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>>2「>>2の3分クッキングの時間だよ!」 PartⅩⅩⅢ

1 ◆WsBxU38iK2:2017/10/08(日) 20:01:09 ID:MpPLDqrU
安価スレのようなそうじゃないよう
なSSスレ


前スレ(PartⅩⅩⅡ)
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/10627/1501931181/

前前スレ(PartⅩⅩⅠ)
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/10627/1496660857/

前前前スレ(PartⅩⅩ)
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/10627/1491735745/

前前前前スレ(PartⅩⅨ)
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/10627/1487495156/

前前前前前スレ(PartⅩⅧ(再々))
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1486897355/

2 ◆WsBxU38iK2:2017/10/08(日) 20:02:05 ID:MpPLDqrU
てんぷれ

過去編〜土曜編までの略年表
http://urx.mobi/BK9a

日曜編チャート
http://urx.mobi/BK9h

終末編チャート1(『200』まで)
http://urx.mobi/BK9i

終末編チャート2(『201』以降)(更新)
http://ur0.link/CNAi

新終末編チャート
http://ur0.biz/GjYz

現在の登場人物の図(更新)
http://ur0.biz/GjYF

3 ◆WsBxU38iK2:2017/10/08(日) 20:02:38 ID:MpPLDqrU
Part表

Part1 Part2:クッキング編
Part3:クッキング編〜前世編〜土曜編秋葉原深夜決戦前
Part4:土曜編秋葉原深夜決戦〜日曜編序盤
Part5:日曜編(ディズニーシー決戦編、博物館編、冥界内乱編、ビワッシー編、アノールロンド編)
Part6:日曜編(アノールロンド編、幕張メッセ編、英玲奈家襲撃、ドスケーブ城厨房騒動)
Part7:日曜編(病院編、亜里沙編、魔王軍過去編、ドスケーブ城襲撃編)
Part8:日曜編(魔王様日記編、亜里沙北海道編)
Part8再:日曜編(大雪山拠点決戦)〜終末編(ドスケーブ城防衛戦、津軽海峡偵察戦、神田明神地下研究所編)
Part9:終末編(大阪防衛戦)
Part10:終末編(滋賀・琵琶湖追撃戦)
Part11:終末編(ロシア編、ドスケーブ城三者会談、深海とっり編)
Part12:終末編(冥界襲撃・対ミナ仮面勢力編)
Part13:終末編(深海バーミヤン編、竜宮城編)
Part14:終末編(イオンモール草津パニック編)
Part15:終末編(名古屋編、空中名古屋支部〜ドアラランド突入)
Part16:終末編(黄金ドアラランド決戦・前)
Part17:終末編(黄金ドアラランド決戦・中)
Part18:終末編(黄金ドアラランド決戦・後)
Part19:終末編(凍結名古屋決戦)
Part20:新終末編(狭間の世界編、冥界ムスペル編、天空の城編、音ノ木坂跡編、GODの里編、ほのキチ倶楽部VS魔王キチ団前編)
Part21:新終末編(ほVS魔後編、玩具の箱庭編、VS新魔王編、UTX跡編、名古屋凍結砂漠編、バーミヤン下層編、関門海峡偵察編、魔の海域編)
Part22:新終末編(琵琶湖再び編、バーミヤンVSヨルムンガンド編、VS神造人間編、ドスケーブ城崩壊編)

4 ◆WsBxU38iK2:2017/10/08(日) 20:03:09 ID:MpPLDqrU
○前スレのあらすじ

ワイズマンにヨルムンガンド、続々と送り込まれる破滅の使徒
そして魔の手はついにドスケーブ城にまで伸びる

襲撃者は神の力を埋め込まれし神造人間――その数9体
防衛システムが停止し無防備になった城内で穂乃果らは激しい戦闘を繰り広げた

だが結果的に白狼王の手によってドスケーブ城は消失してしまう

神造人間の半数以上を撃破できた、うみかの結界により重要施設だけは守れた、フードマンの撤退命令によりトドメは刺されなかった
詳細を考慮すれば痛み分けのような結果になったとは言え、与えられた打撃は大きすぎるものだった……

負傷者の治療が急がれる更地のドスケーブ城跡
果たして光明は見えるのか――

5 ◆WsBxU38iK2:2017/10/08(日) 20:04:06 ID:MpPLDqrU
ざっくりとした強さ格付けはまだ少しお待ちを……

何か質問指摘あれば気軽にどうぞ

では本編へ

6 ◆WsBxU38iK2:2017/10/08(日) 20:04:47 ID:MpPLDqrU
新終末編『183』

─────────────────
──デンライナー車内

AM4:47


寿限無「……で、なに?こいつが私に取り憑くわけ?」

英玲奈「そうそう」

寿限無「うむ…………」


寿限無(英玲奈に連れられ乗り込んだデンライナーの車内、そこで英玲奈はもう一度異能を発動させた)

寿限無(具現化されたのは某ライダーに出てくるらしい怪人)

寿限無(灰色で薄く透けていて、床から上半身が、その頭上の虚空から下半身が突き出ている奇妙な姿)

寿限無(見た目だけで判断すれば好ましい印象ではない)


英玲奈「こいつはイマジンと呼ばれる存在だ、その中でも私たちの助けになりそうなやつを呼んでおいた」

寿限無「イマジン……個体名はあるの?」

英玲奈「ああ、>>7と呼んでやってくれ」

7名無しさん@転載は禁止:2017/10/08(日) 20:12:55 ID:CqbQ2ay6
貞子

8 ◆WsBxU38iK2:2017/10/08(日) 20:47:03 ID:MpPLDqrU
英玲奈「ああ、貞子と呼んでやってくれ」

寿限無「呪われそうな名前ね……」


貞子「うぅ……」サァァッ

寿限無(イマジン――貞子は白い砂を床に落としながらゆっくりとこちらに近づいてくる)

寿限無(よく見ると床に付くほど長い髪が生えていて顔の造形も女の人っぽいのが分かった)


寿限無「ええと、貞子?私はどうしたら――」

貞子「……何もしなくていい、じっとしてて」

寿限無「え?」

シュンッ!!

寿限無「んんっ!?」

寿限無(飛び上がった半透明の貞子が私の体目掛けて飛び込んでくる)

寿限無(貞子と私の体が重なった瞬間……私は自分の体が自分のコントロールを離れる感覚に陥った)


ガクンッ

ダストボックス「寿限無?どうした」

ヨハネ「立ったまま俯いて動かなくなっちゃったわね」


ピクッ

貞子寿限無「来たっ!来た来た来た来た来た来た来たぁ!!!!」

貞子寿限無「ワタクシ!参上!!」ビシッ!

9 ◆WsBxU38iK2:2017/10/08(日) 20:47:59 ID:MpPLDqrU


寿限無(んっ!なぁぁぁぁぁぁっ!?)

寿限無(これが憑依ってやつ!?体の主導権を握った貞子が私の声で楽しそうに名乗りをあげてる!)


貞子寿限無「久しぶりの肉体……感極まる……」ギュゥゥッ

寿限無(コラ!勝手に人の体動かさないで!)

貞子寿限無「おっと寿限無、うるさいから頭の中で喚かないで……どうせ周りには聞こえないから……」

寿限無(このっ……!)


マッキー「イマジンが憑依した瞬間に寿限無の髪が長く伸びて体全体を黒いオーラが纏った」

マッキー「それに目の下に濃いクマができてる……変化が興味深いわね」


貞子寿限無「……で?確かデンライナーを操縦すれば良かったんだっけぇ」

英玲奈「そうだ、私たちを音ノ木坂まで運んで欲しい」

寿限無(そうそう!早くしなさいよ!)


貞子寿限無「分かったわ……何か忘れ物はない?なければすぐにでも発進するわ……」

英玲奈「そうだな、何かあるかマッキー」

マッキー「うーん……>>10

10名無しさん@転載は禁止:2017/10/08(日) 20:55:06 ID:Z23LkabM
全速前進デッショー

11 ◆WsBxU38iK2:2017/10/08(日) 21:41:31 ID:MpPLDqrU
マッキー「全速前進デッショー!」

ダストボックス「右に同じ」

英玲奈「よし!発進してくれ!」


貞子寿限無「はーい……」

タンッ!

寿限無(貞子は私の体を動かして先頭車両へと向かう)






シュンッ!

シュンッ!


タンッ

寿限無(いくつか連結部の扉を通り抜けると、中心にバイクが取り付けてある車両へ辿り着く)

寿限無(ここが……運転するための先頭車両か)


貞子寿限無「よし……さっさと動かすよ」グイッ

寿限無(貞子はバイクに跨るとライダーパスをキーのように使いシステムを起動させる)

ウィィィィィィンッ!

寿限無(目の前のメインモニターには外の映像が写り、いつでも発進できる準備が整う)

貞子寿限無「3……2……1……」

グッ

貞子寿限無「GO」

12 ◆WsBxU38iK2:2017/10/08(日) 21:41:50 ID:MpPLDqrU


グゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!

寿限無(加速し始めるデンライナー、線路が前方へ伸びて行き、ドスケーブ城の結界の外へと走り出す)

寿限無(備え付けの速度メーターを見るとかなりの速度が出てるみたい、この速度ならすぐに音ノ木坂跡に着けるはず……)


寿限無『それにしても、貞子は本当に運転ができたのね』

貞子寿限無「ええ……ワタクシは別の時空でデンライナーを操る魔人と共にいたから……」

寿限無『へー』

寿限無(貞子は運転しながら、さっきから変わらない低いテンションで言葉を続ける)

貞子寿限無「それまでは人を呪うことしかしてこなかったワタクシが……初めて人の役に立てた……」

貞子寿限無「その魔人とは結局契約は果たせず終い、だから今度こそは――」


ピクッ

貞子寿限無「……なに、あれ」

寿限無『どうしたの?』

貞子寿限無「前を見て、デンライナーの進路上に>>13

13名無しさん@転載は禁止:2017/10/08(日) 22:13:18 ID:AXJsCVtA
この先死ぬ覚悟のない者通るべからずと書かれた門

14 ◆WsBxU38iK2:2017/10/08(日) 22:57:04 ID:MpPLDqrU
貞子寿限無「この先死ぬ覚悟のない者通るべからず、と書かれた門があるわ……」

寿限無『どんな門なのよそれ……とにかく避けて!線路は自由に作れるんでしょ!』

貞子寿限無「はーい」

グイッ


ガシャッンッ!

キィィィィィィィィンッ!!

寿限無(貞子がハンドルを操作すると目の前を先行していた線路に分岐が発生し、門を避けるコースにデンライナーが移動する)

寿限無(さすがはフィクションの乗り物、こういう都合良い機能が盛り沢山ね)


寿限無(しかし……)

寿限無(モニターに映るあの巨大な門はなに……?)

寿限無(そこらのビルより遥かに巨大、書いてある文面といいまるで地獄の門みたいだわ)


寿限無(それにここら一帯はAASの豪雪地帯、あんな巨大な門を異能無しに短期間で建造することができるわけがない)

寿限無(いったい何が――)


貞子寿限無「ダメ、こっちのコースにも門がある……!」

寿限無『ええっ!?』

15 ◆WsBxU38iK2:2017/10/08(日) 22:57:17 ID:MpPLDqrU
寿限無『嘘でしょ!門が移動してきたってこと!?』

貞子寿限無「違う……どのコースから侵入しようとしても目の前に門があるのよ」

貞子寿限無「たぶん、目的地の周囲が全部巨大な門で囲まれて、壁みたいになってる……!」

寿限無『なっ……!?』


寿限無(想定してなかった事実に私が驚いた瞬間、貞子は即座に次の行動に移っていた)

寿限無(スイッチを押してデンライナー全車両に聞こえる通信をオン)

ピッ

貞子寿限無「こちら先頭車両、目的地が複数の巨大な門に阻まれていて近付けないわ」

貞子寿限無「とりあえず路線変更して門の壁の周りを円環状に迂回してるけど……どうするの?」


寿限無(貞子の問いかけにスピーカーから返事が帰ってくる)

寿限無(どうやら各車両にも運転席と繋がる電話があるらしい)


英玲奈『英玲奈だ、門があるのか?』

貞子寿限無「ええ、ご丁寧に死ぬ覚悟のないもの通るべからずって書いてある」

貞子寿限無「門同士はピッタリとくっついていて隙間はない……迂回しながら見てる感じだと横から入るのは無理ね」

英玲奈『そうだな、ならば>>16

16名無しさん@転載は禁止:2017/10/08(日) 23:12:03 ID:mdvRYvGQ
テーピングだ!

17 ◆WsBxU38iK2:2017/10/08(日) 23:52:38 ID:MpPLDqrU
英玲奈『ならばテーピングだ!』

貞子寿限無「テーピング?」

英玲奈『死ぬ覚悟だと?上等じゃないか……ご丁寧に門を作ってくれてるなら突っ込め!』

英玲奈『デンライナーにテーピングをグルグル巻くから気にせず突っ込むんだ!!』


寿限無『えええっ!?』

貞子寿限無「分かった」

寿限無『ちょおおおおっ!?』

グイッ

グゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!!!


寿限無(貞子は思いっきりハンドルを捻り、デンライナーは今まで以上に速度を上げて門へ突っ込んでいく)

ドドドドドドドドドドドドッ! 

寿限無(これ……大丈夫なのかしら……)


─────────────────

デンライナー内

AM4:47〜AM4:50 新終末編『183』了

18 ◆WsBxU38iK2:2017/10/08(日) 23:53:11 ID:MpPLDqrU
というわけでここまで

新スレもぐだぐだ

新終末編『184』に続く
かもしれない

19名無しさん@転載は禁止:2017/10/09(月) 09:11:38 ID:IlVvfqHE
うるさい!いいからテーピングだ!

20!ken:99:2017/10/09(月) 11:19:07 ID:aeVn7dXI
をつ
いつまでも見ていたいからぐだぐだペースで問題無いぜ!

あと新スレもをつ

21 ◆WsBxU38iK2:2017/10/09(月) 20:11:26 ID:h.W4Yu2g
新終末編『184』

─────────────────
──デンライナー内・先頭車両

AM4:50


バシュッ! グルグルグルグルッ!!!!

寿限無(正面のモニターの片隅に表示されるデンライナーの後方を映すカメラ)

寿限無(そこに、疾走を続けるデンライナーの屋根から白い布が噴出され、車体全体に布が巻かれていく)


寿限無『あれがテーピング?』

貞子寿限無「あれがテーピング?って寿限無が聞いてる」

英玲奈『そうだ、車体にAASコーティングをする際にマッキーに取り付けてもらった機能だ』

英玲奈『あのテーピングで車体を補強することにより衝撃が吸収され強度が何倍にも跳ね上がる……だったよな?』

マッキー『そうよ、だから安心して突撃しなさい!』

貞子寿限無「分かってる!」

グイッ


グゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!


貞子寿限無「テーピングをしてるとはいえ、一応皆備えて気を付けて……」

貞子寿限無「巨大な門に突入するまで残り数秒――」

ガタンッ!

貞子寿限無「よし、突入!」


寿限無(デンライナーが超スピードで門をくぐり抜ける、すると>>22)

22名無しさん@転載は禁止:2017/10/09(月) 20:14:42 ID:pqZ2ndu.
全員が一瞬で死ぬ感覚を感じた

23 ◆WsBxU38iK2:2017/10/09(月) 21:00:04 ID:h.W4Yu2g
寿限無(すると――)

ゾクッ!!


寿限無『……っ!?』ビクッ!

寿限無『嘘っ、今全身を駆け抜けた感覚って……!』

貞子寿限無「間違いないわ、抗いようのない死の感覚!」


寿限無(そう、貞子が言う通りだ)

寿限無(私の神的な直感が……ううん、たぶんデンライナーに乗ってる全員が感じ取ったことだろう)

寿限無(このままでは私たちは一瞬で死ぬ……!)


貞子寿限無「憑依させた相手を死なせるなんて出来ない……念のため変身するわよ」

寿限無『へ、変身ってな――』

貞子寿限無「はっ!」スッ!

寿限無(私に説明する余裕もないのか貞子は答えない)

寿限無(貞子が取り出したライダーパスを正面にかざさすと腰にベルトが出現し巻かれる)

貞子寿限無「変身……!」

24 ◆WsBxU38iK2:2017/10/09(月) 21:00:29 ID:h.W4Yu2g
寿限無(貞子はそのベルトのボタンを押した後、バックルにパスケースをかざすと、私の全身がメタリックなスーツに包まれていく)

『リングフォーム』

キュィィィィィンッ!!

寿限無(初めは白を基調としたスーツが全面を多い、次に顔と胸の部分に漆黒のパーツが重なる)


寿限無『こ、これは……?』

貞子寿限無「ライダーパスの他の使い方、デンライナーの魔人――デンオウに変身する機能よ」

寿限無『デンオウ……』

貞子寿限無「私が憑依したリングフォームの特性は致死性の攻撃に耐性が付く、何が起こるか分からないから変身しておいた」

貞子寿限無「それにこのフォームだと>>25が使える」

25名無しさん@転載は禁止:2017/10/09(月) 21:05:54 ID:fHodJR.M
井戸

26 ◆WsBxU38iK2:2017/10/09(月) 21:42:57 ID:h.W4Yu2g
貞子寿限無「それにこのフォームだと井戸が使える」

寿限無『イド……?』

貞子寿限無「使う時になったらまた説明する、それより今は……」

ピッ

貞子寿限無「後ろの人、聞こえる?大丈夫?」

『…………』シーンッ


寿限無『……返事が返ってこない』

貞子寿限無「やっぱりね、様子を見に行くわよ……」

寿限無『運転は?』

貞子寿限無「オート」

タンッ!


寿限無(貞子は操縦をオートに切り替えて後ろの車両へと向かう)

寿限無(スピードが格段に落ちるというオートの欠点も、この状況では逆に有り難いかもしれない)


タタタタッ

寿限無(さっき味わった死の感覚がまだ胸の中にモヤモヤ残っている)

寿限無(みんな、無事でいればいいけど……)

27 ◆WsBxU38iK2:2017/10/09(月) 21:43:13 ID:h.W4Yu2g





寿限無(デンオウに変身したからから、戻ってくる時間は行く時間の半分程度で済んだ)

寿限無(神力を爆発させた状態の私ほどではないけど、デンオウも中々身体能力を向上させるみたい)


シュンッ!

貞子寿限無「英玲奈……!」

寿限無(英玲奈たちがいたはずの車両の扉を開けて中へ飛び込む)

寿限無(そこで皆は>>28)

28名無しさん@転載は禁止:2017/10/09(月) 22:06:53 ID:a.xg0rrk
死んだけど大嘘憑きが発動してなかったことにしたところだった

29 ◆WsBxU38iK2:2017/10/09(月) 22:58:25 ID:h.W4Yu2g
寿限無(そこでは皆が普通に席に座っていた、どうやら無事だったみたい――)


寿限無『……ん?』

寿限無(おかしい、無事ではあるけど人数が1人増えている)

寿限無(マッキー、ダストボックス、ヨハネ、英玲奈に……誰?)

寿限無(英玲奈の隣、行儀悪くテーブルに腰掛けて足を組んでる学生服の女がいる、見た目の歳は英玲奈とあまり変わらない感じがするけど……)


英玲奈「その声は貞子か、変身したんだな」

貞子寿限無「ええ、英玲奈たちは無事だった?」

英玲奈「無事というか……実は一度死んだ」

貞子寿限無「……は?」


英玲奈「門をくぐった瞬間に私たち4人は呆気なく死んでしまったんだよ」

ダストボックス「情けないことにな」

30 ◆WsBxU38iK2:2017/10/09(月) 22:58:54 ID:h.W4Yu2g
英玲奈「けれど死んだ瞬間に私の保険が発動した、それは――」

タンッ

安心院「それが僕が大嘘憑きが発動してなかったことにしたから」

寿限無(テーブルに座っていた女は降りてこちらを見据える)


安心院「僕は安心院なじみ、親しみを込めて安心院さんと呼んでくれ」

安心院「この物語に登場するのはこれで五度目かな、そろそろレギュラーじみてきたと思わない?」

英玲奈「分けの分からん戯れ言はいい」

寿限無(安心院……竜宮城でことりさんと特訓してたのがこの人だったのか……)


安心院「本来大嘘憑きは僕のスキルでは無いんだけどね、"あいつ"を呼び出すより僕を呼び出すほうが英玲奈には合ってるみたいだし」

安心院「何より僕には英玲奈が危機に陥ったときに自動的に召喚されるスキルがある」

安心院「今回は例外的に大嘘憑きを使ってこの4人の死を帳消しにしたのさ」


貞子寿限無「それにしても4人が一斉に死ぬなんて……何が起こったの……?」

安心院「ああ……それならきっと、あの>>31のせいだよ」

31名無しさん@転載は禁止:2017/10/09(月) 23:06:32 ID:Sc6C3Kvk
黄泉の門

32 ◆WsBxU38iK2:2017/10/09(月) 23:43:27 ID:h.W4Yu2g
安心院「あの黄泉の門のせいだよ」

貞子寿限無「黄泉の門……か……」


ヨハネ「なにそれ?」

安心院「この列車がさっき通り抜けた門は黄泉の門というもので、通った者が生者なら死者に変えてしまうものなんだ」 

ヨハネ「うへぇー、生きてるだけて即死ってわけ?えげつないもので囲んでたのね」

英玲奈「誰がこんなものを建てたんだ……自然現象ってわけじゃないだろう」

安心院「そこまでは僕にも分からない、ただ用心は続けたほうが良いね」

安心院「敵はよっぽど君たちを近付けたくないみたいだ……」


マッキー「…………そうね」

寿限無『マッキー?』

寿限無(門の話を聞いたマッキーの様子が少しおかしい)

寿限無(まぁ一度死んだと聞かされたら平常心ではいられないだろうけど……)

33 ◆WsBxU38iK2:2017/10/09(月) 23:43:51 ID:h.W4Yu2g
安心院「英玲奈、説明は終わったからさっさと僕を戻したほうがいいね」

英玲奈「ん?」

安心院「デンライナーとイマジンを召喚しつつ僕を置いておくのは英玲奈の燃費的に良くない」

安心院「君が気絶したら僕だけでなくデンライナーも消えてしまうよ」

英玲奈「……そうだな、分かった」

シュンッ!

寿限無(英玲奈が軽く手を振ると安心院さんが煙となって消えた)


ガタンッ ガタンッ

寿限無(そんな会話をしてる間にも低速でデンライナーは線路を進んでいく)

寿限無(黄泉の門に囲まれた音ノ木坂周辺の領域へ――)


寿限無(私たちは、足を踏み入れた)


─────────────────

デンライナー内

AM4:50〜AM4:53 新終末編『184』了

34 ◆WsBxU38iK2:2017/10/09(月) 23:44:13 ID:h.W4Yu2g
というわけでここまで

次で到着かな

新終末編『185』に続く
かもしれない

35 ◆WsBxU38iK2:2017/10/10(火) 20:21:42 ID:wqCsAjL2
新終末編『185』

───────────────────デンライナー内

AM4:53


ゴトンッ ゴトンッ 

寿限無(ゆっくりと黄泉の門に囲まれた領域を進むデンライナー、その窓からは異様な周囲の景色が見えていた)

寿限無(住宅地やビルを埋め尽くすほどに積雪したAASはそのまま、その雪原風景の上に見慣れないオブジェが立ち並んでいた)

寿限無(地獄の悪鬼羅刹や凶悪な武器をモチーフにしたような悪趣味で巨大なオブジェ)

寿限無(1つとして同じ形のないそれらが、一定の距離を開け点々と並んでいる)


寿限無(何より異様なのは空だ、白く分厚い雲に覆われているはずが、黄泉の門を超えた途端にドス黒い雲に変わり)

寿限無(夜のはずなのに、その雲間からは鮮血のような赤い光が降り注いでいる)

寿限無(まるで地獄のテーマパーク……私たちの住んでいた街が別の世界にすり替えられた錯覚に陥ってしまう)

36 ◆WsBxU38iK2:2017/10/10(火) 20:22:00 ID:wqCsAjL2
英玲奈「なんだ……これは……」

マッキー「かなり強引な手段ね、元々この土地にあった力をAASを敷き詰めることで封じている」

マッキー「尚且つ基礎工事が終わったその上に、与えたい属性のものを柱として配置、土地の属性を無理やり捻じ曲げているのよ」

マッキー「配置してる巨大彫刻――柱の位置や数も親和性を高めるために完璧に計算されたもの」

マッキー「ここまで来ると……この中は一種の異界と言っても申し分ない、現実とは別の法則が適用される空間だわ」


ヨハネ「これが全部ウイルスを発生させてるアルパカを守るためにやってるわけ?大袈裟じゃない?」

マッキー「そうね……私もそう思う、どこかで私たちの知らない意図が絡んでいるのかもしれない」


英玲奈「なっ!見ろ!音ノ木坂があった方向に>>37

37名無しさん@転載は禁止:2017/10/10(火) 20:26:00 ID:v1nGlVUg
って足元に100円落ちてる!ひーろった!

38 ◆WsBxU38iK2:2017/10/10(火) 21:11:16 ID:wqCsAjL2
英玲奈「見ろ!音ノ木坂があった方向に――」

マッキー「なに!?」

英玲奈「って足元に100円落ちてる!ひーろった!」パシッ

マッキー「…………は?」


英玲奈「まさかこんなとこに100円落ちてるなんてなぁ」

マッキー「……ふざけてると解体するわよ全身義体」ピキッ

英玲奈「冗談だ冗談、あまりかっかするなよ首から下義体」

マッキー「ふんっ」


英玲奈「しかし誰が落としたものだろうな、以前乗っていた乗客のものだろうか」

ダストボックス「以前って……それなら別の時空で降りたということだろう、届け先もあったものじゃない」

英玲奈「そうだな、この一枚は私が預かっておこう」パシッ

39 ◆WsBxU38iK2:2017/10/10(火) 21:11:39 ID:wqCsAjL2
寿限無(英玲奈がコインを握ったところで、車両内に自動アナウンスが流れる)

『間もなく〜音ノ木坂前〜』


貞子寿限無「着くみたいね……気を付けて……」

マッキー「ええ、黄泉の門での死は帳消しになったとはいえ即死トラップがいくつあるか分からないわ」

ヨハネ「また死んだら復活させてもらえばいいだけじゃない?」

ダストボックス「それにも回数制限があるってことだ、英玲奈に負荷をかけて気絶したら積む」

ヨハネ「なるほど」


貞子寿限無「よし、行くわよ……」

ウィーン

寿限無(音ノ木坂跡前に停車したデンライナーの扉が開く、すると>>40)

40名無しさん@転載は禁止:2017/10/10(火) 21:16:21 ID:BnidnIu.
生気を無くした音ノ木の生徒が徘徊していた

41 ◆WsBxU38iK2:2017/10/10(火) 22:16:58 ID:wqCsAjL2
寿限無(そこでは制服を着た少女たちが生気のない目で徘徊していた……)

寿限無(数はデンライナーの停車場の近場で十数人、でも遠くに同じような影がいくつか見える)
 

貞子寿限無「なにこいつら……亡者の類かしら……?」

寿限無『待って貞子!この制服は――』

英玲奈「――音ノ木坂の生徒だ!」


ヨハネ「生徒……?」

英玲奈「この場所は廃墟になる前には音ノ木坂学院という学校があったんだ」

英玲奈「私は通ってないがμ's――寿限無の親たちが通っていた学校だよ」

42 ◆WsBxU38iK2:2017/10/10(火) 22:17:25 ID:wqCsAjL2
ダストボックス「ほう、ここはそういった施設だったのか」

英玲奈「お前は中に入っていたろう」

ダストボックス「生憎学校というものに縁が無くてな……」


ヨハネ「ってかなんでここまで壊れちゃったのよ?」

英玲奈「崩壊した理由は改変前だと火事、改変後は分からないが……」

マッキー「知ってるわ」

英玲奈「え?」

マッキー「既に別の学校に通っていたあなたと違って、私は一応ここを進学先の候補に考えていたのよ」


マッキー「でも私が入る前に崩壊した、その原因は>>43

43名無しさん@転載は禁止:2017/10/10(火) 22:19:16 ID:pxNU6uYA
理事長の不祥事

44 ◆WsBxU38iK2:2017/10/10(火) 23:01:50 ID:wqCsAjL2
マッキー「その原因は理事長の不祥事って聞いてるわ」

英玲奈「不祥事……あの理事長がか?」

マッキー「入学前だから詳しい理由は私も知らないけどね」


ザッ 

寿限無(会話をしながら私たちは慎重に歩みを進める)

寿限無(もちろん先頭は変身した私、そこに残りの4人が続く)

寿限無(足元は変わらず雪の降り積もった地面、今のところ危険は感じられない)

ザッ ザッ


ヨハネ「でもさ、それだけで廃墟になるものなの?」

マッキー「さぁ?でも理事長が辞めてすぐに急激に廃れていったらしいわ」

マッキー「急に校舎の老朽化が進み運営も授業も困難になって廃校、そのまま放置されてこの有様」

ダストボックス「明らかに自然現象ではないな、理事長の罷免を発端として何か異常が起きたんだ」


ヨハネ「ふーん……あ、そうだ!生徒がいるんだから直接聞けばいいのよ!」

タタタタッ

ヨハネ「はぁーい!そこのあなた!」

マッキー「ちょっとヨハネ!?」


寿限無(……と、ヨハネが迂闊に生徒の1人に近づいた瞬間、>>45)

45名無しさん@転載は禁止:2017/10/10(火) 23:11:35 ID:v1nGlVUg
おは善子と生徒が言った

46 ◆WsBxU38iK2:2017/10/10(火) 23:55:51 ID:wqCsAjL2
生徒A「おは善子……」

ヨハネ「よ、善子じゃなくてヨハネ!!」


ヨハネ「……って、んん!?」

ヨハネ「思わず反射的に反応してしまったけど、どうしてこの子が私の本名知ってるのよ」

マッキー「本名?古風な名前なのね」

ヨハネ「ほ、本名じゃないわよ!私はヨハネ!!」

マッキー「はいはい、どっちでも良いから分かるよう説明なさい」


ヨハネ「実は……昔ね、施設にいた頃に私は善子ってコードネームで呼ばれていたのよ」

マッキー「確かに皆同じヨハネだから分かり辛いか」

ヨハネ「でも私はその名前が嫌いだったから常にヨハネって呼ぶようにしたの」

ヨハネ「それが……どうしてこんなとこで……」


生徒A「知ってるよ、善子ちゃんは可愛いアイドル、おは善子」

ヨハネ「だからヨハネ……ん?アイドル?また分けの分からないことを言ったわね」

生徒B「あ、真姫さんだ、写真撮ってください」

マッキー「は?私は真姫では無いって……っ!?」

ゾロゾロ  ゾロゾロ

47 ◆WsBxU38iK2:2017/10/10(火) 23:56:08 ID:wqCsAjL2


寿限無(いつの間にか2人の周りに目が虚ろで生気のない音ノ木坂の生徒が集まってきている)

寿限無(その数は10人20人とどんどん増えて、2人を取り囲むようになっていく……)

英玲奈「2人とも!戻ってこい!」


マッキー「それが……っ!この子たち通してくれなくて……!」

マッキー「すごい纏わりついてくるから……武器にも手を伸ばせなくて……」

ググググググッ 

ダストボックス「くっ!あれほど何が起こるか分からんから気を付けろと言ったのに!」

英玲奈「ヨハネが吸収するという手は……相手の正体が分からんし少し危険か?」


寿限無『貞子、こうなったら私たちが行くわよ、動ける?』

貞子寿限無「いけるわ、何故かこの領域内はAASが降ってないみたいだし……」

タンッ

貞子寿限無「まずは2人を救出する……!」


─────────────────

デンライナー〜音ノ木坂跡前

AM4:53〜AM4:56 新終末編『185』了

48 ◆WsBxU38iK2:2017/10/10(火) 23:57:26 ID:wqCsAjL2
というわけでここまで

同じ領域にいるであろうもう一組も書きたいのですが、どこで区切るべきか
取り敢えず流れのまま行きます

新終末編『186』に続く
かもしれない

49名無しさん@転載は禁止:2017/10/11(水) 00:01:53 ID:FplyKG3s
おつー

50!ken:99:2017/10/11(水) 07:15:58 ID:syu7YmEQ
をつ
貞子も異能のうちに入るの?

51 ◆WsBxU38iK2:2017/10/11(水) 20:25:27 ID:Mm4l25hM
貞子自体はイマジンなので別種族扱いですね
ただ今回は英玲奈の異能で召喚されてるので、存在維持の部分でAASの干渉を多少受けてしまいます

まぁ今の音ノ木坂跡付近の環境では問題ないでしょう

では本編へ

52 ◆WsBxU38iK2:2017/10/11(水) 20:25:56 ID:Mm4l25hM
新終末編『186』

─────────────────
──音ノ木坂跡前

AM4:56


ダストボックス「私も手伝うぞ!」

英玲奈「なるべく生徒には傷をつけるなよ、操られてるだけかもしれん!」

ダストボックス「分かっている!」

ダタッ!!


寿限無(ダストボックスは私たちを追い越して生徒の群れに辿り着くと、片っ端から生徒を引き剥がしていく)

寿限無(けど生徒同士の絡みつきが強いのか、ダストボックスの力を持っても引き剥がすのには苦労してしてるようだ)

ダストボックス「このっ……いい加減に離れろ!」

寿限無(加えて外側の1人を引き剥がす度に、すぐさま隙間に1人入り込んで空白地帯を埋めてしまう)

寿限無(まるで生徒同士が無意識に連携をとって1つの群体を形成してるみたい……)


タタタタッ

貞子寿限無「外から引き剥がすのは時間がかかる……だったら私たちは中から救出するだけ……」

寿限無『中から?』

貞子寿限無「そう……」

スッ

寿限無(貞子は走りながら腰のベルトの脇に付いてる複数のロッドを組み合わせ、今は見かけないビデオテープの形にする)

カシャ カシャッ 

カシャンッ!

53 ◆WsBxU38iK2:2017/10/11(水) 20:26:20 ID:Mm4l25hM
貞子寿限無「ビデオロッド、行きなさい……」

ブンッ!! 

寿限無(貞子が思いっきり投げたビデオ型……長方形に組み立てられたデンオウの武器は、放物線を描いて生徒の群れの中心へ)

寿限無(つまりマッキーたちのいる場所へ落ちていく!)

ヒューッ!


ゴンッ!

ヨハネ「あ痛ぁっ!頭に硬いのが当たったわよ!?」


貞子寿限無「よし届いた、ビデオロッド……再生!」

キュィィィィンッ!

寿限無(その瞬間、生徒の群れの中心、ヨハネの頭にぶつかってバウンドした空中のビデオロッドがひとりでに動き出す)

寿限無(まるで中に入った見えないテープを再生されたかのよう、高速でテープが回転する音が響く)

寿限無(そして>>54)

54名無しさん@転載は禁止:2017/10/11(水) 20:29:03 ID:N8fccIy2
ヨハネがビデオに封印された

55 ◆WsBxU38iK2:2017/10/11(水) 20:56:42 ID:Mm4l25hM
寿限無(そしてビデオロッドから光が放たれ、ヨハネがビデオの中に吸い込まれて封印される)

スポンッ!

貞子寿限無「まずは一人目っ、次は……」


ゴンッ!

マッキー「うぐっ!」

キュィィィィンッ!

寿限無(ヨハネを吸い込んだビデオか今度はマッキーの頭にぶつかりバウンド)

寿限無(同じように光を放ってマッキーを中に吸い込んだ)

スポンッ!


貞子寿限無「回収完了、戻ってきてビデオロッド!」

クルクルッ

寿限無(貞子の言葉に反応し、長方形に組まれたロッドはブーメランのように回転して手元へ戻ってくる)

貞子寿限無「よし……」パシッ 


英玲奈「2人を救助できたのか?」

貞子寿限無「ええ」

56 ◆WsBxU38iK2:2017/10/11(水) 20:57:12 ID:Mm4l25hM
英玲奈「そうか、戻ってこいダストボックス!そこにいると危険だ!」

ダストボックス「分かった!」

タタタタッ


生徒A「ああ、善子……」

生徒B「ああ、真姫さん……」

生徒ズ「ああああああああ……」

ズズズズズズズズズズ


英玲奈「……っ」

寿限無(2人が消えたのを察知したのか、生徒たちが私たちの方向へノロノロとゾンビのように歩き始める)


ダストボックス「どうする?このままだと再び囲まれるのがオチだ」

ダストボックス「後ろには停車したデンライナー、前には生気のない生徒の群れ」

ダストボックス「一度デンライナーに戻るか群れを飛び越えて向こう側の音ノ木坂跡に入ってしまうか」

ダストボックス「もしくは何らかの対処をするか……」


英玲奈「そうだな、>>57

57名無しさん@転載は禁止:2017/10/11(水) 20:58:18 ID:e0NKwSXs
この段ボールを被って潜入開始

58 ◆WsBxU38iK2:2017/10/11(水) 22:16:45 ID:Mm4l25hM
英玲奈「このダンボールを被って潜入開始だ」

ダストボックス「ダンボールか、確かに傭兵訓練所で習った潜入方法だな」

寿限無『どんなこと習ってんのよ……』


英玲奈「デンライナーは私の能力維持のために一旦消しておく」

シュンッ!

ダストボックス「いいのか?退路が無くなるぞ」

英玲奈「良いんだ、必要になれば再召喚すればいいし、ここからはなるべく異能の匂いをさせずに潜入に専念したいからな」

英玲奈「貞子も一旦デンオウへの変身を解除しておけ、潜入するだけなら寿限無のほうが向いている」

貞子寿限無「りょうかいしたわ」

キュィィィィンッ 

パッ!

寿限無「ふぅ……やっと戻った」


貞子『ワタクシはあなたの中に憑いてるけど……』ボソッ

寿限無「おおおっ!?」


寿限無(なんだ……こいつは離れてないのか、びっくりした)

59 ◆WsBxU38iK2:2017/10/11(水) 22:17:13 ID:Mm4l25hM


英玲奈「寿限無、コントロール権が貞子に無くても変身はできるしデンガッジャーも使える」

寿限無「デンガ……このロッド型の武器のことね」

英玲奈「それと、ビデオロッドに封じたマッキーとヨハネは切り抜けるまでしばらく出さないほうがいい」

英玲奈「何故かは分からないが、生気のない生徒たちはあの2人に異様な反応を示しているからな」

寿限無「おっけー」


英玲奈「ではここからの先導はプロに任せよう、頼めるな?」

ダストボックス「ああ……任せておけ」

ザッ

寿限無(ダストボックスが一歩前へ、そして足元の石を取り明後日の方向へ投げる)

ビュンッ!

生徒ズ「……?」

寿限無(生気のない生徒たちの視線がその石に奪われた瞬間――――)


ヒュッ!

ドォォォォォォォンッ!!!!

寿限無(目の前の地面が爆発して積雪していたAASが煙幕のように舞い上がった)

60 ◆WsBxU38iK2:2017/10/11(水) 22:17:35 ID:Mm4l25hM
ダストボックス「……中々の威力じゃないか、気に入ったぞ鞠莉」

寿限無(一瞬だったけど私の目にはハッキリと見えた)

寿限無(ビームだ……ダストボックスの義足から地面に向かってレーザービームが発射されたんだ)


ダストボックス「ほら、被っておけ」

ストンッ!

寿限無「わっ!」

寿限無(雪の煙幕の中、続いてダンボールが降ってくる)

寿限無(ダストボックスが超速で組み立てて放り投げて来たんだろう、それにしても手際が良い……)


ダストボックス「良いか?先頭のダンボールが私、その後に英玲奈、最後尾に寿限無だ」

ダストボックス「ダンボール3つで隊列を作る、送れるなよ」

寿限無「え、ええ……」



寿限無「そうだ……1つ聞きたいんだけど、このダンボールは普通のダンボールなの?」

英玲奈「ん?こいつは>>61

61名無しさん@転載は禁止:2017/10/11(水) 22:20:17 ID:LETRvL2U
防水機能と音楽プレーヤー機能付き

62 ◆WsBxU38iK2:2017/10/11(水) 22:55:53 ID:Mm4l25hM
英玲奈「防水機能と音楽プレーヤー機能付きだ」キリッ

寿限無「前半は良いと思うけど後半は必要なの……?」ボソッ

ダストボックス「無駄口はここでお終いにしておけ、行くぞ」

寿限無「う、うん」


ザッ ザッ

ザッ ザッ


寿限無(舞い上がった雪の煙幕の中、ダストボックスを先頭に身を屈めて進む)

寿限無(周りには多数の生徒がいるにも関わらず、誰にもぶつかる気配は無い)


寿限無(それはつまり……先頭にいるダストボックスが確かなルートを選んでいるということ)

寿限無(数センチ先のダンボールがギリ見える程度、殆ど視界ゼロの状態で、しかも私のように能力に頼った強化があるわけじゃない)

寿限無(自分の培ってきた経験だけであれだけの人数の場所と行動パターンを完璧に把握している)

寿限無(異能者さえ圧倒する無能力傭兵集団、お掃除サービスの最強格と言われるだけはあるわね……)


ザッ ザッ


英玲奈「今どのくらいだ?」

ダストボックス「おそらく校門は抜けて敷地に入った辺りだ」

ダストボックス「どこにアルパカが潜んでいるか分からない、気を付け…………」

ピタッ

ダストボックス「……なに?」

英玲奈「どうした?」


寿限無(前2つのダンボールが足を止めた、何かあったのかしら)


ダストボックス「これは……>>63

63名無しさん@転載は禁止:2017/10/11(水) 23:28:24 ID:RmJUU.Zw
カロリーメイトだ

64 ◆WsBxU38iK2:2017/10/12(木) 00:03:58 ID:qENEJSpI
ダストボックス「カロリーメイトだ」

寿限無(ん?カロリーメイト?)

ダストボックス「……美味い!」

寿限無(食べちゃったの!?)


ダストボックス「こっちにもあるな……おぉ!あっちにも!」スッスッ

英玲奈「おいダストボックス!隊列を乱して勝手に動くな!」スッスッ

寿限無「ちょっ!2人とも……」


シーン

寿限無「…………え?」


寿限無「どこに……いったの……?」


寿限無(おかしい、さっきまで近くにいたはずなのに足音さえ聞こえない、神力を全開にして探しても分からない)

寿限無(いくらAASが舞い上がって探知能力は半減してるとはいえ、ここまで存在が感じられないなんて有り得ない)


寿限無「おーーーーい!ダストボックス!英玲奈!!」

65 ◆WsBxU38iK2:2017/10/12(木) 00:04:21 ID:qENEJSpI


シーーーーン


寿限無「……っ!」

寿限無(敵に見つかるの覚悟で叫んでみても返事すら帰ってこない)

寿限無(明らかな異常事態、あれだけ用心していたダストボックスがカロリーメイトに釣られたとこから何かがおかしかった)

寿限無(それに違和感はまだある……)


寿限無「舞い上げられた雪が、いつまで経っても収まらない……!」

寿限無(ダストボックスのビームの威力は凄かった、だけどあれは一瞬の目くらまし、こんなに長く持続するはずがないのよ)

寿限無(何者かが私たちの作戦を逆手に取って分断したと考えるのが自然……なのか)


寿限無「貞子!あなたはいる?」

貞子『いる……けど……AASの中で英玲奈と離れたのが……マズい……』

ザザザッ

貞子『英玲奈からの……異能力が……届かなくなっ……来てる……』


寿限無「なんとかこの地帯から脱出してみる!それまで頑張って耐えて!」

貞子『ええ……あっ……寿限無……』

寿限無「だから――」

貞子『後ろっ!!』


寿限無「え?」バッ!!

寿限無(ノイズ混じりの貞子からの警告、それに気付いて振り返った瞬間)


ガシッ!

寿限無(――背後から、何者かに体を掴まれた)



─────────────────

音ノ木坂跡

AM4:56〜AM4:59 新終末編『186』了

66 ◆WsBxU38iK2:2017/10/12(木) 00:05:17 ID:qENEJSpI
というわけでここまで

ピンチかチャンスか

新終末編『187』に続く
かもしれない

67!ken:99:2017/10/12(木) 00:58:41 ID:vKlEoohc
をつ

なるほどそういうことか

68名無しさん@転載は禁止:2017/10/12(木) 08:00:20 ID:q0qPItj6
もつ

69 ◆WsBxU38iK2:2017/10/12(木) 20:11:36 ID:qENEJSpI
新終末編『187』

─────────────────
──音ノ木坂跡

AM4:59



寿限無「ぐっ……このっ!」ガシッ!

??「わおっ」

寿限無(背後からの襲撃者、だが落ち着いて対処すればいい)

寿限無(私は私の肩口辺りを掴んだ襲撃者の手を逆に掴んで捻り返す)

寿限無(細くて冷たい腕……いったい相手はどんな顔の――)


寿限無「……え?」

寿限無(私が腕を掴んだ相手、その顔は私もよく知る相手)

寿限無「にこ……母さん?」


??「……人違いだと思うけど、私子供を産んだ覚えはないから」

寿限無「あっ!ご、ごめんなさい!」

寿限無(よく見ると母さんより肌は青白い、他人の空似ってやつかしら……)


ゴースト「私はゴースト、今はこの場を離れるのが優先ね、ここはウイルスの濃度が高過ぎる」グイッ

ゴースト「それに"あいつら"に襲われる危険もある……」

寿限無「あいつら?」

70 ◆WsBxU38iK2:2017/10/12(木) 20:12:18 ID:qENEJSpI


ザッ ザッ

寿限無(ゴーストと名乗った母さんと瓜二つの人は私の手を引いて、雪の煙幕の中を確かな足取りで歩きだす)

寿限無「ウイルス……あなたは平気なの?」

ゴースト「それこそ私の台詞、この中にいてまだ影響を受けてないなんてびっくりよ」

寿限無「私はワクチンを打っているから抗体ができてるの」

ゴースト「ワクチン……?」

ザッ

寿限無(その言葉を聞いたゴーストは足を止めて振り向いた)


ゴースト「あなたもしかして、ドスケーブ城から来たの?」

寿限無「ええ、そうだけど……新魔王軍のウイルス作戦を止めにここへやって来たのよ」

ゴースト「本当!?だったら――」


ゴッ!!!!

寿限無「っ!?」

寿限無(そうゴーストが私に詰め寄った瞬間、雪の煙幕の中から>>71のようなものが姿を表した!)

71名無しさん@転載は禁止:2017/10/12(木) 20:21:03 ID:DcIrJo3E
アルパカのお面を付けた集団

72名無しさん@転載は禁止:2017/10/12(木) 20:21:54 ID:uLIHE6Qo
ウイルスバスター

73 ◆WsBxU38iK2:2017/10/12(木) 21:19:04 ID:qENEJSpI
寿限無(雪の煙幕の中からアルパカのお面を付けた集団が姿を現した!)


寿限無「あれは……」

ゴースト「マズいっ!あいつらはアルパカウイルスの感染者よ!」

ゴースト「元は一般人だけど身体能力が強化されていて外敵排除に意思統一されている」

ゴースト「ここは一旦逃げて……」


寿限無「いや、あのくらいなら大丈夫」

ゴースト「え?」

寿限無「よっ」タンッ!


寿限無(アルパカ面の人数ぱっと見て十と数人、全員が陸上金メダル選手並みの速さで突っ込んでくる)

寿限無(ただ……その程度はなんともない)

スッ

ギュルルッ!

寿限無(体内で神力を励起、体の隅々まで浸透させ肉体を強化、ここまで1秒とかからない)

74 ◆WsBxU38iK2:2017/10/12(木) 21:19:21 ID:qENEJSpI
寿限無(私の"かみちから"は純粋な異能ほどAASの干渉は受けないけど、他の能力みたいに完全に影響を受けないわけではない)

寿限無(『外』と比べれば精度や威力は落ちる、でも……)

スッ

寿限無(この程度の相手になら問題ない)


アルパカ面「おおおおおっ!」

寿限無「……まずは」

寿限無(突っ込んでる集団へ数歩近づき、姿勢を低くして先頭の数人に足払いを食らわす)

ブンッブンッ!!

アルパカ面「ぐぁっ!?」

寿限無(体勢を崩したアルパカ面が障害物となって後続が足を止める形になる)


寿限無(そこへ向かって>>75)

75名無しさん@転載は禁止:2017/10/12(木) 21:20:57 ID:nsDDSqak
一喝

76名無しさん@転載は禁止:2017/10/12(木) 21:21:06 ID:uLIHE6Qo
ワシワシ百烈拳

77 ◆WsBxU38iK2:2017/10/12(木) 22:14:28 ID:qENEJSpI
寿限無(そこへ向かって――)


寿限無「すぅー、喝ッ!!!!」

ドッ!!!!

アルパカ面「がっ……!」

ビリリッ! キィーーーーンッ!


寿限無(大きく息を吸って一喝)

寿限無(音圧で積雪が派手にめくり上がり、空気が震え、アルパカ面たちが大きく後方へ吹き飛んで転がる)

ゴロロロロロッ!

アルパカ面「ぐっ……」バタリ


寿限無「ふぅ……」

寿限無(ま、今出せる無力化範囲攻撃はこんなものかな)

寿限無(同時に巻き込める範囲も小さいし、ダメージも軽い気絶程度でしょうけど、相手が元一般人というなら都合がいい)

寿限無(思惑通り一箇所に集まってくれた良かった)

78 ◆WsBxU38iK2:2017/10/12(木) 22:14:46 ID:qENEJSpI
ゴースト「な、なにやったのよあんた!能力?」

寿限無「なにって……ただの喝よ喝、人を襲おうとしてたから怒ってやったの」

ゴースト「怒っ……はぁ?」


寿限無「それよりアルパカ面のやつらについて知ってることを教えなさい」

寿限無「ウイルスの感染者って言ってたけど、元はここらへんの住人ってこと?」

ゴースト「……そうよ、私たちは神田明神のほうから来たんだけど、住人はどいつもこいつもアルパカ面になっていた」

ゴースト「それに>>79

79名無しさん@転載は禁止:2017/10/12(木) 22:21:46 ID:cm9q5Lxc
そのうちアルパカになっていく

80 ◆WsBxU38iK2:2017/10/12(木) 23:00:35 ID:qENEJSpI
ゴースト「それにウイルスの感染が進行していくと、そのうち完全にアルパカになっていくわ」

寿限無「とんでもないわね……」


寿限無(ワクチン量産の目処がついたとはいえ、私たちが持ってきた量には限りがある)

寿限無(できるならこの人たちに打ってあげたいけど……今は振りまいてる元凶を倒すのが先)

寿限無(ワクチンはなるべく戦力になる人に優先して使いたい……)


寿限無「……ふむ、とりあえず落ち着ける所に連れて行ってちょうだい」

寿限無「私も仲間と逸れてしまったし、ここじゃいつ襲われるか分からない」


ゴースト「ええ、最初からそのつもりよ……ええと」

寿限無「あ、そういえばまだ名乗ってなかったか」

スッ

寿限無「私は寿限無、よろしくねゴースト」

81 ◆WsBxU38iK2:2017/10/12(木) 23:01:08 ID:qENEJSpI





ザッ ザッ


寿限無(ゴーストの先導で学院校庭のAAS地帯を抜けた私たち)

寿限無(途中なんどかアルパカ面たちの襲撃を受けたものの、その度に私が軽く跳ね除けた)


寿限無(なんというか……今の私は妙に冷静だ)

寿限無(一度赤の聖女の領域に入って恐ろしい感覚を体験したせいか、感覚が冴えて自分と相手との力量差がハッキリと感じ取れる)

寿限無(どんな奇襲でも、どんな人数でも、最小限の神力で的確に対処ができている)


寿限無(そんな実感を覚えつつ、私はゴーストの仲間たちが待ってる場所、>>82へと辿り着いた)

82名無しさん@転載は禁止:2017/10/12(木) 23:10:59 ID:DcIrJo3E
橋の下の小屋

83名無しさん@転載は禁止:2017/10/12(木) 23:11:35 ID:KuxEdWXE
空かずのトイレ

84 ◆WsBxU38iK2:2017/10/12(木) 23:59:04 ID:qENEJSpI
寿限無(橋の下の小屋へと辿り着いた)


寿限無(場所は音ノ木坂から少し離れた場所、まぁ黄泉の領域には変わりない)

寿限無(雲間から降り注ぐ鮮血色の光から逃れるように、その小屋は橋の影にひっそりと建っていた)


寿限無(小屋はお世辞にも立派とは言えない、素人がホームセンターで買ってきた建材で建てたような稚拙な出来)

寿限無(ゴーストたちが急遽作ったのかとも思ったけど……所々に雨風に晒されて劣化した痕跡が見られる)

寿限無(元々誰かが建てて放棄されていたものを利用してるのかしら……?)


ゴースト「ここよ、ついてきて」

ガラッ

寿限無(錆びついた扉をあけて中へ案内されると、中にはゴーストの仲間であろう3人の姿が見える)

寿限無(その1人に……私は見覚えがあった……)


ザッ

寿限無「穂乃果……さん?」


アニメ穂乃果「確か……寿限無ちゃん?」


─────────────────

音ノ木坂跡〜橋の下の小屋

AM4:59〜AM5:04 新終末編『187』了

85 ◆WsBxU38iK2:2017/10/12(木) 23:59:34 ID:qENEJSpI
というわけでここまで

アニメ穂乃果組との合流

新終末編『188』に続く
かもしれない

86 ◆WsBxU38iK2:2017/10/13(金) 20:21:40 ID:sO7fpPFo
新終末編『188』

───────────────────橋の下の小屋

AM5:04


アニメ穂乃果「確か……寿限無ちゃん?」

寿限無「は、はい!」


寿限無(今度は確かに見覚えがある、この人は亜種や合成ではない他の世界から来た穂乃果さん)

寿限無(ドスケーブ城の決起集会の時に見かけた……)


寿限無「ビワッシーといた穂乃果さん……よね?」

アニメ穂乃果「うん、その認識であってるよ、今はビワッシーはいないけどね」

アニメ穂乃果「寿限無ちゃんはあれからどうしてたの?」


寿限無「私は……そうね」

87 ◆WsBxU38iK2:2017/10/13(金) 20:22:01 ID:sO7fpPFo
寿限無「大雪山での魔王軍拠点攻略が終わったら、冥界で目覚めてカローンと一緒に冥府庁へ海未さんたちを回収に行って」

寿限無「深海で龍宮城で1悶着、その後現世に戻ってきたら究極生物の騒ぎに巻き込まれて何故か天空の城にワープ」

寿限無「そこから音ノ木坂に戻ってきて城に行ったら神造人間の襲撃があって城が消失」

寿限無「でもワクチンの量産が出来たからまた音ノ木坂までやってきたの」


アニメ穂乃果「ほうほう、私はあの後は大阪、そこで一旦倒れて次が滋賀名古屋、それでドアラランドの戦いに参加してたんだけど」

アニメ穂乃果「究極生物にやられちゃって世界の狭間にワープ、ナグルファルに救助されて冥界で諸々」

アニメ穂乃果「現世に戻ってきたら街がゾンビでピンチだったり、その後はエリーシーと一緒に琵琶湖へ」

アニメ穂乃果「そこでゴーストからこの世界のお父さんが神田明神に行ったと聞いて転移してきたんだ」


寿限無「ふむ……お互い色々あったのね」

アニメ穂乃果「だねー」


寿限無「……ん?お父さん?」

アニメ穂乃果「どしたの?」

寿限無「穂乃果さん、穂乃果さんは結局そのお父さんという人に会えたの?」

寿限無「この場には見当たらない気がするけど……」


アニメ穂乃果「ああ、お父さんなら>>88

88名無しさん@転載は禁止:2017/10/13(金) 20:25:53 ID:WFMo4ZsU
お星様になったo(`ω´ )o

89名無しさん@転載は禁止:2017/10/13(金) 20:26:16 ID:gH1m4uOA
川へ洗濯に行った

90 ◆WsBxU38iK2:2017/10/13(金) 21:13:20 ID:sO7fpPFo
アニメ穂乃果「夜空のお星様になったよ……」

寿限無(さっきまで明るく話していた穂乃果さんの顔が一気に曇る)


寿限無「え?それって……」ゴクッ

アニメ穂乃果「うん、もう触れることはできない――」

ゴースト「コラッ!勘違いさせる言い方するんじゃない!」ペシッ!

アニメ穂乃果「あいたぁっ!」


寿限無「……ど、どういうこと?」

寿限無(状況を察してお悔やみの言葉を探していたら、穂乃果さんがゴーストにチョップで叩かれていた) 

寿限無(ゴーストがあまりにコントみたいなテンションで突っ込んだせいで、マジなのか冗談なのか混乱してくる)


吸血鬼穂乃果「でも、あれは客観的に死んだと言っても間違いでないのでは?」

ゴースト「失敬ね!私の能力で一時的に幽霊にしただけよ!」

ぺぺペペーン「それを現世の人は死亡と言うのだと思うけどね……」

吸血鬼穂乃果「そうそう」

寿限無(ゴーストの熱弁に対し、遠くに座っていたハロウィンみたいな格好した亜種穂乃果と、もう一人知らない幼女が冷たく言い返す)

91 ◆WsBxU38iK2:2017/10/13(金) 21:13:42 ID:sO7fpPFo


寿限無「ゴースト?」

ゴースト「はぁ……大丈夫、ちゃんと寿限無にも説明するから」

寿限無「う、うん」

ゴースト「私たちが神田明神に着いた時、既に周辺にはウイルスが蔓延していた」

ゴースト「それに……寿限無も実感したと思うけど、音ノ木坂を中心として黄泉の門に囲まれた謎のエリアが形成されていた」


アニメ穂乃果「そこで私の目でウイルスの濃度が高い部分を避けながらお父さんを探すことにしたんだ」

アニメ穂乃果「しばらく探して……結果から言うとお父さんは見つけられた」

アニメ穂乃果「でも、その時にはお父さんはウイルスに感染、進行度も重度なものだった」


アニメ穂乃果「このままじゃお父さんはアルパカになっちゃう、そう判断した私たちは――」

ゴースト「ほのパパさんを私の力で幽霊にすることにした」

寿限無「……へ?」


ゴースト「私は幽人という種族でね、自分の体や人の体を好きに幽体化させることができるの」

寿限無「それは……幽体から実体に戻すのも自由と言うこと?」

ゴースト「自分自身なら出来るけど……残念ながらそこまで便利なものじゃないわ」

ゴースト「閻魔大王クラスならインスタントに他人の生死スイッチを切り替えられるんでしょうけど」

92 ◆WsBxU38iK2:2017/10/13(金) 21:14:16 ID:sO7fpPFo
ゴースト「私が他人……それも生きてる無能力者に施す場合は、変化させるのも戻すのも面倒な儀式が必要なのよ」

寿限無(そうなんだ、やっぱり閻魔は腐っても神様ってことか……)


ゴースト「だから、これはあくまで一旦幽霊にさせておく……という緊急避難」

ゴースト「死なせておけばウイルスの進行は進まないからね」


吸血鬼穂乃果「死なせておいて成仏しちゃったりしないのー?」

ゴースト「もう、あんたらには説明したでしょ、そうならないように穂乃果に取り憑かせてるの!」

寿限無「取り憑き……?」

アニメ穂乃果「うん、普通には見えないけど、お父さんは私に守護霊みたいな感じに憑いてるんだよ」

ゴースト「幽体を縛っておくには土地か人に縛り付けておくのが手っ取り早いから」


寿限無「そっか、ある意味で私と同じ状況なのね」

アニメ穂乃果「同じ?」

寿限無「私は悪霊に取り憑かれちゃって、穂乃果さんは悪影響があったりしない?」

貞子『おいこら……』ピキッ


アニメ穂乃果「私の方は全然、むしろ守護霊の力で助かることいっぱいだよ」

アニメ穂乃果「例えば念じただけで手からお饅頭出るようになったし……」

寿限無(……ある意味ホラーね)


アニメ穂乃果「他には>>93

93名無しさん@転載は禁止:2017/10/13(金) 21:17:13 ID:Hjeevlu.
光る棒を生み出せる

94 ◆WsBxU38iK2:2017/10/13(金) 22:14:29 ID:sO7fpPFo
アニメ穂乃果「手から光る棒を生み出せる」バッ!!

寿限無「おおっ」

寿限無(穂乃果さんが手をぐっぱーすると30センチ程度の長い棒が出現した)

寿限無(ライトセ○バーというよりはサイリウムに近い印象を受ける棒だ)


ぺぺペペーン「それ攻撃に使えるの?」

アニメ穂乃果「振ると綺麗!色も変えられる!」

ぺぺペペーン「まだ饅頭のほうが栄養になるだけ実用的ね……」モグッ

寿限無(よく見ると小屋の中心に置かれてるテーブルの上、更に何個か饅頭が置かれていた)

寿限無(あれ穂乃果さんが出したものだったんだ)


ゴースト「……さて、次は寿限無から話をしてもらいましょうか」

寿限無(ゴーストが木の椅子に座り、私にも座るように促してくる)

寿限無(私はそれに従い少し湿った椅子に座りながらこれまでの経緯を話し始めた)

寿限無「そうね、私がここに来たのは――」





95 ◆WsBxU38iK2:2017/10/13(金) 22:14:55 ID:sO7fpPFo




寿限無「――ってわけよ」

アニメ穂乃果「ふむふむ、それで音ノ木坂跡で英玲奈さんたちと逸れちゃったわけか」

吸血鬼穂乃果「アルパカの本拠地だし危険よ、助けるなら早めに動かないと」

寿限無「ええっ」コクンッ


寿限無「そのためには穂乃果さんにワクチンを打つ必要がある」

アニメ穂乃果「そっか、ワクチン持ってきてるんだっけ」

寿限無「他に打つ人は…………」

ゴースト「私は死人だから」スッ

ペペペペーン「私は別のウイルス持ってるから」スッ

吸血鬼穂乃果「私は吸血鬼だから」スッ


寿限無「そ、そう」

寿限無(最後の人の理由はいまいちピンと来ないけど……とにかく穂乃果さんだけで良いってことね)


寿限無「貞子!ビデオロッドの中からマッキーを外に出したいんだけど、どうすればいい?」

貞子『だったら……>>96

96名無しさん@転載は禁止:2017/10/13(金) 22:28:20 ID:gH1m4uOA
テープをガーッと引き出して

97 ◆WsBxU38iK2:2017/10/13(金) 23:00:35 ID:sO7fpPFo
貞子『ビデオからテープをガーッと引き出してビリビリに破れば出て来る』

寿限無「そんな雑でいいの……?てかテープが見えないんだけど」

貞子『いい……やれ……見えなくてもテープがそこにある……』


寿限無「ふむ……」

スチャッ

寿限無(私は腰についたままのビデオロッドを取り出す)

寿限無(長方形に組まれたロッドの内側には何もない、でも目を凝らすと微かなエネルギーの本流が見える)

寿限無(これが貞子の言う見えないビデオテープというやつなんだろう)

グッ

寿限無(その場所に手を突っ込むと確かにテープの感触が感じられる)

寿限無(これを思っきり引っ張って――)

グイッ!

ビリリリッ!!

寿限無(――破る!!)


キィィィィィンッ! シュンッ!!


アニメ穂乃果「おおっ!」

寿限無(すると封印の際と逆の流れに光が溢れてマッキーが出現する)


マッキー「…………?」パチッ

寿限無(出てきたマッキーは>>98)

98名無しさん@転載は禁止:2017/10/13(金) 23:08:05 ID:b.jj..Zo
頭のネジが数本抜けたみたいだ

99 ◆WsBxU38iK2:2017/10/13(金) 23:57:16 ID:sO7fpPFo
寿限無(出てきたマッキーは頭のネジが数本抜けたみたいな顔をしていた)


マッキー「……あれぇ?ここどこ?」

寿限無「マッキー、何か様子が違うくない?」

マッキー「マッキー……?」ボケー

寿限無「あなたのことよ!!」

マッキー「あ、あたしかー!てか寿限無だ寿限無ー!」ガシッ

寿限無「のわぁっ!?」


寿限無(マッキーは無邪気に白衣をバタバタさせながら私に抱きついてくる)

寿限無(正直背筋が凍る、鳥肌満載で体が硬直したまま動かない)

ブルルルッ!

寿限無「どどどういうことよ貞子!マッキー明らかに精神に異常きたしてるんだけど!?」

貞子『うーん……テープの破き方が悪くて一部精神に欠損が出てるのかもねぇ』

貞子『この様子だと記憶の欠落と幼児退行が合わさった感じかしら……』

寿限無「雑で良いって言ったじゃない!!」

100 ◆WsBxU38iK2:2017/10/13(金) 23:57:31 ID:sO7fpPFo


貞子『まぁマッキーには違いないわ、私はロッドの中に潜って欠損部分を探してるから、あなたはあなたで頑張りなさい』

シュンッ

寿限無「そんなぁ……」

寿限無(憑依状態の貞子との通信は消える、探すと言ってたけど英玲奈と離れた状態でそんな余力あるのかな)


マッキー「……?」

寿限無(……で、目の前にはボケーっとしたマッキーが残される)

寿限無(仕方ない、私が何とかするしかないか)


マッキー「ねぇ……ママ、ママは?寿限無……あたしのママ知らない?」

寿限無「ママはここにはいないわ、それよりあなたに頼みたいことがあるの」

寿限無(私はマッキーを引き離し、優しく肩を掴んで諭すように話しかける)


寿限無「これはあなたにしか頼めない仕事なのよ、やってくれないかしら」

マッキー「あたしにしか……?あたしだけができる仕事……」


マッキー「うん!やってみる!任せて寿限無!」グッ!

寿限無「ははは……」


寿限無(……大丈夫かなぁ、これ)


─────────────────

橋の下の小屋

AM5:04〜AM5:09 新終末編『188』了

101 ◆WsBxU38iK2:2017/10/13(金) 23:58:16 ID:sO7fpPFo
というわけでここまで

次はポンコツマッキーのワクチン打ちから

新終末編『189』に続く
かもしれない

102!ken:99:2017/10/14(土) 09:44:46 ID:r2kmER0w
をつ

103 ◆WsBxU38iK2:2017/10/14(土) 20:27:59 ID:8FWe7m92
新終末編『189』

─────────────────
──橋の下の小屋

AM5:10


マッキー「さぁー!打つわよー!」キラリーン

アニメ穂乃果「ちょっ!だだだだだ大丈夫なの!?ねぇ寿限無ちゃん!」

寿限無「まぁ……身を委ねるしかないんじゃない」

アニメ穂乃果「ええええっ!!」


寿限無(小屋の一画、椅子に縛り付けられた穂乃果さんの訴えが響く)


寿限無「はぁ……」

寿限無(何を隠そうこの状況はマッキーが作り出したもの)

寿限無(私の話を聞いたマッキーは謎の包帯を取り出すと穂乃果さんをグルグル巻きに固定、椅子に縛り付けてしまった)

寿限無(無邪気なマッキーは穂乃果さんの膝に勢い良く跨ると、穂乃果さんの腕を取って注射器を宛てがう)


マッキー「うっごかないでね〜、変なとこに刺しちゃうかも〜」

アニメ穂乃果「ひぃぃぃっ!」

寿限無(……で、この有様)

104 ◆WsBxU38iK2:2017/10/14(土) 20:28:17 ID:8FWe7m92


寿限無(私と言えば他の3人を大丈夫だからと説得し、怯える穂乃果さんを宥めてるけど……)

ゴースト「本当にアレに任せて平気なの?」

寿限無「ま、まぁ……」

寿限無(問題ない……とは言い切れない)

寿限無(あのマッキーについては私自身が1番心配してるもの)


寿限無(無邪気やポンコツと言えば聞こえは良いが、今のマッキーは最低限あった心の歯止めが消えているのに近い)

寿限無(理性の蒸発したマッドサイエンティストなんて、ブレーキの壊れた暴走機関車と同じ)

寿限無(何事もなく終わることを祈るしかないわ)


マッキー「じゃ刺っしまーす!」

アニメ穂乃果「……っ!」

ブスッ!!

寿限無(そしてマッキーが穂乃果さんへワクチンを注入、それは上手く成功し>>105)

105名無しさん@転載は禁止:2017/10/14(土) 20:31:00 ID:6r5PeYQA
たが注射の痛みで大泣きした

106名無しさん@転載は禁止:2017/10/14(土) 20:31:05 ID:Xj2JIG3w
た(物凄く痛い)

107 ◆WsBxU38iK2:2017/10/14(土) 21:09:37 ID:8FWe7m92
寿限無(成功したけど……)


アニメ穂乃果「っ!いっ……たぁあああああああああっ!!」

マッキー「もー!我慢しなさい!」

アニメ穂乃果「無理無理!痛い痛い!ひっ……ひくっ!うぇええええええんっ!!」

寿限無(穂乃果さんは注射の痛みで大泣きしてしまった)

寿限無(叫びに守護霊が反応してるのか、饅頭や光る棒が空中に出現しては床にボタボタ落ちている)


ゴースト「なに……あの注射そんなに痛いものなの?」

ぺぺぺペーン「受けないでよかったわ……」サーッ

寿限無「私が受けたときはそんな泣き叫ぶほど痛くは無かったしけどねぇ」


寿限無(たぶん今のマッキーが下手くそなんでしょう)

寿限無(知能レベルは変わらないけど、それを支える思考や経験で培った技術的な部分が後退してる……って感じなのかしら)

108 ◆WsBxU38iK2:2017/10/14(土) 21:10:07 ID:8FWe7m92


ゴースト「ねぇ寿限無、あの西木野真姫もどきってマッキーよね」

寿限無「え?ゴーストは真姫さんとマッキーを知ってるの?」

ゴースト「ええ、グリードと一緒にいた時に敵として顔を合わせた程度だけど」

ゴースト「あの時は気付かなかったけど、元型情報共有できる今見ると尚更そっくりね」

ゴースト「マッキーがこの世界での西木野真姫ってところかしら?」

寿限無「う、うん」

ゴースト「なるほどなるほど」



寿限無(そんな会話をゴーストとしていると注射を終えたマッキーがおぼつかない足取りで歩いてくる)

マッキー「そこ!あたしは真姫じゃなくてマッキー!ママもマッキーって呼ぶんだから!」

ペタペタ

寿限無「やけに穂乃果さんが静かになったわね、注射はちゃんとしたの?」

マッキー「うん、泣き叫んでうるさかったからワクチンのついでに軽い麻酔をぶちこんどいた」

寿限無「んなっ……」

マッキー「すぐ目覚める量だから大丈夫だってー」

寿限無「はぁ……この人はも〜」


吸血鬼穂乃果「ワクチンを打てたのなら良いわ、次に私たちが話し合わなきゃいけないのはアルパカをぶっ倒す算段」

ゴースト「そうね、穂乃果の魔眼で偵察した感じ、あの音ノ木坂跡一帯の空間は>>109

109名無しさん@転載は禁止:2017/10/14(土) 21:17:59 ID:ESbpvbRA
まるでアルパカ王国

110 ◆WsBxU38iK2:2017/10/14(土) 22:18:23 ID:8FWe7m92
ゴースト「あの音ノ木坂一帯の空間はまるでアルパカ王国」

ゴースト「ウイルスの発生源となっているアルパカを多数のアルパカたちが守護するように配置されている」

ゴースト「それに加えて……」


吸血鬼穂乃果「学校中心部のAAS地帯、あそこが時に厄介ね」

ゴースト「ええ」

吸血鬼穂乃果「AASに覆われた東日本の中で、黄泉の門に囲まれてるここは何故か雪の降らない例外的な特区」

吸血鬼穂乃果「けれどその中であの場所だけ、煙幕のようにAAS粉塵が舞い続けている」

吸血鬼穂乃果「あの持続量、単に地面に積雪してるものを舞い上げてるとは思えないのよね」

ぺぺぺペーン「何か仕掛けがあるはずとは思ってるんだけど……これがさっぱり」

寿限無「私が英玲奈たちと逸れてしまった場所か……」


ゴースト「まるで異能者を弾くバリア、あそこだけは穂乃果の魔眼じゃ観測できないのよ」

ゴースト「事前に調べられないからどんな敵や罠があるか分からない、それだけ隠すってことは重要なものがあるんでしょうけど……」

寿限無「……ふむ」

111 ◆WsBxU38iK2:2017/10/14(土) 22:18:41 ID:8FWe7m92
吸血鬼穂乃果「次は私が行くわよ、今のスーパー高貴な私ならAAS関係ないし」

ぺぺぺペーン「もう皆で行ったほうが良いんじゃない?1人1人行ったってゴーストみたいに助けられて帰ってくるのがオチだと思う」

ゴースト「あの……一応私が寿限無を助けて来たんだけど……?」


寿限無「そうね、これだけの人数で一気に攻めればゴリ押しで――」

マッキー「ねぇねぇ、ねぇねぇ」グイッ

寿限無「ん?どうしたの?」

マッキー「あたし、テープの中から見てたけど……あの雪のやつ見覚えがあるよ」

寿限無「本当!?」

マッキー「うん、魔王が北海道で使った雪に混ぜるやつの試作機だと思う、粒子のぐぉーって舞い方が外の雪と違うもん」

寿限無「それは素人目には分からないけど……とにかく知ってるのね!発生させてる方法は分かる?」


マッキー「分かるよー、あれは確か>>112で粒子を作っていたはず」

112名無しさん@転載は禁止:2017/10/15(日) 00:23:19 ID:d3gb8Eu6
人間の生命力を結晶化する機械

113 ◆WsBxU38iK2:2017/10/15(日) 01:26:17 ID:.HvDZGV.
マッキー「人の生命力を結晶化する機械で作っていたはずだよー!」

寿限無「人の生命力……!?」

ゴースト「どういうことよ!」


マッキー「言葉のとおりだってー、抽出した生命力を機械で結晶化、そこに異能破壊概念を付与して散布する方法」

マッキー「生結晶ベースだと非常に濃度の高く重い結晶になって、異能を阻害する効果は雪の結晶より強いんだー」

マッキー「しかも重いから散乱せずに地面から一定の高度に溜まる性質があるのー」


寿限無「なるほど……だから敷地の中心に留まっているのね、しかも視界が遮らるほどの濃度」

マッキー「まぁ魔王は風に乗って軽く広がる改良型AASのほうを選んだみたいだけどー」

マッキー「人の生命力ベースってよく頭のおかしい科学者が好むけど、手軽そうにみえて面倒くさいんだよね」

マッキー「その点水なら地球上で1番多くあるし魔王の判断は正しいと思うかな〜」


寿限無(解説してる時はあんまり前のマッキーと変わらないわね……喋らせとけば大人しいタイプかしら)

114 ◆WsBxU38iK2:2017/10/15(日) 01:26:45 ID:.HvDZGV.


吸血鬼穂乃果「待って、あの重いAAS――重AASが生命力を元に作られてるということは、現在進行形で誰かが犠牲になってるわけ?」

ぺぺぺペーン「なっ……!確かにそういうことになるけど……」

マッキー「えー?気付かないの〜?」

寿限無(そんなシリアスに切り込む質問に、マッキーは算数が分からない子供を相手にするような軽い口調で答える)


マッキー「ここがさ……今どんな領域だか分かる?」

ぺぺぺペーン「どんなって……」

ゴースト「黄泉の門に囲まれた、黄泉の領域……!」

マッキー「そうそう、ここは死者の領域、踏み入った生者は死者に反転されちゃう」

マッキー「何かしらのズルで生きたまま侵入出来たとしてもー、限りなく死者に近い存在になるんだよ」


吸血鬼穂乃果「現世にいる人間より生命力を奪いやすい……ということ?」

マッキー「うん、実際どんな技を使ってるかは分かんないけどね」

吸血鬼穂乃果「参考まででいいわ、考えられるものを教えなさい」

マッキー「うーん……例えば神話で黄泉へ潜ったイザナギの話だったり、冥界に連れ去られたペルセポネの話を知ってれば分かると思うんだけど」

マッキー「死の国には『見るな』『振り返るな』『食べるな』といった生者に対するタブーが多いの」

マッキー「そういったタブーを術式に組み込めばー、"ここ"では簡単に生者から生命力を吸い取れると思うよー?」

吸血鬼穂乃果「ふむ……」

115 ◆WsBxU38iK2:2017/10/15(日) 01:26:59 ID:.HvDZGV.


マッキー「黄泉の領域に人を連れ込めば連れ込むだけ死者になってエネルギーがポンポン湧き出る」

マッキー「他にも感染してアルパカにしたやつらをぶっ殺しても手に入るし、ズルして侵入してきた異能者をタブー術式で嵌めて餌にしてもいい」

マッキー「異能者や達人は生命力が高いからね〜、一般人から取るより遥かに効率がいい」

マッキー「一匹二匹捉えられたらあの広さの重AASを運用するには充分じゃないかな〜」


ゴースト「そっか、この領域ならエネルギーなんていくらでも調達できるわけか」

マッキー「うんうん、思いつかない方が馬鹿なくらいにはあると思うよ」


寿限無「エネルギーがほぼ無尽蔵なら機械を壊したほうが手っ取り早い」

ゴースト「ええ、大体方針は決まったわ」

吸血鬼穂乃果「よし……」


ゴースト「確認するわよ」

ゴースト「私たちはこれから慎重に気を付音ノ木坂跡に侵入、自分たちが倒されやすいということを念頭に起き、敵や罠には最大限注意すること」

ゴースト「おそらくは重AAS内にある発生装置を見つけて壊し、穂乃果の魔眼を使えるようにする、そして――」


寿限無「ウイルスの原因となってるアルパカを探し出して叩く!これで決まりね!」


─────────────────

橋の下の小屋

AM5:10〜5:20 新終末編『189』了

116 ◆WsBxU38iK2:2017/10/15(日) 01:28:14 ID:.HvDZGV.
というわけでここまで

次は再突入

新終末編『190』に続く
かもしれない

117 ◆WsBxU38iK2:2017/10/15(日) 20:03:29 ID:.HvDZGV.
新終末編『190』

─────────────────
──橋の下の小屋

AM5:22


ガラッ

寿限無「小屋の周囲は……異常なしと、じゃあ行くわよ!」

ゴースト「ええっ」コクンッ

タタタッ


寿限無(あれから諸々の確認を終えた私たちは、早速行動に移ることにした)

寿限無(音ノ木坂までは一列になって周囲を警戒しながら進む、先頭を行くのは感覚の鋭い私)

寿限無(私が小屋の扉を開けて外に出ると、後ろにゴースト、マッキー、眠った穂乃果さんを背負ったぺぺぺペーンが続く)

寿限無(そして最後尾の吸血鬼穂乃果が扉を閉めて仮拠点とはさよなら)


タタタタッ

寿限無(橋の下から土手を登って上の道へ……)

キョロキョロ

寿限無(ここには敵の様子はない、後ろを振り返って見ても足取りが遅れてる人はいない)


寿限無(それにしても……ぺぺぺペーンはよく小さな体で穂乃果さんを楽々担げるものだわ)

118 ◆WsBxU38iK2:2017/10/15(日) 20:03:54 ID:.HvDZGV.
寿限無「ぺぺぺペーン!本当に大丈夫?」

ぺぺぺペーン「平気よ、さっき隊列を決める時も言ったでしょう」

ぺぺぺペーン「私はバグスターウイルスで力が倍増されてるの、このくらいの荷物はなんでもないわ」

寿限無「それなら私でも――」

ぺぺぺペーン「逆に言えば私は力以外は取り柄がないってことよ」

ぺぺぺペーン「先頭の最後尾の2人には余計な負担かけたくないからこうして雑用してるの、あなたたちは自分の仕事に集中してて」

寿限無「う、うん」


寿限無(ぺぺぺペーンの言う通りではある……穂乃果の起床やマッキーの精神修理を押しても出発したのは、それだけ時間が無いということ)

寿限無(私は私の仕事をきっちりとこなさないといけない)


ゴースト「まぁまぁ、この辺りはまだピリピリしなくていいわよ」

ゴースト「最初にあの小屋に来た時も敵がいる雰囲気は無かったし、私が往復しても襲われることは無かったわ」

寿限無「ねぇ……そういえば聞きたかったんだけど、あの小屋はなんなの?」

寿限無「偶々見つけたのか、誰かが知ってたのか、聞こうと思ってたけどタイミング逃しちゃってたのよね」


ゴースト「ああ、あれなら>>119

119名無しさん@転載は禁止:2017/10/15(日) 20:06:27 ID:0U.zB62.
セーブポイントよゲームオーバーしたらあそこからやり直し

120 ◆WsBxU38iK2:2017/10/15(日) 21:18:36 ID:.HvDZGV.
ゴースト「セーブポイントよ、ゲームオーバーしたらあそこからやり直し」

寿限無「セーブポイント……?」

寿限無(またこの場にそぐわない単語がゴーストの口から飛び出る)


寿限無「それってゲームか何かの話?」

ゴースト「そのまんまよ、あの小屋にはゲームのセーブポイントに似た機能が備わっているの」

ゴースト「ほら、これを読んでみて」ポイッ

寿限無「……?」パシッ


寿限無(後ろのゴーストから投げ渡された古びたマニュアル本のようなものをキャッチ)

寿限無(ページが所々抜けてるのか非常に薄いマニュアルだ、装丁は黒一色で白文字で書かれたタイトルは掠れて読めない)

寿限無(引き続き歩きながら開いて読んでみると――)

121 ◆WsBxU38iK2:2017/10/15(日) 21:19:00 ID:.HvDZGV.
スタスタ


寿限無「なになに……?」

マニュアル『この小屋はセーブポイント、セーブは小屋に入った時点で自動的にされる』

マニュアル『この小屋は×××が作ったものであり□□□□の効果が付与されている』

マニュアル『そのため外のどの空間とも切り離された独立した空間となっていて、外からは如何なる干渉も受けない』

マニュアル『そこで同じ□□□□を持つ私が小屋をセーブポイント兼セーフポイントへと改造したのですっ』


寿限無("私"……小屋を改造した人物がマニュアルを書いたのかしら……)


マニュアル『小屋でセーブを行った対象はゲームオーバーに当たる出来事が起こるとセーブポイントに戻ってくる』

マニュアル『つまりそこからやり直しすることができるわけ、便利ですねー』

マニュアル『ちなみにゲームオーバーに当たる出来事の例は>>122

122名無しさん@転載は禁止:2017/10/15(日) 21:29:42 ID:d3gb8Eu6
死、消滅、失恋、嫁の両親に結婚を認めてもらえなかった

123 ◆WsBxU38iK2:2017/10/15(日) 21:56:44 ID:.HvDZGV.
マニュアル『死、消滅、失恋、嫁の両親に結婚を認めてもらえなかったなどが当たります、他にもあるかも』

寿限無(随分適当というかフランクなマニュアルね、しかし……)


寿限無「あそこでセーブした私たちは死んでも戻れるってこと?」

ゴースト「マニュアルの中身をそのまま受け取るならそうなるわね」

寿限無「ふむ……」

ゴースト「私たちも存在を知っていて見つけたわけじゃない、逃げていたら偶々見つけたのよ」

ゴースト「ただ……マニュアルの文面を見るにただの偶然では無さそうね」

寿限無「え?」

ゴースト「次のページくらいかな、そこに『付近の助けを求める人を無意識に呼び寄せる』って書いてる』」

寿限無「ほんとだ」


寿限無(つまりは小屋がゴーストさんたちを呼び寄せたということになる)

寿限無(そんな能力?を持った小屋……いったい誰が何の意図でそんな改造をしたのか……)


スタスタ

124 ◆WsBxU38iK2:2017/10/15(日) 21:56:58 ID:.HvDZGV.




ぺぺぺペーン「寿限無さん、そろそろ音ノ木坂跡です」

寿限無「はっ!ご、ごめん!」


寿限無(マニュアルをゴーストに返して、私は周囲に目を配らせる)

寿限無(五感を神力で強化、校舎の周囲不審な人や物が無いかを確認……)

キョロキョロ


寿限無(相変わらずウロウロしてる生気のない音ノ木坂の生徒、それから他には>>125)

125名無しさん@転載は禁止:2017/10/15(日) 22:20:14 ID:/rv/Yvvg
生徒会長と書いたたすきをかけて生徒たちを操っている仮面をつけた謎の人物

126 ◆WsBxU38iK2:2017/10/15(日) 22:53:52 ID:.HvDZGV.
寿限無(校門跡の前に、生徒会長と書いたたすきをかけて仮面を付けた謎の人物がいた)

寿限無(その人物はどうやら身振り手振りで生気のない生徒たちを操ってるみたいで……)


ゴースト「なにあいつ?あんなやつさっきは見なかったし、魔眼で偵察した穂乃果も何も言ってなかったわよ!?」

寿限無「ゴーストとマッキーとぺぺぺペーンは後ろへ!」

吸血鬼穂乃果「安全が確認できるまで前に出ちゃダメよ下民たち」

ザッ


寿限無(仮面の人物と私たちはお互いに視認できる距離にいる、けれど仮面の人物がこちらに何かする様子はない)

寿限無(気付いてないのか、気付いていて敢えて無視しているのか……)


ゴースト「ねぇ寿限無、あなたはμ'sや前の世界を知ってるのよね」

寿限無「え?えぇ……多少は」

127 ◆WsBxU38iK2:2017/10/15(日) 22:54:05 ID:.HvDZGV.
ゴースト「だったら不思議に思わなかった?この世界ではとっくに廃校したはずの音ノ木坂の生徒たちが、何故ここにいるのか……」

寿限無「うん、アルパカの感染者と考えても、本来いるはずのない生徒が律儀に制服を着て集まってるなんて変だと思う」


ゴースト「そう……明らかにアルパカウイルスとは別の要因」

ゴースト「それで今思ったんだけど、もしかしたらあの生徒会長仮面が原因なのかも」

寿限無「……なるほど、だったら手っ取り早く本人に聞いてみましょう」


ザッ!!

寿限無(私は一歩前に出ると、よく通る大きな声で叫ぶ)

寿限無「やいそこの生徒会長!あなたは何者なの!?」

 
生徒会長仮面「……>>128

128名無しさん@転載は禁止:2017/10/15(日) 23:31:57 ID:BEFVccbQ
生徒会長の中の生徒会長

129 ◆WsBxU38iK2:2017/10/16(月) 00:14:55 ID:XcksMtdQ
生徒会長仮面「私は生徒会長の中の生徒会長!」

寿限無「はぁ……?何よその100%中の100%みたいなのは」


生徒会長仮面「まだ分からない?各学校の生徒のトップが生徒会長、その生徒会長の中でトップなのが私」

生徒会長仮面「生徒会長中の生徒会長、生徒会長オブ生徒会長、生徒会長を超えた生徒会長」

生徒会長仮面「ありとあらゆる三千世界の生徒会長を束ねるアルティメットハイパー生徒会長、それが私よ!!」

ドバァァァァンッ!!


吸血鬼穂乃果「バカなの?」

寿限無「たぶんバカだと思う、でも経験からするとバカな敵のほうが厄介なことが多い」

寿限無「最大限に気を付けたほうがいいわ、あの生徒会長かめ……長いから生徒会長でいいか」


生徒会長「私は全ての世界の学校の生徒会長に成り代わり、生徒会長に属する全ての生徒を操ることができるのよ」

生徒会長「こんな風にね」パチンッ!

ボッ!!!!

寿限無「……っ!」

寿限無(生徒会長が指を鳴らすと地面から生気のない音ノ木坂生徒が召喚される、その数は元から彷徨っていた量の数倍!)

130 ◆WsBxU38iK2:2017/10/16(月) 00:15:21 ID:XcksMtdQ
寿限無「やっぱり……あなたの仕業だったのね」

生徒会長「そうよ、今はとある並行世界の音ノ木坂の生徒会長に自分をチェンジ、その配下である音ノ木坂生徒を召喚してるわけ」

寿限無(音ノ木坂か……よく見ると仮面の額の所に『音』って文字が表示されてるわ)

寿限無(でも仮面で隠れてない部分の体は絵里さんとは違う、音ノ木坂ってだけで別の生徒会長なのかしら)


生徒会長「今私がチェンジしてる生徒会長の世界――その時代の音ノ木坂生徒たちは、スクールアイドルに敏感なのよ」

生徒会長「スクールアイドルの輝きに反応して襲いかかるように群がるらしくてね」

寿限無「恐ろしい並行世界ね……」


生徒会長「私が操って強化させた彼女らの嗅覚は凄まじいわ、かつてスクールアイドルを体験したものはもちろん」

生徒会長「どこかの並行世界でスクールアイドルだったもの、その要素があるものを嗅ぎつけて襲いかかる!」


寿限無「そうか、だからマッキーが狙われて……もしかしたらヨハネも……?」

131 ◆WsBxU38iK2:2017/10/16(月) 00:15:39 ID:XcksMtdQ


生徒会長「おやぁ?ここにもスクールアイドルの匂いを振りまいてる人がいるみたいね」

生徒ズ「……!」ピクッ

寿限無「しまった!ゴーストとマッキーが狙われる!」

ザッ!

生徒ズ「うおおおおおおおおおっ!」

ドドドドドドドドドドドドッ!!!!


寿限無(もはや100人近くなった生気のない生気たちがラグビーのタックルよろしく突っ込んでくる)

寿限無(数の暴力、人の荒波、2人が飲み込まれたらただでは済まない)

寿限無(私ならこのくらいぶん殴って吹き飛ばすのは簡単だけど――)


吸血鬼穂乃果「不味いわね、止めるわよ!」グッ

寿限無「ダメよ!相手は操られただけの一般人!私たちの攻撃じゃ殺しちゃう!」


吸血鬼穂乃果「なぁに、攻撃するだけが人間を止める術じゃないわ」

寿限無「え?」

吸血鬼穂乃果「しかと見てなさい寿限無、私の高貴で美麗な技を――!」


─────────────────

橋の下の小屋〜音ノ木坂跡前

AM5:22〜AM5:27 新終末編『190』了

132 ◆WsBxU38iK2:2017/10/16(月) 00:16:40 ID:XcksMtdQ
というわけでここまで

次は吸血鬼穂乃果のターン

新終末編『191』に続く
かもしれない

133 ◆WsBxU38iK2:2017/10/16(月) 20:11:35 ID:XcksMtdQ
新終末編『191』

─────────────────
──音ノ木坂跡前

AM5:27


ピッ!

寿限無(一閃――)

寿限無(吸血鬼穂乃果が自らの青白い左手首を右手の爪で切り裂くと、一筋の血が滲み放射状に迸る)

シュゥゥッ!

寿限無(赤い一閃――)

寿限無(その血は自らの体積をあっと言う間に10倍以上に膨らませ、吸血鬼穂乃果の意思により姿を変える)

寿限無(こちらへ襲いかかって来る生徒たちを迎え撃つために……!)


シュルルッ!

ドシュシュッシュッシュッ!!

寿限無(その姿は弾丸、まるで無重力状態のように空中に散らばっていた血液が丸く纏り、複数の血の弾丸となって発射される)

寿限無(初めは野球ボール程だった血の弾丸は空中を進むにつれ分裂、分裂に分裂を繰り返し、散弾銃よろしく広がっていく)

寿限無(そして生気のない生徒の群れに着弾する頃には目に見えない大きさに――)


バララララララララララッ!!

生徒ズ「……っ!?」ビクッ!

134 ◆WsBxU38iK2:2017/10/16(月) 20:12:13 ID:XcksMtdQ


生徒会長「……び、びっくりした、血の弾丸で攻撃するつもりだったんでしょうけど、細かくしすぎてノーダメージだわ」

生徒会長「正に本末転倒、やってしまいなさい生徒たち!」


シーーーーーン

生徒会長「……生徒たち?」


寿限無(動かない、生徒会長の命令に生徒たちはピクリと反応しない)


吸血鬼穂乃果「血の隷属――」

生徒会長「……!?」

吸血鬼穂乃果「攻撃できないなら操りを上書きしてあげればいいのよ、高貴な私に相応しい技でね」


生徒会長「隷属ですって……私の生徒を返しなさいっ!」

吸血鬼穂乃果「嫌なこった、生徒たち!今度は私の命令よ!>>135

135名無しさん@転載は禁止:2017/10/16(月) 20:16:14 ID:cz0cfA4A
生徒会長を快楽の底に堕としなさい

136 ◆WsBxU38iK2:2017/10/16(月) 21:11:20 ID:XcksMtdQ
吸血鬼穂乃果「生徒会長を快楽の底に堕としなさい!」

生徒ズ「はっ!主の命令のままに!」

ダタタタタタッ!!

寿限無(私たちを襲う直前だった生徒の群れは反転し、生徒会長へ向かって走り出す)

寿限無(生徒たちの目は血のように赤く染まっている、あれが吸血鬼穂乃果に操られてる状態ってことか……)


寿限無「でも驚いたわ、吸血鬼って直接噛まなくても眷属を作り出せるのね」

吸血鬼穂乃果「ええ、本来の私の力ならそうよ」

寿限無「……え?」

吸血鬼穂乃果「でも今の私はスペシャルなの」


生徒会長「くっ……!」

ダタッ!

寿限無「あっ!生徒会長が敷地の中に逃げる!」



タタタタッ!

生徒会長「焦ることはないわ、所詮相手は異能者、だったらAASの中に逃げ込めばいいのよ!」

ボフンッ!

生徒会長「よし、この中に入れば吸血鬼がかけた命令も薄まるはず――」

生徒ズ「うおぉぉぉぉっ!!」

ドドドドドドッ!

生徒会長「ってええええっ!?」

137 ◆WsBxU38iK2:2017/10/16(月) 21:11:41 ID:XcksMtdQ
吸血鬼穂乃果「浅はかねぇ……」シュルルッ!

ヒュンッ!


ガシンッ!

生徒会長「ぐっ!」

寿限無(吸血鬼穂乃果が作り出した血の鎖が重AASの中に飛び込んだ生徒会長に絡みつく)

寿限無(重AASの内部はホワイトアウトしていて外からは見えないけど、入った直後の今なら見えなくても狙いはつけられる) 

寿限無(いや……違う、私や生徒会長が驚いてるのは別のことだ)


寿限無(吸血鬼穂乃果に操られた生徒たちはAASの中でも平然と動き、血の鎖もAASの中まで届いているという事実)


寿限無「吸血鬼穂乃果、あなた亜種穂乃果じゃなかったの?」

吸血鬼穂乃果「はて……そんなこと一言でも言ったかしら?」

ザッ

吸血鬼穂乃果「以前の私がどんな意図で何者として作り出されたか、そんなことは関係ないわ」

吸血鬼穂乃果「今の私は賢者の石を取り込んだ完全なる上位種族、吸血鬼の名を名乗るに相応しい力を持っているのよ」


吸血鬼穂乃果「そんな粉末ごときで止められると思ったら……大間違いなんだから」クイッ

生徒会長「……っ!」

138 ◆WsBxU38iK2:2017/10/16(月) 21:12:13 ID:XcksMtdQ


生徒ズ「うおおおおおおっ!やらせてええええええっ!!」

ドドドドドドッ!!

生徒会長「や、やめなさいあなたたち!私を誰だと思って……んんっ!やめっ、ひゃあああああああああっ!!」


寿限無(重AAS地帯の中から生徒会長の甘美な悲鳴が響き続ける)

寿限無(直接姿は見えない、けれど血の鎖で束縛されてる以上抵抗することはできない)

寿限無(100を超える生徒の群れに仮面や服を引き剥がされ、揉みくちゃに快楽責めされ続けていることだろう)




寿限無(やがて悲鳴が収まり、生徒の群れの動きも止まる)

寿限無(私と吸血鬼穂乃果が慎重に血の鎖を辿り、生徒会長がいるはずの場所に行ってみると>>139)

139名無しさん@転載は禁止:2017/10/16(月) 21:17:09 ID:pjPOsp46
アヘ顔ダブルピース

140 ◆WsBxU38iK2:2017/10/16(月) 21:53:36 ID:XcksMtdQ
寿限無(アヘ顔ダブルピースで地面に転がっている全裸の生徒会長の姿があった)

寿限無(穴という穴から液体を垂れ流し、もはや戦う気力というものが感じられない)


生徒会長「あ……あぐっ……うへへへへ……」ピクピク

寿限無「酷い有り様ね、もう抵抗は無駄よ」

吸血鬼穂乃果「これ以上堕とされたくないのなら降参して情報を吐くことね」


生徒会長「わ……分かったわ、だからもうやめ……んんっ!」ビクンッ!

寿限無「まず聞くけど、あなたは新魔王軍の人?」

生徒会長「そ……そうよ……アルパカを守りに派遣されたの……」

141 ◆WsBxU38iK2:2017/10/16(月) 21:53:51 ID:XcksMtdQ
生徒会長「ま、まぁ、私が守るまでもなく……ウイルスは既に拡散されてるけどね……はぁはぁ……」


寿限無「どうでもいいわ、アルパカは私たちがぶっ倒すから、アルパカはどこ?」

生徒会長「それは……教えられない……」

寿限無「はぁ!?」

吸血鬼穂乃果「じゃあ重AASを発生させている機械の場所は?それは教えなさい」


生徒会長「分かった……それで見逃して……」

吸血鬼穂乃果「ええ」コクンッ

生徒会長「このAASを発生させてる場所は、学校の中の>>142よ」

142名無しさん@転載は禁止:2017/10/16(月) 22:24:01 ID:91r2nSq6
スクールアイドル研究部の部室

143 ◆WsBxU38iK2:2017/10/16(月) 23:07:41 ID:XcksMtdQ
生徒会長「スクールアイドル研究部の部室……だった場所よ……」


吸血鬼穂乃果「スクールアイドル研究部?」

寿限無「μ'sが使ってた部屋よ、きっとゴーストなら場所が分かるから戻りましょう」

寿限無「生徒会長は脱力しててどうせ動けないし、仮面もこうして回収したし――」


ピクッ

生徒会長「くくっ……油断したわね!」スッ

寿限無「へ?」

寿限無(私たちが目を離した隙に、生徒会長は仰向けだった体をうつ伏せに反転させ、何やら複雑怪奇な動きをする)

寿限無(すると辺りにノイズが走って……)

シュシュッ!!

寿限無(裸の生徒会長の姿が消えたかと思うと、同じ場所に服を着た生徒会長が現れた)


寿限無「なっ!」

吸血鬼穂乃果「回復……違うわね、能力を使ったんだわ」


生徒会長「正解、私の力は別の世界の生徒会長と体を交換すること、それは力を借りるという比喩ではなんかじゃない」

寿限無「それは知ってるけど……それには仮面が必要なんじゃないの?」

生徒会長「仮面が必要なのは入れ替わった生徒会長に『私』の意識を植え付けるためよ」

生徒会長「私自身を入れ替わるのなら仮面という補助具は必要ない」

寿限無「私自身……?」

144 ◆WsBxU38iK2:2017/10/16(月) 23:07:56 ID:XcksMtdQ


生徒会長「そう、私は平行世界の『あなたたちに敗北してない私』と入れ替わったの」

生徒会長「私だって生徒会長の1人、条件は満たしているわ」

生徒会長「どうやらさっきまでの私は無様に負けてしまったようね、残念残念」


吸血鬼穂乃果「平行世界の自分と入れ替わる……か、生徒を操る他にも厄介な能力の使い方があるのね」

生徒会長「まぁあなたたちと争うつもりはもう無いわよ、負けるのは目に見えてるし」

吸血鬼穂乃果「信じられないけど信じておくわ」


生徒会長「いい心掛けよ……そうそう、ウイルスアルパカと戦うなら1つ気をつけなさい」

生徒会長「あいつは>>145

145名無しさん@転載は禁止:2017/10/16(月) 23:20:19 ID:M6lmnBvQ
異形を孕ませる能力持ち

146 ◆WsBxU38iK2:2017/10/17(火) 00:03:36 ID:qfV/w8dM
生徒会長「あいつは異形を孕ませる能力持ちだから」

寿限無「気持ち悪い能力ね、肝に命じておくわ」


生徒会長「ではっ!」

シュババッ!!

寿限無(置き土産のつもりだったのだろうか、生徒会長はそれだけ言い残すと足早に去っていった)

寿限無(私たちも重AASの中にいるのは視界が悪く危険なので、視界が晴れる場所まで戻ることにする)

スタスタ


寿限無「それにしても予想以上に凄かったわ」

吸血鬼穂乃果「音ノ木坂生徒のテクが?」

寿限無「それもだけど……私が言ってるのはあなたの力のことよ、賢者の石ってなに?」

吸血鬼穂乃果「ああそれね、新魔王軍の魔人から奪ったのを自分に埋め込んだだけ」

吸血鬼穂乃果「魔人は進化した私を見てNeo穂乃果クラスとかほざいてた気がするわね……」

寿限無「Neo穂乃果!?」


吸血鬼穂乃果「知ってるの?」

寿限無「ええ、新魔王軍が新魔王をベースに開発した亜種個体よ」

147 ◆WsBxU38iK2:2017/10/17(火) 00:04:17 ID:qfV/w8dM
寿限無「一芸特化だけど、その一芸なら新魔王や神造人間に匹敵するポテンシャルを持つって話よ」

吸血鬼穂乃果「へぇ〜、それは中々……でもまだ同格がいるのは気に食わないわね」

吸血鬼穂乃果「もっと高貴で完璧な存在にならなければ!」グッ


寿限無「ははは……」

寿限無(会って間もないけど、マッキー並にキャラが濃い人だなぁ)


寿限無「……でも、本当にすごいよ、私がいなくてもいいくらい」

吸血鬼穂乃果「はぁ?何を言っているのよ?」

寿限無「え?」

吸血鬼穂乃果「私が完璧だからと行って、あなたが自分を卑下する理由はどこにもない」

吸血鬼穂乃果「寿限無、どうして私があなたを名前で呼んでるか考えなさい」

寿限無「う、うん……?」


寿限無(名前……名前……?)

寿限無(そういえば吸血鬼穂乃果は私のことを寿限無って名前で呼んでたわね)

寿限無(他の皆のことは下民やらなんやら呼ぶのに……)

寿限無(それって私が一応認められてるってことかしら……?)

148 ◆WsBxU38iK2:2017/10/17(火) 00:05:40 ID:qfV/w8dM


吸血鬼穂乃果「私の紅の真贋に間違いはない、自らの力を誇りなさい!そして私を崇めなさい!讃えなさい!」

寿限無「あ、ありがとう?」

吸血鬼穂乃果「ふんっ……分かればいいのよ」

スタスタ


寿限無(出会ったばかりの吸血鬼穂乃果が私を認める理由、たぶんそれは……私が神似子だからだろう)

寿限無(下民にしてはマシな素質があるから、吸血鬼穂乃果は一応評価しているだけ)


寿限無(でも……それだけでもいい)

グッ

寿限無(期待されてるなら期待には応えないと)

寿限無(城では赤の女王に気圧されて何も出来なかった、あんな無様はもう嫌だ……)

タンッ

寿限無(ここでこそ活躍する!役に立つ!)


寿限無(ウイルスアルパカは……私が倒す……!)


─────────────────

音ノ木坂跡

AM5:27〜AM5:32 新終末編『191』了

149 ◆WsBxU38iK2:2017/10/17(火) 00:06:29 ID:qfV/w8dM
というわけでここまで

部室へGO

新終末編『192』に続く
かもしれない

150!ken:99:2017/10/17(火) 08:29:17 ID:CWDx9qcg
をつ

151名無しさん@転載は禁止:2017/10/17(火) 14:53:19 ID:Dos5.plI
いいゾ��

152 ◆WsBxU38iK2:2017/10/17(火) 20:11:55 ID:qfV/w8dM
新終末編『192』

─────────────────
──音ノ木坂跡

AM5:33


寿限無(生徒会長を退けた私たちは重AAS地帯から離脱し、待機していたゴーストたちと再合流した)


ゴースト「どうだった?」

吸血鬼穂乃果「見逃す代わりに情報を得たわ、スクールアイドル研究部の部室に目的の機械があるらしい」

ゴースト「部室か……分かった、そこまで案内するわ」


マッキー「ごあんなーい!」タタッ

寿限無「こら勝手に走らない!」ガシッ

マッキー「あうっ……」


寿限無(貞子、マッキーの欠落部分の補修はまだなの?)

貞子『ダメね……ザザッ……やってみてはいるけど……英玲奈と離れてるせいで……ザザッ……上手く進まない……』

寿限無(ふむ……マッキーを元に戻すには英玲奈を見つけないとダメなようね)


寿限無「穂乃果さんのほうは起きた?ぺぺぺペーンが背負ってたのよね」

ぺぺぺペーン「ええ、私の背中で眠ってた彼女なら目覚め>>153

153名無しさん@転載は禁止:2017/10/17(火) 20:17:08 ID:buUYGh6Q
てるけど、楽だからって降りようとしない

154 ◆WsBxU38iK2:2017/10/17(火) 21:10:18 ID:qfV/w8dM
ぺぺぺペーン「目覚めてるけど、楽だからって降りようとしない」

アニメ穂乃果「いや〜人におぶってもらっているのは楽ちんだな〜」

寿限無「コラコラ」

ぺぺぺペーン「早く降りて欲しいんだけどなぁ」

アニメ穂乃果「ぺぺぺペーンちゃんからしたら大した重さじゃないでしょ、麻酔切れたばかりだしまだこのままがいい〜」ギュゥゥッ

ぺぺぺペーン「はぁ……」


寿限無「仕方ないわね、しばらくそのままにしておくとして……ワクチンのほうは効いてる?」

アニメ穂乃果「うん、ここらへんもウイルスが漂ってるけど、吸い込んでも私が感染する感じは無いかな」

寿限無「それなら大丈夫……ってウイルスまで見えちゃうんだ、魔眼ってすごいのね」

アニメ穂乃果「えへへ、まぁ今の私にはこれくらいしか取り柄ないから」


ぺぺぺペーン「ウイルス探知に強くなったのはエグゼイドに変身したからってのもあるんじゃない?」

アニメ穂乃果「そうかなぁ?インサイトの仮面の効果のほうが強いと思うけど」

155 ◆WsBxU38iK2:2017/10/17(火) 21:10:39 ID:qfV/w8dM
寿限無(ぺぺぺペーンと話しながら、穂乃果さんは自分の腰に巻かれたベルトや、ベルトの横に引っ掛けてある仮面に触れる)

寿限無(仮面の反対側のベルトホルダーには長い日本刀も差してあって……よく見ると変なアイテム沢山付けてるわね)


寿限無(これだけ多くのアイテムがあって、私の直死を超える万能の魔眼持ち)

寿限無(なんだか無性に羨ましくなってしまう……)


ゴースト「さっ!時間もないし部室に行くわよ!」

アニメ穂乃果「おー!」 

ぺぺぺペーン「威勢はいいから自分で歩いて……」








カツ  カツ


寿限無(廃墟となった校舎の中、ゴーストの案内で部室目指して廊下を歩いていく)

寿限無(外に溜まっている重AASは中までは流れ込んできていない、今のところ罠らしい罠もないし順調)


ゴースト「もう少しで部室の場所よ、油断はしないで」

吸血鬼穂乃果「分かってる」


寿限無(そうして、部室の前まで辿り着くと>>156)

156名無しさん@転載は禁止:2017/10/17(火) 21:22:57 ID:.rG0iVDg
カプセルに入れられた人が部室に搬入されていた

157 ◆WsBxU38iK2:2017/10/17(火) 22:09:33 ID:qfV/w8dM
寿限無(部屋の前まで辿り着くと……)

ゴースト「しっ」

アニメ穂乃果「……?」

寿限無(ゴーストが振り返り、片手で口の前に指を立て、もう片手で姿勢を低くするように合図をしてくる)


ぺぺぺペーン「どうしたの?」ボソッ

ゴースト「見て、部室前」

寿限無「……!」

寿限無(ゴーストが指差した場所、丁度部室の前では二足歩行のアルパカが列をなしていた)

寿限無(アルパカたちは二人一組で大きなカプセルを部室内に運んでいってる)

寿限無(そのカプセルの中には人と思わしきものが入っていて……)


寿限無「ダストボックス……!」

アニメ穂乃果「英玲奈さんもカプセルの中にいるよ……」

吸血鬼穂乃果「おそらく捉えた人間の生命力を抽出するために運び込んでるんでしょうね」

寿限無「まさか……あの2人が捕まったっていうの……?」

158 ◆WsBxU38iK2:2017/10/17(火) 22:09:51 ID:qfV/w8dM
寿限無(信じられない、けれど実際に目の前にその現実がある)

寿限無(今考えなければいけないのは2人をどうやって助けるか……)


ゴースト「あのアルパカはウイルスで進化した感染者たち、アルパカ仮面よりは強いでしょうけど、戦って勝てない相手ではない」

ゴースト「穂乃果、魔眼で壁を透視して部室内の様子は見える?」

アニメ穂乃果「うん……見えるよ」ジーッ

アニメ穂乃果「アルパカたちは部室の中にある大型の機械にカプセルをセットしてる」

アニメ穂乃果「機械は1つ、今セットされてるカプセルは英玲奈さんたちより前につれてこられた人かな?」

アニメ穂乃果「たぶん、その人の番が終わったら次のカプセル、英玲奈さんたちの番なんだと思う」


吸血鬼穂乃果「カプセルを運んでるアルパカの他には誰かいる?用心棒役のアルパカとか、派遣された幹部とか」

アニメ穂乃果「うーんとね……>>159

159名無しさん@転載は禁止:2017/10/17(火) 22:20:09 ID:w68Zp3FQ
クイーンのアルパカ

160 ◆WsBxU38iK2:2017/10/17(火) 23:13:09 ID:qfV/w8dM
アニメ穂乃果「あれは女王様……なのかな、女王っぽい服着たアルパカがいる」

吸血鬼穂乃果「女王……クイーンアルパカってところかしら」

ゴースト「たぶんウイルスアルパカ直属のアルパカね、強さは一般のアルパカとは桁違いなはず」

アニメ穂乃果「偵察の時に外で見かけた貴族っぽい格好をしたアルパカと同じオーラを纏ってるように見える」

寿限無「ゲームや漫画で例えるなら四天王的なアルパカかしら」


ぺぺぺペーン「なんだかアルパカがゲシュタルト崩壊してきたわ……」

マッキー「謎マシンの匂い!とつげきだー!」タタッ!

ぺぺぺペーン「ってちょっとあなた!!」


寿限無「しまった!」

寿限無(私たちが話し合ってる隙に子供のように抑えの聞かないマッキーが飛び出してしまう)

寿限無(マッキーは一目散に部室の入り口へダッシュ、あれでは入り口辺りにたむろってたアルパカにバレバレよ!)


ゴースト「仕方ない!吸血鬼穂乃果と寿限無でマッキーを救出しながら正面突撃!」

ゴースト「私は幽体化して壁をすり抜け回り込む!残りの2人はここで待機!」

吸血鬼穂乃果「了解!」

寿限無「わ、分かった!」

ダンッ!!

寿限無(素早いゴーストの判断に従い、私たち3人は一斉に走り出した)

161 ◆WsBxU38iK2:2017/10/17(火) 23:13:35 ID:qfV/w8dM
ギュンッ!!

寿限無(部室の入り口まで距離はそうない、神力を足に集中させ全力で加速!)

寿限無(その動きに部屋の前で見張っていたアルパカ2人が反応するけど――遅いっ!)

吸血鬼穂乃果「血の鎖!」シュルルッ!!

寿限無「神跳び蹴り!!」ギュンッ!!


寿限無(吸血鬼穂乃果が走りながら射出する血の鎖が、アルパカたちと接触直前のマッキーへ伸ばされる)

寿限無(……と同時に神力で加速した私が目にも止まらぬ速さでアルパカに飛蹴りを食らわす)

アルパカズ「ぱかぁぁ――!?」


ドゴォォォォォォンッ!!

寿限無(血の鎖がマッキーを捕獲するのと、蹴り飛ばされたアルパカ2人が廊下の壁にめり込むのはほぼ同時だった)



寿限無(廃墟となった音ノ木坂の後者、部室と廊下を区切っていたドアは既にない)

寿限無(見張りアルパカを蹴り飛ばし、部室前へと着地した私は、中にいたクイーンアルパカと目が合う)

寿限無「……っ!」


寿限無(私の存在を目視したクイーンアルパカは>>162)

162!ken:99:2017/10/17(火) 23:17:11 ID:CWDx9qcg
Qパカ「私が......見えるのか?」

163 ◆WsBxU38iK2:2017/10/18(水) 00:02:36 ID:s7O6i5.2
寿限無(私の存在を目視したクイーンアルパカは予想とは違う反応を見せた)


Qアルパカ「私が……見えるのか?」

寿限無(その表情にあったのは驚愕の顔色)

寿限無(敵が突然現れたことに警戒してる物とは違う……もっと純粋な驚きの色が見える)

寿限無(これはなに?どう対応すればいい?)


吸血鬼穂乃果「はい捕獲」パシッ

マッキー「うう〜!」


寿限無(背後の廊下では吸血鬼穂乃果がマッキーを捕獲)

寿限無(部屋の前には私、部室の中にいるクイーンアルパカと目が合っている)

寿限無(私とクイーンの間にはさっきカプセルを運んでいたアルパカの残り……4人かな、全員が私に注目している)

寿限無(そしてクイーンの背後、誰にも見られてない場所に幽体化して壁をすり抜けたゴーストが入ってきた)


ゴースト「…………」ソローッ

寿限無(上手く行けばクイーンの後ろ――部室の中心に鎮座する機械と、その両脇に置いてあるカプセルに近づけるかもしれない)

164 ◆WsBxU38iK2:2017/10/18(水) 00:03:03 ID:s7O6i5.2
寿限無(だとすれば……私がやるべきことは1つだ)

寿限無(会話でも攻撃でも何でも良い、ゴーストの存在がバレないように敵の5人の注意をこちらに引きつける!)

ザッ!

寿限無(私は廊下側から敷居を跨いて部室へ足を踏み入れた)

寿限無「"見える"ってどういうこと?私にあなたの姿が見えたらマズイのかしら」

アルパカズ「……っ!」

寿限無(部室に入った瞬間、部屋の両端に構えるアルパカたちの警戒度が跳ね上がったのが肌で感じられる)

寿限無(これ以上踏み込むなら攻撃するぞ、そんな敵意がビリビリと伝わってくる)


吸血鬼穂乃果「寿限無……いけるの?」

寿限無「大丈夫、私に任せて、吸血鬼穂乃果はもしもの時の援護をお願い」


寿限無(2人で突っ込んで罠にかかったら元も子もない)

寿限無(ま、簡単に死んでやる気もないけど……)

ジリッ

アルパカズ「…………」ゴクッ


寿限無(だがそんな私とアルパカたちの緊張感を他所に、クイーンは平然として声で私の質問に応えた)


Qアルパカ「いや……見えてるならいいのよ、うん、こっちの話だから」

寿限無「……?」


Qアルパカ「私はクイーンの証を授かったアルパカ、この部室の守護を任されたもの」

Qアルパカ「この部屋に不当に侵入したからには――生きて帰れるとは思わないでね」

ドドドドドドッ!!


寿限無「…………っ!」



─────────────────

音ノ木坂跡前〜部室

AM5:33〜AM5:38 新終末編『192』了

165 ◆WsBxU38iK2:2017/10/18(水) 00:03:48 ID:s7O6i5.2
というわけでここまで

幹部アルパカ戦

新終末編『193』に続く
かもしれない

166!ken:99:2017/10/18(水) 11:25:01 ID:tAJpJnNE
をつ

167 ◆WsBxU38iK2:2017/10/18(水) 20:23:47 ID:s7O6i5.2
新終末編『193』

─────────────────
──音ノ木坂跡・部室

AM5:38


ドクン


ドクン


寿限無(実際は数秒に満たない時の流れ……それが体感ではとても長く感じる)


寿限無(私がいるのは壁紙や床はコンクリート剥き出しの荒廃した暗い部室)

寿限無(割れた窓ガラス越しに差し込む鮮血色の光が照らすのは、女王の服を身に纏ったクイーンアルパカ)

寿限無(そしてクイーンアルパカが背後に守るのが重AAS発生装置、装置には人間大のカプセルを嵌める場所と、部室の壁に向かって伸びてるポンプが確認できる)

寿限無(きっと装置内で作り出した重AASの結晶をあそこから外に排出してるんでしょう……)


寿限無(更に彼女らを守るように兵隊アルパカが右前に2人左前に2人の合計4人、彼らも私と同じくらいピリピリしている)

寿限無(そのピリピリが我慢できなくなったか……)

アルパカB「うおらぁっ!」

ダンッ!!

寿限無(1番私に近いアルパカが手を出してくる)


寿限無「……好都合!」スッ

グィッ

168 ◆WsBxU38iK2:2017/10/18(水) 20:24:04 ID:s7O6i5.2
ドォォォォォンッ!!

寿限無(こちらへ向かってきたアルパカの首根っこを掴んで、思っきり床に叩きつけた)

寿限無(ついでに周囲に一睨み効かせておく)

寿限無「……!」ジッ

アルパカズ「……っ!」


寿限無(敵が手を出してくれるなら都合がいい、派手に対処して視線をこちらに釘付けにできるから)


Qアルパカ「ダメじゃない……迂闊に手を出したら、あなたたちが勝てる相手じゃない」

アルパカズ「は、はい!」


寿限無「へぇ〜、ならあなたが相手をしてくれるの?」

Qアルパカ「そうねぇ、私は>>169

169名無しさん@転載は禁止:2017/10/18(水) 20:28:03 ID:sxdLnewQ
人質を使う

170名無しさん@転載は禁止:2017/10/18(水) 20:28:37 ID:.rJdCDWM
既に攻撃したわよ

171 ◆WsBxU38iK2:2017/10/18(水) 21:02:45 ID:s7O6i5.2
Qアルパカ「私は人質を使わせてもらおうかしら」

寿限無「人質……」


Qアルパカ「そうよ、このカプセルに入ってる子たちは仲間でしょ」

Qアルパカ「生命力を抽出して結晶化する装置を使えば、出力次第で容易に命を奪うことはできる」

寿限無(クイーンが自分の左右の壁に立掛けてあるダストボックスと英玲奈のカプセルを蹄で指差す)

寿限無(まだ運び込んだばかりで装置にはセットされていない、今装置にセットされてるのは知らない人のカプセルだ)


Qアルパカ「仲間を殺されたくなければ、あなたも後ろのあなたも動かないことね」

吸血鬼穂乃果「…………ほう」


Qアルパカ「だから――」

寿限無「……はっ、笑える」

Qアルパカ「なに?」

寿限無(その脅迫を私は敢えて笑い飛ばす)


寿限無「そんなもので脅しになると思ってるの?だとしたら本当のバカだわ」

寿限無「服着て二足歩行して人語を介しても脳ミソは獣と変わらないのね」

Qアルパカ「……くくくっ、言ってくれるじゃない」

172 ◆WsBxU38iK2:2017/10/18(水) 21:03:07 ID:s7O6i5.2
寿限無「だってそうでしょ、人質を装置で殺すためにはカプセルを入れ替えなきゃいけない」

寿限無「私は1秒とかからず残りの雑魚アルパカ3人をのしてあなたに一発いれる自信がある」

寿限無「どっちが速いかサルでも分かると思うけど?」


Qアルパカ「もし装置に頼らず直接殺せるとしたら?」

寿限無「それでもこの距離なら私が速い」

Qアルパカ「へぇ……」ニヤリ


寿限無(……実際にどうなのか、それはこの際関係ない)

寿限無(正直な所、人質を殺す手段が拳や火器なら私のほうが速いのは確か)

寿限無(何かワンアクション――極論を言えば、予め手に持ったスイッチを押すという動作でもいい)

寿限無(ワンアクションあるなら全身全霊集中してる今の私はそれを止められる)


寿限無(だけど仮に……自分の脳内で考えただけでスイッチを入れられるとか、スイッチを持ったやつが遠くにいるとか、そういう場合は無理)

寿限無(だから結果はこの際関係ない、必要なのは時間を稼ぐためのハッタリ)

寿限無(全ては、ゴーストさんが動くための……!)


ゴースト「……」ソローッ

寿限無(そう、私たちがクイーンと対面してる間にも幽体化したゴーストは動いている)

寿限無(丁度部室の奥、私のいる場所と反対側に位置取ったゴーストは>>173)

173名無しさん@転載は禁止:2017/10/18(水) 21:17:31 ID:EmjRbOhg
トラップにかかり昇天寸前

174 ◆WsBxU38iK2:2017/10/18(水) 21:56:43 ID:s7O6i5.2
寿限無(クイーンの後方に陣取ったゴーストは機械に手をかける、だが次の瞬間――)


ビリビリビリイッ!!

ゴースト「あがっ……!?」

寿限無(ゴーストの足元に魔法陣のようなものが現れ、そこから迸る電撃がゴーストを捉えてしまう!)


寿限無「なっ……!」

Qアルパカ「あら、トラップにかかったネズミがいるようね」

ゴースト「ぐっ……がぁっ……!」

バリバリバリバリッ!!

寿限無「ゴースト!!」


Qアルパカ「あなたがやけに威勢が良かったのはこの幽霊の存在に気付かせないためかしら」

Qアルパカ「中々良い策だったけど……警戒がまだまだ甘い」

寿限無「何よそれっ!」ダッ

アルパカズ「おい止ま――」

寿限無「うるさいっ!!」

ブンッ! ドゴォォォォォォンッ!!

175 ◆WsBxU38iK2:2017/10/18(水) 21:57:41 ID:s7O6i5.2
アルパカズ「がっ……」メリメリッ

寿限無(踏み込む私を止めようとしてきたアルパカ3人を容赦なく壁に叩きつける)


Qアルパカ「おっとそこまで、それ以上踏み込んだら幽体を昇天させるわ」

寿限無「昇天……?」

Qアルパカ「文字通り天に昇る気持ちで天へ昇らせるってこと、死ぬことのない存在だろうが抹消させる」

Qアルパカ「それが装置の周囲に巡らせていた罠よ」

寿限無「や、やめっ……」


Qアルパカ「なに?やめてほしいの?だったら>>176

176名無しさん@転載は禁止:2017/10/18(水) 22:25:58 ID:.rJdCDWM
代わりに昇天する?

177 ◆WsBxU38iK2:2017/10/18(水) 22:55:28 ID:s7O6i5.2
Qアルパカ「だったらあなたが代わりに昇天する?」

寿限無「……っ!」


寿限無(どうする?どうすればいい?)

寿限無(今すぐクイーンアルパカを殴って気絶させたら罠は停止する?)

寿限無(いやそんな確証はない、もし止まらなかったらゴーストはそのまま消えてしまう)

寿限無(考えるんだ、もっとスマートにこの場を切り抜ける方法、切り抜ける方法は……!)


Qアルパカ「ふふっ……」









吸血鬼穂乃果「……ダメね」

吸血鬼穂乃果(部室のすぐ外、血の鎖で絡め取ったポンコツを担ぎながら、私は寿限無の様子を見て呟いた)

178 ◆WsBxU38iK2:2017/10/18(水) 22:55:47 ID:s7O6i5.2
マッキー「んー?なにがー?」

吸血鬼穂乃果「寿限無の様子、無駄に考えて完全にから回ってる」

吸血鬼穂乃果「見た感じ女王アルパカは搦手が得意なタイプ、あれに頭で張り合っても無駄なのに」

マッキー「ほーん」


吸血鬼穂乃果「ねぇポンコツ、あなたが先走ったことは寛大な心で許すから知恵を貸しなさい」

吸血鬼穂乃果「ここからアルパカや生命力抽出装置や昇天罠、あれを見て何か思いつくことを何でもいいから言って」

マッキー「トマトくれるなら――」

吸血鬼穂乃果「あげる」

マッキー「よし来た!」

ジーッ


マッキー「ふむふむ、あたしの見解では>>179

179名無しさん@転載は禁止:2017/10/18(水) 23:21:04 ID:TUbtTcAQ
Qアルパカの戦闘力は限りなく0に近いこと、
生命力抽出装置にカプセルを入れるのは1人では無理ね。
だって動かない人間はかなり重量があるもの。
そして、昇天罠が危険ならゴーストは消滅しているはず。

180 ◆WsBxU38iK2:2017/10/19(木) 00:12:09 ID:Pn0ntJC.
マッキー「まずQアルパカの戦闘力は限りなく0に近いことが分かるかな」

吸血鬼穂乃果「何故?」

マッキー「私の持ってる能力者スカウターに殆ど反応しないし……ああ白衣の右側に入ってるこれ、防犯ブザーみたいなやつ取り出してみて」

吸血鬼穂乃果「これね」ガサゴソ

マッキー「あっ、いや〜んえっち〜!」

吸血鬼穂乃果「殺すわよ?」

ギュゥゥゥッ!!

マッキー「ぐぇぇぇっ!鎖が食い込んで骨が折れるぅぅう!」


吸血鬼穂乃果(この期に及んで冗談を言うポンコツを締め上げつつ、白衣から中心に液晶モニタのついた丸いデバイスを取り出す)

吸血鬼穂乃果「で?このスカウターをどうすればいいの?」

マッキー「けほっ……それをアルパカのほうに向けて画面を覗いてみて……」

吸血鬼穂乃果「確かに……何も反応が無いわね」


マッキー「それはあたしが対異能者用から能力者全般に対象を広げて作ったスカウター」

マッキー「ちなみにあたしの目のコンタクトにも同じ機能が付いてるんだぜ」エッヘン

181 ◆WsBxU38iK2:2017/10/19(木) 00:12:43 ID:Pn0ntJC.
吸血鬼穂乃果「なに?つまりあのアルパカは能力者では無いということ?」

マッキー「う……いや、少なくとも今は能力を使ってないということかな」


マッキー「もちろんそれだけで戦闘力が無いとは判断できない」

マッキー「ただ……能力を使う気配を一切見せずに、あのピリピリしてる寿限無を招き入れたことはおかしい」

吸血鬼穂乃果「罠があるから使わなくても大丈夫って理由じゃ……」

マッキー「弱いね」


マッキー「寿限無の言うとおり、寿限無が本気出せばこんな部屋一撃で吹き飛ぶ」

マッキー「いくら罠があるからと言って、戦闘系能力者がそんな強敵を前に能力の気配を一切出さないなんて意識しても出来ないよ」

マッキー「あたしのスカウターは本人が無意識に発する微弱な能力反応も検知するんだから」

吸血鬼穂乃果「となると……」


マッキー「能力を使わなかったんじゃない、能力を使えなかったから余裕な態度を装って罠に嵌めるしかなかった」

マッキー「おそらくクイーンアルパカの能力は寿限無の予想とは真逆、速効性のない戦闘には不向きの力だね」

マッキー「装置の管理運営に関わる能力って線が可能性高いかも」

182 ◆WsBxU38iK2:2017/10/19(木) 00:15:13 ID:Pn0ntJC.
吸血鬼穂乃果「部屋を守護すると言っていたのに?」

マッキー「罠があるから守ってるのは嘘じゃないよ」

吸血鬼穂乃果「屁理屈ねぇ」


マッキー「あと骨格や体の動きを見ても何か武道を嗜んでるとは思えない、むしろ体重に対して筋肉が少ない気がする」

マッキー「服装も豪華なドレスで重量あるし、結構動き辛いよアレ」


吸血鬼穂乃果「……ふむ、つまりカプセルを持ち上げて抽出装置にぶち込むのは無理ってことか」

マッキー「動かない人間は重いからね、絶対に無理では無いけどかなり時間がかかる」

マッキー「だから捕らえたゴーストを代わりに人質扱いし始めた……」

吸血鬼穂乃果「なーるほど」


吸血鬼穂乃果「てかゴーストは平気なのかしら?ずっとビリビリしてるけど」


ゴースト「ぐ……ぐぁぁぁっ!!」

ビリビリビリビリビリビリッ!!!!


マッキー「昇天罠ってのも嘘な気がするよ、本当に昇天機能があるならゴーストはすぐ消滅してるはず」

マッキー「あんな昔の拷問器具みたいにずっとビリビリさせとく必用はない」

吸血鬼穂乃果「確かに、私とあなたがこんな長話してる間に消えてるわよね」


吸血鬼穂乃果(……よし、マッキーと話して大体の方針は決まったわ)

吸血鬼穂乃果(罠で敵を嵌め、その敵を餌に第二の敵、第二の敵で第三の敵を罠に嵌める)
 

吸血鬼穂乃果「かなり狡猾なやり方、下賤な者に相応しい戦法だわ」

吸血鬼穂乃果「ならば私は――――」



─────────────────

音ノ木坂跡・部室

AM5:38〜AM5:41 新終末編『193』了

183 ◆WsBxU38iK2:2017/10/19(木) 00:16:16 ID:Pn0ntJC.
というわけでここまで

アルパカ攻略

新終末編『194』に続く
かもしれない

184!ken:99:2017/10/19(木) 09:22:55 ID:IqxrYJRI
をつ

185 ◆WsBxU38iK2:2017/10/19(木) 20:08:32 ID:Pn0ntJC.
新終末編『194』

─────────────────
──音ノ木坂跡・部室

AM5:41


Qアルパカ「選べないの?だったらあなたもトラップに嵌まってしまいなさい!」

バリリリッ!!

寿限無「私の足元に魔法陣……いつの間にっ!?」


吸血鬼穂乃果(寿限無が逡巡してる間にクイーンアルパカは次の手を打つ)

吸血鬼穂乃果(迷ってたら何処までも泥沼にハマっていってしまう)

吸血鬼穂乃果「寿限無!上へ跳びなさい!」

寿限無「へ……?」


吸血鬼穂乃果(だから……私が動く!)


ダンッ!!

吸血鬼穂乃果(私が取った戦法はクイーンアルパカとは反対に至ってシンプルなもの)

Qアルパカ「……っ!?」

吸血鬼穂乃果(この部室を"丸ごと吹き飛ばす"というものだった)

ゴッ!!!!

186 ◆WsBxU38iK2:2017/10/19(木) 20:09:12 ID:Pn0ntJC.
吸血鬼穂乃果(その戦法に至った理由はいくつかある)

吸血鬼穂乃果(1つは捕まってる人質がカプセルに入ってること、マッキーの分析ではある程度の衝撃には耐えられる素材らしい)

吸血鬼穂乃果(更に人質になってるゴーストは幽体化していて物理的な攻撃は通じない、共に部室にいる寿限無は……まぁ巻き込まれても平気だろう)

吸血鬼穂乃果(ぺぺぺペーンと穂乃果は廊下、マッキーは私の後ろにいるから被害は被らない)


吸血鬼穂乃果(つまりは……全力でぶっ放しても問題ないということ)

吸血鬼穂乃果(クイーンアルパカにそれを防ぐ手段があるとは思えない!)


カッ!!

吸血鬼穂乃果(私は作り出した血の>>187を用いて部室を吹き飛ばす!!)

187名無しさん@転載は禁止:2017/10/19(木) 20:11:34 ID:cNOJAENI
サイクロプス

188 ◆WsBxU38iK2:2017/10/19(木) 21:06:54 ID:Pn0ntJC.
吸血鬼穂乃果(私は作り出した血のサイクロプスを用いて部室を吹き飛ばす!)


サイクロプス「ウガァァァァッ!!」

Qアルパカ「バ、バカな――」

――ゴッ!!!!


吸血鬼穂乃果(サイクロプス――ギリシャ神話に登場する1つ目巨人の怪物)

吸血鬼穂乃果(いや……鍛冶の神様だっけ?まぁどっちでもいいわ)

吸血鬼穂乃果(私が自らの血で作り出した赤いサイクロプス、それは暴威の権化、象徴としての意味なんて関係ない)


吸血鬼穂乃果(サイクロプスが出現し棍棒を振るった瞬間、老朽化していた部室はその元型を失くした)

吸血鬼穂乃果(正に神話クラスの暴力、衝撃波が空間を削り取るように全てを粉々に吹き飛ばす!)


吸血鬼穂乃果(本来ならこんなものを私の能力で作り出すことはできない)

吸血鬼穂乃果(幻想種に近しい生物を生み出す、これも賢者の石の力ってやつなのかしら)

189 ◆WsBxU38iK2:2017/10/19(木) 21:07:09 ID:Pn0ntJC.
吸血鬼穂乃果(部室が消え去ったことにより、私たちがいる廊下から屋外に向けて大きな風穴が空く)

ドヒュゥゥゥゥッ!

吸血鬼穂乃果(一方、激しく吹き飛ばされた部室は粉々の瓦礫と化し、斜め前方の宙空を舞う)

吸血鬼穂乃果(そこには同じように吹き飛ばされたクイーンアルパカ、抽出装置、寿限無、ゴースト、複数のカプセルの姿もあった)


吸血鬼穂乃果「……ん?なんでゴーストまで飛んでるの?」

マッキー「床のトラップに捕まったままだったから、その床の破片と一緒にぶっ飛んだんでしょ」

吸血鬼穂乃果「なるほど」


Qアルパカ「このっ……人質関係なく吹き飛ばすなんて……っ!」


吸血鬼穂乃果「さて……」

スッ

吸血鬼穂乃果(ここからが大切、空中にかち上げた物をどれから処理していくか)

吸血鬼穂乃果(優先順位としては抽出装置かQアルパカか、でもカプセルも救助しておきたいわよねぇ)

190 ◆WsBxU38iK2:2017/10/19(木) 21:07:36 ID:Pn0ntJC.
アニメ穂乃果「吸血鬼穂乃果!」

吸血鬼穂乃果「……ん?」

アニメ穂乃果「クイーンアルパカのほうは私に任せてもらって大丈夫だと思う」

吸血鬼穂乃果「そう?なら任せるわ!」

ダンッ!!


吸血鬼穂乃果(下民を信じるのも高貴な振る舞い)

吸血鬼穂乃果(私とサイクロプスは外へ走り出し、落下中の抽出装置を破壊するべく動く)

Qアルパカ「さ、させる……かっ……」


吸血鬼穂乃果(すると>>191)

191名無しさん@転載は禁止:2017/10/19(木) 21:11:35 ID:K58t2fWQ
Qアルパカ毛玉爆弾(麻痺)を飛ばしてきた

192 ◆WsBxU38iK2:2017/10/19(木) 22:13:50 ID:Pn0ntJC.
吸血鬼穂乃果(すると空中のクイーンアルパカが毛玉型の何かを飛ばしてくる)


Qアルパカ「そこで麻痺って止まりなさい!」

ビュビュビュビュビュッ!


吸血鬼穂乃果「おっと」ザッ!

吸血鬼穂乃果(Qアルパカに戦闘向きの能力はない、おそらく足止め用のものでしょう)

吸血鬼穂乃果(私は一旦足を止め、頭上に血の盾を展開して降り注ぐ毛玉を防ぐ)

ドドドドドドドドッ!!

ボフッ!!

吸血鬼穂乃果(毛玉は血の盾に着弾した瞬間に破裂し、周囲に黄色い煙のようなものを振り撒いた)

ピクッ

吸血鬼穂乃果「少し鼻がひりつくわね、麻痺毒を撒き散らす爆弾ってとこかしら……」


Qアルパカ「この隙にあいつを呼んで――」

吸血鬼穂乃果「サイクロプス!思っきり地面を叩きなさい!!」

サイクロプス「グラァッ!!」

ドンッ!!!!

吸血鬼穂乃果(校庭にヒビを入れるほどのサイクロプスの一撃により、周囲の黄色い煙が吹き飛ばされる)

吸血鬼穂乃果(ついでに周囲の重AASも多少吹き飛んで散らされた)

ブファァァァァァッ!!

193 ◆WsBxU38iK2:2017/10/19(木) 22:14:07 ID:Pn0ntJC.
吸血鬼穂乃果「よしこれで――」

Qアルパカ「んなっ!負けないわよ……おらららららららっ!!」

ドドドドドドドドッ!!!!

吸血鬼穂乃果「ってはぁっ!?」

吸血鬼穂乃果(強引な手段で煙を晴らした次の瞬間、頭上から更に大量の毛玉爆弾が降ってきた)


吸血鬼穂乃果(まるで絨毯爆撃のように麻痺煙は範囲を広げていく)

吸血鬼穂乃果(あのポンコツ……何がクイーンアルパカは戦闘向きじゃないよ、充分な攻撃力じゃない!)

吸血鬼穂乃果(私はこいつに構ってる暇はない、抽出装置を壊しに行かないといけないのよ……!)


吸血鬼穂乃果(こうなったら――)

194 ◆WsBxU38iK2:2017/10/19(木) 22:14:48 ID:Pn0ntJC.




アニメ穂乃果(壊された部室があった場所、マッキーが置かれていった場所まで来た私たち)

アニメ穂乃果(校庭を見ると、そこでは空中のアルパカが地上の吸血鬼穂乃果に向かい爆撃を続けていた)


ぺぺぺペーン「何よあれ!あのアルパカは非戦闘員じゃなかったの?私たちも話は聞こえてたわよ」

マッキー「そんなことは言ってないー、あの状況じゃ使えない能力ってだけー」

マッキー「たぶんあの麻痺毒は自分にも効いちゃうんだろうね、だから使うつもりがなかった」

マッキー「加えてかなり無理をしているかな、本来はあんな乱射するものじゃないと思う」


アニメ穂乃果「クイーンアルパカは私が対処するって言ったのに……急がないと!」

ぺぺぺペーン「具体的にはどうするの?」

アニメ穂乃果「私をクイーンアルパカのとこまで投げて!」

ぺぺぺペーン「なっ……わ、分かったわ!」

アニメ穂乃果(一刻を争う状況、ぺぺぺペーンちゃんは驚きつつも背中の私を投げる姿勢を取ってくれる)


ぺぺぺペーン「行くわよ、うおらぁっ!!」

ブンッ!!!!

アニメ穂乃果(そしてバグスターウイルスで強化されたぺぺぺペーンちゃんはいとも簡単に私を放り投げた)


ビュンッ!

アニメ穂乃果「……っ!」

アニメ穂乃果(凄い速さ、サイクロプスにかちあげられてまだ浮いてる途中のQアルパカまで一気に接近する)


Qアルパカ「なっ!違う方向から誰か来た!?」

アニメ穂乃果「大変身――」

アニメ穂乃果(麻痺毛玉を絶え間なく打っているクイーンアルパカは無防備、私はその横っ腹に向けて>>195)

195名無しさん@転載は禁止:2017/10/19(木) 23:01:31 ID:q43PGZ/U
反転キック

196 ◆WsBxU38iK2:2017/10/20(金) 00:12:32 ID:f53WQbBc
アニメ穂乃果「大変身――」

『マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクション エックス!!』��

アニメ穂乃果(エグゼイドレベル2に変身した私はアルパカの横っ腹にキックを食らわす!)


アニメ穂乃果「たぁっ!」ブンッ!!

ゴッ! メリィィッ!!

Qアルパカ「がっ……!だがこのくらい……」 


アニメ穂乃果(まだ耐えるか……でも一旦離れてしまったこの体勢から攻撃を続けるなんて……)

ぺぺぺペーン「穂乃果!これを使いなさい!」

ビュンッ!

アニメ穂乃果「え?」パシッ!

アニメ穂乃果(校舎に残ったぺぺぺペーンちゃんが何かを高速で投げてきた)

アニメ穂乃果(私がキャッチしたそれは……ガシャット?)


ぺぺぺペーン「それならもう一発キックができるらしいわ!」

アニメ穂乃果「よし!」

Qアルパカ「もう一発!?」

197 ◆WsBxU38iK2:2017/10/20(金) 00:12:49 ID:f53WQbBc
ガシャンッ!

アニメ穂乃果(ベルトに受け取ったガシャットを差し込み、空中で更にレベルアップする!)

『アカイカメェン!ダブルダブルタイフーン!ブイスリャー!!』

ピキィィィンッ!


Qアルパカ「また変身した!?」

アニメ穂乃果「とうっ!」


アニメ穂乃果(姿の変わった私はアルパカを蹴った反動を利用して、大きく縦に回転、もう一度アルパカに狙いを付ける)

ギュゥゥゥゥゥゥゥンッ!

アニメ穂乃果「力と技の風車が回る――」

Qアルパカ「なっ……!」

 

アニメ穂乃果「反転キック!!」


─────────────────

音ノ木坂跡・部室〜校庭

AM5:41〜AM5:42 新終末編『194』了

198 ◆WsBxU38iK2:2017/10/20(金) 00:14:43 ID:f53WQbBc
というわけでここまで

色々やってますが部室が吹き飛んでからまだ誰も落下してないので大して時間は経ってません
次は戦闘の続きから

新終末編『195』に続く
かもしれない

199 ◆WsBxU38iK2:2017/10/20(金) 00:23:48 ID:f53WQbBc
大体こんな感じ


  瓦礫  瓦礫
           Qアル アニメ穂
                        校
装置 寿限無諸々             舎         
  カプセル                   ぺぺぺ    
             吸血鬼         マッキー    
─────────────────  
           校庭

200!ken:99:2017/10/20(金) 13:38:13 ID:Hsixfxbo
をつ
空中戦にありがちなやつ

201 ◆WsBxU38iK2:2017/10/20(金) 20:10:18 ID:f53WQbBc
新終末編『195』

─────────────────
──音ノ木坂跡・校庭

AM5:42


アニメ穂乃果「反転キック!!」

ドゴォォッ!

Qアルパカ「かはっ……」


ビュンッ

ドゴォォォォォォンッ!!

アニメ穂乃果(威力を高めた反転蹴りを食らったクイーンアルパカは勢いそのままに地面へ叩きつけられた)


アニメ穂乃果「吸血鬼穂乃果!こっちは倒したよ!」

吸血鬼穂乃果「え、ええ……あなた穂乃果でいいのよね……」

アニメ穂乃果「ん?そうそう!」


アニメ穂乃果(地面にいる吸血鬼穂乃果は少し戸惑った顔をする)

アニメ穂乃果(たぶん蛍光ピンクが眩しいエグゼイドで飛び出してきて、赤い仮面に緑と白の体の別の魔人にフォームチェンジしたからだろう)

アニメ穂乃果(私もこのガシャットの魔人の名前は知らない、ぺぺぺペーンちゃんが投げてくれた……いや、おそらくマッキーが渡したもの)

アニメ穂乃果(後でマッキーにでも詳細を聞いておこうか)

202 ◆WsBxU38iK2:2017/10/20(金) 20:10:39 ID:f53WQbBc
ヒューーーーッ

アニメ穂乃果(そんなことを考えつつ、私はマフラーをたなびかせながら落下中)

アニメ穂乃果(その下の地面を吸血鬼穂乃果が風のような速さで駆けていく)


吸血鬼穂乃果「はっ!!」

タタタタッ!!

アニメ穂乃果(そして抽出装置が落ちるポイントにタイミングよく合わせて滑り込むと――)

サイクロプス「ふんっ!」ブンッ!!

アニメ穂乃果(サイクロプスが棍棒を機械に向けて叩きつける!!)

ガンッ!!!!


吸血鬼穂乃果「よし、これで機械は壊れ>>203

203名無しさん@転載は禁止:2017/10/20(金) 20:16:38 ID:kk.ATJWA
たと思ったら更に強固に

204 ◆WsBxU38iK2:2017/10/20(金) 21:05:31 ID:f53WQbBc
吸血鬼穂乃果「これで機械は壊れ――」

ガキィィィィンッ!!

吸血鬼穂乃果「って壊れない!?」

アニメ穂乃果「それどころかサイクロプスの棍棒が折れてる!」


吸血鬼穂乃果「絶対に割れる自信があったのに……まるで意図したかのようにインパクトの瞬間に硬度があがったわ」

サイクロプス「グゥゥ?」


ガンッ! ゴロゴロッ! ガンッ!!

アニメ穂乃果(更に強固になった抽出装置は地面を跳ねながら校庭の隅へ転がっていく)

吸血鬼穂乃果「これで壊せないとなると……」

アニメ穂乃果「吸血鬼穂乃果!とりあえず私はカプセル回収しておくね!」

吸血鬼穂乃果「ええっ、頼むわ!」


ビュンッ!

アニメ穂乃果(体感で分かる、 この魔人は空中でもある程度自由に動ける力を持っている)

205 ◆WsBxU38iK2:2017/10/20(金) 21:05:47 ID:f53WQbBc
アニメ穂乃果(私は体を上手く動かして落下中のカプセルの下へ先回り、英玲奈さんとダストボックスという人)

アニメ穂乃果(それから先に装置にセットされていたカプセル、合計3つを両手と頭でキャッチ)

アニメ穂乃果「おおっ……さすがに重いなぁ、変身してなかったら持てないよ」


ヒューーーーッ

スタッ

アニメ穂乃果「……で、無事に着地っと」


アニメ穂乃果(私がカプセルに入った人たちを救助して着地するのと同時、吹き飛んでいた部室の破片も校庭に落ちてくる)

アニメ穂乃果(ゴーストはあの中に紛れてるんだけど……まぁ幽霊だから平気だろう)

ゴンッ! ドドッ! ゴゴゴゴンッ!


アニメ穂乃果「ん?そうだ寿限無ちゃんは?寿限無ちゃんも吹っ飛んでたよね」


吸血鬼穂乃果「あいつなら……>>206

206名無しさん@転載は禁止:2017/10/20(金) 21:12:36 ID:23wmYbzo
ギャグ漫画みたいに上半身が地面に埋まっている

207 ◆WsBxU38iK2:2017/10/20(金) 22:13:22 ID:f53WQbBc
吸血鬼穂乃果「あっちでギャグ漫画みたいに上半身が地面に埋まっているわ」

アニメ穂乃果「お、ほんとだ」

テテテッ

アニメ穂乃果(私は寿限無ちゃんの埋まってる場所を確認しつつ、カプセルを抱えたまま吸血鬼穂乃果の所へ合流する)


吸血鬼穂乃果「問題は機械の破壊方法ね、サイクロプスの一撃を防ぐんじゃ物理的な破壊は難しいかもしれない」

アニメ穂乃果「だね、あと試す価値があるとすれば……」チラッ

吸血鬼穂乃果「その腰に付けてる長物?」

アニメ穂乃果「うん」

カチャッ

アニメ穂乃果(斬鉄剣――シンガーさんから譲ってもらった刀で、この世全ての物質を断ち切る切れ味を持っている)

アニメ穂乃果(鋼鉄のホノカミ『ヘネケチェンズ』のコアでさえ貫いた斬鉄剣)

アニメ穂乃果(これで斬れないのならたぶん何でも無理だ)


アニメ穂乃果「よし、やってみよう」

吸血鬼穂乃果「周囲の警戒はしとくわ、サイクロプスで重AASも出来る限り散らしておく」

アニメ穂乃果「うんっ」

208 ◆WsBxU38iK2:2017/10/20(金) 22:13:43 ID:f53WQbBc
シュンッ!

アニメ穂乃果(まずは魔人エグゼイドの変身を解除)

アニメ穂乃果(変身してたほうが防御能力や運動能力は上がるけど、変身してる間はそれなりにエネルギーも食う)

アニメ穂乃果(集中して魔眼を使うなら素の自分のほうがいい)


サイクロプス「フンッ!フンッ!」

ブンッ! ブンッ!

アニメ穂乃果(機械が派手に吹き飛んだのと、サイクロプスが折れた棍棒を振り回してるおかげで周囲にAASは溜まってない)

アニメ穂乃果(これならいける――)


カッ!!

アニメ穂乃果(魔眼を発動して抽出装置の弱点を探す、すると>>209)

209名無しさん@転載は禁止:2017/10/20(金) 22:21:31 ID:Sad4u31o
ミクロサイズの蟲が分裂と連結を繰り返しながら装置を覆っていた

210 ◆WsBxU38iK2:2017/10/20(金) 23:06:10 ID:f53WQbBc
アニメ穂乃果(すると機械の1番外側を薄い皮膜のようなものが覆ってることが分かった)

アニメ穂乃果(硬い鋼鉄というわけじゃない、被膜の表面は流動的に蠢いている)

アニメ穂乃果(もっと拡大して見て――)


アニメ穂乃果「……っ!」

吸血鬼穂乃果「どうしたの?」

アニメ穂乃果「蟲だ……」

吸血鬼穂乃果「蟲?」

アニメ穂乃果「機械の表面をミクロサイズ蟲が分裂と再生を繰り返し覆っているんだよ」

アニメ穂乃果「きっとあの蟲たちが物理的な衝撃を分散吸収してるんだ……」

吸血鬼穂乃果「なるほど、何億何兆という蟲が折り重なって流体に近いクッションの役目を果たしている」

吸血鬼穂乃果「尚且つ破壊された部分からすぐさま修復、かなり面倒くさいわねぇ」


アニメ穂乃果「たぶん私の斬鉄剣でも無理だ、一部斬ることは出来ても斬った傍から外装が再生されちゃう」

吸血鬼穂乃果「その一瞬で正解の位置に突き刺せば?」

アニメ穂乃果「うーん……生物でいうコアみたいな弱点があればいけるかもしれないけど」


アニメ穂乃果「あの機械にそんな場所は>>211

211名無しさん@転載は禁止:2017/10/20(金) 23:47:02 ID:qJNjpHDU
蟲の長みたいなのぐらいしかない

212 ◆WsBxU38iK2:2017/10/21(土) 00:33:20 ID:oX69L27c
アニメ穂乃果「あの機械自体にそんな場所は無いけど……蟲の装甲の中に一際大きい蟲がいる」

吸血鬼穂乃果「ほう……もしかしたらそいつが蟲の長かもしれないわね」

アニメ穂乃果「長?」

吸血鬼穂乃果「無限に分裂する蟲たちの動きを管理統率する存在ってこと」


吸血鬼穂乃果「長の場所は見えるの?」

アニメ穂乃果「見えるには見えるけど一箇所に留まってないよ、私の視線を感じるとすっごい速さで動いて他の蟲の中に隠れちゃう」

アニメ穂乃果「あいつが外に出てる時を狙うのは難しい……少なくとも私の腕じゃ無理」

吸血鬼穂乃果「そう……」


アニメ穂乃果(インサイトの仮面を使えばミクロの作業はできる、けれど蟲の速さに私の技術じゃ追いつけない)

アニメ穂乃果(何かもう一つ、パズルのピースを埋める要素が欲しいなぁ)


吸血鬼穂乃果「まぁいつ他のアルパカが襲ってくるか分からない、頭数揃えて策を考えましょう」

アニメ穂乃果「そうだね、マッキーなら何か思いつくかもだし」


アニメ穂乃果「さっさと皆で機械をぶっ壊しちゃおう!」


─────────────────

音ノ木坂跡・校庭

AM5:42〜AM5:43 新終末編『195』了

213 ◆WsBxU38iK2:2017/10/21(土) 00:34:34 ID:oX69L27c
というわけでここまで

機械は壊せるかな

新終末編『196』に続く
かもしれない

214!ken:99:2017/10/21(土) 19:52:11 ID:0OGcohpA
をつ

215 ◆WsBxU38iK2:2017/10/21(土) 20:25:15 ID:oX69L27c
新終末編『197』

─────────────────
──音ノ木坂跡・校庭

AM5:43


ぺぺぺペーン「呼んだー?」テテテッ

マッキー「なになにー!」

吸血鬼穂乃果「呼んだわ、実はあの装置には――」


アニメ穂乃果(私の代わりにマッキーを担いだぺぺぺペーンが校庭の真ん中まで走ってくる)

アニメ穂乃果(今のところ周りに他のアルパカの気配はない……まぁAASが残ってる所は見通せないんだけど)

アニメ穂乃果(とにかく今のうちに機械を破壊しないと!)


吸血鬼穂乃果「――という装甲があるの」

マッキー「……なるほど、蟲による装甲かー」

アニメ穂乃果「マッキーなら心当たりないかな?突破する方法とか」


マッキー「うーん……実はあるんだなこれが!」

アニメ穂乃果「おおっ!」

吸血鬼穂乃果「とことん便利キャラねこのポンコツ」

マッキー「キャラ言うなー」ブー


マッキー「あの蟲の装甲には穂乃果が魔眼で視て理解した特性の他に、もう一個>>216な特性があるんだよ」

216名無しさん@転載は禁止:2017/10/21(土) 20:31:49 ID:ISyN2hZ6
寒冷地方でしか生きれない

217 ◆WsBxU38iK2:2017/10/21(土) 21:19:56 ID:oX69L27c
マッキー「もう一個、寒冷地方でしか生きられないって特性があるんだよ」

アニメ穂乃果「寒い所ってこと?」

マッキー「うんっ」

ぺぺぺペーン「確かに今は全国的にAASが降り注いでるから真冬みたいな気候よね」 

ぺぺぺペーン「黄泉の領域も雪は降ってないだけで気温は似たようなものだし」

アニメ穂乃果「あんまり気にして無かったけど寒いよねー」


マッキー「あの蟲――異界の蟲でミクロメタルバグって言うんだけどね、厳しい環境で生きるためにああいう生態を取ってるんだ」

マッキー「目に見えないほど小さな蟲の群体が常に流動し続けることで、硬度と靭性に長けた1つの個体が出来上がる」

マッキー「それを装甲として利用したのが……あの蟲流装甲、どんな攻撃を食らっても衝撃を分散吸収して、破損したらすぐに蟲が分裂して再生する夢の装甲」

吸血鬼穂乃果「でも……寒いとこでしか生きれない?」

マッキー「そう、そこが唯一の弱点だねー」

218 ◆WsBxU38iK2:2017/10/21(土) 21:20:18 ID:oX69L27c


マッキー「数億数兆の蟲が常に動き回ってるから、それによる摩擦熱が半端ない」

マッキー「ミクロメタルバグが生息してる寒い地域なら冷やされてプラマイゼロで平気だけど」

マッキー「暑い場所に持ってくると自分たちの発生させた熱で自分たちが死んじゃうんだー」

アニメ穂乃果「スズメバチを倒す時のミツバチみたいだね、そんな話聞いたことあるよ」


吸血鬼穂乃果「細かい話はどうでもいいわ、要は装置周辺の温度をあげてやればいいんでしょ」

ぺぺぺペーン「具体的には?」

吸血鬼穂乃果「そうねえ、>>219

219名無しさん@転載は禁止:2017/10/21(土) 21:51:09 ID:3wK8TM9M
沸騰させた血液をぶち当てる

220名無しさん@転載は禁止:2017/10/21(土) 21:51:40 ID:IKBPt.z.
情熱的なクッキング

221 ◆WsBxU38iK2:2017/10/21(土) 22:50:15 ID:oX69L27c
吸血鬼穂乃果「そうねぇ、沸騰した血液をぶち当てるとか……」

アニメ穂乃果「吸血鬼穂乃果がやるの?」

吸血鬼穂乃果「私以外に出来る人がいないでしょ、あなたのガシャットってのでやってみる?」

アニメ穂乃果「うーん……」


アニメ穂乃果(魔人の変身システムについては今いち良くわかってないんだよなぁ)

アニメ穂乃果(ベルトもガングレトちゃんから貰ったものだし、このガシャットも……ん?)

アニメ穂乃果「そういえばぺぺぺペーンちゃんが投げてくれた新ガシャットはなんなの?」

ぺぺぺペーン「ああ、それなら……」

マッキー「あたしが持ってたものよ!」

アニメ穂乃果「やっぱりか」


マッキー「名前は『力と技の風車ガシャット』旧世紀に名を残したとある魔人の力を封じ込めたアーティファクト」

マッキー「あたしが持ってる理由は昔の魔王軍で魔人の力を簡易的に利用する研究してたから、結局ドライバーの開発で手こずって頓挫したけどねー」

ぺぺぺペーン「そんなことしてたの」

222 ◆WsBxU38iK2:2017/10/21(土) 22:50:56 ID:oX69L27c
マッキー「で、あんたがエグゼイドのドライバー持ってるから試しに渡してみたら成功ってわけ」

アニメ穂乃果「ドライバー……ベルトのことか」

ぺぺぺペーン「というかそもそも魔人って何――」


吸血鬼穂乃果「はいお喋りはそこまでよ下民共」パンッ!

ぺぺぺペーン「ひゃっ!」

アニメ穂乃果(サイクロプスを血液に解体中の吸血鬼穂乃果が両手を打ち鳴らす)

アニメ穂乃果(確かに今は喋ってる余裕は無いよね)


吸血鬼穂乃果「今からサイクロプスに使った分の血液を沸騰させてあの装置にぶち当てる」

吸血鬼穂乃果「あなたたちはやること無いならカプセルでも割って中の人を助けておきなさい、その刀なら余裕でしょう」

アニメ穂乃果「う、うん!」


吸血鬼穂乃果「では行くわよ――」

ゴポッ! ゴポポポッ!!

アニメ穂乃果(私が斬鉄剣でカプセルを割り始めるのと同時に、宙に浮いた大量の血の塊が泡立ち始める)

223 ◆WsBxU38iK2:2017/10/21(土) 22:51:27 ID:oX69L27c
アニメ穂乃果「熱してるんだ、でもどうやって……?」

マッキー「無から熱を生み出す、そんなこと普通はできない、どこかに必ず変換前のエネルギーが存在するはず」

マッキー「考えられるとしたら賢者の石……」


吸血鬼穂乃果「はぁあああああっ!」

ゴポポポポポポッ!!

マッキー「……けど、そんな無茶が何時までも続くかなぁ」ボソッ

アニメ穂乃果「え?」


吸血鬼穂乃果「たぁっ!」

ドゥンッ!!!!

アニメ穂乃果(吸血鬼穂乃果が勢い良く手を振ると熱々の血液が装置目掛けて噴射された)

224 ◆WsBxU38iK2:2017/10/21(土) 22:51:51 ID:oX69L27c
ブシャァァァァァァァッ!!

アニメ穂乃果(まるで巨大な赤い水鉄砲、血の塊は地面を抉りながら装置に衝突し、射線上に鉄の匂いを含んだ熱気が立ち昇る)

アニメ穂乃果(一方、高熱の血の塊に呑まれた抽出装置は勢い良く跳ね飛ばされて、また二回三回と大きく転がり――)

ガンッ! ゴンッ!! 

ガンッ!!


ドガシャァァァァンッ!!!!

アニメ穂乃果(――向こう側の校舎の壁に激突して派手に真っ二つに割れた!)


アニメ穂乃果「おおおっ!」

ぺぺぺペーン「血でよく見えないけど……あれ壊れたんじゃない!?」


吸血鬼穂乃果「油断するんじゃないわよ!装置が壊れたことは敵にも知れ渡る!」

吸血鬼穂乃果「辺りの警戒を強めて――!?」ピクッ


アニメ穂乃果(吸血鬼穂乃果がそう言った瞬間だった、>>225)

225名無しさん@転載は禁止:2017/10/21(土) 23:11:37 ID:ISyN2hZ6
吸血穂乃果が黒い血を吐いた

226 ◆WsBxU38iK2:2017/10/21(土) 23:56:03 ID:oX69L27c
吸血鬼穂乃果「がっ!」

ビシャァァッ!!

アニメ穂乃果(吸血鬼穂乃果が黒い血を吐いた)


アニメ穂乃果「どうしたの!?」

吸血鬼穂乃果「へ、平気よ……このくらい……はぁ……くっ……」

アニメ穂乃果「そうは見えないよ!」

吸血鬼穂乃果「大丈夫……だって……」ガクガクッ


アニメ穂乃果「マッキー!なにか分からない!?」

マッキー「思いつくとしたら賢者の石かなー、そのフィードバック食らってんじゃない?」

マッキー「今までは自分の吸血鬼としての能力を強化してたに過ぎないけど、加熱なんて別ジャンルの能力だろうしねぇ」

マッキー「しかもいきなりあんな大量の液体を沸かせたから無理がたたったとかー?」

アニメ穂乃果「治療法は?」

マッキー「興味な〜い、そこらへんに寝かせとけばいいよ〜」

アニメ穂乃果「えぇぇっ!」


マッキー「それより……変身してたほうがいい」

227 ◆WsBxU38iK2:2017/10/21(土) 23:56:18 ID:oX69L27c
アニメ穂乃果「へ?」

マッキー「来るよ、ここのボス」


ヒュゥゥゥゥゥゥッ

ドシィィィィィィィィンッ!!


アニメ穂乃果「おわっ!」

アニメ穂乃果(何かの落下音と共に校庭が激しく揺れる)


マッキー「寿限無のアホは戻ってこないし、何故かゴーストさんも戻ってこない」

マッキー「ここは穂乃果にきばってもらわないと、ちょっと困るかも……」

アニメ穂乃果(振り返った先、そこに降り立ったのは――)


マッキー「たぶんあれが元凶、あたしたちが狩るべきウイルスアルパカだ」


─────────────────

音ノ木坂跡・校庭

AM5:43〜AM5:46 新終末編『197』了

228 ◆WsBxU38iK2:2017/10/21(土) 23:57:05 ID:oX69L27c
というわけでここまで

新終末編『198』に続く
かもしれない

229 ◆WsBxU38iK2:2017/10/22(日) 20:01:35 ID:h9KTvwbA
新終末編『198』

─────────────────
──音ノ木坂跡・校庭

AM5:46


アニメ穂乃果「あれが……」ゴクッ

マッキー「そう、あれが元凶になってるアルパカっぽい、あたしのスカウターがバカ高い数値を表示してるよ」

マッキー「寿限無が言うには魔王と同等の力だとか……」


アニメ穂乃果「――変身」カシャッ

キュィィィィィンッ 

シュンッ!! レベルアーップ!

アニメ穂乃果(言われた通りエグゼイドに変身しておく、とりあえず動きやすいレベル2)

アニメ穂乃果(変身と同時、殺風景な校庭にマ○オのブロックみたいなものがランダムに配置されていく)

ぺぺぺペーン「なにこれ……ステージ変化?」

マッキー「魔人の能力ね、有利なフィールドを作り出す系じゃないかな」


アニメ穂乃果(そんなエグゼイドのフィールドの中、降り立ったアルパカは頭を上げた)

アニメ穂乃果(体格はクイーンアルパカより一回り大きい、その姿は>>230)

230名無しさん@転載は禁止:2017/10/22(日) 20:08:17 ID:.vPFZDSM
形容しがたい

231 ◆WsBxU38iK2:2017/10/22(日) 21:03:40 ID:h9KTvwbA
アニメ穂乃果(空から降り注ぐ鮮血色の光の元に晒された姿、その姿は何とも形容しがたいものだった――)


ぺぺぺペーン「なによ……あれ……」

マッキー「……っ!」


アニメ穂乃果(事前知識が無ければ元の姿がアルパカということさえ分からなかっただろう)

アニメ穂乃果(辛うじて四足歩行生物の原形は留めている……けど顔があるべき場所に顔は無く、脚がある場所に脚はない)

アニメ穂乃果(お腹に目が、背中に脚と蹄が、首の先に尻尾が、全てのパーツがランダムにすげ替えられたような歪な姿)

アニメ穂乃果(まるで説明書を読まずにプラモデルを作ったようなチグハグ加減が、見るものを不安定な気持ちにさせる)


グジュッ ブシュッ……!

アニメ穂乃果(本来付かないはずの場所に無理やりパーツをねじ込んだせいかなのか、接続面からは虹色の体液が吹き出している)

アニメ穂乃果(その血を被った表面の毛皮もまた、モコモコの白い毛から様々な物質へ変化していた)

ガキンッ シュルルッ ドロロッ

アニメ穂乃果(ある場所の毛は鉱物のように硬く、ある場所の毛は先端が植物のように茂り、ある場所の毛は毒沼のように爛れ落ちている)

アニメ穂乃果(体の内から溢れる体液がアルパカの身に生じさせてる変化は挙げていったら切りがない)

232 ◆WsBxU38iK2:2017/10/22(日) 21:03:57 ID:h9KTvwbA


アニメ穂乃果(だが何より特徴的なのは……)

ウネウネウネッ

ぺぺぺペーン「……触手!?」

マッキー「しかもアレ、全部の触手の先端にアルパカの口の部分が付いてるねぇ」

アニメ穂乃果(細長い無数の触手はアルパカの体から四方八方に伸びて、先端の口から周囲に何かを撒き散らしている)

バッ! バッ!


アニメ穂乃果(一言では形容しがたい……私の言葉じゃ言い表せないほどに異様な姿……)

アニメ穂乃果(あれが……私たちの倒す相手だって言うの……?)


マッキー「マズイね……」

アニメ穂乃果「え?」

マッキー「あたしの予想より数段上の化物だ、さっきまで動いていたスカウターがイカれて壊れちゃったし」

マッキー「今の面子じゃどーしようもないし、あたしは大人しく逃げることにするけど……穂乃果は?」


アニメ穂乃果「私は……>>233

233名無しさん@転載は禁止:2017/10/22(日) 21:04:34 ID:MZhrkVSo
時間を稼ぐ

234 ◆WsBxU38iK2:2017/10/22(日) 22:09:46 ID:h9KTvwbA
アニメ穂乃果「私は……時間を稼いでみるよ」 

マッキー「うん、じゃあまた!」テテテッ

ぺぺぺペーン「ちょっ!穂乃果いいの!?あいつ校舎の方に逃げちゃったよ!」

アニメ穂乃果「いいよ、ぺぺぺペーンちゃんもカプセルに入ってた人と吸血鬼穂乃果連れて逃げて」

アニメ穂乃果「これ以上ここにいると危ないよ……あいつはヤバイ……」


ぺぺぺペーン「そんなこと――」

アニメ穂乃果「お願い、皆を気にしてたら時間稼ぎもできそうにないの」

ぺぺぺペーン「……わ、分かったわ」

ぺぺぺペーン「逃げたらマッキー捕まえて何とか吸血鬼穂乃果や他の人の治療するから、それまで生きてるのよ!」

アニメ穂乃果「うんっ」コクンッ


ザッ

アニメ穂乃果「さてと……」

タンッ! タタタタッ!!

アニメ穂乃果(とりあえず走りながら考える――時間を稼ぐと言った以上、あの化物の注意をこちらに向けなきゃいけない)

235 ◆WsBxU38iK2:2017/10/22(日) 22:10:20 ID:h9KTvwbA
アニメ穂乃果(あのアルパカ……とはもう言えない、何か撒き散らしているものに目掛けて私は叫ぶ)


アニメ穂乃果「こっちこっち!!」

撒き散らすもの「…………グァ?」

アニメ穂乃果「こっちだってば!」

撒き散らすもの「グァ…………」 


アニメ穂乃果(反応が薄い、ならこれでどうだ)

アニメ穂乃果「喰らえ!饅頭ガン」バッ!

ドドドドドドドドドッ!!

アニメ穂乃果(守護霊のお父さんの力を借りて手から饅頭を発射する)

アニメ穂乃果(たくさんの饅頭は撒き散らすものに向けて真っ直ぐ飛び……)

グニャァァッ

アニメ穂乃果「なっ!」


アニメ穂乃果(撒き散らすものに接近した途端、何かの力場に触れたのか、何個かの饅頭の表面がドロドロに溶ける)

アニメ穂乃果(そして動物の内蔵と植物の葉が合成されたようなおぞましいものが饅頭の皮を突き破って生えてきて……)

アニメ穂乃果(自重を増した饅頭は撒き散らすものに届かず地面へと落ちてしまった)

ボタボタボタッ

236 ◆WsBxU38iK2:2017/10/22(日) 22:10:44 ID:h9KTvwbA


アニメ穂乃果「うげぇぇっ」

アニメ穂乃果(ぐっ……魔眼で見てるから分かる、あれは気味の悪いオブジェなんかじゃない)

アニメ穂乃果(撒き散らすものが周囲に撒き散らしてる……おそらくはウイルス、高濃度のウイルスの力場)

アニメ穂乃果(それに触れた瞬間、菓子である饅頭の中から歪な生命が生まれたのだ)


アニメ穂乃果(人をアルパカにして操るとか……そういう次元をとっくに超えてる)

アニメ穂乃果(私が打ってもらったワクチンだけで対抗できるものなんだろうか……)


撒き散らすもの「……!」ピクッ

アニメ穂乃果(だけど今の攻撃で撒き散らすものはさっきより私に反応してる)

アニメ穂乃果(周囲に展開した口付きの触手が一斉に私の走ってる方向を向く)


アニメ穂乃果「あ、あなた!他のアルパカみたいに喋れるの!?」

アニメ穂乃果(喋れたらそれはそれで怖いなーと思いつつ、とりあえず意思の疎通を図ってみると……)


撒き散らすもの「……>>237

237名無しさん@転載は禁止:2017/10/22(日) 23:00:46 ID:8fbrCcWs
ワレワレハヒトツ

238 ◆WsBxU38iK2:2017/10/22(日) 23:35:43 ID:h9KTvwbA
撒き散らすもの「ワレワレハヒトツ」

アニメ穂乃果「……へ?」

タタタタッ


撒き散らすもの「ワレワレハヒトツ……スベテノモノハ、ワレワレトナル」

ボタッ ボタッ

アニメ穂乃果(撒き散らすものの体から地面へ落ちた体液が作る不浄の水たまり)

アニメ穂乃果(そこからアルパカらしき未熟な赤ん坊が無数に産まれては倒れてその場を這いずる)

アギャァー アギャァー

アニメ穂乃果(私に反応して過剰分泌されたウイルスが辺りのものを手当たり次第にアルパカ化して……)

アニメ穂乃果(けれど手当たり次第すぎて活動するためのエネルギーが足りてないから、あんな未熟児みたいなアルパカが量産されてる……のかな)


撒き散らすもの「ワレワレハ――」

アニメ穂乃果「ああもう分かった!会話は出来ても意思の疎通ができないタイプなんだねっ!」


アニメ穂乃果(あれを長く直視してると私の頭までおかしくなってしまいそうだ)

ブンブンッ

アニメ穂乃果(頭を振って冷静を取り戻す)

アニメ穂乃果(今やるべきことはあいつを挑発しつつ、適度な距離を取って時間稼ぎ)


アニメ穂乃果(そして――)



─────────────────

音ノ木坂跡・校庭

AM5:46〜AM5:47 新終末編『198』了

239 ◆WsBxU38iK2:2017/10/22(日) 23:36:16 ID:h9KTvwbA
というわけでここまで

アルパカとは

新終末編『199』に続く
かもしれない

240 ◆WsBxU38iK2:2017/10/23(月) 20:00:59 ID:iKGUmoaA
新終末編『199』

─────────────────
──音ノ木坂跡・校庭

AM5:47


タタタタッ!

アニメ穂乃果(そして――まだ校庭に倒れてる2人の所へ行く!)

アニメ穂乃果(戦えるなら力を貸してほしいし、倒れてるなら救助しないと危険だ)


撒き散らすもの「ワレワレトヒトツ、ワレワレトヒトツ二ナルノダ」

グジュッ グジュッ グジュッ

アニメ穂乃果(幸いなことに撒き散らすものの動きは緩慢、今すぐ追いつかれるということはない)


アニメ穂乃果(魔眼で2人の位置を確認して……)

キィーーーーンッ

アニメ穂乃果(わっ、ゴーストのいる場所と寿限無ちゃんのいる場所が微妙に離れてるな)

アニメ穂乃果(撒き散らすものが蠢いてる場所と2人のいる場所を結ぶと丁度三角形になる感じ)

アニメ穂乃果(別に順番に寄っていけばいいけど……どっちから行こう?)


タタッ

アニメ穂乃果「よし、ここは状況を考えて>>241からだ!」

241名無しさん@転載は禁止:2017/10/23(月) 20:40:01 ID:Oi5DWwxA
パンツ丸出しの寿限無

242名無しさん@転載は禁止:2017/10/23(月) 20:40:02 ID:Nk8mxEds
寿限無

243 ◆WsBxU38iK2:2017/10/23(月) 21:07:28 ID:iKGUmoaA
アニメ穂乃果「パンツ丸出しの寿限無ちゃんからだ!」

タタタタッ







パチッ

寿限無(……あれ、なんだ?)

寿限無(暗くてムワットしてて息苦しい、腕が自由に動かせない)

寿限無(でも下半身はスースー涼しくて自由に動かせる)


クンクン

寿限無(ん?この匂いは土?もしかしね私地面に頭から埋まっちゃってる!?)

ジタバタッ!!

寿限無(確か部室で不覚にも罠に嵌ってしまって、そしたら何か強い衝撃で空にふっ飛ばされて……)

寿限無(それで勢い良く地面に激突しちゃたってことぉ!?)


寿限無(むむ……そんなギャグ漫画みたいなことありえるのかしら、でもあり得てるんだから仕方ない)

寿限無(とにかく外へ出ましょう)

キュィィィンッ ググググッ


寿限無(私は神力を腕に漲らせ思っきり体を引き抜こうと踏ん張る)

寿限無(すると>>244)

244名無しさん@転載は禁止:2017/10/23(月) 21:15:21 ID:FBJHZCrU
服が弾け飛んだ

245 ◆WsBxU38iK2:2017/10/23(月) 22:05:04 ID:iKGUmoaA
寿限無(すると……)

メキメキッ バゴンッ!!

スッポーンッ! 

寿限無(周囲の地面は粉々に割れ、ついでに私の服も弾け飛ぶ)


寿限無「ってなんでっ!?」シュバッ!!

寿限無(割れた地面から上半身を引っこ抜いた私は慌てて両手で全裸になった体を隠す)

寿限無(私は地面だけ割るつもりだったのに……習得した神力のコントロールが変になってる?)


寿限無「それともこれもクイーンアルパカの力……?」

??「のんのん、彼女にそんな力は無いねぇ」

寿限無「……っ!?」


寿限無(土の下から脱出した私の目の前、気付くとアルパカが立っていた)

寿限無(貴族的な服を着てることから、おそらくクイーンと同じ上位のアルパカかしら……?)

246 ◆WsBxU38iK2:2017/10/23(月) 22:05:23 ID:iKGUmoaA


Kアルパカ「我はキング、キングの力を授かったアルパカだぞよ」

寿限無「キングアルパカ……」

Kアルパカ「彼女が授かったクイーンは罠や兵士を増産する力、元手が無ければどうにもならぬ」

Kアルパカ「最後に放った麻痺毛ガトリングも、自らの体に仕込んでおいた麻痺毛を増産したのだろうよ」

Kアルパカ「まぁ戦闘向きでないのは確か、疲れ果てたところを簡単に倒されてしもうた」


ザッ

Kアルパカ「じゃが……我は違う」

寿限無「……っ!」

Kアルパカ「キングの力を授かりし我は兵を招集し強化することができる!」

ピィーーーーーーーッ!

寿限無(キングアルパカの口から笛のような甲高い音が響くと、周囲の地面が激しく振動しだす)

寿限無(いや違う、ここへ走ってくるアルパカ人間の群れが地面の揺れを引き起こしているんだ)

ドドドドドドドドドドドドッ!!


Kアルパカ「かーかっかっか!これで終わりぞよ!」

寿限無(こんな数どこに隠れてたんだって数のアルパカがダッシュで私目掛けて突撃してくる)

寿限無(数はゆうに100人を超えてる、範囲は360度囲まれてる、逃げ場はない、これはピンチ――)


Kアルパカ「土塗れの小汚い小娘では止められんじゃろう!かかかかっ!」

寿限無「はぁ?」ピキッ

247 ◆WsBxU38iK2:2017/10/23(月) 22:05:54 ID:iKGUmoaA


寿限無「ピンチ……じゃないけどっ!全然!」ダンッ!

ミシミシッ!! バリバリッ!!

Kアルパカ「なっ!軽く地面を蹴っただけで地割れだと――」

寿限無「裸の女の子の所にホイホイ人を呼んでるんじゃないわよ!エロアルパカがっ!!」


ドンッ!!!!

寿限無(頭に血が登る、とにかく目の前の相手をぶっ飛ばしたくてたまらない)

寿限無(力任せに繰り出した蹴りはキングアルパカを消し飛ばし、集まってきていた兵士アルパカをも消し飛ばす)

寿限無(溢れた力の矛先はそれだけに留まらず、>>248まで破壊する)

248名無しさん@転載は禁止:2017/10/23(月) 22:46:56 ID:Nk8mxEds
英玲奈たちのカプセルと服

249えいと:2017/10/23(月) 22:50:50 ID:j2LIUAwk
tp://bit.ly/2iN1fFu

250 ◆WsBxU38iK2:2017/10/23(月) 23:36:39 ID:iKGUmoaA
寿限無(溢れた力はそれだけに留まらず、発生した衝撃波は地面をえぐりながら校舎の方へ到達する)

ドガシャァァァァンッ!!

寿限無(校舎が壊れる音、そして――)


ぺぺぺペーン「あああっ!何故か英玲奈たちのカプセルと服が弾け飛んで全裸になってる!!」

寿限無(強化された私の聴覚が遠くの校舎内の叫び声を捉える)

寿限無(やっぱりだ、私の力はどこかおかしくなっている……いったい……)


貞子『気を確かに持つのよ』

寿限無「さ、貞子!?さっきから全然声が届かなかったけど消えてなかったんだ!」

貞子『重AASが霧散して、英玲奈がわりと近くにいるからね……これなら私も活動できるわ』

貞子『カプセルが完全に割れたおかげで英玲奈もあっちで目覚めたみたいだし』

寿限無「そっか……」


貞子『寿限無、あなた自分の体をよく見てみなさい』

寿限無「体?……わっ!」

寿限無(自分の体をマジマジと見てみると、黒いモヤのようなものが体の周りを渦巻いていた)

寿限無(モヤは包帯のように長くグルグルと伸びていて、土に汚れた全裸の私を包んでいる)


寿限無「これは……なに?」

251 ◆WsBxU38iK2:2017/10/23(月) 23:37:03 ID:iKGUmoaA
貞子『あなたのメンタルが崩れたせいよ、あなたの心が弱くなったことにより『良くないもの』が侵入してきた』

貞子『それが神力のコントロールに影響を与えている、体から滲み出た神力が黒く染まってるのがその証拠』

寿限無「メンタル……?」

貞子『そう、あなたの神力はあなたの肉体や精神と繋がりの深い力、力の器が歪めば力自体も歪む』

貞子『自分の無力さを嘆いたりすることはないの、あなたは充分に強い、頭を切り替えさい』

寿限無「…………」


寿限無「それは……分かってるけど……」

貞子『自分を卑下する考えはドツボにはまる、特にあなたみたいなバカが思いつめる場合はね』

寿限無「ば、バカって!」プンプンッ!


貞子『ま……今はまだ不調で済んでるけど、症状が進行すると戻れなくなるわよ』

貞子『そしていずれ囚われてしまう、東京全土を覆っている……『究極の絶望』の力に』

寿限無「絶望……?」



タタタタッ

アニメ穂乃果「おーい!寿限無ちゃーーん!大丈夫ーー?」

寿限無「……!」

252 ◆WsBxU38iK2:2017/10/23(月) 23:37:28 ID:iKGUmoaA


貞子『ほら、向こうから仲間がやってきたわよ……まずは一緒に戦って倒しなさい』

貞子『彼女の背後から追ってくる怪物、あれがウイルスを振り撒いてる元凶よ……』

寿限無「な、なによあれっ!!」



寿限無(おぞましい怪物に驚く私の前に、ピンクのスーツに身を包んだおそらく穂乃果さんであろう人が止まる)

キキーッ ザザッ

アニメ穂乃果「やぁ寿限無ちゃん、アルパカたちに襲われてびっくりしたけど撃退できたみたいだね」

アニメ穂乃果「……ってなんで裸!?」ビクッ!

寿限無「ええと……い、今は関係ないでしょ!それよりあの化物がウイルスを撒いてるアルパカなの?」

アニメ穂乃果「そうだよ、とてもアルパカだとは思えないけどね」


寿限無「……なるほど、なら相手してやろうじゃない」

寿限無「貞子!裸はマズそうだから変身するわよ!」

貞子『了解……』シュンッ!

スッ

寿限無(私に憑依した貞子がライダーパスを腰にかざすと、何も服を着ていない全裸の体にベルトが出現し巻かれる)

シュゥゥゥンッ!

貞子寿限無「変身!」

キュィィィィィィィィィンッ!


貞子寿限無「魔人デンオウ――リングフォーム」

アニメ穂乃果「おおっ!寿限無ちゃんも変身できるんだ!」


貞子寿限無「正確には私……寿限無に憑いてるイマジンの貞子だけどね」

貞子寿限無「正に大ピンチって感じの展開だけど、頑張って戦いましょう」

アニメ穂乃果「うんっ」


貞子寿限無「私たちの勝利は来る、きっと来る――」

カシャンッ!


─────────────────

音ノ木坂跡・校舎

AM5:47〜AM5:50 新終末編『199』了

253 ◆WsBxU38iK2:2017/10/23(月) 23:38:18 ID:iKGUmoaA
というわけでここまで

クライマックスからクライマックスだぜ

新終末編『200』に続く
かもしれない

254 ◆WsBxU38iK2:2017/10/24(火) 20:27:23 ID:hSUhCTHk
新終末編『200』

────────────────
──音ノ木坂跡・校庭

AM5:50


ヒュゥゥゥゥッ

撒き散らすもの「ヒトツ……ワレワレハ……ヒトツ……」

ズルルッ ズルルッ


寿限無(おぞましい形に歪められたアルパカの体と、そこから伸びる無数の触手)

寿限無(体からは液状化したウイルスに汚染された体液を垂れ流し、触手の先の口からは濃縮されたウイルスを直接振りまく)

寿限無(化物が通った後の地面にはアルパカの形をした植物や鉱物が乱雑に生えてきている)

寿限無(おおよそ地球上のものとは思えない光景)


寿限無(けれど……これから私たちが倒さなくちゃならない相手に変わりはない)


ザッ ザッ

寿限無(撒き散らすものが向かう先、2人の魔人装甲を纏いし者が立ちはだかる)

寿限無(穂乃果さんが変身したエグゼイドと、私の体を使った貞子が変身したデンオウ)

寿限無(この2人でやつを止める……!)


寿限無『ねぇ貞子』

貞子寿限無「なに?」

寿限無『前に言ってたイドってやつは使えないの?必殺技みたいな口ぶりだったけど』

貞子寿限無「そうねぇ……井戸は発動させると>>255が起こる技なのよ」

255名無しさん@転載は禁止:2017/10/24(火) 20:31:57 ID:v4Tt5aBY
波動砲

256 ◆WsBxU38iK2:2017/10/24(火) 21:24:21 ID:hSUhCTHk
貞子寿限無「井戸は発動させると波動砲になる技なのよ」

寿限無『波動砲……』


貞子寿限無「設置型の波動砲、私が使える武装の中では1番強力」

アニメ穂乃果「それは使えるかもね、すぐに撃てるの?」

貞子寿限無「撃つまでに少し溜め時間がかかるし取り回しは良くないわね」


貞子寿限無「ええと……穂乃果でいいんだっけ?」

アニメ穂乃果「うんっ」

貞子寿限無「穂乃果、あの敵は頼めば大人しく止まっていてくれる敵かしら」

アニメ穂乃果「微妙なところかな……今はノロノロ歩いてるけど、本気を出せば大分俊敏だと思うよ」

アニメ穂乃果「出現した時もどこかから跳躍してきた感じだったし」


貞子寿限無「そう、なら動きを止めるのが先ね……動きが止まった所に井戸の波動砲をぶち当てる」

アニメ穂乃果「動きを止める……か」

257 ◆WsBxU38iK2:2017/10/24(火) 21:24:39 ID:hSUhCTHk
寿限無(貞子の言葉を聞いた穂乃果さんは顎に手を当てて考え込む) 

寿限無(動きを止めると簡単に言っても、撒き散らすものは常にウイルスを振り撒いていて近づくのは難しい)

寿限無(アルパカ変容ウイルスに対しての抗体はあるのものの、他にどんな種類のウイルスがあるか分からない)

寿限無(触れられない相手の動きを止めることは一筋縄では行かない……)


アニメ穂乃果「難しいね、ロープが何かを射出してもあの体液で溶かされちゃうだろうし」

貞子寿限無「手や足を切断したところで動きが止まる生物ではないでしょうしね……」


寿限無(そう私たちが考えあぐねていると、こちらへ歩いてきていた化物が>>258)

258名無しさん@転載は禁止:2017/10/24(火) 21:28:47 ID:k/tCRtLQ
首元に一瞬で回り込み囁いてきた

259 ◆WsBxU38iK2:2017/10/24(火) 22:14:15 ID:hSUhCTHk
寿限無(首元に一瞬で回り込み囁いてきた)


シュンッ!!

撒き散らすもの「ワレワレハヒトツ――」

貞子寿限無「っ!?」


ゾククククッ!!

寿限無(背後から囁かれる無機質な声にこれまで感じたことのない悪寒が走る)

寿限無(耳から手を突っ込まれて魂を引っこ抜かれるような……自我が崩壊しかける感覚……)

寿限無『このっ!!』ブンッ!

寿限無(貞子に憑依されてるのも忘れて私は体を捻り、接近してきた化物に蹴りを食らわす)

ドゥウンッ!!

撒き散らすもの「ヌッ……」

寿限無『あれ?動かせた……』


アニメ穂乃果「こっち!」グイッ!

貞子寿限無「とにかく逃げるわよっ!」

ダタタタッ!!

寿限無(蹴りで怯んだ隙を突き、2人は正面方向へ走り出す)

260 ◆WsBxU38iK2:2017/10/24(火) 22:14:36 ID:hSUhCTHk
寿限無『貞子!今私が体動かしたわよね!?』

貞子「デンオウに慣れてきたんでしょう、元々あなたの体なんだし動かそうと思えば動かせるわ」

寿限無『だったら最初から言ってほしかったなぁ……』

貞子「1つの体を2人で動かしたら混乱するじゃない、変身してる時は私が使ってたほうがいい」

ダタタタッ!

貞子「でも……今みたいに反射的に動く場合はあなたのほうが速いわね、適材適所で行きましょう」

寿限無『了解っ』


アニメ穂乃果「っていうか……足大丈夫?撒き散らすものに突っ込んだほうの足」  

貞子寿限無「足?」

寿限無(穂乃果さんに言われて蹴りをしたほうの足を見ると>>261)

261名無しさん@転載は禁止:2017/10/24(火) 22:29:18 ID:sI6KQA1E
10000個ぐらいの卵がまとわりついていた

262 ◆WsBxU38iK2:2017/10/24(火) 22:59:27 ID:hSUhCTHk
寿限無(蹴りをしたほうの足に10000個ぐらいの卵がまとわりついていた)

寿限無(蛙の卵みたいに白く透明でプルプルしてて、見るだけで生理的な嫌悪を覚える気持ち悪さ)


寿限無『なっ……なによこれっ!』ゾワワワワッ!

貞子寿限無「まるでホラーね……アルパカの卵かしら」

寿限無『そんな卵ある!?』

貞子寿限無「とにかく駆除しないと……デンガッシャーをガンモードにして……」ガシャンッ! 

バシュッ! バシュッ! 

寿限無(貞子は複数のロッドからなるデンガッシャーを銃の形に組み替えると、走りながら自分の足めがけ、器用に卵だけを撃っていく)


寿限無『そんなお手軽遠距離武器あるならそれで化物撃てばいいのに』

貞子寿限無「本来は私のフォームで使う武器じゃないから威力は期待できないわよ」

貞子寿限無「どうせ穂乃果が出した饅頭みたいに防がれるのがオチ……」


アニメ穂乃果「近づいただけで感染するのが厄介だよねぇ」

貞子寿限無「あの様子だと感染は有機物無機物問わない、早く全ての卵を取り除かないとデンオウの装甲も侵食されてしまう可能性があるわ」

バシュ! バシュ!

263 ◆WsBxU38iK2:2017/10/24(火) 22:59:51 ID:hSUhCTHk
撒き散らすもの「マッテ、ワレワレトヒトツニナリマショウ」

トトトトトトトトトトッ!!


寿限無(本当なら止まって足についた卵の駆除をしたい、けれど化物はさっきの何倍ものスピードで追いかけてくる)

寿限無(少しでも走る速度を緩めたら追いつかれてしまう)


タタタタッ

アニメ穂乃果「そうだ!」

貞子寿限無「どうしたの」

アニメ穂乃果「確かこっちの方向ならゴーストがふっ飛ばされてたはずだよ、この際だから逃げつつゴーストとも合流しちゃおう」


アニメ穂乃果「ええと、ゴーストは……>>264」キョロキョロ

264名無しさん@転載は禁止:2017/10/25(水) 00:11:41 ID:xQrR.JZc
ティータイム中

265 ◆WsBxU38iK2:2017/10/25(水) 00:59:26 ID:L1t286FM
アニメ穂乃果「ええと、ゴーストは……」キョロキョロ


ゴースト「ふぅ……ゆったりとお茶は飲むのは最高ね……」カチャ

アニメ穂乃果「優雅にティータイムしてるぅ!?」


アニメ穂乃果「ご、ゴースト!」ダタタタッ!

ゴースト「あら穂乃果、随分な慌てようじゃない、少しは私を見習って落ち着きなさいな」

アニメ穂乃果「あんな化物に追いかけられて落ち着けるわけないでしょ!」ブンッ!

ドガシャァァァンッ!

寿限無(イラッとしたのか、穂乃果さんはピンクのハンマーでゴーストが机代わりにしていた机を砕いた)

ゴースト「あら野蛮」


アニメ穂乃果「おお何か出た、ガシャコンブレイカーって書いてるけどエグゼイドの武器かな」

ゴースト「エグゼイド……そうね、穂乃果にアレを渡しておこうかしら」

アニメ穂乃果「アレ?」

ゴースト「ドアラランドの高松城で見つけてたガシャットよ、たぶんあなたなら使いこなせるわ」ポイッ

アニメ穂乃果「おわっ」パシッ

266 ◆WsBxU38iK2:2017/10/25(水) 00:59:37 ID:L1t286FM


ゴースト「次は寿限無ね、使える武器は全部使うべきよ」

寿限無『武器?』

ゴースト「そのロッドの中に封じ込めてたのはマッキーだけじゃない、化物に対抗するなら同じ……」

寿限無『化物……あっ!』

ゴースト「そういうこと」


寿限無(満足そうに頷いたゴーストは持っていた紅茶を置いて立ち上がる)

ゴースト「……じゃ、ティータイムはこれで終了」カチャッ


ゴースト「あの化物を倒す準備に取り掛かるわよ」


─────────────────

音ノ木坂跡・校庭

AM5:50〜AM5:52 新終末編『200』了

267 ◆WsBxU38iK2:2017/10/25(水) 01:00:06 ID:L1t286FM
というわけでここまで

新終末編『201』に続く
かもしれない

268 ◆WsBxU38iK2:2017/10/25(水) 20:00:27 ID:L1t286FM
新終末編『201』

─────────────────
──音ノ木坂跡・校庭

AM5:52


アニメ穂乃果「準備……?」

ゴースト「そっ、穂乃果は渡したガシャットで化物の足止め、寿限無と貞子はアレを開放したら井戸の準備に移って!」

貞子寿限無「分かったわ」

アニメ穂乃果「うんっ!」


ダタタッ!

寿限無(ゴーストの指示と共に2人が弾かれたように動く)

寿限無(まず初めに穂乃果さんが私たちの前に出て、高速で向かってくる化物と対峙する)

寿限無(手にはゴーストから貰ったガシャット、それをベルトに差し込んで――)


ガシャンッ!

レベルアーップ

アニメ穂乃果「エグゼイド――レベル3!」

ゴースト「シャカリキスポーツガシャットよ!」

寿限無(どこからか召喚された自転車のような武装がエグゼイドの体と合体する)

寿限無(丁度両肩の部分に自転車の前輪と後輪がついた姿……何だかマヌケだけどアレで戦えるの……?)

269 ◆WsBxU38iK2:2017/10/25(水) 20:00:59 ID:L1t286FM


ゴースト「やりなさい穂乃果!レベル3じゃボス相手には少し心もとない気もするけど……」

ゴースト「シンイカノホを研究していたマリーゴールド班の倉庫にあったもの、何かしら特殊な力があるに違いないわ!」

アニメ穂乃果「わりと希望的観測だね!?」


撒き散らすもの「ワレワレハ――」

アニメ穂乃果「ま……仕方ない!」

バシュッ! 


バシュルルルルルッ!!

寿限無(穂乃果さんが手を交差させると、肩に付いていた2つの車輪が高速で射出される)

寿限無(激しく音を立てながら回転する車輪は空飛ぶ丸ノコと化し、走って来る化物の足を切り裂いた!)

ザッシュシュシュッ!!

撒き散らすもの「グアッ……」

寿限無(何本かある地面と接していた足を失った化物は、勢い良く走っていたこともあり、勢いそのままつんのめって派手に転ぶ)

ドシャァァァッ!!


アニメ穂乃果「よしっ!」

寿限無(丸ノコ車輪が切り裂いた化物の足からはドクドクと体液が流れ出ている)

寿限無(だけど車輪で切断したからなのか、その切断面は>>270)

270名無しさん@転載は禁止:2017/10/25(水) 20:08:34 ID:V02YTkww
グチャグチャで次第に体液が勢いよく噴出してきた

271 ◆WsBxU38iK2:2017/10/25(水) 20:54:37 ID:L1t286FM
寿限無(切断面はグチャグチャで次第に体液が勢いよく噴出してきた)

ブシャァァァァァッ!!


アニメ穂乃果「うーん……普通に斬るより逆に激しく体液が出てきてるような……」

ゴースト「もしかしたら出血を止まらなくさせる系の能力なのかもね」

寿限無(レベル3の力について考える2人、一方私の体を操る貞子はその間に準備を進めていた)


貞子寿限無「リングフォーム、私の必殺技――ラセンの井戸!」

キィィィィィンッ

寿限無(1つは波動砲を撃つための準備、貞子が地面に手をかざすと、デンオウっぽいメタリックな井戸が作られていく)

寿限無(もう1つは……)

貞子寿限無「ビデオロッドから――召喚!」

ポワンッ!

モワモワモワモワッ!!

寿限無(辺りに煙が立ち込め……ビデオロッドの中に封じ込められていた堕天使が姿を表す)


ヨハネ「ヨハネ降臨――って出すのが遅いのよ!!」ビシッ!

272 ◆WsBxU38iK2:2017/10/25(水) 20:54:52 ID:L1t286FM
貞子寿限無「悪いわね……マッキーみたいに破損してると困るし、英玲奈を助け出してからにしようと思ってたの」

ヨハネ「まぁいいけどっ」

寿限無『いいのかい……』


ゴースト「出てきてたわね堕天使、その節は随分と迷惑をかけてくれたじゃない」

ヨハネ「はぁ……あんたのことなんて記憶にないわよ、それよりさっさと説明しなさい」

ヨハネ「私に何かをさせるつもりでロッドから出させたんでしょ」

ゴースト「ええ、あなたには>>273

273名無しさん@転載は禁止:2017/10/25(水) 20:56:06 ID:smlzdj0o
堕天の宴(囮役)を開いてもらう

274 ◆WsBxU38iK2:2017/10/25(水) 22:05:42 ID:L1t286FM
ゴースト「ええ、あなたには堕天の宴を開いてもらうわ」

ヨハネ「堕天の宴……なんたる素敵な響き……」ピクッ

寿限無『なにそれ……』


ヨハネ「どうすればいい?どうすれば宴は開かれるの?」ピョコピョコッ

ゴースト「そこに歪な獣の怪物がいるでしょ、あいつを贄にして近くで踊れば宴の始まりよ」

ゴースト「贄を煽る気持ちで存分に踊ってきなさい」

ヨハネ「よぉぉぉっし!」テテテテテッ


寿限無(喜んで無邪気に走っていくリトルデーモン姿のヨハネ)

寿限無(っていうか化物の近くで煽って踊るって、それ囮役ってことなのでは……)


タンッ

ヨハネ「さぁ愚かな獣よ!ヨハネ様が来たわ!喜びなさい!」クルクルッ

ヨハネ「そして邪悪なるその身を宴の生贄と捧げな――」

シュルルルッ! ガシッ!

ヨハネ「ぎゃあああああああっ!絡みつかれたぁああああああっ!!」

275 ◆WsBxU38iK2:2017/10/25(水) 22:06:11 ID:L1t286FM


寿限無(あぁ……思ってた通りだわ)

寿限無(足を切断されて動けなくなっていた化物、そこにマヌケな動きで寄って来たヨハネ)

寿限無(化物は待ってましたと触手を何本か伸ばし、ヨハネの体に絡みついて拘束してしまう)


寿限無(そして触手の先端についたアルパカの口をヨハネの耳元に持って行き――)

ビクンッ!!

ヨハネ「ひぃぃぃぃっ!なによこれぇぇぇっ!」

ヨハネ「すごくコズミック的でホラーな物質が私の中に侵入してくる!頭の中に入ってくる!私の中を侵蝕されちゃうううううっ!!」


寿限無『きっと私が囁かれたのと同じだ、ウイルスとは別のあいつの攻撃……』

アニメ穂乃果「い、今助けるから!」

ゴースト「いいのよ穂乃果」

アニメ穂乃果「え?」

ゴースト「アレがヨハネの役割、元が究極生物なら多少は保つでしょう」

クルッ

ゴースト「ヨハネが時間を稼いでる間に……」

貞子寿限無「……こっちの波動砲の準備ね」


ゴースト「ええ、井戸の波動砲はもつ撃てる?」

貞子寿限無「>>276

276名無しさん@転載は禁止:2017/10/25(水) 22:25:48 ID:FB8hRgTA
早く発射しないと暴発する

277 ◆WsBxU38iK2:2017/10/25(水) 23:02:21 ID:L1t286FM
貞子寿限無「準備万端よ、むしろ早く発射しないと暴発するくらい」

ゴースト「へぇ」

貞子寿限無「このラセンの井戸は地脈から波動砲を撃つためのエネルギーを掘り上げるタイプなの」

貞子寿限無「それで掘ってみて分かったんだけど……この付近は何故かそのエネルギーがグングン溜まるのよ」

貞子寿限無「普通じゃありえないことなんだけど、今は好都合、考えるより先に利用させてもらいましょう」

ゴースト「そうね」

寿限無(音ノ木坂付近の地脈異常?どこかでそんな情報を聞いたような……?)


ゴースト「穂乃果!もう良いわ!ヨハネを助けて回収!」

アニメ穂乃果「おっけー!」

ビュンッ! ギュルルルルルッ!!

寿限無(再び放たれた車輪はヨハネを捕らえている触手を切断、ついでにその周りの触手を刈り取っていく)

ズシャシャシャシャッ!!!!

撒き散らすもの「グアアアアアアアアアッ!!」

278 ◆WsBxU38iK2:2017/10/25(水) 23:02:40 ID:L1t286FM


寿限無(触手から開放されるヨハネ、その体を車輪攻撃を続けながら突っ込んでいった穂乃果さんが受け止める)

ヨハネ「うぅ……」

アニメ穂乃果「キャッチ!」パシッ

寿限無(そしてすぐさま横に捌けて――)

アニメ穂乃果「今だよ撃って!」バッ!


ゴースト「貞子!」

貞子寿限無「地に溢れる波動のリング、呪われし井戸によりラセンとなりて憎き敵を穿ちなさい」

ギュィィィィィィィィンッ!!

貞子寿限無「波動砲――ラセンカノン!!」

ドッ!!!!


寿限無(貞子の叫びに呼応するかの如く、地が揺れ井戸からとてつもない量のエネルギーが吹き上がる)

寿限無(それは空中で渦巻き凝縮されると、極太レーザーとなって化物に降り注ぐ)

ドドドドドドドドドドドドッ!!


寿限無(不浄を焼き尽くす天の光、その一撃を食らった化物は>>279)

279名無しさん@転載は禁止:2017/10/25(水) 23:18:07 ID:zvjl6Q5c
跡形もなく消滅して博士アルパカが拍手しながら近付いてきた

280 ◆WsBxU38iK2:2017/10/26(木) 00:31:33 ID:k94SaNkw
寿限無(その一撃を食らった化物は跡形もなく消滅した)

ジュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!

寿限無(化物本隊はもちろん、切り取られた触手、化物の足元に溜まっていた毒の体液含めて全てが蒸発)

寿限無(光が消えた時、その場にはチリ一つ残っていなかった)


アニメ穂乃果「す、すごい威力だね……一気に消し飛んだよ」

貞子寿限無「私の必殺技だからこのくらいは当然よ」

貞子寿限無「まぁ……ここの特殊な地脈ありきなところはあるけどね」

ゴースト「とにかく倒せたんだから上々よ、これでウイルスをばら撒く存在はいなくなった」

ゴースト「私たちの任務もこれで――」


ザッ

??「ええ、本当に賞賛に値する活躍だパカ」

??「並みの相手には負けないように作ったつもりパカが、ワクチンに究極生物、それに魔人級2人で突破されてしったパカねぇ」

ゴースト「誰っ!?」バッ!


博士アルパカ「パカは博士アルパカパカよ」

ゴースト「アルパカパカ?」

博士「博士パカっ!」


寿限無(ウイルスの元凶を退けた私たち、その目の前に現れたのは――謎の博士アルパカだった)


─────────────────

音ノ木坂跡・校庭

AM5:52〜AM5:55 新終末編『201』了

281 ◆WsBxU38iK2:2017/10/26(木) 00:32:20 ID:k94SaNkw
というわけでここまで

パカパカ

新終末編『202』に続く
かもしれない

282 ◆WsBxU38iK2:2017/10/26(木) 20:07:44 ID:k94SaNkw
新終末編『202』

─────────────────
──音ノ木坂跡・校庭

AM5:55


貞子寿限無「博士アルパカ……?」

アニメ穂乃果「体の大きさはクイーンよりは全然小さい、見た目は……アルパカのぬいぐるみ?」

寿限無『子供向けの絵本に出てきそうなタイプの人語を話す二足歩行アルパカね』

ゴースト「見た目に油断するんじゃないわよ、2人とも変身は解かないように」

アニメ穂乃果「うん……」


博士アルパカ「あー、あー、別に構えなくてもいいパカよ?パカはもう戦う意思はないパカ」

ゴースト「本当かしら?皆初めはそう言うのよ」

博士アルパカ「本当本当、パカが作った自信作が倒されちゃったからウイルス作戦はこれで終了」

博士アルパカ「一刻ほど前に行われたドスケーブ城への襲撃だってパカに言わせれば大失敗」

博士アルパカ「オマケに外郭界の本拠地近くでトラブル……新魔王軍やれやれパカ」


博士アルパカ「ま、その分ラグナロクの侵攻は九州から中国地方へ順調みたいパカだけど、東京にいるパカには関係ないパカからねぇ」

ゴースト「……?」


博士アルパカ「そこでパカ!」

博士アルパカ「敵に囲まれて1人取り残されたパカは提案を申し上げたい」

アニメ穂乃果「提案……?」

博士アルパカ「うむ、それは>>283

283名無しさん@転載は禁止:2017/10/26(木) 20:09:07 ID:TvrgOoPA
食事をしながら話そう

284 ◆WsBxU38iK2:2017/10/26(木) 21:00:41 ID:k94SaNkw
博士アルパカ「食事でもしながら話そうパカ!」  

ゴースト「……は?」ズルッ


寿限無(博士アルパカが提案してきた予想だにしてなかった話にゴーストは軽くずっこける)

寿限無(何故か私たちは敵の博士と会食をすることになってしまったのだ)







──教室


寿限無(廃墟化した学校の中、適当な教室へ場所を移して会食が始まった)

寿限無(ボロボロの机を列べて仮のテーブルを作り、その両側に会談さながら置かれる椅子)

寿限無(向こう側に座ってるのは博士アルパカ、こちら側に座ってるのは目覚めたダストボックスや英玲奈を含めた私たち全員)

寿限無(合計9人いる私たち側がやや狭い気がするけど……まぁ我慢するしかない)


ダストボックス「不甲斐ない、まさか私が真っ先に敵の手に落ちるとは……ダンボール侵入術の練度が足りなかったか」

英玲奈「ダンボールは関係ないと思うぞ?」


ゴースト「……で、わざわざ食事しながらなんてどういう了見なの?」

博士アルパカ「まぁまぁ、まずは料理を味わおうじゃないパカ」

ゴースト「料理ねぇ……」チラッ

寿限無(テーブルの上にはどこから用意したのか複数の皿が並べられている)

寿限無(その中の1つ、肉料理と思わしき皿を指差して穂乃果さんは尋ねた)

285 ◆WsBxU38iK2:2017/10/26(木) 21:00:57 ID:k94SaNkw
アニメ穂乃果「これは……何?」

博士アルパカ「アルパカ肉のソテーパカ」

アニメ穂乃果「あっ、アルパカ肉!?」

寿限無「散々アルパカと戦ったあとにこうして出されるとゲテモノ感が半端ないわね……」

ぺぺぺぺーン「しかも勧めてる本人がアルパカというね」

博士アルパカ「普通に美味しい肉パカよ?、それに地下に飼育場があった音ノ木坂学院の名産でもあるパカ」


ダストボックス「学園でアルパカ?本当にか?」

ゴースト「飼育場は知らないけど、クッキング放送で花陽がアルパカ肉を使っていたことはあったわね」

英玲奈「ああ、そんなのもあったな」


アニメ穂乃果「うーん……魔眼で見るに毒は無さそうだけど、気分的に食べる気にはなれないな」

アニメ穂乃果「こっちの隣の皿の料理は?」

博士アルパカ「うむ、そっちは>>286

286名無しさん@転載は禁止:2017/10/26(木) 21:08:22 ID:OF5z7I/.
ヘルヘイムの果実の盛り合わせ

287 ◆WsBxU38iK2:2017/10/26(木) 22:01:52 ID:k94SaNkw
博士アルパカ「ヘルヘイムの果実の盛り合わせパカ」

アニメ穂乃果「ヘル――」

ぺぺペペーン「なっ!どうしてそんなものがあるのよ!!」バンッ!!

寿限無(名前を聞いた途端にぺぺペペーンが立ち上がりテーブルを叩く)


博士アルパカ「おや?この果実を知っている人がいたパカか」

ぺぺペペーン「異界の地元では神様相手に浄化湯治してもらう旅館の手伝いしてたからね」

ぺぺペペーン「そこではデトックスのために料理にも気を使っていてさ」

ぺぺぺペーン「毒を外に出す効果があったり、逆に体内に取り込むと害を成してしまう食材にはちょっと詳しいのよ」

アニメ穂乃果「ああ、GODのとこから家出したんだっけ」

ぺぺペペーン「え、ええ……若気の至りというか黒歴史だから、あんまり人からは触れられたくないけど」


ゴースト「何したの?」

アニメ穂乃果「確かこの世界に反逆をなんちゃら――」

ぺぺペペーン「あああああああああああああもうっ!!」ペシペシッ

アニメ穂乃果「分かった分かった、言わないから」

288 ◆WsBxU38iK2:2017/10/26(木) 22:02:17 ID:k94SaNkw


ぺぺペペーン「おほんっ……ともかくヘルヘイムの果実は大変危険なものなのよ」 
 
ぺぺペペーン「自らを食べさせようとする誘惑成分があって、食べると遺伝子が変質して生物としての在り方が変わってしまう」

ぺぺペペーン「他の世界を侵食して滅ぼしかねないことから禁忌指定されてる異界植物なはず……」

博士アルパカ「美味しいのに勿体無いパカ」

ぺぺペペーン「美味しいから危ないって言ってるの!」バンッ!

博士アルパカ「ふっふっふっ……」



ぺぺペペーン「ってかこういう物は私より、あのポンコツ科学者のほうが詳しいんじゃない」

ぺぺペペーン「マッキーは何してるのよ、英玲奈が目覚めたから精神修復は済んだんじゃないの?」


寿限無「ああ、マッキーなら>>289

289名無しさん@転載は禁止:2017/10/26(木) 23:16:08 ID:TvrgOoPA
果実をやけ食いしている

290 ◆WsBxU38iK2:2017/10/27(金) 00:40:48 ID:.1ITQ2es
寿限無「そっちで果実をやけ食いしてるわよ」

ぺぺペペーン「ええぇぇぇっ!?」


マッキー「ふんっ!まったく!私としたことが!醜態を晒すなんて!」

バクッ! ガツガツ! モグモグッ!

寿限無(ポンコツ化から戻った反動か、マッキーは目の前の皿の果実を手掴みで口に運んでいた)


ぺぺペペーン「ちょちょっ!何やってるのよ!」 

マッキー「……ん?見て分からないの、過剰のストレスを暴食行為に転位して発散してるのよ」

ぺぺペペーン「そうじゃなくて、ヘルヘイムの果実を生物が食べちゃだめって分かるわよね!」

マッキー「あー……」

ピタッ

寿限無(果汁で手と口の周りをベタベタにしたマッキーは遠い目をして一瞬手を止める) 


マッキー「私はほら……殆ど生物じゃないから」

ぺぺペペーン「へ?」

マッキー「首から下は英玲奈と同じ生体アンドロイド、だから首から上しか人間の部分はないの」

マッキー「それにインベス化を防ぐ間ための対策はちゃんとしてる、そこまでバカじゃないわよ」モグモグ

ぺぺペペーン「そ、そう……それなら良いのよ……」

291 ◆WsBxU38iK2:2017/10/27(金) 00:41:13 ID:.1ITQ2es


バクッ

マッキー「まぁぶっちゃけ残った生身の部分でオーバーロード化の実験するのも一興」

マッキー「けど……私ってあんまり自分の体をホイホイ消費するタイプじゃないのよねぇ」

マッキー「なるべくなら手を汚したくない……」

ドンッ

マッキー「あなたもそうでしょう?博士アルパカさん?」ペロッ 


寿限無(組んだ足をテーブルの上にあげたマッキーは、自らの指についた果汁を舐め取りながら博士アルパカを見やる)

寿限無(それに応えるかのように、博士アルパカはアルパカ肉にフォークを突き立て、自らの口へと運んだ)

ドンッ! 

ガブッ!

博士アルパカ「そりゃそうでしょパカ、誰だって自分の身が1番可愛い」モグモグ


博士アルパカ「そのための……話し合いパカ」

マッキー「ええ……分かってるわ」

ジュルリ


寿限無(交錯する視線と視線、教室の机と椅子を並べて作った児戯的な会場にどこか緊迫感めいたものが走る)

寿限無(そんなピリついた気配を感じつつ、博士アルパカとの食事会は始まったのだった――――) 


─────────────────

音ノ木坂跡・校庭〜教室

AM5:55〜AM6:03 新終末編『202』了

292 ◆WsBxU38iK2:2017/10/27(金) 00:42:24 ID:.1ITQ2es
というわけでここまで

次もお食事回
1つずつ消化していきましょう

新終末編『203』に続く
かもしれない

293!ken:99:2017/10/27(金) 07:42:43 ID:Y38D0xw6
をつ

294 ◆WsBxU38iK2:2017/10/27(金) 20:01:57 ID:.1ITQ2es
新終末編『203』

─────────────────
──音ノ木坂跡・教室

AM6:03


マッキー(少し重くなった空気を変えようとしたのか、穂乃果が両手を合わせて立ち上がった)

アニメ穂乃果「そ、そうだ!さすがに私たちが食べられるものないから何か作るよ!」

寿限無「そうね、私も手伝うわ」

ぺぺペペーン「私も!」

英玲奈「私も手を貸そう」


マッキー(穂乃果に続くように3人が立ち上がりテーブルの端で食材リュックを開き始めた)

マッキー(これで席についてるのは私、ゴースト、ダストボックス)

マッキー(それから無茶の反動でぐったりしてる吸血鬼穂乃果と……そうだ、ヨハネもいたわね)


吸血鬼穂乃果「くっ……物を食べる気にはなれないわね……」

マッキー(吸血鬼穂乃果の治療はほぼ済んでる、まだ完全回復はしてないけど、吸血鬼のタフネスさを考慮するに後は自然治癒任せで大丈夫でしょう)

チラッ

マッキー(問題なのはヨハネの方、彼女は撒き散らすものによって肉体と精神共に汚染侵食されたと聞いてる)

マッキー(そんな今のヨハネの様子は>>295)

295名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 20:09:32 ID:8koHFUgw
淑女になった

296 ◆WsBxU38iK2:2017/10/27(金) 20:55:25 ID:.1ITQ2es
マッキー(そんな今のヨハネは……すっかり淑女となっていた)


ヨハネ「ふふっ、マッキーさん、手掴みだなんてはしたないですわよ」

カチャッ カチャッ

マッキー(綺麗に小皿に取り分けたヘルヘイムの実を、ナイフとフォークで優雅に口へと運んでいる)

マッキー(まるで貴婦人のような振る舞い、今までの厨二病はどこ吹く風だ)


ハムッ モグモグ

ヨハネ「うん、とても美味しいですわ」

博士アルパカ「それは良かったパカ」


ゴースト「ねぇねぇ、ヨハネは本当に大丈夫なの?」ボソッ

マッキー「大丈夫なんじゃない?身体的な傷害は特に見られないし」

マッキー「体が真っ二つになっても死なない生物なんて心配するだけ無駄よ」

297 ◆WsBxU38iK2:2017/10/27(金) 20:55:40 ID:.1ITQ2es
マッキー「頭の中身だって前より今のほうがマシだと思わない?」

ゴースト「それは……」チラッ


ヨハネ「ゴーストさんもいかがです?お肉なら召し上がれるのではないでしょうか?」ニッコリ


ゴースト「……そうだけど」

マッキー「ね?」


ヨハネ「食べませんの?」

ゴースト「わ、私は……ええと……」

マッキー(答えに窮したのか、ゴーストは調理を始めていた穂乃果たちのほうを見る)


ゴースト「そうだ穂乃果!あなたたち何作ってるのよ!」

アニメ穂乃果「うーん?>>298だよー!」

298名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 21:02:55 ID:2vyRnjUA
ビーフ?シチュー

299 ◆WsBxU38iK2:2017/10/27(金) 21:39:25 ID:.1ITQ2es
アニメ穂乃果「ビーフシチューだよー!何の肉かは分からないけどー!」

ゴースト「それってビーフシチューと呼んでいいの……?」



英玲奈「穂乃果、野菜と肉は切り終わったぞ」

寿限無「手刀でしゅぱぱっと切ったわ」

アニメ穂乃果「ありがとう、それじゃ次は鍋でお肉を焼いていく工程なんだけど……」

ぺぺペペーン「なら私がやるわ」

アニメ穂乃果「うんお願いっ、私は自信ないんだよねぇ」


ジュゥゥゥッ

ぺぺペペーン「まずはバターを熱して、カットした肉に焼き色がつくまで強火で焼いていく」

ぺぺペペーン「そしたら玉ねぎにんじんを加えて、たまねぎがしんなりするまで中火で炒めていくわ」

ジュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!

アニメ穂乃果「手際いいねぇ」

ぺぺペペーン「一応GODの旅館で厨房やってたこともあるし……特別上手いわけじゃないけどね」

ぺぺペペーン「料理の腕だけならパパパパーンのほうが何倍も上だと思うわ」

ジャッ! ジャッ!

300 ◆WsBxU38iK2:2017/10/27(金) 21:39:51 ID:.1ITQ2es




ゴースト「……うーん、一応順調に進んでるのかしら」

ダストボックス「食材以外はな」


マッキー「じゃあ向こうがビーフシチューを作ってる間、私たちは話を進めましょう」

ゴースト「そうね」

博士アルパカ「パカッ」コクンッ

マッキー「博士アルパカ、単刀直入に聞くけど……あなたの要求はなに?」


マッキー「これ以上戦う意思がないなら逃げればいい、なのにあなたは姿を現した」

マッキー「あなたには私たちに要求したいことがあるはずよ」

博士アルパカ「そうパカね、パカが望むのは……>>301

301名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 22:10:42 ID:7RnSxFsg
ウイルスの研究を続けさせてほしい

302 ◆WsBxU38iK2:2017/10/27(金) 23:00:09 ID:.1ITQ2es
博士アルパカ「ウイルスの研究を続けさせてほしい、それだけパカ」

マッキー「ウイルス研究ねぇ……つまりこっちの勢力に付きたいと」

ゴースト「え?そこまで飛躍する?」

マッキー「するわよ、研究者だって生身1つで何でも研究開発できるわけじゃない」

マッキー「研究を続けるには基盤となる予算と施設が必要になる」


マッキー「今までは新魔王軍に提供して貰ってたんでしょうけど、計画に失敗した今古巣に戻っても扱いは目に見えてる」

マッキー「自由に研究はできないどころか、フードマンの機嫌時代では殺処分も考えられるわね」

ゴースト「貴重な研究員をわざわざ殺すの?」

マッキー「向こうにはクッキングがいるのよ、この程度の研究ならあいつ1人で引き継げるわ」

マッキー「人の物をパクることに関しちゃあいつは天才だからね」

ゴースト「確かに……」


博士アルパカ「"この程度"という物言いにはカチンと来るパカけど……あなたの言い分は当たってるパカ」

博士アルパカ「向こうに残してきたデータがあればクッキングは困らない」

博士アルパカ「今更戻っても新魔王軍に私の椅子はないパカね」

303 ◆WsBxU38iK2:2017/10/27(金) 23:00:28 ID:.1ITQ2es


ダストボックス「だとしても……世界を滅ぼしかねんウイルス研究など許可しかねるぞ」

博士アルパカ「パカは滅ぼす気なんてないパカよ?」

ダストボックス「お前にその気がなくたって誰かが利用するかもしれないだろ、危機意識のない好奇心だけのバカが1番害悪だ」


ゴースト「言われてるわよ?」

マッキー「誰のことだか……」


博士アルパカ「うーむ……結局ダメなのパカ?」

ゴースト「ベタな話だけど、メリットの提示がないと何とも言えないわね」

ゴースト「あの化物――撒き散らすものは人をアルパカにして操るウイルスの他にも複数のウイルスを生み出してるように見えた」

ゴースト「あなたが研究してるウイルスも種類は1つじゃ無いってことよね」

博士アルパカ「うむパカ」


ゴースト「じゃあ例えばだけど、そのウイルスの中で、使い方次第で良い効果をもたらすものはないの?」

博士アルパカ「良い効果パカか、役立つ効果ってことパカよね」

ゴースト「ええ」コクンッ

博士アルパカ「それなら>>304

304名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 23:13:45 ID:Pco9Y3Ts
どんなに酷いダメージを負っても苦痛を感じなくなる

305 ◆WsBxU38iK2:2017/10/27(金) 23:46:09 ID:.1ITQ2es
博士アルパカ「どんなに酷いダメージを負っても苦痛を感じなくなるウイルスとかあるパカよ」

ゴースト「苦痛を感じなくさせるか……悪くは無いけどちょっと弱いかな」

マッキー「無痛薬なら私や鞠莉でも作れそうじゃない?」

博士アルパカ「ち、違うパカ!薬じゃなくてウイルスパカよ!」

ダストボックス「何が違うんだ?」

博士アルパカ「明確に違うパカ!!」プンプンッ


マッキー(博士アルパカは語気を強めて否定する、アルパカが作るウイルスに何か私たちの気付かない利便性があるのかしら)

マッキー(何にしても今はこいつから情報を出来るだけ引き出したほうがいい)


マッキー「まぁ良いわ、そのうち穂乃果たちのビーフシチューもできるだろうし」

マッキー「ここはアルパカ先生のプレゼンをゆっくりと聞こうじゃない」

博士アルパカ「よし、存分に聞くがいいパカ!」

博士アルパカ「パカの開発したアルパカウイルスとは――――」


─────────────────

音ノ木坂跡・教室

AM6:03〜AM6:08 新終末編『203』了

306 ◆WsBxU38iK2:2017/10/27(金) 23:47:07 ID:.1ITQ2es
というわけでここまで

引き続きウイルス&クッキング

新終末編『204』に続く
かもしれない

307 ◆WsBxU38iK2:2017/10/28(土) 20:01:08 ID:NDUiWzzA
新終末編『204』

─────────────────
──音ノ木坂跡・教室

AM6:13


博士アルパカ「つまりパカね、宿主の細胞を利用して自己を複製することがウイルスの特徴で――」

マッキー「いや、待って待って」

博士アルパカ「うん?」

マッキー「我慢して聞いてたけどさすがに止めるわ、私が聞きたいのはそんなウイルスの基礎講義じゃないのよ」

ゴースト「私は興味深かったけどね」


マッキー「キャリアを通じて感染を広げられるウイルス兵器の有用さは私も分かっている」

マッキー「私が説明しろと言ったのはアルパカウイルス独自の特徴よ」

博士アルパカ「全く、これから話そうとしたのにせっかちなやつパカ」

博士アルパカ「では少し話を飛ばして本題に行くパカよ」

オホンッ


博士アルパカ「パカが開発したアルパカウイルス、その全てに共通する最大の特徴は>>308

308名無しさん@転載は禁止:2017/10/28(土) 20:07:21 ID:Vhr4jzoY
語尾がパカになる

309 ◆WsBxU38iK2:2017/10/28(土) 20:47:38 ID:NDUiWzzA
博士アルパカ「語尾がパカになるパカ!」ドヤッ

マッキー「……くだらないわね、この場で処分していいんじゃない?」イラッ

ゴースト「ま、まぁまぁ」


博士アルパカ「可愛いと思うんだけどパカねぇ」

マッキー「私は可愛い可愛くないじゃなくて役立つメリットを示せるかって聞いてるの!」

博士アルパカ「充分メリットパカ」

マッキー「いい加減にしないと屠殺して食うわよアルパカ!!」

ゴースト「ま、まぁまぁ」


アニメ穂乃果「どうしたのー?食べるならこっちの料理を食べなよー」スタスタ

マッキー「出来たの?」

アニメ穂乃果「うんっ」

スタスタ

マッキー(テーブルの端で調理を続けていた穂乃果たちが鍋を持ってこちらに戻ってくる)

310 ◆WsBxU38iK2:2017/10/28(土) 20:48:17 ID:NDUiWzzA
ゴースト「ビーフシチューって言ってたわよね、それにしては早くない?」

ぺぺペペーン「リュックの中に超次元圧力鍋があったのよ、おかげで赤ワインと水を入れて煮込むとこからの調理が速く済んだわ」

ゴースト「ほー」

マッキー「どうせあいつの発明品ね」

ぺぺペペーン「その後はじゃがいも、デミグラスソース、トマトケチャップを加えてかき混ぜながら煮込んで……」

ダストボックス「完成か?」


ぺぺペペーン「ううん、最後に隠し味を1つ加えようって寿限無が言ったのよ」

寿限無「やっぱりアレが無いとね!」

ダストボックス「あれ?」

ゴースト「嫌な予感がするけど……何を加えたのか言ってみなさい」


寿限無「もう心配性なんだから、ただの>>311よ?」

311名無しさん@転載は禁止:2017/10/28(土) 21:02:23 ID:qdAejCpE
希の母乳

312 ◆WsBxU38iK2:2017/10/28(土) 22:00:03 ID:NDUiWzzA
寿限無「ただの希母さんの母乳よ」

ゴースト「やっぱり変なのじゃないっ!」

寿限無「はぁ?乳よ乳、牛乳や豆乳の仲間じゃない」

寿限無「味がまろやかになると思って入れたんだけど……もしかして乳製品はダメだった?」

ゴースト「そういうことじゃなくてねぇ……」

マッキー(微妙にズレた寿限無の発言にゴーストが頭を抱える)


ダストボックス「確かにアルパカの前でアルパカの肉を食ったり、異世界の危険な果実を食うよりは幾分マシかもしれないな」

ぺぺペペーン「私も別に構わないわ、健康的な問題もないだろうし」

ゴースト「えぇ……私は希本人の記憶があるから微妙な気持ちなんだけど……」


アニメ穂乃果「あはは、私もゴーストとは同意見かな、でもせっかく作ったから勿体無いし食べようとは思うよ」

ゴースト「うーん……」

313 ◆WsBxU38iK2:2017/10/28(土) 22:00:20 ID:NDUiWzzA


カタンッ カタンッ

マッキー(ゴーストが悩んでる間、穂乃果たちが皿にビーフシチューを取り分けて、それぞれの椅子の前に置いていく)


英玲奈「なぁ穂乃果、本当にあの母乳は大丈夫なのか?」ボソッ

アニメ穂乃果「え?どうして?」

英玲奈「いや……明確な理由は無いがどうもデジャヴのようなものを感じてな」

英玲奈「前に東條希の母乳で大変なことが起きた気がするんだよ……」

アニメ穂乃果「?」


博士アルパカ「もうっ、グダグダ言ってるならパカが1番に食べるパカ!」

博士アルパカ「実はさっきから良い匂いして気になってたんパカよね〜」

パクッ

モグモグ ゴクンッ!

博士アルパカ「ぷはぁ〜!」


マッキー(待ってましたとばかりに勢い良く博士アルパカはビーフシチューを食べた)

マッキー(すると>>314)

314名無しさん@転載は禁止:2017/10/28(土) 23:18:25 ID:4UMXzh1s
希の母乳中毒になり、幼児退行した

315 ◆WsBxU38iK2:2017/10/28(土) 23:59:18 ID:NDUiWzzA
博士アルパカ「美味しい美味しい……むぐっ!?」ビクンッ!

ゴースト「ど、どうしたの?」

マッキー(ビーフシチューを食べていた博士アルパカは突如怪訝な顔をする)


英玲奈「あ!思い出したぞ!」

アニメ穂乃果「ん?」

英玲奈「前にμ'sが東條希の母乳入りの料理を作った時、試食をした絢瀬絵里が母乳中毒になったと聞いたんだ!」

アニメ穂乃果「えぇぇぇっ!?」


ゴースト「そんな!私は知らないわよ、矢澤にこが知らない記憶ってことかしら」

ダストボックス「待て、ということは博士アルパカも……」


博士アルパカ「あうぅ、あぅうううううううっ!」バタバタッ!!

ダストボックス「やっぱり!」

316 ◆WsBxU38iK2:2017/10/28(土) 23:59:30 ID:NDUiWzzA
博士アルパカ「やだやだぁ!パカは研究がしたいパカァ!研究を続けたくてたまらないパカァ!!」

ジタバタッ! ジタバタッ!


ゴースト「何こいつ、急に駄々をこね始めたわよ……」

マッキー「元々幼い喋り方だったけどまるで幼児になったような振る舞い、これが母乳中毒の影響なのかしら」


アニメ穂乃果「どうしよう……」

マッキー「この状態では話し合いどころじゃないわね、穂乃果、あなたの眼を貸しなさい」

マッキー「アルパカの診察を始めるわよ!」

アニメ穂乃果「う、うんっ!」



─────────────────

音ノ木坂跡・教室

AM6:13〜AM6:15 新終末編『204』

317 ◆WsBxU38iK2:2017/10/28(土) 23:59:48 ID:NDUiWzzA
というわけでここまで

新終末編『205』に続く
かもしれない

318 ◆WsBxU38iK2:2017/10/29(日) 20:15:32 ID:L0iPoOCA
新終末編『205』

─────────────────
──音ノ木坂跡・教室

AM6:15


アニメ穂乃果「ふむ……」キィィィィィィンッ!

マッキー「どう?」

アニメ穂乃果「脳の一部分に変な腫れが見えるね、その腫れから赤い光の線みたいのが伸びて魂の中に繋がって……これが精神の部分に影響与えてるのかな……?」

アニメ穂乃果「いや待って、線の伸びる方向が逆?精神の捻じれが脳に影響を与えてるのかも……?」

ゴースト「つまり……どういうことなのよ」

アニメ穂乃果「つまり……私にも分からん!」

ゴースト「ええぇぇー?」


マッキー「穂乃果、落ち着いて視る対象を限定して」

アニメ穂乃果「限定?」

マッキー「あなたの魔眼は万能、でも万能過ぎるが故に無差別に全ての位相のエラーを見てしまうの」

アニメ穂乃果「……?」

マッキー「まぁ例えば……同じ風邪の症状でも医者が診察するのと魔術師が診察するのじゃ結果が違うでしょ」

アニメ穂乃果「うん」

マッキー「でもね、その結果は別にどっちが間違ってるわけじゃない」

マッキー「医者は医学の眼で物理的な患部を特定して、魔術師は魔術の眼で異能的な患部を特定してるだけ」

ゴースト「文字通り見方が違うってことかしら」

319 ◆WsBxU38iK2:2017/10/29(日) 20:15:59 ID:L0iPoOCA


マッキー「そう、物理的な位相と異能的な位相は互いに干渉しあっているの、確実な治療ならどっちの方面から進めても問題はない」

マッキー「あ、もちろんヤブはどの分野でもダメだからね?私みたいなプロじゃないと」

ゴースト「あんたも大概うさんくさいけどね……」


オホン

マッキー「それで話を戻すと、今の穂乃果の眼は物理的な患部と異能的な患部を同時に見てしまってるような状況」

マッキー「母乳が影響で変異してる箇所を、位相関係なく同時に見てるから混乱するの」

アニメ穂乃果「なるほど……ってことは先に治療の種類を決めて、その後に診察か」

マッキー「そうね、あなたが混乱するほどエラーが重複してるなら科学寄りでも魔術寄りでも治療ができるはず」


マッキー「幸いここには色んな分野のスペシャリストがいるわ」
 
マッキー「もちろん本命は私だけど……まぁ好きに選びなさい」ニコッ

アニメ穂乃果「おぉ、暗に自分を選べって圧がすごい……」


アニメ穂乃果「そ、そうだな、じゃあ最初の治療は>>320に頼むよ」

320名無しさん@転載は禁止:2017/10/29(日) 20:28:05 ID:.Zhk84i.
しれっと居る女医パカ

321 ◆WsBxU38iK2:2017/10/29(日) 21:34:37 ID:L0iPoOCA
アニメ穂乃果「そこにいるアルパカに頼もうかな……ってアルパカ!?」

女医パカ「分かりました」

マッキー「しれっと居たわね、いつの間に来たのよ……」


女医パカ「私も博士と同じく和解案を考えているアルパカの一匹、名前は女医パカと申します」

女医パカ「透明化で隠れていたのですが見つかってしまいましたか、まぁ魔眼相手では仕方ないでしょう」


マッキー「…………」

マッキー(突如現れたのは白衣を身に纏ったアルパカ、博士とは対象的に冷静沈着な雰囲気を醸し出している)

マッキー(博士アルパカの仲間なら、敵というわけでは無いでしょうけど――)

女医パカ「あ、そこのあなた、今私に対しての敵意を失くしましたね」

マッキー「……っ!?」


女医パカ「ダメですよ、急に出てきた怪しい相手に対してすぐに警戒を解いては」

マッキー「そんなこと……」

女医パカ「分かってる、でも分かっていても不用心に解いてしまった、それが問題なのです」

322 ◆WsBxU38iK2:2017/10/29(日) 21:35:05 ID:L0iPoOCA
マッキー「…………」

女医パカ「今考えると不思議なことは他にもあります」

女医パカ「何故ホイホイと会食に付き合ったのか、何故長々と話を聞いていたのか、何故メリットを提示しなかった相手を治療しようとしてるのか」

女医パカ「ねぇ?不思議だと思いません?」

マッキー(女医パカは私の心情を見透かしたかのような口調で話す)


マッキー「私たちが……何か術中に嵌められてると言いたいの……?」

女医パカ「おや、察しがいい」

マッキー「ええ、それが長所だからね」


女医パカ「察しの通り術中に嵌ってるのは確か、ですが特段害があるものではありません」

女医パカ「博士が交渉をスムーズにするために使っていたに過ぎませんから」

カツンッ

女医パカ「少なくとも……今までは」

マッキー「……?」


女医パカ「さて皆さん、私が治療をするとのことなので必用なものを準備していただきます、よろしいパカ?」 

ゴースト「分かったわ!」

女医パカ「まずは>>323

323名無しさん@転載は禁止:2017/10/29(日) 21:38:44 ID:5zFnB0UI
アルパカウイルスよりも強力なウイルス

324 ◆WsBxU38iK2:2017/10/29(日) 22:32:30 ID:L0iPoOCA
女医パカ「まずはアルパカウイルスより強力なウイルスを作成して頂きます」

マッキー「は、はぁ!?」


女医パカ「でなければ博士の根本的な治療は出来ません、今の博士は幼児化して理性に乏しい危険な存在です」

女医パカ「抵抗した結果、今まであなた方との交渉で使っていたアルパカウイルスを無差別に撒き散らす可能性がある」

マッキー「だからそのアルパカウイルスの話を聞いてる途中だったのよ」

マッキー「詳細が分からない限りはそれより強力なのを作れったって……」


女医パカ「博士が言っていたでしょう、語尾がパカになると」

マッキー「パカ?」

女医パカ「ほら、気を抜くとあなたも語尾がパカになりませんパカ?」

マッキー「そんなわけないパカ……あっ……」

女医パカ「ふふふ、これで反応するということは大分汚染が進んでいるみたいですね」

マッキー「汚染ですって……?」


マッキー(女医パカは私に対して軽く笑うと寿限無の方に歩いていく)

マッキー(それにしても今の私、どうして語尾にパカなんて……)

325 ◆WsBxU38iK2:2017/10/29(日) 22:32:51 ID:L0iPoOCA


女医パカ「寿限無さん……でしたよね、あなたが1番腕っ節強そうなのでお願いします」

女医パカ「博士を徹底的に拘束して、この猿ぐつわを噛ませて隣の教室に放り込んでください」

寿限無「ええ、それくらいなら良いけど……」

女医パカ「気を付けるのは博士と意味のある会話をしないこと、できれば無言でなるべく姿さえ見ないのがベストです」

女医パカ「手早く博士を遠くに隔離してください」

寿限無「分かった、やってくるわ」

タタタッ


アニメ穂乃果「ねぇ……どういうことなの?」

女医パカ「そうですね、時間も出来たことですし私の口から説明します」

女医パカ「アルパカウイルスの元になってるのはアルパカ族固有の儀式――アルパカバウトです」

ゴースト「バウト?」

マッキー「聞いたことがあるわ、簡単に言えば言葉遊びをベースにしたゲーム」

マッキー「アルパカの世界ではアルパカバウト――言葉の力で物事の勝敗を決めると聞くわ」

マッキー「食料の配給から王や政治まで、自分たちに関わること全てを」

ゴースト「言葉遊びなんかで大事なこと決めてたのか……」


女医パカ「ふふふっ、確かに人間からすればたかが言葉遊び、けれど人間も法律という言葉遊びは守りますよね」

ゴースト「そりゃあ……守らなきゃいけないし」

326 ◆WsBxU38iK2:2017/10/29(日) 22:33:08 ID:L0iPoOCA
女医パカ「アルパカバウトにはそれの同じくらいの強制力があるのです、『常識』という強制力が」

ゴースト「常識ねぇ……」


女医パカ「そしてアルパカはアルパカ以外の生物にもバウトを仕掛けられる」

ゴースト「ん?待ってよ、バウトはアルパカ族内だけの常識でしょ」

女医パカ「はい、ですが仕掛けられるのです」

ゴースト「どうやって?」


女医パカ「方法は簡単、常識が違うなら相手の常識を変えてしまえばいい」

女医パカ「例えばそうですね……あの究極生物に>>327という常識を植え付けてみましょう」

327名無しさん@転載は禁止:2017/10/29(日) 22:41:45 ID:Nx2iol0o
綱引きは木とすること

328 ◆WsBxU38iK2:2017/10/30(月) 00:30:40 ID:UB8DVDrY
女医パカ「『綱引きは木とすること』という常識を植え付けてみましょう」

テクテク

マッキー(女医パカはそう言うと、優雅に果実を食べてるヨハネの所へ向かい、その耳に何かを囁いた)


女医パカ「さぁヨハネさん、綱引きをしてみませんか?」

ヨハネ「望むところよっ!」テテテッ

ガラッ

ヨハネ「たぁぁあああああっ!」

ダタタタタタタタッ!!

マッキー(綱引きを挑まれたヨハネは何故か窓を開けて校庭に走っていった)


ダストボックス「何してるんだ?」

アニメ穂乃果「うーんとね……枯れた木に縄を巻きつけて綱引きしてるみたい」

ゴースト「何で綱引きをチョイスしたのかとか、ヨハネが何でやる気になったのかとか、突っ込みたいことは色々あるけど……」

ゴースト「あれが常識を植え付けたってこと?アルパカバウトで?」


女医パカ「前者は正解、後者は不正解」

女医パカ「私が行ったのはアルパカバウトではない、今ヨハネに行ったのは――」

マッキー「アルパカウイルスの感染ね……」

女医パカ「正解」

329 ◆WsBxU38iK2:2017/10/30(月) 00:31:00 ID:UB8DVDrY


マッキー「撒き散らすものの囁きでヨハネが淑女化したように、あなたの囁きで再びヨハネに影響が出た」

マッキー「別の常識を刷り込むのがアルパカウイルスの特徴なわけ……?」


女医パカ「そうです、アルパカバウトで使われてきたアルパカ族の言葉の強制力」

女医パカ「それを応用して作られたウイルスがアルパカウイルス――」

女医パカ「私たちはこれを言葉や文書を用いて対象に認識させることで感染を引き起こすのです」


英玲奈「異なる常識を強制的に適用させる技か……」

英玲奈「あんじゅが使っていた『概念』の効果にどこか似てる気がするな」


女医パカ「常識……というのはあくまで分かりやすさを優先したワードですけどね」

女医パカ「文化や宗教、規律やルール、思考や口癖など、書き換えられる種類は多岐に渡ります」

女医パカ「またウイルスの形を取ることでサブの症状、肉体的な変化を関連付けて引き起こすこともできるのです」


女医パカ「例えばパカと言ったらパカと言ってしまう反応、これも感染の1つです」

女医パカ「この感染が進行するとアルパカ人間になるんですよ」

マッキー「なっ……!」ビクッ!

女医パカ「まぁ、あなた方はアルパカ化に対するワクチンは打ってるようなので形態変化は起きませんし」

女医パカ「語尾もこっちから誘発させなければ出ない軽度なものですけどね」

アニメ穂乃果「なんだ……びっくりしたー」


女医パカ「びっくりしたパカ?」

アニメ穂乃果「びっくりしたパカ!」

330 ◆WsBxU38iK2:2017/10/30(月) 00:31:17 ID:UB8DVDrY


マッキー「これを博士アルパカも使っていたの?」

女医パカ「はい、自分をどこか親身に思ってしまうようなウイルス、それを暗に言語感染させて皆さんに襲われないようにしていたと思います」

ゴースト「そんな簡単に感染させられるならもっと洗脳して操るようなウイルスにすればいいのに」

女医パカ「あまり効果の強いものは即興で作れないんですよ、ウイルスアルパカを消滅させられて在庫が付きたのは本当ですし」

女医パカ「おそらくはあなた達と交渉を続けつつ、ウイルス研究を手伝いたくなるような思考を感染させるつもりだったのかと」

ゴースト「……ふむ」


女医パカ「ですが、今の幼児化した博士が何をするかはわかりません」

女医パカ「本来それほど危険でないウイルスでも自暴自棄になって数を重ねられたり、他と併用されたら危険なものになるかもしれない」

女医パカ「だから必用なのです、安全に治療するためにアルパカウイルスより強いウイルスが……」


マッキー「……なるほど、強いウイルスって話が見えなかったけど、要はウイルスを駆除するウイルスを作ればいいのね」

ゴースト「駆除?」

マッキー「そう、感染させられた常識や思想を駆除……除去と言ったほうがいいか」


マッキー「アルパカウイルスと同じ認識感染を行って、尚且つ事前に書き込まれた内容を消去できる」

マッキー「そんな除去ウイルスを作ることが、今求められてることなのよ」


─────────────────

音ノ木坂跡・教室

AM6:15〜AM6:20 新終末編『205』了

331 ◆WsBxU38iK2:2017/10/30(月) 00:35:01 ID:UB8DVDrY
というわけでここまで

少しややこしいですが次でまとめるかと思います

あと何気に2周年過ぎていたという事実
ゴールはあるのに日に日に長くなる
まぁ何事もなくまだダラダラと進みます


新終末編『206』に続く
かもしれない

332!ken:99:2017/10/30(月) 07:47:29 ID:r03yGw1Q
をつ

いつの間に過ぎてたんだ、祝えなかった......
3年目も楽しみだ

333 ◆WsBxU38iK2:2017/10/30(月) 20:34:46 ID:UB8DVDrY
新終末編『206』

─────────────────
──音ノ木坂跡・教室

AM6:20


マッキー「……そうね、いわゆるミーム汚染や認識災害と言った存在に似てるわね」

アニメ穂乃果「何が?」

マッキー「アルパカウイルスの感染経路よ、今はその話しかしてないじゃない」

アニメ穂乃果「ああそっかそっか」


ダストボックス「ミームか、聞いたことがあるな」

ダストボックス「確か……文化を発展させる情報遺伝子みたいな定義だったか?」

マッキー「ええ、受け継がれてきた日常の風習や慣習もミームによるもの、ミームは歴史の流れの中で誕生遺伝拡散し、人々の中に浸透していくの」


アニメ穂乃果「……で、それが汚染?」

マッキー「そうね、最近の若者にはネットスラングの例えのほうが分かりやすいかしら」

マッキー「新しいネットスラングを知ったことによって今まで普通に使っていた単語に違う意味を見出してしまう、これも一種のミーム汚染」

マッキー「認識災害の方は認識することをトリガーに発動する異能の一種ね、こちらも中々凶悪よ」


ゴースト「それらが……アルパカウイルスの特徴と似てると」

マッキー「ええ」コクンッ

334 ◆WsBxU38iK2:2017/10/30(月) 20:35:08 ID:UB8DVDrY


マッキー「さっき英玲奈が例えに出していた概念石は『一定領域』の常識を書き換えるもの」

マッキー「一方、アルパカウイルスやミーム汚染は『個人』の常識を書き換える」

マッキー「そして常識を書き換えられた個人から別の個人へ、まるで遺伝するかのように感染し拡散していく」


マッキー「そういうものでしょ?女医パカさん」

女医パカ「大体当たっていますね」

女医パカ「捕捉するとアルパカウイルスには種類によって感染強度と持続強度が存在します」

女医パカ「前者が強ければ認識感染を引き起こす動作や情報が少なくて済み、弱ければ何度も繰り返し刷り込む必要があります」

女医パカ「この意図的な認識感染のための行為を私たちはトリガーと呼んでいます」


マッキー「アルパカ化の場合はパカという語尾を聞かされるのがトリガー?」

女医パカ「アルパカ人間の姿を直接視認する、人間がアルパカになるという事実を知ってしまう、アルパカ人間に関わることすべて含めてトリガーですね」

女医パカ「1つ1つは感染強度の弱いトリガーですが、その分人から人への拡散力も高い」


アニメ穂乃果「あっぶなー、私たちワクチンが出来る前にウイルスのこと知っちゃってたよー!」

女医パカ「でもアルパカ兵士の実態を知ったのは黄泉の領域に入ってからでしょう?」

アニメ穂乃果「ギリセーフってことかー」

335 ◆WsBxU38iK2:2017/10/30(月) 20:35:30 ID:UB8DVDrY


女医パカ「そしてもう一つの強度、持続強度の方はそのままの意味ですね、強いだけ常識改変が長続きします」

女医パカ「即興で作るとこれが弱く、改変された常識がすぐに抜け落ちてしまいます」


女医パカ「ほら、ヨハネさんだって――」

ガラッ

アニメ穂乃果「お、戻ってきた」


マッキー(再び窓を通って教室へ戻ってきたヨハネは>>336)

336名無しさん@転載は禁止:2017/10/30(月) 20:37:12 ID:VJZbsYaA
全裸の変態淑女に変貌

337 ◆WsBxU38iK2:2017/10/30(月) 21:27:12 ID:UB8DVDrY
ヨハネ「ふぅ……私としたことが木と綱引きをするなんて頭がどうかしてましたわ」

ヨハネ「皆さん安心してくださいな、もう私は元に戻りましたから」ニコッ


マッキー(……と、淑女の如く微笑んだヨハネは全裸だった)


アニメ穂乃果「もっと変になってるーーーー!?」

ヨハネ「変とは失礼ですわね、全裸は淑女の正装ですわよ?」

アニメ穂乃果「そんな淑女聞いたことないって!」


ゴースト「木との綱引きの常識は抜けたみたいだけど、別のおかしな常識がついてしまったみたいね……」

女医パカ「まぁこのように……即興で作り出したウイルスは持続強度が弱く、また予想外の効果に変化してしまうことも多いのです」

女医パカ「今の博士に下手に近づくと即興でデタラメなウイルスを吹き込まれ、あのような変態になる可能性が高い……」

ヨハネ「淑女バンザイ!」バッ!

プルンプルン!


女医パカ「……ということをヨハネさんで試してみたわけですね」

マッキー「嘘付け、綱引きウイルスが失敗したのを良いことに別の解説を挟んだだけでしょ」

女医パカ「人生に必用なのはアドリブ力です」キリッ

マッキー「調子良いわねぇ」

338 ◆WsBxU38iK2:2017/10/30(月) 21:27:53 ID:UB8DVDrY


女医パカ「即興だとこの程度ですか、しっかり作成すればアルパカウイルスは強力無比」

女医パカ「ネズミ算式に感染が増えていくわけですからね」

ゴースト「厄介ね……」

マッキー「アルパカウイルスが更に厄介なのは常識や認識を汚染するところに留まらず、異能に似た変化を引き起こす所よ」

女医パカ「そうですね、例えば博士が作り出した兵隊ウイルスは感染するとアルパカ兵士に形態変化します」

女医パカ「クイーンやキングといった幹部アルパカも、それに合わせたウイルスを組み込んだ強化形態」

女医パカ「彼らはお互いの役割をウイルスによって信じ込むことにより、戦闘力を高めていました」


女医パカ「まぁ……全てあなた達に倒されてしまったんですけどね」


マッキー(と、そこまで話してた所でぺぺペペーンが駆け寄ってくる)

タタタッ

ぺぺペペーン「ちょ、ちょっと!アルパカウイルスって感染者から更に感染するのよね!」

女医パカ「はい、感染者がトリガー行為をすれば危険はありますね」

女医パカ「感染強度が弱いとすぐには移りませんから一概には言えませんが……」

マッキー「でもアレ究極生物の細胞持ちよ、自分に感染したウイルスとか下手したら強化できるんじゃない」

女医パカ「あぁ」


ぺぺペペーン「あぁ……じゃないわよ!私はごめんよ!あんな変態淑女の仲間になるなんて!」

マッキー「まぁまぁ、もう感染ってるなら薄着になるなり何かしら影響が出てるはずよ」

チラッ

マッキー「今も近くにいる穂乃果たちの様子を見るに……>>339

339名無しさん@転載は禁止:2017/10/30(月) 21:33:07 ID:aU0Iv5AU
ボディペイント状態だった

340 ◆WsBxU38iK2:2017/10/30(月) 22:31:52 ID:UB8DVDrY
マッキー「様子を見るに……ほら、ちゃんと服着てるじゃない」

ゴースト「いや、あれボディペイントよ」

ぺぺペペーン「やっぱり変態になってるじゃない!!」


マッキー(確かによく見ると服ではなくて全裸にペイントしてるだけになってるわ)

マッキー(服を脱ぐ様子は無かったはず、ウイルスによって気付かないうちに服が変化してしまったのかしら……)


マッキー「まさかもう拡散してるなんてね、アルパカウイルス恐ろしやと言うべきか、究極生物恐ろしやと言うべきか」

ゴースト「どうするの?」

マッキー「今は離れるしかないでしょ!廊下に行くわよ!」

タタッ!


マッキー(私は窓際のヨハネから離れていたゴースト、ぺぺペペーン、女医パカを連れて廊下へ走る) 

マッキー(それと同時に教室の中に残った組に向って叫ぶ)

マッキー「穂乃果!ダストボックス!英玲奈!」

マッキー「自覚は無いでしょうけどあなたたち感染済みよ!しばらく距離を取りましょう!」

ぺぺペペーン「あとヨハネをそこに留めておいて!」

アニメ穂乃果「え?わ、分かった!」

341 ◆WsBxU38iK2:2017/10/30(月) 22:32:12 ID:UB8DVDrY




──廊下


タタタタッ

マッキー「取り敢えずここまで来れば平気かしら……」

女医パカ「認識感染は経路を特定しにくいのが危険な所ですから完全に安全はありませんよ」

ぺぺペペーン「元々あなたが感染させたものでしょう?」

女医パカ「綱引きはそうですが彼女の中で変異した全裸ウイルスは別です、トリガーさえ分かりません」

ぺぺペペーン「な〜!も〜!」


女医パカ「とにかくヨハネさんの裸を見ない、話を聞かない、出来るなら思い浮かべないことが予防策」

女医パカ「そして――」


ザッ

寿限無「あれみんな?どうしたの?」

ゴースト「寿限無……!」


マッキー(私たちが少し歩いたところで向こうから歩いてきた寿限無と会う)

マッキー(そっか、寿限無は別の教室に博士を隔離しに行ってたのよね)


ゴースト「寿限無、博士の隔離はちゃんと出来た?」

寿限無「>>342

342名無しさん@転載は禁止:2017/10/30(月) 23:48:52 ID:lv3AKcKA
理事長のムフフ部屋にぶち込んできた

343 ◆WsBxU38iK2:2017/10/31(火) 00:16:33 ID:Q6t5g.6w
寿限無「そこらの教室じゃすぐ抜け出しちゃいそうだからね、ちゃんと理事長のムフフ部屋にぶち込んできたわ」

寿限無「そのせいでちょっと時間かかったけど……皆は慌ててどうかしたの?」


ゴースト「ええと……それは……」 

マッキー(ウイルスの特性を考えると下手に説明するのも危険ね……)


マッキー「実は少しハプニングが起きて教室に近づけなくなったのよ、ここにいないメンバーはその対処をしてるわ」

寿限無「大丈夫なの?」

マッキー「ええ、教室に近付けないだけよ、私たちのやることは変わらない」

マッキー「穂乃果たちが対処してる間にアルパカウイルスを除去するウイルスを作る」


ぺぺペペーン「あのさ、思ってたんだけど……作るのはウイルス?ワクチンじゃダメなの?」

マッキー「そうね、ワクチンでもアルパカ化を防ぐことは出来た、他のウイルスもサンプルさえ手に入れば同様にワクチンを作れるでしょう」

ぺぺペぺーン「なら……」

マッキー「けどウイルスの種類は1つや2つじゃない、アルパカの匙加減で無数に作られてしまう」

マッキー「後出しでワクチン作ってたんじゃ切りがないし、東京全体に広がってる感染者に打って回るのは骨が折れる」

344 ◆WsBxU38iK2:2017/10/31(火) 00:16:45 ID:Q6t5g.6w


マッキー「だから除去ウイルス、種類に関わらずアルパカウイルスで歪められた常識そのものを除去するウイルスを作るの」

マッキー「アルパカウイルスと同じ認識感染を使えば、前述した治療の際の問題点も解決する」

ぺぺペぺーン「……なるほど」


女医パカ「あの……私が言っておいてなんですが、アルパカウイルスを作れるのはアルパカだけ」

女医パカ「強力な除去ウイルスとなると博士レベルの強力なアルパカの協力が必用になります」

女医パカ「まずはそれを探す所から――」

マッキー「当てならあるわ」

女医パカ「え?」


マッキー「博士並みに頭の冴えるアルパカならドスケーブ城にいるわ、ねぇ寿限無?」

寿限無「あ!そうだわ!」


ピッ

マッキー「では城に連絡と、向こうがドタバタしてなきゃいいけど――」


─────────────────

音ノ木坂跡・教室〜廊下

AM6:20〜AM6:25 新終末編『206』了

345 ◆WsBxU38iK2:2017/10/31(火) 00:19:20 ID:Q6t5g.6w
というわけでここまで

最初のスレ立て日が26なので数日遅れですね

次はちょいと場面が城に移ります

新終末編『207』に続く
かもしれない

346 ◆WsBxU38iK2:2017/10/31(火) 20:13:48 ID:Q6t5g.6w
新終末編『207』

─────────────────
──ドスケーブ城跡・ラボエリア

AM6:25


ピピピピピピ!

ピピピピピピ!

鞠莉「おや……?」

鞠莉(ラボに併設されていた2〜3mほどの巨大な機械が電子音を鳴らす)

鞠莉(その機械の下部に取り付けられた受話器のような部分に私は手を伸ばし……)

ガチャッ

鞠莉「はぁ〜い、こちら鞠莉よ〜」

マッキー『ふむ……通信状況は割りと良いみたいね』

鞠莉「ええ、私の作った超強力電場通信機、名古屋タワーほどではないけどこの距離ならAASを気にせず通信ができる」

鞠莉「課題は親機の小型化と子機の量産ね、まだまだネットワークとしては活用できない」


鞠莉「……で?連絡してきたってことはウイルスは駆逐できたの?」

マッキー『ウイルスを振り撒いていた元凶のアルパカは倒せたわ、けどその後に少し問題が発生してね』

マッキー『そっちにいるはずの金パカにアドバイス貰いたくて連絡したのよ、どこにいるか分かる?』


鞠莉「金パカ……確か穂乃果が真姫に頼まれて探していたわね、今は>>347

347名無しさん@転載は禁止:2017/10/31(火) 20:17:34 ID:M/mJXQdk
化粧室で毛を刈り取られてる

348 ◆WsBxU38iK2:2017/10/31(火) 21:07:49 ID:Q6t5g.6w
鞠莉「今は化粧室で毛を刈り取られているわ」

マッキー『毛……?まぁ場所がわかってるなら連れてきてくれない、話が聞きたいのよ』

鞠莉「オッケー」


鞠莉(軽く了承すると私は振り返ってラボにいる面子を確認する)

鞠莉(誰にパシリを頼もうかな〜、理事長さんは疲れてるっぽいし、宇宙人はあんまり頼りにならないし)

鞠莉(やっぱりここは……)






鞠莉「……」ジーッ

ロトーチカ(おぉ……電話していた鞠莉が私のほうをじっと見つめてる気がする)

ロトーチカ(これは絶対面倒なことを頼まれるパターン――)

鞠莉「ロト!あなた今暇でしょ?」

ロトーチカ「暇じゃないわ!!」


鞠莉「オー、即効で否定してくるわね、でも暇でしょ?さっきからラボの掃除しかしてないし」

鞠莉「宇宙人はワクチン量産装置を動かしてて手が離せなそうだし、あなたしか頼める人いないのよ」

ロトーチカ「ぐっ……そう言われると……」

鞠莉「別に面倒ごとじゃないわ、金パカを化粧室から連れてきてくれればいいだけ」

ロトーチカ「金パカ……?」

349 ◆WsBxU38iK2:2017/10/31(火) 21:08:14 ID:Q6t5g.6w


ロトーチカ(そういえば金パカとはトレーニングルームで一緒だったっけ)

ロトーチカ(途中で閻魔と一緒に私用の差し入れを探しに厨房へ行ってたのよね)

ロトーチカ(その後私は寿限無に連れられて裏屋上に向ったから会えずじまいだったわ)


ロトーチカ「……分かった、そのくらいなら私が行ってくる」

鞠莉「センキュー」


ロトーチカ(私は掃除用具を端に起き、ラボエリアから出る)

タタタタッ

ロトーチカ(確か化粧室エリアは……)







──化粧室エリア


ロトーチカ(化粧室エリアは城が崩壊した後に作られた新しいエリアだ)

ロトーチカ(うみかの結界で重要な施設は守られとは言え、各階に着いていたトイレなんかはほぼ壊滅してしまった)

ロトーチカ(そのため新しく統合的に作られたのが……この化粧室エリアだ)


ロトーチカ(私たちの人数より遥かに多い数のトイレ設備はもちろんのこと、化粧や身だしなみを整えるための鏡張りの場所も多い)

ロトーチカ(ここに金パカがいるとのことだけど……)

タタタタッ

ロトーチカ「――いたっ!」


金パカ「ん?」


ロトーチカ(金パカは全身が映る鏡の前で>>350に毛を刈ってもらっていた)

350名無しさん@転載は禁止:2017/10/31(火) 21:11:55 ID:EoGFdGRE
リハビリ中の梨子

351 ◆WsBxU38iK2:2017/10/31(火) 22:02:42 ID:Q6t5g.6w
鞠莉(毛を刈っていたのはリハビリ中の梨子だった)


梨子「金パカさん、こんな感じで良いのかな」

シャキッ シャキッ

金パカ「うむ……良い心地だ」 

梨子「それなら良かったわ、私動物とあんまり接したことなくて、毛を刈るなんて尚更したことないし」

梨子「それにアルパカさんって少し犬っぽい――」

金パカ「ん?」

梨子「な、なんでもないですっ!」


ロトーチカ(腕や腹部に包帯を巻いた梨子が恐る恐ると言った手付きで毛を刈っていた)


タタタタッ

ロトーチカ「梨子さん!」

梨子「わっ、えっと……ロトーチカさん……?」

金パカ「なんだ騒々しい、今は伸び過ぎた毛を刈り取ってもらってる最中なのだぞ」

352 ◆WsBxU38iK2:2017/10/31(火) 22:02:59 ID:Q6t5g.6w


ロトーチカ「音ノ木坂跡に行ったウイルス殲滅組から連絡が来たのよ、金パカに話を聞きたいんだって」

金パカ「私にか……了解した」

梨子「じゃあ毛刈りはここまでね」


金パカ「しかしロト、お主はどこへ行っていたのだ?」

ロトーチカ「私は寿限無に頼まれて城の停電を治すために行動してたのよ」

ロトーチカ「あなたの方こそ何をしてたの?」

金パカ「うむ、閻魔と共に厨房へ向った私はそこで封印チョコが無くなってる事実を知った」

金パカ「慌ててトレーニングルームに戻ったらなんと究極の絶望が復活していたではないか」

ロトーチカ「あー、あれそうだったんだ」

ロトーチカ(私と寿限無のせいみたいなものよね……忘れてたけど)


金パカ「そこで私たちは>>353

353名無しさん@転載は禁止:2017/10/31(火) 22:27:20 ID:rmJMr7t6
絶望しないように心を無にしていたら、眠っていた

354 ◆WsBxU38iK2:2017/10/31(火) 23:29:48 ID:Q6t5g.6w
金パカ「絶望しないように心を無にしていたら……いつの間にか眠っていた」

ロトーチカ「寝てたの?」

金パカ「ああ、心を安らかに落ち着けた結果だな」

金パカ「その後に私たちを探しに来た深淵穂乃果に起こされ、眠ってる間に城が消失していたことを知らされた」

金パカ「幸いなことに私と閻魔に怪我などは無かったよ」


ロトーチカ「なら良かったわ、それで究極の絶望は……」

金パカ「分からん、私が目覚めた時には既に消えていた、完全に消失したわけではなくどこかへ移動したのだと思う」

金パカ「城跡地のどこかに居てくれたら捕まえやすくて助かるのだが」

ロトーチカ「あいつの範囲って東京全域入るほどよね、ちょっとした移動じゃ私たちが入ってることに変わりはないし……変わらず迷惑だわ」

金パカ「そうだな……」

355 ◆WsBxU38iK2:2017/10/31(火) 23:30:01 ID:Q6t5g.6w


金パカ「……ん?お前、究極の絶望を知ってるのか?」

ロトーチカ「え?あ、ああー……今は別にいいじゃない!鞠莉の所に行きましょう!」

金パカ「?」


梨子「そうだ金パカさん、私が来た時には後の2人はいなかったけど何処へ行ったの?」

金パカ「穂乃果なら他の居場所不明者を探しに行くと走っていった、閻魔も付いていったな」

梨子「ほー」


ロトーチカ「ほ、ほら!早く!」

金パカ「分かったそう急ぐな」パカラッ

梨子「わわっ!待ってくださいこの毛刈り用具はどうすれば――」タタッ


ロトーチカ(そんなこんなで私は金パカと、ついでに梨子を連れてラボエリアへと戻った)

ロトーチカ(はぁ……絶望のこと、いつ説明しようかしら……)



─────────────────

ドスケーブ城・ラボエリア〜化粧室エリア

AM6:25〜6:30 新終末編『207』了

356 ◆WsBxU38iK2:2017/10/31(火) 23:31:16 ID:Q6t5g.6w
というわけでここまで

新終末編『208』に続く
かもしれない

357 ◆WsBxU38iK2:2017/11/01(水) 20:14:01 ID:kzBgszaQ
新終末編『208』

─────────────────
──ドスケーブ城跡・ラボエリア

AM6:32


ロトーチカ(ラボエリアまで金パカを連れて戻ってくると鞠莉が早速受話器を渡してくる)

ロトーチカ(と言っても金パカは受話器を持って話せないので、自然と私が受話器を受け取ってアルパカの口に添える形になる)

ロトーチカ(なんだろう……自然と下手に回ってしまってる気がするわ)


金パカ「もしもし私だ」

マッキー『待ってたわ金パカ、早速なんだけど――』

金パカ「……ふむ」


ロトーチカ(向こうの声は聞こえないけど金パカが何度か頷く、おそらくマッキーが何かを説明してるんだろう)

ロトーチカ(1分ほど電話越しに話を聞いたアルパカは……)


金パカ「……なるほど、私たちアルパカ族の力を利用したウイルスか、中々敵も考える」

マッキー『それで除去ウイルスの件なんだけど……あなたの力で作れそう?』

金パカ「うむ、私のアルパカ力を持ってすれば要望通りの力は組み込めるだろう」

金パカ「だがウイルスにする過程は門外漢だ、そちらで出来るのか?」

マッキー『博士の資料さえあれば私でも同じものを……って資料は外郭界の拠点に置いてきてるんだっけ……』

358 ◆WsBxU38iK2:2017/11/01(水) 20:14:17 ID:kzBgszaQ
マッキー『女医パカ!』

女医パカ『はい』

金パカ「誰だ?」


マッキー『博士の研究を手伝っていたアルパカ族よ』

女医パカ『はじめまして、金パカさんは人型に進化してない純粋なアルパカ族みたいですね』

金パカ「ああ、変なウイルスは使ってないのでな、人語を介するのも自力で身につけたものだ」


マッキー『女医パカ、あなたウイルス作成の手順って完全に頭に入ってる?もしくは資料を持ってるとかでもいいわ』

マッキー『もしそうなら私とあなたと金パカ、あと適当に鞠莉とかが強力すれば除去ウイルスが出来ると思うのよ』

女医パカ「そうですね……>>359

359名無しさん@転載は禁止:2017/11/01(水) 20:18:12 ID:.CKutmRk
そうですねーどうでしょうね?

360名無しさん@転載は禁止:2017/11/01(水) 20:18:21 ID:RNqduF2w
あるちゃある

361 ◆WsBxU38iK2:2017/11/01(水) 21:20:24 ID:kzBgszaQ
女医パカ『そうですねーどうでしょうね?』

マッキー『それはこっちの台詞なんだけど……』

女医パカ『あるっちゃあるけどないっちゃないんですよね』

マッキー『急に発言が曖昧になったわね』


金パカ「……?」

ロトーチカ「どうしたの?」

金パカ「どうやら向こうで話が纏まってないみたいだ、待つとしよう」






──音ノ木坂跡・廊下



マッキー(金パカに少し待ってと告げて通信機から口を離す)


マッキー「女医パカ、どういうことなのよ?」

寿限無「そうよそうよ」

女医パカ「説明するとですね……ウイルスを作ること自体は私でも可能です、知識も頭に入っています」

女医パカ「しかし博士のウイルスほど高い感染力を持ったものを作れる保証はありません、資料もありませんしね」

寿限無「んん?だから金パカに頼むんじゃないの?」

女医パカ「はい、ですがアルパカ力で決まるのはあくまでウイルスの核となる能力の強さ、この場合は除去の強さ」

女医パカ「その核を包んで運ぶ器となる部分、そこに備わる感染力と持続力は別のものです」

362 ◆WsBxU38iK2:2017/11/01(水) 21:21:05 ID:kzBgszaQ


ゴースト「つまりウイルスを作ろうと思えば作れるけど、最高性能のウイルスは作れないってことね」

女医パカ「はい、だからあるっちゃあるしないっちゃないのです」

女医パカ「博士だけを治療するなら感染力や持続力は必要ない、ただしマッキーさんの言う"広範囲の除去"に使うなら感染力は必用」

女医パカ「だからどうでしょうね?と質問したわけです」



ぺぺペぺーン「どうでしょうね……って言われても、その言い方だと後者は無理ってことでしょ、資料も無いんだし」

女医パカ「そういうわけではないですよ」

ぺぺペぺーン「え?」

女医パカ「後者を所望するのなら手段は提示できます」



マッキー(そう言うと女医パカはポケットを探って石のようなものを取り出す)

ガサゴソ

女医パカ「要は資料があればいいのでしょう、ならば博士の研究室に行けばいいのです」

女医パカ「この――帰還の石を使って」スッ

マッキー「……!」


マッキー「……そっか、新魔王軍ならその手段があったわね」

マッキー「その石のワープは向こうから停止措置させられてないの?」

女医パカ「どうでしょうね?試してないですが……」フリフリ


マッキー(女医パカがワープ出来る確かめるため、石を持ち上げ軽く振る)

マッキー(するとエラー音は>>363)

363名無しさん@転載は禁止:2017/11/01(水) 21:59:31 ID:9EMXsou2
鳴って、爆発した

364 ◆WsBxU38iK2:2017/11/01(水) 22:47:47 ID:kzBgszaQ
マッキー(すると……)


ビーーーーッ!!

ボンッ!! 

マッキー(石は大きな音を響かせて爆発してしまった)

マッキー(何も無くなった女医パカの手からは白い煙が昇っている)


女医パカ「おやおや」プシュー

マッキー「ダメじゃないの!」

女医パカ「ええ、ダメだったようですね」


ゴースト「何が起こったの?というかあの石は何?」

マッキー「そういえばゴーストたちは知らなかったわね、あの石は帰還の石と言って使うと新魔王軍の施設にワープできるものよ」

マッキー「神造人間とか、一部の幹部に配布されるものらしいけど……あの音がなったってことはダメね」

ぺぺペペーン「つまり?」

女医パカ「見捨てられた……ということです」

女医パカ「新魔王軍の拠点には帰還の石によるワープを管理する施設があり、命令違反や大きな作戦失敗をした人員の石IDは即座に停止されるんですよ」

女医パカ「使用しようとすればエラーが出て最悪爆発します」

ぺぺペペーン「危なっかしいわね、先に言ってよ……」

365 ◆WsBxU38iK2:2017/11/01(水) 22:48:02 ID:kzBgszaQ


女医パカ「私のIDが停止されてないことに賭けたんですが、本部の察知能力の早いこと早いこと」

女医パカ「これでは博士の石を使うしかありませんね」

寿限無「博士の石?」


女医パカ「博士用の帰還の石です、あくまで助手の私の石は即停止されてしまいましたが、幹部である博士ならワンチャンあるかもしれません」

女医パカ「本部だって博士が帰ってきたら帰ってきたで利用価値がありますし……」

マッキー「ああ、研究奴隷としての価値ってやつね」


寿限無「博士かー、拘束して隔離してきた私なら高速で持ち物スリしてくるくらいわけないけど」

女医パカ「寿限無さんが博士を置いてきた部屋……理事長のムフフ部屋でしたっけ?どんな部屋なんです?」

寿限無「え?あそこは>>」

366 ◆WsBxU38iK2:2017/11/01(水) 22:48:17 ID:kzBgszaQ
安価↓

367名無しさん@転載は禁止:2017/11/01(水) 23:12:05 ID:RNqduF2w
男体化したことうみグッズと理事長の裸の抱き枕カバーが壁一面にある

368 ◆WsBxU38iK2:2017/11/01(水) 23:58:12 ID:kzBgszaQ
寿限無「男体化したことうみグッズと理事長の裸の抱き枕カバーが壁一面にあったわ」

ゴースト「地獄ね……」

寿限無「うん、海未さんやことりさんには絶対に見せられない光景だわ」


マッキー「この世界の音ノ木坂が崩壊したのも何となく分かるわ……こんな理事長じゃ……」

ゴースト「そこは魔王のせいにしておきましょうよ、悲しすぎて受け入れられないわ」


女医パカ「ともかく変態の部屋だということ以外に変な所は無かったのですね?」

寿限無「うん、本当に新品同然の抱きまくらカバーが一面に貼られた変哲のない……」


寿限無「……いや、おかしいわね」

マッキー「そうね、逆におかしいわ」

ぺぺペペーン「何がよ?」

マッキー「よく考えてみなさい、ここは単に放置しただけでは有り得ないほどに朽ちて廃墟化した学校よ」

マッキー「一部の窓やドアは衝撃で吹き飛んだように破壊されている」

マッキー「おそらく学校全体に波及するような異能攻撃、又は異常現象が発生したと考えられる」


マッキー「そんな場所で抱きまくらだけが汚れず残ってると思う?」

ぺぺペペーン「あっ……確かに、そんな部屋は逆に不自然だわ!」


ゴースト「何か秘密がある……と考えるのが自然ね」

マッキー「どのみち広範囲拡散ウイルスを作るためには石を奪い取る必要がある」

マッキー「隔離した博士に会うのは危険だけど……いざとなれば先に博士用のウイルスだけ作っちゃえばいい」

女医パカ「そうですね」コクンッ


マッキー「理事長のムフフ部屋とやら、調査しに行くわよ!」



─────────────────

ドスケーブ城跡・ラボエリア
音ノ木坂跡・廊下

AM6:32〜AM6:37 新終末編『208』了

369 ◆WsBxU38iK2:2017/11/01(水) 23:59:11 ID:kzBgszaQ
というわけでここまで

話の進展が前後してる気がしますが気にしない
いざムフフ部屋へ

新終末編『209』に続く
かもしれない

370 ◆WsBxU38iK2:2017/11/02(木) 20:19:20 ID:5upWJc62
新終末編『209』

─────────────────
──音ノ木坂跡・廊下

AM6:39






タタタタッ

マッキー(ムフフ部屋へ小走りで向かう傍ら、通信機を通して女医パカと鞠莉が話す)

マッキー(お互いの声が聞こえるように音声はスピーカーモードに切り替えてある)


女医パカ「――というのが、私の知っている通常のウイルスの作り方です」

鞠莉『ほうほう』

マッキー「鞠莉、これならそっちで材料揃うかしら?」

鞠莉『簡単よ簡単、原理さえ分かれば私のラボで作成は可能、金パカもいることだしね』

金パカ『早速試作品を作ってみよう』


鞠莉『問題は女医パカの知らない最強レベルの認識感染力を付け加える方法』

鞠莉『ちゃんと見つけてきなさいよ〜』

マッキー「そうは言うけどねぇ……相手は母乳中毒で幼児化して理性が吹っ飛んでるのよ」

マッキー「同じ部屋に入ったら何を感染させられるか分からない」


鞠莉『難しいわねぇ、私が作った除去ウイルスをお届けするにも時間がかかるし……』

マッキー「最悪手立てが無ければそれを待つけどね、まぁ考えられる手段を1つ目から試して行くわよ」

ゴースト「その1つ目は?」

マッキー「取り敢えず寿限無が高速で突っ込んで戻ってくる!」

寿限無「えぇぇぇ!?」

371 ◆WsBxU38iK2:2017/11/02(木) 20:19:39 ID:5upWJc62
マッキー「だって寿限無は博士と一度接触してるでしょ?もう1回近づいても同じようなものよ」

マッキー「更に部屋に入ったことがあって内装や博士の位置を把握してる、身体能力も高くて素早く事を済ませられる」

マッキー「私たちの中で鉄砲玉になるには適任じゃない?」

寿限無「さらっと言うわねぇ……」



マッキー「お、あそこがムフフ部屋ね」

タタタタッ

マッキー(廊下の先にムフフ部屋と書かれたネームプレートが掲げられた部屋を見つけた)

マッキー(アホみたいに分かりやすい……と思ったけど表面の塗装が剥がれてる形跡が見られる)

マッキー(普通に学校を運営してた時にはムフフ部屋ネームプレートの上に別の名前のネームプレートを貼り付けてたんでしょう)

マッキー(まぁ隠すなら最初から書いとくなって話だけど……変態の思考なんて考えても無駄ね)

372 ◆WsBxU38iK2:2017/11/02(木) 20:20:09 ID:5upWJc62
ザッ

マッキー(私はその部屋の前で足を止めると、後ろの皆に向かって静かにするように合図を送る)

マッキー(そして寿限無を手招きして扉の近くに呼んで……)クイクイッ


寿限無「……なに?」

マッキー「寿限無、扉の隙間から中の様子を見て」

マッキー「もし博士が寝てたりしたら石を盗むチャンスだし、警戒してたら鉄砲玉作戦は危険だわ」

寿限無「分かった」


マッキー(頷いた寿限無は扉の隙間からムフフ部屋の中を覗く)

マッキー(部屋の中は薄暗いだろうけど寿限無の視力なら問題ない)


寿限無「えっと……博士の様子は>>373

373名無しさん@転載は禁止:2017/11/02(木) 20:21:59 ID:orvOcP5E
トリップ状態

374 ◆WsBxU38iK2:2017/11/02(木) 21:04:46 ID:5upWJc62
寿限無「博士は起きてはいるみたい……けど目の焦点が合ってなくて遠くを見てる」

寿限無「時々ニヤついたり小さく笑ったりしてるわね、何もない場所に手をやって口を動かしてる……何をしてるのかしら?」

マッキー「トリップ状態ね、母乳中毒のせいで母乳を飲む幻覚を見てるんだわ」


寿限無「幻覚を見てるのか……今なら隙があるわね、行ってくる?」

マッキー「ええ、あまり博士アルパカの行動を直視しないように気を付けて」

寿限無「様子を見させたやつがよく言うわ」


寿限無「じゃあ――」

スッ

375 ◆WsBxU38iK2:2017/11/02(木) 21:05:03 ID:5upWJc62




スゥー

寿限無(発生させた神力を薄いオーラのように全身に纏わせる)

寿限無(私の体と他の物質の間に神力を挟むことでクッション効果を作り、他の物質への振動を極力抑える)

寿限無(これにより隠密行動が可能となるわけで……)


トトッ ヒュンッ

寿限無(音を立てずにムフフ部屋に忍び込んだ私は、数歩で博士アルパカの背後に辿り着いた)

寿限無(母乳トリップしてる博士は無音状態の私に気付く素振りはない)


寿限無(さっさと博士の体を弄って石を貰うとしますか)

スススッ

寿限無(超高速、しかし衣服に抵抗を与えない蛇のような動きで手を突っ込むと>>376)

376名無しさん@転載は禁止:2017/11/02(木) 21:11:20 ID:HrcYz9J6
すんごいヌメってた

377 ◆WsBxU38iK2:2017/11/02(木) 22:06:42 ID:5upWJc62
ヌルルッ!

寿限無「……っ!?」

寿限無(突っ込んだ手に不快な感触が伝わってくる、博士の服と体……正確には服と毛皮の間がすんごいヌメっていた)

寿限無(汗?それとも別の分泌物?)

寿限無(とにかくこの中から硬いものを見つけないと……)


カチッ

寿限無(――あった!)

寿限無(ヌルヌルの中で指先が硬い何かを捉える)

寿限無(間違いない……これが石だわ!)

グッ 

寿限無(指先を包む神力の膜を調節して鉤爪のような形に変化させる)

寿限無(冥界を駆け回った時のマクロで大胆な変化とは違う、ミクロで繊細な神力の操作が求められる作業)

ニュゥゥッ ガチッ

寿限無(よし……指先に出来たオーラの鉤爪で石を引っ掛けたら、一気に引き抜く!)

ブンッ!!

378 ◆WsBxU38iK2:2017/11/02(木) 22:07:00 ID:5upWJc62


ズボッ!!

寿限無(出てきた!)

寿限無(腕を引き抜くと同時に、毛皮の中から粘液に包まれた掌大の石が飛び出す)

寿限無(石は手から離れて空中をクルクルと舞う)


寿限無(後はこれをキャッチしてマッキーに渡せば――)


ドクンッ

寿限無「……あれ」

ドクンッ ドクンッ

寿限無(その瞬間、私は自分の手についたままのヌルヌルの液体のことが"何故か無性に"気になってしまった)

寿限無「なんだろう……これ」

スッ

寿限無(惹かれるように手の匂いを嗅ぐ)


寿限無「これは……>>379

379名無しさん@転載は禁止:2017/11/02(木) 22:20:58 ID:2hJ/8Hpc
ママの匂いだぁ

380 ◆WsBxU38iK2:2017/11/02(木) 23:01:11 ID:5upWJc62
クンクンッ

寿限無「ママの匂いだぁ」トクンッ


寿限無(液体の匂いを嗅いだ私は直感的に理解した、これが母さんの母乳だということを)

寿限無「……っ!!」

ビクンッ! ビクビクッ!

寿限無(あまりに濃い母乳の匂いに体が弛緩する、脳が痺れて足がふらついて、纏った神力を維持することさえ出来なくなってくる……)

フラッ


寿限無「こん……のっ!」ブンッ!

寿限無(意識が無くなりかける前に最後の力を振り絞り、空中の石を部屋の入り口目掛けて蹴り飛ばす!)

ゴッ! 

ビュンッ!! ガゴンッ!!


寿限無「よ……し……これで……」

バタンッ!!

貞子『寿限無!?寿限無っ!』

381 ◆WsBxU38iK2:2017/11/02(木) 23:01:23 ID:5upWJc62




──廊下


ガゴンッ!!


ゴースト「何の音!?」


スッ

マッキー(慎重に扉を開いて見てみると、扉のすぐ傍に帰還の石と思われるものが落ちていた)

マッキー「石だわ、寿限無がこっちに蹴り飛ばして当たったのかしら、扉の内側が少し窪んでいるわね」

ゴースト「扱いが雑ねぇ、普通に持ってきてくれればいいのに――」


貞子『こっちに来てはダメ!石を取ってすぐに扉をしめて!』

ゴースト「え?」

マッキー(石に手を伸ばした所で部屋の中央からイマジン体になった貞子が走って部屋から出て来る)


マッキー「憑依を解いたの?寿限無は?」

貞子『あの子はもうダメよ、何のウイルスか分からないけど動けなくなってしまったわ』

貞子『それともう1つ、石についてる博士アルパカの体液を触ったり嗅いだりしないほうがいい』

貞子『寿限無が倒れた原因よ、すぐに洗い流して……!』


ゴースト「寿限無がダメって……そんな……」

ぺぺペペーン「どうするのよ?ムフフ部屋に一緒に隔離でもする気?」


マッキー「そうね……>>382

382名無しさん@転載は禁止:2017/11/02(木) 23:42:05 ID:HrcYz9J6
隔離決定ね

383 ◆WsBxU38iK2:2017/11/03(金) 00:21:08 ID:PwG1s30s
マッキー「そうね……寿限無には悪いけどこうなれば隔離決定ね」


ぺぺペペーン「尊い犠牲……!」グッ

ゴースト「行かせたのは私たちだけどね?」


マッキー「それで貞子、石は直接触らない方いいんだっけ?」

貞子『ええ、寿限無も最初は疑ってたけど……途中から何かに操られたように液体を嗅いでしまったの』

貞子『そして何かに気付いて液体の虜になってしまったわ』

女医パカ「博士のウイルスの影響かもしれませんね、博士の近くに寄らなければ平気かもしれませんが……」

女医パカ「念のため急いで洗浄をしておきましょう」

ぺぺペぺーン「リュックからマスクとか出す?」ガサゴソ


マッキー「飛沫感染じゃないし意味ないわよ、さっさと現物を消すに限る」

スッ カポッ

マッキー(私は懐から試験管を出して、その中身を帰還の石にぶっかける)

ジャボボボッ

384 ◆WsBxU38iK2:2017/11/03(金) 00:21:23 ID:PwG1s30s


女医パカ「それは?」

マッキー「超強力洗浄液、汚染された物質を流すだけじゃなく汚染成分を分解して真水に変える性質があるわ」

マッキー「よっぽど特殊なものでないかぎりは洗い流せるはずよ」

女医パカ「ほうほう」


フキフキ

マッキー「これでよし、石を振っても……エラー音は鳴らない、博士のIDは生きてるわ!」

ゴースト「ってことは……いける?」


マッキー「ええ、寿限無の犠牲は無駄にはしない」

マッキー「この石を使って博士アルパカの研究資料を奪いに行くわよ!」



─────────────────

音ノ木坂跡・廊下〜ムフフ部屋

AM6:39〜AM6:41 新終末編『209』了

385 ◆WsBxU38iK2:2017/11/03(金) 00:22:17 ID:PwG1s30s
というわけでここまで

ポンポン行きたい

新終末編『210』に続く
かもしれない

386!ken:99:2017/11/03(金) 19:56:44 ID:UStGacwo
をつ

387 ◆WsBxU38iK2:2017/11/03(金) 20:33:12 ID:PwG1s30s
新終末編『210』

─────────────────
──音ノ木坂跡・ムフフ部屋前廊下

AM6:41


マッキー「女医パカ、この石でワープする先は?」

女医パカ「新魔王軍拠点にある研究施設を博士の研究室です、博士が設定していたままならどこも経由せずに直通のはず」

マッキー「そう、だったらパッと行ってパッと戻ってこれるわね」

ゴースト「ワープできる人数制限は?」

女医パカ「特に無いですね、1つの石で何人でも」

ぺぺペペーン「随分とガバガバね……」

女医パカ「まぁワープした時点で中央の監視員には詳細が筒抜けですし、博士の石を使って明らかに怪しい人数が転移してきたとなればすぐに警備隊が派遣されるでしょう」

ぺぺペペーン「なっ……」


マッキー「となると時間との勝負か、行くのは事情を知ってる私と女医パカ」

ゴースト「私も行くわ」

マッキー「分かった、もしもの時のためにぺぺペペーンは残ってて」

ぺぺペペーン「わ、私だけ?」

ゴースト「私の分霊体を残していくわ」

ポワンッ

マッキー(ゴーストが体を振ると、ゴーストから幽体離脱のように同じ顔の霊体が出てきてぺぺペペーンの横に並ぶ)


マッキー「じゃあ行くわよ!女医パカお願い!」

女医パカ「帰還の石――発動!」

キィーーーーンッ!


マッキー「……!」

388 ◆WsBxU38iK2:2017/11/03(金) 20:33:28 ID:PwG1s30s
マッキー(石が一際甲高い音を慣らした瞬間、私たちの周りが眩い光に包まれる)

マッキー(突然の浮遊感、外界から隔離される感覚、そして――)







──外郭界・新魔王軍拠点






──新魔王軍研究施設・博士アルパカの研究室


シュンッ!!


ガタンッ!


マッキー「……っつつ」

マッキー(浮遊感が途切れると私のお尻は硬い床に叩きつけられる)

マッキー(鼻をつくような薬品の香りに目を開けると……そこには紙資料や実験器具がところ狭しと並んでいた)

389 ◆WsBxU38iK2:2017/11/03(金) 20:33:47 ID:PwG1s30s


ゴースト「なんだか理科準備室みたいな場所ね……分けの分からない物が多いわ」

マッキー「無事に転移は成功したわけか、急いで資料をかき集めるわよ!」

ゴースト「どれ!?」

女医パカ「片っ端からです!」

ゴースト「分かった!分霊分霊分霊!」

ポポポポポポンッ!


マッキー(私と女医パカ、それと分裂して大勢になったゴーストが手分けして、机の上の紙を片っ端からリュックに詰め込む)

ババッ! ババッ!

マッキー(博士アルパカの部屋は研究室然としたもので私もよく見た光景、部屋や机に使われている素材を見ても異世界感はない)

マッキー(部屋の奥には黒いカーテンの付いた長方形の大きな窓があった、窓は開かれていて緩やかな風にカーテンがたなびいている)


マッキー(資料を集めつつ、私はふと窓の外に視線を移してみた)

マッキー(研究室から見た外の景色は……>>390)

390名無しさん@転載は禁止:2017/11/03(金) 20:36:02 ID:jByfDpP6
灰色

391名無しさん@転載は禁止:2017/11/03(金) 20:36:36 ID:CcUxVgis
無数の目玉に視姦されている

392 ◆WsBxU38iK2:2017/11/03(金) 21:29:02 ID:PwG1s30s
マッキー(外の景色は……灰色だった)


マッキー(灰色、一面の灰色、タイルが敷き詰められた地面や路上に立ち並ぶ淡いガス街灯、規則正しく配置された無機質な建物の外壁全てが灰色)

マッキー(更には頭上を覆う天蓋までもが灰色に染まっている)

マッキー(決して明かりが無く薄暗いわけではない、空から降り注ぎ建物の壁に反射する光も、その光が作り出す影もしっかりと認識できる)

マッキー(ただ、ただ純粋に全てが灰色なのだ)

マッキー(まるでモノクロ映画の世界に入り込んでしまったような……そんな光景)


マッキー(馴染みのある研究室の内装とは対象的に、一歩窓の外は完全なる異界)

マッキー(なんというか……いろいろなギャップで目と頭が痛くなってくるわね)



女医パカ「――アッシュコート」

マッキー「え?」

マッキー(資料を集める手を動かしつう、女医パカが私に話しかけてくる)

393 ◆WsBxU38iK2:2017/11/03(金) 21:29:23 ID:PwG1s30s


女医パカ「この区画の名前ですよ、全てが灰色に染まった区画で幹部の住居やいろいろな専門施設が立ち並びます」

女医パカ「フードマンが作った新魔王軍拠点の中では中央と外縁部に挟まれた中間区画に当たりますね」

マッキー「へ〜、区画は○○コートって名前になってるのかしら」

女医パカ「はい」コクンッ

マッキー「ふむ、拠点全体はもしかしてフードコー――」


コンコンッ!!

??『博士?帰ってきたの?』


マッキー「っ!?」

ゴースト「部屋の外……誰かがノックしてる……」


マッキー「誰?警報が鳴ってないけど警備隊がもう来たとか?」

女医パカ「あの声は……>>394

394名無しさん@転載は禁止:2017/11/03(金) 21:31:44 ID:CcUxVgis
エリーパカ

395名無しさん@転載は禁止:2017/11/03(金) 21:32:01 ID:UEpx2Gso
ポッピー・ピポパポ

396 ◆WsBxU38iK2:2017/11/03(金) 22:18:36 ID:PwG1s30s
女医パカ「あの声は……エリーパカですね」

マッキー「パカってことはアルパカ族?」

女医パカ「はい、この研究所の同僚です」

女医パカ「彼女はとある希少な性質持ち故に作戦には参加せず、研究所に待機命令が出ていたんですよ」

ゴースト「希少?」

女医パカ「丁度あなた達と同じ――」


コンコンッ!


エリーパカ「博士ー?」コンコンッ


ゴースト「わっ、これ出ないと怪しまれるわよね……」

女医パカ「私が応対しましょう、2人は引き続き資料を集めてください」

女医パカ「もしもの時は私を置いたまま帰還の石を使って戻ってください、決して躊躇わないで」

マッキー「ええ」コクンッ

397 ◆WsBxU38iK2:2017/11/03(金) 22:19:01 ID:PwG1s30s


女医パカ「では……」スタスタ

マッキー(女医パカは私たちに目配せして研究室の入り口まで歩きそっと扉を開ける)

ガチャッ

マッキー(私とゴーストは影に隠れて作業を続けつつ、訪ねてきた相手の姿を見た)

マッキー(金髪のポニーテールをたなびかせたアルパカ人間、あれがエリーパカね)


女医パカ「どうしたんです?」

エリーパカ「あぁ女医パカか、博士は?」

女医パカ「博士はまだ向こうです、私の石が不調で博士の石のを借りて戻ってきたんですよ」

エリーパカ「はぁ……」


女医パカ「あなたこそ博士の部屋を訪ねてきてどうしたんです?何か用ですか?」

エリーパカ「はい、実は>>398

398名無しさん@転載は禁止:2017/11/03(金) 22:31:10 ID:UEpx2Gso
死んでください

399 ◆WsBxU38iK2:2017/11/03(金) 23:06:32 ID:PwG1s30s
エリーパカ「実は――」


グサッ

エリーパカ「死んでください」

女医パカ「え……?」


マッキー(感情ないエリーパカの声、刺突音、女医パカの呻き、そして彼女の毛皮を赤く染める血)

ゴースト「……っ!」

マッキー(同僚だと油断していた……理由と経緯は分からないけど、エリーパカはこちらを敵視している)

マッキー(女医パカが裏切ったことに気付いていたんだわ!)


フラッ

マッキー(仰向けに倒れる女医パカ、彼女は力の限り叫んだ)


女医パカ「早くっ!!!!」



マッキー(躊躇ってる暇は無かった、私は資料を詰めたリュックとゴーストを引き寄せると帰還の石を再び起動させる!)

カッ!!!!


女医パカ「が……ぐ……」

フラァァァッ

マッキー(周囲がワープの光に包まれる最中、時間の流れが遅くなり、女医パカがスローモーションのように倒れていく)

マッキー(こちら側に頭を向けて倒れた女医パカ、その腹部には彼女を刺した凶器――>>400が突き刺さっていたのが見えた)

400名無しさん@転載は禁止:2017/11/03(金) 23:36:23 ID:64MJrGY6
痛いの痛いの飛んでけ棒

401 ◆WsBxU38iK2:2017/11/04(土) 00:09:59 ID:7yxHla46
マッキー(その腹部には彼女を刺した凶器と思わしき金色の棒が突き刺さっていた)

マッキー(棒の表面には『痛いの痛いの飛んでいけ』という文字が刻まれていて――)


シュンッ!

マッキー(と、そこまで視界に入った所で私たちの体は周囲の空間から切り離された)

マッキー(来たときと同じワープ空間のようなものに包まれ、浮遊感と共に意識が薄くなっていって……)









──音ノ木坂跡・廊下


ドスンッ!


マッキー(再び地球の重力を感じた時、私は既に音ノ木坂跡の廊下に座っていた)

ぺぺペペーン「だ、大丈夫!?わりとすぐ戻ってきたけど……」

マッキー(心配そうに覗き込んでくるぺぺペペーンを無視し、私は帰還の石をなるべく遠くへ放り投げた)

マッキー「ほっ!」ブンッ!

ぺぺペぺーン「わぁっ!」


ガンッ! ゴンッ!

マッキー(放り投げた……と思ったのだけど、どうやら投げ方が悪かったらしく天井と壁にバウンドしてゴーストの近くに落ちてきた)

ポトッ

ゴースト「……え?」

マッキー(そして爆発)

ボンッ!!!

ゴースト「おぉぉ!?あ、危ないじゃないっ!!」

402 ◆WsBxU38iK2:2017/11/04(土) 00:10:21 ID:7yxHla46


マッキー「すぐにIDが停止されると踏んで石を投げたのよ、判断は正しかったでしょ?」

ゴースト「判断は正しかったけど自分の運動神経を考慮してないのが悪いっ!」

マッキー「ふむ……そこは反省するわ」

ゴースト「本当かしらねぇ……」


ぺぺペペーン「ねぇ?女医パカは?」

マッキー「敵襲にあって私たちを逃してくれた、生きてるかは微妙なところね」

マッキー「博士の代わりに捕縛されて治療されてることを祈るしかないわ」

ぺぺペペーン「そう……なんだ」


マッキー(女医パカを刺した武器も名前書通りなら人を殺すための道具に思えないしね、血出てたけど)


スッ

マッキー「何はともあれ資料は手に入れた、逃してくれた女医パカの分も気合入れないと」

ゴースト「ええ」コクンッ


マッキー「ここからが私たちの反撃開始ってやつよ」


─────────────────

音ノ木坂跡〜博士アルパカの研究室〜音ノ木坂跡

AM6:41〜??〜AM4:42 新終末編『210』了

403 ◆WsBxU38iK2:2017/11/04(土) 00:11:13 ID:7yxHla46
というわけでここまで

段々動ける人が減っていく

新終末編『211』に続く
かもしれない

404 ◆WsBxU38iK2:2017/11/04(土) 20:25:59 ID:7yxHla46
新終末編『211』

─────────────────
──音ノ木坂跡・廊下

AM6:42


マッキー「ぺぺペペーン!鞠莉との通信は繋がったまま?」

ぺぺペぺーン「繋がったままよ、はい!」スッ

マッキー「ありがと」


マッキー(私はぺぺペペーンから無線機を受け取ると耳と肩で挟み、廊下の窓側の壁に背を預けて座り込んだ)

マッキー(博士アルパカの研究室から強奪してきた資料をリュックから雑に取り出して、手に持てない分はその辺に投げ捨てる)

バササッ!

ゴースト「雑っ!」

マッキー「私が片っ端から目を通して重要なとこを鞠莉に伝えていくわ」

マッキー「ゴーストは床に置いた資料を適当にジャンル分けして私に渡して」


ゴースト「仕方ないわねぇ……ジャンルって?私内容は分からないわよ?」

マッキー「内容はどうでもいい、文章がずっと並んでる、図や表だけが乗ってる、後は通し番号が振ってるとか、レイアウトが似てるとか」

マッキー「そう言うぱっと見のデザインで統一しておいて、わんこそば並みのテンポで渡してちょうだい」

ゴースト「おっけー、やってみるわ」

405 ◆WsBxU38iK2:2017/11/04(土) 20:26:27 ID:7yxHla46


ぺぺペペーン「私は?何すればいい?」

マッキー「んー?じゃあ私が読むとこライトで照らしといて、ここ薄暗いし」

ぺぺペペーン「私だけ適当じゃない!?やるけど!」


マッキー「鞠莉?話は聞いてた?」

鞠莉『聞いてたわよー、こっちはいつでも準備OK、通常のウイルス作る手段は分かるから強化版作成に必用な事項だけ頼むわ』

マッキー「分かってる、もう3枚ほど読んだし順番に言っていくわよ」

ゴースト「もう!?」


マッキー「感染力を上げるにはウイルス基盤のβ成分を2倍に、そしてC-3薬品を10mg増やして――」

鞠莉『ふむふむ、わりと初っ端から重要そうな内容ねー』

マッキー「適当に手に取ったつもりだけど、結構概要が書いてるページを先に当てられたわね」

マッキー「それで次のこれは外れ、外れ、外れ、外れっと」ポイポイッ

ゴースト「ちょっ、整理が分身してても追いつかないって!」


ぺぺペペーン「すごいわこの人、私なら読むのに1枚30分掛かりそうな書類を1枚3秒くらいで読んでる……」

マッキー(鞠莉に情報を伝えつつ資料に高速で目を通していく、不要と判断した紙はすぐに切り捨て)

マッキー(手持ちが無くなりそうなところでゴーストがタイミングよく次の紙束を渡してくれる)

ゴースト「はいこれ次の分!」

406 ◆WsBxU38iK2:2017/11/04(土) 20:26:52 ID:7yxHla46


パラララララッ

マッキー「これじゃない、これも違う、これも――」

パラララララッ

マッキー(もっと要点……強化アルパカウイルスに必用な核となる情報が欲しい)

マッキー(そんな情報は……)


パラッ

マッキー「……あった!あったわ鞠莉!」

鞠莉『ナーイス!』

マッキー「強化アルパカウイルスに最も必用な材料、それは>>407

407名無しさん@転載は禁止:2017/11/04(土) 20:29:08 ID:19zsl/ms
バブみ

408 ◆WsBxU38iK2:2017/11/04(土) 21:00:58 ID:7yxHla46
マッキー「それはバブみよ!」

鞠莉『バブみ……?ワッツ?うま味の仲間……?』

マッキー「違うわ、バブみって言うのは人が人に感じる魅力の1つね」

パラッ

マッキー「いわゆる母性本能の逆と言ったら分かりやすいかしら、普通は母親役が子供役に母性を感じて快感を得るものだけど」

マッキー「子供役が母親役に母性を感じて快感を得る、その気持ちがバブみ」

鞠莉『ふ〜むふむ』

マッキー「バブみの対象に年齢は問わないというのが定説ね、年上でも年下でも関係ない、強い母性を感じられることが重要よ」

409 ◆WsBxU38iK2:2017/11/04(土) 21:01:15 ID:7yxHla46
ゴースト「無駄に詳しいわね」

マッキー「資料の補足に書いてあったのよ、ほらここ」 
 
ぺぺペペーン「どんなこと書いてんのよ博士ェ……」


鞠莉『つまり母性が重要ってわけか』

マッキー「ええ、この資料にはバブみを数値化して調査、対象が生み出したバブみを物質化して抽出する術も書いてある」

マッキー「それを使って取り出したバブみを調整したアルパカウイルスに埋め込むのよ」

鞠莉『分かった、じゃあ早速母性が強い人を探さないといけないわね』


鞠莉『手近で適正が高そうな人だと……>>410

410名無しさん@転載は禁止:2017/11/04(土) 21:05:53 ID:v06IK3M.
ハグカナーン

411 ◆WsBxU38iK2:2017/11/04(土) 22:16:39 ID:7yxHla46
鞠莉『手近で適正が高そうな人だと……ハグカナーンかしら、ちょっと試してくるわ!』

マッキー「了解、じゃあ私はこのまま資料を読み進めてるから」

鞠莉『うんうん、通話口には金パカ残していくから他に発見あったらそっちにどうぞ』


マッキー(そう言うと無線機からは鞠莉が離れて走っていく音が聞こえる)


ゴースト「どう?」

マッキー「私たちができることは大体終わったわ」

マッキー「この廃墟ではウイルスを作成出来ないどころか、寿限無と英玲奈を隔離したせいで黄泉の領域から出るデンライナーもない」

マッキー「後は……向こうの鞠莉たち次第ね」





412 ◆WsBxU38iK2:2017/11/04(土) 22:17:31 ID:7yxHla46




──ドスケーブ城跡・医務室エリア


タタタッ

鞠莉「医務室エリアってこっちで良いんだっけ?」

梨子「は、はい」


鞠莉「城が崩壊してから始めて来るのよね、梨子に案内を頼んで良かったわ」

鞠莉「立体に配置されてた各部屋が平面に並べ直されたせいで、どうも位置関係が掴めなくて困っちゃう」

梨子「ははは……」

鞠莉(私との2人切りの会話に戸惑ってるのか、梨子は困ったような顔で笑う)

鞠莉(まぁ初見で私と上手く絡める人がいないのは自覚ありますけどー)


鞠莉(それにしても……桜内梨子か)

鞠莉(付いてこさせたのは案内役としてだけど、彼女に全く興味が無いと言ったら嘘なのよねぇ)

鞠莉(関西異能連合や黒澤家のように遺伝的に異能者ではない、かと言って西洋発祥の魔物使いやドラゴンマスターのように幻想種を使役しているわけでもない)

鞠莉(遥か昔に日本で妖怪と呼ばれていた種族の1つ――メノノリと取引したのが桜内家)

鞠莉(その結果、桜内家の人間は自らの肉体からメノノリを生み出すことができる、ある意味で呪いに近い力を得た)


鞠莉(自らの血の中に妖怪を取り込んだ異端の能力者たち……の末裔が目の前にいる梨子)

鞠莉「…………」ジーッ

梨子「あの……何か?」

鞠莉「なんでもない」ニッコリ

413 ◆WsBxU38iK2:2017/11/04(土) 22:18:41 ID:7yxHla46


鞠莉(メノノリって基本的には肉の塊で人や人工物に化けられるらしいのよね)

鞠莉(流れとしては江戸時代の書物に記述がある死肉の妖怪、ぬっぺふほふ辺りから来てるのかしら……)

鞠莉(そこから顔が判別できないことに特化したのっぺらぼうとは別に、肉体を変化させ相手を騙すことに特化したのだとしたら――)

ジュルリ

鞠莉(こんなサンプル、近くにいたら実験したくてウキウキしちゃうわ)


梨子「……?」

鞠莉(ま、今は実験より世界救済のお手伝いね)

鞠莉(さてと医務室エリアは……)

キョロキョロ


梨子「あ!あれです、あの白い巨大なテントみたいになってる場所が医務室エリアですよ」

鞠莉「ほうほう、この1時間くらいで随分と整えたのねぇ」

タタタッ


鞠莉(その白いテントの入り口には見知った顔、真姫が立っていた)

鞠莉(走ってきていた私と梨子は真姫の前で足を止める)


真姫「……鞠莉?どうしたの?」

鞠莉「ちょうど良かった、ハグカナーンは医務室エリアの中にいる?」

真姫「何よ突然、ハグカナーンなら>>414してもらってるわ」

414名無しさん@転載は禁止:2017/11/04(土) 23:10:52 ID:WItjijaQ
ハグハグ

415 ◆WsBxU38iK2:2017/11/04(土) 23:57:04 ID:7yxHla46
真姫「ハグカナーンなら精神的に不安定な患者たちにハグハグしてもらってるわ」

真姫「彼女にハグしてもらうと落ち着くらしいのよね」


鞠莉「ほう……?」

梨子「鞠莉さんこれって例の……」

鞠莉「ええ、ハグカナーンのバブみの高さが関係してる可能性は大きいわ」


真姫「バブみ?」

鞠莉「ああ、説明がまだだったわね」

鞠莉「音ノ木坂を中心に広まってるウイルスを駆除するのに彼女の力が必用なの、それで会いに来たわけ」

真姫「そう、それなら中に入るといいわ、奥のハグハグ診療室って書かれたカーテンの向こうにいるから」

梨子「ハグハグ……」ゴクッ

鞠莉「怪しいお店みたいな名前ねぇ」

真姫「健全な医療施設だからっ」



鞠莉「まぁいいわ、そのハグハグ診療室とやらに行くわよ梨子!」

梨子「は、はいっ!」

タタタッ


─────────────────

音ノ木坂跡・廊下
ドスケーブ城跡・ラボ〜医務室エリア

AM6:42〜AM6:47 新終末編『211』了

416 ◆WsBxU38iK2:2017/11/04(土) 23:57:57 ID:7yxHla46
というわけでここまで

ハグカナーンへ会いに
 
新終末編『212』に続く
かもしれない

417 ◆WsBxU38iK2:2017/11/05(日) 20:08:05 ID:iDVnqjys
新終末編『212』

─────────────────
──ドスケーブ城跡・医務室エリア

AM6:47


スタスタ

鞠莉「テントの中は結構な人でごった返してるのね、ベッドが多くて通路が狭い」

鞠莉「反対から歩いてくる人とすれ違うのさえ一苦労……」

梨子「元々ドアラランド決戦の患者を収容していた所に神造人間と戦って出た怪我人を加えてベッドはパンパン」

梨子「更にドスケーブ城崩壊に伴って担当部署が消えてしまった人たちを一時的に受け入れてるから……きゃっ!」

ドンッ!

鞠莉「あなたがぶつかってどうするのよ」


鞠莉(ハグハグ診療室を探すため辺りを見渡しながら歩いていた梨子は、別の方向から来た黒髪の女とぶつかってよろめいてしまう)

鞠莉(黒髪の女は医療用の清潔なタオルを重ねて持っていた、どこかへ運んでる途中だったのかしら)


梨子「ごめんなさい、えっと……」

デスワ「破廉恥デスワですわ」

梨子「ごめんなさいデスワさん、私たちハグカナーンの所に行こうと急いでたの」

デスワ「ハグカナーンですか……さきほどハグハグ診療室に>>418が入っていくのが見えましたわね」

418名無しさん@転載は禁止:2017/11/05(日) 20:11:14 ID:6kKM16l2
ドジっ子

419 ◆WsBxU38iK2:2017/11/05(日) 21:14:08 ID:iDVnqjys
デスワ「先程ハグハグ診療室にドジっ子が入っていくのが見えましたわね」

梨子「ドジっ子……?」

鞠莉(梨子が首を傾げる、梨子が医務室エリアを出るまでは居なかった人なのかしら)


デスワ「急いでるのなら私が直接案内しますわ」

梨子「でもデスワさんの仕事は――」

デスワ「大したものではありません、ブンドルビィ!タオルをここに置いておきますからあっちのベッドへ運んでください!」

ブンドルビィ「えぇー!?」

デスワ「頼みましたわよー!」


デスワ「では2人はこちらへ、ハグハグ診療室はすぐそこですわ」

鞠莉(デスワは離れた場所にいたブンドルビィの仕事を押し付け……もとい任せるとスタスタと先に歩いていってしまった)

梨子「良いのかな……?」

鞠莉「まぁデスワが良いと言うのならいいのでしょう、遅れずについていくわよ」


スタスタ

スタスタ

420 ◆WsBxU38iK2:2017/11/05(日) 21:14:40 ID:iDVnqjys


鞠莉(そうしてデスワの後ろを歩いて少し行くと、深い藍色のカーテンで区切られた場所に辿り着いた)

鞠莉(吊り下げられたプレートにはハグハグ診療室と書いてある)


鞠莉「ここにハグカナーンが?」

デスワ「ええ、ハグカナーン?入りますわよ」スッ

鞠莉(デスワがカーテンの隙間を開いて中に入る、続いて私と梨子も入った)


梨子「なんだか……怪しい雰囲気ですね」 

鞠莉「そうねぇ」

鞠莉(明るい照明が照らしている医務室エリア全体とは違い、カーテンに区切られたこの場所はほの明るい間接照明が照らしていた)

鞠莉(そのせいで薄暗く、加えて甘いアロマの匂いにヒーリング効果のありそうなBGMが流れている)

鞠莉(梨子が言ったように大変怪しい雰囲気、診療室というよりは怪しげな占い師の館みたい)  

鞠莉(もしくはその手のお店とか)


スタスタ

鞠莉(診療室の中はあまり広くなく、奥に1つのベッドが置いてあるだけ)

鞠莉(そのベッドに腰掛けてるのが……ハグカナーン)


ハグカナーン「なんだデスワか……どうしたの?」

デスワ「あなたにお客様ですわ」

ハグカナーン「客?今ハグ治療の途中なんだけどなぁ」


鞠莉「ねぇ梨子、ハグカナーンが今ハグしてるのがドジっ子って人かしら」

梨子「そうだと思う、あの>>421みたいな人だよね」

421名無しさん@転載は禁止:2017/11/05(日) 21:22:29 ID:y1EAa3pg
犬を抱えた幼女

422 ◆WsBxU38iK2:2017/11/05(日) 22:16:42 ID:iDVnqjys
梨子「あの犬を抱えた幼女みたいな子よね」

梨子「犬は……小型犬かな、ニーナちゃんと一緒にいた犬は大きかったけど、これくらいなら可愛いかも……」

鞠莉「犬の大きさは今関係ある?」

梨子「こここっちの話だから!」



ハグカナーン「えーっと……あなた達は鞠莉と梨子だっけ」

鞠莉「そうよ、はじめましてかしら?」

ハグカナーン「梨子はドアラランドで一緒だったけど……稀代のトリックスターと対面するのは初めてかな」


梨子「トリックスター?」

ハグカナーン「うん、マリと言えば太古から人類史の裏で暗躍していた名前の無い黒幕」

ハグカナーン「後の魔王軍科学班の基礎を作り、究極生物の原点となる物質をも発見した異能科学の母であり」

ハグカナーン「時に暴虐な為政者に与する魔女、時に正義に燃える反逆者を支える賢者」

ハグカナーン「気分次第で行動が読めない、歴史家泣かせの伝説上の奇人……って古巣の講義では教わったよ」

423 ◆WsBxU38iK2:2017/11/05(日) 22:17:20 ID:iDVnqjys


梨子「そんなすごい人だったの!?」

鞠莉「誇張されすぎよ、そんな歴史家は皆打ち首にしてしまいなさい」ペッ


ハグカナーン「まぁ私もそう思う、こうして対面してみると私と変わらない普通の女の子だし」ニコッ

鞠莉「でっしょーう?なんだか仲良くできそうな気がするわね」

梨子「いや普通では無いと思うわよ……」


ハグカナーン「それで話だったっけ」

鞠莉「イエース!」

ハグカナーン「じゃあドジっ子ちゃん、少しあっちの黒髪のお姉ちゃんと遊んでてくれる?」

ドジっ子「うんっ、行こうあんこっ」

あんこ「ワンっ!」

タタッ

鞠莉(ハグカナーンの膝に乗っていた幼女が犬を抱えてデスワのところへ走っていく)


鞠莉「ハグカナーン、あの子はどうして診療室に来てたの?おそらく部外者よね」

ハグカナーン「うん、あの子は>>424

424名無しさん@転載は禁止:2017/11/05(日) 22:39:43 ID:L.ARYUXM
家族旅行で東京に来てたけど、目隠しして歩ける限界に挑戦してたら、迷子になった

425 ◆WsBxU38iK2:2017/11/05(日) 23:00:29 ID:iDVnqjys
ハグカナーン「家族旅行で東京に来てたけど、目隠しして歩ける限界に挑戦してたら迷子になったんだって」  

鞠莉「よくウイルスやロキワーカーにやられなかったものだわ、ここに辿り着けたのが幸運ね」


ハグカナーン「そうだね、本人は強がってたけど両親と逸れた精神的ストレスが現れてたよ」

ハグカナーン「私は真姫に頼まれてドジっ子を落ち着かせるためにハグしてたんだ」

梨子「あの元気な様子を見るに……少しは回復したの?」

ハグカナーン「うん、ハグを始めたときよりはかなりね、笑顔も戻ってきたし」


ドジっ子「すごいんだよ!カナンお姉ちゃんに抱っこされてるとすっごいあったかい気持ちなるの!」

ドジっ子「ぽかぽかーってお日様に包まれてるみたい!」

デスワ「カナン……?ああハグカナーンのことですか」


梨子「ねぇ鞠莉さん、これってやっぱりバブみの力ってこと?」

鞠莉「聞かなくても分かるでしょ、早速ハグカナーンのバブみ力を測るわよ」ピッ

梨子「え?そのスマホのカメラで測れるの?」

鞠莉「イエース!マッキーから聞いた情報を元に移動中にアプリ組んじゃったわ」

梨子「おおぉ……」


鞠莉「このアプリを起動してハグカナーンにカメラを向けると――」スッ

ピピピッ

鞠莉「出た!ハグカナーンのバブみ力は……>>426

426名無しさん@転載は禁止:2017/11/06(月) 00:23:17 ID:WiaoAnQc
89万

427 ◆WsBxU38iK2:2017/11/06(月) 00:53:31 ID:ltrWb95.
鞠莉「ハグカナーンのバブみ力は……89万!!」

梨子「基準を知らないから分からない!でもたぶんスゴイタカイ!」

鞠莉「ええ、とてつもないバブみ力ね、ハグカナーンに抱かれたらどんな堅物おじさんも赤ちゃんになるわ」

梨子「母性に包まれてバブバブ言っちゃうわけね!」


ハグカナーン「なんだろう……事情は分からないけど物凄いバカにされてる気がする」

鞠莉「のんのん!そんなことないわ!あなたのその才能が世界を救うのよ!」ガシッ

ハグカナーン「は、はぁ……?」


梨子「実は音ノ木坂跡から感染されてるウイルスに対して有効な対策があなたのバブみなんです」

鞠莉「バブみを抽出するためにラボに来て欲しいの!」

ハグカナーン「うーん……全然分からないしむしろ頭痛くなってきたけど、私が役に立つなら協力するよ」

ハグカナーン「ここにもお世話になってることだしね」


鞠莉「そう来なくっちゃ!さぁカナン!ラボに行くわよ!」

ハグカナーン「鞠莉に略称で呼ばれるのは何かやだなぁ……まぁいいけど」


デスワ「ちょ、ちょっと!この子はどうすればいいんですの!?」

あんこ「わんっ!」


─────────────────

医務室エリア

AM6:47〜AM6:53 新終末編『212』了

428 ◆WsBxU38iK2:2017/11/06(月) 00:54:31 ID:ltrWb95.
というわけでここまで

バブみ力とは

新終末編『213』に続く
かもしれない

429 ◆WsBxU38iK2:2017/11/06(月) 20:24:11 ID:ltrWb95.
新終末編『213』

─────────────────
──医務室エリア

AM6:53


ドジっ子「お姉ちゃんどこか行くの?」

ハグカナーン「うん、私はこれからそっちの金髪の人とラボに行かなきゃならないみたい」

ハグカナーン「ドジっ子ちゃんはデスワお姉ちゃんと一緒にいてね」

ドジっ子「うん!」

あんこ「わん!」


デスワ「仕方ありませんわね、1人と1匹は私が面倒見ておきます」

ハグカナーン「お願いね」

タタタッ


梨子「いいの?」

ハグカナーン「大丈夫、さぁ行こうよ」

鞠莉「GO!」

430 ◆WsBxU38iK2:2017/11/06(月) 20:24:33 ID:ltrWb95.





スタスタ スタスタ


鞠莉(医務室エリア全体の屋根になっているテントから出ると、分厚い雲に覆われた空が少し白んでいた)

鞠莉(多少は視界がよくなった道をラボに向かい進んでいく)


鞠莉「そっか……夜通し動いてたから分からなかったけど、もうそろそろ朝なのね」

ハグカナーン「AAS雲があるから日が出たとしても薄暗いままでしょ、テンション下がるな〜」


梨子「あのー鞠莉さん」

鞠莉「なに?」

梨子「仮に除去ウイルスが出来たとしても、マッキーさんたちのとこまで届けなきゃ意味が無いんですよね」

梨子「今の音ノ木坂跡は黄泉の領域になっていて普通には入れないって言ってましたし」

鞠莉「ああ、手段ならちゃんと考えてるわよ、ウイルスを届ける方法は>>431

431名無しさん@転載は禁止:2017/11/06(月) 20:29:22 ID:KQHTnv9Q
梨子がリコピンダッシュで届けて

432名無しさん@転載は禁止:2017/11/06(月) 20:31:13 ID:vW1phBQU
レーザー射出

433 ◆WsBxU38iK2:2017/11/06(月) 21:18:18 ID:ltrWb95.
鞠莉「梨子がリコピンダッシュで届けるの」

梨子「私が……なに?」

鞠莉「リコピンダッシュ」

梨子「うん、それが意味不明」


鞠莉「えーと、歩きながら説明するけど、真姫と私が開発したヘルトマトジュースってのがあるのよ」

ハグカナーン「また物騒な名前のジュースだこと」

鞠莉「地獄トマトで作ったジュースだからヘルトマトジュース、安直なネーミングよ」

鞠莉「そのジュースを飲むと体内にヘルリコピンって成分が吸収されるわ」

鞠莉「ヘルリコピンは正に地獄の如きエネルギーを生み出す、そのエネルギーでダッシュするのが……」

梨子「……リコピンダッシュ?」

鞠莉「正解〜!」


鞠莉「ただ異界の植物から生成されまヘルリコピンは人間には刺激が強すぎて……普通に摂取すると体が燃えて爆発しちゃうのよね」

ハグカナーン「とんだ欠陥品じゃない」

鞠莉「でも梨子なら大丈夫だと思うのよ、だって産み出せるでしょ?人ではない存在を――」

梨子「まさか……メノノリに飲ませるの……?」

鞠莉「そのまさか」ニヤリ

梨子「……!」


タンッ

鞠莉「ほーら、話してる間にもうラボよ、金パカの所に急ぎましょ」


梨子「……むぅ」

434 ◆WsBxU38iK2:2017/11/06(月) 21:18:44 ID:ltrWb95.

・ 


──ラボエリア


梨子(ラボエリアでは相変わらず宇宙人がワクチンを量産していて、理事長さんが端で休んでいる)

梨子(何故かロトーチカさんは金パカの毛を刈らされていた、私の代わりかな?)


金パカ「おお、戻ってきたか」

鞠莉「カナンを連れてきたわ、そっち……電話の向こうは何か異変なかった?」

金パカ「そうだな、マッキーたちなら>>435

435名無しさん@転載は禁止:2017/11/06(月) 21:24:57 ID:WiaoAnQc
バルタン星人の大群に追われている

436 ◆WsBxU38iK2:2017/11/06(月) 22:36:07 ID:ltrWb95.
金パカ「バルタン星人の大群に追われてるらしい」

鞠莉「はぁ……?」


梨子「バルタン星人って何ですか?新魔王軍の送り込んできた敵?」

金パカ「それが宇宙人が言うにはだな、宇宙人と同じ異星人らしい」

宇宙人「ウム」

梨子(機械を操作し続ける宇宙人はモニターを見たまま、金パカの言葉に頷く)


金パカ「バルタン星人はセミのような顔と両手についた巨大なハサミが特徴の異星人だ」

金パカ「自らを宇宙忍者と名乗る彼らは、とある発狂した科学者の手により母星を失い、難民となって宇宙を彷徨っていた」

金パカ「彼らは地球への移住を交換条件に魔王の参加に加わり、宇宙人の部隊にいたと……そういう話だったな」

宇宙人「ウム」


ロトーチカ「魔王が名古屋に行ってる間、宇宙人部隊が東京やその周辺を見張ってたんだったわよね」

ロトーチカ「そのまま部隊が残っていたんだとしたら、音ノ木坂にバルタン星人が来てもおかしくはないけど……」
 
ヴィーーンッ

ロトーチカ「……あ、毛はこのくらいの長さでいい?」

金パカ「良いぞ」

437 ◆WsBxU38iK2:2017/11/06(月) 22:36:26 ID:ltrWb95.
梨子「それ何とかならないの?宇宙人の部下だった人たちでしょ?」

梨子「上司が言えば止めるんじゃ……」

宇宙人「ムリだナ」

宇宙人「イゼンのマオウグンはジジツジョウカイサンした、イマのカレらがソシキにシダガうリユウはナい」

鞠莉「そうね、魔王との約束がパーになったんじゃ元上司の言葉は届かないでしょう」

鞠莉「バルタン星人は種の繁栄を背負ってるんだから……こうなれば無理矢理にでも征服活動を始めるかもしれない」


梨子「なっ!ウイルスだけでも大変なのに……異星人の相手なんてしてられないわよ!」

ハグカナーン「同意、さっさと殲滅したほうがいいね」

ロトーチカ「今のマッキーたちには戦えるメンバーが欠けている、こっちから応援を送らないと……」


鞠莉「ふむ……じゃあ元々予定にあった梨子の他にも何人か送りましょう」

鞠莉「取り敢えずカナン、それから>>438

438名無しさん@転載は禁止:2017/11/06(月) 22:52:19 ID:vW1phBQU
破廉恥姉妹

439 ◆WsBxU38iK2:2017/11/06(月) 23:46:21 ID:ltrWb95.
鞠莉「それから破廉恥姉妹を連れていきなさい」

梨子「あの人たち……?」

鞠莉「そう、あの2人……いえ今は3人ね」

鞠莉「彼女たちに直接的な戦闘能力は低いけど、守護宝石の力はかなり役立つと思うわ」

梨子「分かった、というか私が行くことは決定事項なんだ……」

鞠莉「ええ」ニッコリ


梨子(鞠莉さんは『当たり前じゃない』という顔で笑うとラボエリアに設置してある冷蔵庫に向かう)

梨子(そして冷蔵庫から赤い液体の入った瓶を取り出して戻ってきた)

鞠莉「はいこれ」

梨子「うわっ……まさかこれが……ヘルトマトジュース?」

鞠莉「イエース!」


梨子「また随分と気軽な場所に保管してあるんですね……」

鞠莉「間違って飲まなきゃ特に害は無いからね」スッ

梨子「それを冷蔵庫に入れておくのが問題なんですよ……」


梨子(正直あんまり手に取りたくは無かったけど、鞠莉さんが笑顔で差し出して来るので苦笑いしながら受け取る)

梨子(瓶はとても冷たく、ぱっと見では普通のトマトジュースにしか見えない)


ハグカナーン「じゃあ早速準備しようか、早くマッキーたちを助けにいかないとね」

梨子「はいっ」


─────────────────

医務室エリア〜ラボエリア

AM6:53〜AM6:57 新終末編『213』了

440 ◆WsBxU38iK2:2017/11/06(月) 23:48:26 ID:ltrWb95.
というわけでここまで

いつの間にか朝
別のシーンもやりたいけど区切りつくまでやります

新終末編『214』に続く
かもしれない

441 ◆WsBxU38iK2:2017/11/07(火) 20:36:09 ID:xc20dngk
新終末編『214』
 
─────────────────
──ラボエリア・入り口前

AM6:57


梨子「よし……」


梨子(ラボエリアの入り口出て少し離れた場所、足元は更地で頭上には敷地全体を覆う結界)

梨子(そこで私は深呼吸して息を整えていた)

スゥー ハァー

梨子(鞠莉さんたちはラボの中で除去ウイルスを作ってるし、ハグカナーンさんもバブみを抽出する作業があるから
それに付き合ってる)

梨子(破廉恥姉妹を呼びに行ったロトーチカさんも既に見えないし……つまり今の私は1人で待機してる状況)
 
ゴクッ

梨子(人前だとやりにくいし、1人でいる間にメノノリを作ってしまおう、それが良い)


スッ

梨子(私は周囲に誰もいないことを確認するとスカートの中に手を入れ、パンツを膝辺りまで降ろす)

梨子「……あれ?私が履いてたのと違うパンツ……あぁ、ドアラランドで前のは無くしたんだっけ?」

梨子(ヨーソローにパンツを奪われて究極生物に投げられたような記憶が朧気に蘇る、嫌な記憶だから封印しておこう)

梨子(おそらくこの無地のパンツは城に来てから誰かに履かされたものね……気絶してて覚えてないけど)

442 ◆WsBxU38iK2:2017/11/07(火) 20:36:35 ID:xc20dngk


梨子「よし、ここに……」

スッ

梨子(降ろしたパンツと股間の間に蓋を取ったヘルトマトジュースの瓶をあてがう)

梨子(自然と中腰になった格好は中々間抜けで恥ずかしい、さっさと済ませたいわ)


梨子「メノノリ細胞――噴射」

ピチョンッ 

ブシャァァァァァッ!!

梨子(股の器官内で生成されたメノノリ細胞が脂肪片を吸収して成長、視認できる大きさの液状肉塊になって股下へ噴射される)

梨子(それはあっという間にヘルトマトジュースの瓶を包み込むと目の前の地面に広がった)


梨子(ゼリーのようにプルプルと震えるメノノリの幼体は段々その体を完全な個体へ近付けていく)

443 ◆WsBxU38iK2:2017/11/07(火) 20:36:56 ID:xc20dngk


梨子「ふぅ……」


メノノリ「……」ゴキュッ ゴキュッ

梨子(中に取り込んだ瓶からヘルトマトジュースを飲んでるんだろう、しばらく嚥下音が続いた後、肉塊の中から瓶だけが吐き出される)

プッ!

カランカラーンッ


梨子(完全にトマトジュースを吸収したメノノリは体の色がトマトのような赤に変化)

梨子(そして体の形は>>444)

444名無しさん@転載は禁止:2017/11/07(火) 20:40:05 ID:u5ifE1oo
マッキーと梨子を足した感じの人型

445 ◆WsBxU38iK2:2017/11/07(火) 21:38:26 ID:xc20dngk
梨子(そして体は人型タイプ、頭の上から足の先まで赤一色で、僅かな凹凸が顔の表情や肉体の膨らみを表している)

梨子(この顔つきと体つき……どこか私とマッキーを足したものに似てる気がするなぁ)

梨子(宿主の私とトマトジュースを作ったマッキー……というか西木野真姫タイプに影響されてるのかな)


梨子「えっと……メノノリ、だと区別付きにくいか、あなたはトマノリって呼ぶことにするわ」

トマノリ「トマノリ……?」

梨子「うん、トマトのメノノリだからトマノリ」

トマノリ「……なんとも単純ねえ、別にいいけど」


梨子(うーん……やっぱり性格もマッキーたちに似てる感じがする)

梨子(穂乃果因子を吸収したホノノリは穂乃果さんたちっぽくなったし、元になった材料が関係するのかな……)

446 ◆WsBxU38iK2:2017/11/07(火) 21:38:47 ID:xc20dngk


梨子「トマノリ、私たちはこれから音ノ木坂跡に向かうのよ、今は準備が出来るまで待機して――」

ザッ

ハグカナーン「はぁー、疲れた疲れた」

梨子「ハグカナーンさん!」

梨子(丁度トマノリが出来上がったとこでハグカナーンさんがラボエリアから出てきた)

梨子(私は慌てて降ろしてたパンツを引き上げる)


ハグカナーン「んー?面倒だから梨子もカナンって呼んでいいよ、鞠莉のやつの相手が本当に大変でさぁ、たまったまんじゃない」

梨子「ははは……なんとなく察するわ」

ハグカナーン「でしょう?」


梨子「あれ?というか外に出てきたってことはもうバブみの抽出は終わったの?」

ハグカナーン「うん、抽出の方法は>>447みたいな感じだったよ」

447名無しさん@転載は禁止:2017/11/07(火) 21:41:44 ID:b3f.4y1U
モザイク処理が必要な方法

448 ◆WsBxU38iK2:2017/11/07(火) 22:29:10 ID:xc20dngk
ハグカナーン「抽出の方法はモザイク処理が必要な方法だったよ、あれは子供には見せられないね」

ハグカナーン「こう裸になってパンパンアンアン――」

梨子「あぁうん!何となく分かったからもういいわ!うん!」ブンブンッ

ハグカナーン「そう?全然話してないけど……」

梨子「うんうん!」


ハグカナーン「ああ言うことするなら事前に言って欲しかったっての、激しくしたから体中バッキバキ」

梨子「激しく……」ゴクッ

ハグカナーン「まぁ私が頑張ったおかげで除去ウイルス作成は順調に進んでるみたいだよ」

ハグカナーン「あと少しで試作品分が完成するって言ってた」

梨子「……ああ、それは良かった」

449 ◆WsBxU38iK2:2017/11/07(火) 22:29:32 ID:xc20dngk


タタタッ

ロトーチカ「おーい!呼んできたわよー!」

デスワ「三姉妹共々呼ばれてきましたわー!」

オッパイ「来たビィ!」

ブンドルビィ「なんで私まで……」



梨子「ねぇ、ふと思ったけど無線使えばロトーチカさんが走り回る必要ないんじゃ――」

ハグカナーン「それは言わないでおこう」


ロトーチカ「はぁ……はぁ……今は鞠莉のウイルス作成待ち?」

ハグカナーン「その通り」

ブンドルビィ「マッキーたちはまだ無事?学校の廃墟で宇宙人に追われてるんでしょ?」

ハグカナーン「今のところはね、金パカが聞いてる最新情報だと今は>>450に隠れてるみたいだよ」

450名無しさん@転載は禁止:2017/11/07(火) 22:48:16 ID:rWuNlA9g
半分吹き飛んだ講堂

451 ◆WsBxU38iK2:2017/11/07(火) 23:18:07 ID:xc20dngk
ハグカナーン「半分吹き飛んだ講堂に隠れてるみたいだよ」

ブンドルビィ「そっか、隠れられてるならいいけど……」


梨子(今は隠れられてる、でもおそらく見つかるのは時間の問題よね)

梨子(ウイルスが完成するまであと少し、鞠莉さんにはなるべく早く作ってもらいた――)

鞠莉「できたわーー!」バッ!

梨子「ってはやぁっ!?」ビクッ!


ハグカナーン「ラボの入り口からロケットみたいに吹っ飛んできたわ……」

鞠莉「これもカナンの協力のおかげ、89万のバブみ力は予想以上にすごくて生成が想定以上の速さで進んだのよ!」

梨子「それにしても早い」

鞠莉「はいこれ除去ウイルス、試験管に入ってるから割らないように気を付けてね」

鞠莉「取り敢えず梨子に渡しておこうかしら」

梨子「え、ええ……」ドキトキ

452 ◆WsBxU38iK2:2017/11/07(火) 23:18:20 ID:xc20dngk


梨子(鞠莉さんから液体の入った試験管を受け取る、割らないようにって緊張するなぁ)

梨子(なんだか重大な役目っぽいし頑張らないと……!)


トマノリ「それじゃあ行く?私の方も準備万端よ、体中のヘルリコピンが疼いてカッカしてる」

トマノリ「いつでもダッシュできるわ……任せなさい」

梨子「うんっ」

スタスタ


梨子「では皆さん、トマノリの近くに集まってください」

ブンドルビィ「はーいっ!」テテッ

ハグカナーン「よし、音ノ木坂跡に向って出発だ!」


─────────────────

ドスケーブ城跡・ラボエリア前

AM6:57〜AM7:04 新終末編『214』了

453 ◆WsBxU38iK2:2017/11/07(火) 23:19:21 ID:xc20dngk
というわけでここまで

少し短め
次は2回目の出発

新終末編『215』に続く
かもしれない

454!ken:99:2017/11/08(水) 01:04:54 ID:ymd9lcIQ
をつ

455 ◆WsBxU38iK2:2017/11/08(水) 20:25:50 ID:s.bL.bfk
新終末編『215』

─────────────────
──ラボエリア入り口付近

AM7:05


ドゥルンッ ドゥルンッ

トマノリ「ふぅぅぅ……」シュゥゥゥゥゥッ!


梨子(エンジンの駆動音に似た音と共に、トマノリの周辺に霧のような蒸気が満ちていく)

梨子(ヘルリコピンによる過剰なエネルギー供給でトマノリの体が活性化、溢れた熱が放出されていっている)


ハグカナーン「ねぇねぇ梨子、いくらトマノリが速く走れるって言っても私らはどうするの?」

ハグカナーン「あんな高熱を発してるやつに抱きついて行くなんてごめんだよ」

デスワ「そうですわ、火傷してしまいます」

梨子「大丈夫、ちゃんと考えてありますよ」


梨子「そのために……ロトーチカさんにあの子も呼んできて貰ったんですから」

ロトーチカ「ええ、三姉妹を連れてくるのは鞠莉からの依頼、それと別に梨子から頼まれたのは……」

ホノノリ「いぇーい!わったしだよー!」ピョーンッ!

456 ◆WsBxU38iK2:2017/11/08(水) 20:26:08 ID:s.bL.bfk
梨子(ロトーチカさんの後ろにいたのはオレンジ色のメノノリであるホノノリ)

梨子(ドアラランドで負傷したメンバーを収容して帰ってきたホノノリだけど、ホノノリ自身も同じように疲弊してて医務室で休んでいた)

梨子(それを私が三姉妹のついでに呼んできてもらったわけ)


ハグカナーン「この化物を何に使うの?」

ホノノリ「化物とはシツレイな、ホノノリと呼んでください」

ハグカナーン「じゃあホノノリ」

ホノノリ「うむっ」


梨子「私たちが移動するためにトマノリを動力、ホノノリを車体として連結するのよ」

梨子「私たちはホノノリが変化した部分に乗ってトマノリに引っ張られる形になるわね」

ブンドルビィ「なるほど……車体の形は?」

梨子「車輪が付いてれば何でも引っ張れると思うけど……どうしようかな」


ホノノリ「だったら>>457に変形するよ!」

457名無しさん@転載は禁止:2017/11/08(水) 20:32:00 ID:kwhsAE3A
マジックミラー号

458 ◆WsBxU38iK2:2017/11/08(水) 21:25:04 ID:s.bL.bfk
ホノノリ「だったらマジックミラー号に変形するよ!」

ニュニュニュッ ポンッ!


オッパイ「マジックミラー号……?」

ロトーチカ「トラックの荷台に当たる部分をマジックミラー張りに改造した車両ね」

ロトーチカ「外から中は鏡になって見えないけど、中から見ると路上で透明なガラスに囲まれてるように見えるわけ」

ロトーチカ「これを使ったAVが1ジャンルとして人気を誇ってる……と現世の情報を漁ってる時に知ったわ」

梨子「漁る情報に偏りがありますよね……」

ハグカナーン「現世?」

ロトーチカ「ああ、私は古代人なのよ、なんだかんだあって何千年ぶりかに目覚めたから現世の文化に興味あるの」

ハグカナーン「へぇ〜」



オッパイ「エ、エーブイ?」

デスワ「破廉恥ですわぁ」

ブンドルビィ「まぁ見かけは変だけど要は普通のタイヤ付き荷台でしょ、問題ないわよ」コンコンッ

ホノノリ「丈夫だよっ!」


梨子「じゃあ皆はホノノリの中に乗り込んで、ホノノリは前に連結部分を伸ばして、トマノリは後ろに伸ばしてね」

ホノノリ「よーしっ」

トマノリ「了解」

459 ◆WsBxU38iK2:2017/11/08(水) 21:25:41 ID:s.bL.bfk


ニューーッ シュポンッ!

梨子(ホノノリが体の一部を更に変形させ、車体の前から2本のワイヤー状の部位を射出する)

梨子(同時にトマノリの肩甲骨の辺りが変形、真後ろにワイヤー状の部位が射出され、お互いが空中で噛み合う)

ガシャンッ!

トマノリ「連結完了……!」



梨子(簡単に言えば前にいる人間が後ろにいる車を紐で引っ張る形、いわゆる人力車……とはちょっと違うかな)

梨子(その荷台の部分に私、ハグカナーン、デスワ、オッパイ、ブンドルビィが乗り込んでいく)


ガラッ タタタッ

ハグカナーン「おお〜、本当に中から見ると透明なんだね〜」

オッパイ「外が見えると落ち着かないなぁ……」


梨子「ホノノリ、トマノリーに本気でリコピンダッシュしたら音ノ木坂跡までどのくらいで着けるか聞いて」

ホノノリ「おっけー」

梨子(内部からホノノリに伝えるとマジックミラー越しに2人の声が聞こえてくる)


ホノノリ『トマノリー!どのくらいで着けるかってー?』

トマノリ『そうね、事前情報から考えるに……今の私なら>>460

460名無しさん@転載は禁止:2017/11/08(水) 22:04:21 ID:a/PjmQYc
普通なら1時間だけど、レズAVをしてくれたら10分

461 ◆WsBxU38iK2:2017/11/08(水) 22:54:12 ID:s.bL.bfk
トマノリ『普通なら1時間だけど、レズAVしてくれたら10分でいけるわ』

ホノノリ『だってー!』


オッパイ「れれれれずAV!?」ビクッ

ハグカナーン「テンション上げるために必要なんじゃない?」

デスワ「だとしても何故レズAVなんです……?」


梨子「あー……私が生み出した物体ってどこかレズっぽいんだよね……理由は分からないけど」

シャドウ「それは梨子自身がレズだからじゃないかなー?」

梨子「断じて違う……ってかシャドウ、消えたかと思ったら普通に出てくるのね」

シャドウ「私は消えたりしないわよー」


オッパイ「わあぁっ!いつの間にか梨子さんの後ろに幽霊みたいなのがいるぅ!」

ブンドルビィ「あれはシャドウね……魔王軍の機械で作り出されたもう1人の梨子」

ブンドルビィ「確か梨子と融合して1つになったはずだけど……」


梨子「実は……あの後また現れて私のスタンドみたいになってるのよね」

オッパイ「スタンド?」

梨子「便利な守護霊的な存在よ」

オッパイ「やっぱり幽霊!?」


梨子(何て説明してもオッパイちゃんは怯えそうだったので諦めてシャドウに話を振る)

462 ◆WsBxU38iK2:2017/11/08(水) 22:54:25 ID:s.bL.bfk
梨子「……で?今更出てきてどうしたのよ」

シャドウ「レズだなんだって話が出たからさ、レズセするなら私の能力を利用したほうが楽だよ」

梨子「まぁ……確かに」


梨子(シャドウの能力はノンケをレズに変える力、加えてヨーソローの件を見るに好意的な相手が近くにいると性的欲求が高まる効果がある気がする)

梨子(でも、私から誰かにこれをやれって言うのは気が引けるなぁ……)


シャドウ「ふむ……優しさ担当梨子の梨子が決めるのはきついか」

梨子「え?」

シャドウ「じゃあブラック担当梨子の私が勝手に決めちゃうね、能力の暴走なら後腐れないでしょ!」

梨子「なっ!ちょっと待っ――」


シャドウ「私がレズにする2人は>>463

463名無しさん@転載は禁止:2017/11/09(木) 00:33:33 ID:OVoHFP0E
オッパイとブンドルビィ

464 ◆WsBxU38iK2:2017/11/09(木) 02:00:18 ID:vRlp88cw
シャドウ「オッパイとブンドルビィ!あなたたちよ!」ブンッ

ビビビビビビビッ!!

オッパイ「ひゃっ!」ビクッ!

ブンドルビィ「……っ!」ビクッ!


梨子(シャドウがうでを振った瞬間、オッパイとブンドルビィの2人が雷に打たれたかのように震える)

梨子(そして――)


オッパイ「あ……なんか頭がぼーっとしてきた……」ポワーッ

オッパイ「ブンド……サファイアちゃん、ムズムズするぅ……ギュっとしてぇ……」

ダキッ ギュゥゥッ

ブンドルビィ「ひゃっ!何するのオッパイ、私から離れなさ……ぐぐっ!」

オッパイ「サファイアちゃーん」スリスリ

ブンドルビィ「あと……サファイアちゃんって呼ばない……ひゃうあっ!」


梨子(服を少しはだけたオッパイがブンドルビィに後ろから抱きついて体を弄る)

梨子(最初に発情したのはオッパイなのね、オッパイ攻めか……)

465 ◆WsBxU38iK2:2017/11/09(木) 02:00:56 ID:vRlp88cw


デスワ「なぁっ!2人はどうしてしまったのですの!?」

シャドウ「私の能力で未知なる扉を開いてあげただけよ」

ハグカナーン「姉妹レズか……しかも反発しあってお姉様を取り合っていた真妹と義妹のレズ、そして一見気弱なオッパイがブンドルビィを好きに弄んでる」

ハグカナーン「一部のマニアに人気が出そうだね……」

シャドウ「分かる」コクンッ


梨子「分から……わ、わからないわね」

梨子(危ない危ない、同意しかけた私は静かに目を逸らす)

デスワ「そうですわ!早く2人を止めませんと!」


オッパイ「サファイアちゃんの体柔らかい、気持ちいい……」

チュッ チュッ フニッフニッ

ブンドルビィ「あ、ああ……っ!首筋にキスをするのはやめなさ……やめっ、やめてぇ……」

ブンドルビィ「お姉ちゃんが見てるのにぃ、うゆゆゆぅ……んんっ!!」

オッパイ「ふふっ、段々妹言葉になってきたね、お姉ちゃんの前ではそんな感じだったのかなぁ」コリッ

ブンドルビィ「ひゃぁぁぁっ!!」

ビクンビクンッ!!

466 ◆WsBxU38iK2:2017/11/09(木) 02:01:15 ID:vRlp88cw


デスワ「あわわわわわわ……」ガクブル

ハグカナーン「でも見なよ、2人のレズセが始まったせいか、外のトマノリが――」


トマノリ『ふしゅううううう……!』

ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ!

ゴォォォオオオオオオオッ!!


デスワ「……っ!」

梨子(トマノリは燃え上がっていた)

梨子(比喩ではない、文字通り体から最高級のトマトのように真っ赤な炎が立ち登り、巨大な翼の形に広がっている)

梨子(トマノリは大きく息を吸い込むと、その翼をはためかせ最初の一歩を踏み出す!)


トマノリ「リコピン……ダッシュ――!!」

ゴッ!!!!


梨子(人外のスピードと牽引力、それに引かれて接続されたホノノリのタイヤも回転して動き出した)

ガラガラガラガラガラッ!!

ホノノリ「おひょーー!ひっぱられるー!」

ハグカナーン「動いたっ!」

デスワ「す、すごい速度ですわっ!これがメノノリの力……!」


梨子「いける、この速度なら、2人のレズセが続けば……」

トマノリ『たぁああああああっ!』ドドドドドドッ!!

梨子「……あっという間に目的地に着けるわ!」


─────────────────

ラボエリア入り口前〜

AM7:05〜AM7:10 新終末編『215』了

467 ◆WsBxU38iK2:2017/11/09(木) 02:02:41 ID:vRlp88cw
というわけでここまで

出発と言っておきつつ今回が本当の出発
よくあることですね

新終末編『216』に続く
かもしれない

468 ◆WsBxU38iK2:2017/11/09(木) 20:40:11 ID:vRlp88cw
新終末編『216』

─────────────────
──ホノノリ号内

AM7:15


オッパイ「んっ……サファイアちゃん、サファイアちゃんの中の……ここ気持ちいい、気持ちいいぃぃ!」

ブンドルビィ「らめっ、らめぇぇっ!そんなとこグリグリされたらおかしくなっちゃゆうぅぅ!!」

グチュッ グチュッ ビュルルルルッ!!


梨子(マジックミラーに囲まれたホノノリ号の中、2人の交わりは段々と過激になっていく)

梨子(2人とも既にほぼ全裸で色んな液体でグチョグチョに飛び散ってしまっている)

梨子(そんなヒートアップする行為と比例してトマノリの牽引スピードとテンションもアップ)

トマノリ『ふぉおおおおおおおおおおおおっ!!』

ダッ! ドドドドドドドドドッ!!

梨子(私たちを乗せたホノノリ号は地上のどの車より速く、雪に埋まった街を疾走していた)


ドドドドドドッ!

ガガガガガガガガッ!!


梨子(そして音ノ木坂跡への道も半ばと来た頃、私たちの行く手を阻む巨大な障害物が姿を現す)

梨子(マジックミラー越しに見えたのは巨大な門、閉じられた門が円形に連なって音ノ木坂周辺を囲む壁と化していた)

469 ◆WsBxU38iK2:2017/11/09(木) 20:40:29 ID:vRlp88cw


ハグカナーン「おぉ〜、巨大だなぁ〜」

梨子「あれが報告にあった黄泉の門ですね、黄泉の門で囲まれた領域は黄泉の領域と化してるそうです」

梨子「ある程度のスピードがあれば門を突破するのは容易だけど、先行チームの話だと入った瞬間に生者は死亡するって話」

ハグカナーン「死ぬのはごめんだよ」

梨子「私もです、だから……」


デスワ「ここは私の出番ってわけですわね!」

梨子「はい、お願いします」


デスワ「もちろん、可愛い妹2人がある意味で体を張っているんです、私だって役に立たないと」

梨子(デスワさんはそう言うと指輪の嵌った手を頭上に、黄泉の門に見せつけるかのように掲げる)

スッ

デスワ「私の守護宝石はダイヤモンド、地球上で最も硬い鉱石、金剛石です」

デスワ「ですがその真価はモース硬度のみにありません、ダイヤのもう一つの真価は何者にも侵されない安定性」

デスワ「ダイヤは硫酸や塩酸に耐性を持ち、日光に晒され続けても変化しない」

デスワ「adamas:征服し得ない……というギリシア語の語源の通り、古来より魔除けとして使われてきた聖なる石――」

470 ◆WsBxU38iK2:2017/11/09(木) 20:40:46 ID:vRlp88cw


キィィィィィィンッ!

デスワ「私の守護宝石はその由来に乗っ取り、外部からのあらゆる魔術や呪術による侵食を防ぐ能力を持つのです」

カッ!

デスワ「ダイヤモンドは揺るがない――!」


梨子(デスワさんが掲げたダイヤモンドの光が増していき、直視できないほどに大きくなっていく)
 
梨子(それが頂点まで達した時、指輪に嵌っていた宝石が>>471の形に変形した)


梨子(おそらくはそれが……この守護宝石の元になった存在の姿……!)

471名無しさん@転載は禁止:2017/11/09(木) 20:43:59 ID:9kmmYzsw
|c||^.-^||

472 ◆WsBxU38iK2:2017/11/09(木) 21:44:00 ID:vRlp88cw
梨子(指輪に収まる程の大きさだった宝石は直径1m程の、人の頭を模した鉱物へと変形した)

梨子(私たちの頭上に浮遊するソレの表面は綺麗にカットされたダイヤのように眩く輝いている)


梨子「これが……ダイヤモンドの元の姿……?」

デスワ「正解ですわ、かつて我が一族が封印し、守護宝石へと作り変えた幻想種」

デスワ「その名も『金剛饅頭ダイヤサン』!」


|c||^.-^||『デスワァ……』


梨子「なんだか不気味ね、大きなデスワさんに似た顔が浮かんでるみたい……」

デスワ「安心して良いですわ、このダイヤサンは守護宝石の力が発動した際に現れる幻影のようなもの、梨子の言うスタンドに近い存在でしょう」

デスワ「ダイヤサンの本体は遥か昔に宝石に加工されて消滅してますし、守護宝石は契約者に絶対服従ですから無害です」

|c||^.-^||『ダイヤチャンがいいですわぁ……』

473 ◆WsBxU38iK2:2017/11/09(木) 21:44:34 ID:vRlp88cw


ハグカナーン「つまり……この幻想種をデスワのご先祖様が討伐して、宝石に加工して、代々受け継がれてるってことか」

デスワ「はい」

ハグカナーン「でも幻想種の分類としてはなんだろ、昔の日本にいたってことは妖怪寄りなのかな」

デスワ「一応そうらしいですけど、我が家の書物によるとある時に天から降臨して来たそうです」

デスワ「降臨した地で光を浴びた住民から神と崇められていて、噂を聞きつけた我が家のものが討伐しに向ったと」

ハグカナーン「あれが空から……ミラーボール並に派手な光景だなぁ」

|c||^.-^||『ピカピカですわぁ……』



デスワ「とにかくダイヤサンの光を浴びてれば、私たちは呪術的な力による怪我や病気にはならないし、死ぬこともない」

デスワ「まぁ物理的なダメージは食らってしまいますから、そこは各自気を付けてくださいね」

ハグカナーン「と言われても……周りマジックミラーだから掴まるところもないよね〜」

梨子「ええ、今更トマノリに言ってもスピードは緩めてくれないでしょうし……」


トマノリ『ひょおおおおおおおおおおおおおっ!!』

ドドドドドドドドドドドッ!!


梨子(どんどんスピードを上げるトマノリとホノノリ号、門はもう目の前だ)

梨子「門に突っ込むわよ!みんな出来るだけ姿勢を低くして頭部を守って!」

デスワ「あ!そうですわ!このままだとレズ交わりしてる2人が無防備に――」

ハグカナーン「私が行くよ!デスワはダイヤサンの展開があるでしょ!」

デスワ「す、すみませんっ!」

474 ◆WsBxU38iK2:2017/11/09(木) 21:45:00 ID:vRlp88cw


梨子(レズセしてる途中の2人のクッションになるように荷台の後方へ走っていくカナン)

梨子(カナンが2人の元へ滑り込むのと同時に、トマノリが黄泉の門へと突っ込んだ)

トマノリ「おっらぁっ!」


ドッガァァァァァァァンッ!!!!


ホノノリ「うおおおおっ」

グラララララッ!!

梨子「ぐっ……」

梨子(閉じていた門を強引に突破した衝撃で連結されてるホノノリ号が激しく揺れる)

梨子(というかもうタイヤが殆ど地面に付いてない、バウンドしながらトマノリに引っ張られている状況だ)

ガタンッ! ガタンッ! 


梨子(タイヤサンの効果が効いているのか、誰かが死んだような様子は見られない)

梨子(それは良い、良いんだけど……)


ホノノリ「ん?待って待って!この黄泉の領域の中……>>475

475名無しさん@転載は禁止:2017/11/09(木) 21:47:35 ID:EJF35hoI
上下が逆さま

476 ◆WsBxU38iK2:2017/11/09(木) 22:44:22 ID:vRlp88cw
ホノノリ「この黄泉の領域の中……上下が逆さまだよ!」

梨子「なっ……」


ヒューーーーーーッ!!
 

梨子(落下――)

梨子(門をくぐった瞬間、急に足場が消えてポッカリとした穴に投げ出された感覚に陥る)

梨子(いや、感覚じゃない、実際に足元には何もないのだ)

梨子(中空に投げ出されたホノノリ号は“足元に広がる空”に向ってどこまでも落ちていく……!)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!


デスワ「な、なにが起こってますのっ!!」

ハグカナーン「頭の上に街が広がってる……!重力反転……!?」

梨子(床にしがみついて体を固定してるデスワさんと、ガラスに背を預けながらオッパイたちを抱えてるカナンが口々に困惑の声を上げる)


梨子「上に地面、下に空、本当に訳わからない状況……!」

梨子(下に広がる空はAASの雲ではなく地獄のように真っ赤な空、どこまで落ちるか想像も付かないけど……落ちたらヤバイと本能が訴えてる!)


梨子「トマノリ!あなた空を飛ぶことは出来ないの!?」

ホノノリ「おーーちーーるーー!」

トマノリ『飛ぶねぇ……出来るかと言われたら>>477

477名無しさん@転載は禁止:2017/11/09(木) 22:56:47 ID:zY171ea2
絶頂エネルギーがあればどこまでも飛べる

478 ◆WsBxU38iK2:2017/11/10(金) 00:09:21 ID:XVPmXcME
トマノリ『絶頂エネルギーがあればどこまでも飛べるわ!』


梨子「だそうよ!」

デスワ「だそうよって言われましても――」

ガタガタガタガタッ!

デスワ「ひゃぁあああああああっ!」


梨子(落下を続けるホノノリ号はグルグルンと回転して立っていることさえ困難)

梨子(下手に立ち上がって移動しようとしたら体が浮いて天井に頭ぶつけてしまう危険だってある)

梨子(こうなったら仕方ない……)


梨子「カナンさんお願い!2人を絶頂させて!」

ハグカナーン「ま……私がやるしかないかっ」


梨子(そう、誰も移動できない今、オッパイとブンドルビィと密着しているカナンしか行動を起こせない)

梨子(加えてオッパイたちはレズセで良いところまで仕上がってるから絶頂しやすいはず……!)


ハグカナーン「お二人さん、悪いけどちょっと下品な手を使わせてもらうよ」

オッパイ「ふぇぇぇ……な、なに……?」

ブンドルビィ「目の前がグルグルしてて……なにがなんだかぁ……」

479 ◆WsBxU38iK2:2017/11/10(金) 00:10:17 ID:XVPmXcME


ハグカナーン「知ってるかは分からないけど、私は時の潮という結界を作って時間を操る能力者なんだよ」

ハグカナーン「効果範囲や操れる時間とか色々と種類はあるんだけど……取り敢えず『"シオ"で囲まれた空間』があるのが条件」スッ

梨子(カナンは胸ポケットから取り出した透明な小袋、たぶん塩入りとだと思われる小袋に指を突っ込む)

梨子(そして小袋を口に加えたまま、両の中指に塩を塗りたくって取り出すと――)


ハグカナーン「……で、女の子のアソコって狭い洞窟みたいなもんじゃん、そこに塩まみれの指を突っ込むと自然にアソコ内が塩まみれになると思うんだよ」

デスワ「ちょっ!まさか!!」

ハグカナーン「大丈夫、粘膜にしみない特製の優しいお塩だからっ」

ズボッ! ズボッ!

デスワ「なぁああああああっ!」


梨子(カナンは塩まみれの両手の中指を2人のアソコに同時に突っ込んだ)

オッパイ「ひっ!」

ブンドルビィ「はうっ!」


ハグカナーン「ほーら塗り塗りっと、これでアソコの中限定で時間は私の思い通り」

ハグカナーン「中に挿れた指の時間を加速すれば――」カチッ

ギュルルルルルルッ!!

オッパイ「んんんんっ!?」

ブンドルビィ「にゃうぅぅぅっ!?」


ハグカナーン「――タイムアクセルピストン!!」

ドドドドドドドドドドドドッ!!


─────────────────

黄泉の門前〜黄泉の領域・ホノノリ号内

AM7:15〜AM7:18 新終末編『216』了

480 ◆WsBxU38iK2:2017/11/10(金) 00:11:20 ID:XVPmXcME
というわけでここまで

ある意味通常運転

新終末編『217』に続く
かもしれない

481 ◆WsBxU38iK2:2017/11/10(金) 20:31:38 ID:XVPmXcME
新終末編『217』

─────────────────
──黄泉の領域・ホノノリ号

AM7:18


ハグカナーン「タイムアクセルピストン!!」

ドドドドドドドドドドドドッ!!

オッパイ・ブンドルビィ「ふぁあああああああああああんっ!んんんっ!!」

ビクンビクンッ!!

ブシャァァァァァァッ!!!!


梨子(おそらくアソコの中でカナンの指が超高速振動したのだろう)

梨子(その勢いで絶頂に達した2人の股間からは熱い液体が滝のように噴射された)

ハグカナーン「これがほんとの潮吹きってやつだね!」ドヤッ


梨子「トマノリ!行けそう!?」

ハグカナーン「無視!?」


トマノリ『行けるわ行ける!私の心の抗酸化が止まらない!』


トマノリ『知性と美貌の翼よ燃えろ――』

バサッ!!

トマノリ『――絶頂・ヘルリコピンウイングっ!!』

ドォォォォオオオオオオウッ!!

482 ◆WsBxU38iK2:2017/11/10(金) 20:31:59 ID:XVPmXcME


梨子(トマノリの背中から生えていた両翼が何倍もの大きさに膨れ上がった)

梨子(トマノリがその炎の翼を羽ばたかせるとホノノリ号の落下は止まり、逆に上昇が始まる)


ホノノリ「ふぅ〜、助かった〜」

ハグカナーン「なんとかなったみたいだね……」


梨子「トマノリ!変な状況だけど音ノ木坂跡を目指して!」

梨子「上下が入れ替わっただけなら頭上の街に変わらず目的地はあると思う、事前の地図情報があればいけるはずよ!」

トマノリ『了解!』

バサバサッ! 



デスワ「いや、地図を見なくても分かりますわね」

梨子「え?」

梨子(守護宝石の具現化をしまい、マジックミラー越しに上を見上げていたデスワさんが呟く)

デスワ「見てください、頭上の逆さまの街の一部分……あそこに円盤が集まっていますわ」

梨子「ほんとだ!」

ハグカナーン「あれがバルタン星人の円盤だろうねぇ、となれば円盤がいる場所の真下……この世界で言うと真上が音ノ木坂跡か」


トマノリ『……』ピクッ

トマノリ『梨子、あの円盤のうちの一つがこっちに気付いたみたい、接近して来るわよ』

梨子「なっ!」


梨子(音ノ木坂跡から私たちの方向へ移動を始めた円盤は>>483)

483名無しさん@転載は禁止:2017/11/10(金) 20:34:25 ID:muh2S9yg
攻撃しようとした瞬間に爆破された

484 ◆WsBxU38iK2:2017/11/10(金) 21:27:12 ID:XVPmXcME
梨子(円盤はこちらに向って円盤下部に搭載されていた砲塔を伸ばし、そこに光が充填されていく)

キュィィィィィィンッ!

梨子(他に合図はない、けどそれだけで攻撃の意思があると分かる!)


梨子「マズイ!トマノリ避けて!!」

梨子(慌ててトマノリに回避の指示を出した、その瞬間――)

チュドォォォォォォンッ!!

梨子(私たちを狙っていた円盤は爆発して木っ端微塵となった)


梨子「……え?」

デスワ「自爆……なわけないですわよね」

ハグカナーン「そうなると考えられるのは他者からの攻撃、黄泉の領域の中でバルタン星人を攻撃するメリットがあるのは……」



梨子「人影……?何か爆発の跡にいる……!」

梨子(空中に広がる爆炎の中、そこから飛び出てこちらに浮遊してくる人型の何かが見えた)

梨子(その姿は幽霊のように半透明で、顔はどこか見覚えがあるような……)

トマノリ『梨子、距離を取る?』

梨子「あっ!……いや、逆に近付いていいわ!あれは私たちの仲間、ゴーストよ!」

485 ◆WsBxU38iK2:2017/11/10(金) 21:27:33 ID:XVPmXcME





ゴースト「おーーーーい!」

ピューーッ!


梨子(小型のドローンと思わしき飛行物体に引っ張られるように空中を移動してきたゴースト)

梨子(私たちがマジックミラー号の扉を開けて迎え入れると、彼女は幽体化を解いて床に着地する)

スタッ

ゴースト「ありがと、あなたたちが鞠莉が寄越した増援部隊ね、話は聞いてるわ」

ゴースト「ドアラランドクーデターに参加した元魔王軍幹部に元ほのキチクラブ、それに異能名家の面子か」

ゴースト「混ざりっぷりは私のとこと良い勝負ねぇ」


梨子「ゴースト、さっきの爆発は?」

ゴースト「私が仕掛けた物……というよりマッキーが作った爆弾を私が投下したものと言ったほうが正確かしら」

ピッ ブゥゥゥゥンッ

梨子(ゴーストは小型ドローンのスイッチを切りつつ、頭上の街のとある方向を指差す)


ゴースト「あなたたちも分かってると思うけど、円盤が群がってるあの場所に音ノ木坂跡があるの」

ゴースト「今私たちはあそこの半壊した講堂の中に追い詰められている」

梨子「ええ、その話は聞いたわ」


ゴースト「私は円盤を爆破するためにマッキーがありあわせで作った爆弾を持って講堂から飛び降りたのよ」

486 ◆WsBxU38iK2:2017/11/10(金) 21:27:54 ID:XVPmXcME
ゴースト「そのままドローンを操作して円盤の真上に移動、狙いを定めて爆弾を投下した」


ゴースト「ドローンも急いで作った小型のものだからそこまで重いものは持てないけど、私がドローンに掴まる指と爆弾を持つ手以外を幽体化すれば僅かな重量しかかからないし」

ゴースト「遠隔操作に頼るより私がアタッチメント役になって直接爆弾を投げたほうが確実に当てられる」

デスワ「なるほど……」


ゴースト「ま、私がドローンに掴まってきた1番の理由はあなたたちに情報を伝えるためよ」

ゴースト「あの円盤をどうにかしない限り、この空飛ぶ人力車は音ノ木坂跡に近付けないってことをね」

梨子「……!」


デスワ「爆弾をもう一度投下すると言うのは?」

ゴースト「無理ね、実はドローンも爆弾も作れる材料がもうないのよ」

ゴースト「特に爆弾に関しては既に何発か投下した後だし材料はからっから」

ゴースト「さっきの爆弾なんて材料よ一つに杏仁豆腐とか使ってるのよ、どれだけ追い詰められてるか分かるでしょ」

デスワ「逆に杏仁豆腐と何であの爆発力を生み出してるのか気になりますわね……」

487 ◆WsBxU38iK2:2017/11/10(金) 21:28:12 ID:XVPmXcME


ハグカナーン「ゴーストが除去ウイルスだけを持って先に向かうのは?ドローンで飛べるんでしょ?」

ゴースト「落下の勢いを利用して不意打ちするならともかく、ここから上昇するんじゃ初速が足りなくて撃墜されるのがオチ」

ゴースト「私がフワフワ飛んで擦り抜けられるくらいなら、そこの真っ赤な翼人が突撃したほうが成功率高いわよ」

ハグカナーン「ふむ……」



ゴースト「せめて円盤を一機落とされば音ノ木坂包囲網に穴はできる……梨子、こっちのチームで何か策は浮かばない?」

梨子「うーん……そうねぇ、>>488

488名無しさん@転載は禁止:2017/11/10(金) 21:33:51 ID:dY9ZHLUA
残りの宝石の力を使う

489 ◆WsBxU38iK2:2017/11/10(金) 22:09:28 ID:XVPmXcME
梨子「残りの宝石の力を使ったらどうかな」

ゴースト「残りの宝石?」


梨子「さっきはデスワさんの守護宝石を使ったけど、あの2人も守護宝石の力を使えるんでしょ」

ゴースト「あの2人って……わぁっ!あの子裸で何してるのよ!?」

梨子「あはは、ちょっとくんずほぐれつを……」

ハグカナーン「健全な運動だよ!」ドヤッ

ゴースト「どこが健全よっ!」


梨子「そうだシャドウ、2人のレズ化は解いてる?」

シャドウ「絶頂した時点で能力は解除してるわ、もうノンケに戻ってるはず」

シャドウ「まぁノンケに戻っても多少の影響は残ってるけど……」フフッ


オッパイ「はぁ……はぁ……わたしたち……いったいなにを……」ピクッ ピクッ

ブンドルビィ「とんでもない目に合ったわ……」ピクッ ピクッ

490 ◆WsBxU38iK2:2017/11/10(金) 22:09:45 ID:XVPmXcME


梨子(未だに裸でひくひくと震えてる2人の元にデスワさんがしゃがみ込んで手を差し伸べる)

デスワ「ご苦労様でした、ですがまだ終わったわけではありません」スッ

オッパイ「おねぇちゃぁ……」

ブンドルビィ「いえ……このくらい……お姉ちゃんのためだったら……」ググッ


デスワ「ゆっくりで良いから服を着て立ち上がってください」

オッパイ「う、うん……」

梨子「立て続けだけどまた2人の力を借りたいの、良い?」

ブンドルビィ「ふぅ……構いません、少し疲れた程度ですから」


梨子「デスワさん、オッパイとブンドルビィの宝石はどんな力を封じ込めてるんです?」

デスワ「はい、まずオッパイの守護宝石のルビーですが……これは>>491

491名無しさん@転載は禁止:2017/11/10(金) 22:59:25 ID:p0xXY0sk
妹力

492 ◆WsBxU38iK2:2017/11/10(金) 23:58:25 ID:XVPmXcME
デスワ「これは妹力を高める効果があります」

梨子「妹力……?」


オッパイ「ええと、私の守護宝石に宿ってるのはお姉ちゃんみたいに単一で力を発揮するものじゃないの」

オッパイ「出てきて『シスター・ルビー』」

ボォォォォッ!

梨子(オッパイが名前を呼ぶと守護宝石の中から質量を持った幻影が出てくる)

梨子(幻影は怪しげなオーラを纏ったウサギのぬいぐるみ……みたいな形をしていた)

梨子(これが今の形に加工される前の形――ルビーの指輪に宿る力の原型か)


デスワ「シスタールビーは舶来品として日本に入ってきたウサギのぬいぐるみですわ」

デスワ「元々はとある西洋人の姉妹の持ち物だったそうで、目の所に真っ赤なルビーが嵌め込んでありました」

デスワ「姉妹の手を離れた後は、持ってる人間の運気をあげるぬいぐるみとして持ち主を転々としていたそうです」

デスワ「実はこのぬいぐるみ、わりと危ない幻想種で――」

ハグカナーン「はいはい、由来は良いから効果を説明して」

デスワ「……むぅ」


オッパイ「シスタールビーが1番力を発揮するのは、妹がお姉ちゃんを助けたいと思った時だよ」

オッパイ「お姉ちゃんと認識した人の様々な力を倍増させて、やりたいことを成功に導くことができるんだ」

梨子「ほー」

493 ◆WsBxU38iK2:2017/11/10(金) 23:58:46 ID:XVPmXcME


デスワ「そうですわね……ではオッパイ、あなたはブンドルビィをお姉ちゃんだと思いなさい」

オッパイ「うん……ってえぇっ!?」

ブンドルビィ「私ぃ……?」

デスワ「桃園の誓いを交わした仲のようなものです、他人よりは姉と思いやすいでしょう」

オッパイ「でも……サファイアちゃんより私のほうがお姉ちゃんがいい……」

ブンドルビィ「気にするとこそこ!?」


デスワ「黙らっしゃい、あなたたちはコランダムの双子のようなものなんですからどっちでもいいでしょう」

デスワ「時と場合によって姉になったり妹になったりしなさい!」

ハグカナーン「デスワもかなり無茶言うよね……」


デスワ「無茶ではありません、2人の力が合わされば――」

ビシッ!

デスワ「あの円盤を落とすことも不可能ではありませんわ!」


─────────────────

黄泉の領域・ホノノリ号内

AM7:18〜AM7:22 新終末編『217』了

494 ◆WsBxU38iK2:2017/11/10(金) 23:59:20 ID:XVPmXcME
というわけでここまで

次は合体技から

新終末編『218』に続く
かもしれない

495 ◆WsBxU38iK2:2017/11/11(土) 20:42:41 ID:XwIiDFnM
新終末編『218』

─────────────────
──ホノノリ号内

AM7:22


オッパイ「デスワお姉ちゃんも期待してくれてる……やろうサファイアちゃん!」グッ

ブンドルビィ「……そうね、姉に命令してくる生意気な妹だけど、一応今は妹と認めてあげるわ」

ブンドルビィ「ルビー、あなたの力を貸しなさい」

オッパイ「ルビー?」

ブンドルビィ「私がサファイアって呼ばれるならあなたはルビーでしょ、私だけあだ名で呼ばれるのは癪に触るわ」

オッパイ「細かいとこ気にするねぇ、じゃあお姉ちゃんはダイヤお姉ちゃんかなー」

デスワ「私はデスワですわっ」


梨子「良いから二人共早くっ!」

ブンドルビィ「はいはい」スタスタ


ザッ

梨子(服を着直したブンドルビィとオッパイは開け放たれたホノノリ号のドアから外に出て、落ちないようにホノノリ号の上に登る)

梨子(天井……正確にはトマノリに吊り下げられてる状況だからフロントの部分だけど、とにかく2人は天井に立つ)

梨子(そこへ立った2人に余計な言葉は最早要らないようだった、お互いにアイコンタクトでタイミングを測る)


オッパイ「いける?」

ブンドルビィ「いつでも」


オッパイ「じゃあ始めるよ……輝いて!シスター・ルビー!」カッ!

オッパイ「私の妹力でサファイアお姉ちゃんの力を後押ししてあげて!」

キュィィィィィィンッ!

梨子(オッパイの頭上に浮いていた具現化されたウサギのぬいぐるみ)

梨子(そのぬいぐるみに嵌められたルビー瞳が煌めくと、纏っていた赤いオーラがブンドルビィ目掛けて注がれていく!)


ドドドドドドッ!!

496 ◆WsBxU38iK2:2017/11/11(土) 20:43:07 ID:XwIiDFnM
ブンドルビィ「こっちもやるわよ、『ファールバウティ』」

カッ!!

梨子(オーラが注がれる中……ブンドルビィも守護宝石であるサファイアの力を解放する)

梨子(蒼い光に包まれながら姿を表したのは荒々しい雰囲気を纏った原初の巨人)

梨子(まるでスタンド――私のシャドウのように、巨人の姿はブンドルビィの背後に浮かんでいる)


ゴースト「ファールバウティ……?」

デスワ「ロキの父親である霜の巨人の名前です、正確にはその力を埋め込まれた神造人間がサファイアの加工元ですわね」

ハグカナーン「なっ!あの襲撃の時に神造人間を倒してしかも宝石にしてたの!?」

デスワ「ええ、宝石にする前はとてもホノノリ号に収まらないほど巨大な敵でしたわよ」

デスワ「今あのサイズに縮小されてるのはあくまでイメージされた幻影だからです」


梨子「あの宝石の能力は?」

デスワ「ふふっ、それこそ姿を見て分かるでしょう、私たちが対峙した巨大にこれと言った特殊能力はありませんでしたわ」

デスワ「そこにあったのは……ただの暴力」
 
梨子「……!」


デスワ「人が決して抗うことのできない自然の暴威の象徴――純粋なまでの原初の力」


ブンドルビィ「ふぅ……はっ!」

ピキッ! バキバキバキッ!!

梨子(蒼いオーラを纏ったブンドルビィの腕の筋肉が盛り上がり、通常より一回り大きくなる)

梨子(血管も浮き上がり、激しくドクドクと脈打つのが遠くからでも見て取れる)

497 ◆WsBxU38iK2:2017/11/11(土) 20:43:36 ID:XwIiDFnM


バキッ! ムキムキッ! 

梨子(いや……違う、一回りなんてものじゃなかった……)

バキバキバキバキッ!!

梨子(ブンドルビィ水平に伸ばした片腕は彼女の体の何倍もの大きさになり……更にどんどん膨張を続けていく!)


ゴースト「何よあれ……能力が肉体強化だとしてもどうして片腕だけがどんどん巨大化していくのよ!」

デスワ「力を集中してるんですのよ」

ゴースト「え?」

デスワ「普通にサファイアを使うのならばファールバウティ並に全身を巨大化できるスペックはあります」

デスワ「ブンドルビィは敢えて力を片腕に集中させて、限界以上に腕を巨大化させてるんですの」

ゴースト「ん?なんのためにそんなことを……」



ガシャンッ! 

ブンドルビィ「神討具――異次元の強奪手」

キィィィィィンッ!!


ゴースト「……って神討具っ!?」

デスワ「何のためにと言いましたわね、正にアレのためですわ」


梨子(巨人並に大きくなったブンドルビィの腕に銀に輝くガントレットが装着されていく)

梨子(銀のガントレットの上からサファイアの蒼いオーラが、更に上からルビーの赤いオーラが重なり層を形成する)


ハグカナーン「強奪手……なるほどねぇ、ブンドルビィも考えたなぁ」

498 ◆WsBxU38iK2:2017/11/11(土) 20:44:00 ID:XwIiDFnM
ゴースト「どういうこと?」

ハグカナーン「強奪手は自分がイメージしたものを距離や障害物関係なく引き寄せる――要はアポーツするアーティファクト」

ハグカナーン「アポーツできる物品の大きさは使用者の手が掴める大きさに限られるんだけど……」

ゴースト「掴める……あっ!」

ハグカナーン「そう、サファイアの力を使って巨人並に腕を巨大化させれば、その分掴める質量も増大するってわけ」

ハグカナーン「あれは更にルビーの力で距離や精度、イメージに関する強奪手の基礎能力を底上げしてるかな〜」


デスワ「能力による神討具の進化、あれを新たに名付けるならば真・神討具――」


ブンドルビィ「――神次元の強奪巨腕!」

ゴッ!!!!!!!!


梨子(ブンドルビィがガントレットに包まれた巨腕を振るった瞬間……遥か先で陣形を取っていた円盤の一つ、その全容の半分が"抉り取られた")


ゴースト「なっ……!」

ハグカナーン「おおおっ!」

梨子(ブンドルビィの強奪は止まらない、体の半分を失った第一の円盤が墜落する間もなく、第二第三の円盤を抉り取っていく)

梨子(そして円盤の群れの>>499割を一瞬で破壊してしまった)

499名無しさん@転載は禁止:2017/11/11(土) 20:47:56 ID:Fsw.uh2A
8

500 ◆WsBxU38iK2:2017/11/11(土) 22:01:51 ID:XwIiDFnM
梨子(そして円盤の群れの8割を一瞬で破壊してしまった)


ドォォォォンッ! ドォォォォンッ!

ドゴォォォォォォォンッ!!



ブンドルビィ「……ぷはっ!はぁっ!はぁっ!どう……どうだっ!!」

ガクッ

オッパイ「やったよサファイアちゃん!」

ブンドルビィ「はぁ……はぁ……!」

ブンッ!

梨子(息を切らして膝を付いたブンドルビィは、巨腕に掴んでいた最後の円盤の欠片を後ろに投げ捨てる)

梨子(彼女たちの背後では同じように抉り取られた10を越す円盤の欠片が空に向って落ちている所だった)


ゴースト「驚いた……1つでも落とせれば御の字だと思ってたのに……」

ハグカナーン「強奪手をこんな攻撃に使うとは魔王さえ予想してなかったろうなぁ」

デスワ「さすが私の妹たちですわ!」


ゴースト「でも、これであの円盤地帯を確実に抜けられる……今がチャンスよ!」

梨子「そうね、まずは上のブンドルビィたちの回収を……カナン行ってくれる?」

梨子「強奪巨腕を解除したブンドルビィは疲れてて動けないみたい」

501 ◆WsBxU38iK2:2017/11/11(土) 22:02:48 ID:XwIiDFnM


ハグカナーン「救助に行くのは良いけど……」チラッ

梨子「え?何か不満?」

ハグカナーン「カナンさんかカナンちゃんがいい、デスワだけさん呼びだし」

梨子「自分で気軽にカナンって呼べって言ったくせに……カナンさんお願い」

ハグカナーン「はーい」ピョンピョンッ!


デスワ「猿みたいにひょいひょいマジックミラー号の外壁登って行きますわね……」

梨子「まぁ名前くらいで動いてくれるなら良いですよ」


梨子「さてと……」

梨子「トマノリ!ホノノリ!2人の回収が終わって扉を閉じたら一気に加速して円盤地帯を突破するわよ!」

ホノノリ「うんっ!」

トマノリ「任せなさいっ!」






502 ◆WsBxU38iK2:2017/11/11(土) 22:03:16 ID:XwIiDFnM




──音ノ木坂跡・逆さ講堂

 
ぺぺペペーン「凄い!一気に円盤が落ちていったわ!味方がやったのかしら!?」

マッキー「おそらくそうでしょうね」


マッキー(ゴーストが講堂に空いた穴から投下していった後、残された私とぺぺペペーンは講堂の隅に潜んでいた)

マッキー(講堂と言っても椅子に座ってるわけではない、天地が逆転してるせいで本来天井である部分に腰を降ろしている)

マッキー(古い講堂は天井部から一部の外壁にかけて大きく穴が空いていて、そこから外――足元に広がる空がぽっかりと見て取れる)

マッキー(その場所から足を踏み外せば落下は免れない)


マッキー(そもそも何故こんな天地逆転現象が起こったのか、その理由は>>503)

503名無しさん@転載は禁止:2017/11/11(土) 22:05:26 ID:GOBcifNo
講堂にあった天地逆転装置が暴走してる為

504名無しさん@転載は禁止:2017/11/11(土) 22:06:12 ID:kd7We3X6
誰かさんのうっかり

505 ◆WsBxU38iK2:2017/11/11(土) 22:51:45 ID:XwIiDFnM
マッキー(その理由は講堂にあった天地逆転装置が暴走してる為)


ウゥーーーーンッ! ウゥーーーーンッ!

 
ぺぺペペーン「講堂のステージの中心に設置してある機械……変わらず騒音を鳴らしてるわね」

マッキー「どうにか直せば天地逆転は戻るんだろうけど、装置はステージの床に設置してあるから私たちのいる天井からだと届かない」

ぺぺペペーン「何かパパっと空飛ぶ機械とか作れないの?」

マッキー「むーり無理、物資リュックに入ってた機材は大体爆弾に使っちゃったし、元手がなければ何もできないわ」

マッキー「第一あそこに行けた所で直せる補償もないのよ」

ぺぺペペーン「むぅ……」

506 ◆WsBxU38iK2:2017/11/11(土) 22:52:06 ID:XwIiDFnM


マッキー(今の私たちは陸の孤島に取り残されて救助を待つ身、やることもないので少し思案に耽る)


マッキー(おそらく……天地逆転装置なんて物騒なものを作ったのは、黄泉の門を作った人物と同じ可能性が高い)

マッキー(そう考える理由はこの事態を引き起こしてるのは重力操作ではないからだ)

マッキー(手持ちの機器で調べても重力波の異常は見つからないし、血流を始めとしたバイタルに不審な点は見られない)

マッキー(つまりは空間に作用する力のプラスマイナスが変わったわけではなく、空間自体がグルッと上下回転してしまったということ)


マッキー(黄泉の領域という箱と連動したカラクリ、同じ開発者でなければできるはずない)

マッキー(ウイルス拡散班とは別の特殊な技術車がいたはず)

マッキー(あぁもう……博士か女医パカからもっと話を聞いておけば良かった……)


ブゥーーンッ!

マッキー「なにっ!?」バッ!

ぺぺペペーン「見て!下の円盤からまたバルタン星人が1人やってくるわ!さっき追い払ったばかりなのに!」


マッキー「またぁ?天地逆転装置が壊れて暴走したのだって、あいつらとの戦闘中に>>507が起きたからじゃない!」

507名無しさん@転載は禁止:2017/11/11(土) 22:56:43 ID:kd7We3X6
じゃんけん大会

508 ◆WsBxU38iK2:2017/11/12(日) 00:00:08 ID:YYGCgvPM
マッキー「あいつらとの戦闘中にじゃんけん大会が始まったからじゃない!」

ぺぺペペーン「あれは失策だったわね……」


マッキー(そう、あれは最初に校舎に侵入してきたバルタン星人に追われて講堂まで逃げてきた時)

マッキー(切羽詰まった3人のうちの誰かが『あの宇宙人の手って常にチョキだからジャンケンやったら勝てるんじゃない?』と、血迷った発言をしたのがきっかけだった)

マッキー(なんとかバルタン星人と交渉してジャンケン勝負に持ち込めた……のも今考えるとおかしい話だけど、とにかく持ち込めた)


マッキー(だけど途中でバルタン星人がジャンケンのトリックに気付いてしまったのが運のつき)

マッキー(『必ず負ける勝負など不正だ!』と暴れたバルタン星人が発射した怪光線が天地逆転装置に直撃)

マッキー(暴走した装置によって天地が入れ替わり、私たちとバルタン星人たち共にパニック、一時休戦に似た状況となった)

509 ◆WsBxU38iK2:2017/11/12(日) 00:00:33 ID:YYGCgvPM


マッキー(その後やつらは母船である円盤に退避して、音ノ木坂跡を包囲するように布陣した)

マッキー(私は時間稼ぎのために爆弾を投下して爆撃してたんだけど……)


バッ!

マッキー「またやってきたってわけなの!?」


バルタン星人『フォッフォッフォッフォッ』ポワーン

マッキー(下に浮かぶ円盤から講堂に向って浮かび上がってくるバルタン星人)

マッキー(1人2人……5人くらいいるわね……)


マッキー(ジャンケンはもう通じない、こうなればゴーストが戻ってくるまで私の武器だけで凌ぎ切れるしか――)


トマノリ「ヘルリコピンダッシュ!!」

ゴッ!!!! ドンッ! ドンッ!

マッキー「……え?」

マッキー(覚悟を決めて対異能拳銃を握りしめた瞬間、こちらに上昇中のバルタン星人たちを空飛ぶ赤い生命体が尋常じゃないスピードで轢き飛ばした)

マッキー(その生命体は背中から繋がった紐で大きな箱を牽引しながら、講堂の中へ入ってきて着地する)


スタッ ドシィィィィィィィィンッ!!


マッキー「もしかして……着いたの……?」


トマノリ「ええ!トマノリ運送!いっちょあがりだわ!」

ビシッ!


─────────────────

黄泉の領域内空中〜音ノ木坂跡・逆さ講堂

AM7:22〜AM7:25 新終末編『218』了

510 ◆WsBxU38iK2:2017/11/12(日) 00:01:31 ID:YYGCgvPM
というわけでここまで

やっと増援部隊が合流

新終末編『219』に続く
かもしれない

511 ◆WsBxU38iK2:2017/11/12(日) 20:07:21 ID:YYGCgvPM
新終末編『219』

─────────────────
──音ノ木坂跡・逆さ講堂

AM7:25


トマノリ「あなたがマッキーね、お届けものは後ろのトラックに入ってるわ」

マッキー「ええ……というかあなたは誰?人では無いみたいだけど」

マッキー(トラックを引っ張ってきた赤い人型生命体、顔のない不気味なやつだけど……どこか親近感を感じる)


トマノリ「私は地獄トマトのジュースを素材にして生まれたメノノリ、名前はトマノリって言うらしいわ」

マッキー「地獄トマト……真姫が使ってたやつね、そこから元型因子が流れ込んで……なるほど、どおりで私に似てると思った」

トマノリ「?」


ウィーン

マッキー(そう私が1人で納得してるとトラックの荷台が開いてゴーストたちが降りてきた)


ゴースト「マッキー!」

梨子「到着しました!」

マッキー「待ってたわ、鞠莉から聞いてたとおりの面子ね」

梨子「桜内梨子です、あながマッキーさんですよね?これ鞠莉さんから預かってきたウイルスです」スッ

マッキー「ありがとう」


マッキー(梨子から試験管を受け取る、この中にある液体に鞠莉と金パカが作ったウイルスが入ってる)

512 ◆WsBxU38iK2:2017/11/12(日) 20:07:50 ID:YYGCgvPM
マッキー(このウイルスはアルパカウイルスを除去する効果を持ったウイルス、待ち望んでいたものだ)


ハグカナーン「あれ?ここにいるのって2人だけ?もっと人数いるはずたよね」

マッキー「他のやつらは諸々の理由で隔離してるの、感染するから手を出せなかったけど除去ウイルスが来れば話は別」

ポンッ

マッキー(試験管の蓋を取る、ウイルスの使い方は梨子たちを待ってる間に無線で聞いていたからね)

マッキー(このウイルスはまず誰かが飲んで感染源となる必要がある、そして感染源が話した『とあるワード』を見聞きした人に感染)

マッキー(感染した人が既に別のアルパカウイルスを持っていればそれを除去する)


マッキー(問題は誰が感染源になるかってことだけど……)

チラッ

マッキー(今いる面子だと>>513あたりが適任かしら?)

513名無しさん@転載は禁止:2017/11/12(日) 20:13:22 ID:IgeFvsS.
梨子

514 ◆WsBxU38iK2:2017/11/12(日) 20:50:51 ID:YYGCgvPM
マッキー(今いる面子だと梨子あたりが適任かしら)

マッキー(いざとなれば本人だけでなく生み出したメノノリを使って感染を広げることも出来るしね)


マッキー「よし、梨子ちょっとこっちに来なさい」クイクイ

梨子「は、はい――」

マッキー「そりゃっ!」グイッ

梨子「あむっ!むむむむっ!?」

マッキー(説明して了承を得るのが面倒なので油断した梨子の口に試験管を突っ込むことにした)


マッキー「はい暴れない、中の液体を全部飲み干してねー」

梨子「あむむっ!んんんんっ…………んっ」ゴクンッ!!

マッキー「はいよくでしました」

梨子「ぷはっ!何するんですか!!」


マッキー「大丈夫よ、体に害は無いから」

マッキー「除去ウイルスを飲んだあなたはウイルスの感染源――まぁ宿主みたいなものになったの」

マッキー「あなたの細胞から生まれた新たな認識災害ウイルス……そうね、アルパカウイルスと区別するためにメノノリウイルスとでも呼称しましょうか」

梨子「メノノリウイルス……?」

515 ◆WsBxU38iK2:2017/11/12(日) 20:51:07 ID:YYGCgvPM


マッキー「梨子を中心にネズミ算式にウイルスが感染していくわけね」

ゴースト「はぁ……また勝手に話を進めて……ごめんね梨子」

梨子「ああいえ、急に飲まされたから驚いだけで……わりと平気ですよ?」

ゴースト「そう?」

梨子「はい、私が皆の役に立つなら頑張りたいです」

マッキー「良い心がけだわ」


マッキー「では、早速ウイルスを移す練習を始めましょう、試しに私に感染させてみて」

梨子「感染させる方法は?」

マッキーメノノリウイルスの場合接触の必要はないわ、必要になるのはアルパカウイルス同様言葉」

梨子「言葉……」

マッキー「金パカの説明では何の言葉でも良さそうだったけど、なるべく普段の会話では使わない言葉、もしくは文章が良いと思う」


梨子「なるほど、じゃあ>>516

516名無しさん@転載は禁止:2017/11/12(日) 21:02:43 ID:KzlxXjQg
壁ドゥーーン!!

517 ◆WsBxU38iK2:2017/11/12(日) 21:45:24 ID:YYGCgvPM
梨子「じゃあ『壁ドゥーーン!!』……とかでいいのかな」

マッキー「おーけー、言葉にウイルスを乗せるイメージしてその言葉を発してみて?」

マッキー「力む必要は無いわ、冷静に相手が聞こえるように言うの」


梨子「ふぅ……行くわよ皆」

ゴースト「……」ゴクッ

デスワ「……い、いいですわ」


梨子「せーのっ」

ザッ

梨子「『壁ドゥーン!!』」

キーーーーンッ


マッキー「…………」

マッキー(梨子が発する言葉、周りにいるメンバーはそれを自然と黙って聞いていた)

マッキー(静寂に梨子の発した言葉の残響が広がる)

518 ◆WsBxU38iK2:2017/11/12(日) 21:45:38 ID:YYGCgvPM
マッキー(そして静寂が数十秒続いた後……ハグカナーンが口を開いた)



ハグカナーン「ええと……これだけ……?」ポカーン

梨子「それは私の台詞っ!」


ゴースト「確かに何も実感が無いわね、今ので私たちにもメノノリウイルスが感染したってことでしょ」

マッキー「そりゃ無いわよ、私たちはアルパカウイルスに感染してるわけじゃないし」

マッキー「ここにはウイルスの有無を判別する装置もないしね」

オッパイ「えぇー!それじゃ効いてるかどうか分からないよ!」


マッキー「そうね、本当に効果を確かめるのはこれから」

マッキー「幸か不幸か今の音ノ木坂跡には感染サンプルが複数ある、実際に試しに行きましょう」

マッキー「ヨハネ側から治せば戦力になるはず」

ゴースト「……なるほどね」


マッキー「まぁバルタン星人からの防衛もしなきゃいけないし、ここにも人数残していく必要はある」

マッキー「行くのは感染源の梨子とウイルスに詳しい私、それから後1人くらい……>>519で良いかな?」

519名無しさん@転載は禁止:2017/11/12(日) 22:06:31 ID:gFUVhZDc
デスワ

520 ◆WsBxU38iK2:2017/11/12(日) 22:50:35 ID:YYGCgvPM
マッキー「デスワで良いかな?」

デスワ「良いかなって……全く失礼な言い方ですわねぇ」

デスワ「ですが……確かに私はここに残っても出来ること無さそうですし、お呼びとあらば行きましょう」


ハグカナーン「じゃあこっちに残るのは私ハグカナーンと破廉恥姉妹、それからゴーストと……」

ぺぺペペーン「ぺぺペペーンよ」

ハグカナーン「変な名前だね」

ぺぺペペーン「あなたに言われたく無いわよっ!」


ゴースト「マッキーたちも気をつけて、何かあったらマッキーに憑けてる私の分霊で連絡するわ」

マッキー「いつの間に……呪われてるみたいで怖いわね……まぁなるはやで戻ってくるわ」

タタタッ


梨子「カナンさん!ここは頼んだわよ!」

デスワ「妹たちをよろしく!」

ハグカナーン「はいは〜い」


マッキー(梨子とデスワを連れて私は逆さ講堂の外へ向かう)

マッキー(目指すのはヨハネたちを隔離した場所……あの教室!)

521 ◆WsBxU38iK2:2017/11/12(日) 22:50:54 ID:YYGCgvPM





──音ノ木坂跡・教室前


タタタッ

マッキー「早く早く、こっちよ!」


デスワ「ま、待ってください……」フラフラ

梨子「デスワさん大丈夫?足元ふらついてるけど」

デスワ「すみません……ちょっと渡り廊下を超えた時に腰が抜けてしまって……」

梨子「あー、確かに逆さになった渡り廊下の屋根を渡るのは怖かったですよね」

梨子「足を踏み外したらお空に真っ逆さまですし」

デスワ「はい、高い所は少し苦手で……けれどもう大丈夫ですわ」キリッ


ザッ

マッキー「着いたわ、ここがヨハネたちを隔離していた教室よ」

梨子「ここの人はヨハネ由来の変質したアルパカウイルスに感染してるんですよね」

マッキー「ええ、メノノリウイルスが効くかどうかの実地テストには最適だわ!」

ガラッ!!


マッキー(勢いよく扉を開く、逆さまになった教室の中の様子は>>522)

522名無しさん@転載は禁止:2017/11/13(月) 00:01:47 ID:ZlaGDqaE
ネバネバ相撲をしていた

523名無しさん@転載は禁止:2017/11/13(月) 00:05:24 ID:I6lQpLSM
安価遅すぎたから明日に持ち越し?

524 ◆WsBxU38iK2:2017/11/13(月) 01:07:33 ID:xRiLsVlI
マッキー(教室の中は……ネバネバ相撲の真っ最中だった)


アニメ穂乃果「ネーバネバ!ネーバネバ!」パンッ! パンッ!

ダストボックス「ネーバネバ!ネーバネバ!」パンッ! パンッ!


英玲奈「はぁぁぁぁぁっ!」

ヨハネ「こいやぁあああああっ!」

バシィィィィンッ!!


マッキー(穂乃果とダストボックスが手拍子と声で囃し立て、中央に作られた土俵の上でヨハネと英玲奈が組み合っている)

マッキー(吸血鬼穂乃果は何故か簀巻にされて教室の隅に置かれていた)


マッキー(教室を出るまでと同じく全裸にボディペイント……なのだけど、ペイントされてるのは服じゃなくて相撲の廻し)

マッキー(加えて土俵とそこに立っている2人は全身ネバネバの液体に塗れていた)

マッキー(液体がローションに似たものなのか他のものなのかは見ただけでは分からない)


デスワ「なんなのですこれ!?」ビクッ!

梨子「うわぁ……」

マッキー「ウイルスの影響がここまで来ると……さすがの私も引いてしまうわね」

525 ◆WsBxU38iK2:2017/11/13(月) 01:07:49 ID:xRiLsVlI


アニメ穂乃果「あ、マッキーちゃんたちだー!一緒にネバネバ相撲やろうよー!」

ダストボックス「エキサイティングなスポーツだぞ!」

マッキー「嫌よっ!」

アニメ穂乃果「えーありえなーい」ブーブー

ダストボックス「感性のおかしいやつらだな」


デスワ「なんで私たちが悪いみたいに言われてるんです……?」

マッキー「そういう常識を書き換えるのがアルパカウイルスだからね」

マッキー「もし梨子のトマノリウイルスに感染してなかったら、私たちも今の手招きにホイホイついていって相撲をしてるでしょうね」

デスワ「おおぉ、考えたくないですわ……」


梨子「でも逆に考えれば私のウイルスの効果が出てるということですよね?」

マッキー「ええ、現在進行形でヨハネたちから感染させられてるアルパカウイルスを体の中のメノノリウイルスが除去し続けてるのよ」

梨子「よし……!」グッ


マッキー「じゃあ効果が証明されたところで教室に突入しましょう」

梨子「はいっ」

マッキー「あいつらの頭をさっさとマトモに戻すわよ!」


─────────────────

音ノ木坂跡・逆さ講堂〜教室

AM7:25〜AM7:30 新終末編『219』了

526 ◆WsBxU38iK2:2017/11/13(月) 01:09:04 ID:xRiLsVlI
というわけでここまで

ネバネバ相撲とは

新終末編『220』に続く
かもしれない

527 ◆WsBxU38iK2:2017/11/13(月) 20:17:41 ID:xRiLsVlI
新終末編『220』

─────────────────
──音ノ木坂跡・教室

AM7:30


梨子「壁――ドゥーーンッ!!」

キィーーーーンッ!

マッキー(突入するなり開口1番、梨子が感染トリガーを発動させる)


マッキー「梨子、相手が直接見える位置にいるなら、言葉通りの行動を見せつければ効果倍増よ!」

マッキー「こう壁に手を当てて壁ドゥーン!」

デスワ「そうでしたわ、私たち感染者も感染を広げられるんでしたわ壁ドゥーン!」

梨子「分かった、壁ドゥーーン!!」


ドンッ! ドンッ! ドンッ!

マッキー(教室の壁に3人並んで手を突く、これで効果はニ倍の三倍の六倍!たぶん!)


アニメ穂乃果「うぅ……なんだか変な気分……って!」ハッ!


アニメ穂乃果「私たち殆ど裸じゃん!?何してたのっ!?」

ダストボックス「くっ!敵の攻撃を食らっていたのか!?恥ずかしすぎる!」

英玲奈「体中に不快なネバネバの液体……正気では無かったな……」

528 ◆WsBxU38iK2:2017/11/13(月) 20:17:58 ID:xRiLsVlI
デスワ「3人は効いたみたいですわ!」

マッキー「ええ、問題はヨハネだけど……」


ヨハネ「ぐっ……これは……堕天使を蝕む聖なる言葉……やめさない!敵対者共よ!」バッ!

梨子「抵抗して苦しんでる……?でも私達のほうが正常なの!元に戻って!」 

梨子「壁ドゥーーン!!」


ヨハネ「ぬぅぅぅ……!」 

マッキー(梨子のトリガーワードにヨハネは何故か腕を顔前でクロスさせて呻き声を上げる)

マッキー(そしてヨハネは>>529)

529名無しさん@転載は禁止:2017/11/13(月) 20:22:11 ID:tox7EdBI
グランドクロス発動

530 ◆WsBxU38iK2:2017/11/13(月) 21:38:01 ID:xRiLsVlI
マッキー(そしてヨハネはクロスさせた両腕を発光させ、梨子に対して衝撃波を放つ)

ヨハネ「地に堕ちた黒き十字架!グランドクロス!」

ゴッ!!

梨子「……っ!?」


マッキー「梨子っ!」

マッキー(叫ぶけど間に合いそうにない、衝撃波は既に放たれ今にも梨子に到達しようとしている)

マッキー(このままじゃ梨子が4つに切り分けられ――)


ジュッ! 

マッキー(……ることはなかった)

マッキー(十字の衝撃波が梨子を切り裂く寸前、ヨハネの背後から撃たれたレーザービームが衝撃波を消し飛ばしたのだ)

ボンッ!!

梨子「きゃぁぁっ!……うっ」フラッ

マッキー「梨子!」ガシッ

マッキー(目の前の空気が爆発し、衝撃で意識の飛んだ梨子が背中から床へ倒れてしまった、けど梨子自体に大きな傷はない)

マッキー(タイムラグのおかげで私も間に合って頭は打ってないし、あのまま切り裂かれるよりは全然マシね)

531 ◆WsBxU38iK2:2017/11/13(月) 21:38:16 ID:xRiLsVlI


デスワ「今のは……」

マッキー「ダストボックスのレーザービーム……でしょ?」

ダストボックス「ああ、間に合って何よりだ」

シュゥゥゥッ

マッキー(窓際に立っていたダストボックスの片膝から煙が上がっている)

マッキー(失った片足の代わりに鞠莉が換装したレーザー付き義足、こんなところで役に立つとは……)


英玲奈「本当に助かった、私たちの異能は発動までに僅かな時間がかかるからな」

英玲奈「速射性だけを考えるなら単純なレーザーというのはありがたい」

ダストボックス「まだ終わったわけじゃない、マッキー!どうすればいい!」


マッキー「ヨハネの抵抗を抑えつけつつウイルス除去を進めるわ!梨子は気絶してるけど私たちでも同じことができる」

マッキー「ダストボックスはダストシューズでヨハネを踏みつけて、英玲奈も何か異能を封じる創作物を出して!他の皆は念仏を唱えるように壁ドゥーンを繰り返す!」

英玲奈「分かった!」


ダストボックス「ほら大人しくしろ!」ゲシッ

英玲奈「よくも私たちを辱めくれたものだ……」キィィィンッ

ヨハネ「あ……あなたたちも神の手先になったのかぁぁ!堕天使に反旗を翻すというのぉぉ!?」

アニメ穂乃果・デスワ「壁ドゥーン!壁ドゥーン!」

ヨハネ「ぐぁあああああああああっ!!」

532 ◆WsBxU38iK2:2017/11/13(月) 21:38:42 ID:xRiLsVlI
マッキー(ヨハネは狐払いや悪魔払いをされてるかの如く苦しむ、やはり究極生物の体がメノノリウイルスに抵抗してるのかしら……)

マッキー(しかし、ネバネバの廻し姿の女の子たちが同じ廻し姿の相手を取り押さえて呪文唱えてるのは中々シュールだわ)


ヨハネ「グランドクロス!グランドクロス!」

バシュッ! バシュッ!

デスワ「うわ危ないですわっ!」

ダストボックス「こいつ……ダストシューズで踏んでるのに四方八方に衝撃波を放ちやがる……」

英玲奈「だが威力や精度は落ちてるぞ、効いてないわけではない、封印の上からゴリ押ししてるだけだ」

ダストボックス「ちっ、これが究極生物ってやつか」

アニメ穂乃果「私がヨハネちゃんの体のエネルギー状態を魔眼で視て、グランドクロス打ちそうになったら先読みで教えるよ!」

ダストボックス「頼む!」






マッキー(こうしてヨハネを取り押さえながら格闘すること>>533分、なんとかヨハネを無力化することに成功した)

533名無しさん@転載は禁止:2017/11/13(月) 21:39:19 ID:k5KDY4j6
3

534 ◆WsBxU38iK2:2017/11/13(月) 22:09:25 ID:xRiLsVlI




マッキー(ものの3分ほどでヨハネを無力化することに成功した)



ヨハネ「ふむ……我、正気に戻りたりけり」キリッ

マッキー「たりけり、じゃないわよ!どんだけ苦労させれば気が済むのかしら」

ヨハネ「堕天使的謝罪」ビシッ

マッキー「格好良くポーズを取ってもダメ」

ヨハネ「ううぅ……ごめんなさいっ!」


デスワ「まぁまぁ、ドアラランドで本気を出していた堕天使を考えれば、この程度で済んで良かったですわよ」

マッキー「そうだけど……こいつに手間取ってたら、寿限無たちの救出も遅れることになるのよ」

マッキー「ラッキーなことに短時間で済んだけれど、あっちはウイルスを散布できる博士アルパカを閉じ込めた状態」

マッキー「時間がかかればかかるほど中の状態は悪くなり続ける」

デスワ「そう……ですわね、皆の体を吹き終わったら急いで向かいましょう」

マッキー「ええっ」コクンッ



マッキー(精神状態が元に戻った穂乃果達は手持ちにあったウェットティッシュで体を拭いていた)

マッキー(背中などの届かない部分はデスワが拭いたりお互いに拭いたりしている)

535 ◆WsBxU38iK2:2017/11/13(月) 22:09:42 ID:xRiLsVlI
ゴシゴシッ ゴシゴシッ

ダストボックス「全くだ、こいつが変位させたウイルスのせいでとんでもない目にあった」フキフキ

ヨハネ「全裸にボディペイントでネバネバ相撲させてごめんなさいっ!」ブンッ!

アニメ穂乃果「というか……このネバネバの液体?なんなんだろ……?」


マッキー「あんまり液体を嗅いだりしないほう良いわよ、ウイルス由来のものなんてロクなものじゃない」

アニメ穂乃果「それは……そうだね」

ダストボックス「言われなくても分かってる」


マッキー「思い返せば寿限無が接触した博士アルパカの体や、体に触れていた帰還の石もヌルヌルだったし」

マッキー「なんかヌルヌルやネバネバの液体を出すお約束でもあるのかしら……」

英玲奈「博士もそうだったのか?」

マッキー「ええ、あっちはおそらく希の母乳を求めた結果生み出した疑似液体だろうけど」

マッキー「寿限無の様子を聞くに、あの液体に触れて母乳と認識することが博士と同族になるトリガーね」

536 ◆WsBxU38iK2:2017/11/13(月) 22:10:13 ID:xRiLsVlI


マッキー「まぁこのネバネバ液体は一部サンプルとして採取しておいて、後で調べることに――」

ザザザザザッ!

貞子『マッキー……!ここにいたのね』

マッキー「貞子?見張りとしてムフフ部屋の前に残してきたはずだけど、急いで来るなんて向こうで何かあったの?」


貞子『ええ……実は>>537

537名無しさん@転載は禁止:2017/11/13(月) 22:28:28 ID:pkyNPsJQ
寿限無が全裸で脱走した

538 ◆WsBxU38iK2:2017/11/13(月) 22:59:16 ID:xRiLsVlI
貞子『寿限無が全裸で脱走したのよ!』

マッキー「脱走!?」


英玲奈「単に理性が戻って博士の影響化から抜け出した……わけではないだろうな」

貞子『全裸でムフフ部屋から出てきた寿限無は私の声も聞こえないみたいだったわ』

貞子『全身ヌルヌルの液体に塗れて半狂乱に叫び声を上げていて、壁を破って外に飛び出していってしまった』


アニメ穂乃果「外!?外って今は天地逆転してるんでしょ!?」

貞子『あの状態の寿限無には分からないでしょうね……』

マッキー「まぁ……あいつの身体能力を考えれば間抜けにお空に真っ逆さま落ちたなんてことは無いと思うけど」

マッキー「早めに回収したほうが吉なのに変わりはない」


マッキー「穂乃果、魔眼で寿限無の位置と、それからバルタン星人の動向を確認してくれる?」

アニメ穂乃果「バルタン星人って?」

マッキー「何故か襲ってきた宇宙人よ、講堂の辺りにUFOみたいな円盤が数機あるはず」

アニメ穂乃果「おっけー」カッ!

キュィィィィィィンッ!!


アニメ穂乃果「寿限無ちゃんはまだ見つからないけど……円盤はあったよ、様子は>>539

539名無しさん@転載は禁止:2017/11/13(月) 23:26:27 ID:k5KDY4j6
合体して門の外に出て行っちゃた

540 ◆WsBxU38iK2:2017/11/14(火) 00:04:53 ID:RN36PXMg
アニメ穂乃果「円盤は……合体して門の外に出て行っちゃったみたい」

マッキー「ほんと?」

アニメ穂乃果「うん、もう講堂の上や音ノ木坂跡……というか黄泉の領域に円盤の姿は無いよ」


デスワ「残ってたハグカナーンたちが何かしたのでしょうか、合体という所が気になりますわね」

マッキー「円盤艦隊の8割を破壊された上に援軍がやってきて形勢が不利と判断したのか……ともかく帰ってくれたのなら問題は1つ解決」

スタッ


マッキー(ネバネバ相撲の後片付けも終わり、穂乃果たちも服を着直した)

マッキー(私は横にして休ませていた梨子に話しかける)

マッキー「梨子、そろそろ大丈夫?」

梨子「ええ……頭はまだ少しクラクラするけど平気よ……話は聞いてたわ、行きましょう」ググッ


マッキー「あまり無理はしないでね、あなたは大事な感染源なんだから」

梨子「感染源……うん……」


マッキー「…………」

541 ◆WsBxU38iK2:2017/11/14(火) 00:07:59 ID:RN36PXMg


マッキー(梨子のどこか悲しげな顔は、一瞬だけ私に普通に心配されたと思い……それを心の中で否定したからでしょうね)



マッキー(ええ、それで正解よ梨子)


マッキー(私が梨子を大切に扱ってるのは大事なサンプルだから)

マッキー(梨子以外だってそう、穂乃果の目も英玲奈の能力もダストボックスの戦闘力も、有用だから大事にしてるだけ)

マッキー(ムカつく新魔王軍を、フードマンに人泡吹かせるのに有用だから利用してるだけ)

マッキー(それ以外に理由はない……あるはずがない、なのに……)



マッキー(真姫と一緒に試練を乗り越えて城に来てから、こいつらと行動を共にしてから、どこか普通の仲間に感じてしまう私がいる)

マッキー(穂乃果たちを早く助けないとと思ってしまった、梨子が衝撃波に晒された時に本気で不安になってしまった)

マッキー(まるであのお人好し……真姫みたいに振る舞っている時がある)


ググッ

542 ◆WsBxU38iK2:2017/11/14(火) 00:08:24 ID:RN36PXMg


マッキー(有り得ない、私は私……あいつとは違う……)


マッキー(そうよね……プライド……)

グッ



アニメ穂乃果「マッキー?」

マッキー「……っ、と、ともかく準備が出来たなら貞子の案内でムフフ部屋に戻るわよ」

マッキー「穂乃果も移動しながら引き続き寿限無の捜索」

アニメ穂乃果「うんっ!」


マッキー「じゃ……行きましょう」

タンッ


─────────────────

音ノ木坂跡・教室

AM7:30〜AM7:38 新終末編『220』了

543 ◆WsBxU38iK2:2017/11/14(火) 00:10:33 ID:RN36PXMg
というわけでここまで

再びムフフ部屋へ

新終末編『221』に続く

544!ken:99:2017/11/14(火) 19:10:45 ID:728MS3vQ
をつ

ネタバレになってたらというか、話の流れに全く関係なくて申し訳ないんだけど、もし穂圏に穂乃果の元型がいたとしたら名前は穂乃果穂乃果になるの?

545 ◆WsBxU38iK2:2017/11/14(火) 20:37:27 ID:6NwjHruc
そうですね、法則から考えるとほのか穂乃果になると思います
と言っても穂圏関連はあんまり固めてない曖昧な部分なので、その時の思い付きと安価次第で変わることはままあるかと


では本編へ

546 ◆WsBxU38iK2:2017/11/14(火) 20:38:32 ID:6NwjHruc
新終末編『221』

─────────────────
──音ノ木坂跡・ムフフ部屋前

AM7:40


マッキー(教室を出た私たちはムフフ部屋の前まで到着、部屋の中へ突入する準備を進めていた)

マッキー「みんな、用意はいい?」

ダストボックス「ああ」コクンッ

英玲奈「いつでも行けるぞ」


マッキー(扉が開く側の壁にダストボックスと英玲奈が張り付き、扉の前でヨハネがドアノブを握る、その後ろに梨子)

マッキー(私とデスワ、それから教室から忘れず回収してきた吸血鬼穂乃果が扉から少し離れた場所で待機する)

マッキー(穂乃果は更に後ろで全域を魔眼で監視中)


吸血鬼穂乃果「おい人間……私もいけるから前に出しなさい……」

マッキー「病み上がりはダメ、賢者の石の副作用が残ってるかもしれないし」

マッキー「今のフォーメーションで充分対応できるわ」


マッキー(扉を開ける担当は何が起こっても耐えられるであろうヨハネ、そしてヨハネが開けた瞬間に感染力の強い感染源である梨子がトリガーワードを放つ)

マッキー(もし不測の事態が起きたらヨハネがそのまま梨子の盾になって、横に待機していたダストボックスと英玲奈で処理する算段)

マッキー(ダストボックスはいつでもレーザービームを撃てる耐性にいて、英玲奈にも>>547を召喚してもらっている)

547名無しさん@転載は禁止:2017/11/14(火) 20:40:40 ID:nnvNlniQ
安心院さん

548 ◆WsBxU38iK2:2017/11/14(火) 21:30:57 ID:6NwjHruc
マッキー(英玲奈にも安心院さんを召喚してもらっている)

安心院「うむ、これで安心安心」


ダストボックス「英玲奈、本当に大丈夫なのか……?」

英玲奈「というと?」

ダストボックス「お前に聞いた話やデンライナーでの体験から考えるに、確かにそいつのスペックは頼るに値する」

ダストボックス「だがそいつを長く召喚しているとお前の力が尽きてしまうんだろう?私の同僚と戦った時もそうなったと言っていた」

英玲奈「心配してくれているのか?」

ダストボックス「バカか、同じポジション担当に途中で倒れられたら迷惑この上ないだけさ」


英玲奈「まぁ……ギリギリ踏ん張って気絶はしないつもりだよ」

英玲奈「それに博士アルパカの件を片付ければ音ノ木坂跡の事後処理は終わりだ」

英玲奈「最後なのなら私が持てる全力を出すべきだと思わないか?」

ダストボックス「そうだな、終わってから倒れられる分には何の問題もない」

549 ◆WsBxU38iK2:2017/11/14(火) 21:31:49 ID:6NwjHruc


マッキー「穂乃果!部屋の中の様子はやっぱり見えない?」

アニメ穂乃果「……ダメだねー、魔眼を使ってもムフフ部屋の壁を透過して見ることは出来ないよ」

マッキー「そっか、仕方ないわね、引き続き寿限無を捜索しててちょうだい」

アニメ穂乃果「うんっ」


マッキー(出来るなら事前に室内の様子を見ておきたかったけど、穂乃果の魔眼でも中が見えないか)

マッキー(魔眼でダメとなると科学的に放射線や電磁波を使っても観測は出来ないでしょうね)

マッキー(特殊な建材で造られた老朽化しない、外部から見ることもできない、明らかに異常な部屋)

マッキー(黄泉の門や天地逆転装置と同じ匂いがするわ……)

550 ◆WsBxU38iK2:2017/11/14(火) 21:32:08 ID:6NwjHruc


梨子「じゃあそろそろ行くわよ、よっちゃんお願い!」

ヨハネ「ヨーハーネー!」

ヨハネ「……ったく、盾にされてる感バリバリで癪ねぇ、さっさと開けて終わらせるわよ!」

バンッ!!


マッキー(先頭のヨハネが勢い良く扉を開く)

マッキー(開け放たれた扉の向こうからは蒸せかえるような甘ったるい匂い、そして床にはヌルヌルした液体が染み出してくる)

ジワァァァッ

マッキー(そして中にいた博士アルパカは>>551)

551名無しさん@転載は禁止:2017/11/14(火) 21:33:39 ID:IzV1MOy2
ムフフ部屋の酷さに嘔吐していた

552 ◆WsBxU38iK2:2017/11/14(火) 22:32:57 ID:6NwjHruc
マッキー(そして中にいた博士アルパカは……ムフフ部屋の中で嘔吐していた)


博士アルパカ「おげぇぇぇぇっ!うううっ……げぇぇぇぇっ!」

ビチャビチャッ! ゲロロロロロッ!!


博士アルパカ「はぁ……ぐっ……おえっ……はぁ……」

博士アルパカ「気持ち悪い……気持ち良い……気持ち悪い……気持ち良い……」ジュルッ 

博士アルパカ「ぐっ!げぇえええええええっ!!」

ビシャァァァァッ!!


ヨハネ「何よ……これ……」

マッキー(ムフフ部屋の中は大惨事も大惨事、とても直視には向かない光景だった)

マッキー(床には足のふくらはぎ辺りまで白濁した疑似母乳が水溜りのように溜まっている)

マッキー(そこから疑似母乳が気化し充満したものが、この腐った果実に似た甘い匂いの正体でしょう)


マッキー(密室で熟成された濃厚な匂いは、外から軽く嗅いだだけでも吐き気を催すほど不快)

マッキー(当然中にいる博士アルパカは耐えきれず嘔吐を繰り返し、吐瀉物が辺りに辺りに撒き散らされていた)

553 ◆WsBxU38iK2:2017/11/14(火) 22:33:32 ID:6NwjHruc


マッキー(けれど……異常性はそれだけじゃない)

マッキー(博士アルパカは匂いに苦しむのと同時に、快感に身を震わせて床に溜まった汁を吸い上げてる)

マッキー(体を汁に擦り付けながら貪るように汁を飲み込んだ後、激しく痙攣してまたそれを吐き出す)

マッキー(その繰り返しが部屋の中で続いている……)


梨子「うっ……!」

ダストボックス「正気じゃないな、アレもウイルスのせいなのか?」

マッキー「ええ、ウイルスで自分に刷り込んだ異常な常識と、生理的な拒否反応を示す体が反発した結果でしょうね」

マッキー「もっともっと母乳が欲しいと母乳を生み出し摂取したい気持ちと、これ以上摂取したくないという気持ち」

マッキー「あんな状態が続いたら普通の精神でいられるわけがない!」


アニメ穂乃果「もしかして寿限無ちゃんも同じ感じに耐えられなくなって脱走したのかな……」

マッキー「だとしたら危険ね、さっさと博士を片付けて寿限無のほうにも向かいましょう」

マッキー「梨子は壁ドゥーン、今の状態だと無力化班は要らないからダストボックスたちは待機」


梨子「うん!壁ドゥーーン!!」

キィーーーーンッ!


マッキー「安心院さん、中を掃除するようなスキルはある?」

安心院「掃除……そうだね、だったら>>554

554名無しさん@転載は禁止:2017/11/14(火) 22:58:56 ID:GYPX3ht.
ブック・オブ・ジ・エンドで汚した事実を改変しよう

555 ◆WsBxU38iK2:2017/11/15(水) 00:10:31 ID:33gd6nNM
安心院「だったらこの刀を使うと良い」ポンッ!

マッキー「それは?」

安心院「『ブック・オブ・ジ・エンド』というスキルを具現化した刀だよ」

安心院「この刀で対象を斬りつけると、それが人であれ物であれ記憶を改変して事実を捻じ曲げる」

安心院「本の途中に違うページを挟むように、全く違う過去を挟み込むことが出来るんだ」


安心院「例えばこれを持った英玲奈がマッキーを切って、友達だったという過去を挟めばマッキーそれを信じるし」

安心院「『ズラー陣地の地下で生首にされる寸前に助けられた』という過去を挟めば肉体は生身に変化するだろうね」

マッキー「……!」


安心院「部屋を掃除したいなら『博士アルパカは疑似母乳を体から垂れ流す前に中毒で気絶した』なんて過去を挟めばいい」

マッキー「過去改変できる能力ってわけ?とんだチートね……」

安心院「僕の存在が既にチートみたいな存在だけどね、まぁチートにチートを重ねるわけだから英玲奈の負担は大きい」

安心院「1回改変したらガス欠は確定だろう」


英玲奈「問題ない、1回分保つなら充分さ」グッ


梨子「壁ドゥーン!壁ドゥーン!」

梨子「……よし、充分メノノリウイルスは感染させられたと思うわ!」


博士アルパカ「うぐっ……うぐっ……げぇぇぇっ!!」

556 ◆WsBxU38iK2:2017/11/15(水) 00:11:20 ID:33gd6nNM
マッキー「これで博士アルパカが正気に戻ったわね、後は中毒を引き起こしてる周りの母乳溜まりを片付けるだけ」

ダストボックス「私がレーザービームで母乳を焼いて一瞬だけ道を作る!その隙に行け英玲奈!」

英玲奈「了解っ!」


カチツ

ダストボックス「はっ!」

ビィーーーーーーッ! ジュッ!!!!

マッキー(ダストボックスの膝から放たれた一筋のレーザーが母乳溜まりを直線上に蒸発させた)

マッキー(それにより部屋の入り口から博士アルパカまで、片足が置ける程度にではあるが細長いセーフゾーンが出来上がる)


マッキー(数秒後には再び母乳で埋まってしまう道、その道を英玲奈が駆け抜け――)

タタタッ!

英玲奈「たぁっ!!」

マッキー(ブックオブジエンドで博士アルパカの体を斬る!)

ザンッ!!



デスワ「ど、どうなったのですわ!?」


マッキー「成功……………」


シュゥゥゥゥゥゥッ

557 ◆WsBxU38iK2:2017/11/15(水) 00:11:53 ID:33gd6nNM
マッキー「……した!」

パシュンッ!

アニメ穂乃果「おおっ!」


英玲奈「ふぅ……」

マッキー(英玲奈が博士アルパカにブックオブジエンドを挿入した次の瞬間、部屋に溜まっていた汚物混じりの母乳は姿を消し、博士もまた安らかな顔でその場に倒れた)

マッキー(過去が改変されたことにより、部屋の中で起きた惨事が最低限の所で止められたんだわ)


英玲奈「くっ……後は……頼むぞ……」フラッ

バタンッ!

ダストボックス「お、おいっ!」タタッ


マッキー(能力でエネルギーを使い果たした英玲奈が博士アルパカの横に倒れる)

マッキー(ともかくこれで博士アルパカは終わり、一件落着――)


アニメ穂乃果「――いた!」

マッキー「えっ?」

アニメ穂乃果「寿限無ちゃんだよ!やっと見つけた!」キィィィンッ!

マッキー「ほんと!?場所は?」


アニメ穂乃果「場所は音ノ木坂跡の端……ん?」

マッキー(魔眼を発動させたままの穂乃果が怪訝な顔する)

マッキー「どうしたの?」


アニメ穂乃果「でも待って、これは――――」


─────────────────

音ノ木坂跡・ムフフ部屋前

AM7:40〜AM7:43 新終末編『221』了

558 ◆WsBxU38iK2:2017/11/15(水) 00:12:35 ID:33gd6nNM
というわけでここまで

寿限無はどうしたのか

新終末編『222』に続く
かもしれない

559 ◆WsBxU38iK2:2017/11/15(水) 20:06:54 ID:33gd6nNM
新終末編『222』

─────────────────
──音ノ木坂跡・廊下

AM7:43


アニメ穂乃果「これは――――」

マッキー「だからどうしたのよ?」


アニメ穂乃果「寿限無ちゃん、誰かに捕まってる……」

マッキー「なっ!?」

デスワ「詳しくお願いしますわ」

アニメ穂乃果「音ノ木坂跡の敷地の端、そこの空中に空飛ぶ船……飛空艇って言うのかな、そんな大きな船が停まってるの」

アニメ穂乃果「さっきまで見えなかったから突然ワープしてきたのかな……」

デスワ「バルタン星人が戻ってきたとか?」

アニメ穂乃果「ううん、バルタン星人の円盤とは別だよ、側面にでっかい星マークが書いてあって……私は詳しくないけどカッコいい戦艦みたいな形してる」


マッキー「星マーク?まさか……?」


アニメ穂乃果「その飛空艇の甲板で裸の寿限無ちゃんが女の人に足を掴まれて逆さまになってるよ」

吸血鬼穂乃果「女?アルパカや宇宙人ではないのか」

アニメ穂乃果「うん、大人の女の人、赤い髪でどこかマッキーに似た雰囲気の人かな」

マッキー「……!」

アニメ穂乃果「格好は>>560

560名無しさん@転載は禁止:2017/11/15(水) 20:09:50 ID:rVx5NcfU
全裸にハイソックス

561 ◆WsBxU38iK2:2017/11/15(水) 21:26:21 ID:33gd6nNM
アニメ穂乃果「格好は全裸にハイソックス、こっちも中々の変態な気がする……」

梨子「ただの全裸より3倍くらい変態よ」

デスワ「そんな変質者に捕まったとなると寿限無とやらの身が心配ですわね」


アニメ穂乃果「……待って、全裸ハイの痴女さんが甲板から校舎の方を向いて何か言ってる、魔眼で読唇してみるね」

アニメ穂乃果「えっと……『ま』……『き』……『ちゃ』……『ん』」

マッキー「……っ!」


アニメ穂乃果「『まきちゃん、そこにいるんでしょう』『わたしもいくから、こうどうであいましょうね』」

アニメ穂乃果「……って言ってるけど」


マッキー「ああもう!なんでここでアイツが来るのかしら!!」ドンッ!

アニメ穂乃果「マッキー?」

マッキー「指定通り講堂に戻るわ、穂乃果だけ付いてきて、他の皆は英玲奈と博士を介抱しつつゆっくり来て良いから」

デスワ「き、危険では?」

マッキー「大丈夫、アイツは私に危害を加えないだろうし、会いにさえ行けば寿限無はすんなり返して貰えると思うわ」スタスタ

アニメ穂乃果「わっ!待ってよマッキー!」タタッ


マッキー(早足で歩き出す私の後を慌てて穂乃果が走ってくる)


アニメ穂乃果「ねぇ……もしかして、私が見た人はマッキーと知り合いなの?」

マッキー「ええ、知り合いと言って間違いじゃないわ」


マッキー「アイツは……私の母親だったやつだもの――――」

562 ◆WsBxU38iK2:2017/11/15(水) 21:26:43 ID:33gd6nNM





──スターニシキ航空艦・甲板上


パタンッ

オカン「おや?クローバーはん、ぼーっとして何してるんです」


クローバー(甲板へ出る扉から出てきた和服の女――オカンは私に飄々とした口調で話しかけてくる)

クローバー(わざわざ聞かなくても分かってるでしょうに……) 


クローバー「ここら一帯を裸で跳ね回っていた女の子が偶然乗り込んできちゃったから捕まえてたのよ」

クローバー「軽い精神錯乱状態だったから薬を打って安静にしてもらってるわ」

クローバー(私は足を掴んで逆さ吊りにしていた裸の子をオカンに見せつける)


オカン「ほぉ〜、ていうか裸って言ったらあんたも裸やけどな……」

クローバー「それと……どうも誰かに遠隔で見られてる気がしたから、あの娘向けのメッセージを送っておいた」

クローバー「眼の持ち主があの娘と繋がっているなら、ちゃんと講堂に来てくれるはず」


オカン「見られてる?周囲には何もないけど感知系のアーティファクトでも持ってんか?」

クローバー「そんなもの持ってないわよ、裸でいるから見られてると体のあちこちがゾクゾク感じて分かるの」フフッ

クローバー「敵を警戒したいなら装備を身に纏うより裸でいるべきよ」

オカン「やっぱり変態やな」ウンウン

563 ◆WsBxU38iK2:2017/11/15(水) 21:27:11 ID:33gd6nNM


クローバー「というわけで私のほうは順調、このまま航空艦を予定通り音ノ木坂跡に向けて進める」

クローバー「あなたのほうはどうなのよ?あの宇宙人たちと交渉してたんでしょ」

クローバー「そして何かしら結果が出たから宇宙人たちは帰った、違う?」

オカン「……ま、正解や」


オカン「この航空艦がステルス状態で待機してる間、うちはバルタン星人の皆さんと通信してた」

オカン「うちらが向こうの移住先を用意する代わりに向こうから利益となるものを得る」

オカン「色々提示された条件はあったけど……うちが1番めぼしいと思った提案、こちら側にとってのメリットというやつやな」

オカン「そいつは>>564

564名無しさん@転載は禁止:2017/11/15(水) 21:56:08 ID:hW7bOKI6
科学力の提供

565 ◆WsBxU38iK2:2017/11/15(水) 22:36:49 ID:33gd6nNM
オカン「そいつはずばり科学力の提供、宇宙忍者さんたちは地球産のものを上回る科学力を持っておる」

オカン「それを研究すれば新たな商品がぎょうさん出来て儲けになること間違いなしですわぁ」

クローバー「あなたにしてはマトモな交渉ね……でも用心はしておいたほうがいいわ」


クローバー「バルタン星人は人に似た言葉を話すから一見コミュニケーションが出来るように見える」

クローバー「ただ星が違えば価値観も違う、やつらは地球人の命なんてミジンコ程度に思ってるかもしれない」

クローバー「ミジンコとした約束なんて、どこまで守られるものか分かったもんじゃないでしょう?」

オカン「そこらへんも把握済みやって……うちだって伊達に変なお客様方と取引してへんわ」


オカン「やつらがこっちの用意した領域から勝手に出ないように周到な準備はするし」 

オカン「勿論やつらのお家作る時はアンタに発注させてもらうで、クローバーさん」

クローバー「檻の間違いじゃなくて……?」

オカン「嫌やわぁ、お家やお家」ポンポンッ

566 ◆WsBxU38iK2:2017/11/15(水) 22:37:12 ID:33gd6nNM


クローバー(オカンはわざとらしい笑顔で私の肩を叩く)

クローバー(まぁ私もお金を貰えるなら協力するのはやぶさかじゃない)

クローバー(でも今は……音ノ木坂の問題を片付けるのが先、そのためにわざわざ『あの人』から航空艦を借りてきたんだし)


クローバー「全く……私が作ったものを勝手に利用するなんて、新魔王軍とやらもおいたが過ぎる」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ

クローバー(航空艦はエンジンの音を響かせながらゆっくりと音ノ木坂跡の敷地内、講堂の所へ進む……)


クローバー(さ、久々に娘との再会)

クローバー(今回はお土産に>>567を持ってきたけど、あの子は喜んでくれるかしら)

567名無しさん@転載は禁止:2017/11/15(水) 22:50:18 ID:UHwGCVQE
BLTバーガー(トマト抜き)

568 ◆WsBxU38iK2:2017/11/16(木) 00:26:04 ID:OcS61cMg
クローバー(BLTバーガー(トマト抜き)を持ってきたけど喜んでくれるかしら)

クローバー(喜んでくれると良いわねぇ)フフッ







──講堂



マッキー「……で、何しに来たのよ」

クローバー「真姫ちゃんに会いに来たの、はいこれお土産のBLTサンド」スッ


マッキー「どうでもいいいから服着て恥ずかしい!あとマッキーだから!それにこのサンドトマト入ってないってどういうこと!?」

クローバー「あれ?トマト嫌いじゃなかった?」テヘッ

マッキー「むしろ好きよ!分かってやってるでしょ!そういうとこ嫌い!」

ギャーッ! ギャーッ!


ゴースト「うーむ……」

アニメ穂乃果「なんだろこれ……親子喧嘩?」


ゴースト(逆さ講堂から円盤が去って数分後、マッキーが戻ってきたのと謎の航空艦が講堂に横付けしてきたのはほぼ同タイミングだった)

ゴースト(船からは寿限無を抱えた裸ハイソックスの痴女が降りてきて、すぐさまマッキーが飛びかかるように走っていた)

ゴースト(……で、顔を合わすなり口論が始まってるわけだ)


ゴースト(会話を聞くに相手はマッキーのお母さんらしく、その裸を見てる私たちは何とも言えない気分になる)

ゴースト(一応喧嘩しながらマッキーが自分の白衣を着せて大事な部分は隠れたけど……裸白衣ハイソックスで変態度はアップした気がするわ)

569 ◆WsBxU38iK2:2017/11/16(木) 00:26:18 ID:OcS61cMg


ハグカナーン「私たちの知らない事情がありそうだね、あの人の相手はマッキーに任せてたほうが良さそう」

ゴースト「ええ、でも……あんな子供っぽいマッキーを見たのは初めてだわ」

ゴースト「嫌ってるようでもやっぱり親の前だと子供になるのね」


ハグカナーン「まぁ大体そんなもんじゃない?人の子ならさ」

ゴースト「グリードに造られた私には親がいないから、あんまり分かんないのよね」

ハグカナーン「ふむ……悪いこと聞いちゃった?」

ゴースト「別に、気にしなくていいわ」



クローバー「見てみてマッキーちゃん!回転すると白衣の隙間からチラチラ見えてセクシーじゃない?」クルッ クルッ

マッキー「それは見えちゃいけないものだって歳考えなさいっ!」バッ!

クローバー「えー?」


マッキー「えーじゃないって……だーもう!さっさとここに来た本当の理由を話しなさい!」

クローバー「はぁ……遊び心がない娘ねぇ、分かったわ……」



クローバー「本題に入りましょう」

スゥー

ゴースト(マッキーのお母さんの雰囲気が一瞬で変わる、柔和の笑みはそのままに母の顔から別の顔へ……)


クローバー「私がここに来たわけ、それは――」


─────────────────

音ノ木坂跡・廊下〜 逆さ講堂
スターニシキノ航空艦〜

AM7:43〜AM7:48 新終末編『222』了

570 ◆WsBxU38iK2:2017/11/16(木) 00:27:04 ID:OcS61cMg
というわけでここまで

お母さんズとの合流

新終末編『223』に続く
かもしれない

571!ken:99:2017/11/16(木) 08:11:28 ID:SwUpWics
をつ

572 ◆WsBxU38iK2:2017/11/16(木) 20:20:22 ID:OcS61cMg
新終末編『223』

─────────────────
──音ノ木坂跡・逆さ講堂

AM7:48


クローバー「私がここに来たわけ、それは私に縁のあるこの音ノ木坂学院で、部外者が好き勝手してるのを知ったからよ」

クローバー「しかも私の作品を無断使用してね……」


マッキー「縁のある?あなたと……?」

クローバー「そうよ、ここは私の母校だもの」

マッキー「なっ……!」

クローバー「も〜、そんなに驚かなくてもいいじゃない、私だって学校に通っていた時期があるのよ?」


クローバー「素敵な学校だったわ、卒業した後もOGとして積極的に活動には参加してたし」

クローバー「まぁ『あの人』と出会ってからは裏の仕事が増えて、あまり学校には関われなくなったけど」

クローバー「あなたを産んで子育てしてたというのもあったしね」

マッキー「はっ……子育てねぇ……」


ゴースト(そのワードを聞いたマッキーの声が少しだけ低くなる、やっぱり幼少期の体験が確執を作ってるのかしら)

ゴースト(こればっかりは他人が割って入る話ではないけど、気になるっちゃ気になるわね)

573 ◆WsBxU38iK2:2017/11/16(木) 20:20:46 ID:OcS61cMg


クローバー「でも自分の仕事が落ち着いて、南が理事長になってからはまた関わるようになったわ」

ゴースト(南……理事長さんのことか)

クローバー「南の依頼で学校の改修をしたり、周囲の土地の形を変化させたり、黄泉の門を建設し始めたのもその頃だったかしら」

クローバー「久しぶりに見てもここは良い学校で、将来はあなたを入学させてあげたいと考えていた」

マッキー「……勝手な話ね」


マッキー「私たち、この廃墟の中で理事長のムフフ部屋って部屋を見つけたんだけど、あれを作ったのもあなたでしょ?」

クローバー「ほぉ……懐かしいわね、そうよ、あれも私が作った作品」

クローバー「南から>>574って頼まれて作ったの」

574名無しさん@転載は禁止:2017/11/16(木) 20:27:35 ID:cCMWGsdw
アブナイ花園する為

575名無しさん@転載は禁止:2017/11/16(木) 20:28:01 ID:5gPYCQhk
性癖を解き放てる

576 ◆WsBxU38iK2:2017/11/16(木) 21:33:24 ID:OcS61cMg
クローバー「アブナイ花園するためって頼まれて作ったのよ」

クローバー「完全防音で外部からの干渉を一切受け付けない、秘密にしたいことをするにはもってこいの部屋ね」

マッキー「学校で秘密のことする必要があるわけ……?しかも生徒の絵らしき抱きまくらカバーまで壁に貼ってたそうじやない」

クローバー「学校じゃないと興奮しないとか、妄想は生徒相手が良いとか……まぁ性癖は人それぞれだなら追求はしなかったわ」


マッキー「率直に変態ね」

クローバー「色々ストレスを抱えていたんでしょう、実際に生徒に手を出すような人間じゃないのは保証する」

クローバー「あの時の……特に数年前、理事長を辞めさせられる直前の南は精神的にかなり参っていたの」

クローバー「私への注文も異能的な攻撃に耐性を持つ教室や、土地全体に対して心的療養効果を発生させる地下施設、特定の生徒だけを閉じ込める結界など」

クローバー「明らかに普通とは思えないものが増えていったわ……」


マッキー「なぜ?」

クローバー「魔王……高坂穂乃果の存在よ」

マッキー「……!」


アニメ穂乃果「私っ!?」

ゴースト「あんたじゃない!ここの世界の穂乃果!」

577 ◆WsBxU38iK2:2017/11/16(木) 21:33:45 ID:OcS61cMg


クローバー「高坂穂乃果の内に潜む魔王の顔は、その時はまだ周囲に知られていなかった」

クローバー「危険性にいち早く気付いた南は何とか生徒の1人である彼女を無力化しようと考えたのよ」

クローバー「音ノ木坂で暴れられたら他の生徒にも被害が出るかもしれないから」

マッキー「だけど……それを見逃す魔王じゃない……」


クローバー「ええ、結局南の行為は誰にも認められず、勝手に予算を使った不祥事とされて職を追われた」

クローバー「もちろん魔王が彼女を嵌めるために仕組んだシナリオだけどね」

クローバー「理事長という最後の歯止めを失った音ノ木坂は魔王の傀儡と化して加速度的に荒廃」

クローバー「あなたが入学する前に物理的に廃校しちゃたってわけ」


マッキー「あなたは……それを黙って見てたの……?」

クローバー「当時は魔王軍の一員だったし、一応親友として相談には乗ってたけど上司には逆らえないわ」

クローバー「心苦しかったけど仕方ないのよ、マッキーちゃんだって分かるでしょ?」

マッキー「…………」

578 ◆WsBxU38iK2:2017/11/16(木) 21:34:29 ID:OcS61cMg


クローバー(押し黙るマッキー、沈黙の時間が十数秒過ぎた所でマッキーのお母さんが両手を打ち鳴らす)

パンッ

クローバー「というわけで昔話はこれでお終い、私と音ノ木坂の縁は分かってくれたかしら」

マッキー「…………」


ゴースト「ええ、分かったわ」

ゴースト(マッキーが黙ったままなので仕方なく私が前に出て応える)


クローバー「そういう思い入れがあるから、勝手に思い出の作品を使った新魔王軍にイラッと来たのよ」

クローバー「急いであの人に航空艦を借りてわざわざ叩きのめしに来たんだけど……先にあなたたちが片付けてたみたいね、礼を言うわ」

ゴースト「礼なんて不要よ、確かクローバーと言ったわね」

クローバー「うん、マッキーママと呼んでもいいわよ?」

ゴースト「……ぐぬっ」


アニメ穂乃果「クローバー、あなたは今どの立場にいるの?」

クローバー「立場ねぇ……私は随分前に組織を抜けて今はフリーのビジネスマンよ」

クローバー「同じような悪い人たちと提携しながら裏社会で商売してるの」


クローバー「あっちにいるオカンとかがその代表例……ん?オカンがいない?」バッ!

クローバー「ちっ、あの女どこに……」

アニメ穂乃果「あ!さっきまで航空艦の甲板にいた和服の人なら>>579

579名無しさん@転載は禁止:2017/11/16(木) 21:42:51 ID:X/qoqYeU
宝石の商談をしている

580 ◆WsBxU38iK2:2017/11/16(木) 22:43:07 ID:OcS61cMg
アニメ穂乃果「あっちで宝石の商談してるよ」

クローバー「なっ!」


ゴースト(穂乃果の指差す方向、オカンという名前らしい和服の女はオッパイたちに話しかけていた)


オカン「お嬢さんええ宝石持っとるなぁ、それ守護宝石やんなぁ?ちょっとうちに譲ってみる気はない?」

オッパイ「え、えぇ……?」

オカン「もちろんタダとは言わへんよ、それなりに価値のあるものと――」

クローバー「やめなさい商人根性丸出しでみっともない」ベシッ

オカン「あうっ!」


アニメ穂乃果「この人は……?」

クローバー「私がよく取引する相手の1人でコードネームはオカン、金と珍しいアイテムに目が無いダメ人間よ」

オカン「よろしゅうなぁ皆さん、実はうちの娘も音ノ木坂に通ってたんよ」

ゴースト「ほんと?」


アニメ穂乃果「娘……関西弁……もしかして希ちゃん?」

オカン「ちゃいます、うちの娘は"園田海未"って言うんですよ――穂乃果はん」

アニメ穂乃果「え……えええっ!?」

581 ◆WsBxU38iK2:2017/11/16(木) 22:43:42 ID:OcS61cMg
アニメ穂乃果「いやいや!海未ちゃんのお母さんは会ったことあるけどもっと普通の……いや、そう言われると面影はあるかもだけど……」

アニメ穂乃果「言葉遣いが違うし、それにドスケーブ城にちゃんと海未ママさんはいたって!」

オカン「言葉は素性を隠すための後付け、デタラメな関西弁なのは堪忍してください」

オカン「そんであんたが会った海未ママさんは……別の世界のうちでしょう」


オカン「そやねぇ、ミナリンスキー仮面の母親……と言えば分かりやすいやろうか」

ゴースト「なっ!!」

ハグカナーン「あの魔王を討伐した化物異能者か!」


オカン「せやせや、まぁあの娘も魔王が本性現すまでは普通の大人しく清楚な子やったんやけど」

オカン「友達が魔王と分かってからは修羅のようになってしもうて……悲しいわぁ」ヨヨヨ

クローバー「その娘に商売で仕入れたドーピングアイテムを渡しておいてよく言うわ……」ケッ



マッキー「聞き覚えがある声ね、ピーマンマンランドで電話を奪った時に私と話したのがあなただったのね」

オカン「お、気付きはりましたか、ピーちゃんとは良いお付き合いさせてもらってるんですよ」


マッキー「てことはドーピングアイテムとやらはピーマンマン因子……それをミナ仮面に渡して友達だった魔王を……か」

マッキー「更にクッキングにも渡して……新魔王が現れて……プライドを……」

グッ

マッキー「はぁ……なんだかやるせないわね……」


ゴースト「マッキー……?」

582 ◆WsBxU38iK2:2017/11/16(木) 22:44:07 ID:OcS61cMg


ゴースト(マッキーは脱力したように壁によりかかる)

マッキー「仕事漬けで家に帰ってこなくなったやつらに反発して家を出て、当て付けで同じ魔王軍の仕事について、欲望のまま好き勝手滅茶苦茶して」

マッキー「色んな組織を宛もなくウロウロしてみたけど、結局全部先回りされてる気分……」


マッキー「何処まで行っても掌の上、それで偶に会いに来たと思ったらドヤ顔でネタバラシって」

マッキー「……やってれないわ、やること済ませてさっさと帰ってちょうだい」

マッキー「あなたなら黄泉の門と天地逆転装置の解除くらい数分で出来るでしょ」


クローバー「マッキーちゃん……私は……」

オカン「んなっ!うちはまだ宝石の商談が残ってるやから!!」

クローバー「……っ!あなたは少し空気読みなさい!」


タタッ

オカン「なぁお嬢さん!嵌めてるのは無理でも他に余りとかないん?本家ならいっぱい持ってるんやろ?」

グイグイッ

オッパイ「ううぅゅ……そ、そんなこと言われても……困るびぃ……」

オカン「なぁなぁ!」グイグイッ


オッパイ「お、お姉ちゃぁぁん!!」

583 ◆WsBxU38iK2:2017/11/16(木) 22:44:53 ID:OcS61cMg
ゴースト(あまりの勢いにオッパイは叫んでしまう、すると渡り廊下の方から――)

ダタタタタタッ!!

デスワ「妹を泣かせてるのは誰ですかぁぁぁぁぁぁっ!?」

ゴースト(デスワが物凄い剣幕で走ってきた)


デスワ「あ、あなたですわね!」

オカン「……お?今度は次期当主様のほうの登場か〜、まぁこっちの方が話は早いわな」

オカン「デスワさんやったっけ、この妹さんが嵌めてる指輪くれない?」


デスワ「指輪ぁ?無理な話ですわね、ルビーは妹の魂も同然、例えるなら妹と同じ価値がありますわ」

オカン「ふむ……他に例えるなら?何となら交換していい?」

デスワ「ほ、他に?そうですね……妹よりは少し劣りますが、例えるなら>>584かと」


デスワ「ですがそんなものを用意できるわけが――」

584名無しさん@転載は禁止:2017/11/16(木) 22:55:15 ID:5gPYCQhk
HxHを休載せずにジャンプに連載させ続けること

585 ◆WsBxU38iK2:2017/11/16(木) 23:59:02 ID:OcS61cMg
オカン「分かったわ、HxHを休載せずにジャンプに連載させ続けることやな」

オカン「そのくらいうちのネットワーク使えば簡単なことや」 

デスワ「ええっ!?本当ですか!?」

オッパイ「お姉ちゃんそんなにH×H好きだったの……?」


オカン「東日本が軽いビルなら埋まるような大豪雪、中部が海も凍るような大凍結で、九州から関西手前がマグマ滾る大炎上地獄」

オカン「日本が災害で三分割されとるような大変な状況、通常の交通網なんか麻痺レベル越えて断絶してはりますけど……」

オカン「うちが配下に置いてる商人たちを動かして漫画家先生を収容保護、配送ルートを確保して来週のジャンプを届けたる」

オカン「もちろんH×Hは載せて……な?」

デスワ「おおおおおおおっ!」


オッパイ「なに感動してるのお姉ちゃん!?そんなもので私の魂を売らないよね!」

デスワ「ああああ当たり前ですわぁ!」ドキマギッ

オッパイ「すごい動揺してるけどぉ!?」


デスワ「……そう……ですわね」オホンッ

ゴースト(あ、少し落ち着いた)

586 ◆WsBxU38iK2:2017/11/16(木) 23:59:15 ID:OcS61cMg
デスワ「流石にダイヤサンやシスタールビーを差し上げるわけには行きませんが、破廉恥家の蔵にはいくらか在庫があったはず」

デスワ「それと引き換えに我が家の資金的バックアップ……とH×Hの連載をお願い致します」

オッパイ「ちょっとお姉ちゃん!?勝手に決めちゃったらマズイんじゃ……」


デスワ「良いのです、破廉恥家は伝統を重視しすぎて現実を見てない節が度々ありました」

デスワ「私が家を継ぐ役目から逃げたのもそう言った風習が嫌だったから……」

デスワ「どうせ戻るのなら私の思うとおりにガラッと変えてみせます、そのためにはパトロンも必要」

オカン「くっくっく、目当てのものさえ貰えるならうちは良い仕事しますわぁ」


クローバー「1つアドバイスすると、ほどほどに信じてほどほどに疑うのがオカンと付き合うコツよ」

デスワ「ええ、肝に命じておきますわ」

587 ◆WsBxU38iK2:2017/11/16(木) 23:59:27 ID:OcS61cMg


ゴースト(クローバーはすれ違いざまにデスワに一言言うと、クローバーは講堂のステージの方に歩いていく)

スタスタ

クローバー「はぁ……まぁマッキーちゃんに嫌われてるみたいだし、私はさっさと仕事して帰るわ」

クローバー「でもその傍らに話すから、みんな適当に聞いててちょうだい」

マッキー「……なにを?」


クローバー「あなたたちが黄泉の領域にいた間の外の状況の変化、私たちが手に入れたその詳細な情報」

クローバー「きっとこれからの行動に役立つと思うわ」


─────────────────

音ノ木坂跡・逆さ講堂

AM7:48〜AM7:55 新終末編『223』了

588 ◆WsBxU38iK2:2017/11/16(木) 23:59:56 ID:OcS61cMg
というわけでここまで

次はまとめ的な話かな

新終末編『224』に続く
かもしれない

589!ken:99:2017/11/17(金) 19:35:33 ID:rOdmeaSE
をつ

思ったよりクローバーが協力的

590 ◆WsBxU38iK2:2017/11/17(金) 20:23:40 ID:aSLC3GsA
新終末編『224』

─────────────────
──音ノ木坂跡・逆さ行動

AM7:55


ゴースト(逆さまになった講堂、つまり天地逆転装置があるステージは頭上に張り付いた形になっている)

ゴースト(クローバーはその真下まで行くと、自らのソックスから薄く長いアルミ板のようなものを取り出して足元に置いた)

クローバー「ほいっと」

カタンッ グイッ 

ゴースト(板をクローバーが一度軽く踏んで足を離すと、1枚に見えていた板が折り重なった無数の板になり、分離して真っ直ぐ上昇していく)

パラララララッ!

カッ!

ゴースト(1番上の板が頭上のステージに辿り着くと、次の板たちは一定間隔を開けて斜め下に配置されていく)

ゴースト(空中に浮いた板たちの自動セッティングは数秒で終わり、あっという間に頭上のステージへ続く螺旋状の階段が出来上がった)

ゴースト(手すりも板同士を繋ぐものも存在しない、足を置く長方形の板だけで構成される天空の階段)



アニメ穂乃果「それは?」

クローバー「急増で作った階段かな、この板たちは重力歪曲装置を組み込んだ便利な道具よ」

クローバー「見ての通り普段は1枚の板と見間違えるほど圧縮されていて、開放されると最高256枚に分裂して浮遊、予めプログラミングしていたフォメーションを取ってくれる」

アニメ穂乃果「ほへぇー、それは便利」


クローバー「名付けて>>591と言うわ!」

オカン「そこはどうでもええんやない?」

591名無しさん@転載は禁止:2017/11/17(金) 20:40:09 ID:DQKJpTWE
オカンから対価は回収階段

592 ◆WsBxU38iK2:2017/11/17(金) 21:44:16 ID:aSLC3GsA
クローバー「名付けてオカンから対価は回収階段と言うわ!」

ゴースト「ゴロが悪い名前ね……」


クローバー「この板たちは元はオカンが持っていた商品でね、ある時私に対する支払いが滞ったオカンは対価にこんな板っきれを寄越したのよ」

オカン「随分高いやつなんやで?アーティファクトとは違う未知の科学力で造られた製品やし」

クローバー「最初は10本だったけど、オカンが私にやらかすたびに増えていって、こんな階段を作れるほどになってしまった」

クローバー「だから対価回収階段」

トントントン

ゴースト(クローバーはそう話しながら空中に作られた階段を登っていく、パンツを履いてないのが目に悪い)


オカン「愚痴みたいな言い方しとるけどなぁ、対価はそれが良いって要求してきたのはクローバーはんやろ」 

オカン「今じゃ元の持ち主のうちよりかなり使いこなしとるわ」

アニメ穂乃果「そうなの?」

オカン「自由に操れる鉄の板やからな、階段の他にも本人のアイディア次第で無限の可能性があるアイテムや」

オカン「足場によし武器によし盾によし、クローバーはんなんか板を組み合わせてオートで動く鉄人形作ってたわ」

アニメ穂乃果「ふむふむ……」


クローバー「はいそこ、人の手のうちネタバラシしない!」

オカン「すまんすまん」

593 ◆WsBxU38iK2:2017/11/17(金) 21:44:38 ID:aSLC3GsA
ゴースト(頭上からクローバーの声が響く、見上げると彼女は天地逆転装置の横に着いていた)

ゴースト(ソックスから工具と思われるものを複数出すと装置の蓋を外していく)

ゴースト「何でも入ってるわねあのハイソックス……」


クローバー「じゃあ今から直すついでに外の話をするわねー」

カチャカチャ


クローバー「まず前提として知っておいて欲しいのは……これが取引だと言うこと」

マッキー「取引……?」

クローバー「新魔王軍を倒すために一時的な協力をしましょうってお話、と言ってもマッキーみたいに深く関わるつもりはないわ、あくまで後方支援」

マッキー「ふんっ、そんなこと言って信用されると思うの?利益を求めるなら新魔王軍に付けばいいのに」

クローバー「遊び場の問題よ」


クローバー「私たちみたいな悪い大人は楽しく遊ぶためなら正義にも悪にも味方する、魔王だって遊び相手の1人だった」

クローバー「遊び場の内側で起こることなら大体対処できる、特にこの国の中で済むことなら私たちは誰の手も借りることはないわ」

クローバー「でもね……遊び場を壊そうとするやつは別、新魔王軍は徹底的に私たちの縄張りを壊してきているのよ」

オカン「ほんま敵わんわ」ヒラヒラ



クローバー「だから……あなたたちに頼むわけ」


マッキー「なるほど、得意分野の問題か」

アニメ穂乃果「どういうこと?」

マッキー「あいつらは世界を裏から牛耳るに充分な横の力はあっても、フードマンという神話存在に届くような上の力はない」

マッキー「自分たちが築いてきた地盤を使ってバックアップする、その代わりに私たち……いや、真姫たちに新魔王軍を討たせる算段ね」

594 ◆WsBxU38iK2:2017/11/17(金) 21:45:15 ID:aSLC3GsA
クローバー「そういうこと、だから協力しましょう?」


マッキー「はぁ……」

ゴースト「私は別に良いと思うけど、この際協力を拒む理由はないじゃない」

ハグカナーン「そうだな、聞けることは聞いておこう」


クローバー「では引き続き外の話」

クローバー「目下1番の問題は日本南方から侵攻して来ている炎の軍勢ね」

クローバー「侵攻自体はゆっくりだけど、その中で厄介なのは……炎の鳥」

マッキー「炎の鳥?」


クローバー「ええ、その火を纏った巨大な丸い鳥だけは軍勢の動きから離れて>>595

595名無しさん@転載は禁止:2017/11/17(金) 21:47:30 ID:gJLScKSc
宇宙に謎の電波交信をして、巨大な宇宙怪獣を呼び出した

596 ◆WsBxU38iK2:2017/11/17(金) 22:34:23 ID:aSLC3GsA
クローバー「鳥は突如軍勢の動きから離れると、炎の翼を広げて空高く舞い上がったの」

クローバー「そして宇宙に謎の電波交信をして巨大な宇宙怪獣を呼び出した」


マッキー「宇宙……」

アニメ穂乃果「怪獣っ!?」

ゴースト「またとんでもない話になって来たわねぇ」


クローバー「『あの人』の会社と懇意にしてる国の軍事衛星が鳥から放たれた電波、それに引かれるように地球へ飛来する巨大な影を捉えたのよ」

クローバー「当然他の諸外国も感知、対応を進めてるでしょうけど……とても表の科学力で対応できるものじゃないわ」

マッキー「でしょうね、ムスペルヘイムの幻想種が呼び出したのだから神話存在かそれに近しい存在」

マッキー「ただの武力じゃ力不足、どこかの異能機関が関われば……でもどのみち時間との勝負ね」


アニメ穂乃果「そうだよ時間は!?」

クローバー「各国の計算だと、遅くてもあと1時間以内には落ちてくるらしいわ」

クローバー「物体が加速すればもっと早くなる可能性だってある」

アニメ穂乃果「なっ!?」


ゴースト「落下地点の予測は?」

オカン「それも出来とるようですわ、怪獣が落ちる場所は>>597

597名無しさん@転載は禁止:2017/11/17(金) 23:03:35 ID:/S4DpKM6
内浦

598 ◆WsBxU38iK2:2017/11/17(金) 23:58:33 ID:aSLC3GsA
オカン「怪獣が落ちる場所は……内浦」

アニメ穂乃果「内浦?」


マッキー「内浦って言うと……静岡県沼津市の駿河湾のとこ?」

オカン「知っとったか、あそこらへんが墜落地点らしいって話よ」

マッキー「なるほど、そこだと城からも塔からも微妙な距離ね……ヨハネゲートを使ってどうにか――」


デスワ「なっ!内浦ですって!?」

梨子「どういうこと!?」

ゴースト「ん?」

ゴースト(デスワ、それからいつの間にか戻ってきていた梨子が大きな声で食いついてきた)

マッキー「そうだけど……どうしたのよ二人共」


デスワ「内浦の近くには破廉恥家の表の顔である黒澤家がありますわ!」

梨子「桜内家……の本家はちょっと離れてるけど、あそこには私の家族が住んでるの!」

オッパイ「そこに怪獣が落ちてくるなんて……どどどどうしようお姉ちゃん!?」

599 ◆WsBxU38iK2:2017/11/17(金) 23:58:48 ID:aSLC3GsA


ゴースト「待って待って落ち着いて、黒澤家って?名字違うくない?」

デスワ「破廉恥はあくまで異能者一族としての名前、内浦では黒澤という名前の名家として知られています」

デスワ「私やオッパイも昔学校に通っていた時は一般向けの名前を名乗っていました」

ゴースト「そうなんだ」


アニメ穂乃果「梨子ちゃんも不思議だよ、滋賀にいたのに家は内浦なの?」

梨子「あー、私もちょっと経歴面倒くさいのよね、元は東京にいたんだけど桜内本家の任務でお父さんが内浦に転勤したのよ」

梨子「私は私で協会の静岡支部に入って、穂乃果と会った時は滋賀支部に出向してたわけ」

アニメ穂乃果「……なるほど?」


梨子「ともかく内浦に落ちると聞いたら放置しておけない」

梨子「この件が終わり次第、私はそっちに向かうわ!」



─────────────────

音ノ木坂跡・逆さ講堂

AM7:55〜AM8:00 新終末編『224』了

600 ◆WsBxU38iK2:2017/11/17(金) 23:59:30 ID:aSLC3GsA
というわけでここまで

ちょっと雑めで短い、すみません
そして内浦の危機

新終末編『225』に続く
かもしれない

601 ◆WsBxU38iK2:2017/11/18(土) 20:34:38 ID:NagggjwI
新終末編『225』

─────────────────
──音ノ木坂跡・逆さ講堂

AM8:00


梨子「なるべく早く行きましょう!出来れば皆も付いてきて欲し――」

クローバー「まぁ落ち着きなさいって……はいこれで修理完了、天地が戻るわよ」カチッ

梨子「え?」

グルンンンンンッ!!


梨子「わぁぁっ!」

オッパイ「ひゃぁぁぁぁっ!」

マッキー「落ちっ……」

ヒューーーーッ


ズドーーーーンッ!


ゴースト(天地逆転が逆転したことにより、天井にいた私たちは派手に落下して床に叩きつけられてしまう)

ゴースト(停めてあったホノノリ号も落ちて派手な音を立てる)

ゴースト(まぁとっさに幽体化できる私はノーダメージだし、ハグカナーンやダストボックスと言ったタフネスな人たちは普通に着地していた)


マッキー「あいたた……お尻打ったじゃない!やる時は事前に言ってよ!」

クローバー「言ったわよ?」

マッキー「そういうことじゃなくて……」ムムッ


ダストボックス「全くだ、こっちは意識がないやつも背負っているんだ」

吸血鬼穂乃果「えぇ?この程度の落下で怪我する軟弱な体してるほうが悪いわよ」

ダストボックス「お前は弱っても偉そうな態度が変わらんな」

602 ◆WsBxU38iK2:2017/11/18(土) 20:35:00 ID:NagggjwI


ゴースト「ふむ……一応今は全員集まってる状況なのね」

ゴースト(私は辺りを見回してここにいるメンバーを再確認する)

ゴースト(琵琶湖経由で来た私、穂乃果、ぺぺペペーン、吸血鬼穂乃果)

ゴースト(城から第一陣の寿限無、英玲奈、ダストボックス、マッキー、ヨハネ、貞子)

ゴースト(第二陣の梨子、ハグカナーン、デスワ、オッパイ、ブンドルビィ、トマノリとホノノリ)

ゴースト(大人組のクローバーとオカンに、新魔王軍だった博士アルパカ)

ゴースト(このうち寿限無、英玲奈、ブンドルビィ、博士アルパカはそれぞれの理由で動けなくなっている)


クローバー「ともかく天地逆転装置は直ったわ、ここのコントロールパネルから黄泉の門の操作もできるから……」

タタタッ ピピピッ

クローバー「ついでに領域も解除しちゃうわね」

ゴースト「手際良いわねぇ、さすがマッキーママ」

マッキー「ママじゃないからこんな人……」ムッ

603 ◆WsBxU38iK2:2017/11/18(土) 20:35:40 ID:NagggjwI


クローバー「それであなた……梨子ちゃんだったけ?」

梨子「は、はいっ」

クローバー「家族を守りたいって気持ちは大事だけど、宇宙怪獣相手に無策で挑もうってのは無謀だわ」

クローバー「特撮巨人ヒーローのラスボス並みの相手かもしれないのよ」

梨子「……っ!そのくらい分かってるわよ、でも私がいるチームには色んな力を持ってる人がいるの」

梨子「力を合わせてドアラランドの究極生物だって倒すことができた」

ヨハネ「うむ、倒された!」ドヤッ


梨子「宇宙怪獣だって同じように――」

クローバー「そうね、相手が1体だけならやれるかもしれない」

梨子「……?」

クローバー「けれど今度は両面作戦、南西から進軍してくるムスペルヘイムを対処しつつ宇宙怪獣も叩かなくちゃいけない」

クローバー「あなたたちの拠点は2つ、東京にあるドスケーブ城跡と愛知にある岩壁の塔」

クローバー「塔は間違いなく関西方面への対処で手一杯ね、場合によっては城側から増援を出す必要もあるでしょう」

クローバー「更に城跡には怪我人が多数、医療施設へ運搬する計画があったはずだから人手もいる」


マッキー「……っ!なんで……」

クローバー「なんで内情を知ってるか……って?あなたにしては稚拙な疑問ね」

クローバー「それを知れるのが私たち悪い大人の力よ、この戦いに関わる国内勢力の動きは逐一チェックしてる」

クローバー「私たちはこの力でサポートしてあげるって言ってるの、分かる?」

マッキー「…………っ」

604 ◆WsBxU38iK2:2017/11/18(土) 20:36:04 ID:NagggjwI


アニメ穂乃果「ん?ってことはマッキーママさん……クローバーさんたちには何か考えがあるってこと?」

ゴースト「え?」

アニメ穂乃果「だってあの口ぶり、実戦面で頼りにしてる私たちが手一杯だと見抜いてるのに、その上で余裕そうにしてる」

アニメ穂乃果「わざと不安がらせてから偉そうに手の内を見せる、鞠莉さんのかマッキーとかがよくやる正確悪いやつだよ!」

クローバー「ふふっ、それは魔眼の性能かしら」

アニメ穂乃果「経験則です」ドヤッ


マッキー「待って、私があいつらと同じ人種ってこと?まぁ自覚はあるけど……」

ゴースト「あるんかい」


クローバー「その読みは正解よ、私たちは『とっておきの情報』を持っている」

アニメ穂乃果「おおっ!」

梨子「聞かせて……!」

クローバー「宇宙怪獣に対抗できる強大な存在、それは現在全部で3つに分割されているの」

クローバー「詳細を言うと本体パーツ1つ、外部パーツが2つね」

アニメ穂乃果「1つと2つ……?」


クローバー「外部パーツのうちの1つはこの音ノ木坂跡に、もう1つは>>605に埋まってるらしいわ」

605名無しさん@転載は禁止:2017/11/18(土) 20:46:19 ID:1PHE5EmA
浦の星女学院

606 ◆WsBxU38iK2:2017/11/18(土) 22:05:07 ID:NagggjwI
クローバー「もう1つは浦の星女学院と言う学校の地下に埋まってるらしいわ」

アニメ穂乃果「うらの……?」


梨子「それも内浦にある高校よ、私や……たぶんデスワさんたちも通っていたと学校」

アニメ穂乃果「梨子ちゃんたちの!?」

梨子「私は協会の仕事もあったからあんまり通って無かったけどね……まさかあそこが関わってくるなんて……」

デスワ「正直驚きですわ」

オッパイ「うんうんっ」


マッキー「ねぇ……もしかして貴女が利用しようとしてるのって魔王の――」

クローバー「ふふっ、マッキーちゃんは察しが付いたみたいね」


ゴースト「待って、内浦にあるってことは怪獣の落下地点ってことでしょ」

ゴースト「そんな場所でパーツを探してる余裕なんてあるわけ?」

クローバー「ふむ……そうねぇ」ピラッ

ゴースト(私の疑問にクローバーはソックスの中から書類の束を取り出して捲りながら応える)


ゴースト「もう場所には突っ込まないけど……それは?」

クローバー「旧魔王軍の機密書類、空き家になった大雪山拠点にお邪魔して貰ってきたの」

607 ◆WsBxU38iK2:2017/11/18(土) 22:05:23 ID:NagggjwI
クローバー「幸いなことに、この書類には正確な情報が載ってたのよ、パーツを掘り出すのに時間はかからないわ」

クローバー「音ノ木坂のパーツと本体をゲットしたら内浦に直行して現地組み立てで充分間に合う計算」


アニメ穂乃果「大雪山拠点って……日曜の夜に寿限無ちゃんたちが突撃して魔王軍と戦った場所だよね」

クローバー「ええ、今は廃墟になっていてもぬけの殻……幻想種が暴れた跡はあったけど、あそこにもう何も無いわ」

クローバー「何も……ね?」


ゴースト(クローバーは不敵に笑う……)

ゴースト(あの拠点になら私もいたけど、すぐにグリードと一緒に離脱してしまったから詳しいその後は知らない)

ゴースト(以降も魔王軍に残ってたメンバーだとミナリンスキー軍辺りか、今はバーミヤンだから話は聞けないわね)


梨子「時間が無いなら早くしましょう、音ノ木坂に埋まってるパーツを取り出す手段は?」

クローバー「だから慌てない、その手順もしっかり書類に書いてあるわ、読み上げるわね」

ピラッ

クローバー「『一度消失したパーツ“left”はコアのある場所、音ノ木坂学院の地下に再帰し潜伏を続ける』」

クローバー「『これをもう一度起動させるには>>608』」

608名無しさん@転載は禁止:2017/11/18(土) 22:13:18 ID:qrqgKTZ2
母娘で本気でターミネーターごっこをする

609 ◆WsBxU38iK2:2017/11/18(土) 23:00:59 ID:NagggjwI
クローバー「『母娘で本気でターミネーターごっこをすること』らしいわ」

マッキー「はぁ……?」


クローバー「そう困惑した顔をしない、手順は書いてある通りこれだけよ」

クローバー「コアが埋まってる校庭の上をターミネーターごっこしながら周回すればいいだけ」

マッキー「意図が全く分からない……」グヌヌ

クローバー「意図なんて読まなくていいの、考えすぎるのが貴女の悪い癖」



クローバー「じゃ……行くわよ!」

ガチャンッ!!

マッキー「っ!?」

ゴースト(クローバーは例の如くどこからかライフルを取り出し派手に構えると、例のBGMを口ずさみながらマッキーに向って走り出す)

クローバー「デデンデンデデン!デデンデンデデン!」

ズダダダダダダダッ!!

マッキー「だぁぁっ!娘に向かって実弾ぶっ放すやつがいるかぁぁっ!!」

クローバー「マッキーちゃんも反撃してきていいのよぉぉっ!」

ダタタタタタッ!

610 ◆WsBxU38iK2:2017/11/18(土) 23:01:21 ID:NagggjwI


梨子「す、すごいお母さんねぇ……」

ゴースト「外に出ていってしまったわね、あっちは任せて大丈夫かしら」

ゴースト(開け放たれた講堂の入口からは雪に残された足跡が見えて、クローバーの笑い声と銃弾の音が聞こえてくる)

ゴースト(雪……ああ、黄泉の領域が解除されて元の風景が戻ったのか)


アニメ穂乃果「で、もう1つは?」

オカン「ん?」

アニメ穂乃果「音ノ木坂と浦の星にある外部パーツの話は聞いたよ、でも後1つ『本体』ってやつがあるんでしょ?」

オカン「ああ……そちらなら大雪山拠点にあったんやけど、拠点が破壊されたから別の場所に隠されたらしいんよ」

オカン「隠し場所は同じ北海道の東、とある島が並ぶ海域、手を出そうと思っても事情が事情だけに手を出しにくい場所や」

オカン「日本とロシアの問題が関わってくるからなぁ」

アニメ穂乃果「……?」


梨子「まさかそこって……でも何にしても遠すぎない?」

オカン「うん、だからうちらは行かへんよ、うちらの仲間の1人――>>611に先に向かってもらっとる」

オカン「ロシアにもコネがあるやつなら……『あの場所』で上手くやってくれるはずや」

611名無しさん@転載は禁止:2017/11/18(土) 23:14:02 ID:NN4tWtbI
スピリチュアルマザー

612 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 00:26:57 ID:nNY7I1A6
オカン「あのスピリチュアルマザーならな」

梨子「また変な名前ね、信用できる人なの?」

オカン「名前で人を判断したアカンて梨子ちゃん、マザーはんの腕はうちがしっかり保証する」

梨子「別に偏見があるわけじゃないけど……」


オカン「スピリチュアルマザーはロシア圏に影響力を持つスピリチュアル教会の幹部の1人、そんでうちらの悪いお友達」

オカン「スピリチュアル教会は孤児の保護なんかの慈善事業を手広くやってる組織で、ロシアの政界や魔術界とも深いコネがある」

オカン「特にマザーはあのエローチカ家とも懇意にしているらしいで、かつて栄華を極めて魔術師の一族やな、知っとる?」

梨子「まぁ、名前くらいはね……」

デスワ「今は没落したって話くらいしか聞かないですわね」


ゴースト(エローチカ家……前の世界における魔王復活の地、だけど知ってるのは矢澤にこの記憶を共有できる私だけか)

ゴースト(この世界でも真姫たちが訪れてハラッセオの日記を手に入れたらしい、あれ結局中身は解析されたのかしら……?)

613 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 00:27:26 ID:nNY7I1A6


アニメ穂乃果「マザーってコードネームは誰かのお母さんだからなの?」

オカン「んー?マザーに誰か特定の娘がいるって話は聞いたことないなぁ、教会の養護施設では皆の母みたいに振る舞ってるらしいし……」

ポンッ

オカン「ああそうや、エローチカ家で働いとるメイドは一時期マザーの養護施設にいて、大変可愛がってたって話てたわ」

オカン「今でもエローチカ家への用事ついでにたまに様子を見にいくらしいんよ」

アニメ穂乃果「へー」

オカン「確か名前はのぞなんとかって――」


バッ!!

寿限無「……っ!いたたた」

ゴースト「寿限無!?」

ゴースト(母乳中毒のせいで全裸で倒れたままだった寿限無が突然跳ね起きた)

ゴースト(まだ頭が痛いのか、片手で頭を抑えながら私たちのほうを見ている)

アニメ穂乃果「寿限無ちゃん!大丈夫!?」

614 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 00:28:00 ID:nNY7I1A6


寿限無「ああ、うん……まだ頭ん中がガンガンするけど平気平気、心配しなくていいから……」

アニメ穂乃果「良かった」ホッ

寿限無「それよりさ、半分寝ながらうっすらと話聞いてたんだけど……」


ゴースト(寿限無は一拍置き、オカンの目を見て言った)


寿限無「オカンさん、アンタたちが使おうとしてるのって――“サトゥルヌス”でしょ?」

オカン「…………ほぉ」


ゴースト(寿限無が口にしたのは、かつて冥府の牢獄から魔王の手により盗まれ、μ'sたちを倒す決戦兵器とするため調整を重ねられた――ある神格の名前)

ゴースト(結局調整途中に北海道の拠点が破壊され、日の目を見ることはなかった兵器)


ゴースト(その名を聞いたオカンは……静かに口元に笑みを浮かべた)


オカン「……ふっ、当たりや」


─────────────────

音ノ木坂跡・講堂

AM8:00〜AM8:05 新終末編『225』了

615 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 00:29:00 ID:nNY7I1A6
というわけでここまで

次くらいで一旦このシーンを終わらせられるといいかな

新終末編『226』に続く
かもしれない

616 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 20:34:17 ID:nNY7I1A6
新終末編『226』

─────────────────
──音ノ木坂跡・講堂

AM8:05


寿限無「はっ……よくもあんな魔王の置き土産を使おうなんて発想が出るものね」

寿限無「やっぱり正気じゃな――いたたっ」ズキッ

アニメ穂乃果「寿限無ちゃん!」タタッ


ゴースト(裸の寿限無は床に直接片膝立てて座り、酷い二日酔いのような痛みに頭を抱えていた)

ゴースト(さすがに裸では寒いだろうと穂乃果が大きな布を抱えて駆け寄り、寿限無の肩の上から羽織らせる)

ファサッ

アニメ穂乃果「ほらっ」

寿限無「ありがと穂乃果さん、水も貰えると更にありがたいわ……」

アニメ穂乃果「分かった、持ってくるね」テテッ


梨子「私たちも追加で物資を持ってきたわ、使ってちょうだい」

アニメ穂乃果「うんっ」


ゴースト(穂乃果が離れると、再びオカンと寿限無が話し始める)

617 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 20:34:37 ID:nNY7I1A6
オカン「正気ねぇ……正気なんて初めから持ち合わせておりませんわ、魔王の遺物だろうが使えるものは使うだけ」

寿限無「……神を使いこなせるつもりでいるの?傲慢じゃない?」

オカン「元々魔王が使う予定の兵器やったんや、誰が使うたって変わらへんやろう」

オカン「こちらにはマニュアルだってある、手順に抜かりはありませんわ」

寿限無「失敗フラグにしか聞こえないけどねぇ……」ヤレヤレ

ゴースト(そう言って寿限無はわざと大袈裟に溜息をついた)


オカン「なんや、うちらの策に否定的な感じやねぇ?」

寿限無「別に……今はそれくらいやるべきだとは思ってるわ」

寿限無「ただ肯定的であっても好意的じゃない、否定はしないけど遠慮はしたいわ」

寿限無「少なくとも、自分を食うために魔王が用意してた化物なんてお近付きになりたくないわね」

プイッ



ゴースト「……ま、寿限無はそういう反応するのも仕方ないわよね」

梨子「え?」

ゴースト「魔王はサトゥルヌスの力でμ'sの子供たちを食って取り込もうとしてたのよ、かの神の伝承を利用してね」

ゴースト「実際に子供たちを取り込んだのは究極生物だったけど……それでもあの子たちにとっては出会いたくない相手でしょうね」ウンウン

梨子「……なるほど」

618 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 20:36:04 ID:nNY7I1A6

アニメ穂乃果「……」ジーッ

ゴースト(……と、梨子に話していたら穂乃果がこっちを見ていた)


アニメ穂乃果「…………ゴーストさ」

ゴースト「なに?」

アニメ穂乃果「時々にこちゃん本人みたいな目線で話すよね、別人なのに」

ゴースト「なっ!!」

カァーッ

ゴースト(べ、別に図星じゃないけど……改めて言われるとドヤ顔で他人の記憶を語ってたのが恥ずかしくなってくる)


ゴースト「ししし仕方ないでしょう!顔と体はあいつに似せて作られたし!元型覚醒してるから記憶もあるし!」

アニメ穂乃果「でもマッキーみたいに別世界の本人ってわけでも無いんでしょ」

ゴースト「本当に痛いとこついてくるわねこの子は……穂乃果もマッキーと同タイプだから尚更反論できない……」ワナワナ


寿限無「でも私は母さんに似てると思うよ、なんか近くにいると落ち着く」

ゴースト「お、おう……それもそれで反応に困るわ……」

619 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 20:36:22 ID:nNY7I1A6


ハグカナーン「はいはい話を元の路線に戻すよ」パンパンッ

デスワ「そうですわね、外に飛び出していったマッキーたちはどうなったのです?」


テテテッ

オッパイ「お姉ちゃん!様子見てきたよ!」

オッパイ「2人はターミネーターごっこしながらグルグルと校庭を走り回ったけど、ついさっき決着がついたみたい」

デスワ「ふむ、ごっこはどのような最後に?たぁみねぇたぁ?という遊びらしいですから派手なんでしょうね」

ハグカナーン「デスワさ、ターミネーター知ってる?」


オッパイ「ええと……ごっこの最後は>>620

620名無しさん@転載は禁止:2017/11/19(日) 20:38:54 ID:5vIDjVpo
マッキーが焼却炉にダイブ

621 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 21:45:19 ID:nNY7I1A6
オッパイ「マッキーが焼却炉にダイブしてアイルビーバックしてるとこでクローバーが高笑いするラストシーンだったよ!」

デスワ「なっ……焼却炉!?大変ですわ!救助に行かなければ――」

ハグカナーン「デスワ落ち着いて、そういうごっこだから」ガシッ

デスワ「あ、あぁ……もちろん分かってますわ!」


ハグカナーン「しかし溶鉱炉?に落ちるのがターミネーターじゃないほうだとは……どんなリブートなんだか」

オッパイ「斬新な設定だよねぇ、敵側の完全勝利だよ」

ハグカナーン「うんうんって……それはどうでもいいんだ、ごっこが終わったならパーツの復活が始まるはず」

ハグカナーン「私たちも外へ行こう!」

タタタッ

622 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 21:46:11 ID:nNY7I1A6





──校庭端・焼却炉



クローバー「ほーほっほっほ!やはり私の勝ちねマッキーコナー!」


マッキー「……げほっ!」プスプス

マッキー(実の母……的な相手と本気のごっこ銃撃戦をした結果、私は焼却炉に突っ込まれていた)

マッキー(廃棄された焼却炉は完全に止まっていたから本来危険はない……はずなんだけど)


マッキー「これ髪とか服とか微妙に煤けてる気がするんですけどっ!?普通に周りのゴミも燃えてない!?」

パチパチッ ボォォォォッ 

クローバー「ああ、見た目の割に大して熱さを感じない演出用の炎を着火したからよ」  

マッキー「演出にしてはかなり派手ね……本物みたいだわ」

パチパチッ パチパチッ

クローバー「ん?だから熱くなりにくいだけで本物の炎よ、ずっとそこにいると本気で燃えるけど――」

パチッ ボォォォォォォォッ!!!!


マッキー「だぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

ゴロゴロゴロゴロッ!

マッキー(私が転がるように脱出した瞬間、焼却炉の中が一気に燃え上がる)

マッキー「あ、危うく火だるまになる所だったじゃない!」

クローバー「くっくっくっ!」


マッキー(慌てふためいた私の様子にクローバーは屈託なく笑う)

マッキー(これで娘と楽しく遊んでるレベルの感覚なんでしょうから、こいつは絶対マトモな親じゃない……)


クローバー「……さて、お遊びのおかげで儀式が完了したわ、校庭の中心を見なさい」

マッキー「ん?」

マッキー(クローバーが指差した先を見る)

マッキー(すると校庭中心の地面が>>623し……巨大な手が出現した!)

623名無しさん@転載は禁止:2017/11/19(日) 21:51:10 ID:QnR9vLWo
絶叫

624 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 22:55:07 ID:nNY7I1A6
マッキー(すると……地面が絶叫した)


『ギィーーヤァーーーーーーーーーーッ!!』

マッキー「……っ!」ビクッ!

マッキー(校庭の中心が裂けて、その穴から耳をつんざくような甲高い音が周囲に轟く)

マッキー(人の悲鳴に似た不快感を駆り立てる轟音、余りの音量に私は思わず耳を塞いでしまう)


ドドドドドドドドドドッ!!

マッキー「ぐっ……何これ……地割れ……地層が擦れる音が叫び声みたいに聞こえるの……?」

クローバー「違うわ、正真正銘の悲鳴よ」

マッキー「な……に……?」


マッキー(クローバーは何か予め音量対策をしていたのか、耳も塞がず平然と私の問いに応える)

クローバー「地下深くに封印されていたパーツのコアが、周囲を覆っていた結界を切り裂いて現れる」

クローバー「これはその結界の主が発する断末魔の声――」

マッキー「結……界……」

625 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 22:55:36 ID:nNY7I1A6


クローバー「マニュアルによると、魔王は破損したパーツの修復のために、この音ノ木坂が建つ土地を利用した」

クローバー「より正確に言えばその地下にある土地神の結界を利用したの」

クローバー「土地神の中にパーツを隠して『大事なもの』と錯覚させる、そうすると土地神はそれにエネルギーを与えて修復しようとする」

クローバー「そして修復が終わったら……こうして結界を切り裂いて取り出す算段だったのよ」


クローバー「体内である地下にパーツを抱えていた土地神にとっては出産にも等しい苦しみ、そりゃこんな声も出るわよ」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

マッキー(地面に空いた穴からは巨大な手、次いで腕の部分が天に向かって突き出て、次第に全景を現して始めている)

マッキー(形から左手だと分かる手は、その掌に砂時計のモニュメントをしっかりと握っていた)

マッキー(腕が地上へ出るにつれ揺れはどんどん激しくなるばかり)


マッキー「……で、あれをどうやって操るつもり……?」

クローバー「そこも予習済み、この左腕は修復のために音ノ木坂の土地神を利用していたわけだけど、それは同時に土地神と契約を結んだということになる」

クローバー「魔王は修復が終わり次第このパイプを切って、自分と直接パイプを結び直す計画だった」


クローバー「でも私たちは……そのパイプをそのまま利用するのよ」ニヤリ

626 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 22:56:03 ID:nNY7I1A6


マッキー(……ややこしい話ね、一旦頭の中で整理したほうがいいわ)


マッキー(この左腕が埋まっていた時の関係は『土地神――結界――左腕』)

マッキー(左腕の修復が終わり結界を切り裂いて出てきた今は『土地神――左腕』という関係だけが残ってる)

マッキー(魔王の計画ではこの後に関係を挿げ替え『魔王――左腕』として操る算段だったらしい)

マッキー(でクローバーが言ってるのは土地神をそのまま残し『私たち――土地神――左腕』という繋がりで左腕を操ろうということ)


マッキー(でもこれって、土地神と契約済みの人間かアイテムか、そういう物が必要になると思うんだけど……)

チラッ

クローバー「マッキーちゃんの考えは読めてるわ」ウンウン

マッキー「うっ……」


クローバー「ここの土地神と契約してる存在なら既に私たちは知っているはずよ」

マッキー「え?」

クローバー「それはズバリ>>627

627名無しさん@転載は禁止:2017/11/19(日) 23:07:48 ID:y72CyNYs
愛しの理事長

628 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 23:58:18 ID:nNY7I1A6
クローバー「愛しの理事長様に決まってるじゃない」

マッキー「愛しの……?」

マッキー(妙なワードが聞こえた気がするけど……今は無視して話を先に進めよう、うんそのほうが良い)


マッキー「つまり理事長が契約者ってこと?」

クローバー「ええ、長らく理事長をやっていた南なら音ノ木坂との縁は充分よ」

クローバー「ここを去ることになる本当に最後の時まで、荒廃していく学校のことを考えていたしね」

マッキー「契約者だということを理事長自身は――」


クローバー「知らないわよ?私が勝手にやったんだもの」

マッキー「はぁ……やっぱりか」ガクッ


クローバー「南からの相談で土地を調べていた時に土地神の存在については気付いていた」

クローバー「後々何かに利用できるように理事長である南と契約を結ばさてたのよ」

マッキー「本人に気付かれず契約って出来るものなの?」

クローバー「ええ、実印やら指紋やら髪の毛やら色んな体液やらをこっそり借りてこっそりやったわ」

マッキー「なんかもう想像したくなーい!」ブンブンッ



クローバー「――で、本当は南本人がここにいれば簡単に連携使役出来るんだけど、今は城にいるのよね」

マッキー「え、ええ」

クローバー「というわけで簡易的にこの南のパンツを使うわ!」バッ!

マッキー「なんでパンツ!?」

629 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 23:58:41 ID:nNY7I1A6
クローバー「本人が不在の時は本人が長く身に着けていた物品を所持してる人を代理人として認識するからよ」

マッキー「いや疑問はそこじゃなくて……いやそこもだけど……なんで今持ってるとかなんでハイソックスから取り出すとかさぁ……」


クローバー「これを私が履くと……」

スッ スッ

クローバー「さぁサトゥルヌスの左腕!私が代理人よ!言うこと聞きなさい!」ビシッ!


左腕『……っ!』ピタッ!


マッキー「おぉ……」ゴクッ

マッキー(クローバーが命令した瞬間、さっきまで振動していた左腕の動きがピタリと止まった)

マッキー(巨大な腕が、まるでクローバーに向かって頭を下げるかのように手首をもたげる)


マッキー(クローバーの履いている理事長のパンツは白衣越しに淡いピンクの光を発していた)

フワァァァッ

マッキー(すごい……本当に土地神の力を経由して巨大な左腕を支配下に置いたんだ……)

マッキー(その荘厳な光景に、果たしてパンツを直接履く必要はあったのかというツッコミさえも無粋に感じてしまう)


タタタッ

ハグカナーン「マッキー!あれが封印されていたパーツなの?」

オッパイ「お、おっきいね……」ゴクッ

アニメ穂乃果「とてつもないエネルギーを感じる、魔眼で直視できないよ……!」

630 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 23:59:01 ID:nNY7I1A6


マッキー「みんな……」

マッキー(左腕を見上げる私とクローバーの所に、講堂の中にいたメンバーが走って出て来る)


寿限無「真姫さんたちが一度退けたと聞いてたけど……本当にここにあったんだ」

クローバー「ええ、これが時を司るサトゥルヌスの左腕よ」

クローバー「あなたが言った通り旧魔王軍の戦いで傷つき撤退、音ノ木坂の土地神の力で修復を測っていた」

クローバー「もう片方のサトゥルヌスの右腕もまたディズニーシーの戦いで撤退、こっちは……」

マッキー「浦の星の土地神の力を利用している……!?」

クローバー「正解」


クローバー「右腕が東京から大きく離れた理由もそれよ、神の腕を修復できるほどの力に恵まれた土地はそれほど多くない」

クローバー「音ノ木坂と浦の星が偶然にも土地に膨大な力を有していたのよ」

マッキー「本当に偶然……?」

クローバー「さぁ?仲間内だと平行世界のどこかにミッシングリンク――隠された共通点があるって意見もあるけど、今はさほど重要じゃないわ」


梨子「そうね、内浦に雨中怪獣が落ちるまで時間がない……」

クローバー「ええ、これから腕を操って私たちが乗ってきた航空艦に上手く搭載するわ」

クローバー「あなたたちも一緒に船に乗り込みなさい、途中で城に寄って南を回収、急いで静岡県に向かう」

631 ◆WsBxU38iK2:2017/11/19(日) 23:59:16 ID:nNY7I1A6


梨子「分かった!トマノリたちを使って気絶してる人たちを運び込むわ!」

アニメ穂乃果「私も手伝うよ!」

タタタッ

マッキー(準備は整った、皆が慌ただしく荷物をまとめて航空艦へと走っていく)


ザッ

オカン「さて、あとはスピリチュアルマザーが上手くやってくれるのを待つだけやな」

クローバー「あの人なら大丈夫でしょう、頼んだ仕事を失敗したことは無いもの」


クローバー「それに――」

オカン「それに?」



クローバー「今あそこには、"もう一人のあなた"の娘がいるらしいじゃない?」



─────────────────

音ノ木坂跡・講堂〜校庭

AM8:05〜AM8:10 新終末編『226』了

632 ◆WsBxU38iK2:2017/11/20(月) 00:00:10 ID:HLguqAsc
というわけでここまで

どうにか詰めて次からは別のシーン!
さてどの時間から始めるか……

新終末編『227』に続く
かもしれない

633 ◆WsBxU38iK2:2017/11/20(月) 20:45:22 ID:HLguqAsc
新終末編『227』

─────────────────
──北方領土付近・上空

AM6:00


バババババババババッ

──飛空艇内・最上客室


マザー「はぁ……」

マザー(うちは外の景色を眺めながら大きく溜息をついた)

マザー「本当なら今頃はのぞみのいるモスクワで休暇を過ごしてるはずやったってのに、何が楽しくてこんな大陸の東の端まで来てるんやろう」

マザー(窓の外には分厚い雲から絶え間なく降る雪と、その雪が飲み込まれていく荒れた海しか見えない)

マザー(どこまで行っても同じ風景、良い客室を用意されてもこれじゃいい加減飽きて来るで……)


マザー「ふわぁ〜」

コンコンッ

マザー「……ん?」

マザー(大きくあくびと伸びした所で扉がノックされ、ビシッと船員風の制服を着た若い兄ちゃんが入ってきた)

船員「失礼します!」

マザー(見覚えがある……最初に客室に案内してもらった人と同じ人やね)

マザー(おそらくこの船の船員――ニシキノの会社の社員であろう緊張気味の兄ちゃんは、これまた形式張った話し方をする)


船員「み、ミセススピリチュアルマザー!船長がお呼びです!」ビシッ

マザー「はは……別に敬称は要らんよ、それに既婚でもないしな」

船員「そう……なのですか?」

マザー「マザーって名前でよく誤解されるけどうちは神に使えてる身、ピチピチの独身貴族や」

船員「こ、これは失礼しました、私はすっかり……そちらのテーブルにお子さんと写ってるかのような写真もありますので」

マザー「あぁ……」

マザー(船員の兄ちゃん、緊張気味なくせに妙な所に目ざといなぁ)


サッ

マザー(うちは窓際の椅子から立ち上がると、テーブルまで歩いていき写真をそっと持ち上げる)

634 ◆WsBxU38iK2:2017/11/20(月) 20:45:50 ID:HLguqAsc
マザー「この写真に写ってんのは実の娘やない、でも娘のように可愛がってる子や」

マザー「自分では勝手に親代わりと思っとる……まぁ年に数回しか会えないんやけどな」

マザー「普段の世話はママチカに任せっぱなしで情けないわ」ヤレヤレ


船員「大切に想っていらっしゃるのですね」

マザー「ああ……だから今回の休暇を利用して会いに行こうと考えてた……」

プルプル

船員「……?」

マザー「その矢先にニシキノのアホからの呼び出しやっ!やってられないわ!!」ドンッ!

船員「ひ、ひぃぃっ!すみません!」


マザー「あ……ごめんごめん、別に兄ちゃんが謝ることやないって」

マザー「船長が呼んどるんやろ?案内してくれる?」

船員「は、はいっ!」ビシッ


マザー(お仕事だから仕方ない、さっさと始めてさっさと終わらせよう)

マザー(うちは大切に写真をテーブルに置くと、壁にかけてあったコートを取って部屋を出ることにした)

タタッ

635 ◆WsBxU38iK2:2017/11/20(月) 20:46:12 ID:HLguqAsc




──飛空艇内・廊下


カツ カツ


船員「しかし……こんな東の果て、日本との国境近くに何の任務なのでしょう……」

マザー「ん?」

船員「あっ!私語ですねすみません!」


マザー「いや良いんよ、うちも無言で歩くより話しながらのほうが気が楽やで」

船員「お心遣い有難うございます」

マザー「……で、任務の内容だっけ、確かに国境警備でもないのにこの辺りに来るのは不思議やなぁ」

船員「はい、今船が飛んでいるのはロシアの領土である4つの島、日本政府が北方領土と呼称して返還を求めている領域です」

船員「色々とごたついてる領域ではありますが大きな戦争もない……本業が紛争商売であるスターニシキノが関わるのは不自然な気がします……」

マザー「せやねぇ」

マザー「今置きてる大きな紛争と言えば、日本で突発的に発生した大規模異常災害と、いくつか確認されてる未確認巨大生物の侵攻」

マザー「諸外国も救援にしろ攻撃にしろ、それなりに装備が欲しい状況、そこと商売をするのがニシキノ的には自然やなぁ」


マザー(うちの補足に気を良くしたのか、前を歩く兄ちゃんはウンウンと頷きながら話を進める)

船員「更にですよ、そこに慈善事業を行っているスピリチュアルマザーさんを運ぶだけの任務と来た」

船員「異常事態が起きている日本国内を避けてわざわざ何もない場所にです」

船員「どうも私たち下っ端には知らされていない裏があるような……」

636 ◆WsBxU38iK2:2017/11/20(月) 20:46:43 ID:HLguqAsc
マザー「くくっ、そういうのって下っ端が首突っ込んだら死亡フラグってやつやない?」

船員「へ……あ、ああっ!?」


マザー(少し低い声で脅かしたら兄ちゃんは面白いように慌てふためく)


マザー「ははははっ、大丈夫やって、うちは外部の人間やから気にせんよ」

船員「はぁ……どうかくれぐれも上司には内密に……」


カツ カツ

マザー(うーむ……話を合わせて適当にスルーしようとも思ったけど、少しくらいなら教えてやってもいいかな)

マザー(何も知らんで働くのは退屈やしね)


カツンッ

マザー「じゃ、知りたがりな年頃の兄ちゃんに少しだけヒントをやろうか」

船員「え?」


マザー「国と国が領土を主張し合うからには、そこに何かしら利益があるからに決まってる」

マザー「宗教上の聖地、膨大な資源、漁や航路のための海域、軍事的な防衛ライン、故郷を追われた人々、理由様々やけど……」

マザー「その中の1つに魔術的に意味のある土地ってのがある」

船員「魔術……」


マザー「レイライン、龍脈や地脈の交差点、地球が自然に作りあげたスピリチュアルなパワースポット」

マザー「それらは表には知らされないだけで、様々な歴史上のカバーストーリーの裏で争奪されてきたんや」

船員「その1つが……北方領土のある領域だと……?」


マザー「せや、この領域の海底には日本政府もロシア政府も知らない魔術的に特異点が存在する」

マザー「それをうちらは……>>637と呼んでるんや」

637名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 20:49:05 ID:JVmOMngo
レヴィアタン

638名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 20:49:42 ID:vKeKMsnA
霊水源

639 ◆WsBxU38iK2:2017/11/20(月) 21:32:52 ID:HLguqAsc
マザー「それをうちらは……『レヴィアタン』と呼んでるんや」


船員「レヴィアタン……聖書の海魔の名前ですか……」

船員「名前通りの怪物が眠ってるのか、はたまた怪物の名を冠した――むぐっ!」

マザー「そこまでや」


マザー(うちはお喋りな船員さんの口を指で塞ぎ、顔を近付けて優しく微笑む)

マザー「もうブリッジも近いし、このお喋りを他の人に聞かれると不味いんや」

マザー「これは2人きりの秘密な……良い?」ボソッ

船員「……」コクンッ コクンッ

マザー「ふふっ」


マザー(顔を赤くした兄ちゃんは大人しく首を縦に振る)

マザー(可愛いなぁ、年下の若い子はみんな自分の子供みたいに可愛い)


マザー(職業上、人心掌握はお手の物だし、うちの美貌を持ってすれば変な技術使わんでも並みの相手なら手玉に取れる)

マザー(特にうちに好意のありそうな子をからかって遊ぶのは本当に楽しい)

マザー(ちょっとお話するだけでピチピチの若い子を性別関係なく堕としほうだいやで……くくくっ、はーはっは!)



マザー「はぁ……でも独身なんやよなぁ」ガクッ

船員「え?」

マザー「なんでもない」

640 ◆WsBxU38iK2:2017/11/20(月) 21:33:16 ID:HLguqAsc
マザー(遊びで相手を手玉に取るのは得意なのに、本命となると上手く行かんのがうちの人生)

マザー(結婚の話どころかマトモな交際さえ経験しないままこの歳や……)

マザー(聖職者だから、慈愛の母だから、みなしご皆のマザーだから――と自分に言い聞かせてはいるけど、やっぱ憧れは捨てられへんなぁ)

マザー(ママチカに会う度どこか負けてる気がするのもこういうコンプが――)


船員「マザーさん?この扉の先がブリッジですよ?」

マザー「お、おう!」バッ!

船員「なんか元気なくなりました?」

マザー「そんなことないでー!」


マザー(いやいや、今は仕事に集中せんと)

ガラッ

マザー(うちは扉の脇に避けた船員に軽くお礼を言い、ブリッジと書かれた扉を開けた)

641 ◆WsBxU38iK2:2017/11/20(月) 21:33:51 ID:HLguqAsc




──ブリッジ


マザー(ブリッジ――操舵室には船長を含めこの船の偉いやつらが集まっていて、奥には操舵に必要な機器類と窓越しに前方の景色が見える)

船長「おぉ……スピリチュアルマザー、来てくれましたか」

マザー「そりゃ呼ばれたからな」ガシガシ

マザー(目線を外してぶっきらぼうに自分の髪を�惜く、あんまりオッサンと話しても楽しくないねん)


船長「休息してた所をすみません」

マザー「別に……それで何の用や?着陸まではまだ時間あったはずやろ?」


船長「はい、少々トラブルが置きまして……」

船長「着陸しようと周回して様子を見ていたのですが、さっき下で>>642があって着陸が出きなさそうなのです」

642名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 21:39:49 ID:EGh6C5iU
天使復活祭

643 ◆WsBxU38iK2:2017/11/20(月) 22:52:00 ID:HLguqAsc
船長「天使復活祭がという祭りをやってるようで……着陸できなさそうなんですよ」

マザー「はぁ……?」ギロッ

船長「ひっ!」

ザワザワ ザワザワ ザワザワ

コワイナ ザワザワ アノオバサンコワイナ

マザー「ああんっ!?」ギロッ

船員ズ「ひぃっ!」

マザー「そこ聞こえとるで、うちはギリギリお姉さんや……」ピキッ

船員ズ「は、はい!」



マザー「……で、なんで祭り程度で着陸ができへんの?気象や滑走路なんかならまだ分かるけどさ」

船長「せせせ説明しますとですね……このニシキノ製飛空艇は特殊な設計をされてるので風などでバランスを崩すことはありませんし」

船長「飛行機とは違って船体分だけのスペースがあれば何処でも垂直に着陸することができます」

マザー「ほー……」


船長「ですが今回着陸する予定地点には……その僅かなスペースさえ無いのですよ」

船長「こちらに船のカメラが捉えた映像があるので見てください」ピッ

マザー「んんん?……なっ!」

644 ◆WsBxU38iK2:2017/11/20(月) 22:52:37 ID:HLguqAsc
マザー(船長がモニターに映したのは丁度この船が浮いてるエリアの真下に当たる地上の映像)

マザー(その地上を埋め尽くさんばかりに人間が集まっていた映像だった……!) 


船長「見れば分かる通り……まるで都心でパレードをしてるような人口密度、それが着陸ポイント付近を埋め尽くしています」

船長「そこから離れると密度は少し下がりますが、それでも島中が人でごった返してる状態ですよ!」

マザー(人の波、波、波、あまり過密な人の群れは寒空の下で湯気まで立ち昇らせている)

マザー(参加している人種も様々で服装にも統一性が感じられない……)


マザー「どういうことや?北方四島を合わせたとしてもこんな人数いないやろ」

船長「私も同意見です、おそらく何かの理由で島外から人が来てるのかと……」


マザー「ふむ……」ジーッ

マザー(うちはモニターを注意深く見る、最も人口が集中している地点では天使を模した像がジャパニーズ神輿のように掲げられていた)

マザー(近くの垂れ幕には天使復活祭と書かれているし、更には出店らしき店も出ている、これが船長が祭りと判断した理由やね)

645 ◆WsBxU38iK2:2017/11/20(月) 22:52:58 ID:HLguqAsc


ピクッ

マザー(……ん?さっきは服装に統一性が無いと思ったけど、天使の神輿を担いでるやつや、出店で物を売ってるやつ、人の波の中心で祭りを扇動してるやつ)

マザー(注意して見るとこいつらは同じ服を着てることに気付く、どこか宗教色のある服や……)

マザー(どこかのカルト集団が終末論に発狂して騒ぎでも起こしとんのか?)

マザー(まぁ今回は本当に日本終わってもおかしくないし、あながち妄想とは言えんが……)


マザー(てか天使か……天使を崇める団体で、尚且つこの周辺の土地で活動していた団体)

マザー(まさかこいつら……>>646か?)

646名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 22:58:42 ID:vKeKMsnA
T・K・B隊(天使に心から罵倒され隊)

647 ◆WsBxU38iK2:2017/11/20(月) 23:58:22 ID:HLguqAsc
マザー「まさかこいつら……T・K・B隊か……?」

船長「TKB隊とは……?」

マザー「正式名称は天使に心から罵倒され隊、北日本から千島列島や樺太南部、極東ロシア沿岸まで幅広く活動するカルト集団や」

マザー「名前の通り天使に罵倒されることを喜びとする集団で、天使の伝承がある場所に集まっては迷惑行為をすることで知られとる」

マザー「一回ロシア側でやたら増殖して西に侵攻してきた時期があって、うちらスピリチュアル教団がボランティアで叩き潰したんやけど……」

グッ

マザー「やつら、まだこんなに生き残ってたんか――」



船長「島にいるのは全員他の地域から逃げてきたTKB隊でしょうか?砲撃で散らします?」

マザー「いや……TKB隊は半分くらい、現地民やTKB隊に騙されて他から連れてこられたロシア人日本人もいる」

マザー「迷惑とは言えカタギの人間に武器を向けるわけにはいかんよ」


船長「ではどうする――」

マザー「こうすんやっ!!」ブンッ!

ドンッ!

マザー(うちが軽く振った拳がブリッジの壁に当たると、外壁が円形に吹き飛び粉々になった)

バゴォォォォンッ!!!!

船長「ひぃっ!」

マザー(破片は粉々になり、まるで機械を使ったように綺麗な円形の穴が開く)

648 ◆WsBxU38iK2:2017/11/20(月) 23:58:37 ID:HLguqAsc


ヒュゥゥゥゥッ

マザー「おぉさむさむ、厚手のコート持ってきて良かったなぁ」

船長「ちょっ!何を!?というかどうやって壁に穴を!?」


マザー「んー?船が降りられないならうちが直接飛び降りるわ、修理代はニシキノにつけといてな」

マザー「あんたらはうちが戻ってくるまで空中で待機、おーけー?」

船長「お……おーけー……」

マザー「よしっ」ニコッ


タンッ!


マザー(うちは穴から飛び出すと、飛空艇の外壁を蹴って躊躇なく身を投げ出す)

マザー(下から雪混じりの冷たい風が打ち付けるが問題ない、軽いスカイダイビングや)

ビュォォォォォォォウッ!!



マザー「さて、まずはTKB隊の問題から片付ける必要がありそうやな――」









──祭り中心部



ワッショイ!


ワッショイ! ワッショイ!


ワッショイ! ワッショイ! ワッショイ!


信者「天使様サイコー!」  

信者「天使様もっと罵ってー!」


ウォオオオオオオオオオオオッ!!!!



コトーリ「はぁ……めんど」



─────────────────

北方領土上空

AM6:00〜AM6:10 新終末編『227』了

649 ◆WsBxU38iK2:2017/11/20(月) 23:59:35 ID:HLguqAsc
というわけでここまで

マザー北国編スタート
あの人たちもそのうち合流するかと

新終末編『228』に続く
かもしれない

650!ken:99:2017/11/21(火) 16:11:29 ID:8JjWbNkQ
をつ

ぼくもコトーリに罵倒されたい

651 ◆WsBxU38iK2:2017/11/21(火) 20:36:37 ID:LCkZVZ32
新終末編『228』

─────────────────
──天使復活祭会場

AM6:10


ワッショイ! ワッショイ!

ウォォォォォォォォォッ!!


コトーリ「はぁ……」


コトーリ(ほんとうになんなんだろ……このじょーきょー)

コトーリ(へんな『さいだん』のうえにすわらされて、たべものやのみものをまわりにおかれてる)

コトーリ(さいだんのまわりでは『へんなしゅうだん』がおまつりさわぎしててうるさいし)

コトーリ(さらにわるいことに、うみたちのすがたもない、わたしはどうすれば……)


??「……」ジーッ

コトーリ「……ん?」

??「むっ!?」

コトーリ「あなたは……」

??「ココロ!?ココロのことをお呼びになりましたか天使様!気になりましたか!?」

コトーリ「いや、そんなちかくでまじまじてみられてたらきになるよ」

??「はぁぁぁうっ!ありがとうございます!ココロの名前は信々ココロと申します!」ペコリ


コトーリ「こころ……」ジーッ

ココロ「あうぅっ!天使様が私のことを蔑んだ視線で見てるぅぅっ!」ビクンッ!

652 ◆WsBxU38iK2:2017/11/21(火) 20:37:11 ID:LCkZVZ32
コトーリ「……そうだな、こころでいいや、はなしあいてになってくれる?」

ココロ「ぜひ喜んでっ!しかしどうしてココロを選んでくださったのです?」

コトーリ「ほかにいないから」

ココロ「……?」


コトーリ「まわりでさわいでるひとたちさ、わたしにはなしかけてこようとしないんだよ」

コトーリ「たべものをはこんできてるおんなのこたち?にはなしかけてもむしされるし」

ココロ「なるほど、崇めるわりにコミュニケーションを取らないことを不思議に思ってたのですね」

コトーリ「うん、みたとこなにかのしゅうきょうけいのしゅうだんでしょ」

コトーリ「しんこうのたいしょうをしんせいしするのはわかるけど、こうもむしされるとやりにくいよ」


ココロ「すみません、しかし許してください、皆様勇気が出ないのですよ」

コトーリ「ゆうき?」

ココロ「ココロ……じゃなく私、たちの教義、つまりTKB隊の教義では天使様に接触することは禁止されていません」

ココロ「むしろ積極的に会話や行動を起こして天使様に怒られることが推奨されているのです」

ココロ「天使様に罵倒されることこそ最上の喜びですからっ」ニコッ

コトーリ「ああ……けっこうゆがんだやつだこれ……」

653 ◆WsBxU38iK2:2017/11/21(火) 20:37:59 ID:LCkZVZ32


ココロ「ですがいざ天使様ご本人を前にすると緊張しちゃうんでしょうね、ココロから見ると皆ガッチガチですよ」

ココロ「天使様の像や絵画相手なら余裕でぶっ壊したり落書きしたりできる方たちなのに……その手の教会だっていくつも廃墟にしてきた実績持ちです」

コトーリ「めいわくこのうえないね」

ココロ「ようは天使様の威光にヘタれてるんですよ、ぜひ叱ってやってください」

コトーリ「むだによろこぶからやだ」

ココロ「ひゃーっ!天使様がココロの意見を拒否してむっとしたー!気持ちいいぃぃ!」

コトーリ「…………」


コトーリ(もうなにもいわないのがいちばんなんじゃ……)

コトーリ(いやいや、それだとじょうほうしゅーしゅーができない、がまんしてはなしをきこう)


ココロ「……天使様?」

コトーリ「ええと、じゃあこころはどうしてはなしをしてくれたの?」

ココロ「はい!ココロはTKB隊を率いる幹部の1人である信々ドエムの娘ですから、わりと偉いのです」

ココロ「ドエムお父様は言ってました、『偉い人には偉い人の責任がある、お前は皆の手本になって積極的に天使様に罵倒されなきゃいけないんだぞ』と」

ココロ「だからココロは率先して天使様に話しかけてるわけですね」

コトーリ「…………なるほど、いろいろとわかんないけどわかったことにする」

654 ◆WsBxU38iK2:2017/11/21(火) 20:38:16 ID:LCkZVZ32


コトーリ「ほかのえらいひとたちは?」

ココロ「ここにはいませんね、さっきまでテンシお姉様はいましたが……どこかに行ったみたいです」

コトーリ「おねえさま……きょうだいがいるんだ、てんしにこころってきれいななまえだね」

ココロ「はい、ココロたちは三姉妹、それぞれTKB隊の意味を借り受けて、信々テンシ・信々ココロ・信々バトウと名付けられました」

コトーリ「うん……ぜんげんてっかい」


ココロ「天使様、他にご質問は?」

コトーリ「ほかか、ききたいことはたくさんあるけど、まずは>>655

655名無しさん@転載は禁止:2017/11/21(火) 20:44:34 ID:3n/z3QAo
背中に生えてる天使の羽について

656名無しさん@転載は禁止:2017/11/21(火) 20:44:50 ID:Vp1jfpNc
3サイズは?

657 ◆WsBxU38iK2:2017/11/21(火) 21:47:35 ID:LCkZVZ32
コトーリ「せなかにはえてるてんしのはねは……なに?かざり?」

ココロ「これですか?本物ではありませんが飾りでもありませんよ」

コトーリ「え?」

ココロ「そうですね……見ますか?」スッ


コトーリ(こころはそういうと、ふくのえりをゆるめてせなかがわをはだけ、わたしのほうにせなかをむける)

コトーリ(こころたちのきてるふくは、かいぞうされたしろいしゅうどうふくのようなもので、せなかにははねをとおすあながあった)

シュルリ

コトーリ(あらわになったせなか、すはだからちょくせつはねがはえてるのがありありとわかる……)


ココロ「驚きました?ココロたちは特別な薬を使って羽を生やしてるのです」

ココロ「天使化薬と言って上級幹部ならみんな服用していて……天使様の言う"偉い人"とそれ以外を見分ける目印だと思って貰えればよいかと」

コトーリ「……うごかせるの?」

ココロ「少しは、ただ天使様みたいに空を飛ぶのは無理ですよ」クイクイッ

658 ◆WsBxU38iK2:2017/11/21(火) 21:47:59 ID:LCkZVZ32


コトーリ「……ふむ」

コトーリ(てんしかやく……か、ただのどえむしゅうだんだとおもったけど、いがいとあぶないぎじゅつもってるのかも)

サワッ

ココロ「ひゃうぅっ!羽に触るなら触ると言ってください天使様ぁ!」ビクッ

サワサワ

コトーリ(てんしかだなんていっても、このはねがじゅんすいなてんしのものなわけがない)

コトーリ(それに、ひととひとでないものをごうせいさせる、そんなのかんたんなことじゃない)

コトーリ(『まり』みたいなてんさいがいるのか、たんにじんちをこえるかがくにてをだしたのか)

コトーリ(とくにこうしゃならきけんすぎる……)


ココロ「あの……次はココロから質問よろしいでしょうか!」

ココロ「ダメでも質問します!そしたら怒ってください!罵ってください!」

コトーリ「いや、ぜんぜんいいよ」

ココロ「はぁ……ちょっとがっかりですがありがとうございます」

コトーリ(すごいめんどくさいな)

659 ◆WsBxU38iK2:2017/11/21(火) 21:48:26 ID:LCkZVZ32


ココロ「天使様はどうしてこの島に来られたのです?海岸で倒れていたところを信者たちに助けられたと聞きましたが」

コトーリ「うーん……らちされたのまちがいだとおもうよ」

ココロ「お?罵倒ですか?」

コトーリ「じじつだよ」


ココロ「またまたぁ」

コトーリ「ともかく……わたしたちはふねでうみをわたっていたの、もとのばしょにもどるためにね」

コトーリ「でも>>660がおきて、このしまにうちあげられてしまった」

660名無しさん@転載は禁止:2017/11/21(火) 21:51:09 ID:.Qv.QNVk
希がタロットカードが無いことに気付いて暴発した

661 ◆WsBxU38iK2:2017/11/21(火) 22:55:11 ID:LCkZVZ32
コトーリ「のぞみがね、じぶんのたいせつにしてたたろっとかーどがないことにきづいてぼうはつしたの」

ココロ「暴発?」

コトーリ「うん、どかーんって」

ココロ「それは爆発では?」

コトーリ「そうともいう、のうりょくのぼうはつによるばくはつだね」


コトーリ「ぼうはつのしくみはわたしはよくわかんない、たぶんゆきのなかでむりやりちからをつかったから……だとおもうけど」

コトーリ「そのばくはつでふねはてんぷく、みんなばらばらになっちゃった」

ココロ「なるほど……大変でしたね、お仲間の天使様たちも早く探しませんと」

コトーリ(てんしはわたしだけなんだけど、それはいわないほうがいいかな……)


ココロ「仲間に伝えて付近の海岸を捜索させますね!」

コトーリ「う、うん」


コトーリ(ほんらいならこころたちのてをかりずに、わたしひとでさがしたほうがぜったいにいい)

コトーリ(でも……いまのわたしはしんえんにしんしょくされて、さらにせいめいりょくまでうばわれている)

コトーリ(こころのてまえ、きをはってるけど、じつははしるのすらちょっときつい)

コトーリ(まわりのやつらのきがかわっておそってきたら……いまのわたしじゃあぶないかも)

662 ◆WsBxU38iK2:2017/11/21(火) 22:55:45 ID:LCkZVZ32


ワッショイ! ワッショイ! 

ワッショイ! ワッショイ!


コトーリ「あのさ……きいてなかったけど……まわりでさわいでるのはなに?」

ココロ「祭りですよ、天使様が発見されたことを喜び天使様を崇めるお祭りです、お店も出てるんですよ」

ココロ「その名も天使復活祭!」


ココロ「賑やかなのは信者以外の一般の人もいるからですねぇ」

コトーリ「しんじゃいがいもいるの……?」

ココロ「はい、今世界で頻発している天変地異、これは終末の訪れに違いありません」

ココロ「私たちTKB隊は各地で終末に怯える民草たちを導き、この聖地へとやってきました」

ココロ「そして天使様と出会った、正に奇跡です、これで復活祭を行わずにいられるでしょうか!」バッ!


コトーリ「……そのまつり、わたしはここにすわってるだけでいいの?」

ココロ「ふっふっふ、実は祭りにはこの後にメインイベントである>>663があってですね――」

663!ken:99:2017/11/21(火) 23:23:59 ID:8JjWbNkQ
†罵りの天使†降臨の儀式

664 ◆WsBxU38iK2:2017/11/21(火) 23:58:42 ID:LCkZVZ32
ココロ「†罵りの天使†降臨の儀式があってですね……」

コトーリ「いいよかんはしないいべんとだ」

ココロ「何を言ってるんですか!復活祭で楽しくてエキサイティングなイベントですよ!」

ココロ「そりゃもう何が楽しいって――」


ヒューーッ! 

ドォォォォォンッ!!!!


コトーリ「……っ!」

ココロ「な、何事ですかっ!?」

コトーリ「とおくでおと、くうきのゆれとじめんのしんどう……たぶんばくはつかな」

ココロ「爆発!?」

コトーリ「でも……おとにくらべてしんどうがちいさい、それにかやくのにおいがしない、みょうなかんじがする――」

タタタッ!

信者「ココロさん!」


コトーリ(おとからすうびょうご、ほかのしんじゃがさいだんをのぼり、こころにはなしかける)

信者「敵の襲撃です!敵は爆炎を使って罪のない人々を散らしつつ、この祭壇へ向かっているそうです!」

ココロ「なんですって!?」

コトーリ(このしんじゃもはねつき、わりとえらいやつか)

665 ◆WsBxU38iK2:2017/11/21(火) 23:58:53 ID:LCkZVZ32


ココロ「どうして侵入を許したんです!島の周りはTKB隊の精鋭で警備を固めていたはずでしょう!」

信者「それがおよそ数分前に生身で上空から祭り会場めがけ降下してきたとのことです」

信者「不意をついての襲撃に加え、祭りの最中のためTKB隊以外の人々が混雑していて、隊内の連携が上手く取れていません!」

信者「ここへの報告が遅れたのもそのせいだと思われます」

ココロ「くっ……」


ピピピッ

信者「通信だ、はいこちら……なに?」

コトーリ(はねつきがでんわらしきものをみみにあて、いっそうけわしいかおつきになる)


信者「ココロさん、敵の正体が判明しました」ピッ

ココロ「誰!?」

信者「敵は我々の敵対組織リストに乗っている組織、スピリチュアル教団――」


信者「その幹部、スピリチュアルマザーです!」


─────────────────

天使復活祭会場

AM6:10〜AM6:15 新終末編『228』了

666 ◆WsBxU38iK2:2017/11/21(火) 23:59:22 ID:LCkZVZ32
というわけでここまで

マザー降下

新終末編『229』に続く
かもしれない

667!ken:99:2017/11/22(水) 00:28:23 ID:UT7ZUinI
をつ

668 ◆WsBxU38iK2:2017/11/22(水) 20:33:43 ID:3/ej1B8k
新終末編『229』

─────────────────
──天使復活祭会場

AM6:15


チュドォォォォォォンッ!!

ドゴォォォォォォォンッ!!


マザー「ほーらほら!急いで逃げへんと爆発に巻き込まれてまうでー!」


ギャァァァッ! 

ウワァァァァァァァッ!!

マザー「くっくっく、面白いように逃げてくなぁ……」


マザー(うちが歩きながら投げてるのはパチンコ玉に似た小さな金属の玉)

マザー(手掴みでポケットから適当に何個か掴み、スナップを効かせて銃にばら撒く)

バララララッ

マザー(投げられた玉は地面や店の骨組みなんかに当たると、与えられた衝撃で金属殻が割れて爆発、中からド派手に大きな爆炎が出ると共に轟音が鳴り響く)

マザー(けど爆発の跡で何かが燃えたり壊れるということはない、これはあくまで脅しの道具)

マザー(ようは投げると爆弾っぽいリアルなエフェクトが現れる玉、こけおどし爆弾ってとこやね)

669 ◆WsBxU38iK2:2017/11/22(水) 20:34:01 ID:3/ej1B8k
マザー(ただ……こんなものでも集団パニックを起こさせるには充分な武器)

ポイッ

バララララッ チュドォォォォォォンッ!!

ギャァァァァァァァッ!!


信者ズ「おいっ!誰かあいつを止めろ!」

信者ズ「ダメです……人の流れが強すぎて……こちらからは近付けなぐうぅぅ!」

ドドドドドドドドドドドドッ


マザー(スターニシキノ艦が一般人の盾を前に強行着陸や発砲ができないのなら、こっちも同じことをしてやればいいんよ)

マザー(爆発による恐怖で群衆を無意識に操るなんてたやすい、うちが歩くのに邪魔なら手前に玉を投げ散らし、信者が向かって来そうなら信者との間に壁ができるよう扇動する) 

マザー(思うままに人の壁を形成し信者共を妨害しつつ、うちが快適に歩く道を作れる環境)

670 ◆WsBxU38iK2:2017/11/22(水) 20:34:52 ID:3/ej1B8k


マザー「今のところは思ったより楽に進めてるねぇ……ん?」

ザッ


マザー「あれは……」

マザー(こけおどし爆弾を投げながら歩いて数分、どうやら祭りの中心部まで来れたらしい)

マザー(目の前には宗教的な意匠を持った大きな祭壇があり、祭壇の上部には三人の人がいる)

マザー(明らかに一般人とは違う服装、TKB隊の関係者か……)


羽つき信者「ココロさんはここにいてください!私が排除してまいります!」

タンッ!!

マザー(祭壇の上にいたうちの1人、背中に羽の生えた信者がこっちに向かって飛び降りてきた)


マザー(信者はうちの目の前に降り立つと>>671)

671名無しさん@転載は禁止:2017/11/22(水) 20:37:06 ID:Sn49eHog
ワシワシMAXをしてきた

672 ◆WsBxU38iK2:2017/11/22(水) 21:39:17 ID:3/ej1B8k
マザー(うちの胸めがけて手を伸ばし胸を鷲掴みにしてきた!)

羽つき信者「ワシワシMAXです!」

ワシワシワシッ!!


マザー「……はっ、なにマックスやって?そんなんじゃ全然感じへんなぁ」

羽つき信者「え?」

マザー「ワシワシするってのは……こういうことやでっ!!」

ワシワシワシワシワシワシッ!!

羽つき信者「んっ、んんんんっ!!」

マザー(うちはお返しとばかりに信者の服の中に手を突っ込み胸を揉みしだく)

マザー(声で女の子とは分かってたけど……わりと良いモノ持ってるな、感度も良いし柔らかい、大きさも下手したら両手から溢れてしまう)

マザー(修道服みたいな帽子を深く被ってるせいで顔が上半分隠れて見えないのが少し残念)


ココロ「同士!!」


マザー「おっと上の奴らも動くんやないで、下手に動いたらこいつの乳もぎ取ってしまうかもしれへんよ」

ココロ「くっ……」

マザー(うちは捕まえた羽つき信者を反転させて背中側から手を回し胸を掴む)

673 ◆WsBxU38iK2:2017/11/22(水) 21:39:53 ID:3/ej1B8k
マザー(自分で言ったけどこれ脅しになるんかな……てか上の子も可愛いな)


マザー(すごい慌てたTKB隊の服を着た黒髪の子が1人と……妙に落ち着いてる普通の服の子が1人)

マザー(後者の子は格好だけ見れば祭り客と同じ一般人だけど、明らかに普通の人間とは違う)

マザー(全身の肌は雪のように真っ白で、肩口で切りそろえられた髪も同じように真っ白)

マザー(せやけど髪の先、腕の肘から先、足のふくらはぎから先が真っ黒に変色している)


マザー(何より特徴的なのは背中から生えている複数の翼、信者たちが付けている偽物とは違う匂いがする)

マザー(あれが復活祭に捧げられた天使役……ちゅうことか?それにしてはカジュアルな服装やな)


コトーリ「…………」

マザー(やけに落ち着いた目、爆弾魔と知らされるはずのうちを前にしても全く動揺していない)


羽つき信者「くっ……この……離しなさい……」

マザー「えいっ」モミモミッ

羽つき信者「ひゃんっ!あ、あかんっ!」ビクッ!


コトーリ「……ん?」ジーッ


羽つき信者「……わ、私を人質にしても無駄なことです!TKB隊の同士は私のことなど気にしません!」

674 ◆WsBxU38iK2:2017/11/22(水) 21:40:11 ID:3/ej1B8k
羽つき信者「すぐにでも同士がお前を取り囲んで滅殺するでしょう!」

マザー「ああ……せやろうなぁ」

羽つき信者「え?」


ザザザザザザッ!!

マザー「もう着たようやで、仕事の早いことや……」


マザー(おっぱいデカ子を人質にとったうちを中心に、周囲を十人以上の信者が取り囲んだ)

マザー(全員が羽つきで老若男女入り乱れ、しかも手には武器らしきものを持っているから戦闘員やな)


戦闘員信者「全員強化!」

信者「強化!」ポンッ!

グイッ! ゴクンッ!

マザー(何かを飲んだ、薬か……?)


戦闘員信者「ぐっ、うおおおおおおおおおっ!!」

メリメリメリメリッ!!!!

マザー(薬を飲んだ戦闘員たちの羽が更に肥大化する、そして体は>>675)

675名無しさん@転載は禁止:2017/11/22(水) 22:04:35 ID:B3ckjscg
亀甲縛りになっていた

676 ◆WsBxU38iK2:2017/11/22(水) 22:37:49 ID:3/ej1B8k
マザー(そして体はどこからか出現した複数の紐に服の上から亀甲縛りにされる)

シュルルルッ! ビシィィッ!!


戦闘員信者「ぐぅぅぅっ!」

信者ズ「ふぅぅぅっ!」

メキメキメキメキメキメキメキメキッ!!

マザー(体がキツく締められれば締められるほど信者たちは紅潮し、比例してニ対の羽はどんどん大きくなっていく)

マザー(まるで自らを痛めつける喜びを羽を育てるエネルギーに変換しているような……)


戦闘員信者「ふしゅぅぅぅ!さぁ皆さん!強化された私たちの力を見せるのです!」

信者ズ「はいっ!」

バサササササッ!


マザー「うーむ、こりゃ一回逃げたほうがええか……」

羽つき人質信者「逃げる?無駄ですね、強化された同士の包囲網からは逃げられません!」

マザー「はっ、うちを侮ってるようやな、この程度の危機を脱せないでスピリチュアル教団の幹部なんかやってへん」

羽つき人質信者「またあの爆弾でも使う気で?」

マザー「あれはオカンから買っただけの秘密道具、うちの"力"やあらへん」


マザー「うちの力は……>>677

677名無しさん@転載は禁止:2017/11/22(水) 23:34:55 ID:60ObEe8A
エアワシワシ

678 ◆WsBxU38iK2:2017/11/23(木) 00:36:57 ID:RjHz3UOs
マザー「うちの力は……エアワシワシや!」

バッ!!

マザー(うちはおっぱいちゃんを捕まえてる手とは逆、空いてるほうの手を遠くの信者に向ける)

マザー(そして指で何も無いはずの空中を揉むと――)

ワシワシッ!


信者ズ「ふぐぅぅぅっ!?」

信者ズ「はぅぅっ!?」

ビクビクビクビクッ!! プシューーッ

マザー(遠くの信者たちが悶絶して地面へと落ちていく)



マザー「エアワシワシ――マシンガン」

羽つき人質信者「なっ!?何を……」

マザー「おっぱいちゃんのおっぱいを揉んでるの理屈は同じ、ただ遠距離でやったっだけや」モミモミ

羽つき人質信者「んんっ!え……遠距離?」

マザー「そう、エアーで信者共のあそこやあそこにワシワシする感触を与えて果てさせた」

マザー「見た感じあんたらの『強化』ってのは苦悶の快感で身体能力を上げてるんやろ」

マザー「ならエクスタシーを解放させてやれば強化は終わる、簡単な話や」

羽つき人質信者「……っ!」

679 ◆WsBxU38iK2:2017/11/23(木) 00:37:35 ID:RjHz3UOs
マザー「じゃ、このままどんどんワシワシしてさっさと逃げ……」

戦闘員信者「隙ありっ!」ダッ!

マザー「ちっ」

マザー(人が楽しく解説してるところで背中側から信者が高速で飛来してきた)

マザー(二枚の羽で人体の重量を飛ばしてると考えるとかなり速いと言える)


マザー(ま、隙あり言うても全然隙じゃないんやけどな……ちゃんと見えとるし)

戦闘員信者「たぁっ!」

マザー(こいつもエアワシワシで倒して、さっさと逃げ――)


コトーリ「てんしきっく」ヒュンッ!


マザー(……る必要はなかった)


マザー「は……?」

マザー(祭壇の上から飛来した白い一撃、それによって背中側に迫っていた信者は吹き飛ばされる)

マザー(すごいな……こっちはうちの目でも捉えきれんかったで……)


マザー「祭壇の上にいた白い女の子やな、今のはキックか?脇に抱えてるのは一緒にいた信者の子?」

コトーリ「わたしはことーり、いまはじかんなさそうだからかんけつにいうね」

コトーリ「わたしはらちされてここにきた、なかまさがしたい、いっしょににげたい、ていあん、おーけー?」

マザー「オーケーオーケー、信者倒したってことは仲間やないんやろ、提案にのるで」

コトーリ「れいをいう、かかえてるのはわたしのひとじち」

ココロ「ひ、人質っ!?」ニマー

コトーリ「よろこぶなきもい」ペシッ

ココロ「ぐへへへへ……」

680 ◆WsBxU38iK2:2017/11/23(木) 00:37:53 ID:RjHz3UOs


マザー(そういう会話をしてる間にも周りをどんどん信者に囲まれていく)

マザー「うちはマザー、コトーリちゃんは戦うと強いほうなん?」

コトーリ「ぐもん、わたしはむてき」ムフー

マザー「ほう……」


マザー(コトーリちゃんはドヤ顔で胸を張る……がすぐに目が少し泳ぐ)

コトーリ「まぁ、でもいまはもろもろのじじょうでちょうしわるい、まざーががんばってくれるとたすかる……かも」

マザー「了解」

マザー(弱気な原因はその腕や足なんやろうか……後で聞いてみよっかな)


コトーリ「それと、まざーがつかまえてるしんじゃははなさないで」

マザー「この子?」

コトーリ「うん」コクンッ


コトーリ「まだかくしょうはないけど……もしかしたらそのこ」ジーッ

羽つき人質信者「…………?」


コトーリ「わたしのなかまのひとりかもしれないから」


─────────────────

天使復活祭会場

AM6:15〜AM6:17 新終末編『229』

681 ◆WsBxU38iK2:2017/11/23(木) 00:38:40 ID:RjHz3UOs
というわけでここまで

次は脱出

新終末編『230』に続く
かもしれない

682!ken:99:2017/11/23(木) 19:29:01 ID:1gGKAvHQ
をつ

683 ◆WsBxU38iK2:2017/11/23(木) 20:10:30 ID:RjHz3UOs
新終末編『230』

─────────────────
──天使復活祭会場

AM6:17

 
人質信者「は……?私が仲間……」

コトーリ「そう」

人質信者「バ、バカを言え、そんなはずは――」

バサササササッ!

信者ズ「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

ドドドドドドドドドドドドッ!!


マザー「とにかく話は逃げた後や、うちから見て10時の方向が手薄だからそこを一転突破するで!」

コトーリ「わかった、ぜんりょくでまざーについていく」

マザー「心強いな……じゃあ行くで」

ダンッ!

マザー(うちは人質おっぱいちゃんを抱えたまま走り出し、片手を突破する信者の方へ向ける)


マザー「ちょっと手荒や、堪忍な」

マザー「エア――ワシワシ!!」

グゥゥゥ……

ドンッ!!

信者ズ「のわぁぁぁぁっ!!」

684 ◆WsBxU38iK2:2017/11/23(木) 20:11:18 ID:RjHz3UOs


タタタタタッ

ココロ「急に進行方向の同士たちが吹き飛びましたよ!?」

コトーリ「あそこのくうきがいっしゅんであっしゅされて、どかーんってばくはつした」

マザー「その通りや、うちのエアワシワシは子猫ちゃんの敏感な場所をワシワシするだけやない」

マザー「目視できる距離にある物質なら個体液体気体問わずなんでもワシワシできる、今のはちょっとした応用やね」


マザー「さ、今のうちに突破や!」

タタタタタッ





 

──??
 

タタッ

マザー「ふぅ……ここまでくれば落ち着けるかな」


コトーリ「はぁ……だはぁ……げはぁ……」

ココロ「天使様?大丈夫ですか?」

コトーリ「まぁ……う、うん……ぜはぁ……」


マザー(大復活祭の中心部から逃亡して数分後、うちらは信者たちから見を隠せる場所……>>685の中へ隠れることが出来ていた)

685名無しさん@転載は禁止:2017/11/23(木) 20:16:33 ID:0tel95dg
癒しの空間

686 ◆WsBxU38iK2:2017/11/23(木) 21:20:36 ID:RjHz3UOs
マザー(癒やしの空間と言うらしい建物の中へ隠れることができていた)


コトーリ「うぐっ……うげぇぇぇ……げほけほっ……」

ココロ「天使様、とりあえずこちらのベッドに寝てください」


マザー(コトーリちゃんは逃亡の間はうちにぴったりとくっついて走ってきた)

マザー(うちと同じペースで走るなんて普通の女の子では到底無理な話、というかコトーリちゃんはまだまだ余力を残していたはず)

マザー(本気で走ればうちなんて楽々置いていけるって目をしてたしな……)


マザー(やっぱり異能者か、人とは違う種族か、どっちにしても計り知れない存在なんやけど――)

コトーリ「げほっ!おぇぇぇっ!はぁはぁ……ぐぅぅ……」

マザー(走り終わった後のコトーリちゃんは、ものすごく疲れてぶっ倒れていた)


マザー(人1人を抱えて軽やかに走っていた時とはまるで別人、ベッドに伏せながら嗚咽と痙攣を繰り返して悶絶している)

コトーリ「はぁ……はぁ……」

マザー「なぁコトーリちゃん、本当に大丈夫なんか?」

コトーリ「ぜんぜん、だいじょうぶじゃない……けど……すこしやすんでればなおる……とおもう……」

687 ◆WsBxU38iK2:2017/11/23(木) 21:21:10 ID:RjHz3UOs


マザー「そうか、体長悪いっぽいのに無理させてしまったな」

コトーリ「いいよ、むりをしたのはわたしだし……」 


マザー(強がっているのか、無理に口の端を上げて笑うふりをするコトーリちゃん)

マザー(でも弱ってるのは明らかや、手足や髪の黒い侵食部分がさっきより広がっている)


マザー「ココロ……って名前やったか、ここは隠れ場所として本当に安全なんやな?」

ココロ「絶対とは言い切れませんけど……他の信者が真っ先にここを探しに来ることは無いと思います」

ココロ「さきほども話した通り、ここは『癒やしの空間』と言う名前のTKB隊の施設」

ココロ「身内でなければ存在を知りませんから、そこに敵が逃げてるとは考えないかと」

マザー「……ふむ、なるほと理屈はそうやな」


マザー「でもそれはココロちゃんの言うことが真実だった場合やろ?」

マザー「人質になったふりをして仲間と内通してればうちらは罠に嵌められてることになる」

ココロ「私が嘘をついてるとでも?舐めないでください!」

ココロ「私がこの場所を教えたのは、天使様に『逃げるのに良い場所は無いの?』と聞かれたからです」

ココロ「万が一あなたに嘘をついてたとしても天使様には嘘はつきません!」

マザー「うちには付くんかい……」

688 ◆WsBxU38iK2:2017/11/23(木) 21:21:37 ID:RjHz3UOs


ココロ「疑うのなら脱ぐから隅々まで調べてみてください!ほら!」

バッ!!

コトーリ「いきなりぬいではだかにならないできもい……」

ココロ「はぁぅぅっ!天使様が私の一糸まとわぬ裸体を侮蔑の目で見てるぅぅぅ!」


マザー「こらこら勝手にトリップしない」

ココロ「はっ!そうでした、説明の続きをしますね」

コトーリ「こころちゃんうそはつかないでね……ついたらもうばとうしないから……」

ココロ「それは困りますね、誠心誠意懇切丁寧に参ります!」ビシッ

マザー(上手く操ってんなぁ……)


ココロ「こほん、今私たちがいる『癒やしの空間』は名前の通り癒やしを与える空間です」

ココロ「TKB隊では天使様に罵倒されたい欲を抑えきれないあまり、過激に自傷してしまう同士が多いんですよね」

ココロ「そんな同士がここに来て傷を癒やしてるんです」


マザー「ふむ……だから中にベッドなんかの休むための器具が多いんか」

マザー「もしかしたらコトーリちゃんの疲労も治ったりするんかな」

ココロ「さぁ……天使様を蝕んでるものの正体が分かりませんし、天使様はどんな感じです?」


コトーリ「そう……だね……今寝てる感じだと……>>689

689名無しさん@転載は禁止:2017/11/23(木) 21:23:19 ID:qyPKjvjs
50メートル走を走った分の体力回復のみ

690 ◆WsBxU38iK2:2017/11/23(木) 22:28:01 ID:RjHz3UOs
コトーリ「いまねてるかんじだと……ごじゅーめーとるそーをはしったぶんくらい……」

ココロ「え?」

コトーリ「さっきはしったぶんくらいってこと……」

ココロ「ああなるほど」ポンッ


マザー「直近の体力は回復するけど、体調不良の根本的な問題は治らないってことか」

コトーリ「うん……どうきやいきぎれはましになってきたかも」

ココロ「それは良かったです!」


コトーリ「さっきふたりがはなしてたけど、わたしのからだをむしばんでるもののしょうたいは『しんえん』」」

マザー「深淵……!?」

コトーリ「さらにわるいことに、いまのわたしは『せいめいりょく』をはんぶんうばわれているの」

コトーリ「そのせいでからだのていこうりょくがよわまって、むりをするたびに『しんえん』のしんしょくがすすんじゃってる」


ココロ「深淵ですか……マザーとやら、あなたは心当たりありますか?」

マザー「……ああ、知識だけならな」

691 ◆WsBxU38iK2:2017/11/23(木) 22:28:30 ID:RjHz3UOs
マザー「ありとあらゆる物質、どんな異能や概念も凍結し停止させてしまう危険な流体」

マザー「どの世界にも属しない、冷たく暗い次元の井戸の底に溜まっていると言われとる」

マザー「自分以外の全てのものを絡め取ってしまう……汚泥のような存在や」

ココロ「……!」


マザー「異能者の中にも何人か深淵の使い手はおるそうやけど、うちは出会ったことはないな」

ココロ「では……天使様はその深淵使いにやられて……?」

マザー「せやろな」

マザー「うちが聞いたものと同じならそう簡単には取り除けない、癒やしの空間でも無理やろう」


コトーリ「わたしもそうおもう、だから……べつのもんだいをさきにかたづける」

マザー「別の問題……ああ、人質おっぱいちゃんのことか」

コトーリ「うん、そのこのぼうしをとってみて」


マザー「了解、さぁ〜おっぱいちゃん、脱ぎ脱ぎしましょうねぇ〜」

人質信者「ひっ!や、やめ――」

マザー「ていっ!」バッ!!


マザー(おっぱいちゃんの顔を隠していた帽子を取る、その顔は……)

マザー「え?」

マザー(……うちの知っている、"のぞみ"と瓜二つの顔やった)

692 ◆WsBxU38iK2:2017/11/23(木) 22:28:59 ID:RjHz3UOs


のぞみ?「ぅぅぅぅっ」

マザー「の、のぞみやん!?どうしたん!?」ガシッ 

グワングワンッ

のぞみ?「わわわっ!やめっ!振り回さないでくださぁぁぁいっ!」


コトーリ「え?まざーとしりあいなの?」

マザー「……はっ!いやいや、のぞみがこんなとこにいるはずないか……」

ブンブンッ

マザー(頭を振って自分を落ち着かせる)

マザー「すまん混乱してしもうた、この子がコトーリちゃんの仲間なんか?」

コトーリ「たぶんね、ふくもぜんぶぬがせてわたしにみえるようにもってきて」


マザー「おっけー」

ポイポイポイポイッ!

のぞみ?「ひゃぁぁぁっ!」

マザー(すっかりすっぽんぽんになったのぞみ(仮)を後ろから抱き上げて、ベッドに寝てるコトーリちゃんの元へ運ぶ)


マザー「よいしょっと……どうや?」

のぞみ?「ううぅ……敵にこんな辱めを受けるなんて……」


コトーリ「……うん、わたしのしってるのぞみだよ、まちがいない」

コトーリ「けどからだのなかでへんなところがある……」

マザー「この>>693な部分か?」

コトーリ「そう、これのせいで信者としての人格が上書きされてるのかも」

693!ken:99:2017/11/23(木) 22:36:17 ID:1gGKAvHQ
淫紋

694 ◆WsBxU38iK2:2017/11/23(木) 23:00:33 ID:RjHz3UOs
マザー「なるほど……この淫紋が……」


マザー(この子の下腹部にはタトゥーのような紋章が刻まれていた)

ココロ「淫紋?」

マザー「性魔術なんかで使われる紋章や、形によって効果は様々ある」

マザー「ただうちは詳しくないから、これが何の効果を意味するのかは分からんけど……」

ココロ「ふむ」


マザー「それにしても、コトーリちゃんの仲間ものぞみって言うんやな」

コトーリ「そうだよ、きぼうのきでのぞみ、それがどうしたの?」

マザー「実はうちが見間違えた子の名前ものぞみって名前なんや、顔も希ちゃんとそっくりやし、脱がした体のスタイルだってそっくり」

マザー「双子かと思うほど似てるわやわ、本当に驚いた」


コトーリ「のぞみとそっくりなのぞみ……?どこかで見たような……」

695 ◆WsBxU38iK2:2017/11/23(木) 23:00:51 ID:RjHz3UOs


希「ちょっ!やめっ!早く離してください!」ジタバタッ

マザー「おおっと動いたらアカンで」グッ

希「ぐぅぅぅっ!」

マザー「しかし淫紋が原因となると必要なのは解呪師やな、かけられた魔術を解くのを専門にしてる魔術師や」

ココロ「マザーが解くことはできないんです?」

マザー「うーん……かけられた術の詳細な手順、原因となった事柄が分かれば出来るかもしれんけど……」

チラッ

コトーリ「……ごめん、ふねがてんぷくしてからのきおくはない、のぞみがそうなったこころあたりはさっぱり」

マザー「そうか……」


コトーリ「わたしはそういうかんがえるのせんもんじゃない、どかーんするのせんもん」

コトーリ「せめてうみとごうりゅうできれば……なにかわかるかも……」


ココロ「何にしても早く行動するべきね……今は隠れてられますが、敵が見つからないとなると同士たちはアレを発動するでしょう」

マザー「あれ?」

ココロ「我がTKB隊の切り札、>>696です」

696名無しさん@転載は禁止:2017/11/23(木) 23:24:11 ID:VUO2vEi.
強制引き寄せ

697 ◆WsBxU38iK2:2017/11/24(金) 00:51:53 ID:tKJp5KC6
ココロ「我らTKB隊の切り札、強制引き寄せです!」


マザー「ほう……名前からして目的のものを引き寄せる術やろうか」

マザー「TKB隊の教義を考えると引き寄せる対象は天使か天使に関するもの……?」

ココロ「はい、大体その通りです」

ココロ「強制引き寄せは発動する信者の信仰心を引力に変えて信仰対象を引き寄せる奥義」

ココロ「対象を具体的にイメージできればできるほど成功率は高くなります」

ココロ「同士たちの多くは天使様の姿を一度は視認しているので、その状態で強制引き寄せを使えば天使様は間違いなく引き寄せられるかと……」


マザー「範囲は?」

ココロ「少なくともこの島全体にはお呼びますね、これも発動させる信者の数と比例しますので」

マザー「ふむ……広いな」

ココロ「ですから天使様を独り占め……もとい守るためには早めの判断が必要なのです」

698 ◆WsBxU38iK2:2017/11/24(金) 00:52:22 ID:tKJp5KC6


コトーリ「こころ、こころってえらいとこのむすめなのにそんなんでいいの?」

ココロ「ドエムお父様は言っていました、偉いからこそ民草の手本となれ、天使様を思う気持ちで負けるな」

ココロ「チャンスが来たら他の何を犠牲にしても手に入れ、思う存分虐げられなさいと!」グッ


ココロ「ですから相手がお父様やお姉様方だとしても私は天使様を渡しません」

ココロ「一生私の精神と体だけを虐め抜いて頂くのです」ニッコリ

コトーリ「うん……いろいろとこわい」


マザー(全裸のままコトーリちゃんの手を握るココロ、危ういやつやが今のところは利用できる人材やな)

マザー(さて……ちょっとこれからの方針を考えますか)


マザー(うちの任務としては正直コトーリちゃんの事情は関係ないし、助ける義理はないわけや)

マザー(だがTKB隊がいる限り任務に支障がでる、TKB隊を凌ぐにはココロの協力があったほうが楽で、ココロの機嫌を取るにはコトーリちゃんが必須)

マザー(更にコトーリちゃんには同じ異能者と思われる仲間がいるとの情報)


マザー(1人で任務を続けるより、コトーリちゃんを助けて恩を売り、そのお仲間と協力したほうが任務は上手く行く……か)

699 ◆WsBxU38iK2:2017/11/24(金) 00:52:37 ID:tKJp5KC6
マザー(よし!この方向性やな)

マザー(なによりうちは若くて可愛い子を見捨てておけないたちやねん、のぞみに似てる子もおるしな)


マザー「分かった、コトーリちゃんの体力が回復ししだい次の行動に移ろう」

ココロ「はいっ」

マザー「やることはコトーリちゃんの仲間の捜索と希の解呪、そんで島外への一時的脱出」

マザー「最後のは上に停めてある飛空艇を使えば……いや、こっちには内部事情を知っとるココロがいる、いっそのこと先回りして儀式を妨害するのも手か」

マザー「奥義ってことはそう何度も気軽に行えるものやないんやろ?」

ココロ「そうですね、色々と準備がいるので」


マザー「コトーリちゃん、あんたのお仲間のほうは希を抜いて何人や?」

コトーリ「なんにん……ええと、うみでしょ、だるこに、うみとらまんだから……さんにん?」


マザー「あと3人か、せめて流れ着いてそうな場所のヒントでもあればなぁ……」ガシガシ

マザー(コトーリちゃんから転覆した時の話は聞いとる、でも場所も何も覚えてないんじゃ話にならん)


コトーリ「まぁでも、のこりのなかまはわたしほどじゃないけどゆーしゅーだから」

マザー「ん?」

コトーリ「もしぶじにながれついてたんだとして、これだけのさわぎがおきてれば……」


コトーリ「たぶん、むこうからみつけてくれるはずだよ」

700 ◆WsBxU38iK2:2017/11/24(金) 00:53:00 ID:tKJp5KC6






──???


ピクッ

ダル子「いた……!」

ダル子(とある場所、木の上に隠れて神眼を光らせていた私は目的のものをやっと見つける)


ダル子「いましたっ!」

ダル子「祭りの中心部から少し離れた場所、信者の施設と思われる場所にコトーリさんたちの姿が見えます!」


ダル子(喜びを隠しきれない声で、私は木の下にいる人に報告する)

ダル子(木の幹に背を預けて両手を組み、精神統一でもしていたのか瞼を閉じていた彼女は、幹から離れると立て掛けてあった刀を持った)

ダル子(そして彼女……海未さんは私の方を見上げて笑顔で応える)


海未「ありがとうございます」

ダル子「行きますか?」


海未「はい、何か大変な状況みたいではありますが行きましょう」

カチャンッ

海未「希とコトーリ――2人を助けに!」



─────────────────

復活祭会場〜癒やしの空間
     〜???

AM6:17〜AM6:30 新終末編『230』了

701 ◆WsBxU38iK2:2017/11/24(金) 00:53:33 ID:tKJp5KC6
というわけでここまで

海未たちも始動

新終末編『231』に続く
かもしれない

702!ken:99:2017/11/24(金) 12:00:41 ID:60uqpZLs
をつ

これは強キャラ

703 ◆WsBxU38iK2:2017/11/24(金) 20:03:30 ID:tKJp5KC6
新終末編『231』

─────────────────
──??

AM6:31


ダル子「こっちです!付いてきてください!」

タタタタタッ! ザザッ!!


ダル子(分厚い雲のせいで未だ暗い夜明けの時間帯、私たちは樹木が鬱蒼と茂る小さな森の中を駆け抜けていた)

ダル子(暗さと視界の悪さが相まって、普通ならマトモに走ることなんて出来ない場所だ)

ダル子(無闇に突っ込めば泥濘んだ地面に足を取られて転んだり、突き出した枝で怪我をしてしまう恐れがある)

ダル子(けれど……私の眼があれば話は別!)

カッ!

ダル子「次は右!右斜め前!そこから正面に1メートルほどジャンプして着地したら少し下りになります!」

海未「了解!」


ダッ ダタッ 

ダル子(光の神である父から受け継いだ私の眼は暗闇でさえ昼間のように見通せる、急なステップだってお手の物)

ダル子(更に何十メートル先だろうが障害物があろうが見えるのだ、ちなみに耳も同じくらい便利……)

ダル子「……ジャンプ!」タンッ!

ヒューンッ


スタッ

ダル子(ま、そんな私の能力を駆使すれば夜の森だって楽々駆け抜けられるというわけ!)

704 ◆WsBxU38iK2:2017/11/24(金) 20:04:08 ID:tKJp5KC6
ザザザザザッ!
 
ダル子(無事に着地を決めた私は斜面を下りつつ、後ろを付いてきてる海未さんに尋ねる)

ダル子「海未さん!このペースで大丈夫ですか?」

海未「問題ありません、引き続き先導してください」

ダル子「そ、そう」


ダル子(……すごいな、今の海未さんは私のように万全の視界があるわけではない、懐中電灯の光すら無い)

ダル子(ほぼ暗闇の視界の中、私の合図だけを聞いて私と同じ速度で走っている)

ダル子(とても逆の立場だったら真似できないな……)


海未「そうですね、ただ移動してるというのも暇ですし、走りながら現状使える装備の確認でもしておきますか」

ダル子「えぇっ!?暇ってレベルなの!?」

海未「あぁすみません、神眼の集中の邪魔になりますか?」

ダル子「い、いや……大丈夫ですよ……ははは」


ダル子(なっ、なんなんだこの人、全部見えている私でさえ転ばないように気を払って走ってるのに……ほぼ目隠しで走って感想が暇……?)

ダル子(ここまで来ると本当にスクールアイドルなのか怪しくなってくるなぁ)

ダル子(いや海未さんは昔と変わらず可愛いけど……なんかタフネスになり過ぎな気がする)


タタタタッ

ダル子(とにかく今は先を急ごう、今私たちがいる場所とさっき見たコトーリさんたちのいた場所……)

ダル子(目測だと>>705くらい離れてるかな)

705名無しさん@転載は禁止:2017/11/24(金) 20:16:55 ID:ZYQpuIvo
海未のバストと希のバストの差

706 ◆WsBxU38iK2:2017/11/24(金) 20:51:32 ID:tKJp5KC6
ダル子(目測だと海未さんのバストと希さんのバストくらいかけ離れた距離)

ダル子(あ、これはあくまで例えで海未さんが小さいというわけでは……)

チラッ

海未「…………」ジーッ

ダル子「うっ」ビクッ


ダル子(まぁともかく、一筋縄じゃいかない長い距離ってこと)

ダル子(急がないとコトーリさんたちは移動してしまうだろう、その前に辿り着かないと)グッ


ダル子(距離とルートを再確認すると、私はちらっと胸の辺りを見てしまった海未さんに振り返り、なんでもないよと合図をする)

ダル子「……ははは」ヒラヒラ


海未「まぁ……いいですけど、では装備の確認を始めますよ」

海未「ダル子は特に武器となる装備は無いので主に私の装備――能力を確認します」

ダル子「は、はい!」

海未「まず私の異能①であるラブアローシュート、これは能力覚醒の矢であるAと攻撃の矢であるBが存在します」

海未「私は主にBを使っていて、テンタクルと組み合わせた技も複数あります」

ダル子「ドアラランドで究極生物を撃ったものや、魔の海域で巨海霊に放ったものですね」


海未「次に異能②がマインドコントロール、今は私の体を離れて"髪の中"に入っています」

海未「というのも私の髪は幻想種ダイオウイカと融合していて自在に動かせるんです、名前をテンタクル」ウネウネ

ダル子「龍宮城での話でしたっけ、その後にマインドコントロールをテンタクルに移した」

海未「2つ異能を人間の体と幻想手の体の部分で分けて負荷を減らそうという算段ですよ」

海未「今は主に髪を変化させた触手を使って様々な洗脳を行えます」

707 ◆WsBxU38iK2:2017/11/24(金) 20:52:24 ID:tKJp5KC6


タタタタタッ!


ダル子「3つ目は……キーブレードですか?」

海未「はい、これは私の物と言うより一族代々受け継いでいる能力ですね」

海未「空間と空間を繋ぐ扉を作成できる大きな鍵、こちらも特殊な呪文で呼び出すスイッチを作ってもらいました」

ダル子「使う時以外はスリープ状態にしておくと……」

海未「これまた負荷関係の話ですよ、緊急避難的用途に使えなくなったのは痛いですが……あのままだと私が死んでいましたから」 

海未「①は自分、②は髪に、③は使う時に召喚する――これで能力の負荷は上手く分散しているのです」


ザッ

海未「そして……4つ目」カチャッ

ダル子(海未さんは走りながら自分の腰の刀に手をかける)

海未「冥府の戦いで折れてしまった剣、ここに新たな力が宿った――」


ダル子「っ!?海未さん止まって!」

ダル子(刀の確認に入ろうとした瞬間だった、私の目が斜面をくだった先……舗装された道路を歩く人物を捉える)

ザザザザッ!

ダル子(油断していた、この先は障害物が少ないからと……チラチラ後ろの海未さんを振り返って話してたせいで気付かなかったんだ……!)


ダル子(おそらく祭りを取り仕切ってる信者の1人、格好や持ち物で目立つのは>>708)

708名無しさん@転載は禁止:2017/11/24(金) 21:01:34 ID:NDmpBBrA
寝袋を持って眠そうに歩いてる

709 ◆WsBxU38iK2:2017/11/24(金) 21:43:50 ID:tKJp5KC6
ダル子(目立つのは手に持った寝袋、信者は寝袋を持って眠そうに歩いている)


ダル子(さっき不覚にも音を立てちゃったけど……幸いまだ距離はあるし相手は眠そうだ)

ダル子(どうにかこのままやり過ごして――)

寝袋信者「んー?」ジロジロ

ダル子(ダメか……!)


寝袋信者「ふぁ〜、誰かいるの〜?」

ダル子(寝袋信者は眠たそうに目をこすり、止まる際に音を立てた私たちのほうをじっと見て暗闇に目を凝らしている)

ダル子(斜面の背の高い草に身を隠してるとは言え、このまま探し続けられたらいずれ見つかってしまう)


ダル子「海未さん……すみませ――」

海未「構いません、見つかったのなら試し切りといきましょう、実戦で確認です」

ダル子「え?」

710 ◆WsBxU38iK2:2017/11/24(金) 21:44:19 ID:tKJp5KC6


カチッ

スゥーーーーッ

ダル子(海未さんが刀身を鞘からゆっくりと引き抜く)

ダル子(刃に当たる部分は全体の半分ほどでポッキリと綺麗に折れていた、しかし……)

ボォォォォォォウッ!!

ダル子(折れた刃の断面から、青紫色の炎がモクモクと噴き出していた)


海未「ふぅ……」

ダル子(海未さんが両手で鞘を握り息を整えると、溢れるばかりだった炎は収縮し……長く細く確かな刀の形を取っていく)

ブゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!

ダル子(まるで折れた刃と青紫の炎が合わさり、1つの長い刀となるように――)


海未「――DX海未ちゃんソード・ファントムエッジ」


ダル子「……っ!」ゴクッ


海未「"もう一人の私"から事前説明は受けていますが、武器は使ってみなければ分からない」

海未「彼女が言うには、ファントムエッジは斬った相手を>>711する刃……とのこと」

711名無しさん@転載は禁止:2017/11/24(金) 22:03:29 ID:TdLNeKSI
ステータスを3割減らし、本能に忠実になる

712 ◆WsBxU38iK2:2017/11/24(金) 22:51:18 ID:tKJp5KC6
海未「彼女が言うには、ファントムエッジは斬った相手のステータスを三割減らし、本能に忠実になる……とのこと」

ダル子「本能に?」


海未「何があるか分かりません、ダル子は残っていてください」

ダル子「でも私がいないと眼が……」

海未「敵の位置なら声が聞こえたので分かりますよ、むしろここで全体を見張っていてもらったほうが助かります」

海未「もし敵の援軍が来るようなら大きな声で知らせてください」

ダル子「は、はい……分かりました」


海未「では……」スチャッ

ダル子(刀を片手に持ち直した海未さんはもう片手を斜面の下方について、片手クラウチングスタートの構えを取る)

ダル子(そして後ろ髪が2本の触手……テンタクルに変化、両肩の上を通り背後へ伸びる)

シュルルッ シュルルッ

ガッ! ガッ!

ダル子(先っぽを海未さんの後方の斜面に付けたテンタクルは自らをポンプのように圧縮、圧縮、圧縮して行き――)

ググググググググッ……!


ダル子(そして、一気に開放した)

海未「はっ!」

ドゥンッ!!!!


ダル子(海未さんが片手クラウチングスタートの姿勢から走り出すのと同時に、斜面につっかえ圧縮されていた両側のテンタクルがバネのように彼女の体を吹き飛ばした!)

ダル子(海未さんは伸縮自在な触手をロケットスタートを決めるための道具として利用したんだ……!)

713 ◆WsBxU38iK2:2017/11/24(金) 22:51:44 ID:tKJp5KC6


ビュゥゥゥウゥンッ! ザザザザザッ!!


ダル子(……速い、それは草原を駆ける一筋の疾風、正にかまいたち)

ダル子(海未さんは風の速さで斜面を駆け下りると寝袋信者の前へ躍り出る!)


寝袋信者「……っ!?」ビクッ!

ダル子(来る方向が分かっていたとは言え対応が間に合うはずがない、寝袋信者は驚きから硬直してしまう)

海未「…………」フッ

ダル子(対する海未さんの姿勢は低い、限りなく低い)

ダル子(風の抵抗を受けないように極限までの前傾姿勢、鼻先が舗装されたアスファルトに付くギリギリの位置にある)

ダル子(海未さんはそこから体を捻り、ロケットスタートと斜面を駆け下りた加速を殺さず、刀を持った方の手へエネルギーを移していく)

クルッ

ダル子(そして振りの中で一瞬で順手から逆手へ持ち替え、地面スレスレの位置から一気に刀を振り上げた!)

海未「――はっ!」

ブンッ!!


ダル子(リーチの長くなったファントムエッジの先がアスファルトを焼き切り火花を散らし――)

ジュゥゥゥゥゥッ!

ダル子(一気に寝袋信者の下から上までを切り裂く!)

ザンッ!!!!


寝袋信者「っ!?」ビクビクッ!!

海未「安心してください……この妖刀は人の命を食ったりはしません」

海未「ただあなたの本能を引き出すだけ」


寝袋信者「ほんの……ぐぅぅぅっ!」

ボォォォォウッ!

ダル子(海未さんが切り裂いた傷跡から血の代わりに青紫の炎が吹き出た)

ダル子(ファントムエッジの刃先と同じ色……あの刀の能力が発動するんだ!)


寝袋信者「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」

ボォォォォォォォォォォォォウッ!!

ダル子(傷口から溢れた炎が寝袋信者の全身を包み込む、海未さんの言うとおりなら命を取る類ではない)


ダル子(そして数秒後、炎が晴れると信者は>>714)

714名無しさん@転載は禁止:2017/11/24(金) 22:56:43 ID:x/mQ95Ec
天使のような寝顔で熟睡した

715 ◆WsBxU38iK2:2017/11/24(金) 23:59:10 ID:tKJp5KC6
ダル子(炎が晴れると信者は天使のような寝顔で熟睡していた、もちろん自前の寝袋の中で)

ダル子(あれが本能に忠実になるってことなんだろう……)


海未「ダル子!周りに敵が見当たらなければこちらに降りてきてください!」

ダル子「分かりました!」

ガササササッ! 

タタッ

ダル子(転ばないように慎重に草を掻き分けて斜面を降りて、海未さんの元へ追いつく)


寝袋信者「すぅーすぅー」

ダル子「本当に熟睡してる……」

海未「この信者が本能で願っていたのはぐっすり寝ることだったのでしょう」

海未「さてと……」

ガサゴソ ガサゴソ

ダル子「って海未さん!?なに寝袋の中に手を入れて弄ってるんですか!?」


海未「大丈夫ですよ、今は熟睡の欲求が勝ってますし、全部のステータスが減少してるので大した抵抗もできません」

海未「持ち物を探るには絶好のチャンス……お、ありましたありました」

スッ

ダル子(海未さんは寝袋信者の中から取り出した物品を路上に並べていく)


海未「身分証のようなもの、カードキー、地図、予備の信者服、簡易食料が数個に……これは薬の瓶でしょうか」

海未「地図はダル子に渡しておきます、貴女が眼で見たものと合わせて建物の位置を確認しててください」

ダル子「はい、カードキーの方は解錠に使えそうですね、他は……よく分かりませんけど」


海未「ここで信者の一人を確保できたのは大収穫です、手に入れたものを使って一気に進みましょう!」


─────────────────

祭り会場への道中 

AM6:31〜AM6:35 新終末編『231』了

716 ◆WsBxU38iK2:2017/11/24(金) 23:59:40 ID:tKJp5KC6
というわけでここまで

新終末編『232』に続く
かもしれない

717 ◆WsBxU38iK2:2017/11/25(土) 20:19:54 ID:HRQyG.Es
新終末編『232』

─────────────────
──祭り会場付近・建物の影

AM6:35


海未「ほっ」バシッ!

信者「うぅ……」

パタンッ


ダル子(建物と建物の間、影になってる細い路地で海未さんが見張りをしていた信者を倒す)

ダル子(今度は刀で斬ったのではなく、おそろしく速い手刀で背後から一発、私でなければ見逃しちゃうね)


海未「これで5人目……この人も大した物は持ってないようです」ガサゴソ

ダル子「あー」

海未「1人目を無力化してから同じように孤立して巡回している信者を不意打ちして来ましたが……4連続で収穫はゼロ」

ダル子「残念ですね」


海未「運が悪いと言うより、1人目に選んだ信者が当たりだったのでしょう」

海未「あのお寝坊さんが普通の信者より無駄に多くのものを寝袋に溜め込んでいたんです」

海未「見回りに必要のないものが沢山ありましたから」

ダル子「ふむ……この子がねぇ……」


ダル子(実は1人目の寝袋信者さんは今も連れてきていたりする)

ダル子(寝袋に入って眠ったまま、海未さんにリュックサックのように担がれているのだ)


ダル子(何故適当な場所に放置せず連れてきてるかというと>>718)

718名無しさん@転載は禁止:2017/11/25(土) 20:32:21 ID:eFXMjcLY
性的にタイプだから

719 ◆WsBxU38iK2:2017/11/25(土) 21:33:18 ID:HRQyG.Es
ダル子(何故連れてきてるかと言うと……まぁ単に性的にタイプだから)

ダル子(見も蓋もない言い方だけど真実だから仕方ない、眠ってる所を襲いたくなるくらい可愛い、ちゅーしたい)


ダル子(もちろん海未さんにそんな理由を離すわけにはいかないし……適当に利用価値がありますよってごまかしてるけど)

ダル子(ごまかす理由なんて人質にするなり、情報を聞き出すなり、寝袋が役立つなり、適当なんだから何でもいい)


寝袋信者「すぴー……すぴー……」

ダル子(寝顔も可愛いなぁ、名前はなんて言うんだろう)

ダル子(海未さんの背中にミノムシのようにぶら下がってる寝袋ちゃんの顔を軽くつつく)

ツンツンッ

ダル子「ふふっ」


海未「ダル子!」

ダル子「は、はいっ!」

海未「ここから先は信者の数が爆発的に多くなるんでしたよね」

ダル子「そうですね、祭り会場があった場所ですから、そのまま信者たちが集まってコトーリさんたちを探しています」

ダル子「加えて巻き込まれた大量の一般人が逃げ惑っていて、祭りの時と同じく大変今雑しています」

720 ◆WsBxU38iK2:2017/11/25(土) 21:33:45 ID:HRQyG.Es


海未「ならばこっそり潜入と不意打ちという今までの方法は使えない、ここからは信者に変装して行きましょう」

ダル子「変装?」

海未「不意打ちで倒してきた信者たちから奪った信者服がありますからこれを着て……ね」スッ

ダル子「なるほど、じゃあ私は寝袋ちゃんが持っていた替えの服を借ります」


海未「寝袋ちゃ……?ダル子にはこの信者の服は少し小さいのでは?」

ダル子「い、いえっ!私にはこれがピッタリですよ!ピッタリですから!」

海未「はあ……別にバレなければ何でも良いですけど……」 


グイグイッ

ダル子(海未さんの追求を交わしつつ、私は寝袋ちゃんの信者服を着る)

ダル子(服は上から頭を通して被るマント式のもの、海未さんの見立て通りやっぱり少しきつい……)

ダル子(でもこれくらい何もとない……何とも……)

ギュゥゥゥッ

ダル子(私は端を無理やり引っ張ってどうにか全身が隠れるようにする)


ダル子「ふぅ……ん?」

ダル子(なんとか着終わった所で、服の端にネームタグが付いていることに気付いた)

チラッ

ダル子(む?これが寝袋ちゃんの名前かな、ええと……>>721)

721名無しさん@転載は禁止:2017/11/25(土) 21:35:43 ID:uUxW.LN2
スリーピング・彼方

722 ◆WsBxU38iK2:2017/11/25(土) 22:18:11 ID:HRQyG.Es
ダル子(ええと……タグに書いてある名前は『スリーピング・彼方』)

ダル子(彼方ちゃんか、名前も可愛いなぁ……ふふっ)


彼方「んんっ……」ムニャムニャ

ダル子(黒い寝袋から顔とウェーブのかかった長い茶髪だけを出して、天使のような笑顔で眠る彼方ちゃん)

ダル子(眠ることが1番大好きなのに……なんでこんなカルト教団に入ったんだろう……)


海未「よし、では行きますよ」パサッ

ダル子(海未さんも私と同じく信者の服を纏い、彼方ちゃんの寝袋を背負い直す)


海未「ここまでの実戦で確認したことを復習すると、雪の中では普通のラブアローシュートは使えません」

海未「テンタクルは動かせますがマインドコントロールは直接接触のみ」

海未「武器として完全に使用できるのはファントムエッジくらいですね」カチャッ

723 ◆WsBxU38iK2:2017/11/25(土) 22:18:46 ID:HRQyG.Es


海未「近接主体の戦いに行くことになるので、もしもの時は肩の荷物をパスします、落とさないでくださいよ」

ダル子「分かりました!しっかりしっぽりキャッチします!」

海未「それとナビゲートも引き続きお願いします」

ダル子「はいっ」


ダル子(渡されている地図の情報は完全に頭に入っている、実際に神眼で見て現地との齟齬も確認済み)

ダル子(問題なくコトーリさんたちの所へ導ける……)

 
ダル子(コトーリさんたちのいる癒やしの空間の様子だって数分ごとに確認してる)

ダル子(今あっちのメンバーの様子は>>724)

724名無しさん@転載は禁止:2017/11/25(土) 23:05:14 ID:VqDZ.nbw
焚き火でクッキング

725 ◆WsBxU38iK2:2017/11/25(土) 23:47:41 ID:HRQyG.Es
ダル子(あっちの様子は……)


ダル子「む?」

海未「どうしました?」

ダル子「コトーリさんたちは料理を始めたみたいです、焚き火を作って周りで何かしてますね」

海未「ほう……クッキングを」


海未「ということは向こうはもうしばらく潜伏する気でしょうね」

海未「好都合、今のうちに一気に近づきますよ!」

ダル子「はいっ!」

彼方「……むにゃ」スピー

タタタッ!


ダル子(信者に変装した私たちは路地裏から飛び出し、未だ混乱冷めやらぬ信者の群衆の中に飛び込んでいく)


ダル子(しかし……この状況で料理とはわりと余裕なのかも……?)


─────────────────

祭り会場近く

AM6:35〜AM6:38 新終末編『232』了

726 ◆WsBxU38iK2:2017/11/25(土) 23:49:04 ID:HRQyG.Es
というわけでここまで

短めですね
次は料理してるコトーリたちから

新終末編『233』に続く
かもしれない

727 ◆WsBxU38iK2:2017/11/26(日) 20:17:58 ID:cWnZ6lPc
新終末編『233』

───────────────────癒やしの空間・軒下

AM6:38


コトーリ「りょう……り?」

マザー「せや、簡単なクッキングやね」

カタカタッ

マザー(何故この状況で……?といった目を向けるコトーリちゃん、その横でうちは料理の準備を進める)


マザー(コンロ代わりに焚き火を使う手前、癒やしの空間の中では調理できない)

マザー(てわけで少し外に出て、今いる場所は癒やしの空間の裏手の軒下)

マザー(ここなら雪をしのげるし、下はコンクリートだから延焼するものはない)

マザー(ブロックで簡易的な竈を作って中に火を付ける)

パチッ パチッパチッ

ボォォォォォォウッ


コトーリ「ほー、それでひがつくれるんだ」

マザー「簡単なサバイバルキットを持ってたからな、煙で敵に気付かれそうな気もするが……気付かれたら気付かれたで対処しようや」

パチッパチッ

マザー「それで、今この状況で料理するわけやけど……希ちゃんの解呪のためやね」

コトーリ「のぞみの?でもかいじゅはかんたんにはできないって……」

マザー「ああ、根本的な治療は簡単にできない、せやけど呪いを和らげることくらいはできるかもしれん」

728 ◆WsBxU38iK2:2017/11/26(日) 20:18:24 ID:cWnZ6lPc


マザー「呪いも病の仲間、病は気から、気は食いもんで大概なんとかなる」

マザー「特に希ちゃんの場合は人格や記憶が変えられている症状やし、気……精神の問題に近い」

マザー「美味いもん食わせて希ちゃんの精神バランスを安定させようって話やね」

コトーリ「なるほど……」


マザー「そこで質問なんやけど、希ちゃんが好きな料理って何かな?」

コトーリ「え?」

マザー「ほら、せっかくなら好物のほうが効果ありそうやん」

コトーリ「ふむ…………」


コトーリ「……あれ?のぞみがすきなものぜんぜんしらないな」

マザー「えっ」

コトーリ「ここさいきんだとわりといっしょにいるにんげんだけど、そういうはなししたことないなぁ」

マザー「そうなん?でも今いる面子だとコトーリちゃんしか仲間おらんし」


コトーリ「そうだね、ええと……ええと……のぞみのすきなもの……」ムムゥ

コトーリ「……あ!たぶん>>729がすきだとおもう!」

729名無しさん@転載は禁止:2017/11/26(日) 20:20:53 ID:iqXlRUtk
オッパイ大きいから母乳

730 ◆WsBxU38iK2:2017/11/26(日) 21:23:06 ID:cWnZ6lPc
コトーリ「おっぱいおおいからぼにゅうだとおもう!」

マザー「ぼ……母乳?」


マザー(うちが訝しげな顔をするとコトーリちゃんも首をひねる)

コトーリ「……あれ?なにかおかしなかこといった?」


マザー「いやいや、母乳は普通赤ちゃんが飲むものやろ、希ちゃんくらいの子は飲まんて」

コトーリ「でもにほんのしょくたくには、ふつうにぼにゅうがおいてあるってきいたよ」

コトーリ「めすのほにゅうるいのおっぱい、そこからでるのがぼにゅうでしょ?」

マザー「ああ……うん、そうやな、牛乳も広義では母乳の仲間やな……」

コトーリ「……?」


コトーリ「にせんねんくらいまえも、わたしのしってたにんげんたちはぼにゅうをたべてた」

コトーリ「えいようのあるいいたべもの」ドヤッ

マザー「ははは……」


マザー(普通の人と違うナニカとは察してたけど、やっぱりコトーリちゃんは感覚がズレとるなぁ)

マザー(人間と動物を哺乳類でくくっていたり、遥か昔のことを見てきたように語ってたり)

マザー(ほんまに天使みたいな――――)


コトーリ「ていやっ」ザクッ!

マザー「がふぅ!」

731 ◆WsBxU38iK2:2017/11/26(日) 21:23:39 ID:cWnZ6lPc
マザー(少し余所見していた隙に、コトーリちゃんの手刀が脇場に深く突き刺さった)

マザー「な……なにすんねん……」ガクガクッ


コトーリ「てんししんけんでぼにゅうのひこうをついた、これでまざーからもでてくるよ」

マザー「は、はぁ?そんなわけないって、第一うちは子供すら出来たことな――」

ムググググッ

マザー「なっ!?」

ドクッ! ドクッドクッ!

マザー(急に胸が膨張してパンパンに張ってくる、乳首が痛いほど膨れてくる)

マザー(そして中から熱いものが流れ出して来て――)


マザー「ア、アカンっ!!」バッ!

マザー(間に合わないと察して胸を覆ってる部分の服と下着をエアワシワシでちぎり取る)

ギュッ バリィィィッ!

マザー「出るっ!!」

ビュルルルルルルッ!!!!

732 ◆WsBxU38iK2:2017/11/26(日) 21:23:58 ID:cWnZ6lPc


マザー(露わになったうちの乳の先から熱くて白い液体が噴水のように勢い良く吹き出た)

コトーリ「おっと、きゃっちきゃっち」

ジョボボボボボボッ

マザー(滝のように落ちる母乳がコトーリちゃんの差し出した小さな手鍋に注がれていく)


マザー「はぁ……はぁ……んんっ」ビクッ ビクッ

コトーリ「でたでた、ちゃんとでるじゃん」

マザー(初めての感覚や……頭の奥がゾクゾクして気持ちいい、敏感になった乳首が冷たい空気に触れてくすぐったい)

マザー(なんかもう……どうにかなってしまいそうや……)


コトーリ「さておあじは……」ペロリ

マザー(コトーリちゃんが小指を鍋に溜まった母乳に付けて味見をする)

コトーリ「うん、>>733

733名無しさん@転載は禁止:2017/11/26(日) 21:28:41 ID:aaT3kynU
深淵が薄まった気がする

734 ◆WsBxU38iK2:2017/11/26(日) 22:15:45 ID:cWnZ6lPc
コトーリ「のうこうでとてもおいしい……それに……」

マザー「それに……?」


コトーリ「わたしのなかのしんえんが、うすまったきがする」

マザー「え?」

コトーリ「だからほら」スッ

マザー(コトーリちゃんが自分の片腕、指先から肘にかけて侵食され長手袋のようになっていた黒い領域を指差す)

マザー(確かに……よく見ると黒と白を分ける境界線が少し手の先側に移動している気がする)


マザー「ほんまや、黒い領域がさっきより減ってるな……数ミリくらいやけど」

コトーリ「しょうじきおどろいた、まざーのぼにゅうにこんなこうかがあるなんて」

コトーリ「そーま……ってやつなのかも」

マザー「ソーマ?どっかの神話に出てくる神の飲みもんやったっけ?」


コトーリ「そうそう、むかしきいたはなしのなかで、そーまはぼにゅうだったってはなしがあったの」

マザー「どこの奇天烈神話の話やねんそれ……」

コトーリ「なづけてせいぼのそーま、よし!さっそくりょうりにかかろう!」ムフー

マザー「ちょいちーょい」

735 ◆WsBxU38iK2:2017/11/26(日) 22:16:03 ID:cWnZ6lPc


マザー(何故か少し興奮して意気揚々とし始めたコトーリちゃん)

マザー(『聖母のソーマ』?何でうちの母乳がミラクル存在になんねん……)

ググッ

マザー(まぁ1人で勝手に料理を進められても困るし、今悩むのはやめておこう)


マザー(母乳を出した快感で尻もちを付いていたうちは、ポロリしたままになってる乳を拭いて、周りから見えないようにコートの前を閉じて立ち上がる)

マザー(本当なら中も隠したいけど、服を破ってしまった手前今は隠しようがない、後で着替えよう……)


コトーリ「ふんふふーん」カチャッ

マザー「コトーリちゃん、手鍋を火にかけるのはいいけど作りたいものは考えてるん?」

コトーリ「んー?」

マザー「やっぱり考えなしに火にかけてたんか……せやな、謎の母乳とはいえミルクに違いはないやろ」

マザー「作るとしたら>>736

736名無しさん@転載は禁止:2017/11/26(日) 22:20:09 ID:zgHXnNQ6
処女ママの特濃ミルクスープ

737 ◆WsBxU38iK2:2017/11/26(日) 22:53:59 ID:cWnZ6lPc
マザー「作るとしたら……ミルクスープとかやろうか」

コトーリ「すーぷいいね!」


マザー「名付けてママの特濃ミルクスープや!」

コトーリ「しょじょなのにまま?」

マザー「聖母やって処女やろうが……ってなんでうちの性事情知ってんねん」

コトーリ「てんししんけんはついたあいてのしんたいでーたがわかる」

マザー「……まじ?」

コトーリ「うそ、てきとうにいったらあたった」

マザー「嘘なんかいっ!」

コトーリ「てへへ」


マザー「全く……なんで母乳絞られたあげくコンプレックスを晒さなあかんのか……」

カタカタッ

マザー(ぶつぶつ文句を言いつつ料理――処女ママの特濃ミルクスープの準備は進める)

マザー(スープの味を整える調味料に具材を諸々を投入、具材は野菜や肉があればいいんやけど手持ちにはない……)

738 ◆WsBxU38iK2:2017/11/26(日) 22:54:16 ID:cWnZ6lPc


マザー「癒やしの空間に食料とか置いてある部屋ないんかな、ココロに聞いとけば良かった」

コトーリ「だったらわたしがきいてくるよ」

テテッ

マザー(コトーリちゃんは癒やしの空間の裏、勝手口の扉に走っていく)

マザー(ちなみにココロと希ちゃんは勝手口のすぐ内側の柱に紐を使って縛り付けてある)

マザー(外に出すのは危険、でも逃げださないようにとの対策やね)


コトーリ「こころー、ここってれいぞうことか――」

マザー(そう言ってコトーリちゃんが扉を開けると>>739)

739名無しさん@転載は禁止:2017/11/26(日) 23:06:46 ID:3GlC4lxE
2人共興奮して体中の穴という穴から体液を出していた

740 ◆WsBxU38iK2:2017/11/27(月) 00:24:08 ID:fpC0HH4.
マザー(扉を開けたコトーリちゃんの表情がピタリと固まる)


マザー「コトーリちゃん……?」


コトーリ「やばいな……これ……」

マザー「やばいってなにがー?」

マザー(火の番があるのでうちは鍋の前を長く離れられない、コトーリちゃんに大きな声で尋ねる)


コトーリ「じごくえず、どろどろのぬるぬるだよ」

コトーリ「ふたりがこうふんして、からだじゅうのあなからたいえきをたれながしてる……」

マザー「なんやて……!?」


マザー(仕方ない、鍋は少し放置してうちも勝手口のほうへ向かう)

タタタタッ


マザー「うっ……!」

マザー(扉に近づいた瞬間に強烈な臭いが鼻をつく、地獄絵図……言い得て妙やな)

マザー(扉の向こうの柱に繋がれていたはずの2人は床に伏せていて、床には2人分の様々な体液が水たまりのように広がっとった)

マザー(涙や鼻水や涎れ、血液や内臓の液、汗や糞尿、他にもなんだか良く分からんもんまで入り交じっとる)

マザー(匂いを含め綺麗なもんやないってことはハッキリと分かる)

741 ◆WsBxU38iK2:2017/11/27(月) 00:24:40 ID:fpC0HH4.


マザー(肝心の2人は激しい弛緩を繰り返していて、服や髪は体液でびしょびしょ、現在進行形で穴という穴から体液の噴出が止まらない)

マザー(下手したら自分たちの体液で溺れるんやないか……!)


マザー「コトーリちゃん、とりあえず2人を起こすで!」

コトーリ「うんっ!」

タタタッ バシャシャシャッ


マザー(室内へ入り、2人を助け起こして体液溜まりから遠ざけ壁に寄りかからせる)

ココロ「はぁ……ふぅ……」

希「ふぅ……はぁ……」

マザー(どうやら呼吸はちゃんとしとるみたいやな……良かった)


マザー「しかし……なんでこんなことに……」

コトーリ「もしかして、せいぼのそーまのせいかも」

マザー「え?」

コトーリ「あれなめたとき、わたしのなかのしんえんがけいげんしたでしょ」

マザー「あ、ああ……せやな」

コトーリ「しんえんをへらすって……れいせいにかんがえるとすごいことだよ?」

コトーリ「わたしはてんしだからへいきだったけど、もしかしてにんげんにはつよすぎるくすりなのかも」


マザー「うちの母乳が原因やって?でもまだ2人は食べてないやろ」

コトーリ「だからつよすぎるんだよ、りょうりのためにそーまをひにかけたから――」

マザー「気化か……?熱されて気化したソーマを吸い込んだからか!」

コトーリ「たぶん、とびらのすきまからなかにはいっていったんだとおもう……」

742 ◆WsBxU38iK2:2017/11/27(月) 00:24:56 ID:fpC0HH4.


マザー「……なるほど、聖母のソーマの効果は超強力なデトックスを伴う自浄作用ってわけやな」

マザー「コトーリちゃんの消すことができない深淵を強制的に排出して減らし、2人の体液を通常では有り得ないくらい溢れ出させた」

コトーリ「わたしはてんしだから、どくとはんていされるぶぶんがしんえんくらいしかなかったんだとおもう」

マザー「……で、普通の人間の2人は毒と判定された部分が多くてこれか」


マザー「それにしても反応が過剰すぎる気がするわなぁ、ほんとに生命活動に支障は無いんか?」

コトーリ「わたしにはわかんない、でもこれでのぞみをなおすほうほうがわかったんじゃない?」

マザー「ああ……人格を捻じ曲げる淫紋が毒と判定されるんなら、ミルクスープを飲ませ続ければいけるかもしれん」


マザー「希ちゃんの体力と脱水が心配やけど……そこらへんは様子みつつ試してみよう!」

コトーリ「おー」



─────────────────

癒やしの空間

AM6:38〜AM6:43 新終末編『233』了

743 ◆WsBxU38iK2:2017/11/27(月) 00:26:30 ID:fpC0HH4.
というわけでここまで

次は実食回

新終末編『234』に続く
かもしれない

744!ken:99:2017/11/27(月) 13:49:13 ID:tUyXACEQ
をつ

745 ◆WsBxU38iK2:2017/11/27(月) 20:18:37 ID:fpC0HH4.
新終末編『234』

─────────────────
──癒やしの空間

AM6:45


マザー(息も絶え絶えになったココロちゃんに聞いた所、癒やしの空間の中に設置された食料部屋を見つけることが出来た)

マザー(そこから多くの水と少しの食材を持ち出し、早速料理の続きをするべく軒下の鍋の元へ戻る)

タタタッ

マザー「コトーリちゃん別の鍋とって!」

コトーリ「ほーいっ」


マザー(さっきの様子を見るにソーマ成分はなるべく希釈したほうがええ、前の鍋から煮詰めた母乳を少しだけ新しい鍋に移し替え、そこに大量の水を注ぐ)

バシャァァァァァッ

マザー「コトーリちゃん、味はどう?」

コトーリ「ふむ……あじはあんまりかわらないね、かわらずとくのう」ペロリ

マザー「これだけ入れてもかぁ、元がどんだけ濃いんだか……」

マザー「まぁ味はともかく成分は薄まってるはずやから……この方法を繰り返していけばええやろ」


バシャァァァァァッ グツグツ パララララッ

マザー(希釈を繰り返し、その度にコトーリちゃんに味見してもらって味の調整を繰り返す)

マザー(本来なら出来る限り限界までやったほうが人体には優しいんやろうけど、生憎うちらには時間がない)

マザー(10回ほど薄める作業をしたところでカットしておいたベーコンや野菜なんかの具材を投入、調味料で仕上げをする)


マザー「ふぅ……こんなもんかな」 

コトーリ「うん、おいしい」ペロリ

マザー(最後の味見を終えたコトーリちゃんは親指を立てて応える)

746 ◆WsBxU38iK2:2017/11/27(月) 20:19:04 ID:fpC0HH4.
コトーリ「でもまだにんげんにはきついかも、どうするの?」

マザー「そこは目を瞑るしかないな、なるべく少量ずつ繰り返し飲ませて様子見ていこう」


マザー(うちはスープを皿に取り分けると建物の中の希ちゃんの所へ向かう)

タタタッ

コトーリ「ねぇまざー!つかわなかったこいすーぷはわたしのんでいいー?」

マザー「ええでー!」

タタタッ


ガチャッ

マザー「希ちゃん!」

希「はぁ……はぁ……ん……?」

マザー(扉を開くと希ちゃんは変わらず裸で、近くの壁に背中を預け座っていた)

マザー(身体検査の後にわざわざ着せた服も、体液流出のせいで濡れたので脱がすはめに……着脱が忙しい子やなぁ)


マザー「希ちゃん、今からこの処女ママの特濃スープを飲ませるで」

マザー「少しずつ飲ませるから何か体に異変があったら手を上げて教えてくれな?」

希「は……はいっ」

マザー「じゃ……」スッ


トロロロッ

マザー(器の端から希ちゃんの口へ、白い液体を慎重に注いでいく)

希「んっ……んっ……」

ゴクッ ゴクッ

希「んっ……んっ……んんっ!?」

ビクンッ!!!!

マザー(すると突然希ちゃんの体が感電したかのように痺れて跳ねる)

747 ◆WsBxU38iK2:2017/11/27(月) 20:19:29 ID:fpC0HH4.
マザー「希ちゃん!?」


希「うっ……ぐぇぇぇぇぇっ!!」

ビチャビチャビチャッ!!

マザー(希ちゃんの口や鼻から白濁した液体が吐き出され、希ちゃんは四つん這いになって激しく咳き込む)

マザー(下の穴からも同じような液体がドボドボと流れ出るのが裸のおかげてよく分かる)


マザー(たださっきと違うのは出された体液が白一色の液体だということや)

マザー(液体の中に胃の中の溶解物や、血液や排泄物といった体組織由来のものは混ざってへん)

マザー(基本的な汚れは一回目の摂取で全部排出されたってことやろうか……)


希「はぁ……はぁ……」

マザー「気分はどうや?」サスサス

希「そう……ですね、少々苦しいですけど……さっきよりは苦しさが減ってる気がします……」

希「むしろ自分の中が掃除されて気持ちいい……?ような気も……」


マザー「よし、じゃあ次は水を飲んで水分補給」

希「はい」クピクピ

マザー「水分取ったらまたスープで出すで、ちょっときついだろうけど我慢してな」

マザー「これを繰り返していけば――」







マザー(スープ→出す→水飲む→休憩→スープ→出す)

マザー(このローテを繰り返しつつ、デトックスを続けて10分ほどが経った)


マザー(その結果、希ちゃんの下腹部に印されている淫紋の様子は……>>748)

748名無しさん@転載は禁止:2017/11/27(月) 20:21:16 ID:xbUAxMOQ
消滅

749名無しさん@転載は禁止:2017/11/27(月) 21:24:08 ID:ZQFpQha2
https://www.bit.ly/2kJFRlx

750 ◆WsBxU38iK2:2017/11/27(月) 21:41:51 ID:fpC0HH4.
マザー(淫紋は綺麗さっぱり消滅していた、跡も残ってない綺麗な肌やで)

マザー(くくくっ……やはりうちの読みは正しかったみたいやな)


マザー(……で、淫紋の消滅と共に希ちゃんは元の人格に戻ったわけなんやけど――)


希「んなっ!?なんでうちは裸なん!?」バッ!

希「それにお母さん……じゃないよね、こんなとこにいるわけないし、よく似た別人か……?」

マザー(見ての通り混乱の極みにあった)

マザー(どうやら人格が上書きされていた時の記憶はあまり無いらしいな……)


マザー(うちがどうしようか手をこまねいていると、コトーリちゃんがジョッキ片手にやってくる)

コトーリ「このひとはまざー、たぶんみかたのひとだからあんしんして」グビグビ

希「コトーリさん……」

コトーリ「っぷはぁ〜!」


マザー「コトーリちゃん、そのデカイジョッキで飲んでるのってまさか……」

コトーリ「うん、まざーのつかわなかったぼにゅうをぜんぶまとめたの」

マザー「やっぱりかー」

751 ◆WsBxU38iK2:2017/11/27(月) 21:42:09 ID:fpC0HH4.
コトーリ「ただこれだけのんでも、はいしゅつできるしんえんはびびたるものだね」

コトーリ「れーてんれーれーなんぱーせんとくらい、ぜんぜんたりない」

カランッ

マザー(コトーリちゃんは飲み干して空になったジョッキを床に置く)


コトーリ「というわけでもっとちょうだい、おっぱいからじかのみでもいいよ」ジーッ

マザー「アホなこと言うんじゃありません」コツンッ

コトーリ「あいたっ」


マザー「まったく……へんに懐かれたなぁ」

コトーリ「むぅー、のみたーい」スリスリ


希「ええと……マザーさんでいいんか?コトーリさんに聞いても要領を得なさそうやし、そちらから説明してもらっていい?」

マザー「もちろん、うちの視点から見た今までの状況をまとめると――」

752 ◆WsBxU38iK2:2017/11/27(月) 21:42:48 ID:fpC0HH4.




マザー「……って感じやね」


希「……なるほど」ウンウン

マザー(うちが説明し終わると、希ちゃんは頭の中で情報を整理してるのか頷きを繰り返す)


希「マザーさんは『とある任務』でこの海域に来たスピリチュアル教団の幹部」

マザー「ああ、今回の任務は教団とは別の仕事やけどな、お友達からの頼みみたいなもんや」

希「それで任務の邪魔になるTKB隊を排除する都合上、コトーリさんとうちを助けてくれた……と」

希「本当に感謝しないといけんな、ありがとうございました」ペコリ


マザー「いいんやって、この後任務を手伝ってくれること込みの下心ある話やし、何よりうちが放っておけなかった」

マザー「希ちゃんとよく似た子を知っとるからな……」

希「そうだそれ、話聞いてて思ったんやけど」

希「それってもしかして……エローチカ家で働いてるのぞみのことやないん?」

マザー「……えっ」ピタッ


マザー(あまりの衝撃にうちは一瞬固まってしまう)

マザー(のぞみと瓜二つの希ちゃんの口から、うちの知っているのぞみの話が出てくる……どういうことなん?)


コトーリ「わたしたち、ろしあにいったときにのぞみとあってるんだよ」

マザー「ええっ!なんで最初に話した時に教えてくれなかったん!?」

コトーリ「わすれてた」


マザー「むぅ……」

753 ◆WsBxU38iK2:2017/11/27(月) 21:43:12 ID:fpC0HH4.


希「のぞみとうちは何て言うんかな……信じて貰えるかは分からんけど、別世界の同一人物なんよ」

マザー「なっ……!」

希「この世界とは別の歴史の世界があって、うちはそこの東條希」

希「ロシアにも渡らず、両親が健在で、音ノ木坂でえりちたちと出会って、μ'sに入った世界線」


マザー「そう……か、同一人物……通りでうちが見間違えるわけや……」

マザー「なるほどなぁ、偶然にしては出来すぎやで……はは……」

マザー(驚きの事実に少しだけ体の力が抜けてしまう)


希「マザーさん……?」

マザー「いや大丈夫、疑ってはないから」

マザー「魔術師まがいの仕事をやってれば平行世界なんてよく聞く話、珍しいことでもない」


マザー「それにしてもそうか……あの子が1人にならん世界もあったのか……」

希「……うん、せやね、うちはすごく幸運やったんだと思う」

希「だけど――」

マザー(そこで言葉を区切ると、希ちゃんはうちの手を取って顔を近付けた)


希「うちも安心した」

希「のぞみにも、あなたみたいな優しい人が親代わりになってくれてたんやね」

マザー「……!」

希「しかもうちのお母さんに似てる、これも何かの縁なんかな?」ニコッ


マザー「…………希ちゃん、ありがとう」


マザー「うちな――」

コトーリ「はいはい、たのしいおはなしもいいけどいまはべつのことね」

マザー「うっ!そ、そうやな……」


マザー(いかんいかん、のぞみの話はいつでもできる……)

マザー(今はコトーリちゃんの言うとおり先に聞くべきことがあるんやから)


マザー「希ちゃん、希ちゃんが淫紋を刻まれた理由……転覆した瞬間から今までのこと……何か覚えてることはない?」

希「……そうやな、>>754

754名無しさん@転載は禁止:2017/11/27(月) 21:47:48 ID:PTTSfSwo
おやじギャグをめちゃくちゃ聞かされた気がするようなしないような

755 ◆WsBxU38iK2:2017/11/27(月) 22:49:19 ID:fpC0HH4.
希「そうやな、まず船が転覆したんはうちの能力の暴走で間違いない」

希「慌てたうちがAASの中で無理やり複製と奪取の能力を使い、それが雪に阻害される形で暴発」

希「船の色んな場所を増やしたり減らしたりしてバランスが崩れたんやと思う」

希「こればっかりは本当にすまん!」パチンッ!


コトーリ「べつにきにしてないよー」


希「……で、海に投げ出された所までは覚えてる……でもその先から記憶が曖昧やな」

希「微かに記憶にあるのは……何処かに流れ着いたこと、そこから更に運ばれたこと」

希「そしておやじギャグ」

マザー「ギャグ?」

希「ああ、朦朧とした意識の中、誰かが呪文のように延々と唱えるおやじギャグが耳に残ってる」

希「そこから先の記憶はない、気付いたらマザーの横で裸でゲロ吐いてた」


マザー「……ふむ、その親父ギャグが希の人格を捻じ曲げた魔術かもしれんな」

コトーリ「かもねー」

756 ◆WsBxU38iK2:2017/11/27(月) 22:49:40 ID:fpC0HH4.


マザー「まぁ、これで聞ける話は大体聞いたか」

マザー(うちは立ち上がると、窓の近くで外を見ていたココロに声をかける)

マザー(どうも話に入ってこないと思ったら、癒やし空間の真ん中辺りにいたうちたちから少し離れていたらしい)


マザー「ココロー!ちょっと来てくれへんー?」

ココロ「気安く呼ばないでください、私は犬ではありません」

コトーリ「こころー?」

ココロ「きゃんきゃーんっ!」タタタタタタッ


希「な、なんやあの子……」ビクッ

マザー「TKB隊の偉い人の娘のココロちゃん、コトーリちゃんを信仰してる……というか犬になってる」


コトーリ「こころ、そとみてたみたいだけどへんかあった?」

コトーリ「そろそろ、うみたちがきてもおかしくないんだけど……それともまだ信者たちがみまってる?」


ココロ「はっ!外の様子は>>757

757名無しさん@転載は禁止:2017/11/27(月) 23:50:40 ID:WU87esMs
無双ゲームみたいな状況

758 ◆WsBxU38iK2:2017/11/28(火) 00:22:05 ID:cmtmnm3Q
ココロ「外は無双ゲームみたいな状況になっています!」ビシッ!


コトーリ「むそうげーむ……?」

希「コトーリさんには難しい表現やな」

希「つまりは外には大量の信者がうようよいるけど、誰か個人に無双――ばったばったと薙ぎ倒されてるわけやな」

ココロ「……は、はい……そう……です……?」


希「……?」

希「なんかうちに対する反応が妙やな……」

マザー「あー、あれやな、希ちゃんのことをコトーリちゃんの仲間って紹介してたんよ」

マザー「崇拝する天使様の仲間だけど天使では無いっぽいし、かといって天使様の前で仲間を無下にはできない」

マザー「コトーリちゃん相手みたいにベタベタできないし、うち相手みたいにツンツンできない」

マザー「希ちゃん相手にどう対応しようか測りかねて戸惑ってるんやろ」

希「はぁ……」


コトーリ「ともかく、そとでしんじゃたちがたおされてるのはほんとうだね」

ココロ「はい!確かです!」

コトーリ「だとすれば、そんなげいとうができるのはひとり――」


希「ああっ」コクンッ

希「きっと海未ちゃんが近くに来てるんや!」


─────────────────

癒やしの空間

AM6:45〜AM7:00 新終末編『234』了

759 ◆WsBxU38iK2:2017/11/28(火) 00:22:41 ID:cmtmnm3Q
というわけでここまで

再会まであと少し

新終末編『235』に続く
かもしれない

760!ken:99:2017/11/28(火) 19:53:49 ID:ioSYkkdY
をつ

園田無双

761 ◆WsBxU38iK2:2017/11/28(火) 20:19:56 ID:cmtmnm3Q
新終末編『235』

─────────────────
──癒やしの空間付近

AM7:00


タタタッ

ダル子(右を見ても左を見ても信者、信者信者!信者の群れ!信者の海!)

ダル子(信者たちは全員が手に武器を取り、間を走り抜ける私たちに明確な敵意を向けてくる)

ダル子(正にどこぞの時代の合戦場へ紛れ込んでしまった気分だ)


ダル子(けれど、私たちはただ迷い込んだわけではない、目的と切り抜けられる自信があって自分たちから足を踏み入れたのだ)

ダル子(目的はこの先の癒やしの空間、そして襲い掛かってくる敵は……海未さんが薙ぎ払う!)


海未「たぁっ!」

ザンッ!!

ダル子(手に持った長刀ファントムエッジと頭から展開される複数の触手)

ダル子(その組み合わせで海未さんは様々なコンボを繰り出し、信者の群れに道を作っていく)

ダル子「すごいですね……正に無双状態――」

海未「油断しないで!」バッ!

ダル子「おぁっ!」

762 ◆WsBxU38iK2:2017/11/28(火) 20:20:43 ID:cmtmnm3Q

ダル子(海未さんが私の肩を掴んで引き寄せ、私の背後に迫っていた敵をファントムエッジで斬りつける)

ダル子「あ、ありがとうございます!」

海未「いかに1人1人を倒すのが容易とは言え……数の脅威は侮れません」

海未「更に飛ばすので遅れずついてきてください!」

ダル子「はいっ!」


ダル子(私は彼方ちゃんを背負っている手に一層力を込めてまた走り出す)

ダル子(強行突破をせざるを得ない状況になった時、海未さんから彼方ちゃんをパスして貰っていたのだ)

タタタタッ
 

ダル子(というか、そもそも信者のふりをして潜入してたはずなのに、こんな戦闘が始まってしまったのは>>763が原因)

ダル子(あのせいでバレて戦わざるを得なくなってしまった)


ダル子「まぁ……どっちみちこうなっていた気はするけど……」

763名無しさん@転載は禁止:2017/11/28(火) 20:23:25 ID:r7aYG1K2
彼方ちゃんにイタズラしようとしたのが

764 ◆WsBxU38iK2:2017/11/28(火) 21:31:59 ID:cmtmnm3Q
タタタタッ

ダル子「まぁ……どっちみちこうなってた気はするけど……」


海未「けど……じゃないでしょう!あなたが彼方にイタズラしたのが悪いんじゃないですか!」ザシュッ!!

ダル子「ご、ごめんなさい……」

ダル子(つい愚痴を溢したのを海未さんは聞き逃さない)

ダル子(周りの敵をバッサバッサと薙ぎ払う合間に合間にさっきと同じお叱りが飛んでくる)


海未「あれはっ!あながっ!」ドガッ!

海未「眠ってる彼方の寝袋に!急に手を差し込んだりしたから!」バシッ!

海未「彼方が起きて大きな声をあげてしまったんでしょう!」ザシュッ!!


ダル子「だってそれくらい起きると思わなかったんですー!ひー敵こっち来たー!」ダタタッ!

信者「うらぁぁっ!」

海未「ふんっ!」ドシユッ!

信者「ぐっ……」

765 ◆WsBxU38iK2:2017/11/28(火) 21:32:20 ID:cmtmnm3Q


海未「私がまたすぐに!ファントムエッジで眠らせたからいいものの!」ブンッ!

海未「潜入作戦はご破産ですよ!たぁぁぁぁっ!!」

ダダダダダダダダダッ!!

信者ズ「ぐぁあああああああっ!!」


ダル子「申し訳ございません……うぅ……」

ダル子(そうなのだ、私が我慢できなくなって彼方ちゃんにイタズラしていたら何回目かで目が覚めてしまったのが原因)

ダル子(結局、彼方ちゃんを連れてきた本当の邪な理由、私が手に入れてた彼方ちゃんのパーソナル情報)

ダル子(全て海未さんに正直に話すはめになってしまった……)


彼方「……」スピー

ダル子(今は再び眠らせてもらってるけど、また何かの衝撃で目を覚ますとも限らない)

ダル子(彼方ちゃんが目覚める前に建物の中に入らないと――)


マザー「エアワシワシ!」

ボンッ!!

海未「っ!?」

ダル子(その時、突然目の前の信者の壁が爆発した)

766 ◆WsBxU38iK2:2017/11/28(火) 21:32:46 ID:cmtmnm3Q
ダル子(新たな敵?いやあれは……)


マザー「あんたが海未ちゃんやろ!こっちや!」

ダル子(厚手のコートを着た女の人が、癒やしの空間のすぐ前で私たちを手招きする)

ダル子「海未さん、あの人はコトーリさんたちと一緒にいた人です!」


海未「希に……似てる?」

マザー「うちのことはマザーって呼んで……よっ!ほっ!」

ドンッ! ドンッ!

ダル子(マザーと名乗った彼女は手に火器のようなものを持ってないにも関わらず、手を振るたびに周囲の大気が爆発していく)

ダル子(そして周囲の信者を蹴散らしつつ、私たちの元へと早足で歩いてきた)

ダル子(私たちもマザーが来る方向へ走っていく)

タタッ

767 ◆WsBxU38iK2:2017/11/28(火) 21:33:06 ID:cmtmnm3Q


マザー「やぁどうも、はじめましてやね」

海未「希たちは?」

マザー「希ちゃんたちは中におるよ、とりあえず奥に隠れてもらってる」

海未「そうですか、すみません……私たちが大勢の信者を引き連れてきてしまったせいで潜伏場所が割れましたよね」

マザー「気にせんでいいよ、どうせ時が来れば移動するつもりやったし」


海未「移動……?当てがあるのですか?」

マザー「うん、しかし包囲網が予想以上にすごいなぁ、ここを突破するには……」


ダル子「あ!あそこに見える>>768を使ったらどうです?」

768名無しさん@転載は禁止:2017/11/28(火) 21:38:40 ID:AVNeapRo
でかいだけが取り柄の光の巨人(笑)

769 ◆WsBxU38iK2:2017/11/28(火) 22:35:01 ID:cmtmnm3Q
ダル子「でかいだけが取り柄の光の巨人(笑)を使ったらどうです?」ププッ

海未「ダル子、なんかふざけてます……?」ジーッ

ダル子「い、いえいえっ、真剣です」ブンブンッ


ダル子「ただ何というか……あの巨人、特に巨大化形態と接してると妙にゾワゾワするんですよね」

ダル子「生物として相容れない何かを感じるというか、嫌いでは無いんですが妙な不快感がこびりついてるというか」


ダル子「これが生理的に無理ってやつなんですかね?」

海未「さぁ……私に言われても、ただあまりそういうことは口に出して言わないほうが良いかと」


ダル子「大丈夫ですよ、ここでグチグチ言ったところで向こうには――」

ウミトラマン『聞ーこーえーてーまーすーよー!』

キィーーーーーーーーーーーーンッ!!

ダル子「わっ、地獄耳だな……」


信者ズ「ひぃぃぃぃぃぃっ!」

ドタタタタタッ!

ダル子(いきなり物凄い音圧に見舞われ、周囲の信者たちが軒並み腰を抜かしていく)

770 ◆WsBxU38iK2:2017/11/28(火) 22:35:29 ID:cmtmnm3Q
ビリリリリリィッ


マザー「おおっ!なんやこの頭の上から降ってくるデカイ声!」

マザー「それに遠くに光り輝いてる青い巨人が見える……あんなもの今までなかったで?」


海未「彼女はウミトラマン、私たちの仲間の1人です」

海未「私とダル子が希たちの救出に向かう際に別れ、海岸付近に潜んでいてもらっていました」

海未「彼女は巨大化状態だと潜入には目立ちますし、人間大に縮んでも特に役立つことはできませんから」


ダル子「海未さんも暗にデカイだけって言ってますよね……」


マザー「確かに、あの図体じゃ厳しいな」

海未「はい、ですからある時間まで私たちが戻らなかったら巨大化して姿を表すよう約束していたのです」

海未「失敗の可能性が出てくれば彼女の力技が必要になりますからね」


ダル子(私たちがいる島の中心近くからも、海岸付近にいるはずのウミトラマンはデカデカと見える)

ダル子(やっぱり大きいなぁ……そしてやっぱりゾワゾワする……)ゾクッ


海未「ウミトラマンー!聞こえますかー!」

ウミトラマン『聞こえますよー、私の耳はすごい遠くの針が落ちる音まで聞こえると折り紙付きです!』

海未「ではようやくあなたの出番です!」

海未「包囲した信者から逃亡するために、そこから>>771

771名無しさん@転載は禁止:2017/11/28(火) 22:55:38 ID:G78YCYL.
全てを焼き尽くせ

772!ken:99:2017/11/28(火) 23:35:28 ID:ioSYkkdY
ピクシーかな?

773 ◆WsBxU38iK2:2017/11/28(火) 23:55:15 ID:cmtmnm3Q
海未「そこから全てを焼き尽くしてください!」

ウミトラマン『……アクションビームでいいの?』

海未「はい、お願いします」



マザー「なっ!焼き尽くす!?」

マザー「アカンて!島にはまだたくさんの民間人がいるんやで!彼らに危害を加えたら――」

海未「大丈夫です」

マザー「なに?」

海未「私たちが起こしてきた騒動で信者以外の人は島の中心部からかなり離れてますし」

海未「狙うのも信者団体関連の建物だけなので巻き込むことは無いかと」

マザー「……言うのは簡単やけどなぁ、あんたらTKB隊のこと知らないんやろ、それで建物や人を判別するなんて出来るん?」

海未「ええ、できますよ」

マザー「ほう……自信満々やないか」


海未「ではダル子」

ダル子「うっ……やっぱりやるのかぁ……やるんですか?」

海未「はい、あなたの力でウミトラマンをただのデカくて強いやつではなくするのです」

ダル子「わ、分かりました……海未さんのお願いですからね!」

774 ◆WsBxU38iK2:2017/11/28(火) 23:55:54 ID:cmtmnm3Q


マザー「どういうことや?」ブンッ

信者ズ「ぐあああああああっ!!」

ドガァァァンッ

ダル子(まだ懐疑的なマザーさんは手近な信者を適当に吹き飛ばしつつ私に尋ねる)


ダル子「私が見るんですよ」スッ

ダル子(私は彼方ちゃんを優しく地面に降ろすと、寝袋にまとめて入れていた道具を取り出した)

ダル子「彼方ちゃんの手荷物には信者用のチップ入りIDカード、島の地図、祭りの巡回ルートや警備の班割り、隊の主要な施設が載ったマニュアルなんかがどっさりありました」

ダル子「これらを参考にしつつ、海未さんと走ってる間に島全体を"実際に視てみた"んですよ」


ダル子「今の私はそこらのTKB隊以上に、この島のどこに何があるかを把握しています」

マザー「なん……やと?」



ダル子「ウミトラマン!ちょっと不本意だけどこれから私の眼を貸しますから!」

ウミトラマン『むむ、不本意とは聞き捨てなりませんね……』プクー



ウミトラマン『……ですが』グッ

キュィィィィィィンッ

ダル子(ウミトラマンが十字に組んだ腕の前に光の束が集まる)


ウミトラマン『ま、やるべきことはやるだけです』

ダル子「その通り、2人でこの島の全てを……"安全に"焼き尽くしますよ!」



─────────────────

癒やしの空間付近

AM7:00〜AM7:04 新終末編『235』了

775 ◆WsBxU38iK2:2017/11/28(火) 23:56:51 ID:cmtmnm3Q
というわけで

これで全員出たかな

新終末編『236』に続く
かもしれない

776!ken:99:2017/11/29(水) 00:07:51 ID:RZY6wWnA
をつ

777 ◆WsBxU38iK2:2017/11/29(水) 20:33:32 ID:Hnr3LSFY
新終末編『236』

─────────────────
──癒やしの空間近く

AM7:04


ダル子「ふぅ……視覚共有!」

キィィィィィィンッ!


ダル子(私の能力――神眼で出来ることの1つに視覚共有というものがある)

ダル子(これは任意の相手に私の視覚を貸し与えること、つまりは神眼を一時的に与えることができるのだ)

ダル子(まぁ危険性は諸々あって相手に契約してもらう事項も多いんだけど、今回は緊急時だし相手が同意してくれたということで無理やり押し切る)

キュィィィィィィンッ!

ダル子「ウミトラマン!少しクラっと来るかもしれないけど我慢して!」

ウミトラマン『くらっと……?』


グラッ……

ダル子「……っ」

ウミトラマン『……!?』


ダル子(立ち眩みに似た感覚が、私とウミトラマンを同時に襲う)

ダル子(そして次の瞬間……私の目にはウミトラマンから見る島の全景が写っていた)

778 ◆WsBxU38iK2:2017/11/29(水) 20:33:52 ID:Hnr3LSFY


ウミトラマン『これは……私にはダル子の見てる景色が見えます……』

ダル子「視覚共有が完了したということよ」

ダル子「今は交換した形になってるけど……これを今から1つになるよう調整して――」

ググググッ

ダル子(ピントを合わせるように、ウミトラマンの広い視野に私の神眼を重ねていく)

ダル子(そうすると島の全景を見ながら各スポットの詳細が表示されている、便利MAPのような視覚を作ることができるのだ)


ダル子「ただこれ……視覚共有する過程で他の感覚も重なって来ちゃうのよねぇ」

ゾクッ!!

ダル子「……っ!」

ダル子(……ほら来た、表面積の多い肌に当たる風の感覚、島中から聞こえる微かな人の声、海に浸かってる足の冷たさ)

ダル子(ウミトラマンが感じる様々なことが私の中に流れ込んでくる)

ゾゾゾゾゾゾゾゾッ

ダル子(生理的に合わないと思ってる相手の感覚……あんまり味わいたいものではないけど……)


ピクッ

ダル子「……ん?」

ダル子(なんだろうこれ、ただの感覚とは違う……記憶?ウミトラマンの記憶の一部が流れ込んで来てるのかな)

ダル子(記憶の中身は>>779)

779名無しさん@転載は禁止:2017/11/29(水) 20:35:22 ID:fN0H9zc.
淡い初恋の記憶

780 ◆WsBxU38iK2:2017/11/29(水) 21:47:06 ID:Hnr3LSFY
ダル子(ウミトラマンが誰かに恋をしてる……淡い初恋の記憶?)






ダル子(記憶の中の景色は明らかに地球とも、私の知ってる数々な異界とも違う景色)

ダル子(銀色で流線型の未来感がある建物が立ち並ぶ街並み、紫がかった空には複数の恒星が光り輝いている)


ダル子(ウミトラマンは街の外れの丘、そこにある人工物めいた大きな樹の下で誰かと話していた)

ダル子(この人がウミトラマンの初恋の相手なのだろう、記憶からほんのりとした暖かい感情が伝わってくる)


ウミトラマン『ほ、ホノトラマン……あの……わたし……』

ホノトラマン「幕張メッセ」

ウミトラマン「え?」

ホノトラマン「地球って星に幕張メッセって所があるらしいんだよ、行ってみたいなぁ」

ウミトラマン「は、はぁ……」


ダル子(相手の人は何かの情報誌を読んでいる)

ダル子(ウミトラマンは何か伝えたいようだけど、上手く伝えられないようでドギマギしていた)

ダル子(っていうか……なんだこの会話、私は何を見せられてるんだ……?)

781 ◆WsBxU38iK2:2017/11/29(水) 21:47:27 ID:Hnr3LSFY
ダル子(ウミトラマンから感じる違和感の正体が記憶から分かると思ったけど、あんまり意味ないかな)

ダル子(やっぱり異星人だから地球製の神の私とは相性悪いだけ……?)






ウミトラマン『ダル子!まだですか!?』

ダル子「……はっ!」


ダル子(ウミトラマンの声で私の意識は現実に引き戻される)

ダル子(いけないいけない、流れ込んで来た記憶に飲み込まれかけていた)


ダル子「大丈夫、視覚共有からの視覚融合はできている」

ダル子「私が誘導するからその地点にアクションビームを放ってください!」

ウミトラマン『はいっ!』

ピピピピピピッ

ダル子(重ねた視覚に映る島の全景、そこに神眼と記憶を頼りに狙う箇所をマーキングしていく)

ダル子(なるべく人が少なく人的被害の出ない場所、かつ私たちの行動の目くらましに有効な場所)


ダル子「後は……」

マザー「そうや、どうせ狙い撃つなら>>782も狙ってくれん?」

782名無しさん@転載は禁止:2017/11/29(水) 21:58:56 ID:ZcFbmKgs
水が吹きあがる場所

783名無しさん@転載は禁止:2017/11/29(水) 22:40:35 ID:VIxiTjvo
https://www.bit.ly/2kJFRlx

784 ◆WsBxU38iK2:2017/11/29(水) 22:50:43 ID:Hnr3LSFY
マザー「水が吹きあがる場所も狙ってくれん?」

ダル子「水の吹き上がる……ああ、島の端にある巨大な噴水みたいな場所ですね」

ダル子「丁度ウミトラマンがいる場所と島の中心を挟んで反側側、石造りのモニュメントから数メートルほどの高い水柱が上がってるのが見えます」


マザー「そうそう」

ダル子「信者の施設リストには載ってませんし、怪しくも無さそうですが……」

マザー「良いから破壊しちゃって、周りに人もおらんやろ?」

ダル子「……まぁ、分かりました」


ピッ

ダル子(狙い撃ち視界MAPにマザーさんに言われたポイントを加える)

ダル子「これでよし、ウミトラマン!あとは思っきりぶっ放してください!」

ウミトラマン『はいっ!』


キュィィィィィィンッ!!

ダル子(ウミトラマンの両手の前で練られていた光の束がより一層輝くと、空中に向けて放たれる)

ウミトラマン「ホーミング――アクションビームッ!!」

カッ!!

785 ◆WsBxU38iK2:2017/11/29(水) 22:51:11 ID:Hnr3LSFY


ガガカッ 

ギュンッ!!

ダル子(放たれた光線は島の中心部の上空に到達すると破裂、分裂し、雨のように島に降り注いだ)

バッ! ドドドドドドドドドッ!!

ダル子(光線は寸分の狂いなく100を超える目標を同時に破壊、大きな火の手を上げ島の空が赤く染まっていく)


マザー「ひゃー、これはマップ兵器やなー、島中の信者関連の施設を一気に爆撃してるんやろこれ」

海未「正に人知を超えた一撃、これでTKB隊は一気に士気を低下させるはず……」


ダル子「マザーさん!例のポイントも破壊できたようです!確認できました!」

マザー「ナイス!」

海未「結局そのポイントってなんなんてす?」

マザー「まぁ……追々話すけどうちの任務に必要なもんなんや、とあるものの封印を解くためにな」


マザー「ダル子ちゃん、破壊されたポイントに変化はあるか?」

ダル子「ええと……そうですね、ビームが直撃した結果、石造りのモニュメントは破壊されて地面に大きな穴が空いています」

ダル子「そこから>>786

786名無しさん@転載は禁止:2017/11/29(水) 22:57:38 ID:FW0forhs
フルタマンが飛び出して来た

787 ◆WsBxU38iK2:2017/11/29(水) 23:58:33 ID:Hnr3LSFY
ダル子「そこから全身タイツの謎の人物が出てきました、目の所に∞の形をした包装の……チョコレート菓子ですかね、それを付けています」

海未「はぁ?」

ダル子「いや私もはぁ?ですよ、見たまま言ってるだけです」


マザー「なるほど、たぶんそれがフルタマンやね」

ダル子「フルタマン……?」

マザー「フルタマンが出てきたということは概ね予定通り、任務の進行に支障はない」


ダル子(これも任務とやらに織り込み済みか、マザーのやりたいことが全然読めない)

ダル子(まぁ現状はこの人についていくのが無難なのかな……)


マザー「よっし!ウミトラマンの爆撃で信者たちが慌ててる今がチャンス、希ちゃんたちを連れて移動を始めるで!」

海未「移動先は?」

マザー「まずはTKB隊の切り札である儀式を完全に潰すために動く」

マザー「一応ウミトラマンの爆撃で殆ど使えないと思うけど……それでも可能性は完全に消すために出向くで」

788 ◆WsBxU38iK2:2017/11/29(水) 23:58:45 ID:Hnr3LSFY
マザー「その後はフルタマンが出てきた穴に行ってうちの任務を消化、そしたら全員飛空艇に乗せて脱出や」

海未「ふむ……全員で脱出とは私たちも?」

マザー「せやで」


マザー「希ちゃんと話した結果、どうやらうちらとあんたらは協力できそうやと思うんや」

海未「……ほう、それは詳しく聞きたいですね」

マザー「ああ……もちろん追々話すで」


海未「ではウミトラマンは先にフルタマンとやらのポイントに向かっててもらいましょうか」

ウミトラマン『はい、島を迂回して行きます、もう私の姿がバレようが構わないでしょうし』

海未「ダル子は視覚共有を解いて彼方を拾い、マザーと一緒に癒やしの空間へ」

ダル子「了解!さぁ行くよ彼方ちゃん」

タタタタッ


─────────────────

癒やしの空間付近

AM7:04〜AM7:06 新終末編『236』了

789 ◆WsBxU38iK2:2017/11/29(水) 23:59:34 ID:Hnr3LSFY
というわけでここまで

更にペースが遅くなる

新終末編『237』に続く
かもしれない

790!ken:99:2017/11/30(木) 01:04:42 ID:Lnpz2AWI
をつ

791 ◆WsBxU38iK2:2017/11/30(木) 20:22:25 ID:Ctr2PL9k
新終末編『237』

─────────────────
──癒やしの空間からの道中

AM7:08


タタタタッ

ダル子(癒やしの空間で合流を果たした私たちはすぐさま癒やしの空間を出発)

ダル子(各所から火の手が上がり真っ赤に染まった島の中をひた走っていた)


ダル子(合流した結果、面子は海未さん、希さん、コトーリさん、私のノットライアー船組)

ダル子(それに加え先頭を走るマザーさん、ココロ、私の背負ってる彼方ちゃんの7人となった)


ダル子(TKB隊の幹部クラスであるココロが言うには、コトーリさんを捕獲するための『強制引き寄せ』と呼ばれる儀式発動の可能性があるとのこと)

ダル子(儀式は特定の幹部数人が集まる必要があるらしく、ウミトラマンの爆撃で精神的に追い詰められたTKB隊が一か八かやるかもしれない)

ダル子(私たちはそれを止めるべく儀式の場所へ向かっているのだ)

792 ◆WsBxU38iK2:2017/11/30(木) 20:22:50 ID:Ctr2PL9k
タタタタッ


海未「ココロ!爆撃で儀式場が破壊されてるということは無いんですか!?」

ココロ「くっ……き、気軽に話しかけないでください!天使様の手前無視しにしにくいんですよ!」

希「普通に話せばいいのになぁ」

コトーリ「おねがいこころ」

ココロ「まぁ、そうですね……儀式場は特別な施設の中にあるわけではありません」

ココロ「一見すればただの野原に見えるような場所、もちろん幹部クラス以外には座標は秘匿されていて、そこの……」チラッ


ダル子「ダル子です!後ろのは彼方ちゃん!」

ココロ「……一般信者である彼方からダル子が得た情報では知り得ないと思います」

海未「なるほど、ウミトラマンの爆撃リストには端から入らないと」


ココロ「はい、ただ重要施設の近くではあるので延焼してる可能性と、そもそも騒ぎで幹部たちが集まれない可能性があります」

ココロ「ですからあくまでこれは確認のための――」


ココロ「…………」

海未「どうしました?」

ダル子(先頭にいたココロが急に走り方を緩めて小声になり、茂みの後ろへ私たちを誘導する)

793 ◆WsBxU38iK2:2017/11/30(木) 20:23:08 ID:Ctr2PL9k
ココロ「しっ、この先が例のポイントです、身を屈めて静かにしていてください」

マザー「この先?ただの原っぱやないか」

ココロ「だからそう見えるって言ってるんでしょう愚図」

マザー「いやーん、あたりがきつーい」


ココロ「マザーと天使様以外は一応信者服を羽織ってるのでチラっと見られるくらいは平気だと思いますが……まずはバレずに観察したいですね」

ダル子(そう言うとココロは茂みから顔だけを出して奥の野原を見やる)

ジーッ

ココロ「ふむ……ここに集まってる幹部たちは>>794

794名無しさん@転載は禁止:2017/11/30(木) 20:28:56 ID:84yscJbU
全員いるがみんな堕天使教に改宗完了

795 ◆WsBxU38iK2:2017/11/30(木) 21:26:39 ID:Ctr2PL9k
ココロ「全員いますが……何か様子がおかしいですね」

海未「おかしいとは?」

ココロ「どの幹部も顔見知りばかりですが着ている信者服が違います」

ココロ「胸の所に大きく『堕天』というマークが記されていて……あんなもの見たことないですよ」


ダル子「ふむ……」カッ!

ダル子(神眼で見ると確かにその通りだった、先の草原に集まってる信者達と服装はおかしい)

ダル子(私が偽装作戦から引き続き着ている服とは違う)

ダル子(メインカラーは黒で全体的にダークでゴシックな雰囲気漂うデザイン)

ダル子(天使化薬とか言うので生やしてるらしい背中の羽まで漆黒に染まっている)


ココロ「……って、あれはテンシ姉様っ!?」

希「ちょっ、そんな大きな声出したら――」


テンシ「あら……その声はココロ、あなたも来ていたのね?」

ココロ「……っ!」

ダル子(集まっていた幹部の1人がココロの声に気付いて近づいてきた)

796 ◆WsBxU38iK2:2017/11/30(木) 21:27:09 ID:Ctr2PL9k
ダル子(顔はココロに似ているけど少し大人びている、歳は上だろう)


ココロ「……っ!」

コトーリ「てんし……あれがこころのいっていたおねえさん?」

ココロ「……はい、あれが信々テンシ、私の姉で信々三姉妹の長女です」


希「それよりどうするんこれ、逃げ場ないで?」

海未「見つかったものは仕方ありません、堂々と出てきいましょう」

ザッ 


ダル子(茂みの裏から姿を現した私たちを見ると、テンシは驚くわけでもなくただニヤリと笑う)

ダル子(マザーの顔やコトーリさんのことは知っているはず、なのに何?この余裕は……)


テンシ「我らが仇敵に"元"天使様、ココロ……あなた随分と面白いメンバーを連れてるじゃない」

ココロ「元……?」


テンシ「そうよ、私たちは新たな天使様から天啓を得て、それを引き寄せることに成功したの」

テンシ「見なさいココロ!あそこにいるのが新たな天使!堕天使善子様よ!」

ココロ「なっ……!」


ダル子(テンシが指差す先、幹部信者たちが作ってる輪の中心に何処か見覚えのある少女がいた)

ダル子(その少女はそこで>>797)

797名無しさん@転載は禁止:2017/11/30(木) 21:31:54 ID:fJTa50ss
ほのりに全力で土下座をしていた

798 ◆WsBxU38iK2:2017/11/30(木) 22:59:56 ID:Ctr2PL9k
ダル子(少女はそこで別の少女に全力で土下座していた)


善子「ごめんなさいっ!ちょっと堕天使を名乗ってみたかっただけなの!」ドゲザー

善子「まさかこんなことになるなんて……」


ダル子(土下座されてる方の少女は見覚えのある……なんてものじゃない、私は彼女を知っている)

ダル子(私だけじゃなく海未さんや希さんだって知ってるだろう)

ダル子(だって彼女は……)


ダル子「ほのりさんっ!」

ほのり「……え?」


ほのり「ダル子、それに海未さんたちまで……どうしてここに?」

海未「どうしてはこっちの台詞です!ほのりこそ――」

バッ!

テンシ「はい待った、私たちの天使様たちに勝手に近づかないでくれる?」

海未「……っ!」 

ダル子(私たちとほのりの間を塞ぐようにテンシが立ち塞がる)

799 ◆WsBxU38iK2:2017/11/30(木) 23:00:23 ID:Ctr2PL9k


海未「近づきません、近づきませんから話はくらい聞いても良いですよね」

海未「私も信者としてそちらの堕天使様に教えを請いたいのです……ダメですか?」

ダル子「……なるほど、そういうことなら特別に許すわ、ココロの知り合いみたいだしね」

ダル子(信者服のままだったのが功を奏したのか、以外にもテンシはあっさり許してくれた)


ダル子(けどこの距離だと会話は筒抜けだ、変なことを聞かれて不審がられないようにしないといけない)

ダル子(ここは海未さんに任せたほうが良さそうかな……)


海未「ほのり!そちらのそれ――天使様は私の思い浮かべてる例のアレですか?」

ほのり「え、ええっ、アレの一部みたいなものよ」

ダル子(アレ……というのは究極生物のことよね、善子という天使は堕天使ヨハネの面影があるし)


ほのり「天界で色々あって今は無害だから身構えないで良いわ、ほら土下座してくれるくらい仲良しよ」

善子「土下座してると仲が良いってすごい価値観ね……」

海未「そうでした、ほのりは天界に行っていたんでしたね」

ほのり「ええ、善子と仲良しになってからはまた諸々あって、スゴロクで遊んだりして」

ほのり「丁度スゴロクが終わったあたりかな、善子がオーディンのカラスに変なこと吹き込んで遊んでたら……」

善子「変なことじゃない!堕天使の教えよ!」


ほのり「変なことよね……?」ジトッ  
善子「うぐっ……はい、変なことです……」


ほのり「で、そしたら急に地面から出てきた手のようなものに絡め取られて沈んでいったのよ」

800 ◆WsBxU38iK2:2017/11/30(木) 23:00:40 ID:Ctr2PL9k
ココロ「手……お姉様たちの強制引き寄せですね!」


ほのり「オーディンのカラスは世界を飛び回って情報を集める力を持っている」

ほのり「きっと善子が吹き込んだ変な情報がカラスから漏れてTKB隊に察知されたんでしょう」

海未「天界からここまで……?そんなことが……」

ほのり「ええ、普通ならまず有り得ないバグよ、付け加えると人間の儀式が天界に届くことも有り得ない」

ほのり「おそらく世界樹が無いせいで北欧世界との接続が不安定になってるのが原因ね」


海未「ふむ……それでよし――じゃなく天使様が引き寄せられたと」

ほのり「いきなりのことでね、私もつい善子の手を掴んだら一緒に戻って来てしまったわ」

ほのり「ロスヴァイセたちは今頃大慌てでしょうね」


ダル子(申し訳無さそうな顔で空を見上げるほのり)

ダル子(オーディン様たちがいるなら事態は把握してると思うけど、すぐに世界間を行き来できないのが厳しいな)


テンシ「ふふふ……そして降臨なさった天使様、いや堕天使様は私たちに教えをくださったの」

テンシ「堕天使教という新たな教えをね!」ビシッ!



ほのり「ほーら、あなたが調子に乗って変なこと語るから」ボソッ

善子「だって……気付いたらたくさんの人に崇められてて気分よかったしぃ……」

801 ◆WsBxU38iK2:2017/11/30(木) 23:01:03 ID:Ctr2PL9k


ダル子(取り敢えず向こう側の話を聞き終わった海未さんは私たちの元へ戻ってきた)

ダル子(テンシたちには聞こえない声で今後の相談を始める)

マザー「どうや?」

海未「大体の事情は把握しました、向こうの2人は私たちの仲間と思ってもらって相違ありません」

海未「強制引き寄せは善子に使われたようで、コトーリさんに使われる危険性は無くなりました」


希「でもあの2人が天使扱いされたままだとほのりちゃん回収できんよね?」

海未「はい、理想としては2人も連れて行きたいですね」


ココロ「私が言うのもなんですけどテンシ姉様は頑固ですよ、自分の思い込みを変えたりしません」

ココロ「ぶっちゃけ私の天使様を独占するためにアレらは姉様に与えておいたほうが――」

コトーリ「だめ、つれていく」

ココロ「ですよねぇ!私も解放するべきだと思ってました!」


海未「じゃ、方針が固まった所で方法ですね」

海未「この状況を何とかするには>>802

802名無しさん@転載は禁止:2017/12/01(金) 01:02:11 ID:CDwaVDjM
催眠術

803 ◆WsBxU38iK2:2017/12/01(金) 01:55:37 ID:jnCJPZgg
海未「ずばり催眠術です、マインドコントロールとも言いますね」

マザー「そんなこと出来るんか?」

海未「私の能力を使えばできます、もちろんAASに妨害されない方法で」

マザー「ほぉ……」


海未「マザーの能力も野外で使ってましたから異能由来ではありませんね」

マザー「ああ、エアワシワシは異能より技術に近いもんやな」

マザー「そもそも雪の中で戦えんかったら端から任務を断っとる」

海未「ではサポートお願いします、私のマインドコントロールは直接接触が必要ですから」


コトーリ「うみ、わたしもうごける」

海未「コトーリさんはまだ本調子じゃないでしょう、無理は禁物です」

海未「さっき能力を暴発させた希も同じですからね、不確定なものは使えません」

希「うぐっ……強奪ならいけるかもしれんのに……」

コトーリ「むぅ……」



マザー「じゃ、向こうさんが痺れを切らす前に催眠術作戦やりますかっ」

海未「はいっ!」


─────────────────

癒やしの空間近く〜儀式場

AM7:08〜AM7:12 新終末編『237』了

804 ◆WsBxU38iK2:2017/12/01(金) 01:57:12 ID:jnCJPZgg
というわけでここまで

実のところ善子とヨハネはダブリキャラ、前者の設定をうっかり忘れて後者を出してしまった
まぁどっちも堕天使から分裂したということで

新終末編『238』に続く
かもしれない

805 ◆WsBxU38iK2:2017/12/01(金) 20:18:10 ID:jnCJPZgg
新終末編『238』

─────────────────
──儀式場

AM7:12


ダッ!!

ダル子(同時に走り出す海未さんとマザーさん、もちろんそれを見逃すテンシではない)

ダル子(2人の前に漆黒の翼を広げて立ち塞がる)


バッ!

テンシ「先へは進ませないと言ったはず!」

マザー「悪いけど通してもらうで――エアワシワシっ!ダブルっ!」

テンシ「っ!?」

ブルルルルルルッ!

ダル子(テンシの胸が見えない何かに高速で揉みしだかれる)

ダル子(あれがマザーのエアワシワシ、技術に近いものと言っていたから遠当ての亜種みたいなものなのかな)

ダル子(遠く離れた物質を掴んであれだけ高速振動させるなんて……もはや異能の域に近い体技……)


テンシ「ぐぅぅぅっ!こんな刺激……んんっ!」ビクッ!

マザー「今や海未ちゃん!」

海未「はいっ!」

シュルルッ!


ウネウネッ

ダル子(海未さんの髪の一束が軟体動物の足を模した触手へと変化する)

ダル子(触手は大きく曲線を描きながらテンシの後ろへ回り込み、テンシの後頭部へ吸盤をくっつけた)

ピタッ!

海未「MCT――『園田海未の命令に従いなさい!』」

テンシ「がっ……!?」

806 ◆WsBxU38iK2:2017/12/01(金) 20:18:57 ID:jnCJPZgg


ダル子(MCT……マインド・コントロール・テンタクル)

ダル子(触手を伝って海未さんの異能がテンシへ直接流れ込み、テンシを洗脳して傀儡と化す)


海未「園田海未の名を持って命じる……信々テンシ!私たちに危害を加えてくる相手を残らず倒すのです!」

テンシ「はいっ!」タタタッ!


マザー「ほー、おっそろしい能力やなー、うちもやられんように気を付けとかないと」

海未「や……やりませんよ、第一マザー相手に触手を近づけられるイメージが湧きません」

ダル子(そう、海未さんの触手を伸ばすスピードは達人級の相手からすればそこまで速いものではない)

ダル子(多人数相手だと接触式は時間がかかるため更に不利)

ダル子(本来なら範囲洗脳できるMCTモーメントリング辺りを使うほうがベターだけど、AASが降っている屋外の戦闘では使えないのが痛い)


海未「だから……マザーさんとのコンビネーションが大事です、頼みましたよ!」

マザー「大丈夫、可愛い子供と合わせるのは大の得意やから」

ダタタッ!


堕天使信者ズ「させませんぞぉおおおおおっ!」

オオオオオオオオオオッ!!


ダル子(更に奥へ走る2人に今度は大量の信者が襲い来る)

807 ◆WsBxU38iK2:2017/12/01(金) 20:19:13 ID:jnCJPZgg
希「なんか強そうやなぁ、圧がすごいで」

ココロ「集まってるのは全部幹部級……もちろん羽つきですよ、戦闘力はそこらの信者の比ではありません」

希「……っ」ゴクッ

ココロ「ですが傀儡とした姉様も幹部級、敵としては厄介ですが味方となるなら頼もしい人です」


ココロ「姉様の天使化は他の人と違って>>808

808名無しさん@転載は禁止:2017/12/01(金) 20:25:03 ID:AUJLYs6c
戦闘特化

809 ◆WsBxU38iK2:2017/12/01(金) 21:38:50 ID:jnCJPZgg
ココロ「姉様の天使化は他の人と違って戦闘特化型ですからっ」


テンシ「ふんっ!」キュポンッ

ゴクゴクッ

ダル子(テンシが懐から出した瓶の蓋を口で開けて中身を一気に飲みほす)

テンシ(すると信者服のどこかから複数の太い縄が出現しテンシの体を亀甲縛りにした)

シュルルッ! ギュゥゥゥゥッ!

テンシ(きつく締め付けられる悶えるテンシ、彼女が喘ぎ声をあげると背中の漆黒の羽は巨大化していく)


コトーリ「ここまではしってる、いたみとかいらくをかてにして、しんたいのうりょくをあげるひぎ」

ココロ「はい、ですがここからが違います」


ギュゥゥゥゥッ

テンシ「はぁ……くぅ……痛みが、蔑みが、私に無限の力を与えるぅぅぅっ!!」

ビキビキッ ドシュルルルルルッ!!!!

ダル子(テンシの体を自縛していた荒縄が爆発的にその数を増やした)

ダル子(彼女の体を中心に無数に伸びた縄は亀甲縛りに留まらず、足や腕に絡みついて身体の自由を奪っていく)

グルングルンッ! グルングルンッ!

ギュゥゥゥゥッ!!

ダル子(やがて首の下から足の先までが全て縛られ、まるで簀巻にされてるような姿になってしまう)


バサッ! バサッ!

テンシ「ふぅぅぅぅぅぅっ」

810 ◆WsBxU38iK2:2017/12/01(金) 21:39:11 ID:jnCJPZgg


希「なんやあれ……頭と羽以外の部分が縄で埋め尽くされて見えなくなっていくで……」

ココロ「人としての機能を封じる代わりに強さを得る、あれが姉様の天使化ですよ」

希「でもあれじゃ手も足も使えない、強くなったとしてもどうやって攻撃するんや?」

ココロ「ふふっ、それは――」


テンシ「らぁっ!」

ドシュッ!!!! 

堕天使信者ズ「がぁぁぁっ!」

ドゴォォォォォンッ!!


希「っ!?なんや今の!」

希「何かがテンシの体から高速で伸びて……信者の群れを吹き飛ばした?」

ココロ「縄槍です」

希「縄槍……?」


シュルルッ

ダル子(羽で空中に浮かんだテンシの体側面から射出されたのは何十本もの縄で編み込まれた柱のようなもの)

ダル子(身体強化された信者の壁を弾き飛ばして地面に突き刺さってることから、その硬度と威力はかなりのものだろう)

811 ◆WsBxU38iK2:2017/12/01(金) 21:39:28 ID:jnCJPZgg


ココロ「人の手足を封じた姉様の新たな手となるもの、それが縄槍」

ココロ「緩く操れば手足のようにも使えて、強く突けば破壊をもたらす」

希「はぁ……すごいなぁ……」

ココロ「もちろん1本ではありません、体の両側面に3本ずつの計6本」

シュルルッ! シュルルッ! シュルルルッ!!


ダル子(もはや人としての形は残っていない、巨大な漆黒の羽と縄で作られた円筒状の体を持った六本足の怪物)

バサッ! バサッ!

テンシ「園田海未に危害を加えるものは許さないわ!立ち去りなさい!」

ズドドドドドドドドッ!!


マザー「ひゃー!空からぶっとい縄がドンドン降ってくるなぁ……もうあいつ1人でいいんちゃう?」

海未「そ、そうですね……」


ダル子(テンシの予想外の猛攻に信者たちはどんどん倒されていく)

ダル子(そして>>812)

812名無しさん@転載は禁止:2017/12/01(金) 21:44:24 ID:jBbnWIT2
まさに、人がゴミのようだ

813 ◆WsBxU38iK2:2017/12/01(金) 22:43:02 ID:jnCJPZgg
ダル子(そして……)


テンシ「ふははははっ!まさに人がゴミのようだわ!!」

ドーンッ! ドーンッ!

ダル子(テンシの攻撃は続き歯向かう信者は何処にもいなくなってしまった)


マザー「ま、残党狩りはあいつに任せてうちらは海未ちゃんの仲間のとこにいこっ」

海未「はい、それにしても強いですよね……TKB隊は異能者集団では無いと聞いていましたが」

タタタタッ

マザー「そうやねぇ、大半の信者はただの頭のおかしいドM集団やで」

マザー「ただ幾つかのロシア政府指定禁忌アイテムを保有してるのが厄介なところでな」

海未「禁忌アイテム……?」

マザー「異能に似た力を有するアイテムや」

マザー「太古の昔に作られたもんはアーティファクト、現代でもオカルトに染まった科学者が偶に作ったりするな」

海未「あー、鞠莉みたいなやつですか」

814 ◆WsBxU38iK2:2017/12/01(金) 22:43:23 ID:jnCJPZgg


マザー「まぁその禁忌アイテムのせいで並みのフリー魔術師では対処できん集団になってるんや」

マザー「だから政府からうちの教団へ依頼が来て一回潰したはずなんやけど……まだこんな人と力を残しておったとは」

マザー「害虫並のタフネスでびっくりやで」


タタタタッ

ほのり「海未さん!」

海未「ほのり、無事でしたか」

ほのり「信者たちを追い払ってもらって助かりました、海未さんたちはどうしてここに?」

海未「九州に偵察に行った帰りに迷って漂流したと言いますか……まぁ後で詳しく説明しますよ」

海未「そっちの究極生物も――」

善子「善子よ!今は善子!」

海未「すみません、善子も一緒に来てください」


善子「よしこ?あれ?よはね?よしこ?」

ほのり「ほら行くわよ!」グイッ
 


テンシ「ふははははははははっ!」

チュドーンッ! チュドーンッ!

海未「テンシ!あらかた信者を倒し終わったら>>815

815名無しさん@転載は禁止:2017/12/02(土) 00:24:29 ID:mZMtGMzo
あったかくして眠りなさい

816 ◆WsBxU38iK2:2017/12/02(土) 02:44:58 ID:w7dp4dKk
海未「あったかくして眠りなさい!近頃は冷えますからね!」

テンシ「分かったわ!」

バッサ! バッサ!


海未「……さて、これでテンシは適当に無力化できましたね」

海未「ダル子!安全は確保できたのでこちらに来てください!」

ダル子「は、はいっ!」

タタタタッ






ダル子(すっかり信者がいなくなった野原、集まった私たちは一旦落ち着いてお互いの話をすることにした)

ダル子(九州偵察からの帰還時に魔の海域に迷い込んでしまった私たちの話)

ダル子(ほのりさんが天界に行ってからの善子との諸々と天界スゴロクの話)

ダル子(そしてマザーさんが請け負った任務の話)


海未「サトゥルヌスの本体がこの領域に……!?」

希「それを復活させて宇宙怪獣と戦わせようって言うんか!?」

マザー「そうやで、少なくとも『うちら』の間ではそういう方向で動いとる」


海未「『うちら』というのは?」

マザー「うちやニシキノ、クローバーやオカンみたいなやつらのことや」

マザー「異能を初めとする様々な異常が認知されてる裏社会、世界の暗部って言うんかな」

マザー「そこである程度の立場と実行力を持っていて、尚且つ組織に良いように使われることを嫌う個人主義の大人たち」

マザー「そんな悪い大人たちが自分の利益のために同類と顔を合わせる狭い規模の社交場があるんや」

マザー「名前はないけど、『サロン』なんて呼ぶとオサレ感が出るなぁ」

海未「サロン……」

817 ◆WsBxU38iK2:2017/12/02(土) 02:45:46 ID:w7dp4dKk


マザー「うちらはそのサロンでの友達で、自分らの遊び場を悪神にぶっ壊されちゃあたまらんってことで協力しとる」

マザー「死にかけの日本政府とも、大慌てで飛行機飛ばしとる米国政府とも、教団とコネのあるロシア政府とも関係あられん」

マザー「この計画はうちら個人の集合が出した結論や」


マザー「うちらは利益のためやけど世界を救いたいってのは海未ちゃんたちと同じ」

マザー「ま……世界を救うところまでは協力できるんやない?」

海未「………………」


希「どうするん?」

海未「そうですね、マザーはサトゥルヌスのことや、他にも私たちにしか知り得ない情報をいくつか提示してきている」

海未「完全にこちらの事情を知った上で協力を持ちかけて来ているのでしょう」

海未「ここでブラフを混ぜたり騙したりする意味はない、マザーの言ってることは信じてもいいかと」

マザー「おおっ!」


海未「ただし一時的な協力です、少しでも怪しいと疑えばあなたを拘束せざるを得ない、それは分かってください」

マザー「もちろんっ、可愛い女の子たちに押し倒されるのも悪くはないけど今はごめんや」

海未「では……共に世界を救いましょう、スピリチュアルマザー」

マザー「うんっ」

ギュッ


ダル子(固く握手をするマザーと海未さん、その後は数分休憩を挟んでから次のポイントへ移動する手はずとなった)

818 ◆WsBxU38iK2:2017/12/02(土) 02:45:58 ID:w7dp4dKk



 
マザー「ええと……」

ダル子(任務の計画書と島の地図を見比べて何かを確認しているマザー) 

ダル子(そこから少し離れて海未さんとほのりさんが話をしている)

ダル子(周囲に聞こえない配慮なのか、私の耳でなければ拾えないような小さな声だった)



ほのり「海未さん、さっきは話さなかったけど実はクッキング博士からのメモがあって」スッ

ほのり「その中身が私たちと、"前の世界"に関することなのよ」

ほのり「これって――」

海未「ほのり」ジッ


ダル子(黙ってください、と促すような海未さんの強い目にほのりさんは口をつぐんでしまう)


海未「大変気になる話ですが、今は控えていてください」

ほのり「……う、うん」

海未「マザーからの質問にも迂闊に答えないように、彼女がどこまでこちらの事情を知っているか掴めないのでね」

海未「答えて良いのは会話の中で彼女が先に出してきた話題、おそらく既知であろうと確信が持てるものだけ」

海未「判断がつかないのであれば曖昧に誤魔化してください」


海未「特にあなたが持ってるそのメモ、および"前の世界"に関する情報は慎重にお願いします」

ほのり「え、ええ……」


海未「私たちが彼女らと協力するのはあくまで"この世界"を救うまで――」

海未「それ以降に有利になる情報は、与えないに越したことはありませんから」


─────────────────

儀式場

AM7:12〜AM7:20 新終末編『238』了

819 ◆WsBxU38iK2:2017/12/02(土) 02:46:26 ID:w7dp4dKk
というわけでここまで

新終末編『239』に続く
かもしれない

820 ◆WsBxU38iK2:2017/12/02(土) 20:26:18 ID:w7dp4dKk
新終末編『239』

─────────────────
──儀式場

AM7:22


マザー「よっしゃ!一息ついたし次のポイントへ出発するで!」

海未「一息って本当に一息ですね、まぁ時間が無いのは分かりますけど」

マザー「次のポイントへはうちが案内できるから着いてきてな〜」

スタスタ


コトーリ「こころ、てんしがのはらのかたすみでねてるけどほっといていいの?」

ココロ「あぁ……」

ダル子(ココロが目を向ける先でテンシは縄に包まりスヤスヤ安眠していた)

ダル子(海未さんの命令通りの行動だ)

テンシ「むにゃむにゃ」スピー スピー


ココロ「姉様なら元々丈夫な方ですから放って置いても問題ありません」

ココロ「それに私は何を引き換えにしても天使様についていくと誓ったはずです!」ググッ

コトーリ「そ、そう……」

821 ◆WsBxU38iK2:2017/12/02(土) 20:26:36 ID:w7dp4dKk


ダル子(ココロは相変わらずついてくるようだ、まぁ私も彼方ちゃんを置いていくつもりは毛頭ない)

ダル子(こうして合計9人になった私たちは島の端めがけて歩き出す)

スタスタ


海未「マザー、サトゥルヌスの封印とは具体的にどうなっているんです?」

海未「今目指してるポイントからはフルタマンという謎の存在が出現したらしいですが……」

マザー「ふむ……それについてはまずレヴィアタンについて話せんとあかんな」

マザー「旧魔王はサトゥルヌス本体の隠し場所としてこの領域に存在するレヴィアタンを利用したんや」


海未「レヴィアタン……リヴァイアサンとも呼ばれる海の悪魔のことですね」

海未「穂乃果の大罪出産の悪魔はレヴィアタン、ミナ仮面勢力がマグロブースターの原材料として捕獲した幻想種がリヴァイアサン」

海未「象徴として使いやすいのでよく聞く名前です」

海未「この領域、北方領土におけるレヴィアタンとは何なんです?」


マザー「そいつはずばり>>821

822 ◆WsBxU38iK2:2017/12/02(土) 20:26:56 ID:w7dp4dKk


823名無しさん@転載は禁止:2017/12/02(土) 20:33:29 ID:09gmmxZs
天才パティシエの作ったお菓子の家

824 ◆WsBxU38iK2:2017/12/02(土) 21:46:32 ID:w7dp4dKk
マザー「そいつはずばり、天才パティシエの作ったお菓子の家のことや」

海未「お菓子の家……?まさかそれにサトゥルヌスが隠されてるとでも……」

マザー「そのまさかやで」

希「なぁっ!?」

海未「にわかには信じがたい話ですね……」


マザー「日本国が北方領土と呼ぶ列島が存在する海域、その地下には巨大な空洞が存在するんや」

マザー「こういう場所は世界各地に存在していて、秘匿領域、国境線の隠れ家、ボーダースポット、魔術的特異点など色んな名前で呼ばれとる」

マザー「もちろん表の人間は誰も知らんよ、異能を知ってる政府の人間は自国の管理下に起きたいとバチバチしとるがな……」


海未「手に入れると何かメリットが?」

マザー「メリットはスポットによって様々やけど……この地面の下の空洞にある巨大な建造物」トントン

マザー「超絶技巧菓子製防護施設『レヴィアタン』」

マザー「こいつの特性は一言で言えば超強度のシェルター」


マザー「全てお菓子で出来てるくせに耐久度は半端ない」

マザー「ひとたび戸が閉じれば外からは核ミサイルでさえ破壊できないし、中に隔離すればどんなバイオハザードでも完璧に封じ込める」

海未「見た目はともかく……名前の通りの防御力は持ってるみたいですね」

825 ◆WsBxU38iK2:2017/12/02(土) 21:46:54 ID:w7dp4dKk


マザー「な?危ないものを隠すのには好都合な場所やろ?」

海未「はい」


希「それは分かったけど……じゃあフルタマンはなんなん?フルタマンと天才パティシエは別人やろ?」

マザー「フルタマンも天才パティシエの作品やで」

希「なっ!?」

ダル子「作品って、アレもお菓子なんですか!?」バッ!

ダル子(直接姿を見た私が1番びっくりしてしまう)


マザー「そうや、目の周りはハイエイトチョコで出来てたやろ?」

ダル子「むしろそれ以外がバリバリ人間だったような……」


マザー「フルタマンはお菓子の家レヴィアタンにおいて>>826の役割を任されてる存在や」

826名無しさん@転載は禁止:2017/12/02(土) 21:48:36 ID:HOanmSoY
広報活動

827 ◆WsBxU38iK2:2017/12/02(土) 22:31:49 ID:w7dp4dKk
マザー「フルタマンはレヴィアタンにおける広報活動を担ってるんや」

海未「広報……」

ダル子「ますます謎な存在になりましたね」


マザー「各国の暗部がレヴィアタンを独占するために隠匿を進めるのに対して、レヴィアタンに属するフルタマンは自ら広報に勤しむ性質を持っておる」

マザー「最近はこっそりテレビCMを作って流してたらしいで」

ダル子「それは隠したい側が困るんじゃ……」

マザー「ああ、せやから何者かの手によってフルタマンは地下空洞に閉じ込められてしまった」

マザー「ご丁寧に地上へ出てくるための穴に封までされてな」


ダル子「あっ!それってもしかしてウミトラマンに壊させた……」

マザー「水が高く吹き上がってる噴水、あそこが地下へ入るためのポイントってわけ」

ダル子「なるほど……」

828 ◆WsBxU38iK2:2017/12/02(土) 22:32:05 ID:w7dp4dKk




スタスタ

ダル子(そんな会話をしながら私たちは早足で移動を続けていた)

ダル子(話に出てきていた地下へ侵入するポイントも意外と近くに迫ってきている)


ダル子(そして、ポイントが近いということは当然あいつも近くにいるわけで――)


フルタマン「とぅっ!」

ダル子「のわぁっ!?」ビクッ!


ダル子(突然どこからともなく現れたフルタマンは>>829)

829名無しさん@転載は禁止:2017/12/02(土) 23:08:37 ID:hojaOioU
誘う踊りの効果があるフル体操を始めた

830 ◆WsBxU38iK2:2017/12/02(土) 23:58:54 ID:w7dp4dKk
ダル子(フルタマンは誘う踊りの効果があるフル体操を始めた)


フルタマン「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイエイトチョコ!」��

海未「なんですかこの踊り……私の体が勝手に動き出して……」

ダル子「つられます!見てるだけでつられて体が動き出してしまいます!」

ほのり「私たちまでええええ?」

善子「堕天使らしくない踊りだわ……」

ピッ! ピッピ! ピッピッピッ!


マザー「初めて体験するが中々妙な動きやな……まぁとりあえず皆!反抗せずにちゃんと踊ってて!」

ココロ「従わなきゃダメなんですか!?」

マザー「フルタマンにとってはこれが友好の証なんや、体に正直に踊ってればそのうち地下へ案内してくれるはず」

マザー「絶対に勝手な行動はせんといてな!」

ココロ「ええぇぇっ!?」

コトーリ「お〜、ふしぎなおどり〜」ユラユラ


ダル子(マザーの言う通りだった)

ダル子(しばらくフルタマンと対面しての踊りが続いたあと、フルタマンは踵を返してどこかへ歩き出す)

ダル子(すると私たちの体はこれまた勝手に列を成して行儀良くフルタマンについていった)

スタスタ スタスタ

831 ◆WsBxU38iK2:2017/12/02(土) 23:59:13 ID:w7dp4dKk


ダル子(みんなフルタマンが予定外の行動をすると困るからか、行儀良く黙って足だけ動かす)

ダル子(まるでこれから職員に案内されて工場見学に行く一団みたい……行ったことないけど)


スタスタ スタスタ






スタスタ


ダル子(そして更にフルタマンに操られつつ歩くこと数分、私たちはついに穴に辿り着く)


海未「マザー、あそこ!地面に大きな穴が空いてる場所があります!」

マザー「ついに着いたなぁ」

希「てことは……」


マザー「ああ、あそこが今回の任務の本命」

マザー「地下空洞の先――レヴィアタンに続く道や!」



─────────────────

儀式場〜地下空洞入り口前

AM7:22〜AM7:35 新終末編『239』了

832 ◆WsBxU38iK2:2017/12/02(土) 23:59:47 ID:w7dp4dKk
というわけでここまで

移動回でした、次は突入

新終末編『240』に続く
かもしれない

833!ken:99:2017/12/03(日) 07:56:44 ID:1QcuLKQo
をつ

834 ◆WsBxU38iK2:2017/12/03(日) 20:18:01 ID:PjLdIPC2
新終末編『240』

─────────────────
──地下への穴前

AM7:35


フルタマン「さぁ地球のみんな!ここから地下に入るよ!足元に気を付けてね!」

海未「地球のみんな……?」

マザー「そういう設定なのか本当に宇宙人なのかはうちも分からん、スルーしといでいいで」

海未「はぁ……」


ウミトラマン「海未!私はどうすればいいのです?」

ダル子「うげっ」

ダル子(見上げるとウミトラマンがいた、そういえばこのポイントに先回りするように言っておいたんだっけ)

ダル子(地下への入り口がある噴水跡は島の端……切り立った崖のすぐ上にあって海が近い)

ダル子(ウミトラマンは海に足をつけたまま崖の上に手をついてこちらを見ていた)


海未「そうですね、残してても仕方ないですし、あなたも縮小化してついてきてください」

ウミトラマン「分かりましたっ」

シュシュシュシュッ

スタッ

ダル子(ウミトラマンは空中で縮むと、例のハレンチな姿になって私たちのいる場所に着地する)

ダル子(前と違って服は着てるけど……なんでこう人間大になるとスタイルが良くなるんだろう)


海未「ではフルタマン、案内をお願いします」

フルタマン「ああっ」

スタスタ

835 ◆WsBxU38iK2:2017/12/03(日) 20:18:18 ID:PjLdIPC2




ダル子(穴から先には洞窟のような通路が続いていた、決して広くはないが人がすれ違うのに苦労しない程度の幅はある)

ダル子(通路自体は緩やかな傾斜をしていて、フルタマンが言うにはしばらくここを歩いていくらしい)

ダル子(天井や壁は岩肌がそのまま露出している作り……等間隔に吊り下げられた照明が通路全体を淡く照らしていた)


ダル子「よっと」タンッ

ダル子(足元も岩盤をくり抜いて作った洞窟そのままの地面、慎重に歩けば転ぶことは無いけど危ういは危うい)

トンッ トンッ

ダル子(うーん……それにしてもみんな慎重なのか会話が無いな)

ダル子(着くまで時間がありそうだし>>836の話でもしてみようか)

836名無しさん@転載は禁止:2017/12/03(日) 20:25:56 ID:F5sXFgAs
彼方ちゃんにシテみたいこと

837 ◆WsBxU38iK2:2017/12/03(日) 21:26:39 ID:PjLdIPC2
ダル子「皆さん!彼方ちゃんにシテみたいことってありますか?」

ほのり「彼方ちゃん……?」

ダル子「私の背負ってるこの子ですよ、スリーピング彼方ちゃん」スッ

ほのり「ああ、寝袋で寝てる信者の子か」


善子「シテみたいって具体的にどういうのよ、突拍子もなくて要領を得ない質問ねぇ」

ダル子「ええっ!?分かんないんですか!?」ズズイッ

善子「お、おうっ……」ビクッ

ダル子「見てくださいこの安らかな寝顔、見てるだけでペロペロしたくなってくるでしょう!」


海未「そう思うのはダル子だけでしょう、あの善子も引いていますよ」

ダル子「そうかなぁ……」ブーブー

善子「あの善子って何よ!ほぼ初対面のくせにー!」ブーブー

海未「後ろうるさいですよー」


希「彼方ちゃんの話いうてもなぁ、まずダル子ちゃん自身は彼方ちゃんのこと分かってるん?」

ダル子「私ですか?そりゃ分かってますよ、彼方ちゃんは可愛いです!」

838 ◆WsBxU38iK2:2017/12/03(日) 21:27:22 ID:PjLdIPC2


希「他には?」

ダル子「他には……」


ダル子(……あれ?そういえば全然彼方ちゃんのこと知らないぞ?)ムムッ

ダル子(相手に恋して欲情することに理由は要らないってフレイヤお姉ちゃんは言ってたけど……)

ダル子(さすがに少しは知ってたほうがいいよねぇ)

スッ

ダル子(というわけで私は懐から手帳を取り出して中を開く)

善子「それは?」

ダル子「彼方ちゃんの寝袋に入っていた手帳です、TKB隊のマークが無いから彼方ちゃん個人のものかと」
 
海未「ああ、そんなものありましたね」

海未「島にある施設を把握するのには不要だったので放置していました」


海未「あまりプライベートなものを見るのはどうかとも思いましたしね」

ダル子「むっ……今そういう言い方するのは卑怯ですねぇ」

ダル子「ええと、この手帳によると彼方ちゃんはTKB隊に入る前は>>839

839名無しさん@転載は禁止:2017/12/03(日) 21:34:45 ID:WOkhNzKU
静かに眠れる場所を求めて旅をしていた

840 ◆WsBxU38iK2:2017/12/03(日) 22:39:05 ID:PjLdIPC2
ダル子「TKB隊に入る前は静かに眠れる場所を求めて旅をしていたらしいですね」

ダル子「手帳には様々な場所で寝てみた記録と感想が書き記されています」

パララララッ

ダル子「100項目以上はありますが、軽く全て見てみた感じ……満足しきった場所は無かったようです」

善子「読むの早くない?」

ダル子「見ることには長けてますので、まぁ本当にサラッとですよ」


希「眠れる場所を求めて……か、普通の信者思想とは違うんやな」

ココロ「不遜です不遜っ」

海未「ファントムエッジで斬った際も本能的に眠りを求めていましたからね」

海未「寝袋を持ってウロウロ歩いていた様子から考えるに、TKB隊でも満足する寝場所は得られなかったのでしょう」


ダル子「よし決めた!」

善子「なにを?」

ダル子「私は戦いが終わったら彼方ちゃんが心から満足して寝られる場所を探す!」

ダル子「それまで彼方ちゃんのことを守る!」グッ


ほのり「意気込みだけは立派だけど、本人が起きてもいないのに勝手に決めていいのかしら……」

彼方「…………」スピー

841 ◆WsBxU38iK2:2017/12/03(日) 22:39:20 ID:PjLdIPC2


マザー「ほらほらお嬢ちゃんたち、雑談も良いけどそのへんにしとき」

スタスタ

マザー「そろそろ着くで……地下空洞や」



ダル子「……!」

ダル子(狭かった洞窟の通路から一気に景色が開ける)

ゴォォォォォォォッ!

ダル子(少し強めの風が髪を揺らす、薄暗い通路を歩いてきたせいか明るい光に目が眩む)

ダル子(私たちの目の前にはとんでもない広さの大空洞が広がっていた……)


コトーリ「おおおおー」

ココロ「これは……すごいですね……」ゴクッ


ダル子(その大空洞の中、まず目を引くのは中央に鎮座する巨大なお菓子の家)

ダル子(お菓子の家は自ら発光しているのか、周囲の大空洞の岩壁が七色の光で照らし出されている)


ダル子(他に空洞の中で目を引くものは……>>842)

842名無しさん@転載は禁止:2017/12/03(日) 22:50:13 ID:c76vifoI
無銭飲食犯用の檻に閉じ込められているかもめ

843 ◆WsBxU38iK2:2017/12/04(月) 00:42:17 ID:UbUTHelk
ダル子(他に目を引くものは……)


ダル子「……ん?檻」

海未「そうですね、大空洞の端に檻がずらっと並んでいます」

海未「空洞の1辺を端から端まで一直線に埋めていますから、数十数百……かなりの数があるでしょう」

希「象でも入るくらい大きい檻やなー、材質は鉄っぽいけど金属製かな」


ダル子(緻密に造られたメルヘン色の強いお菓子の家とは真逆も真逆)

ダル子(まるで獣を閉じ込めておくかのように簡素で無骨、寒々しい雰囲気を放つ鉄の檻の群)

ダル子(お菓子の家との対比もあって私たちの目は自然と檻のほうを向いてしまう)

844 ◆WsBxU38iK2:2017/12/04(月) 00:42:30 ID:UbUTHelk


ダル子「……あ!あの檻殆どが空っぽだけど、1つだけ人が入ってる檻があります!」

海未「どれです?」

ダル子「右端から53番目のところです!」

海未「……っ!」ダタタッ!

希「本当やっ!」

ダル子(海未さんはその人影を見つけると先に走っていってしまう)


マザー「フルタマン、あの檻はなんなん?」

フルタマン「あれは無銭飲食班用の檻だね」

マザー「つまり……犯罪者を捕らえておく檻ということか」


フルタマン「うん、みんなが注目している檻はNo.53、収監されてる対象名は――かもめ」


フルタマン「スナイパーかもめという名前の元魔王軍構成員だよ」


─────────────────

穴入り口〜地下空洞

AM7:35〜AM7:45 新終末編『240』了

845 ◆WsBxU38iK2:2017/12/04(月) 00:44:23 ID:UbUTHelk
というわけでここまで

かもめに会いに

新終末編『241』に続く
かもしれない

846 ◆WsBxU38iK2:2017/12/04(月) 20:02:47 ID:UbUTHelk
新終末編『241』

─────────────────
──地下大空洞

AM7:45


マザー「無銭飲食?悪いことには変わりないけど……そんなんであそこに閉じ込められてしまうん?」

フルタマン「もちろんさ、レヴィアタンに危害を加えようとするものは投獄される決まりなのさ!」

マザー「どこの国の法律?」

フルタマン「レヴィアタンの法律だね、レヴィアタンはどこの国のものでもない不可侵領域」

フルタマン「もちろん皆もやってはいけないことをしたら投獄だよ、フルタマンとの約束さ!」ニコッ


ココロ「ひいっ……なんなんですかこいつ……」

マザー「フルタマン自体に悪意はないやろうから怯えんでもいいよ、ただパティシエにそうプログラムされてるだけのキャラクターや」

ココロ「べ、別に怯えてるわけじゃ……」


ほのり「でも不気味な存在に変わりはないわよね」

ほのり「それに禁止行為くらいは教えて欲しいわ、じゃないと怖くて動けないじゃない」

マザー「せやな……フルタマン!」

フルタマン「うむっ」

847 ◆WsBxU38iK2:2017/12/04(月) 20:03:22 ID:UbUTHelk


フルタマン「フルタマンとの約束はそんなに多くないよ」


フルタマン「まず天才パティシエの作った作品を無闇に破壊しないこと」

フルタマン「食べ物で遊んだりして食べ物を無駄にするのもダメだね」

マザー「作品ってのはお菓子の家やフルタマン自身のことやな」

ほのり「危害を加えてはいけないって基本的なルールね」


フルタマン「次にレヴィアタンを無断で勝手に食べたりしないこと」

マザー「食えるんかあれ……」

フルタマン「レヴィアタンは超防御力を誇るシェルターだけど同時にお菓子でもあるからね、この世に食べられないお菓子はないよ」

フルタマン「核ミサイルでも傷つかないし、どんな凶悪ウイルスの影響も及ばない」

フルタマン「ただ1つ、異能の絡まない純粋な人の食時行為のみがレヴィアタンを削り取れるのさ」


フルタマン「まぁお菓子装甲は自動的に復活するし、単純に質量が膨大だ、例え地球の皆が70億人かがりで一気に食べたところで中までは辿り着けないさ」

フルタマン「だから食べることで壁が破壊される心配はないよ」

ほのり「でも無断ではダメというルールがあるんだから……何か別の理由があるのよね」


ほのり「あなたの目の届かない所で食べられると困る理由が……」

フルタマン「ああ、そうだね」

フルタマン「レヴィアタンを構成してるお菓子はどれも天才パティシエの力作さ」

フルタマン「大変美味しく栄養があってお腹を満たしてくれる」

フルタマン「ただ人間が食べすぎると>>848

848名無しさん@転載は禁止:2017/12/04(月) 20:11:02 ID:96nmI8Gs
三大欲求中毒になる

849 ◆WsBxU38iK2:2017/12/04(月) 21:08:45 ID:UbUTHelk
フルタマン「ただ人間食べすぎると三大欲求中毒になってしまうのさ」

ほのり「食欲睡眠欲性欲のこと?」

フルタマン「その通り、天才パティシエの作品は美味しすぎるあまり人間に理性を忘れさせてしまう」

フルタマン「彼らを欲求の虜にさせてしまうわけだね」


ほのり「だから勝手にレヴィアタンを食べることは禁止してるわけか」

フルタマン「そうだね、どうしても味見したいという人は申請をしてもらえば食べられるよ」

フルタマン「その際に信用の証としてお金も払ってもらうから勝手に食べると無銭飲食の罪になるのさ」

ほのり「ほぅ……」


マザー「じゃあ金を払えば今捕まってる子は釈放してくれるんか?」

フルタマン「うむっ」

マザー「現金やな……カード使えるならカードで頼むわ」

善子「助けるの?」

マザー「元魔王軍なら話聞いてみたいし、何よりレヴィアタンの近くに拘束されてたんなら何か情報を得てるかもしれん」

マザー「それに可愛い女の子をこんな地下に残しておけんやろ?」

ほのり「最後のやつが本命っぽいわね……」

850 ◆WsBxU38iK2:2017/12/04(月) 21:09:13 ID:UbUTHelk


フルタマン「では食べた分と釈放代、合わせて――」ボソッ

マザー「んなっ、少し高いなぁ……まぁそれで助けられるなら」スッ

フルタマン「ありがとうっ」


フルタマン「入金が確認され次第、No.53の檻の鍵が開くはずだよ」

ダル子「では私は先に行った海未さんと希さんにこの事を伝えに行きますね!」タタッ

ほのり「私も行くわ!」タタッ


善子「ちょっ、待ちなさいって!」

テテテテッ

851 ◆WsBxU38iK2:2017/12/04(月) 21:09:34 ID:UbUTHelk





──檻の前


ザッ

海未(今私の目の前の檻には1人の若い女性が閉じ込められている)

海未(どこか私に似てるような雰囲気を持つ彼女が、どうしても気になって走ってきてしまった)


海未「あなたは……」

かもめ「み、ミナ仮面っ!?」ビクッ

海未「……!」

海未(ああ、ミナ仮面を知っているのですか……これは少し面倒くさいですね)

海未

海未「怯えてるようですが落ち着いて聞いてください、似ていますが私はミナ仮面ではありません」


海未「私は園田海未、あなたはどこかの組織に属していたのですか?」

かもめ「組織……?一応魔王軍にいたけど……」

海未「ふむ……」

海未(元魔王軍か、こんな地下にいたとなると旧魔王軍が崩壊したことは知ってるのでしょうか)

海未(どこまで話していいものか……)


かもめ「そ、それより今の私に近づかないでくださいっ!」ガシャンッ!

海未「え?」

海未(私が檻の中を見ていると彼女は後ろの方に飛び退いてしまった)


かもめ「今の私は少し欲求が止められなくて……>>852

852名無しさん@転載は禁止:2017/12/04(月) 21:15:02 ID:LUoz1/z6
人でも何でもいいから喰いたくなる

853 ◆WsBxU38iK2:2017/12/04(月) 22:21:19 ID:UbUTHelk
かもめ「欲求が抑えられなくて……人でもいいから食べたくなるのっ!」

海未「なっ……!」


かもめ「ぐるぅぅっ、はぁ……良い匂い……海未さんから良い匂いがする」

かもめ「新鮮なお肉の美味しそうな匂い……食べたい!食べたい!食べたいっ!!」

海未(食人衝動!?いや、これは食欲を増強されている……?)


かもめ「食べる……ダメ、良い、ダメ、良い、ダメ、良い、ダメ……ぐぅぅぅっ!」バッ!

かもめ「ああもうっ!殺してでも食べてやるっ!」

ガチヤッ!

海未(長い髪を掻きむしりながらの葛藤の後に、かもめは傍らに置いていたボルトアクション式の狙撃銃を構えた)

海未(頭をふり乱し半狂乱してる状態にもかかわらず弾を確実に手動装填、理想的な体勢から私に銃口を向ける)

海未(その間は僅か1秒にも満たない時間)

海未(そして――)


かもめ「……っ!」カチッ

ドンッ!!

海未(躊躇いなく私の額を狙って銃弾が放たれる)

854 ◆WsBxU38iK2:2017/12/04(月) 22:21:52 ID:UbUTHelk


海未(不味いですね……取り敢えず刀を居合の要領で滑らせ高速で抜いて) 

海未(迫る弾丸を弾く!)

シュッ! ガキィンッ!!

かもめ「……っ!?」


海未「ふぅ……初めてですが何とかなりました」

希「海未ちゃん!?」

海未(後から走ってきた希が驚きの表情を浮かべる、まぁびっくりしますよね)


かもめ「もう一発!」ガシャンッ!

ドンッ!!

海未「ほっ!」

海未(かもめは間髪入れずに射撃、弾道はさっきと同じだから見慣れたものだ)

海未(なので私は刀で弾道を逸らし"わざと自分の髪を1束撃ち抜かせる")

ブチチッ!!

海未(撃ち抜かれる直前に触手に変化させていた髪はダイオウイカの足の一本になって地面へと落ちた)

ボトッ!


海未「希!その触手をコピーして檻の中へ放り込んでください!」

希「おおう!?い、意味分からんけど分かった!」コクンッ!

パシッ! ピピピッ

海未(希は私の触手をコピーすると言ったとおりにコピー品をかもめへ投げる)


かもめ「……っ!食べ物!?」

バッ!!

海未(予想通り、かもめへ狙撃銃を捨てると触手に向かって飛びつき齧り付く)


かもめ「もぐもぐ、もぐもぐ……む!これは>>855

855名無しさん@転載は禁止:2017/12/04(月) 22:41:10 ID:0VgWZOG.
あー、うん。まあ、うん。

856 ◆WsBxU38iK2:2017/12/04(月) 23:58:44 ID:UbUTHelk
かもめ「あー、うん」

モグモグ

かもめ「まあ、うん……」

モグモグ


かもめ「食べられなくはないけどモチャモチャしてるし、生であんまり味がしないから美味しくないですね」

かもめ「海未さんの体からしてた美味しそうな匂いもしないし……んん?」

モグモグ モグモグ


海未(味は不評のようですが食いついてはいる、これで時間は稼げるはず)


希「どうしたん?自分の一部を切り離して食べさせるなんて」

海未「さぁ?私にも分かりません」

海未「この人……かもめと話をしようとしていたのですが、いきなり私を食べたいと言い出したので対処療法で触手を食べさせました」

海未(私は希に事情を説明しながら千切れた触手を拾って髪とくっつける)

シュルルッ

希「随分と思い切った対処療法やな……」

海未「ダイオウイカと融合してる部分は髪なので切っても痛みはありませんし、コピー元が残っていればこうして再接合できますしね」

857 ◆WsBxU38iK2:2017/12/04(月) 23:59:13 ID:UbUTHelk


海未「しかしこの症状、どうすればいいのやら」

希「ファントムエッジで斬るのはダメなん?」

海未「この刀はあくまで本能――心の底からしたい欲望に忠実な行動をさせるだけですよ」

海未「彼方の欲望である睡眠のように簡単に叶えられるものならまだしも、すぐに叶えられない欲望を加速さそるのは危険です」

希「なるほど、彼方ちゃんは寝て満足して大人しくなったけど、この子の場合は食べる対象が必要なわけやね」

海未「はい、また私の触手をあげる手もありますが……」


ほのり「ぺっ!……もうこれいいや」

海未「見ての通り不評なようなので食いつかない可能性もあります」

希「ふーむ」



海未(希と一緒に檻の前で考えているとこちらに数人が走ってきた)

タタタタッ

ダル子「海未さん!その人は無銭飲食で収監されてる人でかもめさんと言う名前らしいです」

海未「ダル子、それにほのりたちも来たのですか、その様子だとフルタマンに説明を?」

ほのり「ええ、聞いてきたわ、マザーさんが釈放のためのお金を払ったからすぐに鍵が開くはずよ」


希「なんやてっ!?」

善子「何かまずいの?」

海未「実はかもめが私……というか人を食べようとしてるんですよね」

ほのり「はっ!そうか、理性が飛んで食欲が暴走してるんだわ!」

善子「ええっ!?でも鍵は自動で開いちゃうんでしょ!」


善子「そんなのどうすれば――」


ヒューーッ

スタッ

コトーリ「おたすけ、てんしさんじょう」

858 ◆WsBxU38iK2:2017/12/04(月) 23:59:24 ID:UbUTHelk
善子「のぉっ!天使野郎!」

コトーリ「やろーじゃない、てんしれでぃー」


海未(檻の前でまごまごしている私たちの前にコトーリさんが飛んできた)

海未(たぶん本人は軽くジャンプしただけなのでしょうが……いきなり落ちてくるとびっくりしますね)


海未「コトーリさん、何か良い考えが?」

海未「特に有効な策が無ければひとまず強引に洗脳しようと思ってましたが……」

コトーリ「さくはあるよ」

希「おおっ!」


コトーリ「しょくよくがぼうそうしてるのは、おかしのいえのおかしをたべたから」

コトーリ「からだにはいったかしのせいぶんがげいいんなら、それをとりのぞいてあげればいい!」


コトーリ「まざーのそーまをつかってね!」


─────────────────

地下大空洞

AM7:45〜AM7:50 新終末編『241』了

859 ◆WsBxU38iK2:2017/12/04(月) 23:59:47 ID:UbUTHelk
というわけでここまで

新終末編『242』に続く
かもしれない

860!ken:99:2017/12/05(火) 07:44:27 ID:WWv.Olwo
をつ

861 ◆WsBxU38iK2:2017/12/05(火) 20:40:21 ID:ZpiUfmMo
新終末編『242』

─────────────────
──地下大空洞

AM7:50


海未「マザーのソーマ?」

コトーリ「うんっ」

海未(コトーリさんは誇らしげに首を縦に振るも肝心のマザーさんはここにはいない)

海未(それはいったいなに……と聞き返す前に檻の扉は開かれ、中のかもめが解放されてしまう)

かもめ「食べるぅぅぅ!」ダッ!!


海未「ああもう!希たちは下がっててください!」

希「お、おうっ!」

海未(かもめの射撃速度はかなりのものだ、戦闘慣れしてないと簡単に撃ち抜かれてしまう)

海未(ソーマというのも気になるけど今は目の前の対処が最優先!)

シュルルッ!


海未(4本のテンタクルを展開して前方へ伸ばし、かもめの四肢を封じて洗脳に持ち込む!)

バシュシュッ!!

かもめ「それはさっき"味わった"」

かもめ「対軟体幻想種弾――オスモティックデストロイヤー」ガシャンッ!

ドンッ!!


海未(かもめは私に向かって走りながらスコープさえ覗かずに弾丸を発射する)

862 ◆WsBxU38iK2:2017/12/05(火) 20:40:51 ID:ZpiUfmMo
海未(弾丸は私が前に伸ばしていたテンタクルの1本に着弾すると――)

ボンッ!!

海未「っ!?」

海未(テンタクルは着弾した地点から膨れ上がって弾け飛ぶ!)


かもめ「次っ!」ダンッ!

海未(かもめは1本が破裂して空いたスペースに身を滑り込ませて残り3本の触手攻撃を回避)

海未(回避しつつ次弾を込めて、体の横スレスレを通過する他の触手を撃ち抜いていく)

ボボボボンッ!!

海未「……っ!」


海未(伸ばした分の触手は全て破壊された、かもめは止まらない、私本体にめがけて真っ直ぐ走ってくる)

海未(お互いの距離はもう数メートルと言った所まで縮まっていた)

海未(真っ直ぐ……走ってくるのなら――)

スッ

海未「ラブアローシュート――B!」ドシュッ!

かもめ「食らうかそんなもん!」ガシャドンッ!


ガキィィンッ!

海未(至近距離でラブアローと銃弾が激突して弾かれ合う、これも互いに有効打にはならない)

海未(全く、この距離のスナイパーライフルで寸分違わず矢先に当ててくるなんて有りなんですかね……)

863 ◆WsBxU38iK2:2017/12/05(火) 20:41:15 ID:ZpiUfmMo


カチャッ

海未(けどもうこの距離なら……刀が届く!!)

かもめ「だぁっ!!」

ザザザザッ!


ダル子「海未さんっ!」


海未(次に私が取った行動は刀を抜いての上段からの斬り下ろし、リーチは短くなるが半分から手間の金属部分を当てるように降ろす)

海未(それに対しかもめはスライディングのように姿勢を低く私の股下に滑り込み、ライフルを縦にして私を下から撃ち抜く体制に入る)
 
ガキィィンッ!!

海未(振り下ろした刀身と突き上げた銃身が金属音を響かせ激突した)

海未(このまま銃身を逸らしつつ刀を降ろして腕の一本でも切れば私の勝ち)

海未(私が斬る前に狙いをぶらすことなく、かもめが私の顎下か利き腕でも撃ち抜けばかもめの勝ち)


海未(その勝負の行方は>>864)

864名無しさん@転載は禁止:2017/12/05(火) 20:42:47 ID:EdIlMaQY
コトーリが仲裁

865 ◆WsBxU38iK2:2017/12/05(火) 21:56:49 ID:ZpiUfmMo
海未(その勝負の行方は……)


コトーリ「ちょっとまった――」バッ!

海未「あっ」ザシュッ!

かもめ「あっ」ドンッ!

コトーリ「どへっ!」


ダル子「コトーリさんっ!?」


海未(私とかもめがお互いに最後の攻撃をする瞬間、私たちの間にコトーリさんが割って入った)

海未(コトーリさんが刀とライフルを掴んで止めてくれた……のだけど、それが微妙に遅かったのが不運)

海未(私の刀はコトーリにさっくり刺さり、かもめの弾丸はコトーリさんに直撃してしまったのであった)


コトーリ「あ……ぐ……」プルプル

海未「コトーリさん!?大丈夫ですか!?」

コトーリ「……ああ……うん、だいじょぶだいじょぶ、すこしいたいくらいだからへいき」

海未(コトーリさんは手をひらひらと振って気丈に応える)

海未(実際に傷はもう塞がりかけてるけど痛いのに変わりはないだろう)


コトーリ「はぁ……ちょっとしっぱいした」

海未(深淵侵食が少し治ったとはいえ生命力は欠けたまま、とても全快のコトーリさんとは言えない)

海未(そんな状態で飛び込んでくれば多少怪我するのは自身でも分かっていたはず)

海未(それでも仲裁することを選んだのはどんな心境の変化があったのか……)


海未(ま、コトーリが傷ついた瞬間をココロに見られなかったのだけは幸いでしたね)

866 ◆WsBxU38iK2:2017/12/05(火) 21:57:08 ID:ZpiUfmMo


コトーリ「しっぱいした、でも……つかまえたよ」ギュッ

かもめ「このっ!離せっ!離してくださいーっ!」ジタバタッ!


海未(コトーリさんが飛び込んできたことに驚いたのか、かもめは半狂乱になっても離すことは無かったライフルを離してしまった)

海未(その隙にコトーリさんがかもめを後ろが羽交い締めにして捕まえたのだ)

海未(いくらコトーリさんが弱体化してるとはいえ、ただの人間が単純な筋力で自称天使に敵うはずがない)

海未(かもめはジタバタするだけでどんどん体力を消耗していく)


コトーリ「みんな、いまのうちにまざーをつれてきて、ぼにゅうをしぼりだすの」

希「そうか、うちの淫紋を解除したのと同じくソーマでレヴィアタン菓子の成分が抜けるかもしれんな!」
 
コトーリ「そうそう」

ほのり「?」

善子「?」

海未(直接その場を見たわけでないほのりと善子はピンときていない顔をする)

海未(まぁ私も話を間接的に聞いただけなのですが……)
  

タタタタッ

マザー「おーい!様子はどうやー?」

希「やっと来た!待ってたで!」

マザー「へ?待ってた……?よく分からんけど希ちゃんに笑顔で迎えられると悪い気はしないなぁ」ヘヘヘ

マザー「なんか久しぶりにのぞみと会えたような気がして――」

希「早く乳出して!」

マザー「えぇっ!?」ビクッ


希「だからソーマやソーマ、かもめを元に戻すために必要なんや」

マザー「あぁ……そういう話、でも前の余りをコトーリちゃんが持ってるんじゃ……」

コトーリ「とっくにのみほしたよ」

マザー「はぁぁっ!?」

867 ◆WsBxU38iK2:2017/12/05(火) 21:57:36 ID:ZpiUfmMo


希「今コトーリさんは動けないから代わりにうちが搾乳するでぇ」ワシワシ

マザー「ちょっ……ま、待って……のぞみちゃ……」

希「せいっ」バッ!

ボロロロンッ!

マザー「……っ!」

海未(希は適当な布の切れ端をマスク代わりに口に巻くと、勢い良くマザーのコートの全面を開く)

海未(マザーは中に何も着ていなかったため勢い良く大きな胸が飛び出る)


海未「おぉ……中々のものですね」

ほのり「う、うん」ゴクッ


希「さーてっ、搾り取るでー!」

モミモミモミッ!!

マザー「んなぁぁあああああっ!?」







海未(……と、希がマザーの搾乳をすること数分)

海未(マザーの胸からは>>868くらいの量のソーマが絞り出されていた)

868名無しさん@転載は禁止:2017/12/05(火) 22:04:06 ID:z7R3q7sk
湯船一杯

869 ◆WsBxU38iK2:2017/12/05(火) 22:51:37 ID:ZpiUfmMo
海未(マザーの胸からは湯船一杯分くらいの量のソーマが絞り出されていた)


マザー「あ……う……あぁ……」

ピクッ ピクッ

海未(希に揉みしだかれたマザーはすっかりイき果てていて、胸を隠す気力も失って仰向けに倒れている)

海未(すっかり太く大きくなった乳頭は未だぴゅっぴゅと微量のソーマを吹き出す)

海未(必要なこととはいえ……これは少し気の毒ですねぇ……)

マザー「はぁぁ……んんっ……はぅぅぅんっ!」ビクビクッ!



海未(一方、絞り出されたソーマは風呂桶のような大きな桶に分割されて溜められていた)

海未(この桶は使われてない檻の中に入っていたもの、元々何に使うための物かは分からないが使わせて貰っている)


海未(桶の周りにはマザーとコトーリさんを除いたほぼ全員が集まって興味深そうに作業を見ていた)


ココロ「うっ、私これには良い思い出が無いんですよね……」ビクッ

希「うちらは一度強制デトックスするはめになったからなぁ、もう二度と体験したくないで」

ほのり「そんなに危険なものなの?」

希「ああ、危険やから皆も不用意に近づかんようにな、ソーマは気化したものを吸い込んでも効果が発揮されてまう」

善子「だからあなたマスクみたいなものをしてるのね」


希「せやせや、よいしょっと」

海未(希は桶の1つを抱えると慎重にコトーリさん……が捕まえてるかもめの前に持っていく)

870 ◆WsBxU38iK2:2017/12/05(火) 22:51:57 ID:ZpiUfmMo
海未「手伝いますっ」

希「ありがとうっ」

ザッ ザッ


希「しかしソーマか……」

海未「どうかしたんですか?」

希「ああいや、大したことじゃないんやけど、城で鞠莉の手伝いをしてる時に集めてた乳エネルギーもそんな名前やったなぁって」

希「乳とソーマってそんなに関係あるものなんやろうか?」

海未「さ、さぁ……どうでしょう?」



コトーリ「はーやーく、はーやーく」

希「って急かすなぁ、ほら持ってきたで!」

海未「降ろしますよ!」

ドサッ!


コトーリ「よーし、ほらほらかもめ、めのまえのそーまがおいしそうにみえてくるでしょー?」

かもめ「……!」ゴクッ

海未「美味しんですか?」

希「うん、美味しいは美味しい」


希「ただこれを飲むと――」

かもめ「いただきますっ!」

ガブガブガブガブッ!!


海未「飲むと……?」

希「ま……言わんでも見てれば分かるよ」

871 ◆WsBxU38iK2:2017/12/05(火) 22:52:16 ID:ZpiUfmMo





海未(ふむ、確かに希の言うとおり、見てれば分かった)


海未(ソーマの桶に顔を突っ込んで食欲のままに飲み干したかもめは満足そうな顔した後、胃の中のものを全て吐き出した)

海未(胃の内容物だけではない、目や耳や鼻からは血液が、体中の肌からは汗が、下の穴からは様々な排泄物が一気に流れ出したのだ)

海未(だがかもめは自分の体の変化を自覚しつつも狂ったかのようにソーマに顔を突っ込んで飲み続ける)

海未(その度に体を激しく弛緩させてあらゆる体液を体外に排出していく)



海未(『聖母のソーマ』――コトーリさんが偶然発見した、マザーの乳房から出て来る乳白色の液体)

海未(摂取した者の体に超強力なデトックス効果をもたらす劇薬であり、あらゆる毒素や異能に由来する異物を排出できる)

海未(しかし脱水症状を初めとする多くの後遺症が残る可能性もあり、安易な使用は勧められない)


海未(何故マザーの母乳にそんな能力が宿ってるのか、聖母というワードとスピリチュアル教団は関係有るのか)

海未(現状の情報だけでは不明なことが多いが、上手く使えば非常に万能な効果をもたらす薬には違いない)

872 ◆WsBxU38iK2:2017/12/05(火) 22:52:33 ID:ZpiUfmMo


希「……よし、これであらかた体内洗浄は終わったな、レヴィアタン菓子の効果が消えてればいいんやが」

コトーリ「だいじょぶだいじょぶ、あいかわらずそーまはおいしいし」ペロリ

希「じゃあ汚れた服を取って体を洗って着替えさせよう、コトーリさん手伝ってな」

コトーリ「わたし?」

希「他にソーマに耐性持ってる人がいないやろ」

コトーリ「うんっ」



海未「これでかもめが目覚めたら話を聞けますね、その間にしておくことは――」

マザー「海未ちゃん、海未ちゃん……」

海未「は、はいっ!」タタタッ


海未(未だ体の弛緩が止まらないマザーに呼ばれた私は、倒れたままの彼女に駆け寄って膝をつく)

海未「どうしました?」

マザー「うちが回復するのにもう少しかかりそうやから、先に任務の内容を話しとくわ」

マザー「これがその任務が書かれた書類な」スッ

海未「…………はいっ」


マザー「うちの任務を果たすには、まずそこで光ってる巨大なお菓子の家、レヴィアタンの中に入らなあかん」

マザー「そのための正式な手順は>>873

873名無しさん@転載は禁止:2017/12/05(火) 23:23:13 ID:EiKCJiSw
幼稚園児のキャラになり、「おにぃちゃん、おうちにいれて」と言う

874 ◆WsBxU38iK2:2017/12/05(火) 23:56:36 ID:ZpiUfmMo
マザー「幼稚園児のキャラになり、『おにぃちゃん、おうちにいれて』と言うんや……」

海未「なっ……なんでそんな恥ずかしいことを言わなければならないのですっ!」

マザー「決まりやからな、これはしゃーない」


マザー「入ってからの手順はマニュアルに書いてる、うちはしばらく動けそうにないから頼むで……よろしくな……」

海未「マザー!?マザー!?」

マザー「…………」スピー

海未「寝た!?」


海未(まぁあれだけ母乳を搾り取られたので体力減ってるのはわかりますが……)

海未(単に中に入る手順をやりたくないから押し付けられただけでは!?)


ほのり「海未さんどう?マザーの代わりは出来そう?」

ほのり「無理そうなら私がやっても――」

海未「やります!私がやります!」

ほのり「そ、そう……」


海未「マニュアルをちらっと読む限りではそれほど人数は要らなそうなので……」

海未「レヴィアタンの中に入る組と、ここに残ってマザーを看ながらかもめから話を聞く組に分れましょうか」


海未「組分けができ次第行動を開始しましょう!」



─────────────────

地下大空洞

AM7:50〜AM8:00 新終末編『242』了

875 ◆WsBxU38iK2:2017/12/05(火) 23:57:43 ID:ZpiUfmMo
というわけでここまで

ごたごたしてますがついにレヴィアタンへ

新終末編『243』に続く
かもしれない

876!ken:99:2017/12/06(水) 07:44:29 ID:7d8YMYjM
をつ

877 ◆WsBxU38iK2:2017/12/06(水) 20:23:23 ID:/7S2e7kg
新終末編『243』

─────────────────
──地下大空洞

AM8:01


海未「よし、では中に入るメンバーを考えましょうか」


海未(中……つまりはレヴィアタンの中に入り封印されしサトゥルヌスと接触するということ)

海未(無駄に多い人数が行く必要はない、もしもの時を考えて少人数で行くべきだ)

海未(選出としては、まずマザーからマニュアルを受け取った私園田海未)

海未(それから危険察知能力に長けているダル子、案内役のフルタマンも中に入る)

海未(後は……まぁウミトラマンでも入れておけばいいでしょう)チラッ


ウミトラマン「なんか扱い雑じゃ無いですか……?」

海未「いえいえ、サトゥルヌスが入ってるなら貴女が中で巨大化しても問題ないという判断ですよ」


海未(とりあえずはこの4人、他には……微妙なところですね)

海未(マザーとかもめは動けないし、その看病をする希とコトーリは残していかなければならない)

海未(コトーリが残るならココロも残るだろうし、彼方は寝てるから端から無理)

海未(善子は不安定材料だから残しておいたほうがいい)

878 ◆WsBxU38iK2:2017/12/06(水) 20:23:45 ID:/7S2e7kg


海未(唯一迷うのは……)チラッ


ほのり「…………」

海未「ほのり、あなたはどうします?」

海未「相手は魔王があなたたちμ'sの子供を喰らうために用意した巨神、封印されてるとは言え性質は変わりません」

海未「私としてはどちらでも構いません、あなたの気持ちを聞かせてください」


ほのり「私は……行くわ」グッ

海未「…………ふむ」


ほのり「心配しないで、概念石の使い方だって分かってきたし、自分の身は自分で守れる」

ほのり「それに今の私には天界スゴロクで手に入れた武器、『真・ラブライブレード』がある」

海未(ほのりの背中の大剣、気になっていましたが例のスゴロクの景品だったのですか)


ほのり「このブレードは>>879

879名無しさん@転載は禁止:2017/12/06(水) 20:28:13 ID:CfwFFp5M
μ'sメンバーの能力がそのまま使える

880 ◆WsBxU38iK2:2017/12/06(水) 21:30:47 ID:/7S2e7kg
ほのり「このブレードは海未さんたちμ'sメンバーの能力がそのまま使えるのよ」

海未「私たちの……?」

ほのり「ええ、さすがに同時使用は無理だけど、柄のボタンを押すことで能力を切り替えられるわ」

パチッ パチッ

海未(ほのりがスイッチを押す度に半透明なブレードの刀身が様々な色に光輝く)


ダル子「すごいじゃないですか!どうしてそんな武器が天界に!?」

ほのり「さぁ、あいにく詳しい説明を受ける前に善子が地上に引き寄せられちゃったから知らないのよね」

ほのり「知ってるのはμ'sの能力を再現できる武器ってだけ、試したのも知ってる能力を1つ2つだけだし」

ダル子「全部試してないんですか?」

ほのり「うーん……複数能力を持ってる人はどれが再現されるかいまいち分からないのよね」

ほのり「暴発すると怖いから確実なものしか試してないわ」

ダル子「なるほど」


海未「確かにその効果が本当ならラブライブレードは強力な武器になるでしょうね」

海未「分かりました、ほのりも連れていきましょう」

ほのり「よしっ」


海未「ではメンバーも固まった所で早速突入します!準備は良いですか!」

ダル子「おー!」

881 ◆WsBxU38iK2:2017/12/06(水) 21:31:02 ID:/7S2e7kg





──レヴィアタン前



海未「……で、突入するに当たってですね……」

ダル子「はい」 

海未「私が扉を開ける間、少し離れなたこの場所で待っていてもらえませんか?」

ダル子「はい?まぁ構いませんが……」


海未「ではっ」

コソコソッ タタタッ!

海未(私はレヴィアタンの入り口から十メートルほど離れた場所に皆を残し、1人で足早に入り口に向かう)


海未(レヴィアタン――お菓子の家は本当に巨大だ、遠くから見ても感じられたが近づくほどに異様な巨大さは存在感を増してくる)

海未(スカイツリーを足元から見上げた時にも似ている遠近感の狂う違和感)

海未(私はその違和感を振り払いつつお菓子の家の足元……おそらく扉であろう部分に向かう)


海未(そして扉の前に着いた私は――)

コンコンッ

海未(扉をノックし、マニュアル通りに合言葉を言う)


海未「お……おにぃちゃん、おうちにいれてぇ……」

海未(うぉおおおおおおおおっ!)

海未(とんでもない恥ずかしさに悶ながら何とか言葉を口に出来た)

海未(すると>>882)

882名無しさん@転載は禁止:2017/12/06(水) 21:55:05 ID:vF9ftgYM
ダル子達の方に今の合言葉が響き渡る

883 ◆WsBxU38iK2:2017/12/06(水) 22:40:52 ID:/7S2e7kg
海未(すると――)


海未『おにぃちゃん、おうちにいれてぇ』

テェー 
  テェー 
    テェー

海未(何故か今の合言葉が大音量で壁から響き渡った)

海未(それは当然後ろにいたダル子たちにも聞こえていたわけで)


海未「なぁぁぁぁぁっ!?」


ダル子「海未さん……これ……」ジトーッ

海未「違います!これは扉を開けるための合言葉なんです!マニュアルに書いてあるんですっ!」

ほのり「へ、へぇ……」

ウミトラマン「にしては随分媚び媚びの声でしたねぇ……」

海未「そういう指定があるんです!本当なんですって!」バンバンッ!


海未(振り返った私は、マザーから受け取ったマニュアルの束をバンバン叩きつつ必死に訴える)

海未(でも変わらず皆は生暖かい視線を向けたまま、くぅ……なんでこんな仕様になってるんですか!)


海未「フルタマン!あなたは分かりますよね!」

フルタマン「ふむ……」

海未「返答に間をあけないでください!信用が無くなるでしょう!」

884 ◆WsBxU38iK2:2017/12/06(水) 22:41:25 ID:/7S2e7kg


フルタマン「ああすまない、思い出していたんだ、確かにそんなセキュリティだったね」

ダル子「なんだそうでしたか」

ほのり「海未さんに妹キャラ趣味があったわけじゃなかったのね……」


海未「だからそうだと言ってるでしょう……」ガクッ

海未(どうにか信じてもらえことの安心感と、フルタマンが言った瞬間に速攻信じられる釈然としない気持ち)

海未(それらがないまぜになって
体から力が抜けていく、何とも複雑な気持ちです)


海未「しかしこれで、扉が開く」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

海未(私の背面からお菓子の家の扉が開く音が鳴り響く)

海未(振り返って見たその先――レヴィアタンの内部は>>885)

885名無しさん@転載は禁止:2017/12/06(水) 22:45:48 ID:CMJP7Z.k
キッチンスタジアム

886 ◆WsBxU38iK2:2017/12/06(水) 23:41:55 ID:/7S2e7kg
海未(レヴィアタンの内部には……これまた広大な空間が広がっていた)


海未(外から見ても大型ドーム数個分はあろう縦横の広さを見せていたレヴィアタンだが、中は別格の高さと奥行きを持っている)

海未(その広さたるや1つの街ならすっぽり入ってしまうのでないかと思うほど)

海未(空間歪曲に近い技術を使っていることは想像に難くない)



海未(そして内部の景色はまるでお菓子の国)

海未(ビスケットで作られた家や塔といった建造物の数々、板チョコの道にホワイトチョコレートの川)

海未(立ち並ぶ樹には大きなグミが成り、空には綿菓子の雲が浮かび、遠くにはケーキの山が見える)

海未(ことりが城の1フロアにお菓子の森を作っていましたが、ここはそのスケールを何百倍に広げたとようなものだ)


ダル子「すごっ……」

ほのり「外も中もお菓子塗れな場所ねぇ」

ウミトラマン「確かにここなら私が元のサイズに戻っても大丈夫そう」


ザッ

海未(扉を潜り抜けて振り返ると、扉の両脇……つまり壁の内側の向こうにも景色が広がっていた)

ペタッ ペタッ

海未「ふむ……」

海未(触れれば壁の感触があることから考えるに、これは壁に投影された映像なのだろう)

887 ◆WsBxU38iK2:2017/12/06(水) 23:42:07 ID:/7S2e7kg
海未(様々な建造物が並ぶ正面の街とは違って、画一的な草原が地平線まで広がってるだけだから見分けがつけやすい)

海未(ゲームで言う所のこれ以上は進めない謎の壁にみたいになってますね、まぁ本当に進めないんですが……)


ダル子「壁や空に投影されてる景色のせいで、扉を閉じてしまえば本当に別の世界に来たみたいに思えます」

海未「そうですね、建物の中なのに屋内ということを全く感じさせない作りです」


ほのり「それで?マニュアルには次になんて書いてあるの?」

海未「はい、マニュアルによればサトゥルヌスが封印されてるのは闘技場のような場所で――」

ダル子「あ!見つけました!」ビシッ


ウミトラマン「……というか目の前にあるじゃないですか、下手すれば外から扉開けた時点で見えますよ」

海未「ふむ……」

海未(ウミトラマンの言うとおり、確かに目と鼻の先に闘技場に似た巨大な施設が存在していた)

海未(おそらくこれも何かの菓子で作られた建造物なのでしょうね)


フルタマン「そうか、みんなはアレが目当てだったんだね、ならそこまで案内しようか」

海未「はい、あれはいったい……」

フルタマン「あれはキッチンスタジアム」


フルタマン「レヴィアタンにおける第六巨大収容区画であると同時に……」

ザッ

フルタマン「最上級の料理人が腕を振るう闘技場となってるのさ!」



海未「は……?」


─────────────────

レヴィアタン前〜レヴィアタン内部

AM8:01〜AM8:05 新終末編『243』了

888 ◆WsBxU38iK2:2017/12/06(水) 23:43:58 ID:/7S2e7kg
というわけでここまで

スタジアムへ

新終末編『244』に続く
かもしれない

889 ◆WsBxU38iK2:2017/12/07(木) 20:24:59 ID:m9EENxtc
新終末編『244』

─────────────────
──キッチンスタジアム

AM??


カツンッ カツンッ

海未(大きなスタジアムには四方に内部へ入るための入り口が設置されていて、そこから階段を登ると観客席と思われる場所に出た)

海未(観客席は円形になってるスタジアムの上部を沿うようにグルッと配置されている)

海未(スタジアムの中央、何かの競技や公演をするためであろう広いスペースを360度から観ることができる配置だ)


海未(ここまで来る階段や床、観客席の椅子や落下防止用の柵までもが菓子で作られてるが、どれも強度に問題はない)

海未(何もかもがお菓子製で甘ったるい匂いに少し気分が悪くなってくる……)


海未「フルタマン、あなたはここを収容区画だと話していましたね」

フルタマン「うむっ、レヴィアタンの内部は幾つかの区画に分れているのさ」

フルタマン「巨大なシェルターの中に用途別のロッカーが並んでいるイメージをしてもらうと助かる」

フルタマン「ここから見えるたくさんの家やビルやショッピングモール、あっちの森や湖や山なんかもそれぞれロッカーの役割を果たしているんだ」

フルタマン「もちろん普通の家や商業施設としての使い方もできるし、環境循環機能としての役目も果たしている」

海未「見かけから察せる役目とロッカーとしての役目、2つの役目を両立しているとわけですね」

フルタマン「うむ」

890 ◆WsBxU38iK2:2017/12/07(木) 20:25:27 ID:m9EENxtc
 

フルタマン「まぁ……数が膨大なだけで殆どが空白、中に何も入っていないがね」

海未「両国が睨みを利かせてる状態で何かを持ち入れようという人はそういないでしょうからね、仕方ありません」

フルタマン「困ったことだ、私は広告をどんどん打って利用者を増やして行きたいというのに」ヤレヤレ


ほのり「でも、魔王は持ち込んだのよね……」

フルタマン「ああ」コクンッ


フルタマン「キッチンスタジアム、別名を第六巨大収容区画」

フルタマン「巨大収容区画とは全長数十メートル〜数百メートルの物体を収容するのに適したロッカーで、ここはその六番目」

フルタマン「ここはレヴィアタンにしては珍しく、本来の用途で利用されている区画なのさ」


ほのり「……!やっぱりここのどこかにアレが封印されているのね……」


ダル子「閉まったもの……この場合は預けたものという言い方が正しいのでしょうか」

ダル子「ロッカーに預けたものを取り出すにはどうすればいいのですか?」

フルタマン「預けた時に貰った鍵があればいつでも取り出せる」

ダル子「か、鍵!?でも預けたのは魔王で……今は魔王はいなくて……」


フルタマン「もし鍵を紛失、もしくは本人が受け取りにこれない場合は――」

ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!

海未(そこまでフルタマンが言った瞬間、スタジアムの中心からスモークのようなものが激しく噴射される)

891 ◆WsBxU38iK2:2017/12/07(木) 20:26:24 ID:m9EENxtc
ほのり「な、なに!?」


ダル子「見て!あそこ、ステージみたいな場所に人がいる!」

海未(観客席の前方の手摺から身を乗り出したダル子がスモークの残るスタジアムの中心を指差す)

海未(そこに何処からかスポットライトが左右から当たり――)

パンッ! パンッ!


??「レディースアンドジェントルメン!あーんど全国のお菓子好きのちびっ子たち!」

海未(料理人のような格好した人物が姿を現した)


??「私こそが風来の天才パティシエ、>>892よ!」

892名無しさん@転載は禁止:2017/12/07(木) 20:36:51 ID:UZ9zdtKI
トリーアユミ

893 ◆WsBxU38iK2:2017/12/07(木) 21:48:31 ID:m9EENxtc
アユミ「風来の天才パティシエ!トリーアユミよ!」


海未(姿を現したのはパティシエ姿の金髪縦ロールの少女、少し気が強そうな雰囲気を感じる)

海未(ただ少女の外見とは言え、アレが例のパティシエだとすれば見た目通りの年齢だとは限らない)

海未(油断は禁物ですね……)


アユミ「私のことは気軽にトリーとでも呼ぶが良いわ!」

海未(マイクを使っているのか、スタジアムの至る所に取付けられているスピーカーから大音量で彼女の声が響く)

海未(彼女がいるスタジアム中央のステージは観客席からは遠く、逆にこちらの声は届きそうにない)


フルタマン「トリー様、戻っていたのですか……」

海未「やはり彼女がレヴィアタンやあなたを作った天才パティシエ?」

フルタマン「う、うむっ……」コクンッ


ほのり「それにしてもトリーアユミって変な名前、"とりいあゆみ"が本名かしら」

ダル子「女子高生……海未さんたちと変わらないくらいの歳に見えますね、喋ってるのが日本語だから日本人でしょうか」

海未「ロシア人や天界人や異星人がコミュニケーション取ってる時点で言語の問題は些細な問題だと思いますよ」

ウミトラマン「あ、忘れかけてるでしょうけど私は念話ですから一応」

894 ◆WsBxU38iK2:2017/12/07(木) 21:48:45 ID:m9EENxtc


アユミ「あなたたちが来た目的は知ってるわ!キッチンスタジアムに収容されてる物品を鍵無しで引き取りたいなら手段は1つ!」

アユミ「ここで私と料理対決をして勝利することよ!」

海未「なっ……!」

アユミ「1人代表を出してきなさい!」


海未「料理対決?そんな悠長なことをしてる時間は……」

フルタマン「時間なら問題ない」

海未「え?」

フルタマン「持っているなら時計を見てみるといい、レヴィアタンの中では時間さえ外からの干渉を受けない」

海未「本当だ……私のスマホの時計も止まっています」

フルタマン「レヴィアタンの中は独自の時間の流れを持っていて、出る際には外とはある程度辻褄を合わせることができるのさ」

ほのり「……んん?」

フルタマン「ここで料理対決するくらいの時間ならいくら使っても問題ないということだよ」

ほのり「ああ、それなら問題ないわね」


海未「しかし料理対決ですか……誰が出ます?」

ほのり「そうねぇ、ここは>>895

895名無しさん@転載は禁止:2017/12/07(木) 21:56:44 ID:MZJAwp0g
私の本気を見せましょう

896 ◆WsBxU38iK2:2017/12/07(木) 22:47:58 ID:m9EENxtc
ほのり「ここは私の本気を見せましょう」

海未「ほのりがクッキングをすると?」

ほのり「これでも海未さんたちの3分クッキングを見てきた自信はあるわ、その成果を見せる時が来たのよ!」

タタッ! タンッ!

海未「ちょっ!ほのり!」

海未(ほのりは柵を飛び越えると、下まで十メートル弱はあるスタジアムの床へ落下していってしまった)


ダル子「飛び出して行ってしまいましたね」

海未「全く……勝手なんですから」


海未「そもそも、私たちのクッキングを参考にしてマトモな料理が作れるのでしょうか……」

897 ◆WsBxU38iK2:2017/12/07(木) 22:48:16 ID:m9EENxtc





ヒューーッ


ほのり(勢い良く飛び出してはみたものの、私にこんな高さから飛び降りて怪我しない身体能力はない)

ほのり(だから……使うのはラブライブレード!)

カチッ

ほのり(私は柄のスイッチを押してブレードの刀身をピンク色に発色させる)


ほのり「モード矢澤にこ:ツインテタイフーン!」

ガチャッ! 

ほのり(すると1本の大剣がピンクに輝く2本の細身の剣に分裂)

ほのり(私はその剣から床に向かって猛烈な風を放ち、落下スピードを相殺させる)

ボォォォォォウッッ!!


フワァァッ

タンッ

ほのり「……よっと」
  

ほのり(無事に着地できた私はそのまま駆け足でスタジアム中央のステージへ向かう)

タタタタッ

898 ◆WsBxU38iK2:2017/12/07(木) 22:48:35 ID:m9EENxtc


アユミ「へー?中々派手な登場パフォーマンスじゃない」


ほのり「私は南ほのり!その料理対決……私が相手になるわ!」

アユミ「おーけー、じゃあキッチン上昇!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ

ほのり「……っ!」


ほのり(私たちの立つ円形の一段高いステージ、その下から料理番組のようなセットがせり上がってくる)

ほのり(私とトリーアユミの前にそれぞれ大きなキッチンと冷蔵庫、両者の間に大型ディスプレイが現れる)


ほのり(ふむ、テレビの代わりにここにお互いの映像が映し出されるのね……)

ほのり(これで海未さんたちにも詳しい状況が分かる)


ほのり(他にステージにせり上がって出てきたものは>>899)

899名無しさん@転載は禁止:2017/12/07(木) 22:56:20 ID:xKUYJ4uA
お題ルーレットと宝箱

900 ◆WsBxU38iK2:2017/12/08(金) 00:03:20 ID:5OvhHKUU
ほのり(他にせり上がって来たものは……これまたテレビ番組でよく見るルーレットと大きな宝)

ほのり(前者は料理名がたくさん書いてあるからお題なんでしょうけど、後者は何に使うかいまいち予想がつかないわ)


アユミ「これで準備完了っと」

アユミ「キッチンの上にピンマイクがあるからそれを付けなさい、あなたの声も客に聞こえるようになるわ

ほのり「ふむ」パチッ


アユミ「では勝負の内容を説明するわ」

アユミ「まずお題ルーレッドを回してお題となる料理を決定、制限時間以内に料理を作って審査にかける」

アユミ「その結果で勝負が決まるわ、わざわざ説明する必要もない簡単なルールでしょ」

ほのり「ええ、単純明快ね」


ほのり(相手は天才パティシエ、料理の腕は1流でしょうけど……ジャンル次第なら勝機はあるかもしれない)

ほのり(私の全力を出して何とか食らいついてみせるわ!)


アユミ「じゃあ始めるわよ!」ガッ!

アユミ「ルーレット――」

ガララララララッ!!


アユミ「スタートっ!」


─────────────────

キッチンスタジアム

AM??〜AM?? 新終末編『244』了

901 ◆WsBxU38iK2:2017/12/08(金) 00:04:02 ID:5OvhHKUU
というわけでここまで

クッキング開始

新終末編『245』に続く
かもしれない

902 ◆WsBxU38iK2:2017/12/08(金) 20:01:41 ID:5OvhHKUU
新終末編『245』

─────────────────
──キッチンスタジアム

AM??


ガララララララッ!!

ほのり(高速で回り続けるルーレット)

ほのり(デジタル式ではなく上部に緩めのストッパーが付いていて段々減速していくアナログ式)

ほのり(回転が止まった時にストッパーの位置にあったお題が選ばれるシンプルなものだから、イカサマの予知は余り無いと思う)


ほのり(ま……プロのパティシエが素人の私相手にイカサマして何になるって話だけどね)

ほのり(何のお題が出たって私には精一杯頑張る以外の選択肢はない……!)


ガララララララッ!

カラララッ

ララッ

ほのり(ルーレットの勢いが段々と弱まっていく……そして……)

カラッ 

カラッ

アユミ「さーて……今回の対決のお題は……」


カタッ

ジャッジャーーンッ!!

ほのり(ルーレットが完全に停止すると、安いファンファーレがスタジアム中に鳴り響く)

ほのり(トリーアユミは襟のマイクに口を近づけお題を大々的に叫んだ)


アユミ「>>903に決定よ!」

903名無しさん@転載は禁止:2017/12/08(金) 20:38:03 ID:N3RSPKzY
DXチーズケーキ鍋

904 ◆WsBxU38iK2:2017/12/08(金) 21:31:01 ID:5OvhHKUU
アユミ「DXチーズケーキ鍋に決定よ!」

ほのり「チーズケーキ鍋……?」


アユミ「料理の解釈は料理人の自由にしてオーケー、そこも腕に含まれるわ」

アユミ「どれだけ自分の発想をDXチーズケーキ鍋というお題で活かせるか……勝負よ南ほのり!」ビシッ!

ほのり「……っ!」


アユミ「よーーいっ、スタート!」

ビーッ!

ほのり(開戦のブザーが鳴ると、トリーアユミは迷いなく行動し始める)

ほのり(冷蔵庫に走りテキパキと食材を取り出し、調理器具を調理台の上に並べていく)


アユミ「あれとこれと……よし!イメージはできてる!」


ほのり(対する私は制限時間のタイマーが動き始めたというのに何も出来ずにいた)

ほのり(チーズケーキ鍋を始めとしたチーズケーキ味の料理は母さんたちのクッキングで度々登場したもの)

ほのり(どちらかといえば魔王と戦い始めてから母さんがよく作っていた気がする)

タタタッ

ほのり(鍋ってことは味付けはチーズ……でいいのかな)

ほのり(取り敢えず食材が置いてある場所からチーズを――)


ほのり「って……ええっ!チーズってこんなに種類があるの!?」

ほのり「こんなの何が良いか分からないわよ……!」

905 ◆WsBxU38iK2:2017/12/08(金) 21:31:23 ID:5OvhHKUU




──観客席


フルタマン「地球のみんな!こちら実況のフルタマン、解説の園田海未さんでお送りしているぞ!」

海未「いつの間に解説に……」


フルタマン「園田さん、両者の立ち上がりの動きは対照的に見えるね」

海未「まぁ相手は自称天才パティシエなのでしょう?お題を聞いた瞬間にレシピは頭の中に浮かんでるはずです」

海未「逆にほのりは素人、時間に焦らずじっくり考えてくれれば良いのですが……」


フルタマン「料理のポイントになる所はどこだと思う?」

海未「まずチーズケーキ鍋をどう解釈するか……ですかね」

海未「チーズ味の鍋にするか、チーズケーキを活かした鍋にするか」

海未「見てください、トリーアユミは既にケーキ作りに取り掛かっています」

フルタマン「おおっ!トリー様!ボールに生地の材料を入れて混ぜ始めているううっ!」

海未「さすがはパティシエ、無駄のない高速のケーキ作りです」


海未「一方のほのりはチーズ鍋を意識してベースとなるチーズを選びにかかったようですね」

海未「ただ一口にチーズと言っても種類は豊富、素人目にはどれが鍋に合うものか分からないでしょう」 


フルタマン「ふむ、ではベースの味作りでは南ほのりが不利と」

海未「そうですね、ほのりが勝負できる箇所は基礎的な部分以外の創意工夫、既存の発想に囚われないアイディアです」

海未「具体的には入れる鍋の具を奇抜なものにしたり、具は別にしてフォンデュ形式にしてみたり、普通の鍋を取り分けてチーズソースに付けるディップ形式にしたり」

海未「思い切って熱々ではなく冷製にしてみる、あくまでデザートとしての側面を際立たせてみる……というのも良いでしょう」

906 ◆WsBxU38iK2:2017/12/08(金) 21:32:06 ID:5OvhHKUU


ザッ

ダル子「でも……それくらい当然相手も考えますよね」

海未「……ええ、そして相手のほうがアイディアの質も高い」

ウミトラマン「じゃあどうするんです?」


海未「1つ言えるのはこれは単なるプロの料理人VSアマの料理人の戦いではない」

海未「ほのりには異能を宿した道具がある、それを忘れてはなりませんよ――」






──ステージ


ほのり「うーむ……」

ほのり(ダメだ、なーんにも思いつかない)

ほのり(適当なチーズを何個か持ってきて、調味料も何個か持ってきて、取り敢えず鍋に水と一緒に入れてコンロの上に置いたけど)

ほのり(そこから一向になーんにも思いつかない、アイディアが出てこない)


ほのり「そうねぇ……こうなったら>>907

907名無しさん@転載は禁止:2017/12/08(金) 21:38:51 ID:alLm1He2
全部混ぜよう

908 ◆WsBxU38iK2:2017/12/08(金) 22:51:53 ID:5OvhHKUU
ほのり「とりあえず数個と言わずあるもの全部混ぜてしまいましょう!」


ガタガタガタッ!

ほのり(私は食材として用意されていたチーズの塊を全種類調理台の上に持ってくる)

ほのり「よいしょ……よいしょ……よいしょっと!」

ドンッ!


アユミ「へぇ〜全部混ぜるねぇ、確かにチーズは複数の種類を混ぜたほうが味は重奏的で美味しくなる」

アユミ「でも全部は強引だと思うわ、制限時間以内に全部のチーズの塊を砕いて混ぜ合わせるなんて――」

ほのり「それが出来るんだなぁ」

アユミ「なに?」


ほのり「ラブライブレード!」

カチカチッ

ほのり「モード矢澤にこ-β:無限の剣製――」

キュィィィィィンッ!!


ほのり(ピンクに発光するラブライブレードを床に突き刺すと、私のキッチンスペースに重なるように異なる景色が広がる)

ほのり(にこさんの固有結界、無限の剣製だ……)

アユミ「へぇ〜」


ほのり(ただ、あくまで借り物の力だということに変わりはない)

ほのり(塗りつぶせる現実は私の周囲数メートルだけだし、投影できる時間だって限られる)

ほのり(けれど……今の私にはそれでいい、1つの武器さえ投影できれば充分!)


ほのり「――トレースオン、ラブライブレード!」

909 ◆WsBxU38iK2:2017/12/08(金) 22:52:08 ID:5OvhHKUU
シュッ!

ほのり(もう1本……いや2本のラブライブレードを投影し両手でラブライブレードと構える)


ほのり(そして1本を白に、もう1本を再びピンクに発光させる!)

ほのり「モード南ことり:ぴゅあぴゅあマカロン!」

ほのり「――の中からBurning Devil Macaron!!」

ポンッ!

ボォォォォォウッ!!

ほのり(左手の白く光るラブライブレードを振ると炎の悪魔が飛び出してきた)

ほのり(バーニングデビルは母さんがやっていたように、自分の武器と合体させることができる)


ほのり(次に右手のピンクに光るラブライブレードでにこさんのツインテタイフーンを再現、大剣を風巻く双剣に変化させる)

ほのり(そしてバーニングデビルと双剣を合体させれば――)

ガシャンッ!!

ほのり「モードにこ&ことり:バーニングタイフーンブレードっ!!」

ボォォォォォォウッ!!


ほのり(灼熱の旋風を纏う双剣が、私の両手に顕現する!)

910 ◆WsBxU38iK2:2017/12/08(金) 22:52:23 ID:5OvhHKUU





──観客席


海未「なっ……!」

ダル子「何なんですかアレ!?確か複数同時再現は無理だったはずでは……」

海未「ええ、1つのラブライブレードで再現できるのは1つの能力だけと言っていました」


海未「ですがほのりのやつ……にこのUBWを利用することでラブライブレード自体を複製してしまいました」

海未「更に心エネルギーを使うことりのマカロンまで使うなんて……とんでもない無茶ですよ」


海未「魔力と精神力のドカ食いもドカ食い、料理が終わるまで立っていられるかさえ分かりません……!」

911 ◆WsBxU38iK2:2017/12/08(金) 22:52:40 ID:5OvhHKUU





──ステージ


ほのり(分かってるわ海未さん……私の元気はもう長くは保たない……)

ギュッ

ほのり「だから……高速の調理でケリを付ける!3分クッキングがμ'sの理念よ!」


アユミ「ふふふっ、何を見せてくれるのかしら……楽しみでたまらないわ!」


ギュルルルルルルッ!!

ザクッ! ザクッ!

ほのり(灼熱に熱された双剣をチーズに突き刺して持ち上げ、大きな鍋へ突っ込んでいく)

ほのり(そのまま鍋の中に剣を入れ、高温の刀身でドロドロに溶かしながら纏った旋風の回転力で一気にかき混ぜる!!)

ジュゥゥゥゥゥッ!!

ギュォォォォォォォォォウッ!!!!


アユミ「素晴らしい!灼熱旋風の双剣を調理器具へとして使うのね!」

アユミ「あれだけあった大量のチーズの塊が超高速で1つの液体になっていくわぁ!」


ほのり「ちょっと聞きたいんだけどー!この鍋は私の全力で壊れたりしないんでしょうね!」

アユミ「心配ご無用!レヴィアタンの中のものはレヴィアタンと同じ強度を持ってるわ!」

アユミ「存分にあなたの腕を奮ってちょうだい!灼熱の料理人ほのり!!」

ほのり「それなら遠慮なく――」

ギュルルルルルルォォォォォッ!!

912 ◆WsBxU38iK2:2017/12/08(金) 22:52:54 ID:5OvhHKUU
ほのり(双剣を動かす度に溶かした液状のチーズが宙を巻い、空気を含んでかき混ぜられ、大鍋の中のチーズの海に落ちていく)

ほのり(今の私なら大量のチーズを飴細工のように自由自在に操れる、まるでちょっとした職人の気分)


ほのり(これでチーズの問題は解決した、まぁ実質的にどうかは分からないけど……したことにする!)

ほのり(あとは鍋の中身を決めなきゃいけない)

ほのり(チーズを活かすなら具材は少なめで味さえ整えればいい、ケーキ要素を出すならそれっぽい具材を足した方がいい)

ほのり(敢えてガツンと肉や野菜でも入れる選択肢だってある、審査は微妙になりそうだけどね)


ほのり(別にどれでもいいけど……そうだな、今の気分は>>913)

913名無しさん@転載は禁止:2017/12/08(金) 23:03:18 ID:N3RSPKzY
凛ちゃんラーメン

914 ◆WsBxU38iK2:2017/12/08(金) 23:48:33 ID:5OvhHKUU
ほのり(ラーメン!鍋と言ったらラーメンだわ!)


バッ!!

ほのり(食材置き場の戸棚を見ると各種麺が本格的なものからインスタントのものまで揃っている)

ほのり(私に本格的な製麺をする技術はない、ここは妥協してインスタントを選ぶべき)

ガララッ!

ほのり(インスタントも種類が多いけど……そうね、私が選ぶのはこれ!)

ガシッ!

ほのり「凛さんがパッケージにいる凛ちゃんラーメンしかない!」


アユミ「料理対決の場でインスタント麺……?」ピクッ

アユミ「料理漫画では敢えて使うベタな手だけど……ほのりの場合は速度を優先したのかしら」


バリッ!

ほのり(凛ちゃんラーメンの袋を切り裂いて中の麺とスープの元をチーズ鍋にぶち込む)

バチャチャチャチャッ!!

915 ◆WsBxU38iK2:2017/12/08(金) 23:48:48 ID:5OvhHKUU


アユミ「中々興味深いクッキングねぇ」

アユミ「ま、相手ばかり見ててもナンセンスだし、私も自分の調理を進めるわ」スッ

キィィィィィィィィンッ!


ほのり(なにかしらアレ……トリーアユミの鍋から冷気みたいなものが発せられている……?)


アユミ「ふふっ、驚いた?」

アユミ「同じことしてもつまらないからね、あなたが灼熱の料理をするのなら私のはその逆――極寒の料理よ」


ほのり「……へぇ」

ギュルルルルルルッ!!

ほのり(天才パティシエが作る料理、気にはなるけど今は自分のことだけに集中!)


ほのり「さぁ!私のクッキングも大詰めよ!」


─────────────────

キッチンスタジアム

AM??〜?? 新終末編『245』了

916 ◆WsBxU38iK2:2017/12/08(金) 23:49:28 ID:5OvhHKUU
というわけでここまで

次で調理は終わりかな

新終末編『246』に続く
かもしれない

917 ◆WsBxU38iK2:2017/12/09(土) 20:00:16 ID:OlfUnxKY
新終末編『246』

─────────────────
──キッチンスタジアム・ステージ

AM??


トンッ!

ほのり「できた……」

ほのり(グツグツと煮えたぎるチーズラーメン鍋、彩りのために軽く葉を散らして私の料理は完成した)

ほのり(何十種類ものチーズを混ぜ込んだ濃厚なスープは芳しい香りを放っている)


ほのり「これが私の料理、凛ちゃん印の灼熱チーズラーメン鍋DXよ!」


アユミ「こっちも完成したわ……」

アユミ「私のアーティスティックスイーツ料理、天才が送る氷結チーズケーキ鍋DX!」

ババーンッ!

ほのり(トリーアユミが出した鍋はドライアイスのようにモクモクと冷気を放っていて、鍋の外側には氷がへばり付いている)

ほのり(いったいどんな料理なのか気になるわね……)


ほのり「さて、両者出揃ったみたいだけと……ここから審査に入るのよね、審査は誰がするの?」

アユミ「もちろん考えてあるわ」パチンッ


アユミ「審査は>>918

918名無しさん@転載は禁止:2017/12/09(土) 20:08:01 ID:YQnbf4eY
お互いが食べさせっこして勝ち負けを決める

919 ◆WsBxU38iK2:2017/12/09(土) 20:40:18 ID:OlfUnxKY
アユミ「審査はお互いが食べさせっこして勝ち負けを決めるのよ」

ほのり「なるほど、他に審査員を用意するわけじゃなくてお互いの舌で判断するのね」


アユミ「そうよ、一流の料理人なら自分の舌に嘘は付けないもの」

ほのり「…………」ゴクッ



アユミ「じゃあまずは私のから食べてもらうわ」スッ

スタスタ

トンッ

ほのり(トリーアユミはお互いのキッチンの間にある審査員用のテーブルに鍋を運んで置く) 

アユミ「来なさい南ほのり」

ほのり「え、ええ……」

ほのり(私がその場へ行くとトリーアユミの料理の全貌が見えた)

920 ◆WsBxU38iK2:2017/12/09(土) 20:40:36 ID:OlfUnxKY


ほのり(料理の名前通り、冷気を吹き出す鍋の中にはキンキンに凍り付いたチーズケーキが入っていた)

ほのり(チーズケーキは鍋の3分の2くらいを隙間なく埋めていて、鍋の形に沿って円形の形をして……)

ほのり(更に生地の中には様々な色をした丸い氷が埋め込まれている)


ほのり(これが……鍋?スイーツと言われたほうが納得できるくらい奇抜な見た目をしているわ)

ほのり(鍋なのに液体でも無ければ熱くもない、さすが天才パティシエ……発想が飛んでいる)


アユミ「よっと」サクッ

ほのり(彼女は鍋の中身を本当のケーキの如く切り分け、小皿にとって私の前に置く)

アユミ「さぁどうぞ、私の妙技を味わうといいわ」

ほのり「……じゃあ……食べるわよ」


ほのり(出された料理を口に運ぶ)

モグッ

ほのり「……っ!?」

ほのり(こ、これは……>>921)

921名無しさん@転載は禁止:2017/12/09(土) 21:17:56 ID:YOk/QDDk
口の中が氷河期

922 ◆WsBxU38iK2:2017/12/09(土) 22:21:53 ID:OlfUnxKY
ほのり(これは……口の中いっぱいに広がる度し難い冷たさ、いや……冷たさなんて生易しいものじゃないわ!)

キィーンッ

ほのり「ぐっ……!?」

ほのり(その感じたことのない未知の感覚は、口に入れた瞬間に自分が凍り付く錯覚さえ引き起こす)

ほのり(鼻から吸った空気が凍てつく冷気に変わって肺に届き、冷気が肺から血中に溶けて臓器や脳に達する)

ほのり(体全体の体温が内側下がってマトモに思考することさえ出来なくなってしまう)

ほのり(やがて肌が氷と雪で覆われていって……)

ピキッ パキッ ピキッ


ほのり(もちろんこれは錯覚だ、料理漫画にありがちな幻覚だ、そんなことは分かっている)

ほのり(分かっているのに……まるで魔法にでもかけられたみたいに体が固まって動かない)

ほのり(トリーアユミの料理の虜にされてしまっている……!)



ほのり(でも……これはなに……?)

ほのり(どこまでも広がる極寒のイメージ、氷の大地、氷河期の地層の中に少しずつ芳醇な何かが姿を現してくる)

ほのり(まるで氷に閉じ込められたマンモス、強烈なインパクトの冷たさの向こう側からチーズの美味しさがやってくる!)

キュゥゥゥゥゥゥンッ!!


ほのり「んんんんんっ!?」ビクッ!


アユミ「辿り着いたようね、氷の奥のお宝に」

923 ◆WsBxU38iK2:2017/12/09(土) 22:22:14 ID:OlfUnxKY


ほのり「これは……」

アユミ「私が取った方法はチーズの美味しさを氷の中に凝縮して凝縮して閉じ込める方法」

アユミ「ファーストタッチで圧倒的な冷たさに驚かせた後に、凝縮された旨味を一気に放出させるのが狙いよ」


アユミ「ケーキの生地以外に埋め込んだ様々な氷の中にもそれぞれ旨味成分が閉じ込めてあるわ」

ほのり「ほんとだ、味わえば味わうほど氷の中から色んな味が飛び出してきて飽きが来ない」

ほのり「それに口の今度で溶けた氷が美味しい鍋のスープになって喉に流れ込んでくる……」


ゴクンッ

ほのり(すごい……奥深い料理だわ、さすがはレヴィアタンを作った料理人なだけはある)

ほのり(こんな人に私が勝てるのかしら……)


アユミ「ま、私の料理はこんなものよ」

アユミ「次はあなたの作った料理を食べさせてちょうだい?」


ほのり「……分かったわ」

ほのり(私は自分の調理台に戻って鍋からチーズラーメンを器に救ってトリーアユミの元に持っていく)

トンッ

ほのり「お待ちっ」

924 ◆WsBxU38iK2:2017/12/09(土) 22:22:41 ID:OlfUnxKY


アユミ「……ふむ、食べさせてくれる?」

ほのり「え?」

アユミ「食べさせあいっこすると言ったでしょう?あなたは勝手に食べちゃったけど」

ほのり「あー……そういう意味だったのね」


アユミ「はいあーん」

ほのり「うっ……あ、熱くても知らないわ」

ほのり「ふー、ふー」

ほのり(未だグツグツと煮え立つ器から箸で麺を掬って、出来る限りふーふーして冷ましてあげる)

ほのり(まぁ他人にあまりふーふーされても不快だろうから適当な所でやめ、麺を彼女の国の中へ運ぶ)


ほのり「はいあ〜ん」

アユミ「あむっ」


ほのり(そしてチーズラーメンを口にしたアユミは>>925)

925名無しさん@転載は禁止:2017/12/09(土) 23:03:43 ID:MUrCTQEg
昇天した

926 ◆WsBxU38iK2:2017/12/09(土) 23:51:57 ID:OlfUnxKY
ほのり(チーズラーメンを口にしたアユミは……)


アユミ「んっ!んんんんんんんんんっ!?」

ビクビクビクッ!!

ほのり(ラーメンをすすった瞬間に体を激しく痙攣させて昇天した)


アユミ「なにっ!?この濃厚に濃厚を重ねて練りに練り込んだチーズの海は……」

アユミ「更に一見陳腐に思えるインスタント麺が余すところなくチーズを絡め取っているわ!!」

ガタッ!

ズルルルルルルッ!!

ほのり(トリーアユミは私から箸を取ると食べさせ合いも忘れて麺とスープを一気に貪る)


アユミ「はふっ、はふっ!」

アユミ「一口食べる度に数百種を超えるチーズの味が味覚に襲い掛かってくる!」

アユミ「美味しいマグマが私の中に流れ込んでくる!」

アユミ「こんなの絶対火傷しちゃう熱さなのに、止まらない……鍋を食べる手が止まらないわぁぁぁぁぁっ!」

ジュルルルルルルッ!!


アユミ「あぁ……幸せ……」

927 ◆WsBxU38iK2:2017/12/09(土) 23:52:12 ID:OlfUnxKY





──観客席


海未「これは……」


海未(スタジアムの巨大モニターには一心不乱にチーズラーメンを食べるトリーアユミの姿が映し出されていた)

海未(顔を真っ赤にして唇を腫れさせてなお、濃厚なチーズスープを飲み続けている)


フルタマン「これは完全に虜になってしまったな、トリー様の負けだ」

海未「負け……ということはほのりの勝ちですか!?」

フルタマン「ああっ」コクンッ


ダル子「待ってください、トリーさんが作った料理も中々のものだったと思いますが……」

フルタマン「そうだね、でも今回の勝負はお互いの料理を第三者が比較するものではない」

フルタマン「これはお互いに食べあってどちらかが負けを認めるかという勝負」

フルタマン「そして南ほのりがどう答えようと……トリー様はおそらく負けを認める」


フルタマン「トリー様があれほど満足なされた顔を見たのは久しぶりだ」

海未「フルタマン……」

海未(モニターを見つめるフルタマンの表情はハイエイトチョコに隠れて半分しか見えないものの、どこか満足げな顔をしていた)


フルタマン「彼女の勝ちは君たちの勝ち、持っていくといい!」

フルタマン「このスタジアムの地下に保管されている目的の物――サトゥルヌスの体を!」


海未「はいっ!」



─────────────────

キッチンスタジアム

AM??〜?? 新終末編『246』了

928 ◆WsBxU38iK2:2017/12/09(土) 23:53:19 ID:OlfUnxKY
というわけでここまで

一応勝負はついたかな

新終末編『247』に続く
かもしれない

929 ◆WsBxU38iK2:2017/12/10(日) 20:10:11 ID:5UwzjAfA
新終末編『247』

─────────────────
──キッチンスタジアム・ステージ

AM??







アユミ「……ふぅ」

コトンッ

ほのり(トリーアユミはチーズラーメン鍋を食べ切ると満足そうな顔で息を吐く)

アユミ「良い料理だったわ、こんなに満足したのはいつぶりかしら……」

アユミ「悔しいけどあなたの勝ちよ南ほのり、宝箱の中に入ってる鍵は持っていくといいわ」

パチンッ


ほのり(そう言ってトリーアユミが指を鳴らすと近くにあった宝箱が開く)

カチャッ グィーーーーッ

ほのり「鍵……?」

アユミ「この収容区画に預けられている物品を引き出すためのスペアキーよ」

ほのり「なるほど、それがあればサトゥルヌスの本体を取り出せるわけか……」


ほのり(正直勝てたという感覚は全くない、勢いでゴリ押しだだけで腕は向こうが上だった)

ほのり(トリーアユミが負けを認めてくれたのは幸運以外の何者でもない)


ほのり(でも……勝ちは勝ち、ラッキーだろうが貰えるものは貰わなきゃ損!)

タタッ

ほのり(私は宝箱へ駆け寄り、中の鍵を取り出して自分の手にしっかりと握る)

ほのり(そして鍵を握りしめた手を天高く突き上げた)

ほのり「この勝負……私の勝ちよ!」バッ!


テレッテッテテーン! ボンッ!! ボンッ!!

ほのり(台詞と同時に背後で謎のファンファーレと爆発演出が発生してちょっと恥ずかしい……)


ほのり「しかしこの鍵……よく見ると変なところがあるわね」

ほのり「どうして>>930

930名無しさん@転載は禁止:2017/12/10(日) 20:18:12 ID:DqEmxBus
南家のとさかが付いてる

931 ◆WsBxU38iK2:2017/12/10(日) 21:30:35 ID:5UwzjAfA
ほのり「どうして鍵の頭に南家のとさかが付いてるのかしら」

ほのり「このとさか……お母さんやお母さんのお母さんに付いてるものに凄い似てるわ」


海未「ほのりーっ」タタタタッ

ほのり(私が鍵を見ていると、観客席にいたはずの海未さんたちがステージまで来ていた)

ほのり(私が勝利したことを知って駆けつけてきてくれたんだろう)


ほのり「海未さん!」

海未「料理対決お疲れ様でした、そして勝ってくださってありがとうございます」ペコリ

ほのり「い、いやいやっ、やれることをやっただけよ……そんなに特別なことじゃないわ」

ダル子「照れなくていいですよ、ほのりさんは頑張ってくれました」ニッコリ

ほのり「そ、そう……」

ダル子「?」


ほのり(ダル子って母さんや海未さんたちμ'sのファンで、憧れの対象として慕ってるのよね)

ほのり(でも……なんか親のファンってどういう反応したら良いか分からなくて少し戸惑っちゃう)

ほのり(なぜか私にも敬語だし、普通に喋ってくれていいのにな……)


海未「ほのり?」

ほのり「あ、ああっ、それで鍵を手に入れたんだけど……見てこれ」スッ

海未「一見変哲のない鍵に……とさかが付いてますね」

932 ◆WsBxU38iK2:2017/12/10(日) 21:30:52 ID:5UwzjAfA
ほのり「私は母さんのとさかに似てると思ったんだけど、海未さんは心当たりない?」


海未「ふむ……とさかとさか……」


海未「トリー!サトゥルヌスを預けに来たのは魔王自身なのですよね!」

ほのり(海未さんの質問に少し離れた場所に座っているトリーアユミが答える)

ほのり(彼女の後ろには海未さんたちと同じタイミングで来たであろうフルタマンが立っていた)


アユミ「ええそうよ、その際に鍵を2つ作成したわ」

アユミ「2つとも魔王に渡して確認してもらった後、一方は魔王がそのまま所持、もう一方は私が予備として保管していたの」

海未「このとさかについては?」

アユミ「鍵にアクセサリーを付けるのは利用者の自由だから関与しないわよ」

アユミ「ただチェックはしてるから、アクセサリーのせいで鍵の機能が損なわれることは無い」

アユミ「それだけは保証しておくわ」


海未「ふむ……」

海未「魔王と南家には何故か不思議な縁がある、何か意味があるのかもしれません」

海未「それにとさかは幻想種とさかが思い出されますね」

ダル子「大阪や大雪山拠点で暴れていたとさか型の寄生幻想種ですよね」

海未「はい、大阪のほうは倒せましたが最初に現れた個体は行方知らずです」

海未「マザーの仲間が大雪山拠点跡に押し入った時には既にもぬけの殻だったそうですし……」


海未「ダル子、あなたから見てこのとさかに何か感じませんか?」

ダル子「私ですか?そうですねぇ……>>933」ジーッ

933名無しさん@転載は禁止:2017/12/10(日) 21:35:04 ID:NRNOLC9k
おばさん臭いです

934 ◆WsBxU38iK2:2017/12/10(日) 22:18:06 ID:5UwzjAfA
ダル子「……おばさん臭いです」

海未「え?」

ダル子「ああ、正確に言うと大人の女性の匂いの粒子が強く付着してるのが見えますね」

海未「大人の……」


ほのり「やけに科学っぽい解析ね、中に封じられた異能がどうとかって話じゃないんだ」

ダル子「魔眼持ち穂乃果さんの魔眼ならそういったこともできるでしょうけどね」

ダル子「私の神眼はあくまで視覚を極限まで強化するだけ、遠視や透視には長けていますが異能的解析は得意分野ではありません」

ほのり「そうなんだ」

ダル子「あ、長けてないだけで出来ないことはないですよ」


海未「大人の女性……ということは理事長が関わっている可能性が高いですね」

ほのり「あの理事長さんが?」

海未「ええ、理事長はサトゥルヌスを目覚めさせるための贄として大雪山拠点に捕らえられていました」

海未「彼女の成分が何かの役割を成すというのなら、とさかを付けることで鍵に同じ役割を持たせてる……と考えるのが自然」


ほのり「鍵に鍵以外の役割、つまりレヴィアタンから取り出した後に必要になることよね」

ほのり「それってまさか……」

海未「ええ、おそらくは起動キー」

ほのり「……っ!」

935 ◆WsBxU38iK2:2017/12/10(日) 22:18:23 ID:5UwzjAfA
海未「魔王は理事長のとさかを付けることにより、サトゥルヌス本体を目覚めさせる効果をこの鍵に追加した」

海未「その可能性が限りなく高いです」


ダル子「すごい危険なことじゃないですかっ!両腕が無いとはいえサトゥルヌスは厄介な神格ですよ」

ダル子「何も対策しないまま目覚めたらどうなることか……」ゴクッ

海未「大丈夫です、策ならありますよ」

ウミトラマン「ほう」


海未「マザーの仲間は大雪山拠点からサトゥルヌスの各パーツが隠された場所、及び各パーツのコントロール方法が載った書類を入手済み」

海未「マザーから受け取ったこのマニュアルにもそれは書いてあります」

パラララッ

海未「『任務最終フェーズⅠ:レヴィアタンからのサトゥルヌス本体の回収に成功し次第、コントロール試験へと移行する』」

海未「『本体のコントロール方法は>>936』」

936名無しさん@転載は禁止:2017/12/10(日) 23:10:48 ID:CN1WVI8U
現役大和撫子系JKが超マイクロビキニでパフパフしてテンションを上げ、付属のコントローラーでジャイロ操作する

937 ◆WsBxU38iK2:2017/12/11(月) 00:03:21 ID:yB7DMPmo
海未「『現役大和撫子系JKが超マイクロビキニでパフパフしてテンションを上げ、付属のコントローラーでジャイロ操作する――」


バンッ!!

海未「ってなんですかこれっ!!」

ほのり(そこまで読んだところで海未さんはマニュアルを床に叩きつけた)

ほのり(叩きつけられた衝撃でマニュアル本の隙間からほとんど紐にしか見えない水着の上下が飛び出る)

ほのり(そしてマニュアルの裏表紙に張り付いていたタブレットのような薄くて長方形のデバイスが外れた)


ウミトラマン「なんだ全部用意されてるじゃないですか」

ウミトラマン「海未がこの水着を来てコントローラー操作すれば良いだけですね」

海未「良いわけないでしょうっ!」

ウミトラマン「何故?」

海未「恥ずかしいからですよ、それに大和撫子系JKと書いてるだけで私は指名されていません!」


ほのり「でもこの場で条件に合うのなんて海未さんくらいよね」

ウミトラマン「面積の少ない服なら私も着てるから大丈夫ですよ」

海未「デフォルト痴女のあなたと一緒にしないでください」

ウミトラマン「なっ!」

938 ◆WsBxU38iK2:2017/12/11(月) 00:04:30 ID:yB7DMPmo


ほのり(当然ながら渋る海未さん、そこへダル子が神妙な面持ちで前に進み出る)


ダル子「海未さん……失礼なお願いだとは承知しています、ですがサトゥルヌスをコントロールできるかどうかは世界の存亡に関わっている案件」

ダル子「ここは恥を覚悟で一肌脱いでもらえませんか!?」

海未「くっ…………」

ダル子「海未さん!」

海未「わ……わたしは……」



パンパンッ

アユミ「はいはい、葛藤してるところ悪いけど私の仕事も進めさせてね、まずは預かり品の確認をしてらうわ」

ほのり(両手を打ち鳴らしてトリーアユミは注目を集める、側にいたフルタマンはいつの間にかいなくなっていた)


ほのり「確認……?それにフルタマンはどこに行ったの?」

アユミ「フルタマンはスタジアムの管理室に行ってるはず、そこで操作盤を切り替えるように命令したからね」

ほのり「操作?操作って――」

アユミ「ほら、開くわよ」

ほのり「っ!?」


ガチッ ゴゴゴゴッ!

ほのり(その瞬間、スタジアムの床に一直線の割れ目が出現した)

939 ◆WsBxU38iK2:2017/12/11(月) 00:04:51 ID:yB7DMPmo
ほのり(割れ目が出現したのは楕円形のスタジアムの丁度真ん中、左右にセパレートされた床が卵の殻を割るように外側へスライドしていく)

ガガガガガガガガガガガガッ!

ほのり(床に設置されてるステージに乗ってる私たちは何も出来ず、動く床の片方に乗ったまま移動させられる)

ほのり(さっきまでスタジアムのほぼ中央にいたのに、いつの間にか観客席の近く……スタジアムの端に来てしまっていた)


ほのり「床じゃない……蓋だったんだ……」

アユミ「そうよ、ここはスタジアムであると同時に巨大収容区画」

アユミ「スタジアムの床は天板の役目を持っていて、これをスライドさせて開くと地下部分が出現する仕組み」



ほのり(開け放たれた天蓋、ぽっかりと大きな口を開けたスタジアム)

ほのり(私たちの眼下には縦横に広大な直方体の地下空間が広がっていて――)


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!


ほのり(そこには、無数の鎖に縛り付けられたサトゥルヌスの巨体が存在していた)


─────────────────

キッチンスタジアム

AM??〜?? 新終末編『247』了

940 ◆WsBxU38iK2:2017/12/11(月) 00:05:45 ID:yB7DMPmo
というわけでここまで

本体との邂逅
海未ちゃんは頑張れるのか

新終末編『248』に続く
かもしれない

941 ◆WsBxU38iK2:2017/12/11(月) 20:16:35 ID:yB7DMPmo
新終末編『248』

─────────────────
──キッチンスタジアム

AM??


海未(サトゥルヌス……話には聞いていたけど直接見るのは初めてですね)

海未(顔は老神のイメージによくあるような長い髪と髭が伸びた威厳のある顔)

海未(体は老人の顔とは打って変わって筋骨隆々、腕はないものの確かな力強さを感じさせる肉体)


ウミトラマン「随分と大きいですね、普段の私の大きさといい勝負ですよ」

海未「それもそのはず……」


海未「ローマ神話の神であるサトゥルヌスはギリシャ神話のクロノスと同一視されます」

海未「そしてクロノスはティターン族の王と言われる存在」

ダル子「ティターン?」

海未「巨人を現すタイタンの語源ですね、ダル子に分かるように言えば北欧神話の霜の巨人に近い存在でしょうか」

ダル子「ほうほう」


海未「ティターンの神々を率いて今の主神であるゼウスと戦争を繰り広げた先代の王」

海未「ほのりたちを排除するためにこんなものを持ち出すのだから……魔王の本気度が伺えます」

ダル子「腕っ節強そうですもんねぇ」

海未「いや、サトゥルヌスに関してはおそらく子食いの伝承の方を利用した――」


海未「……ん?」

ダル子「どうしました?」

海未(ダル子たちに魔王の思惑を話そうとしていたところ、実際に見たサトゥルヌスのある部分に違和感を覚えた)

海未(あんなもの……伝承には無かったような……)


海未(違和感の正体、それは>>942)

942名無しさん@転載は禁止:2017/12/11(月) 20:19:27 ID:P2wI5PsQ
スカートを履いてる

943 ◆WsBxU38iK2:2017/12/11(月) 21:44:47 ID:yB7DMPmo
海未(それは下半身にスカートを履いてること)

海未(美術絵画でよく見る古代の腰巻きみたいなものではない、無地で地味な物ではあるものの明らかに現代のスカートだ)

 
海未(改めて見てみると胸の辺りの布もトップを隠すブラのように見えなくもない)

海未(まさか……筋骨隆々なお爺ちゃんでなく筋骨隆々なお婆ちゃんだったということですか!?)

ガビーンッ!!


ダル子「海未さん……?」

海未「い、いや……些細な問題です、気にしないでください」


海未(そうだ、些細な問題なのだ)

海未(こんな神代の化物に性別など関係ない、マッスルお婆さんとかむしろネタ度が上がってしまった気もしませんが……)

海未(とにかく私のやるべきことは変わらない)


海未「私……脱ぎます!」グッ

ほのり「覚悟を決めてくれたのね」

海未「はいっ!」

海未「……とは言え、自分の正確を考慮するにシラフでは少々厳しい所があります」

アユミ「お酒飲む?材料にあるわよ」

ほのり「まだキッチンのセットあったのね……」


海未「あいにく未成年なので……こちらで行かせて頂きます」

シュルルルッ

944 ◆WsBxU38iK2:2017/12/11(月) 21:45:11 ID:yB7DMPmo


海未「マインドコントロールテンタクル――セルフコントロール!」

シュルルルッ! グサッ!


アユミ「髪を変化させて自分の首に刺した……?」

ダル子「MCTセルフコントロール、自分を洗脳する海未さんの能力の1つです」

ダル子「本来は脳のリミッターを外して身体能力を強化したりする技ですが……」


海未「『園田海未に園田海未が命じる、今の服を脱いでマイクロビキニに着替えなさい!』」

ビビビビッ!!

海未「ぐっ……!」


海未(雷に打たれたように体に刺激が走る)

海未(次の瞬間、私の手は"勝手に"標準戦闘服のファスナーに手をかけて勢い良く下ろす)

ジーッ!

海未「あ……あまり見ないでくださいねっ!」

ダル子「は、はいっ!」


海未(体は勝手に脱衣を進めていくも恥ずかしいことに変わりはない、顔が火が出るんじゃないかってほど熱くなる)

海未(周囲にこれといった障害物はない、広いスタジアムのステージで下着まで脱いで生まれたままの姿になる)

海未(スースーして開放感がある……じゃないじゃない、早く水着を着ないと)


ウミトラマン「うーん……私と顔は似てるけど胸は無いですね」ジーッ

海未「見ないでって言いましたよね!ね!」

ウミトラマン「ごめんごめん」

945 ◆WsBxU38iK2:2017/12/11(月) 21:45:47 ID:yB7DMPmo
海未「もう……」

海未(不届き者がちゃんと後ろを向いた所で水着を拾って身につける)

スッ

海未(身に着けた……のですが)



海未「うわー……」

海未(身につけて改めて分かりましたが……これは人が身に着ける水着ではない、断じてない)

海未(全体の99%が細い紐、隠れてるところと言ったら最低限の大事なところだけ)

海未(いや……下手すれば最低限の大事なところさえはみ出てしまってるかもしれない)


海未(取り敢えず見た人が不快にならないように下のアレはファントムエッジで剃っておく)

ボォォォッ

海未(実はファントムエッジの紫炎部分は私の意思によって炎の特性を強めるか刀の特性を強めるか選べる)

海未(その中間辺りに設定すれば丁度良い感じに綺麗に焼き切ることができるのです)

ジュゥゥゥッ

海未「ふぅ……」


ダル子「そんなことしなくても元々薄くて気にならないのに」

海未「わぁっ!ダル子いつの間に!」

ダル子「もう着替えは終わったんですよね、なら見ても問題ありません」

海未「それはそうですが……」


ほのり「にしても便利な刀ね、毛は溶解してるのに肌には火傷の跡が一切ついていない」

ほのり「人は斬らないって部分が上手く作用してるのかしら……じゃあ髪の毛とかの場合は……」ジーッ

海未「あの……股間の部分をじっくり見られるのはやめて欲しいのですが」

946 ◆WsBxU38iK2:2017/12/11(月) 21:46:27 ID:yB7DMPmo
アユミ「ふむふむ、肌が全体的に綺麗ね、何か体に良い物食べてる?」

海未「ですから……」プルプル

アユミ「まるで軟体生物の肌みたいにスベスベでツルツル」サワサワ

ダル子「あ!たぶんダイオウイカと合成してる影響が体に出てるんじゃないですか?」

アユミ「なるほど、だったら――」

海未「ああもう!いい加減にしてくださいっ!」

バッ!

アユミ「あらら、怒られちゃった」



海未(やたら人の体に注目してくる取り巻きを追い払って、私は床からコントローラー端末を拾う)

海未(まったく……こんな姿をジロジロ見られるなんて赤面を通り越してどうにかなってしまいます)


海未「さて……」

海未(サトゥルヌスをコントロールするためのものらしいですが、見た目は普通のタブレットのように見えますね)

海未(電源ボタンは……これか)

カチッ

海未(側面の電源ボタンを押すと画面がつく、そして>>947)

947名無しさん@転載は禁止:2017/12/11(月) 21:55:20 ID:u/gOLcQQ
データをアップデートします。電源を切らないでください。(残り約10分)

948 ◆WsBxU38iK2:2017/12/11(月) 22:52:00 ID:yB7DMPmo
ピピッ

コントローラー『データをアップデートします。電源を切らないでください。(残り約10分)』

海未「あ、アップデート?」


ほのり「どうしたの?」

海未「どうやら機器のアップデートが必要らしいんです」

ほのり「アップデート……ということは外部からデータを転送するのかしら」

海未「分かりませんが、もしその形式ならレヴィアタンの中にいたらアップデートが進まない可能性が考えられます」

海未「ここは外部からのあらゆる干渉、もちろん電波も阻害するでしょうから」

ダル子「それは困りますね」


海未「では先にサトゥルヌスをレヴィアタンから出す作業だけしてしまいましょう」

海未「トリーさん、レヴィアタンにその手の機能は……」

アユミ「ええ、あるわよ」

アユミ「レヴィアタンから出した先はお客様に持ち帰ってもらうけど、レヴィアタンから出すまでならサービスの一貫でやってあげる」

サッ

海未(トリーアユミはそう言うと通信機のようなものを取り出して指示を出す)

海未(相手はおそらく地下にいるであろうフルタマンでしょうね)


アユミ「……よし、準備はできたわ」

アユミ「これからサトゥルヌスの格納庫を上昇させるわ、その後にスタジアム上部に外部へのワープホールを作って出す」

アユミ「それで問題ないわね?」

海未「はい、お願いします」


アユミ「じゃあ第六収容区画……上昇!」パチンッ

ウィーーンッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

949 ◆WsBxU38iK2:2017/12/11(月) 22:52:28 ID:yB7DMPmo





──レヴィアタン外部

AM8:15


希(海未ちゃんたちがレヴィアタンの中に入ってから10分くらいの時間が経っていた)

希(途中でレヴィアタンの壁にモニターのようなものが現れて、3分程度に編集された料理対決番組が流れた他は変化がない)

希(あの編集から考えるにレヴィアタンの中とこっちじゃ時間の流れが違うんやろうな)

希(うちらに状況を知らせる意味で誰か……たぶんトリーって人が映像を流してたんやろう)


希(番組の説明からするとサトゥルヌス解放の権利は得たらしいけど)

希(ほのりちゃんが勝ったシーンで番組が終わったからその後どうなったのかは分からん)

希(海未ちゃんたちが無事に出てきてくれることを祈るばかりや……)


かもめ「なんだか大変なことになってるんですね」

コトーリ「うむ」

希(そうそう、こっちはこっちでかもめちゃんが目覚めてたんや)


希(ソーマから回復して少し喋れるようになったかもめちゃんはうちらに話をしてくれた)

希(どうやらかもめちゃんは昨日は名古屋のドアラランドにいたらしい)

希(異空間でミナ仮面が魔王が敗北した後、かもめちゃんはその場から逃走)

希(そして>>950な経緯の後、レヴィアタンがある地下大空洞に辿り着いた……と)

950名無しさん@転載は禁止:2017/12/11(月) 22:59:56 ID:l6w29nOs
ガンマンワールドでチーフロキワーカーと死闘を繰り広げた

951 ◆WsBxU38iK2:2017/12/11(月) 23:58:29 ID:yB7DMPmo
希(そしてガンマンワールドでチーフロキワーカーと死闘を繰り広げた後、この大空洞に辿り着いた……と)


希(話を聞くにガンマンワールドというのは別次元の世界らしく、たぶんミナ仮面の異世界からそこに迷い込んでしまったのだろう)

希(ガンマンワールドは西部劇のような世界で、そこでスーツを着た謎のガンマン、チーフロキワーカーと交戦を繰り広げ撃退したらしい)

希(かもめちゃん曰く中々の強敵でしたということ)


希(激戦で疲労困憊になったかもめちゃんは意識が朦朧のまま別の次元ゲートに足を踏み入れ大空洞に転移)

希(ここらへはかもめちゃん自身の記憶が曖昧だからよく分からん、ゲートというのもうちの想像やしな)

希(でも次元を移動してることから自然発生する海未ちゃんのキーブレード門みたいのがあるんやろう)


希(そして大空洞にワープしてきたかもめちゃんは疲労困憊から来る空腹のあまりレヴィアタンを食べてしまった)

希(お金を持っていなかったことでフルタマンに捕まり投獄されていたというわけらしい)


希(こっちからは魔王軍が壊滅したこととその後のうちらの経緯を軽く話したが、あんまり興味は無さそうだった)

希(元々組織というものに執着がない子なんやろうか……)


コトーリ「あ、のぞみのぞみ」クイクイッ

希「なんや?」

コトーリ「おかしのいえから……なにかでてくる」

952 ◆WsBxU38iK2:2017/12/11(月) 23:58:41 ID:yB7DMPmo
希「え?それって……」

かもめ「家の横です!あそこの空間に巨大な縦穴が空いています!」


希(かもめちゃんが指差した先、うちらから距離的にかなり離れてる場所)

希(お菓子の家の側面から僅かに隙間を開けたその空間には、確かに縦に直径数十メートルはある巨大な穴が空いていた)

希(穴の表面は光を通さないのか真っ黒、そしてその表面から巨大な存在が少しずつ体を出してくる)


希(その正体は巨人)

希(まずは頭、次に首と胸の部分と、横になった巨人が台車に乗せられてるかのようにスライドして出て来ている)


希「あれが……サトゥルヌス……」

コトーリ「うん、たぶんそう」


希(そして鎖に巻かれた巨人の頭の上には、超マイクロビキニを着た殆どの裸の海未ちゃんの姿が……)


希「……って、なんでマイクロビキニ!?」



─────────────────

キッチンスタジアム〜大空洞

AM??〜AM8:16 新終末編『248』了

953 ◆WsBxU38iK2:2017/12/11(月) 23:59:12 ID:yB7DMPmo
というわけでここまで

まだ起動はしてません
とりあえず出しただけ

新終末編『249』に続く
かもしれない

954 ◆WsBxU38iK2:2017/12/12(火) 20:15:01 ID:bPcS.1M.
新終末編『249』

─────────────────
──地下大空洞

AM8:16


海未(転送ゲートを通り、サトゥルヌスと共にレヴィアタンの外へ出た私たち)

海未(そんな私をまず襲ったのは……耐え難い寒さだった)


海未「……っ!」ブルルッ!

海未「さ、寒っ!寒くないですかここ!?」

海未(全身に鳥肌が立ち震えが止まらない、私は思わず両腕で体を抱える)

ガチガチッ ブルブルッ


ほのり「そりゃ寒いでしょうよ」

ほのり「洞窟内と言っても外は冬の北海道、しかもAAS雲のせいで例年を下回る気温になってる」

ほのり「その冷気が流れ込んでくる所でほぼ全裸な格好……誰から見てもマトモじゃないわ」

海未「うぅぅ……だから制御するためなんですって……」ブルブルッ


ダル子「私たちが着ている特製戦闘服は温度調節機能が付いてますからね」

ダル子「これを脱いで他の物を着ると余計寒く感じるのかもしれません」


ほのり「そうだ灼熱チーズラーメンあまりがあるけど食べる?少しは温まるんじゃない?」

海未「はい、ありがとうございます」

ズルルルルルッ


海未(そうして寒さに耐えながらほのりの鍋を食べていると、外で待っていた希たちがこちらへ走ってきた)

955 ◆WsBxU38iK2:2017/12/12(火) 20:16:06 ID:bPcS.1M.
タタタタタッ

希「海未ちゃん!その格好どうしたん?痴女になったん!?」

海未「痴女にはなってません!」


海未(サトゥルヌスの頭の麓……言い方は変ですが、要は後頭部の辺りの地面で希たちは止まる)

海未(希、コトーリさん、それから善子は怪しげな表情でサトゥルヌスを見上げている)

海未(まぁいきなりこんな巨人を見たら戸惑いますよね……)


海未(とりあえず希たちに事情を説明するため、そしてサトゥルヌスを起動させるために私たちは巨人の頭から降りることにした)

ザッ

  ザッ

    スタッ


海未「よし……っと」


ダル子「海未さん、コントローラーの様子はどうです?」

海未「そうですね……予想通りアップデートが開始されたようです、残り9分くらいで完了と出ていますね」

ダル子「良かった……」ホッ


海未「この待ち時間で希たちに事情を説明、それから>>956もしておきましょうか」

956名無しさん@転載は禁止:2017/12/12(火) 20:23:12 ID:wEccQA1I
自家発電

957 ◆WsBxU38iK2:2017/12/12(火) 21:21:25 ID:bPcS.1M.
海未「それから自家発電でもしておきましょうか」

希「なっ!自家発電……海未ちゃんやっぱり痴女に……」ポッ

海未「そっちの意味じゃありませんから……」

ほのり「そっち?」

海未「ほのりは知らなくて良いことです」

ほのり「?」


海未「このコントローラー、画面を見たところバッテリー残量の表示があります」

海未「それと側面にコードを突き刺す端子のようなものが」スッ

ダル子「あ、ほんとですね」

海未「この事からおそらくコントローラーは充電式、サトゥルヌスを操ってる途中で切れないためにも電気は必要です」


希「それで自家発電か……」

海未「ええ」コクンッ

958 ◆WsBxU38iK2:2017/12/12(火) 21:21:42 ID:bPcS.1M.


ダル子「しかし方法はどうするんです?大空洞には発電機らしきものはありませんし」

アユミ「レヴィアタンの内部動力は全部お菓子仕掛けで動いてるから電気は使ってないわよ」

ほのり「さらっと謎動力に言及したけどお菓子仕掛けってなによ?」

アユミ「ゼンマイ仕掛けのお菓子版」

ほのり「ああなるほどお菓子版……ってならないわよ!?」


海未「とにかく自家発電は私一人でやります、試したことはありませんが……おそらく可能です」

海未「使うものは触手テンタクルと私自身の体、それから>>959

959名無しさん@転載は禁止:2017/12/12(火) 21:33:47 ID:O6KtfPC.
淫らな妄想

960 ◆WsBxU38iK2:2017/12/12(火) 22:35:14 ID:bPcS.1M.
海未「それから淫らな妄想です」

希「やっぱりエロ方面――」

海未「ち、が、い、ま、す!」


海未「私は少し離れた場所で発電してますので、希たちはほのりから事の経緯を聞いていてください」

希「ほーい」

ほのり「分かったわ!」


タタタタッ

海未「ふぅ……このくらい離れればいいですかね」

海未(希たちから距離を取って背を向けると、私は髪の毛を6本の触手に変える)

シュルルルッ シュルルルッ

海未(そして触手を自らの体に絡ませると敏感な場所を刺激する!)

キュッ

海未「んんんんっ!!」ビクンッ!!

海未(寒さで勃っていたこともあり、触手で優しく揉まれ先端を刺激されると快感が一気に脳天を突き抜ける)

海未「んっ……はぁ……はぁ……」


海未(発電に必要なのは体温の上昇と血行の促進、快楽による特定の脳内麻薬――イカデルフィンの放出)

海未(これにはマスターベーションに似た行為をするのが最も効率的らしい)

海未(私を改造した黒川さんが言ってた話だから半信半疑だけど……今はすがってみる価値くらいはある)

ギュッ! ギュッ!

海未(快楽といっても通常の快楽ではいけない、複数の触手で人の手では到底不可能な攻め方をするのだ)

海未(ヌルヌルネチネチ、色んな固くなった場所をこりほぐしたり抜き差したり、触手たちの攻めは止まらない)

ヌチャッ ヌチャッ

海未(そして大事なのは淫らな妄想、イメージは何よりよの力になる)

クチュクチュ クチュクチュ

海未「ひゃぅぅっ、んんんっ、穂乃果……穂乃果……そこはだめ……」

海未「ひゃあああんんんんっ!!」

ビクビクビクビクゥッ!!

961 ◆WsBxU38iK2:2017/12/12(火) 22:35:34 ID:bPcS.1M.





希「なにやら色っぽい声が聞こえるなぁ」

希「まぁいいわ、レヴィアタンの中で起こったことは今話してくれたのが全部?」

ほのり「ええ、クッキング映像を見ていたのなら話すことはそれほど多くないわ」


ほのり「勝負に勝った私たちは鍵を手に入れてサトゥルヌスをレヴィアタンから外に運び出した」

ほのり「海未さんが充電しようとしてるのがデカブツを動かすためのコントローラー」

希「ふむふむ、シンプルな話やね」


かもめ「サトゥルヌスをコントロール……果たしてそんなこと出来るのでしょうか」

ほのり「出来るも何もマニュアルを信じてやるしかないって状況でしょ」

ほのり「どっちみち日本に宇宙怪獣が落ちてくるのは変わらない」

かもめ「はぁ……」


希「何か気になることがあるん?」

かもめ「い、いえ、もし魔王様がいたら確実に操れるんだろうなーと思っただけですよ」

かもめ「もちろん、この世界に魔王がいないことは理解してるつもりです」

希「せやなぁ……ことりちゃんたちが外郭界に探しに行ったみたいやけど、成果はどうならことやら」


ほのり「あなた、かもめって言ったわよね」

かもめ「はい」

ほのり「あなたはこれからどうするの?」

ほのり「1人でどっか行くってんなら止めはしないけど、普通の方法じゃ今のこの島からは出られないわよ」


かもめ「これからですか……そうですね、>>962

962名無しさん@転載は禁止:2017/12/12(火) 22:59:08 ID:WHQmPlEw
ひもじいのは嫌なので、雇って下さい。

963 ◆WsBxU38iK2:2017/12/13(水) 00:16:09 ID:RZCnnL/U
かもめ「私は……」


希(かもめちゃんは口に手を当ててしばらく口ごもる、慎重に考えてるんやろう)



かもめ「ひもじいのは嫌なので、雇って下さい」

かもめ「レヴィアタンを食べた後遺症は完治したけれど、あの空腹感をまた味わうのはごめんですから」

かもめ「食べ物を貰うためにあなたたちの元で働きたいと思っています!」


ほのり「なるほど……分かったわ」

ほのり「私の一存では決めかねるけど海未さんにも頼んでみるわ」

希「うちも歓迎やで、仲間は多いほうがいいしな」

希「海未ちゃんと張り合える身体能力を持ったかもめちゃんならきっと役に立てると思う」

かもめ「ありごとうございます!」ペコリ


ほのり「ほら、とりあえず私の作ったチーズラーメンを食べなさい」スッ

かもめ「わぁぁっ!はふはふっ」

ズルルルルルッ!

かもめ「ん〜!美味しい〜!」

希「ソーマの強制デトックスで胃が荒れ気味やから気を付けて食うんやでー」


希(かもめちゃんが鍋に釘付けになってる傍らで、ダル子ちゃんは心配そうに海未ちゃんをずっと見ていた)

ダル子「海未さん……大丈夫でしょうか」

希「任せといてって言ってたんやし、ここは任せといて平気じゃないかな……たぶん」

964 ◆WsBxU38iK2:2017/12/13(水) 00:16:38 ID:RZCnnL/U


希(少し離れた場所にいる海未ちゃんはすっかり触手にグルグル巻きにされていて、もう海未ちゃんの体は見えなくなっていた)

希(うちの場所からは微妙に内部が蠢く様子と偶に艶のある声が聞こえてくることしか分からない)

希(スマホを見るともうすぐアップデート完了の時間)


希(果たして海未ちゃんは間に合――)

バリイィィィッ!!

希「っ!?」

希(その瞬間、海未ちゃんを束縛していた触手が勢い良く弾かれ、マイクロビキニ姿の体が再び露わとなった)

希(長い触手は金色のオーラを纏い逆立ち、ギリシャ神話のゴルゴンやハンターハンターのゴ○さんみたいにウネウネと逆だっている)
 

希「海未ちゃん……」ゴクッ


ザッ

海未「お待たせしました、やっと習得できまたよ」

希(海未ちゃんは天高く触手髪を逆立たせたまま、こちらへゆっくりと歩いてくる)


海未「今の私は絶頂による快楽と脳内麻薬イカデルフィンで肉体を最大限に活性化させています」

海未「所謂超ドーピング状態、体内のどんな物質さえも自在に操ることができる」

海未「私が操っているのは私と融合しているダイオウイカの生体電気……」


希「生体電気……まさかっ!」

海未「そう、私はダイオウイカに備わっていた生体電気を増幅して膨大な電力を練り上げたのです」

バチッ! バチバチッ!

希(海未ちゃんの揺れる触手同士が近づくと、触手から触手へ電気の線が走る)

希(おそらく増幅された生体電気が触手の1本1本に貯められていて、微妙に電位差のある触手同士が放電を繰り返してる……のかな)

希(触手から自然に漏れる電気エネルギーがあの金色のオーラに見えるものの正体やろうか)

965 ◆WsBxU38iK2:2017/12/13(水) 00:16:53 ID:RZCnnL/U


善子「まさか……電気ナマズじゃないのよ、自分からあんな電力を取り出せるなんて……」

ダル子「ダイオウイカは幻想種です、何があっても不思議ではありません」


海未「この技を名付けるなら――『武烏賊雷』」

バリィィィィィッ!!


ほのり「タケイカヅチ……!?」

希「武御雷、タケミカヅチをもじったんやろうね」


海未「さぁ、発電は充分、アップデートも終わった」

海未「サトゥルヌスの起動を始めますよ!」バッ!


─────────────────

地下大空洞

AM8:16〜AM8:25 新終末編『249』了

966 ◆WsBxU38iK2:2017/12/13(水) 00:18:17 ID:RZCnnL/U
というわけでここまで

海未ちゃんがまた変な技を覚えた

新終末編『250』に続く
かもしれない

967!ken:99:2017/12/13(水) 08:22:50 ID:FpWFQPOM
技のデパート

をつ

968 ◆WsBxU38iK2:2017/12/13(水) 20:40:23 ID:RZCnnL/U
新終末編『250』

─────────────────
──地下大空洞

AM8:25


海未「では行きますよ!」

希(武烏賊雷を発動させたままの海未ちゃんは触手の1本をコントローラーの端子に接続)

希(普通に考えれば形や規格が合わないとダメなんやろうけど、そこは幻想種の力でゴリ押しとるんやろうな)


希(海未ちゃんはコントローラーに電力を供給したまま、仰向けに倒れたままのサトゥルヌスの元へ歩いていく)

ザッ ザッ

海未「よし……ここらでいいですかね」

希(立ち止まったのは丁度サトゥルヌスの側頭部のあたり、言葉で表すだけなら寝てる頭の横……って感じなんやろうけど)

希(端から見ると人間が高い高い崖と対面してるようにしか見えない)


海未「まずマイクロビキニを着てパフパフ……パフパフですか……」

希「海未ちゃん!相手はただの壁なんや!思い切って押し付けてやりぃ!」

海未「押し付ける……」ジーッ

969 ◆WsBxU38iK2:2017/12/13(水) 20:40:50 ID:RZCnnL/U
希(海未ちゃんは自分の胸を見ると少し固まる)


海未「ま、私のも壁みたいなものですけどね」

希「いやそういうことやなくて、てか寄せればちゃんとあるって!こう腕でぎゅっと胸を寄せてなぁ……」ギュッ

海未「はあ……」

ギュゥッ ギュゥゥゥッ

希(海未ちゃんは胸を挟む……ことは出来なかったものの、必死に形相で胸を寄せることに成功した)


海未「ぐっ……く、苦しい体勢ですけど……これでいいのですか……!?」

希「それや!その状態で優しく押し当てるんや!」

海未「行きますよ……パフパフ!パフパフ!」

パフッ パフッ



ダル子「しかし……かなり珍妙な再起動方法ですよね」

ほのり「ええそうね」

善子「これだけ馬鹿らしいなら他人は思いつかないし防犯対策じゃない?」

ダル子「それにしても他の方法があるとは思うけどねぇ」

ダル子「魔王軍拠点跡から奪ったマニュアルに書いてあったということは、後に魔王は同じことをする手はずだったのでしょうか」

ほのり「さぁ……穂乃果母さんの体なら現役JKには該当するけど大和撫子の基準が微妙な気がする」

ほのり「他に魔王軍の中に該当する隊員がいたのか……どっちにしても魔王のマイクロビキニパフパフはあんまり想像したくないわね」

ダル子「はははは……」


ほのり「そりより今は海未さん、ほら見て……起動シークエンスが進むわよ!」

970 ◆WsBxU38iK2:2017/12/13(水) 20:41:07 ID:RZCnnL/U




ピーーーーーーッ!

海未「……!」

海未(サトゥルヌスの側頭部の壁に胸を押し付ける作業を繰り返すと、突如電子音のような音がコントローラーから鳴り響いた)

海未(その画面には……)


コントローラー『コードPFPFを確認、ロックPFPFの解除に成功しました』

コントローラー『これにより現在コントローラーを所有しているあなたの指紋と静脈を記録』

ピピッ!

海未「……っ!」

海未(このコントローラーは認証機能まであるのですか、背面に仕込まれていたなんて気づきませんでした)

コントローラー『第一所有者の認証データでないことを確認、このデータを第二所有者として登録、認証……完了しました』

コントローラー『これ以降認証者以外の操作は受け付けなくなります、ご注意ください』

海未(……あれ?弾かれるの思いきや予備として認証されてしまいました)

海未(登録者以外を弾くというよりは、PFPFでロックを解除した人以外は使えないようにするシステムですかね……)


コントローラー『サトゥルヌスを外部から操作する際はジャイロ操作となります』

コントローラー『他にこのコントローラーで出来る機能は――』

ピピピピッ

海未(画面に機能一覧が表示される、とりあえずスクロールして軽く目を通してみましょうか)

スッ スッ


海未(ふむ……使えそうな機能だと>>971くらいですかね)

971名無しさん@転載は禁止:2017/12/13(水) 20:46:17 ID:dHR2YCls
バイブ機能による豊胸マッサージ

972 ◆WsBxU38iK2:2017/12/13(水) 21:25:09 ID:RZCnnL/U
海未(使えそうなのだとバイブ機能による豊胸マッサージくらいですかね)

海未(他はサトゥルヌスのカラーリング変更や記念撮影など大したものはありませんでした)


海未「さて早速マッサージ機能を試してみて――」

希「海未ちゃん!どうしたん!?」タタッ

海未「っ!?」ビクッ!

海未(希が来てしまいました、仕方ありません、口惜しいですがマッサージは後でやりましょうか)


希「コントローラー眺めてどうかしたん?何か不具合とか……」

海未「いえいえ、コントローラーの認証は済みました、接続もしっかり出来たようです」

希「なら良かった」

海未「まず画面の外部操作をタッチ、それからコントローラーを傾けると――」

グイッ

ググググググッ

海未(仰向けに倒れているサトゥルヌスの足が0.5mほど持ち上がって……傾きを戻すと落ちる)

ドシーーーーンッ

海未「ジャイロ操作もしっかり受け付けているようですね」


希「じゃあ次はレヴィアタンからの切り離しやな」

海未「はい、ほのりお願いします!」

ほのり「ええっ」タタタッ

海未(少し離れた場所で見ていたほのりに声をかけると、彼女は私たちの元へ走ってて手近な鎖に手をかけた)

973 ◆WsBxU38iK2:2017/12/13(水) 21:25:38 ID:RZCnnL/U


海未(サトゥルヌスは外に運び出したものの、レヴィアタンとの接続はまだ切れてはいない)

海未(体全体に第六巨大収容区画の鎖が巻き付いたまま、鎖は転送ゲートを通ってレヴィアタンの中と繋がっている)

海未(今の状態だとトリーアユミの一存ですぐにレヴィアタンに戻すことができるわけですね)


海未(レヴィアタンの鎖を切り離し、完全にコントローラーのみに操作権を移譲する)

海未(そのために必要なのが……ほのりろの勝ち取ったとさか鍵!)


ほのり「ほっ」スッ

ガチャッ!

海未(ほのりが手に持った鍵を鎖に触れさせるとどこからか解錠の音がした)

海未(そして同時にサトゥルヌスの体を縛り付けていた鎖が光の粒子となって消失する)

パァァァァァァァァァッ!!


ほのり「できた!」


海未(檻からの解放――)

海未(これでサトゥルヌスは自由の身、今のところエネルギー不足で意識は復活してないものの、復活し次第活動できることになる)

海未(マニュアルによれば本人の意識があってもコントローラーを使えば強制的に従わせることができるらしいですが……)

海未(分かっていても不安なことには変わりない)


海未「ほのり、そこからすぐに離れてください!」

海未「とさか鍵に理事長エネルギー(仮)を充填させる可能性がある以上、直接サトゥルヌスの肌に触れさせるのは危険です」

ほのり「分かったわ!」

974 ◆WsBxU38iK2:2017/12/13(水) 21:25:56 ID:RZCnnL/U


海未「ふぅ……さて次は――」


カツ カツ

マザー「……お、無事に任務をこなしてくれたみたいやね」

海未「マザー!?」

海未(振り返るといつの間にかマザーが立っていた)

海未(多少ふらついてはいるものの、しっかり服を着て両の足で立っている)


海未「もう立ち上がって大丈夫なのですか?」

マザー「いつまでも寝てるわけにはいかんからな、結局全部海未ちゃんたちに任せてしまって申し訳ない」

海未「いえ、マザーは地上でコトーリさんたちを助けてくれたんですしお互い様ですよ」

マザー「そう言ってもらえると助かるわ……それで次はサトゥルヌスの地上への運び出しやな」


海未「はい、それなんですが任務の進行表に詳しく書いてないんですよね」ピラッ

希「書いてないって……こんなデカブツ、うちらが通って来た洞窟通路は通らへんやろ、どうするんや?」


マザー「そうやねぇ……色々手段は考えられるけど、>>975

975名無しさん@転載は禁止:2017/12/13(水) 22:02:03 ID:OShRnAhE
クローバー製のモ○スターボールでゲットだぜ

976 ◆WsBxU38iK2:2017/12/13(水) 22:59:13 ID:RZCnnL/U
マザー「これを使うか!」サッ!

希「なにその……ボール……?」


マザー「クローバー製のモ○スターボールでゲットだぜ!」

希「モンスターボールやん!?」

マザー「いややなぁ……それはポケモンに出てくるもんやろ、商品をパクったら権利問題やん」

マザー「これはモ○スターボールやから別物」

希「うーんどこから見てもパク――」

マザー「さぁ説明するでー!」


マザー「このボールはスイッチを押すと掌大まで大きくなって、目標に向かって投げると目標を内部に捕獲する」

海未「ふむ……クローバーというのはあなたのサロン、悪い大人たちの仲間ですよね」

マザー「せやで」

海未「作った……ということは発明家か技術者か何かですか?」

マザー「まぁプライベートなことはバラせへんけど、クローバーは発明家というよりは建築家やね」

マザー「通常科学の物理法則では説明できない建築物を設計して建築する異常建築家」

海未「建築?なぜその人が捕獲アイテムを……」


マザー「捕獲アイテムと考えるより、このボールを1個の家と考えたほうが分かりやすい」

マザー「クローバーのコンセプトは持ち運びのできる最小限にコンパクトな家」

海未「家として作ったら偶々モンスターボールに似たと?」

マザー「そういうこと」

977 ◆WsBxU38iK2:2017/12/13(水) 22:59:54 ID:RZCnnL/U


マザー「それじゃほいっ!こいつをサトゥルヌスに向かって投げて――」ポイッ

ピカッ ピシュルルルッ!

海未(マザーが投げたボールは空中で半分に割れ、中にサトゥルヌスを吸い込んでいく)

シュルルルッ

ポンッ


ポンッ ポンッ ポンッ

カチッ

海未(そしてサトゥルヌスの巨体を縮小しながら全て吸い込み地面へと落下した)

海未(これといった抵抗のない呆気ない捕獲)


海未「あれだけの巨体を本当に中に入れてしまうなんて……」

希「てかこれだけで良かったんやない?」

マザー「いやいや、コントローラーが無いとサトゥルヌスが暴れた時に困るんやで」

マザー「あくまでただの家やから壊そうと思えば中から壊すこともできるし」

マザー「あっさり捕獲できたのは海未ちゃんたちが頑張ってくれてたおかげや」

希「ほー」


マザー「さて、やることも終わったしさっさと大空洞から脱出するで!」

マザー「海未ちゃんたちはここでやり残したことはない?」

海未「ふむ……そうですね、>>978

978名無しさん@転載は禁止:2017/12/13(水) 23:14:31 ID:ZyFV0Uh2
服を下さい。さもないと触手でマザーの×××に×××します

979 ◆WsBxU38iK2:2017/12/14(木) 00:26:58 ID:xWGjRQx6
海未「服を下さい。さもないと触手でマザーの×××に×××します」

マザー「……へ?」


海未「任務に協力した謝礼と言う形でもいいです、マザーの服をください」

マザー「待って待って、謝礼ってあれは等価交換やろ?」

海未「確かにそうですが肝心のレヴィアタン内はノータッチですし、1番大事な所を本来外部の人間に託しています」

海未「これをあなたの仲間に報告したら心象か悪くなるのでは?」

マザー「うっ……」


海未「早くしてください、見たら分かるでしょう?私この格好だと寒いんですよ」

海未「躊躇うのなら触手で乳を揉んでまたソーマを絞りだしても――」ウネウネッ

マザー「わ、分かった分かった!」

海未「ほう」

マザー「でも1つ聞いてくれへん?うちこのコートの下は上半身裸なんや、剥ぎ取らたら着るものが無くなってしまう」

海未「着るもの……ああ、だったら私のマイクロビキニを貸しますよ」

マザー「え?」


海未「よっと」シュルルルッ!

バッ! バッ!

海未(私は触手を操ってマザーのコートと下半身のスカートとパンツを剥ぎ取ると、自分のマイクロビキニをマザーの足元に放った)

海未(武烏賊雷を発動してるから触手の動きが雷撃のように速い、『武烏賊雷:電光石火』とでも名付けましょうか)

海未(惜しい所はマインドコンロール能力と併用できないところですね、合わされば協力なのに)

980 ◆WsBxU38iK2:2017/12/14(木) 00:27:22 ID:xWGjRQx6


マザー「ひぃぃぃぃぃぃっ!ま、待って!さすがに裸はアカンて!」

海未「裸じゃないですよ、マイクロビキニがあるじゃないですか」

マザー「でもさすがにこれは……サイズもかなり小さくて色々はみ出て……」


希(海未ちゃん……これマザーがやるはずだった諸々の恥ずかしいことを押し付けられて苛ついてたんやろうなぁ)

ほのり(ええ、明らかにマザーへ当て付けね、しょうがない面もあるけど)


海未「はぁ……分かりました、私も鬼ではありません」

マザー「ほんま!?じゃあ――」

海未「マイクロビキニには上だけで勘弁してあげます」

マザー「え?」

海未「そして下は分け合いましょう……よっと」ビリリリッ!

海未(私は素手でスカートを上と下に千切って、上のミニスカートみたいになった方をマザーへ渡した)
 
海未「どうぞ、あと靴と手袋は使っていいですよ」

ポイッ ポイッ


マザー「どうぞって……」

海未「前よりは大分マシでしょう?そちらを私が使っても良いのですが――」

マザー「わ、分かった!もうこれでいいから!」


海未「ありがとうございます」ニッコリ


希(渋々と言った様子でマザーは頷く、この状態の海未ちゃんはホンマに鬼やで……)

海未「希、何か?」

希「い、いやいや」ブンブンッ

希(はぁ……飛び火せんように余計なことは言わんとこ)

希(『1回レヴィアタンの中に戻ろうか』とか『うちが服をコピーすればいい話やん』とかな……)

981 ◆WsBxU38iK2:2017/12/14(木) 00:27:56 ID:xWGjRQx6




スッ スッ

海未「よしっ」


希(結局のところ、2人の服装はこのようになった)

希(海未ちゃんが厚手のロングコートを羽織り、中にはマザーのスカートから作った布を胸と腰に巻いてチューブトップと腰巻き代わり)

希(パンツはマザーから奪ったものを履いている)


希(一方のマザーは上半身が乳首がギリギリ隠れるだけのマイクロビキニ、巨乳すぎて動くたびにぷるんぷるん揺れる)

希(下半身は水着の上からミニスカートを履いている、水着とは言え面積が面積だけにTバックの下着と変わらんな)

希(スカート自体はしっかりとした冬用の作りやけど、海未ちゃんが破って丈が短いせいで、少し屈めばTバック姿の大きな尻がすぐ見えてしまう)

希(それらに加えて足元は膝下くらいまであるロングブーツ、手には長めの手袋を付けていた)


希(手足が防寒しっかりしてるのに体が夏のビーチみたいなアンバランスさ)

希(隠れてる面積は広くなったのに、マニア的には唯のマイクロビキニがよりエロくなってしまったと思う)

希(何のマニアかは知らん)



マザー「くっ、屈辱やけど……正直今な海未ちゃんたち全員に裏切られたらうち1人じゃ勝てんからな」

マザー「信用で協力を取り付けてる手前、ある程度の頼みは受け入れるしかない」

マザー「今のうちは肉奴隷みたいなもんや……好きにしたらいいんや……」グッ

海未「肉奴隷ではないですよ」キッパリ

982 ◆WsBxU38iK2:2017/12/14(木) 00:28:15 ID:xWGjRQx6


ザッ

アユミ「ほのり、もう行くのね?」

ほのり「アユミ、フルタマン、二人共協力してくれてありがとう」

アユミ「構わないわ、物を預かって然るべき人に渡すのがレヴィアタンの役目だもの」

アユミ「料理勝負も楽しかった、またいつかやりましょう」ニッコリ

ほのり「ええっ」ギュッ

フルタマン「お菓子を食べたらフルタイソウ!しっかりやるんだぞ!」


希(ほのりとトリーアユミが固く握手を交わす)

希(そっか、この2人とはここでお別れやな)



マザー「それじゃあ行こうか、上で船が待ってるはずやで!」


─────────────────

地下大空洞

AM8:25〜AM8:35 新終末編『250』

983 ◆WsBxU38iK2:2017/12/14(木) 00:32:39 ID:xWGjRQx6
というわけでここまで

微妙なスレ数だけどもう次スレかなぁ
もしかしたら何かで隙間を埋めるかもしれません

とにかくレヴィアタンを後にして再び地上へ

新終末編『251』に続く
かもしれない

984!ken:99:2017/12/14(木) 12:54:45 ID:Nv8bQK4.
お、隙間埋め第二弾か

をつ

985 ◆WsBxU38iK2:2017/12/14(木) 20:36:27 ID:xWGjRQx6
隙間埋めで数レスくらいやります

986 ◆WsBxU38iK2:2017/12/14(木) 21:35:42 ID:xWGjRQx6
新終末編『250.5』

─────────────────
──??


AM??


ほのほの「あ……れ……」


ほのほの(気がつくと……私は暗闇の中にいた)

ほのほの(辺りを見回しても何も見えない、何も無い、虚空だ、ぽっかりとした暗闇だけが広がっている)


ほのほの(分かるのは私が仰向けに倒れているということ、倒れている場所はゴツゴツした岩の感触があるということ)

ほのほの(そしてとてつもなく寒いということだ)

ほのほの(だから室内じゃない、どこかの外なのかな)

ほのほの(外だとしたら暗いのは夜だから……?)


ほのほの(ぼーっと考えてるうちに視力が慣れてきたのか、暗闇の向こう側にチカチカとした光が瞬いてるのが見えてきた)

ほのほの(今が夜だとしたら、あれは星なのかな、夜空に広がる星空……)


ほのほの(でも……なんだろう、違和感がある)

ほのほの(星空がやけに綺麗すぎるというか……近く感じるというか……まるでこれは……)

スゥー

ほのほの「ぐっ……!?」

ズキズキズキッ!!

ほのほの「がはっ!!」


ほのほの(軽く息を吸い込もうとしたところ、体中が激しい痛みに襲われる)

ほのほの(なにこれ……毒ガス……?というか今気づいたけど体が自由に動かない……)

ググッ


パタンッ

ほのほの(ダメだ……まずは思い出そう、私は何をしてたんだっけ)

987 ◆WsBxU38iK2:2017/12/14(木) 21:36:49 ID:xWGjRQx6


ほのほの(バーミヤン……そうだ、バーミヤンに皆と一緒に潜入して、トウジョーンさんと一緒に下層に降りて)

ほのほの(辿り着いたのはゴミ処理エリア、そこで番人のハグリッドを倒して……)


ほのほの(それから……それから……あ、ゴミ処理トラップで飛ばされたんだ)

ほのほの(ということは今私がいる場所はバーミヤンの外のどこか)


ほのほの(周りが真っ暗で星がよく見える、地面が岩場でゴツゴツした、まるで宇宙空間みたいな場所)

ほのほの(そして地平線の先に地球が見える……)


ほのほの(……ん?地球?)

ピクッ

ほのほの(待って待って、じゃあこの場所はまさか――!)







Episodeほのほの『Re:Sunshine』

988 ◆WsBxU38iK2:2017/12/14(木) 23:18:45 ID:xWGjRQx6




──月面


ほのほの(月……ここは月だって言うの!?)

ほのほの(有り得ない!たかがごみ捨てに月を使うってのも有りえないけど……何より自分が月に来てるという事実が受け入れられない!)


ほのほの(待って待って、その前に月って大気が殆どないってお母さんの教科書で読んだことあるんだけど!?)

ほのほの(もちろん空気もないし、温度もやばいことになってるし、危ない放射線も直で降り注いでるって話じゃ……)

ほのほの(そんなところに私は生身で倒れてるって言うの!?)


ほのほの「……ぐっ!がはがはっ!」

ほのほの(ダメだ、当然息はできない、無理に吸おうとすると肺が変なことになる)

ほのほの(体が動かないのも当然だ、あまりの低温に体中が凍りついてしまってるから)

ほのほの(もしかしたら、壊死……ってやつが始まってるのかもしれない)


ほのほの(まぁ、普通の人間なら死ぬ環境で生きてるんだから、私も充分化物じみてるけど……)

ほのほの(さすがの化物だって宇宙に放り出されたんじゃどうしようもない)

ほのほの(考えることしか出来ずに生き続け、やがて考えることをやめて――)

989 ◆WsBxU38iK2:2017/12/14(木) 23:19:15 ID:xWGjRQx6





ほのほの(あぁ……寒いな……)







ほのほの(あぁ……地球……綺麗だな……)






  

ほのほの「あぁ……」



ほのほの「みんなに……あいたいな……」


カッ!!


ほのほの「……え?」


ほのほの(その時だった)

ほのほの(ぼーっと眺めていた地球の端に、強い強い光の線が走る)


ほのほの(人工の光じゃない、もっと強くもっと暖かい、この暗い宇宙に希望を与える光)

ほのほの(青い星に生命を生み出した、まるでお母さんのような……全てを包み込む光)

ほのほの(それは――)


ほのほの「太……陽……!」

ピカァァァァァァッ!


ほのほの(地球の影から姿を見せた太陽、その光が月面へ降り注ぐ)

ほのほの(私の体がその光に照らされた瞬間……私の体に不思議なことが起こった!)

キュィィィィィィィィィィィンッ!!

990 ◆WsBxU38iK2:2017/12/14(木) 23:19:56 ID:xWGjRQx6


ほのほの(全身の細胞が活性化し、凍りついていた体は暑苦しいほどに発熱する

ほのほの(体中の痛みがすっと引いて、空気がないのに何故か息まで出来るようになった)


ほのほの「これは……太陽の光のおかげなの……?」

ほのほの(立ち上がって体を見回してみると、以前戦闘でついた傷が全て修復されている)

ほのほの(おかしい、太陽の光なら地球でだって浴びてたはず、ここが月だからといって……)


ほのほの「あ、そうか!」

ほのほの「月には地球のような厚い大気がない、さっき自分でも言ってたじゃん!」

ほのほの「月だからこそ、太陽光線や太陽風に交じる宇宙線を直に浴びることが出来る」

ほのほの「太陽能力者である私は減衰無しの太陽のパワーを受け取って蘇ることができたんだ!」


ザッ!

ほのほの「私は太陽の子!高坂ほのほの!」

ほのほの「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

991 ◆WsBxU38iK2:2017/12/14(木) 23:20:18 ID:xWGjRQx6






ほのほの「……で、蘇ったはいいけどどうしよう」

タンッ  タンッ

ほのほの(私は元いた場所から動き始め、当てもなく彷徨っていた)

ほのほの(月の重力は地球より軽くぽよーんぽよーんと跳ねて移動できるのが楽しい)

ポヨーンッ

ほのほの(楽しい、楽しいけど……楽しんでる場合じゃないっ!)ブンブンッ


ほのほの「確か月から地球まで38万キロくらいだっけ、走って帰るには遠いよなぁ」

ほのほの(遥か遠くに見える青い地球、あそこに戻る方法が一向に思いつかない)


ほのほの「むむむ……おや?」

ほのほの(少し歩いていると地平線の彼方に人工物が見えた)


ほのほの「よし、行く当もないし、あそこに行ってみようかな」

ピョーンッ ピョーンッ

992 ◆WsBxU38iK2:2017/12/14(木) 23:20:35 ID:xWGjRQx6
────────
────
──






ほのほの(その時、私は気づいていなかった)

ほのほの(地球と反対側の宇宙空間から月宙域に向かって直進してくる巨大な影)

ほのほの(宇宙怪獣の存在に――)



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!


─────────────────


To be continued……

993 ◆WsBxU38iK2:2017/12/14(木) 23:25:01 ID:xWGjRQx6
というわけでここまで
ほのほのちゃんの月面旅は本編のどこかへ続きます

そして次はこちら
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/10627/1513250979/

このスレもお付き合い頂きありがとうござきました

994!ken:99:2017/12/15(金) 11:12:31 ID:czBnsH8Q
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