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善子「Black Sheep」

1 名無しさん@転載は禁止 :2017/05/10(水) 01:37:40 ID:JFf8Mvsk
ああ、この手の人間か。


最初に思ったのはこんなことだった。

運動ができて勉強ができて、人付き合いも上手で友達もたくさん。

いわゆる典型的なリア充というやつで、それは私とは正反対の人種だった。

どうせ私のようなインドアで社交性のない人間とは馬が合わないのだろう。

そして得てして私のような人間はこのタイプの人間を嫌悪する。

こういう人のありかたが人間のあるべき姿だとわかっているし、この人自身とてもいい人だと思う。

でもだからこそ自分の人間としての不完全さが浮き彫りにされているような気分にもなった。

私みたいな社会に適合できない人間モドキとは住む世界が違うのだ。

だから私は、この人とはある程度仲良くはなれても、深い友好関係を築くことはないだろうと思った。

しかしこの人のそれは度を越していた。

337 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/04(月) 05:22:48 ID:uhVwwfaM
――――



果南「……大丈夫? 善子ちゃん」

善子「(梨子さんが抜けてから数日、私たちは新フォーメーションで練習を開始。したんだけど)」

善子「……すみません」

善子「(私は練習中に倒れて果南さんに運ばれ、保健室に寝かされていた)」

善子「(先生いわく、軽い貧血だろうとのことで、しばらく果南さんについてもらっている)」

果南「やっぱりまだ体調悪いの? 合宿のときから良くなってないんじゃない?」

善子「……」

338 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/04(月) 05:23:03 ID:uhVwwfaM
果南「本番までまだ少し時間はあるんだし、焦らなくていいんだよ?」

善子「でも、梨子さんも抜けたから新フォーメーションも煮詰めなきゃいけないし……」

果南「善子ちゃん」

善子「……」

果南「万全の状態で練習しないとしっかり身につかないよ。休むことも練習のうちだからね」

果南「悪化したら元も子もないし、それこそ本番で力を出せなくなっちゃう」

果南「それに善子ちゃんは一年生なんだから、そんなに思いつめなくていいの。もっと先輩を頼って?」

善子「……」

339 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/04(月) 05:23:18 ID:uhVwwfaM
果南「それとも、休みたくない理由でもあるのかな?」

善子「それは……」

果南「私でよければ、何か力になるよ」

善子「果南さんは……」

果南「ん?」

善子「果南さんは、最近の曜さんを見てなにか思いませんか?」

果南「曜か……」

340 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/04(月) 05:23:34 ID:uhVwwfaM
果南「……正直言うとね、よくわからない」

善子「……」

果南「私は千歌と曜とは長い付き合いで、まぁ姉貴分みたいなもんなんだけどさ、曜のことはいまだにわからないことがある」

果南「曜は本当になんでもできるからね。何か大変なことがあっても周りには頼らないで、一人で解決できちゃうから」

果南「自分の手に余ることでも、周りの人も『曜ちゃんなら大丈夫でしょ』みたいな雰囲気があるから言いだし辛いのもあると思う」

果南「それでも私や千歌には頼ってほしいとは思うけど……曜は優しいからね。周りに迷惑かけたくないって思ってるんじゃないかな」

善子「曜さんは、どうしてそんなに誰にも頼らないの……」

果南「頼れないんだ、あの子は。ずっとそういうふうに生きてきたから」

果南「……いや、そういうふうにさせてしまった、私たちに責任があるのかもね。だから今だって無理させてるのかも」

341 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/04(月) 05:23:48 ID:uhVwwfaM

果南「……まあわからないとは言っても最近の曜はちょっとおかしいなってのはわかる。空元気してるけど誤魔化しきれてない」

善子「一年生もそう思ってます」

果南「善子ちゃんは何か知ってるの? こんなこと聞いてくるくらいだし」

善子「……曜さんを、助けてあげてほしいんです」

果南「……」

善子「詳しくは言えません。けど、今曜さんはとても苦しんで、悲しんでいて……」

善子「私がそばにいなきゃって思うけど、きっと私じゃあの人は助けられないから」

果南「……そっか」

342 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/04(月) 05:24:03 ID:uhVwwfaM
果南「あのね善子ちゃん、曜がいつか言ってたよ。かわいい後輩ができたって」

善子「え……」

果南「私が今のAqoursに入る前かな、嬉しそうに報告してきた。『真面目でかわいらしくて、私のこと本気で慕ってくれる子で先輩し甲斐がある』って」

果南「『いろいろ悩みがちで自分も大変なのに、いつも私の心配をしてくれる、本当にいい子なの』って、嬉しそうに言ってたよ」

善子「曜さんがそんなこと……」

果南「曜の言う通りだ。善子ちゃんはいい子だね」ナデナデ

善子「そんなこと……私は曜さんにはなにも……」

果南「きっと曜はさ、善子ちゃんがそばにいてくれるだけですっごく安心してくれると思う。だから自信もって、これからも曜を支えてあげて」

善子「……はい」

果南「曜のこと、私も気にかけておくよ。一応姉貴分だし、それにかわいい後輩にお願いされちゃったからね」

善子「お願いします、果南さん」

果南「うん。だから善子ちゃん、今はしっかり休んで、曜に元気な顔見せてあげて」

善子「……はい」

343 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/04(月) 05:24:37 ID:uhVwwfaM
遅くなってすみませんちょっと展開に悩みました
できれば明日も更新予定

344 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/04(月) 19:42:57 ID:Ij./a8f6
乙です
どうなるかすごく気になる……

345 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/05(火) 02:53:50 ID:qCtfQPA.
待ってた
ここ独特のようよしが楽しみ

346 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/05(火) 03:37:32 ID:0J23pKTI


善子「(幸い私はすぐに練習に復帰できてみんなにも心配かけずに済んだ)」

善子「(約束通り果南さんは曜さんを気にかけてくれて、かといって不自然に心配し過ぎないくらいのちょうどいい距離感で接してくれていた)」

善子「(『曜は鋭いから、いきなり心配し過ぎても余計に気負わせちゃうからね』ということらしい。果南さんに相談してよかった)」

善子「(曜さんの方は、本来千歌さんと梨子さんのダブルセンターの穴を埋める形で千歌さんとのダブルセンターになった)」

果南「1,2,3,4,5,6,7,8! ……いい感じだね」

千歌「曜ちゃん、バッチリだね!」

曜「うん、千歌ちゃんもね」

千歌「ううん、曜ちゃんが合わせてくれたからだよ! いきなり梨子ちゃんの代役なんて頼んじゃったけどさすが曜ちゃんだね!」

千歌「なんていうのかな、もう完璧に梨子ちゃんみたいな動きだよ!」

曜「……そっか、うまくできて、良かったよ」

善子「(さすがの器用さというべきか、最初の方はステップが合わなかったけれど、私が休んでいる間にできるようになったらしい)」

善子「(この二人のフォーメーションの完成をもって新曲『想いよひとつになれ』の振り付けは完璧、あとはダンスの完成度を上げるのみとなった)」

347 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/05(火) 03:37:49 ID:0J23pKTI
善子「最初は全く合ってなかったのに、すごく良くなってますね」

果南「うん。そうだね」

善子「成り行きとはいえせっかく曜さんと千歌さんのダブルセンターになったんだし、うまくいってよかった」

果南「……うん」

善子「……? 果南さん、どうしたの?」

果南「いや、何かあるってわけじゃないんだ……けど」

善子「けど?」

果南「ごめんね、自分でもうまく言葉にできないけど……違和感というか、これでいいのかなって」

善子「二人になにか問題でもあるんですか?」

果南「ううん、ダンスはできてる。振りもタイミングも完璧。これは表現の問題かな」

善子「……というと?」

果南「そうだね、そもそもこの二人の振り付けはこれがベストなのかってこと。この形が二人に合ったダンスなのかどうか、ちょっとわからなくなってね」

善子「……」

348 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/05(火) 03:38:05 ID:0J23pKTI

果南「ま、ともかくダンスはひとまず完成。この問題については私で考えておくよ」

果南「でも善子ちゃんもなにか気づいたら教えてね」

善子「(ってことで今日の練習は解散、曜さんと二人でバスに乗っている)」

善子「(というか、なんだか久々な感じがして変に緊張しちゃうわね……)」

曜「いやー善子ちゃんがダウンしちゃってたときは一人で寂しかったんだよー」

善子「心配かけてすみません」

曜「んーん! 体調よくなってよかったよ! 最近善子ちゃんつらそうだったから」

善子「え、そうですか?」

曜「うん。ほら、東京のイベントの後で私を慰めてくれた時からかな、なんか元気なさそうっていうか、険しい顔してることが多かったから」

善子「そ、そんなつもりはなかったけど……」

曜「善子ちゃんも何か悩んでるんだったら遠慮なく相談してね! これでも先輩なんだからさ!」

善子「……ええ」

善子「(逆に気を遣われてしまった……)」

349 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/05(火) 03:38:41 ID:0J23pKTI

善子「あ、そ、そういえばダブルセンター、うまくいってるみたいね」

曜「あー、うん。なんとかね」

善子「……?」

善子「(なんか歯切れが悪いわね……上手くいったならそれでいいはずなんだけど)」

善子「何か気になることでも?」

曜「あ、いや! そんなことないよ! うまくいってホッとしただけ」

曜「せっかく千歌ちゃんと二人でダブルセンターになったけど、最初はうまくいかなくて不安だったからさ」

曜「それに梨子ちゃんの代わりを任されたんだもん。しっかりやり遂げたいし!」

善子「……そっか。本番もがんばってね」

曜「うん! 善子ちゃんもがんばろうね!」

350 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/05(火) 03:39:23 ID:0J23pKTI
善子「(曜さんの笑顔に違和感が拭えないままその日は別れた)」

善子「梨子さんの代わり、か」

善子「(その言葉に言いしれない不安を感じだけど、具体的なことはわからない)」

善子「(果南さんの言っていたこともよくわからないまま数日が過ぎ、不安な気持ちのまま予備予選を迎えた)」

善子「(……が、そんな不安とは裏腹に何事もなく、私たちいつも通り今できる最大限のパフォーマンスを披露した)」

善子「(結果Aqoursは予備予選を突破、地区予選への進出を決めた)」

善子「(果南さんのおかげもあったのか曜さんも以前よりは元気みたいだし、千歌さんとのダブルセンターも上手くいった)

善子「(あれこれ気を張っていたけど、案外心配することはないのかも)」

351 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/05(火) 03:40:33 ID:0J23pKTI

千歌「これで次は9人でステージに立てる! 梨子ちゃんと一緒に歌えるよ!」

善子「(と千歌さんも大喜びしていて、地区予選が待ち遠しい様子だった)」

善子「(……と、いうよりは梨子さんと一緒のステージに立てることが嬉しいみたいで)」

善子「(そんな姿を曜さんは寂しそうに笑って見つめていた)」

千歌「曜ちゃんもがんばろうね!」

曜「うん、がんばるよ……」


振り返ってみれば、私がなんとかできるとしたらこの時が最後のチャンスだったのかもしれない。

でも後悔があるとしたらこの時ではなくて、曜さんのそばにいて、守りたいと願いながら何もしなかった、ここまでのすべて。

もっと言えば、私が曜さんと出会って、真っ当な人間になりたいと願ったあの瞬間からかもしれない。

……誰も悪いわけがなかった。ただ、私が弱くて臆病だったから。

だから、私自身も曜さんも、そしてAqoursを壊さなければならなくなった。

重ねて言うが、私はどうしようもなく救いようのない

不完全で欠落した人間モドキだったのだ。

352 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/05(火) 03:44:05 ID:0J23pKTI
短いけど今回はここまで
読んでくれてる方々ありがとうございます
バッドルートは年内を目標に書いていきます
その後ノーマル、ハッピーと続ける予定です

353 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/05(火) 04:27:36 ID:6ZBRBMdM
乙です
みんないい子過ぎて辛い…

354 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/05(火) 11:28:19 ID:4CAH5CDY
おつ
待ってる

355 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/08(金) 01:02:57 ID:LXIFBwD.
楽しみにしてる

356 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/15(金) 03:30:39 ID:Tc05GMPo
すみません、急に立て込んでしまいまして次の更新遅れてしまいそうです
進みが遅くて申し訳ありません

357 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/15(金) 04:41:34 ID:Zqho35SM
お疲れ様です
待ってますよ

358 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/15(金) 04:44:27 ID:BYRxSq6M
気長に待てるのがここのいいところ

359 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/29(金) 04:14:07 ID:YGfLYbKc
今日、遅くとも明日深夜に更新します

360 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/29(金) 04:45:28 ID:YdZZidiU
待ってます

361 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/29(金) 17:54:24 ID:c2d0EGJQ
おお

362 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/29(金) 20:02:40 ID:maU/F7cw
年内にもう一回最新話が更新されるとは嬉しい

363 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/30(土) 04:04:16 ID:ehvE8gps
千歌「梨子ちゃんおかえり!」

善子「(予選が終わると同時に梨子さんも戻ってきた)」

善子「(私たちは予選を通過し、梨子さんもコンクールで入賞してきて、どちらもうまくいって一安心)」

善子「(Aqoursは再び9人で活動を再開し、地区予選に向けて練習を開始することにした)」


曜「梨子ちゃんお疲れさま。大成功だったみたいだね!」

梨子「うん。おかげさまで。曜ちゃん、急に私の代役になってくれたみたいでごめんね?」

曜「そんな気にしないでよ! 梨子ちゃんのためだもん」

梨子「そっか、ありがとう!」

千歌「ともかく、また一緒にがんばろうね!」


善子「(作詞、作曲、衣装の担当でAqoursの中心でもある二年生三人が揃って、私たちもより本調子に近い形で練習に取り組んだ)」

善子「(新しい曲も衣装も順調に進んでいって、予選通過の勢いもありみんなのモチベーションも高く、Aqoursはかつてないほどの仕上がりを見せていた)」

善子「(そして同時にわずかな歯車のズレがあるのを私とルビィ、そして果南さんが感じていた)」

善子「(それに何も言わないまま、目を背けたまま、私たちは地区予選の準備を進めた)」

364 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/30(土) 04:04:35 ID:ehvE8gps
――生徒会室

鞠莉「いやー悪いわね? 二人にも手伝わせちゃって♪」

ダイヤ「全く偶然居合わせたからって一年生に手伝わせるなんて……」

ルビィ「大丈夫だよお姉ちゃん」

ダイヤ「ルビィ……! なんていい子なの……!」ナデナデ

果南「善子ちゃんもありがとね」

善子「いえ、私も時間あったので」

鞠莉「というかそもそも! ダイヤが書類整理を怠ってたから手伝うはめになったんでしょー?」

ダイヤ「うっ……それは」

果南「まあまあ! ルビィちゃんと善子ちゃんも手伝ってくれてるんだし、早く終わらせよ!」

365 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/30(土) 04:05:40 ID:ehvE8gps
善子「(数日後、マリーとの面談の最中にダイヤさんから書類の整理を頼まれ)」

善子「(最初はマリーに頼むつもりだったらしいが偶然居合わせていた私とルビィも手伝う流れになった)」

善子「(面談自体は滞りなく進んだものの、マリーは私のことをどこかいぶかしんでいるようで)」

善子「(……実際、それは当たっているのだと思う)」

鞠莉「ダイヤったらこんなにため込む前に言ってくれればいいのに〜……ん?」

ダイヤ「どうしました?」

鞠莉「いや、これ……」ピラ

ダイヤ「ああ、懐かしいですわね。Aqoursの入部届け。千歌さんが何度も持ってきましたわ」

果南「へぇ〜。こんなのあったんだね」

鞠莉「でもなんだか意外かも」

果南「なにが?」

鞠莉「入部希望のところ。千歌っちと曜の名前があるけど」

366 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/30(土) 04:06:28 ID:ehvE8gps
鞠莉「私てっきり、今のAqoursは千歌っちと梨子から始まったのだと思ってたわ」

善子「……」

果南「……! ま、鞠莉っ」

善子「マリー、今なんて言ったの?」

鞠莉「えっ」

善子「今、なんて言ったのよ」


許せなかった。

それは曜さんの大切な思い出だ。初めて千歌さんと共に歩み始めた、その証だ。

それを貶めた。踏みにじった。

誰もかれも、どうしてそうやって曜さんを追いつめるんだ。

この人の小さな幸せすら、奪っていくんだ。

許せない。許せない。ゆるせない……

367 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/30(土) 04:07:13 ID:ehvE8gps
ルビィ「善子ちゃん」

善子「!!」



ルビィ「……大丈夫?」

善子「ええ……」

善子「ごめんなさい、マリー。私……」

鞠莉「……いいえ、私も配慮にかける発言だったわ。ごめんなさい」

果南「……二人ともそろそろ行ってもいいよ。あとは私たちだけでやっとくからさ」

ダイヤ「ルビィ、善子さん、ありがとうございました。助かりましたわ」

ルビィ「うん。じゃあ、先に失礼します」

善子「失礼します」

ピシャ

368 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/30(土) 04:08:28 ID:ehvE8gps
鞠莉「……しくじったわ」

果南「大丈夫。あとで私もフォロー入れとくから。それに善子ちゃんも悪気があったわけじゃないよ」

鞠莉「わかってる……」

ダイヤ「善子さんは、大丈夫なんですの?」

鞠莉「正直言うと、ちょっと危ないかも」

ダイヤ「では……」

鞠莉「でもね、もう少しあの子を信じてみたいの」

ダイヤ「何かあってからでは遅いんですのよ?」

鞠莉「それは……」

果南「そうならないために鞠莉がちゃんと見てあげるんでしょ?」

鞠莉「……うん」

果南「なんであの子に特別肩入れしてるかわからないけど私も相談されたからさ、協力するからね」

ダイヤ「ええ。そのために私たち3年生がいるのですから」

鞠莉「ありがと……」

369 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/30(土) 04:08:52 ID:ehvE8gps
善子「はぁ……はぁ……」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「大丈夫。大丈夫だから」

善子「(ああダメだ。ちょっとした感情の昂ぶりでこうなってしまう)」

善子「(自分で制御できない、突き動かされるみたいに……)」

ルビィ「うん。わかってるよ。けど無理しないでね」

善子「えぇ……」

ルビィ「花丸ちゃんのとこ戻ろうか。お昼ごはん待っててくれてるから」


―――

花丸「あ! 二人ともようやく来てくれた! 待ったずらよ〜」

ルビィ「ごめんごめん、ちょっと長引いちゃって」

善子「先食べてても良かったのに」

花丸「せっかく三人いるんだからみんなで食べたいずら」

善子「そう。ありがと」

ルビィ「今日はどこで食べようか?」

花丸「中庭のベンチなんてどう? 久しぶりにお外で食べたいずら!」

ルビィ「あー、あそこ空いてるかな。善子ちゃんそこの窓から見てきてくれる?」

善子「ん」

370 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/30(土) 04:09:23 ID:ehvE8gps
善子「(……二人は優しい)」

善子「(こんな私を心配してくれて、一人にしようとしない)」

善子「(特にルビィは私が危ないのをわかってて、それでも力になろうとしてくれる)」

善子「(花丸も私の疾患について詳しく知らないけど、知らないなりに気遣ってくれる)」

善子「(……二人とも、大切、だけど)」

善子「(いつか、二人のことも……)」

善子「あっ、中庭だったわね、もう誰か使って……」

善子「……」

371 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/30(土) 04:09:45 ID:ehvE8gps
千歌「梨子ちゃんの卵焼きおいしそう! ひとつちょーだい!」パクッ

梨子「ああ! まだいいって言ってないのに!」

千歌「あーごめんごめん、おいしそうだったからつい……」

梨子「ついじゃないよ! うう、最後にとっておいたのに……」

曜「あはは、梨子ちゃん私のハンバーグちょっとあげるよ」

梨子「ありがと曜ちゃん……」


善子「……」

372 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/30(土) 04:11:37 ID:ehvE8gps
ルビィ「善子ちゃんどうだった?」

善子「他の人が使ってたわ。別の場所にしましょ」

花丸「……善子ちゃんどうしたの? なんだかとっても怖い顔してる……」

善子「ううん、なんでもないの。ちょっとトイレにいってくるわ」

ルビィ「……」

花丸「ねぇルビィちゃん、マルたちにもできることってないのかな。善子ちゃん、いつも辛そうで……」

ルビィ「ないよ」

花丸「……」

ルビィ「私たちは善子ちゃんを信じてあげることしかできない。だからそばにいて、いつでも迎えてあげよう」

花丸「……うん」

373 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/30(土) 04:12:16 ID:ehvE8gps
遅れて本当にすみません
できれば年内にもう一回更新したいです

374 名無しさん@転載は禁止 :2017/12/30(土) 13:28:20 ID:/8j92MxY
善子ちゃん…

375 名無しさん@転載は禁止 :2018/01/11(木) 00:00:47 ID:7hG2sBsc
年明けてるぞ

376 名無しさん@転載は禁止 :2018/01/13(土) 02:11:41 ID:qNQfQA4.
私の中の心が少しずつずれていく。

真っ黒で醜い気持ちが溢れていく。

そばにいてくれる人のために、そばにいたい人のために、こんな気持ちはあってはいけない。

だから私は、ずっと抑え続けた。

普通の、本当にどこにでもいるような真っ当で優しい人になるために。

そうなりたかったから。

だって、そうじゃなきゃいけない。誰かが不幸になるなんて、そんなの嘘だ。

私は誰かと、一緒にいたいと思えるような誰かと幸せになりたいだけだった。


それを、許してくれないのは


「どうして……?」


そして、その日がやってきた。ある日の練習終わりのことだった。

377 名無しさん@転載は禁止 :2018/01/13(土) 02:12:27 ID:qNQfQA4.
千歌「み、みんな!」

果南「どしたの千歌」

千歌「えっと、みんなに報告したいことがあって……」

ダイヤ「なんですの改まって。もしや歌詞が遅れてるとか……」

千歌「もー違いますよ! アイドルとはちょっと関係ないんだけど……梨子ちゃん」

梨子「う、うん」タタタ


千歌「実はね」


この時点で、私はなんとなくわかっていた


千歌「私たち」


これから千歌さんが言う言葉を


千歌「この度」


その無邪気で幸福な、絶望的な言葉を


千歌「お付き合いすることになりました!」

378 名無しさん@転載は禁止 :2018/01/13(土) 02:14:30 ID:qNQfQA4.
不思議だけどその光景を私は、驚くほど冷静に見ていた。

もちろんショックではあった。これは恐れていたこと。今後2年生は3人でいても、曜さんだけは疎外されてしまうだろうこと。

なにより、今までギリギリで成り立っていた曜さんの恋が、完全に終わってしまったこと。

今の曜さんがどんな気持ちでいるか。それらを考えればショックではあったのだが。

ぷつり、と糸が切れたような。

諦めを通り越して完全に何も感じなくなって、私は立ち尽くしていた。

379 名無しさん@転載は禁止 :2018/01/13(土) 02:15:53 ID:qNQfQA4.
事情を知っているルビィと果南さん、マリー。そしてなんとなく察していた花丸とダイヤさんはとてもやりづらそうに反応していた。

そんな態度を気づかれないように、いちおうの祝福の言葉を投げかけて。

今一番気にかけるべき曜さんの様子をうかがっていた。

そして、当の曜さんは……

曜「わあ! そうなんだ! とってもお似合いだよ二人とも!」

梨子「そ、そうかな///」

曜「うん! 二人は最高のパートナーだよ! ずっと見てきた私が保証する!」

千歌「ありがとう曜ちゃん! こうなったけど、今まで通り3人で一緒にいようね」

梨子「うん。曜ちゃんも変わらず一緒にいてほしいな」

曜「あはは、ありがと! たまに空気読んで二人の邪魔はしないようにするよ!」

梨子「もう、曜ちゃんったら///」

380 名無しさん@転載は禁止 :2018/01/13(土) 02:17:35 ID:qNQfQA4.
曜「本当に、おめでとう。千歌ちゃん、梨子ちゃん」


それはおそらく、曜さんの心の底からの祝福の言葉だった。

嘘偽りのない本当の気持ち。親友二人の幸せを心から喜んで祝っていた。

強がりなどではない。それはみんなわかっていた。曜さんはそういう人だとみんな知っていたから。

曜さんの恋は確実にここで終わってしまって、でも曜さんの悲しみを見ることはできなかった。

本当に彼女はこの二人を幸福を喜ぶだけで、悲しい気持ちなど全くないかのように見えた。



それがありえないことだと、私が一番知っていたのに。

曜さんは自分の不幸を、自分だけで抱える人だとわかっていたのに。

最後まで私は気づかなかった。


だから、その次の練習の日。

今までずっと、不幸も苦労も痛みも悲しみも、すべてを抱えてそれでも笑ってきた、誰よりも強かった彼女が。


そんな今までが嘘だったかのように、曜さんはあっさりと壊れた。

381 名無しさん@転載は禁止 :2018/01/13(土) 02:18:11 ID:qNQfQA4.
遅れましたすみません
いつも読んでくれてありがとうございます

382 名無しさん@転載は禁止 :2018/01/13(土) 03:04:32 ID:z/Z9TFZQ
待ってた

383 名無しさん@転載は禁止 :2018/01/13(土) 05:05:51 ID:jcNTUCvM
ついに来てしまったか…

384 名無しさん@転載は禁止 :2018/01/13(土) 11:22:15 ID:Iff0k.NQ
曜ちゃんはどうなってしまうんだ…

385 名無しさん@転載は禁止 :2018/01/13(土) 11:56:26 ID:uT31DZh.
更新待ってた

386 名無しさん@転載は禁止 :2018/01/17(水) 18:36:34 ID:9c9ws/Qs
めっちゃ気になる


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