含まれているからなんです」
花丸「なるほど……確かに景色が綺麗ずら〜」
果南「うんうん、自然のよさが溢れていて…まさに絶景だね」
176
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/26(水) 13:42:32 ID:8pRTTUkw
ダイヤ「もう一つお聞きしたいのですが、実は私たちある旅館を探していて…」
従業員「旅館ですか? もしかして雁来月<かりくづき>のことでしょうか?」
ダイヤ「はい、名所と謳われていたので一度寄っていきたいと思いまして」
従業員「それでしたら、ここから北西に向かって進むといいですよ」
従業員「その先にある港町の中に建っていますから、建物の中でもひと際大きいのですぐに見つけられるはずです」
ダイヤ「何から何までありがとうございました、それでは私たちはこれで……」
従業員「はい、またのご利用をお待ちしております」フフッ
177
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/26(水) 13:43:14 ID:8pRTTUkw
ダイヤ「ほら二人とも、そろそろ降りますわよ」
果南「うーん、もうちょっと見ていたかったんだけどなあ…」
花丸「そうだダイヤさん、他の人に聞いてみたんだけど下で移動用の馬車を借りられるらしいよ」
ダイヤ「本当ですか? なら次の町へはそれを使っていきましょうか」
ダイヤ「花丸さんは頼りになりますわね」
花丸「それほどでもないよ…」エヘヘ
果南「え、ちょっと待って私は?」
ダイヤ「さあ、降りましょうか」
花丸「うん」
果南「ねえダイヤ、私は?」
178
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/26(水) 13:43:47 ID:8pRTTUkw
─
ガタン ガタン
果南「いやあ、悠々自適とはまさにこのことだね〜」
ダイヤ「確かに、ゆっくり出来る時間がとれたのは良いことですわね」
果南「目的地にはどれくらいで着くんだっけ?」
ダイヤ「二日はかかると言っていましたわよ」
果南「二日かあ……ってちょっと待って! よく考えたら私たち着替えとか何もないよ!」
花丸「あーっ! すっかり忘れてたずら! ど、どうしよう……」
179
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/26(水) 13:44:31 ID:8pRTTUkw
ダイヤ「落ち着いてください、あくまで私たちの目的地には二日かかると言っただけです」
ダイヤ「その道中にも村や町はあるそうです、そこで宿を取るみたいですから」
ダイヤ「下着や服など、身支度はそこで整えておきましょう」
花丸「よ、良かったあ……」ホッ
果南「流石ダイヤ、そこのあたりも抜かりないね」
ダイヤ「果南さんはもう少ししっかりしてください」
果南「あはは……うん、善処しとく」
180
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/26(水) 13:45:35 ID:8pRTTUkw
ガタン ゴトン
果南「それにしてもここはのどかでいい所だね、向こうには森も見えるし自然が豊かなところなのかな」
花丸「第2エリアは食物の生産量が一番らしいよ、パンフレットに書いてあるずら」
花丸「雁来月が宿として有名なのも、ここの食材をふんだんに使った料理が絶品だからって理由があるみたいだね」
果南「へえ〜、私は寝心地が最高だってことしか知らなかったよ」
花丸「絶品料理、楽しみずらぁ……」
ダイヤ(二人とも興味の対象が分かりやすすぎますわ……)
花丸「ねえ、ダイヤさんは何が気になる?」
ダイヤ「……温泉ですわね」
181
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/09/26(水) 13:46:23 ID:8pRTTUkw
ここまでです、こちらは少しずつ進めさせていただきます。
182
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/09/26(水) 20:29:34 ID:QlGazJoQ
待ってましたよ
183
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/05(金) 21:57:16 ID:W6c.qxz.
果南「温泉かあ、確かにここ最近はシャワーだけで済ませてたからね」
ダイヤ「日々の疲れを癒すという目的でもやはり温泉は外せないものですから」
花丸「何にしても、早く着かないかなあってうずうずするずら」
果南「あははっ、そうだね」
ダイヤ「その前に身支度です、ほら、そろそろ村に着くみたいですわよ」
184
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/05(金) 21:57:52 ID:W6c.qxz.
─
ダイヤ「…ふう、こんなものでしょうか」チャリン
果南「意外とまとまったね」
ダイヤ「必要最低限のものしか買っていませんからね」
花丸「生活用品と非常食と水と、最後に衣服類」
花丸「もっとあってもいいと思うけど」
果南「でもあまり多すぎても持っていくの大変だからね、これくらいが丁度いいと思うよ」
ダイヤ「ええ、バッグのほうも後のことを考えると出来るだけ空けておいた方がいいですし」
185
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/05(金) 21:58:28 ID:W6c.qxz.
花丸「うーん、そうかも」
ダイヤ「それでは各自買ってきたバッグに荷物をまとめてください、明日の出発は早いみたいですから」
果南「え、ほんとに? 買い物で時間使っちゃったからなあ…早く寝ないと」
果南「そうだ、私はもう済んだからいいけど二人のほうはどう? まだ終わってないなら手伝うけど」
花丸「あっ、じゃあマルのほうを手伝ってもらってもいい?」
果南「いいよ、ダイヤは?」
ダイヤ「私も準備は済みましたので先に休ませていただきますわ」
果南「わかった、おやすみ」
186
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/05(金) 21:59:09 ID:W6c.qxz.
果南「─うん、大分まとまったんじゃない?」
花丸「ありがとう果南さん、助かったずら」
果南「いやいや、いいって」
果南「…………あのさ、寝る前にちょっと聞きたいんだけど」
花丸「なに?」
果南「ん、まあ少しだけ気になってることなんだけどね」
果南「花丸ちゃん無理してないかなーってさ」
187
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/05(金) 22:00:16 ID:W6c.qxz.
花丸「え、どうして?」
果南「ちゃんとしたことはダイヤがやってくれてるし、花丸ちゃんも色々考えてそれをサポートしてるでしょ?」
花丸「マルが? そうかな」
果南「うん…私はさ、頭使うのあまり得意じゃないし細かいこともそこまで気にしないから、その辺二人に任せっきりな気がして」
果南「ちょっと申し訳なく感じてるんだ」
花丸「マルは別になんとも思ってないけど…」
花丸「…ひょっとしてダイヤさんに言われたこと気にしてる?」
果南「あ、バレてた? あはは…まあいつもなら軽く流せるし、ダイヤもそんなつもりで言ったわけじゃないっていうのは分かっているんだけどね」
果南「でも今は状況が状況だから、少しだけ引っかかっちゃって」
花丸「……そっか」
188
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/05(金) 22:01:01 ID:W6c.qxz.
果南「うん、私も少しは二人みたいに考えたほうがいいのかなって」
花丸「マルはそのままでいいと思うけど」
花丸「向いていないものを無理してやる必要はないずら」
果南「そのままで?」
花丸「うん、果南さんは考えるタイプじゃないし」
果南「結構ズバッと言ってくるよね花丸ちゃん」
花丸「でも次はこうしよう、ああしようって決めてくれるのはいつも果南さんずら」
花丸「マルたちが決めあぐねているものを即決して前に引っ張ってくれるのが」
花丸「果南さんのいいところだってマルは思ってる」
189
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/05(金) 22:01:39 ID:W6c.qxz.
果南「……」
花丸「だから、いいと思うよそのままで」
果南「…そうだね」
果南「じゃあ私は私なりのやりかたで二人を助けようかな」
花丸「ちょうど今の荷物整理みたいにね」
果南「クスッ、確かに……ありがとう花丸ちゃん、気分が楽になったよ」
190
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/05(金) 22:02:25 ID:W6c.qxz.
花丸「ううん、こっちこそありがとうずら」
果南「どういたしまして、じゃあ私もそろそろ寝るよ…おやすみ」
花丸「うん、おやすみなさい」
花丸「フフッ……そういう切り替えの早さもいいところだと思うよ、マルは」
花丸「でも、うーん…やっぱり自分の良さって自分では気付きにくいものなのかもしれないずら」
……
…
191
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/05(金) 22:03:12 ID:W6c.qxz.
─翌日
果南「ねえねえ、さっき馬車の運転手さんと話してきたんだけど、明日の朝には着くって」
ダイヤ「そうですか分かりましたわ、それと運転手ではなく御者(ぎょしゃ)ですからね」
果南「んー覚えておく」
ダイヤ「…しかし突然御者さんに話しかけるなんて、何かあったのでしょうか」
花丸「さあ? でも果南さんらしいとマルは思うずら」フフッ
ダイヤ「? 確かに店の手伝いなどで接客することも多かったですからね、加えてあの性格ですし」
ダイヤ「見知らぬ土地の人相手でもああやってすぐに打ち解けられるのは少し、羨ましいですわ」
花丸「そうだね」
192
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/05(金) 22:04:09 ID:W6c.qxz.
果南「おっ、二人とも見てみて! 海が見えてきたよ!」ユビサシ
ダイヤ「本当ですわね、それくらい近付いてきたということでしょうか」
果南「向こうは港町って言ってたもんね」
花丸「パンフレットによるとマルたちが向かっている港町、百合鴎<ユリカモメ>は」パラッ
花丸「港町の中でもかなり大きくて賑わいのいい場所らしいずら」
ダイヤ「きっと雁来月が名所と言われるようになったのも、そういった環境にあったからかもしれませんわね」
果南「持ちつ持たれつってやつだね」
193
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/05(金) 22:05:06 ID:W6c.qxz.
ダイヤ「ええ……あら? もう次の村が見えてきましたけど…」
果南「ああ今日はちょっと早いんだって、夜にまた走らせるみたいだから」
果南「今のうちに休んでおいてって運転…じゃなかった、御者さんが」
花丸「夜中に出発するの? 明かりとかは大丈夫なのかなあ」
果南「そうそう、そのことについても聞いてみたんだけどさ」
果南「この時期はなんか“良いもの”が見られるらしいよ」
ダイヤ・花丸「良いもの?」
果南「だから夜に発つんだってさ、何が起きるかはそのときのお楽しみ」
194
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/05(金) 22:05:39 ID:W6c.qxz.
カランカラン
果南「着いたみたい、行こうか」トッ
ダイヤ「お楽しみ、ですか」
花丸「何が起きるんだろうね、ちょっとドキドキするずら」
ダイヤ「なら、期待しておきましょうか」クスクス
195
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/05(金) 22:06:10 ID:W6c.qxz.
……そして、夜
カタン カタン……
ダイヤ「静か、ですわね…夜だから当然なのでしょうけど」
花丸「でもそれにしては明るいような…」
果南「はい、分かりました…二人とも、そろそろ来るって」
ダイヤ「来る? いったい何が……」
196
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/05(金) 22:07:50 ID:W6c.qxz.
ブワッ
花丸「! すごい…道が、光ってる……」
果南「なんでもこの時期に咲く花が撒いた花粉でこうなるらしいよ」
果南「その花は染料の素材として使われることが多いんだって、で、その素になる粉がこの道一帯に散らばるから光ってるように見えるみたい」
ダイヤ「成程、ヒカリゴケのような感じですわね、こちらは桜色に輝いていますが」
ダイヤ「それがまた、なんとも幻想的といいますか……綺麗、ですわね」
果南「うん、本当に…」
197
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/05(金) 22:11:04 ID:W6c.qxz.
それは第2エリアで過ごした夜のこと。
次の町へ向かうマルたちが見たものは今まで見たこともなかったような
真っ直ぐに延びる桜色に光った道でした。
道を通るたびに宙を舞う光の粉が、マルたちのことを迎えてくれているような気がして
なんだかとても、優しい気持ちになれたの。
だけどその景色も太陽が昇ればさようなら
日の出と共にうっすらと消えていくそれは、どこか儚くもあって、マルの心にすーっと沁み込んでいきました。
その気持ちは二人も同じみたい。
そして夜が明ければ、港町“百合鴎”はすぐそこに
今度は一体どんな出会いがあるんだろう
色づいていく景色を眺めながら、そんなことを思っていたマルでした。
─ Xdayまで…残り45日 ─
198
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/05(金) 22:11:21 ID:W6c.qxz.
ここまでです。
199
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/10/07(日) 04:31:20 ID:pGEcppxI
乙です!
200
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/12(金) 03:06:34 ID:Ibdkmwyw
【 第4話 】 港旅館とおてんば娘
─明朝
港町 百合鴎
花丸「着いたずらー!」タッ
果南「うわあ、広いねー…門を抜ける前は分からなかったけど」
ダイヤ「ええ、しかし食物が豊かというだけあって、ここはその手の店が多いですわね」スタスタ
イラッシャイマセー!! サアサアオタチアイ!
ダイヤ「これなら活気があるというのも頷けますわ」
201
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/12(金) 03:07:39 ID:Ibdkmwyw
果南「第1エリアの都市部とはまた違った賑やかさだよね、私はこっちの方が好きかな」シャクッ
ダイヤ「…その手に持っているのはなんですか」
果南「え? 果物だよ、すっごい瑞々しくて美味しいよこれ」
果南「ほらダイヤも、まだ朝何も食べてないでしょ?」
ダイヤ「それはそうですけど……むぐっ!?」
果南「はい、ちゃんと味わって食べてね、栄養素も高いって聞いたから今のうちに蓄えておきなよ」ヒラヒラ
ダイヤ「……普通人の口に無理矢理入れますか……」モグモグ
花丸「ねえ二人とも、この先の広場に全体の地図があるみたい」スタスタ
果南「そうなの?」
花丸「うん、だからそこで雁来月を探してみるといいかも」
果南「だね、ありがとう花丸ちゃん、じゃあもう少ししたらそっちに行こうか」ニコッ
202
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/12(金) 03:08:34 ID:Ibdkmwyw
─広場─
果南「よっと、着いたね」
ダイヤ「ここは円状に広がっているみたいですわね、目的地へ向かう道も場所ごとにハッキリと分かれていますし」
ダイヤ「これなら道に迷うことも少ないでしょう」
花丸「中心は水場になってるんだね、周りに噴水が置かれていて涼しそう」
果南「ベンチや丸テーブルなんかも結構置いてあるし、休憩所としても使われているのかな?」
ダイヤ「こんなに広いと一息つける場所が欲しいですからね、それもあるかもしれませんわ」
ダイヤ「ですがそれは置いといて、雁来月はここの反対側の方角にあるみたいですわよ、それと他の宿も」
203
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/12(金) 03:11:12 ID:Ibdkmwyw
果南「え、他の宿? 雁来月に泊まるんじゃないの?」
ダイヤ「予約もなしにガイドブックに載るほどの有名宿に泊まれるわけがないでしょう」
果南「あ」
ダイヤ「行くだけ行ってはみますけど、あまり期待はしないほうがいいと思いますわよ」
花丸「でもほら、まだ駄目だって決まったわけじゃないし」
果南「それもそうか、うん、よし行ってみよう」
ダイヤ「まあ、大丈夫ならそれに越したことはありませんしね」
204
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/12(金) 03:13:02 ID:Ibdkmwyw
スタスタ
果南「でも、それじゃあどうしてダイヤは雁来月へ行くことにこだわってたの?」
ダイヤ「それはまあ、私自身も泊まってみたかったというのもありますけれど」
ダイヤ「一番はやはり、あそこが有名な旅館だったからですわね」
果南「どういうこと?」
ダイヤ「エリアの名所というところまでくると、それを観に別のエリアからやってくる人もいるでしょう、ましてや旅館です」
ダイヤ「私たちのように旅の途中や旅行の思い出に立ち寄る人は多いはずですわ」
花丸「つまり、他のエリアから来た人たちからいろんな話を聞けるかもしれないって思ったわけだね」
果南「そっか、確かに私たちの国に置き換えても同じことが言えるもんね」
果南「話題になっているものはそこだけじゃなくて全く別のところからも関心を持たれたりする」
ダイヤ「ええ、そういうことですわ」
205
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/12(金) 03:14:12 ID:Ibdkmwyw
果南「なるほど、それなら納得いくかも……だって」
果南「こんなに立派な旅館なら、そりゃあ大勢来るだろうし」ウエミアゲ
花丸「も、もの凄く大きいずら……まさかここに来た時に見えたあの大きな建物が、雁来月だったなんて…」
ダイヤ「従業員の方がひと際大きいからすぐに見つけられると言っていましたが、流石にこれは想像以上でしたわね……しかも」
ゴオオォォォン
ダイヤ「この建物、5棟に分かれていますわよ…ほら、この案内図を見てください」ユビサシ
果南「え、嘘でしょ!? じゃあここの両端と、向こうに見えるこれより高いあの建物も…」
果南「全部含めて雁来月なの!?」
ダイヤ「そうなりますわね……」
花丸「ここまで凄いと、逆に反応に困るね……」
206
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/12(金) 03:15:17 ID:Ibdkmwyw
花丸「ど、どうしようダイヤさん、マルたち本当に入っていいのかな…?」
ダイヤ「え、ええ…そうですわね、ここまで立派なものだと身なりも多少良くしておいたほうが…」
果南「いや、入るのは別にいいでしょ、私たち客なんだから」ギュッ
ダイヤ「はい!? ちょ待っ……」
果南「大丈夫、どこもおかしなところとかないから」スタスタ
花丸「え、っと……あ! 二人とも、マルを置いてかないでほしいずらー!」タッ
207
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/12(金) 03:19:05 ID:Ibdkmwyw
─雁来月1F、フロント
バタバタ ドタドタ
果南「うーん、とりあえず受付のところまで来たけど」
ダイヤ「皆さん忙しなく動いていますわね…」
花丸「やっぱり人気のところだと毎日こんな感じなのかな?」
果南「かもね……ん? 誰かこっちに来る、従業員の人かな?」
ダイヤ「おそらくそうで……!! 嘘でしょう、あの人…」
208
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/12(金) 03:20:26 ID:Ibdkmwyw
トトトッ…
「いらっしゃいませ! ようこそお越しくださいました!!」
「お待たせして申し訳ございません、あの、お客様は3名様でお間違いないでしょうか?」
「えっと、お手数ですがまずはこちらの宿帳にご記入と……」
ダイヤ・花丸「ち、千歌ちゃん(さん)!?」
果南「あれ、千歌じゃん、どうしたのこんなところで」
千歌?「……ほえ?」キョトン
209
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/10/12(金) 04:40:42 ID:/4D68S9w
千歌ちゃんきたー
210
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/10/18(木) 20:34:14 ID:Q7aAeFcE
まだかな……
211
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:30:12 ID:V4U7tD9c
千歌?「えーっと……私、お客様とどこかで会いましたっけ?」
千歌?「あとその千歌っていう名前も、なんか聞いたことが─」
「ニア! 何ぼさっとしてるの!! あんたの仕事はこっちでしょうが!!」
千歌?「わわっそうだったごめんなさーい!!」
果南「ニア?」
千歌?「私の名前です! ああすみません、それとお手数なんですけどっ」
千歌?「宿泊についてはあちらのほうに並んでいただければ、受付のものがご用を伺いますので」
212
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:31:37 ID:V4U7tD9c
ダイヤ「は、はい分かりました……」
千歌?「じゃあそういうことなので失礼します!!」ペコリ
ダダダッ
「急いでるからって走らない! お客様にぶつかったらどうするの!!」
「ごめんなさーーーい!!」
ダイヤ「な、なんといいますか」
花丸「荘厳な旅館からはとてもかけ離れているずら」
果南「花丸ちゃん、もうちょっとオブラートに」
213
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:32:15 ID:V4U7tD9c
クスクス…
「相変わらずねえ、ニアちゃんは」
「ホントホント、全然変わらないんだから」
ダイヤ「? あの、つかぬ事をお聞きしますが…貴女方は彼女のお知り合いか何かでしょうか?」
女性A「いいえ、でもここの常連ならみんなあの子のことは知ってるわよ」
女性B「ここの旅館の娘さんでね、ああやって毎日のように家のお手伝いをしているの」
214
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:32:59 ID:V4U7tD9c
女性A「見ての通りおっちょこちょいな子なんだけど、それが可愛らしくて」
女性B「憎めないのよね〜、末っ子だからかしら」
ダイヤ「成程、ありがとうございました」
花丸「家のお手伝いかあ、そういうところもなんか似てるね」
果南「うん」ジッ
千歌?「……わっとっと、危ない危ない…」アハハ
果南「……」ウーン
果南「よし」スタスタ
ダイヤ「ちょ、果南さんどこへ行くんですか」
215
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:33:36 ID:V4U7tD9c
千歌?「よいしょっと……あぁっ!」グラッ
果南「ほいっと」ガシッ
千歌?「…え?」
果南「それだけ積み重ねて急ぐなんて無茶だよ、すぐに重心がずれて崩れる」ヨッ
千歌?「あ、ありがとうございます…だけど」
果南「そんなに忙しいの? なら手伝うよ」
216
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:34:02 ID:V4U7tD9c
千歌?「ええっ!? いやいやでも、あなたはお客様ですし!」
果南「分かった、じゃあ他の人に手伝っていいか聞いてくる」
千歌?「はい!? あのちょっと…!」
ダイヤ「……全く何をするのかと思えば」
花丸「まあ放っておけないって気持ちも分かるけどね」
千歌?「あなたたちは、さっきあの人と一緒にいた…」
217
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:34:53 ID:V4U7tD9c
花丸「連れの者ずら」
ダイヤ「保護者です」
千歌?(え、どういう関係…?)
果南「あのーすみませーん!!」
「はい? なんでしょうか?」
果南「私たちあの子の友達で手伝いに来たんですけど」ユビサシ
千歌?「……え?」
ダイヤ・花丸「……“たち”?」ヒヤッ
果南「……はい分かりました、二人とも! ちょっとこっち来て!」
花丸「ダイヤさん、なんかマル…すごい嫌な予感がするんだけど」
ダイヤ「……同感ですわ」
218
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:35:55 ID:V4U7tD9c
─それから数時間後…
雁来月6F、巣立ちの間
千歌?「ほんっっっとーーーーに助かったよ!! ありがとう!!」パンッ
果南「いいって別に、私はほら平気だからさ」
花丸「……果南さんは、平気でも…」ハァッ
ダイヤ「私たちは…限界なのですが……」グッタリ
果南「ああ、うん…ごめん…」
219
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:36:48 ID:V4U7tD9c
千歌?「あはは…重労働だったもんね、仕方ないよ」
千歌?「はいこれ菓子折りとお茶、手伝ってくれたお礼に私から!」
ダイヤ「これは…ご丁寧にどうも」
花丸「でもこんなに高そうなもの、貰っていいの?」
花丸「部屋まで空けてもらってるのに」
千歌?「大丈夫! この部屋はついこの間予約にキャンセルが入って元々空いてたやつだし」
千歌?「ちゃんと許可も貰ってる、あとそっちは私の気持ちだから!」
花丸「そういうことなら、いいのかな?」
220
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:38:41 ID:V4U7tD9c
果南「でも荷物運びだけであそこまで時間がかかるとは思ってなかったよ」
果南「いつもあんな感じなの? 大変だね」
千歌?「ううん、今回は特別」
ダイヤ「特別ということは、何か大きな催しでもあるのですか?」
千歌?「催しっていうか、この時期は貨物船の出入りが凄くて…」アハハ
千歌?「ここって港町だし、うちの旅館も大きいうえに海に面しているからどうしてもね」
ダイヤ「なるほど…」
千歌?「だから果南ちゃんたちが手伝ってくれて本当に助かったよ! こんなお礼じゃ足りないくらい!」
221
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:39:17 ID:V4U7tD9c
果南「もう十分だって、それに私は千歌を放っておけなかっただけだしさ」
千歌?「……」ピク
果南「ああごめん、名前…ニアだったよね、確か」
千歌?「いや、そうじゃなくて…やっぱりその名前、最近聞いたことがあるような……」
千歌?「千歌……ちか……? ……あーっ! 思い出した!!」
花丸「え?」
千歌?「三人組! 私と同じくらいの子! うん、間違いない!!」
千歌「あなたたち、レムさんが言ってた旅の人でしょ!!」
222
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:40:01 ID:V4U7tD9c
ダイヤ「! どうしてそれを、まさかお知り合いですか?」
千歌「知り合いもなにも凄いお世話になってる人だよ! ああ、それなのに今まで気付かなかったなんて…」ガクッ
花丸「えっと、レムさんの知り合いでマルたちのことを聞いてるってことはつまり…」
花丸「マルたちの事情も知ってるってことだよね?」
千歌「うん大体はね、星の結晶を集めているんでしょ?」
千歌「あっ、メモリーって言ったほうがいいのかな」
223
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:40:41 ID:V4U7tD9c
ダイヤ「ええそうですわ、なので知っているならその辺りを詳しく聞かせてもらえると」
千歌「うん、それは全然いいんだけど」
千歌「その話は明日にしようよ」
花丸「どうして?」
千歌「だって三人とも疲れているでしょ? ならまずは疲れを取らなくちゃ」
千歌「ここは雁来月、お客様に安らぎを与える場所ですから」スッ
千歌「なので未熟ながらもこのニア、あなたたち三人のために」
千歌「誠心誠意、おもてなしさせて頂きます!」ニコッ
224
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:41:19 ID:V4U7tD9c
─雁来月3F、大浴場
カポーン……
花丸「いっっっっきかえるずらあぁぁ〜〜〜……」
ダイヤ「極楽ですわねえぇ〜〜……」
花丸「ふぅ〜〜、なんだかとても懐かしい感じがするねえ」
ダイヤ「ええ、最後に温泉に入ったのが…とても昔のことのように感じますわあ」
225
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:41:51 ID:V4U7tD9c
ダイヤ「…あら、そういえば果南さんは?」
花丸「千歌ちゃんと一緒にサウナで我慢比べしてる」
ダイヤ「何をやっているのですかあの二人は…」
花丸「あはは、それにしても」
花丸「ここから眺める景色はすごいね…水平線の向こうまで見える」
ダイヤ「そうですわね、空もとても澄み渡っていて……」
ダイヤ「自然豊かな内浦といえど、ここまでのものは中々見れませんわ」
226
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:42:36 ID:V4U7tD9c
ダイヤ「流石は超有名旅館、といったところでしょうか」
花丸「そこに千歌ちゃんがいてビックリしたけどね」
ダイヤ「フフッ、本当に……」
ダイヤ「……ところで花丸さん、気にはなりませんか」
花丸「千歌ちゃんのこと?」
ダイヤ「ええまあ、第1エリアでは善子さん…そしてここでは千歌さんが」
ダイヤ「果たしてこれは偶然なのかと」
227
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:43:25 ID:V4U7tD9c
花丸「それは確かに気になっていたけど」
ダイヤ「もしこれが夢ならば、なんの違和感もないのですが」
ダイヤ「それは流石にありえませんわよね」
花丸「うん、それで片づけるには」
花丸「ちょっと引っかかる部分が多すぎると思うよ」
ダイヤ「そうですね……いや、これ以上はやめておきましょう」ザパッ
ダイヤ「せっかくの安らいだひとときに水を差したくはありませんから」
ダイヤ「すみません、話を振ってしまって」
花丸「ううん大丈夫、そろそろ出る?」ザバッ
ダイヤ「はい、そうしましょう」
228
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/20(土) 12:44:35 ID:V4U7tD9c
─
スパァンッ! スパァンッ!
ダイヤ・花丸「……」
千歌「やるね果南ちゃん!」パァンッ
果南「そっちこそ!」スパァンッ!
ダイヤ「あの、お二人とも何を…」
千歌・果南「卓球!!」
花丸「体力有り余りすぎずら……」ポカン
ダイヤ「見てるこっちが疲れますわね…」ハァー
229
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/10/20(土) 12:46:57 ID:Je6eYe/o
待ってました!
230
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/26(金) 01:44:23 ID:71iD3K0k
果南「ふぅ〜〜いい汗かいたあ…」パタパタ
千歌「白熱した勝負だったね! 楽しかったー!」パタパタ
ダイヤ「お風呂上りなのにまた汗をかいてどうするんですか」
ダイヤ「というか二人とも今すぐそれをやめなさい、はしたないから」
果南「いいじゃん私たちしかいないんだし」
ダイヤ「…何か扇ぐものをとってきますわ、そこで静かにしていなさい」スタスタ
千歌「…ほんとに保護者さんみたい」
果南「え、なに?」
千歌「ううん、こっちの話」
231
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/26(金) 01:45:21 ID:71iD3K0k
……
ダイヤ「どうぞ」
果南「悪いねー、わざわざ」
ダイヤ「そう思うなら自分が女であるという自覚をもう少し持ってください」
果南「はーい」ダラー
ダイヤ「着物がはだけてるっ! 直しなさい!!」
果南「はいっ!」ピシッ
千歌「いつもあんな感じなの?」ユビサシ
花丸「こうして傍観決めこむくらいにはあるずら」ズズッ
千歌「大変だねダイヤさんも」ホエー
232
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/26(金) 01:46:06 ID:71iD3K0k
千歌「あっ、そういえばごたごたしてて聞くの忘れてたけど」
花丸「なに?」
千歌「花丸ちゃんたちって、うちにどれくらい滞在する予定なの?」
千歌「ほら、それ聞いておかないとこっちも用意とかあるから」
花丸「ああ、そっか確かにそうだよね」
花丸「ダイヤさん、果南さんちょっとこっちに来て」ヒラヒラ
ダイヤ・果南「?」
233
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/26(金) 01:46:43 ID:71iD3K0k
ダイヤ「滞在期間ですか、そうですわね…今日を含めて三泊程かと」
千歌「ふむふむ三泊四日と……」カキカキ
果南「そんなに泊まるの?」
ダイヤ「あくまでですわ、流石にそれ以上厄介になるわけにはいきませんが」
千歌「じゃあ二泊になる可能性もあるってこと?」
ダイヤ「はい、申し訳ありません曖昧で…」
千歌「いいのいいの、とりあえず最大宿泊日数さえ分かれば」カキカキ
234
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/26(金) 01:47:36 ID:71iD3K0k
千歌「食事はどうする? 自分たちでとる? こっちが用意する?」
果南・花丸「三食フルコース!」
ダイヤ「朝と夜だけお願いします、昼食は自分たちでとりますわ」
果南「だいやあ…」
ダイヤ「調べもののために外へ出なければなりませんもの仕方ないでしょう」
花丸「それは分かるけど……」
果南「せっかく来てるのに勿体ないじゃん…ねえダイヤ、ちゃんと仕事するからさこの通りだよ」パンッ
ダイヤ「……三食に訂正してもらえますか」
千歌「了解〜」(見たことあるなあ、こんな感じの家庭……)
235
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/26(金) 01:48:18 ID:71iD3K0k
千歌「……うん、よし、大体分かったよ」パタンッ
千歌「じゃあ私これを回しに行ってくるから、また明日ね」
花丸「うん、お疲れさま千歌ちゃん」
千歌「あっそれと、もうすぐ就寝時間になるから早めに部屋に戻ってね」
千歌「それ以降はあまり廊下をうろつかないでもらえると助かるかも」
ダイヤ「大丈夫です、しっかり言い聞かせておきますから」
果南「いや私そこまで無神経じゃないよ」
千歌「あははっ、しっかりね果南ちゃん」
236
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/26(金) 01:49:37 ID:71iD3K0k
千歌「それじゃあ行くね、三人ともおやすみなさい」ヒラヒラ
果南「おやすみー……千歌はこの後も仕事かあ」
ダイヤ「おっちょこちょいとは言われてましたが、働き者ですのね」
花丸「千歌ちゃんはこっちでも頑張り屋さんずら」
果南「だね、さっ私たちも部屋に戻ろうか」
ダイヤ「ええ」
237
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/26(金) 01:51:13 ID:71iD3K0k
ホー ホー ……
花丸「………うぅん…」ゴロン
ダイヤ「……」ハァ
ダイヤ「ん……っと」ノビー
果南「寝れないの?」
ダイヤ「多少ですけど」
果南「ふーん、星が綺麗だもんね」ヨット
果南「いいねえベランダ付きっていうのは、よく見える」
ダイヤ「はい」
238
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/26(金) 01:51:55 ID:71iD3K0k
果南「ねえ真面目な話していい?」
ダイヤ「どうぞ」
果南「千歌のことなんだけどさ、なんかおかしいっていうか変だよね」
ダイヤ「変?」
果南「あーっと…本人のことじゃなくて、出会い?」
ダイヤ「出会うまでの経緯のことですわね」
果南「そうそう、それね」
239
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/26(金) 01:52:27 ID:71iD3K0k
果南「前の場所には善子ちゃんがいて、ここでは千歌」
果南「最初はそういうこともあるかなって思ってたけど、連続で来ると流石に引っかかって」
果南「ちょっと聞いてみたかったんだ」
ダイヤ「そうですか、果南さんも」
果南「もってことはやっぱりダイヤも考えてたか、だと思ってたけど」
ダイヤ「ええ、温泉で花丸さんと少し」
240
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/26(金) 01:53:11 ID:71iD3K0k
果南「あれほんとに? フフッ、考えることはみんな一緒かあ…」
果南「いいね、一心同体って感じ」
ダイヤ「そうですわね」
ダイヤ(でもなんか使い方がずれてるような…)
果南「うん…あっ、それでさー、今日のでちょっと思ったんだけど」
ダイヤ「なんです?」
果南「いや、もしかしたらそれぞれのエリアに私たち以外のメンバー全員いたりするんじゃないかなあって」ハハッ
ダイヤ「!!」
241
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/26(金) 01:54:06 ID:71iD3K0k
果南「ま、あるわけないよね、それこそ出来過ぎた話だし」
ダイヤ「…………」
果南「あと数字的にも合わないしね、私たちを除いたAqoursの人数は6…ここのエリアの数は7」ユビオリ
果南「どうしても一つ余っちゃうからね、ないない」
ダイヤ「…そうでしょうか」
果南「そうだよ、だってこれあくまで私の思いつきだし、だからそこまで気にしなくていいって」
果南「軽く流しておきなよ、何でも深く考えようとするのダイヤの悪い癖だよ」
ダイヤ「……はい」
242
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/26(金) 01:55:50 ID:71iD3K0k
果南「ほら空を見てみなよ、今考えてることもちっぽけなものに思えてくるから」
ダイヤ「空、ですか……ねえ果南さん」
果南「ん?」
ダイヤ「あの空は一体どこまで続いているのでしょうね」
ダイヤ「向こうの千歌さんたちも、私たちと同じ景色を見ているのでしょうか」
果南「急にロマンチックだね、もしかして恋しくなった?」
ダイヤ「馬鹿なこと言わないでください」
ダイヤ「いつだって恋しいですわよ」
果南「……私もだよ」ポン
果南「大丈夫、きっと繋がってるはずだよ」
果南「そうじゃなくても私たちが繋げればいい…でしょ?」
ダイヤ「……フフッ」
ダイヤ「そうですわね──」
……
…
243
:
家
◆YmvLytuhUo
:2018/10/26(金) 01:56:17 ID:71iD3K0k
ここまでです。
244
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/10/26(金) 04:46:39 ID:2DwWqk.E
乙です
千歌ちゃんはどこの世界でも可愛い
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