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唯「とみお婆ちゃんの旦那さんのお話を聞きたいな」

1 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/25(火) 06:20:54 J5/8bIE.0
とみお婆ちゃんと旦那さんの出会いの話です
旦那さん名前付けてあるので殆どオリキャラです
苦手な方はスルーお願いします
ゆっくり投下して行きます。


"
"
2 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/25(火) 06:21:49 J5/8bIE.0
とみ「あの人の話かい?」



唯「うん、去年のクリスマスにお婆ちゃんを若返らせた人の事」



憂「私も聞きたいな」


とみ「いいよ」



とみ「あの人との出会いは14歳の時でね」



とみ14歳



米兵「ヘイヘイ」



とみ「や、辞めて下さい…」



米兵「ぐへへへ」ぐぃっ



とみ「いやー誰か誰か助けてー!」



辞めろ!



米兵「?」



とみ旦那「うぉぉー」



米兵「チッ」



とみ旦那「に、逃げた…」


3 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/25(火) 06:23:17 J5/8bIE.0
とみ旦那「ははは…」へたっ



とみ「あ、あの… 」



とみ旦那「怪我はなかったか?」



とみ「は、はい///」



とみ旦那「良かった…」





唯「旦那さん、強いね!」



憂「うん、迫力だけで追い払ったんだね!」



とみ「背が高くて体格も良かったからねぇ」



唯「そういえば、高かったね」



憂「何センチくらいあったの?」



とみ「180㎝以上はあったんだよ」



唯「その時、お婆ちゃんは?」



とみ「142㎝くらいだったよ」


4 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/25(火) 06:24:35 J5/8bIE.0
唯「凄い身長差だね」



とみ「そりゃもう、かっこ良かったよ」



憂「そこから、お付き合いしたの?」



とみ「そうだよ、それが縁でお付き合いしたんだよ」





とみ14歳



とみ「あ、あの…お名前お聞きしても良いですか?」



とみ旦那「亨です」



とみ「亨さん、私はとみです」



亨「とみさん、宜しくお願いします」



とみ「はい///」



亨「家まで送って行きますよ」



とみ「そ、そんな悪いです…」



亨「いえ、危険ですから」



亨「さっきのような事が起きないとも限らないから」



とみ「宜しくお願いします///」


5 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/25(火) 06:25:51 J5/8bIE.0
亨「とみさん、お年は?」



とみ「私は14歳です」



亨「僕は18歳です」



とみ「大人ですね」



亨「僕なんか、まだまだです」



とみ「そんな事ないです、さっき凄くカッコ良くて頼もしかったです!」



亨「ありがとうございます」にこっ



とみ(カッコいい///)


"
"
6 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/25(火) 06:27:06 J5/8bIE.0
唯「とみお婆ちゃんは旦那さんのどこが好きだったの?」



とみ「私はあの人が一生懸命働いてる姿が好きでね」



憂「お仕事は?」



とみ「板前さんだよ」



唯「すごーい!」



とみ「働いてる姿を一目見たくて良くこっそり覗いてたんだよ」



板場



親方「馬鹿野郎、六方が綺麗に剥けてねぇだろが!」



亨「はい、すいませんでした!」



親方「さっさと剥いちまえ!」



亨「はい!」








とみ「また怒られてる、あんなに言わなくたって…」



とみ「でも、カッコいいな…」



とみ「一生懸命働いてる姿って素敵だな///」


7 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/25(火) 06:28:17 J5/8bIE.0
親方「おい、何やってんだ?」



とみ「あっ…」



親方「何か用か?」



とみ「す、すいません直ぐ帰ります!」



親方「いや、帰んなくてもいいけどよ」



親方「何か用か?」



とみ「あ、あの…働いてる姿を見たくて」



親方「亨のか?」



とみ「は、はい」



親方「ちょっと待ってな」



とみ「…」



亨「とみさん…」



親方「お前の彼女か?」


8 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/25(火) 06:29:55 J5/8bIE.0
亨「はい」



親方「そうか、良さそうな子じゃねぇか」



親方「好きか?」



亨「はい、勿論です」



親方「そうか、仕事に戻れ」



亨「で、でも」



親方「いいから」



亨「わかりました…」




とみ「わ、私も帰ります」



親方「お嬢さんの家は遠いのか?」



とみ「少し歩かないといけません」



親方「そうか、送って行くよ」



とみ「悪いです…」



親方「亨の事で聞きたい事もあるしな」



とみ「聞きたい事?」



親方「歩きながら話すさ」



とみ「は、はい」


9 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/25(火) 06:31:26 J5/8bIE.0
帰り道


親方「とみさん、あんた亨が俺に怒られてるの見てどう思った?」



とみ「どうって…」



親方「カッコ悪いと思ったか?」



とみ「そんな訳ありません!」



親方「…」



とみ「亨さんは怒られても挫けずに一生懸命働いてました!」



とみ「だから、全然カッコ悪いなんて思いません!」



とみ「寧ろ、カッコいいと私は思いました!」



とみ「亨さんは絶対に貴方より凄い板前になって見返してくれると信じています」



親方「…」



とみ「あっ…すいません、生意気言ってしまいました!」


10 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/25(火) 06:33:06 J5/8bIE.0
親方「ありがとな、そんなに亨を想ってくれて」



とみ「えっ…」



親方「あんたは素晴らしい女だよ」



親方「これからも亨を宜しくお願いします」



親方「あいつを支えてやってくれ、頼む」ぺこっ



とみ「親方さん、わかりました」



親方「ありがとう」















唯「親方さん、良い人だね」



とみ「親方さんは亨さんの親代わりでねぇ」



憂「亨さんの両親は亡くなっちゃったの?」



とみ「戦争でね、だから可愛くて心配で堪らなかったんだろうねぇ」



唯「デートはどんな事していたの?」



とみ「あの時代は物も今みたいに遊べる場所もなかったから」



とみ「木陰でお話したり一緒にお散歩したりしていたんだよ」


11 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/25(火) 06:34:48 J5/8bIE.0
憂「何か、いいな」



唯「お婆ちゃんの両親は何て言ってたの?」



とみ「バレないようにしていたけど…わかってしまってねぇ」



憂「反対されたの?」



とみ「そりゃ、もう…」










とみ父「とみ、こっちに来なさい」



とみ「お父さん、どうしたの?」



とみ父「早く座りなさい」



とみ「う、うん」



とみ母「貴女、私達に言うべき事があるんじゃないの?」



とみ「言うべき事って…?」



とみ父「お前は最近、近所の板前と出歩いてるそうじゃないか」



とみ「…」



とみ母「どうなの?」



とみ「はい、その通りです」


12 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/25(火) 06:36:24 J5/8bIE.0
とみ父「もう、会わないようにな」



とみ「何故ですか?」



とみ母「貴女はまだ14歳よ?恋人なんて早いの」



とみ「嫌です」



とみ父「何だと?」



とみ「私はあの人を愛しています」



とみ母「…」



とみ父「お前は私達に逆らうのか?」



とみ「私にも譲れない想いがあります」



とみ母「とみ、お父さんに謝りなさい」



とみ「謝りません」



とみ父「そこまで言うなら明日連れて来なさい」



とみ母「お母さん達に会わせて頂戴」



とみ「わかりました」


13 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/25(火) 22:01:30 rAxzynWI0
とみ14歳のスピンオフかな?
それにしても、旦那さんの体格、花形敬さん並だな。


14 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/25(火) 23:34:15 Eazh.ogw0
唯「ドキドキだね…」



憂「それで、どうなったの?」










亨「はじめまして、とみさんとお付き合いさせて頂いている亨です」



とみ父「はじめまして、父です」



とみ母「はじめまして」



とみ父「君は幾つなんだ?」



亨「18歳です」



とみ母「板前を初めて何年なの?」



亨「まだ、2年です」



とみ父「半人前だな」



亨「はい、その通りです」



とみ「お父さん!」



とみ母「とみは黙ってなさい」



とみ「…」



とみ父「亨さん、とみの事を本気で好きなら一つ条件を出す」



亨「何でも言って下さい」



とみ母「後、2年で一人前の板前になって下さい」



亨「2年ですか?」



とみ父「そうだ、2年だ」



とみ「お父さん、無茶だよ!」



とみ母「黙ってなさい」



とみ父「2年で一人前になったら、とみとの交際でも結婚でも認めてやる」



亨「わかりました、死に物狂いで頑張ります」



とみ母「2年間、とみとも会わないで下さいね」



とみ父「守れるか?」



亨「必ず、とみさんを迎えに来ます」



とみ「そ、そんな…嫌です!」



亨「大丈夫だから、必ず迎えに行くから」にこっ



とみ「亨さん…」


15 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/26(水) 08:35:17 n3HMcz820
唯「2年間、長いね…」



憂「亨さんもお婆ちゃんは2年間どんな風に過ごしてたの?」



とみ「彼は一心不乱に修行に打ち込んでたそうだよ」



唯「お婆ちゃんは?」



とみ「私は毎日泣いてばかりいたよ」



憂「そうなるよね…」



とみ「でも、そんな私に渇を入れてくれたのは両親だった」










とみ「…」ぐすっ



とみ「亨さん…」



とみ父「とみ、また泣いてるのか?」



とみ「お父さんのせいです…」ぐすっ



とみ母「とみ、貴女は恥ずかしいと思わないのですか?」



とみ「…」



とみ父「こっちへ来なさい」ぐいっ



とみ「辞めて離してよ!」



とみ母「良いから、来なさい」




とみ「…」



とみ母「今日から、貴女には家事の全てを任せます」



とみ「えっ?」



とみ父「亨君の様子を見てきた、彼は一心不乱に修行に打ち込んでいたぞ」



とみ「亨さんが…」



とみ母「それに比べて貴女は毎日泣いてばかり…恥ずかしいと思わないのですか?」



とみ「わ、わたし…」



とみ母「今日から貴女に花嫁の心構えと家事を徹底的に教えます」



とみ「お母さん…」



とみ父「亨君が迎えに来た時に恥ずかしくないようにな」



とみ母「返事は?」



とみ「…」



とみ母「返事は!」



とみ「はい!」










唯「ほぇ〜凄い事になったね」


16 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/27(木) 01:29:17 sssVRFXU0
何かごちそうさんを思い出した。


17 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/27(木) 01:38:56 9RWPKDoA0
唯「お母さんは厳しかった?」



とみ「そりゃ、鬼に見えたさ」



憂「そ、そんなに怖かったの?」



とみ「何度も洗濯物を畳み直させられたりお皿の洗い方が悪いと怒られたりしたよ」











とみ母「とみ、洗濯物を畳み直しなさい」



とみ「えっ?何が悪いの?」



とみ母「これでは皺になります、やり直しなさい」



とみ「は、はい」



とみ母「違う、とみ何を見てたの?こうやるのです」



とみ「はい…」



とみ母「何か、不満なの?」



とみ「いえ…」



とみ母「掃除も全くなっていません」



とみ母「やり直しなさい」



とみ「わかりました…」










唯「少し意地悪に思うかもね…」



とみ「まだ、私も子供だったからねぇ」



憂「やっぱり反発し続けたの?」



とみ「いや、偶然に両親の会話を聞いて考えを改めたよ」



唯「何を話してたの?」










とみ「お母さんなんて嫌い、私の事ちっとも褒めてくれないんだから…」ぐすっ



とみ父「母さん、幾ら何でもとみに厳しすぎるんじゃないか?」



とみ母「…」



とみ父「もう少し、優しく教えてやりなさい」



とみ母「あなた、とみに恥をかかせても良いと仰るの?」



とみ父「そんな事は言ってない」



とみ母「亨さんには両親が居ないと言っても親戚や兄弟が居ます」



とみ母「そこで、とみが何も知らない子だと恥をかいたらどうしますか?」



とみ父「…」



とみ母「とみの為に私達が恥をかくなら幾らでもかきます」



とみ母「しかし、私達が何も教えない知らばかりにとみが恥をかくのは許される事ではありません」



とみ母「とみが何処に出ても、誰を前にしても立派な嫁にするのが母親の務めなのです」



とみ父「わかった、母さんに任せるよ」


18 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/27(木) 12:10:24 hBhqXdz60
あの名前はこのSSの為か


19 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/28(金) 13:45:31 HkzKY2Bw0
とみ「お母さん…」



とみ「あんなに私の事を思っててくれたんだ…」



とみ「私、何やってんだろな」



とみ「愚痴や泣き言ばかり言ってる」



とみ「…」



とみ「よーし!」











唯「お母さんもお父さんも何だか厳しいけど、お婆ちゃんの事を誰よりも好きなんだね」



とみ「子供の為に親が恥をかくのは当然 親の為に子が恥をかくのは許されないと考えていたんだよ」



憂「カッコいいね」



とみ「今でも、最も尊敬する人だよ」



唯「亨さんにはお婆ちゃんを一生守る覚悟を学ばせる為」



憂「お婆ちゃんには、そんな亨さんを一生支えて行く覚悟を学ばせようとしてたんだね」



とみ「正にそうだよ」



唯「それからのお婆ちゃんはどんな風に家事の仕方が変わったの?」



とみ「それはね」


20 : いえーい!名無しだよん! :2014/11/29(土) 13:30:46 ZQuRMS420
とみ「お母さんを観察しよう」



とみ「お母さんの細かい動きを見て研究するんだ!」



とみ母「とみ、掃除をしますよ付いて来なさい」



とみ「はい、わかりました」



とみ母「良く見てるんですよ 」



とみ(真剣に見るんだ)



とみ母「わかりましたか?出来たら呼びに来なさい」



とみ「わかりました」



とみ母(目の色が変わった…)



バタン


とみ「よーし見てろー」



とみ「…」ゴシゴシ


21 : いえーい!名無しだよん! :2014/12/02(火) 18:13:07 Fef2VHJU0
とみ「お母さんとお父さんの期待に応えなきゃ!」ゴシゴシ



とみ「頑張るぞー!」ゴシゴシ










とみ「お母さん、出来ました」



とみ母「見ましょう」



ピカピカ



とみ母「…」



とみ「お母さん、どうかな?」



とみ母「…」



とみ「お母さん?」



とみ母「次は料理ですよ」



とみ「はい!」



とみ(初めて怒られなかった、やり直しさせられなかった…)



とみ「♪」ニコニコ



とみ母「何をニコニコしているの?」



とみ「何でもなーい」ニコニコ




台所



とみ母「これから、料理を教えます」



とみ「お母さん、亨さんは板前…大丈夫かな?」



とみ母「大丈夫です、私の料理を全て教えます」



とみ「う、うん」



とみ母「親方さんに亨さんの好みを教えて貰ってます」



とみ「親方さんに?」



とみ母「親方さんが言っておられました」










親方「亨の好みの料理と味?」



とみ母「はい、亨さんは板前なのでどの様な料理が好みかと思って…」



親方「そりゃ、家庭料理ですよ」



とみ母「家庭料理ですか?」



親方「私達は料理を作る仕事」



親方「気が張り疲れます」



とみ母「はい」



親方「だから、家では安心出来る家庭料理が好きなんですよ」



とみ母「な、成る程…」



親方「特に亨には両親が居ない」



親方「あいつはお袋の味に飢えてるんですよ」



とみ母「亨さん…」



親方「奥さん、貴女は良い娘さんをお持ちだ」



とみ母「えっ?」



親方「とみさんには芯の強さと逞しさを感じました」



とみ母「…」



親方「きっと、良い奥さんになりますよ」



とみ母「ありがとうございます」ぺこっ


22 : いえーい!名無しだよん! :2014/12/05(金) 00:07:01 P8RhcfUI0
続き


23 : いえーい!名無しだよん! :2014/12/05(金) 16:53:56 /Y68fdIg0
憂「家で食べる料理は安心するね」



唯「憂の料理は美味しいよぉ」



憂「ありがとう、お姉ちゃん」にこっ



とみ「憂ちゃんの料理は優しい味だからねぇ」



憂「お婆ちゃん、また教えてね」



とみ「お安いご用だよ」



唯「それからは、あっという間だったの?」



とみ「そうだねぇ、新しい料理を覚えて行ってあっという間だったよ」



憂「そして、試験の日だね…」














親方「亨、良く頑張ったな」



亨「親方、ありがとうございました」



親方「もう、教える事は何もないと言いてぇ所なんだが2年で伝え切れなかった事もある」



親方「だけどな、安心しろ亨」



親方「お前と、とみさんの交際を認められるように俺が幾らだって頭下げてやるから安心しろ」



亨「親方…」



親方「今日は亨が花板だ」



親方「気合い入れてけよ?わかったな!」



亨「はい!」



とみ父「お邪魔します」



とみ母「亨さん、お久しぶりですね」



とみ「亨さん、会いたかったです…」



亨「とみさん、僕もです」



亨「綺麗になりましたね」



とみ「そんな事///」



とみ父「では、料理をお願いします」



亨「わかりました」


24 : いえーい!名無しだよん! :2014/12/05(金) 17:16:20 /Y68fdIg0
亨「先付けです」


とみ父「…」もぐもぐ



とみ母「…」もぐもぐ



とみ「美味しい…」



亨「海老芋とボウダラの炊き合わせです」



とみ父「…」もぐもぐ



とみ母「…」もぐもぐ



とみ「亨さん、とっても美味しいです」




亨「ありがとうございます」



亨「鰤と鮃、そして、マグロの刺身です」



とみ父「ふむ」



とみ母「…」もぐもぐ



とみ「綺麗だな」



亨「甘鯛の若狭焼きです」



とみ「初めて見た…」



亨「天ぷらです」



とみ「カリカリしてプリっとしてる」



亨「ムカゴの炊き込みご飯と粕汁です」



とみ「暖まるな」



亨「デザートのお汁粉です」



とみ「わぁ!大好きなんです」



亨「それは良かったです」


25 : いえーい!名無しだよん! :2014/12/05(金) 23:46:28 P8RhcfUI0
両親、親方とも素敵な大人だ。
見て覚えるというのがとみ、亨とも職人的だ。


26 : いえーい!名無しだよん! :2014/12/06(土) 03:04:08 eb2kwEEg0
亨「如何でしたでしょうか?」



親方「まだまだ、未熟な部分もあったかと思います」



親方「でも、こいつは…亨は寝る間も惜しんで必死に食らいついて来ました」



親方「お願いします、認めてやって下さいお願いします!」



亨「親方…お願いします!」



とみ「お父さん、お母さん、お願いします!」



とみ父「亨さん」



亨「はい」



とみ父「こちらこそ、娘を宜しくお願いします」



とみ「じ、じゃあ…」



とみ母「貴方の娘への想いは本物です」



とみ母「試すような事をして、本当にごめんなさい」



亨「そんな事、僕は当たり前の事をしただけです」



とみ母「それから、とみ」



とみ「は、はい」



とみ母「良く亨さんを想い続けましたね」



とみ「好きだからだよ」



とみ母「偉いですよ」



とみ「ありがとう、お母さん」



とみ父「よしっ、式の日取りや新居も探さないとな!」



とみ父「忙しくなるぞー」











唯「お父さんもお母さんも大張り切りだね」



とみ「特にお父さんはねぇ」



憂「あ、あのさお婆ちゃん///」



とみ「なんだい?憂ちゃん」



憂「そ、その…初めてだったんだよね?///」



とみ「何をだい?」



憂「キ、キスとかそれ以上の事とか///」


27 : いえーい!名無しだよん! :2014/12/06(土) 06:23:02 niQiuAz.0
とみ「そりゃもちろん初めてだったよ」



唯「う、憂///」



憂「だって、私達も何れするんだよ///」



憂「痛いんだよ?怖いもん…」



唯「う、うん…」



とみ「唯ちゃん 憂ちゃん」



とみ「何にも怖がる事なんてないんだよ」



唯憂「…」



とみ「大好きな人に身も心も委ねなさい」



唯「身も心も…」



とみ「そうだよ、そうすれば怖さよりも痛さよりも幸せな気持ちが勝るから」



憂「そ、そうなの?」



とみ「そう思えるくらい大好きで大切な人とするんだから」にこっ



唯「わかった、私達も何れ見つかるかな?」



とみ「見つかるさ、みんな心優しい子ばかりだからねぇ」



憂「わかったよ、お婆ちゃん」



唯「式の前日はどんな感じだったの?」



とみ「普段は涙なんか見せない両親が涙ぐんでたのが印象的だったよ」











とみ父「明日は結婚式だな」



とみ「うん」



とみ母「今夜は早く寝なさい、お化粧のノリが悪くなるから」



とみ「わかりました」


28 : いえーい!名無しだよん! :2014/12/06(土) 10:45:43 i0aXC4GA0
とみの部屋



とみ「眠れないな…」



とみ「今日で最後なんだな」



とみ「お父さんもお母さんも寂しいんだろな」



とみ「今、私に出来る事って…」



とみ「そうだ!」



とみ「布団を持ってと」




両親の部屋



とみ母「あなた、今日で最後なんですね」



とみ父「そうだな」



とみ母「寂しいですか?」



とみ父「寂しくなんてないさ」



とみ母「まだまだ、子供だと思ってたら大人になりましたね」



とみ父「体は小さいままなのにな」



とみ母「不思議な感じですね」


とみ父「あぁ」



とみ「お父さん、お母さん」



とみ母「とみ、早く寝なさいと…」



とみ「よいしょっと」



とみ父「おいおい、どうしたんだ?」



とみ「今日は3人で寝るんだよ」



とみ母「とみ…」



とみ「私ね、今凄く幸せだよ」



とみ父「うん」



とみ「2年会えないと言われた時は二人とも嫌いになりそうだった」



とみ母「…」



とみ「でも、二人とも誰よりも私を愛してくれた」



とみ「私だけじゃない、亨さんの事も思ってくれていた」



とみ「だから、凄く幸せだよ」



とみ父「…」



とみ「お父さん、お母さん私を育ててくれてありがとう」



とみ「二人の娘として生まれて来て良かったです」



とみ母「馬鹿…」ぐすっ



とみ父「…」ぽろぽろ



とみ「えへへ」ぎゅっ



とみ「こうやって、3人で手を繋いで寝るのも久しぶりだね」



とみ「おやすみなさい」



とみ母「…」ぐすっ



とみ父「…」ぐすっ


29 : いえーい!名無しだよん! :2014/12/08(月) 01:06:56 3UcNYS.60
唯憂の相の手が可愛らしい


30 : いえーい!名無しだよん! :2014/12/10(水) 16:56:24 e81JtFSk0
唯「お父さんもお母さんも嬉しかったんだね」



憂「私達がお嫁に行く時、お父さんとお母さんどんな感じだろ?」



唯「喜んでくれるかな?」



とみ「そりゃ、嬉しいと思うよ」



憂「結婚して喧嘩とかした?」



とみ「大きな喧嘩はなかったけど、一度泣いてしまってねぇ」



唯「な、何で泣いたの?」










亨「ただいま、とみ」



とみ「ぐすっ…ひっぐ…」



亨「とみ、どうしたんだい?」



とみ「煮物を…煮物を焦がしてしまいました…」ぐすっ



とみ「あなたは一生懸命働いて帰って来るのに私…私…」



とみ「ごめんなさいごめんなさい…」



亨「とみ」



とみ「は、はい」びくっ



亨「一緒に作り直そう」にこっ



とみ「あなた…」



亨「一緒に作れば直ぐ出来るさ」



とみ「あなた、怒ってないの?」



亨「僕だって.失敗する事もあるさ」



とみ「…」



亨「だから、泣かないでおくれ」



とみ「あなた…はい」











唯「旦那さん、優しい…」



とみ「あの人は私が失敗しても決して責めなかったんだよ」



憂「だから、お婆ちゃんは私がお料理を失敗しても怒らず何度も教えてくれたんだね」




唯「結婚生活は何れくらいだったの?」



とみ「3年だよ」



憂「さ、3年?」



とみ「そうだよ、私が二十歳になる前に彼は亡くなってしまってねぇ」




唯「じゃあ、その間ずっとお婆ちゃんは一人だったの?」



とみ「そうだねぇ、あの人が死んだ時の事は昨日の事のように覚えてるよ…」


31 : いえーい!名無しだよん! :2014/12/11(木) 13:06:48 Ps2r.e4k0
とみ「今日も美味しい物作ってお部屋を綺麗にしてと」




とみ「お布団も干さないとね!」



とみ「ふかふかのお布団で亨さんの温もりに包まれて寝るんだ」



とみ「そして、その後は…」



とみ「///」ごろんごろん



とみ「私ったら、昼間っからもう///」



ジリリーン



とみ「あっ!電話だ」



とみ「もしもし、一文字ですけど?」



とみ「えっ?亨さんが?」



とみ「わかりました、直ぐ向かいます」



とみ「嘘、だよね…」





病院



亨「」



とみ「…」



とみ父「子供を助ける為に轢かれたそうだ…」



とみ母「即死だったそうよ…」



親方「馬鹿野郎、良い事したのに褒めてやれねぇじゃねぇか…」



とみ「…」



とみ父「とみ…」



とみ「私、帰らないと」



とみ母「何を言ってるの?」



とみ「亨さんに美味しい物作ってあげないとね」



親方「と、とみさん?」



とみ「今日はカレーだから、しっかり煮込まないといけないから帰らないと」



とみ「疲れて帰って来るんだから」



とみ「そうだよね?お母さん教えてくれたもん」



とみ母「とみ、辛いのはわかる」



とみ母「でも、亨さんはもう…」



とみ「何?」



とみ父「亨君は死んでしまったんだ…」


32 : いえーい!名無しだよん! :2014/12/11(木) 17:20:34 EPL.zE/I0
とみ「…」






唯「…」



憂「…」



とみ「あの人が死んだ事を受け入れられなくて、あの人の好物を作れば帰って来ると思ってしまってねぇ」



とみ「毎日毎日、カレーを作ったんだよ」










とみ「…」コトコト



とみ母「あなた、またカレーを…」



とみ「…」



とみ母「とみ、何度も言うけど亨さんはもう…」



とみ父「母さん」



とみ父「そっとしといてやろう」



とみ母「でも、このままじゃ…」



とみ父「いいから」



とみ母「わかりました…」




とみ「…」











唯「お婆ちゃん…」



憂「どうやって立ち直ったの?」



とみ「親方さんが、あの人の日記を持って来てくれてねぇ」











親方「そうですか、まだとみさんは…」



とみ母「私もどうして良いのか…」



親方「こないだ、亨の荷物からこれを見つけました」



とみ母「これは日記?」



親方「このページを読んで下さい」



とみ母「こ、これは…」










とみ家



とみ母「とみ、ちょっと」



とみ「…」



とみ母「この、日記を読みなさい」



とみ「…」



とみ母「亨さんの貴女への気持ちが綴られています」



とみ「カレー作らないと…」



とみ母「とみ、読んで!お願い」



とみ「…」ペラッ



○月○日


とみの好きな所



とみの笑ってる顔がこの上なく好きだ
小さな体を目一杯使って家事をこなして上手く行った時の満面の笑顔が好きだ
いつも、笑っていて欲しい
とみの笑顔を守りたい
万が一僕が先に死ぬような事があり
君の笑顔を曇らせてしまったなら
それは僕にとっても寂しい事
でも、ずっと見守りたい
星座になって君を見守りたい
とみが笑顔になれるまで。


33 : いえーい!名無しだよん! :2014/12/11(木) 17:48:31 EPL.zE/I0
唯「自分の死を予感してたような日記だね…」



憂「でも、お婆ちゃんへの深い愛が伝わるね」



とみ「その日記を読んで私は初めて泣いたんだよ」



とみ「泣いて泣いて泣いて、泣き止んだ時に漸く死を受け入れる事が出来たんだよ」



唯「たった3年なんて可哀想だよぉ…」



憂「うん…」



とみ「唯ちゃん 憂ちゃん違うよ」



唯憂「えっ?」



とみ「他の人から見たら、たった3年かもしれない」



とみ「でも、私にとっては50年にも60年にも匹敵するくらい幸せな時間だったんだよ」にっこり



唯「そっかぁ、私もお婆ちゃんの笑顔を見ると安心するよ」



とみ「あの人が見守ってくれているから」



とみ「悲しい時や寂しい時も笑顔で居ようと決めたんだよ」



とみ「嬉しい時や楽しい時はそれ以上の笑顔でねぇ」



唯「私も笑顔を心掛けるよ」にっこり



憂「私も」にっこり



とみ「うん」にっこり



とみ「さぁさぁ、年寄りのお話は終わりだよ」



とみ「クリスマスイブなんだから、二人ともお友達の所に行きなさい」



唯「うん、わかった」



憂「わかったよ、お婆ちゃん」











平沢家



和「とみお婆ちゃんにそんな過去が…」



唯「だから、明日はクリスマスでしょ?」



憂「こうしませんか?」



和「いいわね、やりましょう!」










クリスマス



とみ「去年の今頃は若返っていたんだねぇ」



とみ「お墓参りも年々きつくなってきたねぇ」



とみ「よいしょよいしょ」




とみ「あ、あれは…」


34 : いえーい!名無しだよん! :2014/12/11(木) 18:03:39 EPL.zE/I0
律「みんな、ピカピカにするぜ!」



澪「お婆ちゃんも亨さんも喜んでくれるかな?」



紬「きっと喜んでくれるわ〜」



梓「親方さんのお墓も綺麗にしましょう!」



純「楽しくなってきたね」



姫子「直ぐに綺麗にするからね」



憂「あっ!お婆ちゃん」



とみ「み、みんな…」



唯「エヘヘ〜お婆ちゃんも来るだろうと思って掃除に来ました!」



律「今日は私達に任せなって」



澪「あそこの休憩所なら暖かいから」



紬「終わったら直ぐ呼びます」



梓「期待して下さい!」



純「帰ったらクリスマスパーティーですからね」



和「皆でご馳走作るから」



憂「楽しみにしててね」



姫子「お正月は初詣にお節も作るからね」



とみ「ありがとうありがとう…」ぐすっ



唯「お婆ちゃん、笑顔だよ」にっこり



とみ「そうだったね」にっこり



あなた、孫娘の笑顔が見えますか?



とても良い笑顔ですよ



今年のクリスマスも



とっても暖かいです



律「終わったな!」



澪「綺麗になったな」



紬「お婆ちゃん、呼んで来るわ〜」



梓「お婆ちゃん、終わりましたよ」


35 : いえーい!名無しだよん! :2014/12/11(木) 20:50:38 tKpchqgk0
とみ「ピカピカだねぇ」



とみ「綺麗なお花も供えてくれたんだねぇ」



とみ「ありがとう、皆」



律「礼なんて良いって」



澪「やりたくてやった事なんだから」



梓「そうです、私達も楽しかったから」



紬「お婆ちゃんの笑顔を見たかったの〜」



純「お婆ちゃんは私の憧れだから」



姫子「あれから一年、早いね 」



憂「さぁ、お婆ちゃん」



和「皆で拝みましょう」



唯「うん、そうしようよ」



とみ(あなた、私はこんなにも優しい孫娘に囲まれてますよ)



とみ(安心して下さい、私はまだまだ元気ですよ)



唯「じゃあ、行こっか」



とみ「そうしましょう」



とみ「じゃあ、あなたまた来ますからね」



ありがとう



全員「へっ?」



律「今、声が聞こえたよな?」



澪「亨さんかな?」



紬「きっと、そうね」



梓「やっぱり、見守ってくれてたんですよ」



純「うん、皆の事をね」



和「愛の力は凄いわね…」



唯「私も何時かは…」



憂「子供を連れて来たいね」



とみ「あなた…」






とみ、君には笑顔が良く似合うよ



おしまい


36 : いえーい!名無しだよん! :2014/12/12(金) 02:27:00 lLtydZZs0
とみさんの人生は壮大なものだったんだね。
ほっこりできるSSをありがとう。


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