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純「社長になっても」
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4月某日夕方
帝人 大阪本社 社長室
純「さて…」
秘書「社長、この後17時より役員会議です」
純「ごめん、パス」
秘書「はい、わかりま…ええっ!?」
純「ちょっと急用がね。ごめん」
秘書「そんな!?まだ社長就任したばかりですのに、いきなり会議欠席はさすがに…」
純「ほんとごめん、どうしても外せないの!あれの話題なら、その通りでOKって言っといて!基本ヘルスケア推しで基礎化学品は削減だからさ!」
秘書「は、はぁ…」
純「んじゃ!お疲れ〜」
秘書「あ、お待ちを!…もう、役員時代から変わってませんねぇ…いやもう平社員時代からずっとか」
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………
新幹線内
純「ふぅ〜、抜けられた抜けられた」
純「誕生日ぐらい休ませろってーの!もう」
純「しかも…昔馴染みのお誘いときたら、ねぇ。そりゃこっちを選ぶよね、普通普通!」
純「社長がワーカホリックじゃダメダメ、社長は社員の鑑じゃないとね〜、うんうん」
純「…さぼってちゃ鑑じゃないでしょ、という梓のツッコミと…」
純「…まぁまぁ梓ちゃん、という憂のフォローと…」
純「はぁ、勝手に脳内再生されるわ。まぁ、これからそれがリアルに繰り広げられるわけだけど」
純「ふふ、さて着くまで寝よっかな」
ピリリリ
純「…はいはい、わかりましたよ、テレビ会議出りゃいいんでしょ、まったく。それくらいはしとくか〜…」
ピッ
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………
名古屋駅
純「いよっし!ついに真の意味で解放された!」
梓「純〜!」
憂「純ちゃん!」
純「おおー!久しぶり二人とも!!わざわざ関西まで出てきてくれて悪いね」
憂「全然いいよ〜、純ちゃんこそ忙しいのに予定合わせてくれてありがとう」
梓「ギリギリまで、来れるかわかんなかったんでしょ?」
純「まぁね。てかダメだったんだけどね」
梓憂「「えっ!?」」
梓「ちょっと純、まさかサボって…!?」
純「あはは…まぁいいっしょ」
憂「悪いことしちゃったね…」
純「いやいやいいって、責任は私が負うし」
梓「もう…社長がこんなんじゃ社員に示しつかないでしょ」
純「…ぷっ」
梓「なんで笑うの!」
純「あは、ごめんごめん。予想通りのこと言われちゃったからさ。まぁまぁとにかく立ち話もなんだしお店行こうよ、どこだっけ?」
憂「こっちこっち。おいしいとこ探したんだよ〜」
梓「『マジで退屈なこの街に、最近ちょっとキテる店ができた』って感じのお店だよ」
純「ちょ、仕事のこと思い出させないでよ!」
梓「ほーら、行くよ純」
純「待て〜!」
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………
名古屋市内 レストラン
梓「それじゃぁ…純の」
憂「誕生日を祝して」
純梓憂「「「かんぱーい!!!」」」
純「はぁ、極楽…」
梓「ふふ、そんなに仕事嫌なの?まぁ純らしいけどね」
純「え〜、だって別に、ねぇ。梓こそ仕事楽しいの?」
梓「ううん、別に」
純「でしょ?それとおんなじ、私も別に昔から変わってないから」
憂「でも純ちゃんは十分すぎるぐらい頑張ってるよ?」
純「まぁ、頑張ってはいるけどさ…」
梓「ほんと、いつの間に社長に…って感じ。あ、社長就任おめでとう」
憂「おめでとう!」
純「あー、ありがと」
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憂「懐かしいね。純ちゃんが『髪の毛ストレートにする薬作る!』って言って薬学部志望して」
梓「そうそう、そうだった。それで意外にあっさり受かっちゃうからあなどれないよね、純」
純「梓、私のイメージ昔っからそれだよね。ベースも意外と上手いとか言われまくったしさ」
梓「ごめんごめんって」
憂「梓ちゃんは恥ずかしがり屋だから素直に言わないけど、本当は純ちゃんの実力を認めてるよ?」
梓「ちょ、憂!」
純「あっはは!なんか憂、だんだんズバズバ言うようになってきたよね」
憂「そうかなぁ?」
梓「…ごほん!まぁ、別に認めてないわけじゃないし。てか認めざるを得ないでしょ、社長だよ社長?」
純「へっへーん!社長様だぞ〜!」
憂「純ちゃんはいつまでも変わらないよね…」
純「そうかな?一応社長だし見なりとか気をつけてはいるけど」
梓「見なりもいいけど振る舞いを…サボるとか職権乱用でしょ」
純「う〜、いいでしょもう。こうして集まれたんだからよかったではないか!」
憂「そうだね、こうなっちゃったらもう気にしないで楽しもう!」
純「そそ!ほら、早く食べないと冷めちゃうよ〜あむっ、あっこれおいしいもぐもぐ」
梓「結局見なりも気にしてないし…ふふ、まぁいいか」
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"
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憂「そうだ、それで純ちゃんが大学に入って…大学院に行って…」
梓「やっぱり意外だったよね。あの純が研究だよ」
純「もう、どんだけ私のイメージ悪いのさ。むしろ似合ってるでしょ、私結構没頭するタイプだし」
梓「すぐ飽きるけどね」
純「まぁそれは否定しない」
憂「それで、宣言通り髪の毛ストレートにする薬を作るために今の会社に入ったんだよね。ほんとすごいなぁ」
純「そう言うと聞こえいいけど、就活の結果ここに決まったってだけで、第一志望じゃなかったしなぁ。てかウチ、髪の毛の薬なんか作ってないし…」
梓「まぁそんなもんだよね、就活って。むしろそれでこんだけ大きい会社に入ったんだから十分すごいよ」
憂「いつの間にか社長さんだもんね」
梓「ほんと、どうしちゃったの純?私未だに、目の前のこの人物が大手企業の社長だなんて信じられないんだけど」
純「私自身、何でここまで来ちゃったのかわかんないけどさ。いつになったら髪の毛の薬作れるの!って言い続けてがむしゃらにやってたらいつの間にか社長になってた」
憂「すごいなぁ…」
梓「どんどん薬から遠のいてるよね」
純「ホントだよ!薬作ってんのはほんの一部で、元は繊維の会社だからね」
憂「でもこれから薬に力を入れるって言ってたよね?チャンスじゃない?」
純「お、よく知ってるね憂。その通り、だからこそ製薬畑出身のこの純ちゃんに白羽の矢が立って社長になれたってわけよ」
梓「へぇ、そうだったんだ。じゃぁ今度こそ髪の毛の薬作れるんじゃない?」
純「まぁそう単純には行かないんだけどね…会社の方針ってもんがあるし…はぁ…」
憂「ふふ、純ちゃん社長なのに普通の社員さんみたい」
純「社長も大変なのよ」
梓「こうやって話してると完全に一般人だけどね…」
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憂「昔から変わらないよね、この三人で話すと」
純「ホントホント。気が楽でいいわ、このメンツだと。てか、会話のノリが高校のときから変わってないし」
梓「言えてる。これ、私達の会話を文章だけで表したら年齢わかんないよきっと」
憂「…確かにそうかも?」
梓「まぁ実際は…」
純「ストーップ!!!歳の話はやめやめ、私永遠の17歳だから」
梓「それはさすがに無理が…」
憂「ふふ、純ちゃん若々しいし本当に17歳でも通じるよ」
純「でっしょー?」
梓「うわ、その星飛ばしてそうなウインクやめなよ…」
純「うっさいな!」
憂「梓ちゃんもずっと可愛らしいから17歳でいけると思うよ?」
梓「え…!?いやいや、それはないし!」
純「ふむふむ、梓もあの頃みたいにツインテールにすればイケるんじゃん?」
梓「ないない、恥ずかしいって!」
憂「えー、可愛いと思うけどなぁ」
梓「憂こそ、んーと、17歳ではないけど、こう、若奥様というか…」
純「永遠の27歳奥様って感じの色気漂ってるよね」
憂「わ、私はそんな…」
梓「その初々しい反応が流石だわ…」
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純「はぁ〜、なんか楽しい」
憂「どうしたの純ちゃん、改まって?」
純「え、いや…なんつーか…社長になっても分け隔てなく接してくれる友達のありがたさというかさ…いつまでもこうやって昔みたいにおしゃべりできることが…」
梓「…ぷっ」
純「何笑ってんのさ!」
梓「どうしたのさ純、らしくないこと突然言って。高校のときの純だったらそんなしんみりしたこと絶対言いそうにないんだけど。あ、やっぱ歳…」
純「前言撤回っ!この梓めー!!」
梓「ちょ、乗り出してくんな!!ここレストラン!高級レストランだから!」
憂「純ちゃん!めっ!」
純「ぐ…ごめんごめん」
梓「まったく…社長としての振る舞いどうこうとか以前に子供じゃん…」
純「…ぷぷ…あっはっは!」
梓「ちょっと…何が面白いの…ぷぷ…ぷくく…」
憂「ふふ…もう…変わらないなぁ…」
純「あっはは!はぁ、はぁ〜おっかし〜!」
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………
店の外
純「いやー美味しかった!悪いねおごらせちゃって」
梓「ううん、純の誕生日なんだから当たり前でしょ」
憂「社長さんにおごるなんて中々できない経験だよね」
純「確かにおごられるのとか超久しぶり、ごちそうさま!」
憂「純ちゃん明日も忙しいんでしょ?」
純「まぁね…。ま、なんとかするって!」
梓「あぁ私も明日が憂鬱…」
純「社会ってのは理不尽だ!」
梓「…つくづく社長の言葉とは思えないけど同感」
憂「じゃぁ明日もあるし、そろそろお開きかな?」
純「うん。2人ともホント今日はありがとね!」
梓「うん。また仕事の都合ついたら会おうよ」
憂「いつでも駆けつけるよ〜」
純「おお、心の友よ〜」
梓「んじゃ、またね純!」
憂「またね〜」
純「またねー!!」
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………
新幹線内
純「はぁ…楽しかった…」
純「あ〜……」
純「髪の毛ストレートの薬作るって…忙しすぎてしばらく忘れてたな…」
純「憂や梓が言うように、今から始めてみようかな?」
純「…ふっふーん…よーし…」
純「とりあえず、化粧品会社買収だ!!!」
おわり
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帝人社長に鈴木純取締役常務執行役員
http://www.senken.co.jp/news/28934
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乙
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純ちゃんって東大理学部だったんだな。
凄い!
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