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澪「秋の日!」

1 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:12:00 GHu4aVBA0
微カオス、後半暴力表現注意


"
"
2 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:13:16 GHu4aVBA0
放課後の桜校。生徒会長真鍋和は、資料整理をしていた。
和「よっこいしょ……」
作業は大詰め。彼女が山積みのファイルを持ち上げると、何かが落ちた。
和「ん……?」

和「これって……」

手に取り確認する。そしてすぐに渋い顔。


和(また出てきた……)


………♪

……♪ ここでOP

…♪

軽音楽部先輩組は、部室へ向かうべく廊下を歩いていた。

唯「んー?」
澪「どうした? 唯」

唯「なんだろ、これ」ひょい
律「消しゴムじゃん」
唯「見てよーほら」

唯が拾った消しゴム。そのホルダーには、澪の写真がプリントされていた。

紬「澪ちゃんだわ。澪ちゃん消しゴムね〜」

澪「えええっ!? な、なんで!?」
律「あんとき作ったやつだろー?」

唯「いや違うよ。私達のはただシール貼っただけだもん」

律「…………お、ほんとだ。スゲー良く出来てるなー」

澪「律、ほんとにお前じゃないのか?」
律「アタシこんなことできねーやい」

澪「じゃあ、まさか……ムギ?」
紬「ううん、私じゃないわ」

澪「そうだよな……」チラ
唯「ん?」
澪「…………」クル

唯「え〜!? 私にも訊いてよ〜!」


………♪

……♪ ここでタイトル

…♪


3 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:13:47 GHu4aVBA0
澪「変なことは忘れて、お茶にしよう」


唯「今日のお菓子はなーにかなっ」

紬「今日はァア、チョコレート尽くしで〜す♪」

律「うほー、よりどりみどりだなー」
梓「食べましょう食べましょう!」

唯「あ〜、ポッキーもある〜」
律「おいおい、ポッキーと言ったらアレだろ」
澪「アレ?」
梓「なんですか?」ムシャアアァ

律「ポッキーゲームだ!」
紬「まあ!!!!!!!!!!!」

唯「おー! やろうやろう!」
澪「ナッぱッ、何言ってるんだ! そんなの……」

律「だっさなーきゃまーけよ! ジャーンケーン

唯紬「ポン!」 梓「もう……」ポン 澪「だ、だからやらないって…………え?」

律「澪の負けエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!!!!」チョキ

澪「ちょっ……!」

唯「あれ〜? 私も負けたよ」パー

梓「あ、それじゃあ……」チョキ

紬「やるのは唯ちゃんと澪ちゃんね!!!!!!!!!!!!!」チョキ

唯「よーし! 負けないよ澪ちゃんっ!」
澪「いや、だから……っていうか勝ち負けとかあるの!?」

律「潔くやれー! 男らしくねーなー!」

唯「澪ちゃん、私とやるの嫌ー?」
澪「い、嫌じゃないよ…………ただっ……」

唯「…………」じぃー

澪「はあ……ま、いいか…………」

唯「そいじゃー何味にするー?」
澪「イチゴ味……かな」

梓「あんまり抵抗しませんでたね」
律「いいかげん無駄だと察したな」

紬「は、早く早くっ」ムギュギュ

唯「ほいやー いふよー」
澪「う、うん」

律「ファイッ!!!」
梓「」カァン

唯「むぐぐぐ」カリカリカリ
澪「む、むー」カリカリ

梓「け、結構早いですね……」ドキドキ
紬「YESッ! そこよ〜! いけいけぇ〜!」グッ

澪(これ以上はまずいよな……キ、キスしちゃうぞ……唯と……)
唯「ん〜〜〜♪」ポリポリ

律「うおおおーっ!」
梓「…………」ゴクリ
紬「いっけ〜〜〜!」ガタッ

――ドガァアン!!!!!

唯「ほっ!?」 澪「ひ!?」

律「ポッキー落ちたぞ、おい」
紬「いいところだったのにぃ……」ズーン

梓「だ、誰ですか!?」


4 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:14:18 GHu4aVBA0
激しい音を立てて開いたドア。振り返ると、そこには床に倒れた学生が二人。
すぐ後ろには、その二人を心配そうに眺める真鍋和が。

唯「和ちゃーん」
澪「な、なんか……奥にもたくさん人が……?」

階段から踊り場にかけての狭い通路に、十数人以上が押し寄せていた。
その圧倒感に、澪はたじろぐ。

律「どしたー? てか大丈夫かーその子達」

和「それが……」

「別に怪しい者ではございません!」
「私達、澪先輩ファンクラブの者です!」

威勢良く立ち上がって勝手に自己紹介をかましてきたのは、緑リボンの一年生。
二人とも軽音楽部とは初対面である。

唯「お〜、繁盛してるねファンクラブ〜」
律「流石になくなったと思ってたけどなー」
澪「願わくばそうあって欲しかった……」ズーン

澪(でも、曽我部先輩の意志を継いで、こうしてやってきているんだから……ムゲにできない……)


「あれが澪先輩よ……」「初めて見た〜」「あの中で一番輝いてるよね」「素敵〜」「なんで今まで気づかなかったんだろ〜」「でもいつも軽音部で可哀想な目にばかりあってるんだって……」「なんで軽音部にいるんだろ?」「さっきヤバかったよね……」「うん、ほんとそれ」


梓(なんか、ただならぬ空気って感じ……)

紬「……ひょっとして、後ろにいる生徒は、みんなファンクラブ?」
和「そうね。なんか、私について来たみたい」
澪「和ぁ〜……」

唯「すんごいね! 有名人だよ澪ちゃん!」
律「こーまで有名になったら、有名税ってやつを払わなきゃな!」
梓「澪先輩は滞納者ですね」
澪「お茶会じゃ足りなかったか……」トホホ


純「えへへ……澪先輩!」ひょっこり


梓「じゅッ、純!? なんであんたがここに!?」

和「鈴木さんは、秋山澪ファンクラブの第一幹部よ」

梓「ゲェーッ!?」ドヒャー

純「次期会長候補でもあるよ!」ドヤ顔ダブルピース

紬「幹部! なんだかかっこいい!」ホワー
澪「どこまで増えてるんだ〜……」
唯「なまずのぼりだね!」
律「うなぎだうなぎ」


和「貴方達、あんまり澪や軽音部に迷惑がかからないようにね?」

ファンクラブ共「はーい」

律「んで、和はどうしたんだ?」

和「どうしたもこうしたも、あんた達この前のライブで、ステージの控え室を散らかしたままでしょ。ペットボトルとか」

唯「あ〜……そういえば?」
梓「ラ、ライブが終わったからって、フヌケ過ぎた……!」
律「えー、機材とかはちゃんと片付けたんだしそれくらいオマケしてくれよー」
澪「そんなオマケはないっ。 ……ごめん和。すぐ片付けにいくよ」

和「うん。私も一緒に行くから、とっとと終わらせましょ」

律「おーっし! 軽音部出動だー!」
唯紬「おー!」

………♪

……♪

…♪


5 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:15:07 GHu4aVBA0
過去を清算しに、講堂へ進む軽音楽部御一行。
だが思いも寄らぬ苦難が彼女達に降りかかる。

「きゃー! 澪先輩ー!」
「こっち向いて〜! 澪先輩ー!」

「あっちに澪先輩いるって!」「マジ!? いこいこー!」

「MIO様〜!!!」
「MIOだー! わー!」「MIO様サインして〜!」
「キェェァアアァァァァァァ! アぁぁぁぁあああああ!!!」
「HHT〜〜〜っ!!!」

律「うおー! どけどけー! 放課後ティータイムのお通りじゃー!」
唯「なんか大スターって感じだね〜♪」
紬「うん♪ 澪ちゃんすごい!」
MIO「うわああああああ! オあああああ
ああ!!!」
梓「いたあい!! や、やるかこいつッ! ……ギュッ!? せ、センパーイ! 助けてくださーい!」

和「これほとんどファンクラブ……? どうなってんの一体……」

講堂についてからも、御一行はまとわりつくファンクラブに作業を阻まれ続けた。
とめどなく続く怒涛に、流石の軽音部も辟易する。

唯「うぐあああっ……なんかギボヂ悪い……」
律「オイ、おいおいおいおいおいおい! やめろぉっ! アタシに向くんじゃねー!」
澪「いたぁっ! 髪を引っ張らないで! やめてってば!」
梓「み、澪先輩になにするんですか! 離れてくださっ……ウンギャアァァァァァァァ!!!」

和「どんどん増えてくるわね……早いとこ用を済ませて戻りましょ」

結局、予定より大分時間をかけて、舞台袖の片付けを終わらせたのであった。
軽音部御一行は満身創痍。閉め切った部室で安息のティータイムを過ごす。

澪「はあ……ヒドイ目に遭った……」
唯「私足踏まれたよ」
律「アタシなんかボタン取れたぞ」
梓「髪がほどけました……」
紬「私は……無事でした!」ムキッ

和「ごめん……私がファンクラブをしっかりまとめてなかったばっかりに……」

澪「和が謝ることないよ」
唯「そうだよ〜。それにファンクラブがあんなにすごいなんて誰も想像つかないよ〜」
梓「でも、それはそれで不思議じゃないですか? 今までこんなことなかったのに、いきなり……?」
律「多分ライブが原因だな。ここに来て再び人気爆発ってところかー」

和「……この前のお茶会で役目を果たしたつもりでいたけど、そんなことなかったね。私、ファンクラブを集めて注意するわ」ガタ

真鍋和は席を立つ。その眉間には、僅かにシワが寄っている。
自分の不甲斐なさとファンクラブの無礼に、いささか憤りを感じているようだ。

澪「あ……ま、待って和っ」

和「え?」

澪「その……ファンクラブは、曽我部先輩の意志でもあるし。きっと、ファンクラブの人達に悪気はないだろうから……恥ずかしいけど、私、我慢するよ」

和「そう……?」

律「ッおいおい澪。このままでいいってのかよ」
澪「多分、すぐに落ち着くと思うから……」

唯「澪ちゃんもお人好しだね〜」
梓「良すぎです! 同じことがまた起こるかもしれないんですよ!?」
澪「部室にこもってれば大丈夫だよ。今日は、早い時間に出歩いちゃったから……」
紬「澪ちゃん……」

和「……澪がそういうなら、今回はやめとくわ。でも何かあったらすぐに教えてね」

澪「うん。色々ありがとう和」

和「ええ。 じゃあ私、生徒会行くね」

唯「ばいばーい」

——ガチャンッ

律澪紬唯梓「…………」

律「はあ、なんか疲れたなー」
唯「勉強する気なくなっちゃった〜」
澪「私も……。今日はお菓子食べて帰ろ……」グデー
唯「わお、珍しぃー」
紬「それじゃ、お茶いれるね」ガタ

梓(ポッキーゲーム、続きやらないのかなあ……)


"
"
6 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:15:43 GHu4aVBA0
………♡

……♡

…♡

その夜……平沢家

唯「憂〜」

憂「どうしたの?」

唯「今日ね〜? 澪ちゃんのファンクラブがすんごい来てね? すんごかったんだよぉ」

憂「へえ〜!!! あ、そういえば、純ちゃんも澪さんファンクラブに入ってるって聞いたよ」

唯「うん、すごい人気だよね〜」ゴロン

憂「お姉ちゃんや他の皆さんには、ファンクラブないの?」

唯「ないよ〜。私澪ちゃんみたいに美人さんじゃないし〜」

憂「そうかなぁ……」

唯「うーん……他のみんなかぁ〜……。でもやっぱ澪ちゃんだよ。ファンクラブは澪ちゃんなんだよ」

憂「すごいね〜」

唯「おかげで今日はティータイムも半分だったし……。 物足りないよ〜」ゴロゴロ

憂「…………あっ、そうだ」

憂はテーブルに置いてある雑誌を取り、あるページを開いて唯に見せる。

唯「んー? なあにこれ?」

憂「ここ、最近開いた新しい喫茶店! 美味しそうなケーキとか沢山あるみたいだから、行ってきたら?」

唯「お〜! これは興味深い!」ガバッ

………♪

……♪

…♪


7 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:17:13 GHu4aVBA0
次の日……教室

唯「おはよ〜」ガラリッチ

澪「おはよ……」

唯「……澪ちゃん?」


澪「……」そわそわ


唯「…………」ホゲー

律「澪のやつ、今朝からずっとああなんだよ」ささっ
紬「見て見てっ? 廊下に、澪ちゃんのこと見てる生徒……。あれきっとファンクラブじゃない?」
唯「……ほんとだ」
律「気にすんな……つっても無理だろうなー澪には」

澪「…………」

………♪

……♪

…♪

放課後……教室

唯「和ちゃん、今日一日澪ちゃんといて、ファンクラブを見ない時の方が少なかったよ」
和「教室にも来てたもんね」
唯「モテる女はツライねぇ……」
和「そうね」



澪「なんか、はなししてる……」
律「先行こーぜ」
紬「お茶の準備しときましょう」

律「唯ー、先行ってるからなー」


唯「あ、うーん!」

和「行かなくていいの?」
唯「お茶の準備できるまで。 ……それでね? 私はやっぱり、ファンクラブは前みたいにささやかにやってる方がいいと思うんだ〜」
和「そうね。今日の澪を見てたら、どうにかしないとって思えてきたわ」
唯「いくら澪ちゃんがいいって言ってても、あの様子じゃ心配だよ」

和「そうねぇ……」

和「やっぱり、何かしら行動を起こしておいた方が良さそうね」
唯「私協力するよ! 和ちゃん!」

和「あんた、勉強は?」
唯「もう少しだけ〜」

和「ま、いいけど……」

二人は廊下に出て、二年生の教室へ向かって歩き出す。

唯「どこいくの?」
和「とりあえずファンクラブの情報を集めに、幹部の鈴木さんとこへ」
唯「ほ〜なるほど〜」

……廊下

純「あ、真鍋先輩」ばったり
梓「あ……」

和「あら」
唯「あー」


8 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:17:29 GHu4aVBA0
…………♪

………♪

……♪

部室

既にティータイムの準備は終わり、律澪紬の三人は先に寛いでいた。
そこへ、今日一日塞ぎがちだった澪が口を開く。

澪「ねえ……今日勉強終わった後、時間ある?」

律「ちょっとなら大丈夫だけど?」
紬「私も大丈夫よ。どうしたの?」

澪「あの……相談したいことがあるんだ」

律「みんなが集まったらでいいじゃん」

澪「勉強の邪魔になっちゃ悪いし、終わりの方で話そうと思うんだ……」

律「気になって集中出来ないのはアタシだけだろうか……」

紬「話って、ファンクラブのこと?」

澪「…………多分」

律「多分?」


——ガチャッ!

唯「ほーいお待たせ〜」
梓「どーも、お邪魔しまス……」

律「遅いぞー唯ー」

唯「ごめんごめん。途中であずにゃんと会ったから捕まえてきたよ〜」

梓「スミません毎回毎回」

紬「いいのよ〜♪ 梓ちゃん何飲む?」

梓「あ、バナナケーキ、お願いします」


唯「それでね〜、みんなにお知らせ!」


唯は得意げに雑誌を広げてみせた。三人は開かれた面を覗き込む。
それは新オープンの喫茶店広告だった。

律「おおー、ここって新オープンの?」
紬「綺麗なパフェね〜♪」
澪「ほんとだ、美味しそう……」

唯「今日帰りに行こうよ! あずにゃんも行くもんねー♪」ナデナデ
梓「は、はいっ」

唯「澪ちゃん見て! このケーキとかすんごく美味しそうだよ!? ほらこれとか!」
澪「唯……」

唯「ね!? 行こうよ!」

律「HAHAA、良いなー。そんじゃー早めに切り上げてそこ行くか!」
紬「行こう行こう!」

律「澪、話すのはそこでもいいだろ?」ボソッ
澪「う、うんっ。 ……私も行きたいっ」

律「決っまりぃ〜!」


9 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:18:03 GHu4aVBA0
………♪

……♪

…♪

……その店

ソファーに腰を落ち着かせ、豪華なケーキやパフェに舌鼓を打つ軽音部御一行。
何気ない会話は盛り上がり、澪にも普段の表情が戻る。

律「みーおっ、話はいいのかー?」
澪「えっ? あ、ああ……」

唯「話? なになにー?」

澪「えっと……な、なんか、せっかく盛り上がってたのに、こんな話しちゃうのもなんだけど……」

紬「いいのよ澪ちゃん。なんでも言ってみて? 私達相談に乗るから」
梓「どうぞです、澪先輩!!!」

………♪

………♪

………♪


律「"誰かにつけられてる気がする"、かぁ……」


唯「今回は重いよその言葉!」

澪「わ、私、どうしたら……」サメザメ

梓「心配しないでください澪先輩! 先輩に取り付く輩は、私が排除してみせます! 私がいないときは、律先輩やムギ先輩だっています!」
唯「あずにゃん……私もいるよ……?」

梓「唯先輩は、逆にやられちゃいそうなので除外しました。私の目の届く範囲にいてください」
唯「えぁ〜……」ヨヨヨ

律「……ふむ、どうやら軽音部防御網を張る時が来たようだな」

紬「防衛網?」

律「これからしばらくの間は、澪が一人になるのを防ぐ。必ず誰かがそばについてるようにするんだよ」
唯「ガードマンだね〜」

律「それでいいかー澪」
澪「う、うんっ……」

紬「みんなで澪ちゃんを守りましょう!!!」ふんす
唯「よーし私頑張るよ!」
梓「私も、行ける時はいつでも応援に向かいます!」

澪「みんなぁ……」うるうる

律「なにかあったらすぐに部長のアタシに報告! 分かったか!」
唯紬「イエッサー!」

律「んじゃあアタシ、今日家のご飯作んなきゃいけねーしそろそろ帰るわ」ガタッ

澪「!?」

梓「どうりで手早く済んだと思った……」

唯「えー!? 防衛網はー!?」
律「お前らがいるだろー?」
紬「でもりっちゃん、ここからだと帰る途中で澪ちゃん一人になっちゃうわ」

律「…………ぁそうか」

澪「り、律が行くなら私も行くぅう!」ムシャムシャムシャアァァ

律「わりーナ」

唯「気にしなくていいよ〜。いきなり誘っちゃったもんね〜」
紬「澪ちゃんをお願いねりっちゃん」
梓「言い出しっぺなんですから、しっかり守らなきゃダメですよ」

律「当たり前だろ〜? んじゃ行くぞー」
澪「うップ、グゲ……じャあ……また明日ギっ……」ドダダ

律澪二人はお金を置いて、早々と店を去っていった。
残された三人はスイーツとおしゃべりを楽しみ、のち一時間ほど過ごしてから店を出た。


10 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:18:32 GHu4aVBA0
………♪

……♪

…♪

……律澪の帰路

澪「…………」キョロキョロ キョロキョロ

律「そーんなキョドらなくても……」

澪「でもっ、いつどこで視られてるか分からないだろ!?」

律「流石に大げさすぎ」

澪「だ、だあって……!」

律「コッソリつけ回すよーな性根のヤローには、なにもできやしねーって!」

澪「そう…………?」

律「だー! 心配すんな! アタシがいるだろっ?」バン
澪「り、律っ……」じいん

改めて感じる親友の頼もしさ。そのはにかむ横顔を見て、澪は思わず潤む。

澪「そうだな……いつまでもビクビクしていられないっ……」

律の叱咤のおかげで少しは前向きになったのか、澪は縮こまっていた体を直し、進路をまっすぐに見つめる——

——その途中の曲がり角に、澪のことをまっすぐに見つめる学生がいた。

澪「!?」

次の瞬間には引っ込んで見えなくなったが、澪と確かに目が合った。

律「どしたー?」

澪「りりりりrrrrr律律律うぅうううぅぅ……! いたいたいたあぁあ…………」

律「え……マジで?」

澪「マジ……。あそこの角のとこ……!」

律「お、おーし、気付いてないふりしてろ」

澪「う、うんっ」

二人は歩みを続ける。

律は、本当にファンクラブがいたならば、その場で少し叱ってやるつもりでいた。
先ほどは大げさなどと言ったが、ここ最近の澪のやつれようは、もはや笑い飛ばせるものではなかったのだ。

緊張に顔を強張らせる律と、不安で再び縮こまる澪。
やがて二人は曲がり角に差し掛かる……。


律「よく見てろよ」
澪「……」ゴクリ


澪は、誰かが隠れたと思しきその道を、薄目で恐る恐る確認する。

学生「…………」ギロリ

案の定、いた。
電柱の陰に二人を睨みつける学生が。

澪「ふうううううううう!?」

律(い、いやがった……!)


11 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:19:01 GHu4aVBA0
………♪

……♪

…♪

夕方……店外

ムギと別れた唯梓は、電灯で照らされた薄暗い帰路を辿っていた。

唯「そんでね、憂が机の上でゴーゴー踊ってさ」
梓「あはは……ん?」

何気ない会話を交わしながら歩く二人の前に、学生が立ちはだかる。

唯「ホエィ?」
梓「うちの学生……。な、何?」

学生「軽音部だよね? ちょっといい?」

唯「いいよー、どしたのー?」
梓「ちょっと唯先輩……!」

唯「怖がらなくても平気だよあずにゃん。うちの生徒だよ」
梓「いや、それはそうですけど」

唯梓は、その学生に連れられるまま、人通りのまるでない裏路地までやってきた。

梓(こ、こんなところに連れてきてなんのつもり!?)
唯「おー、こりゃあ隠れ家的ですな。 ところで何の用?」

学生「……あんた達、澪さんに近付きすぎよ」

唯「…………」

梓「……!」(こいつら! ファンクラブ!)

唯「?」

学生「分かってる? 澪さんに馴れ馴れしくしすぎっていってるの」

唯「何?」
梓「……」(まさか直接来るなんて! き、きっと唯先輩は澪先輩とキスしかけたから……)

学生「……言っても無駄みたいね? 今度澪さんに舐めたことしたらどうなるか……」
他学年「……」ゾロゾロ

学生「分からせてあげようか?」

梓「あわわ……」ガクガク

唯「うーん、意味分かんないなあ。友達だから仲良くして何が悪いの?」

学生「チッ……」

ついに学生が手を出した。唯の頬目掛けて平手が飛ぶ。
唯「ホェッチ」
その平手を、唯は上体を少しだけ逸らして躱した。

学生「……っ!?」

梓「わわわっ……!」

唯「…………もう帰っていい?」
学生「……生意気ぃっ!!」

唯に拳が振るわれる。だが当たる寸前に、唯は前蹴りで学生を吹っ飛ばしていた。


12 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:19:25 GHu4aVBA0
………♪

………♪

………♪律澪サイド


律「…………」
澪「コォォォォォォ……!」ブルブル

学生「…………」

律「あー……ひょっとして、澪ファンクラブの人?」

学生「…………」ぎろり

律「ウッ……も、もしそうならさ、普段から澪につきまとうよーなのはやめてくれないかな……」
澪「……」コクコクコク

学生「…………」

律「悪い! 澪もケッコー繊細なやつでさ! そーゆーのはちょっとツラいとこあるんだ!」
澪「……」ウンウン

学生「…………」

律「だから、さ、できればそのことファンクラブのみんなに伝えて、やめてもらえるようにしてほしい! お願いっ」

学生「……分かりました。伝えておきます」

律「……」
澪「……」

律「……あ、そーお!? 悪いなーわざわざ。お願いな。それじゃっ!」ダッシュ
澪「……」ソソクサー


学生「MIO様につきまとう田井中律、あなたのことを……」


13 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:20:04 GHu4aVBA0
………♪

………♪

………♪


翌日の放課後、軽音楽部


唯「今も私達のこと見てるかもしれないねー」
律「よーし、今に見てろ……」
澪「な、なんだ律」

律「おらっ」
澪「ふおぉ!?」

りっちゃんは突然立ち上がって澪のおっぱいを揉みまくった。

紬「まあ!!!!!!!!!!!!!!!!」

澪「や〜め〜ろ〜!」ドギャッ
律「げァッ!!!」ブシュウ
澪「……まったく!」

紬「もうおしまい?」
梓「もうちょっとやってくれても良かったです」

澪「えっ? わ、分かったよ」ボゴゴゴ
律「ぐげあァァァァッ」
紬「あ、そっちじゃなくて」

カチャン

和「待たせたわね。情報が入ったわ」
唯「のどかチャーン」

律「よう。どうだった?」

和「ビックリよ。桜高の半分が澪のファンだと思う」
澪「」

律「嘘だろ? そんな馬鹿デカく……」
和「ただし、規模が大きくなりすぎてファンクラブとしてまとめきれてないから、正確には分からない。もっとかもしれないわ」
律「ドハハハハwww」
澪「」


和「あと分かったことは、ファンクラブには、過激派がいるってこと」
唯「昨日の子達みたいなのかな」
梓「ッぱ やぱッ そッ きっとそうですよッ! ファンクラブは、一匹残らずこの世から消し去るべきです!!!」
律「ここにも過激派がいるぞー……」

和「でも、以前みたいにささやかな活動を願ってる穏便派だってちゃんといるの」
律「それが救いだな」

梓「く! そ、それでもこのままじゃいけないと思います!」
紬「そうよね……。昨日みたいなことがまた起こるかも……」
和「ええ、唯に聞いたけど、やって良いことと悪いことがあるってもんよ」

律「ヤツら完璧、この軽音部&生徒会長コンビを敵に回した……!」


澪「」


唯「澪ちゃん……」
律「澪、お前はどうしたい?」

澪「……う」

律「……アタシは、昨日のこととかを今すぐ先生に報告して、早いとこ対応してもらった方が良いと思う」
和「私もそれに賛成ね。ちょっと、見過ごせない」

澪「…………」

唯「決断の時だよ澪ちゃん」
梓「容姿端麗頭脳明晰な澪先輩なら、賢明な判断を下してくれるに決まっています」

澪「…………私は」


14 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:20:35 GHu4aVBA0
…………♪


………♪


……♪


…♪

梓「失望しました澪先輩」

澪「そんなあ!?」

律「ああ、澪のお人好しにも困ったもんだな」
梓「全くです! 澪先輩は甘いです! 甘々ですよ!」
紬「でも、澪ちゃんらしい」
唯「ファンクラブもきっと喜んでくれるよ」
澪「うん、そうだといいな……」

和「みんな、そろそろ時間よ。成功すると良いわね」

軽音楽部は、講堂のステージ舞台袖に立っていた。

和「良い悪いは別として、先生がいないからね……。思い切りやんなさい」

澪の決断。それは、ファンクラブに向けてライブを行うことだった。
澪(それで最後に、私の気持ちをしっかりみんなに伝えよう。分かってもらおう)


澪(思いは 話さなきゃ どこにも響かない……!)


紬「澪ちゃん、真面目な顔してる」
唯「やっぱり澪ちゃんだね」


和「……にしても、生徒会総動員でもこのファンクラブ、抑えられるかどうか」

講堂には溢れんばかりのファンクラブが押し寄せていた。どう詰めてもあと二人しか入らない核シェルター並みに詰まっていた。
ステージに乗り上がる勢いのファンクラブを、和率いる生徒会役員が必死に抑えている。

律「頑張ってくれよ……! あとでお茶奢るぜ……」
澪「い、淹れるのはムギだろ」コラッ

紬「興奮してきたわ」
梓「こうなったら、HHTの底力を魅せてやりましょう」
律「ああ、みんなでやるんだ。ファンクラブ達の度肝抜いてやろーぜ」
唯「お〜!」
紬「ウオオオオオオオオッ!!!」



和『……それでは大変お待たせしました。HHT特別ライブ。 押さないで、落ち着いてお楽しみください』


15 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:21:09 GHu4aVBA0
和「さあ、出番よ」サッ

澪「よ、よひ」
梓「やってやるです!」
律「やってやるぜ!」
唯「や〜るぞー」
紬「やりましょ〜!」

舞台袖から、HHTがステージに現れる。
途端に爆発のような歓声が上がった。

「「ギャァアアアアアアアアーーーーーッ!!!!」」
「「MIO様ァーーーッ!!!」」
「HHTーっ!」
「「「MIOーー!!MIOooooooo!!!」」」
「「「キィィーーッ!! ギィいいいい!」」」


律「ウオオッ!?」
紬「みんな澪ちゃんを観てるわ」
梓「ちょっとは私達のことを見てくれても良いじゃないですか!」
唯「まあまああずにゃん。主役は澪ちゃんなんだから」


うい「おねえちゃーん!」
じゅん「澪センパーイ!」


講堂入り口近く、人に埋もれていてステージからでもよく見えないが、憂と純がいた。

唯「あ! 憂ー!」ブンブン
梓「純! やっぱりあんたも!」
律「おーい、MC始まるぞー」



澪『あー、み、みなさん! えと……今日は、HHTの特別ライブに来て板垣退助っ!』きぃーーん

ファンクラブ「「「板垣退助ーー!!!!」」」ドドォォォォォォォ


律「!?」唯「ほえ?」梓「」紬「……」


和「アレ、澪の持ちネタになったんだ」


澪(よ、よしっ、つかみはオーケー)

澪『ええと、今日は集まってくれた皆さんのために、歌います!』

唯梓紬律「……」スチャッ


16 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:21:40 GHu4aVBA0
律「」シャンシャンドコドンドコドンッ

律の小気味好いドラムコンボの合図で、ライブは始まった。


澪『Please don't say"You are lazy"!!!』

澪『だって本当は?』
唯律『crazy!!!』

澪『白鳥たちはそう 見えないとこでバタ足するんです♪』

唯(……あっ、生徒会の人が倒れてる)

澪『本能に従順 忠実 翻弄も重々承知!?
前途洋々だし… だからたまに休憩しちゃうんです♩』

梓(ちょっ、ファンクラブが……)

ファッン「MIO様ァァッ!!」グアッ
澪『ッ、この目でしっかり見定めて 行き先地図上マークしてッ♪ ヒッ…』

唯『近道あればそれが王道? はしょれる翼もあれば上等〜♪』ドギャッ
ファン「ッ!!??」ダァン

ステージに乗り上がろうとしてきたファンを、唯が蹴り落とした。同時に、怯んで歌詞が飛んだ澪へのフォローも入る。

唯(澪ちゃんしっかり!)ウインク
澪(唯っ!)

紬(唯ちゃんナイス!)
律(クソ、今のは助かったけど、まだ来るぞ!!)

澪『♩ヤバ!? 爪割れた グルーで補修した それだけでなんか達成感?』

梓「とぅえりゃあっ!!!」ドゴォッ
ファン「ゲッ!!」

澪『大事なのは自分っ かわいがること♫』

紬「シャランラァッ!!!」めきょっ
ファン「」

澪『自分を愛さなきゃ 他人(ひと)も愛せない!!』

澪『Please don't say"You are lazy"!?』
澪『だって本当は?』
紬梓『crazyッッ!!!』グアアッ

澪『能ある鷹はそう 見えないとこにピック隠すんです♪』

澪『想像に一生懸命!? 現実は絶体絶命
発展途中だし… だから不意にピッチ外れるんです♪——』


「「「ワアアアアアアアアアアア
!!!!」」」キャーキャー


17 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:22:30 GHu4aVBA0
ショートヴァージョンの一曲目が終了した。
ファンクラブの中には、感激のあまり気を失って倒れる者もいる。

そして、ステージに乗り上がって澪に近づこうとする者も後をたたなかった。
ファン「MIO様〜〜〜〜っ!!!」
澪「ぐえー!?」
一人のファンが、HHTの隙をついて澪に乗り出し、彼女の足首を掴んだ。
澪「ヒ、ひいいいいいっ!?」ガタンッ

紬「キャオラッ!!!!!!」ゴンッッッ
ファン「カペッ!!!??」

紬「澪ちゃん! しっかり!」
澪「ひいいいいいい……」ガタガタ

律「ッ! ゆ、唯! パートチェンジだ!」
唯「合点!」さっ

澪が怯えてしまったときのため、もう一人のボーカル唯が時間を稼ぐという作戦があった。

——じゃかじゃかじゃかじゃかジャンジャンジャンジャン♫

唯『♪キミがいないとなんにもできないよ キミのご飯が食べたいよ〜♪』
HTTファン「キャー! YUIー!」

紬「さあ澪ちゃん、少し下がって休んでて」
澪「う、うん。ありがとう……」


唯『もしキミが帰ってきたらとびきりの笑顔で 抱きつくよ〜♫』


梓「うおりゃあ! 喰らえ! 澪センパイにたかるちくしょうめ! この! この!」ゲシッゲシッ


18 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:23:09 GHu4aVBA0
………♪

………♪

唯と律が演奏。紬が澪の保護と介抱。梓がファンクラブの進行阻止。それぞれが適所に位置し、かろうじてライブとしての体裁を保っていた。

唯『キミが そばに いるだけで いつも 勇気もらってた♫』

梓「あいたあああ!? か、髪を引っ張らないで! ふおぉお!?」
ついに、梓がステージ下へ引きずり降ろされた。
梓「アンギャアアアアアーーーーーッ!!!」

澪「あっ、梓ぁっ!」
紬「梓ちゃんっ」

唯『いつまででも…ッ! 一緒にいたい この気持ちを伝えたいよ♩』



憂「純ちゃん純ちゃん! お姉ちゃん歌ってるの、私のやつだよ! お姉ちゃんの私のやつ!」キャッハー
純「う、うん。でも、なんかスゴイことになってるみたいだよ……? 人がすごくてよく見えないけど……」

憂「お姉ちゃあ〜ん!!」ドバアアアアーーーーー

唯『晴れの 日にも 雨の日も いつもそばに…痛えっ!?』ガンッ

歌っていた唯のおでこに、空き缶が投げられた。
「「澪先輩を前面に出せー!」」
「「澪先輩に歌わせろー!」」
「「「ひっこめー!」」」
MIOファンからの攻撃だった。憧れの澪と親しくしている他メンバーは、ファンクラブのヘイトを存分に集めていたのだ。


唯「……」


憂「」ビキビキ


唯『……目を閉じれば♪ キミの笑顔♩ 輝いて ルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッ!!!!』バギョオッ
ファン「フゲエッ!?」ズデーン

唯が、歌い終わりと同時に攻撃してきたファンの顔面を蹴り上げた。
そしてそのままステージを駆け下り、ファンの海に飛び込んでいった。

澪「唯いいいい!?」

律「くそっ もう限界だ! やっぱり無理なんだよ! 完全に逆効果じゃんか!」
澪「な、なんだよおぉ……律だって賛成してくれたじゃないかぁぁ……ううう、梓ぁ……唯ぃ……」めそめそ
律「チクショ〜〜〜……どう収集つけりゃいいんだ……」


19 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:23:42 GHu4aVBA0
梓「ゲボあっ!」ズザアアア


澪紬律「!?」

突如、梓が水揚げされたマグロのようにステージに乗り上がってきた。

唯「りっちゃああああん! あずにゃんおねがァァい!」

どうやら唯が、梓をファンの猛攻からすくい上げたようだった。


紬「梓ちゃんっ! 大丈夫!?」
梓「か、かろうじて。ギターは死守しました……」ギギギ
紬「大丈夫そうねっ……!」


和「みんなっ!」
軽音部に、生徒会長の一声がかけられた。


律「和っ……」

和「もう無理よ! 一旦下がりなさい! まだ裏口には誰もいないから、今のうち!」

律「クソッ!! 立て梓! ムギ! 澪を頼む!」
梓「は、はいっ!」ギギギ

紬「澪ちゃん、立てる?」
澪「こ、腰が抜けちゃって……」へなへな
紬「それじゃあおんぶする! さあ澪ちゃん!」
澪「え、あ、うんっ!」

ムギは澪をおんぶして、和の待つ舞台袖に向かう。ただムギが力持ちとはいえ、急におんぶをしてバランスが取りきれておらず、足取りはかなりおぼつかない。さらにステージに投げ込まれるゴミや、アンプ等の配線が、それに拍車をかけていた。

梓「せ、先輩! 唯先輩は!? 唯先輩は!?」
律「……まずは、お前らを安全なところまで連れて行く!」
梓「そんなっ」
律「大丈夫! あたしが残る! 梓はムギについてけ!!」

梓(でもっ、唯先輩が……! 今のままじゃ……!)

そこに、律の蛮行(乳揉み)を知って頭に血が上ったファンが、律に襲いかかってきた。

律「く、クソッ!!」

ファン「こいつっ! よくもMIO様のおっぱいを!」ドドドドド

律「しゃらくせー! アタシの特権じゃ
ああああい!」ボガアッ
ファン「〜〜っ!?」
律は負けじとフルスイングラリアットで返り討ちにしたが、投擲攻撃は続く。
梓「ギギギ……」
律「いててててっ……!」

ムギ「ああっ……!」
澪「わああ!?」
その勢いを受けて、ついにムギが転倒してしまった。

律「チック症! 大丈夫か!」
澪「律う! ムギが! ムギがぁ!」
律「ばかやろ泣くな! お前だけでも行け!」
澪「だあって……!!!」

梓「ゆっ、唯先輩は……!」


20 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:24:47 GHu4aVBA0
………

………

………

唯「えい!」ドム
ファン1「っっ……!」ズルズル

唯「むりゃー!」ボッグァ
ファン2「ギエエ!」ドダ

唯は、掴みかかってきたファンをボディブローで沈め、すかさず後ろ蹴りで牽制と、うまく戦っていた。

唯「ちえいっ!」ブゥン
さらに沈んだファンを突き飛ばしてそばにいた生徒に拳を振り上げるが——
HHTファン「わああ!? 私悪いファンクラブじゃないよぉ!? 助けてぇぇ!」ピューっ
唯「あっ! ごめんねー!?」

ファン3「うおりゃっ!」ガシッ
唯「ああっ!?」

隙を突かれた唯は、羽交い締めにされる。だがすぐに、軽い衝撃とともに拘束は解けた。

唯「んんん!?」

憂「お姉ちゃん大丈夫っ!?」さっ

唯「憂ぃ!」パァァ

憂「お、お姉ちゃんを傷付ける人は許さないもん!」ビシッ
純「憂のそばにいれば大丈夫だよね……」オロオロ


梓(…………憂だ! 憂が助けに入ってくれてる! でも、いくらなんでもこの数じゃ……!)


梓(ゆ、唯先輩は私を助けてくれたのに、私は唯先輩を助けることができないなんて……!)


梓(そんなの…………!)

梓は、マイクを拾った。

律「梓っ? 早く…


21 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:25:18 GHu4aVBA0
梓「おいみんなァーッ!!!!」キーーン


「「「「「…………」」」」」


それまでの狂声とは一線を画す、とてつもない金切り声が、講堂に響いた。
流石のファンクラブ一同も、静まり返る。


梓「もう余興はおしまいよ! さあ〜楽しいあずにゃんダンスの始まり始まりーーーッ!!!!」


律「…………」
紬「…………」
澪「うう……ん?」

梓は上着を脱ぎ捨て、マイクスタンドを抱えた。そして、思い切り息を吸い込む——
梓「yeah!!! 私は梓! あだ名はあずにゃん! みんな、楽しくやっていこぅニャン!!! アズアズアズアズアズアズニャンッ! そりゃアズアズアズアズアズアズアズアアァッ!!!」ドドドドト

——


22 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:25:45 GHu4aVBA0
梓「…………」

梓「AZ・SAの・RHYTH・Mを・知ッ・てる・かい!?」クネクネ
梓「ホイ! ホホホイホホホイホホホイホーイ! ホホホイホホホイホホホイホ」
梓「デケデンッ!!!」ビシッ


憂「ギャハハハハハハハハハーーーッ!!!」

憂「あwwwずwwさwwwwちゃwwwひぃwwひぃwwwww」
純「う、憂……笑い過ぎ……」


梓(り、律先輩! 唯先輩! 私が時間を稼いでる間に!!!)


律(分かってるぜ……サンキュー梓!)


唯「はっ、行かなくちゃっ。憂ありがとねっ」ダダダッ


梓『……YEA!!! オレたちk-on! 永遠(とわ)まで帝王! この身尽きてもソウルがk-on!!!』ズンズン
憂「私も歌うよ! すっきすっきだっいっすっき! おっねえっちゃんだっいっすっきッ!!!」
梓『ウホウホウホホウ? ウホウホホウ!!! ウホホウホウホ ウホホッホウ!!!』ビグンビグンッ

純「もーめちゃくちゃだああああーーーっ!!!!!」


23 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:26:19 GHu4aVBA0
「「「…………」」」



律「今だ行け行け」
紬「メェー」澪「ヒヒヒィーン」ドドォ
唯「ブヒィィ」ブブブ
梓が皆の目を引いているうちに、軽音部は舞台袖、控え室に逃げ込んだ。


梓「ニャー!」ドドド


「あ、あああっ! 軽音部を逃すなあぁぁぁーーー!!! 澪先輩を救ええええええ!!!」



梓「お待たせしました!」ボァァ
律「よし! 全員揃ったな!」

紬「はあ、はあ、すぐ入られちゃう!」
律「……これを、動かそう! おりゃっ」ズズッ
紬「うんっ!」ズズズ

——ドンッ! ドンッ!!!

律紬は、ステージを繋ぐ口をロッカーで塞ぎ、一先ずの進行を抑えた。そこへ間髪入れずに和が話す。

和「無事っ? ……早いとこ ここを離れた方が良さそうよ」

律「ああ! とにかく行くぜー!」

紬「でも、どこに?」

澪「わ、私、部室に荷物置きっぱなし……」
律「アタシもだ。……どこか、奴らを巻きながら隠れられる場所を探すんだ」
唯「了解!」
和「私も行くわ」
律「頼むぜ」

………♪

………♪

………♪


24 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:29:06 GHu4aVBA0
律「ぜえぜえ……」

ファン「待てえええ! MIO様を解放しろー!」ドドド

結論から言うと、軽音部は逃げられなかった。
校門を塞がれ、阻まれ、追い込まれ、体育館に向かうほかなかった。

そこからは、まさに戦場だった。

律「うおおおおぉ!!」
唯「ぬりゃーーー!!」
紬「キエエエエエ!!」
梓「ガアアアァァ!!」
澪「ひいいいいい!!」
憂「うおーおおお!!」
純「ひゃああああ!!」

各々がファンクラブに囲まれ、抵抗を続けていた。
しかし……

梓「アンギャアアアアアア!!! セ、センパーイ! 助けてくださぁぁぁぁあああい!!!」
律「うげぇ……み、澪ォ! 逃げろ〜〜〜っ!!!」
唯「もうダメだよ……くたくたで動けないや……」ガクッ
憂「お、お姉ちゃあん……」ドサ
モップ「」
紬「」ドーン

次々に、軽音部とその仲間達は倒れていく
その様子を澪は隅っこでずっと見ていた


澪「み、みんなああぁ……っ!!!」




澪「」プッツン




澪「…………っ完全に キレたぞ〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」


25 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:30:13 GHu4aVBA0
……………♪


…………♪


………♪


……♪


…♪軽音部、音楽室♪……

律「いや〜一件落着だな」
紬「澪ちゃんすごかったわあ」
澪「いやあ……みんなが倒れたのを見たら、いてもたってもいられなくて……あとは無我夢中だったよ……」

梓「流石澪先輩です! 私、ファンになりたいです!」
澪「はは……冗談キツイな梓は……」

唯「今度あーゆーことがあったら澪ちゃんを怒らせればいいね〜」
律「おいおい、冗談キツイぞー唯」



「貴方達? 何やってるの?」
「わああ!?」
ガチャンッ!!!


律澪紬唯梓「?」

和「ん。元気そうでよかった」

澪「の、和……その子達は……?」
和「さあ……? なんか、ドアの前にいたわ」


「別に怪しい者ではありません!!!」
「私達、あずにゃんファンクラブの者です!」

梓「」
律「おし、澪を怒らせるぞお前ら」


おわり


26 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/12(日) 23:31:07 GHu4aVBA0
軽音部のみんなが困難に立ち向かうところが書きたくて書きました


27 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/13(月) 00:15:41 DG70zzu60
なんか放課後ティータイムがHHTになってました、すいません


28 : いえーい!名無しだよん! :2017/03/13(月) 13:48:58 UB4s39Nc0
カオスやな……


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