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澪「乙女見がち」
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彼女はいつも私を見ていた。
授業中、彼女は先生に怒られるといつも後ろへ振り返り、ぺろっと舌を出して私を見ていた。
ステージに立つ時、私が緊張で震えていると、彼女は「私がちゃんと背中を見てるから」と言っていた。
帰り道、私の隣で歩く彼女は陽気にはしゃぎながら馬鹿話ばかりしていた。
私がやれやれとその話に付き合うと、彼女は目を輝かせて聞いていた。
ひょんなことで彼女と喧嘩して涙を隠そうと顔を伏せていると、彼女はそっと私の目を拭い、「ごめんな」って申し訳なさそうに私を見つめていた。
彼女が辛い時、私が心配して彼女の下に近寄ると、その時だけは彼女は黙って私から顔を背けた。
でも、暫くすると彼女は視線を私に戻し、声をあげて泣いていた。
ある日、私はふと思い立って彼女に聞いてみた。
「どうしていつも私を見てくれてるの?」
すると彼女は、ほんのちょっとだけ困ったようにはにかんで、それでもしっかりと私を見つめて、こう答えた。
「澪が私を見てくれてるからだよ」
「授業中でも、ステージの上でも、帰り道でも、喧嘩した日でも、辛い時でも」
「いつだって、澪は私を見てくれてたんだ」
「私を見てくれる、そんな澪が好き」
そっか。
私も彼女を見ていたんだ。
出逢ってから、今に至るまで、ずっと。
「だからね、私はこれからもずっと見ているよ」
「乙女で夢見がちな澪ちゃんをね」
照れ隠しのつもりか、私を煽るように言葉を選んだ彼女。
けど、私もずっと彼女を見てきたんだ。
こんな時どうすればいいのかぐらい知ってる。
「じゃあ私も」
「私も、律をずっと見ていたい」
そう言って彼女に微笑みかける。
頭を叩かれるだろうと身構えていた彼女は面食らい、ぽかんと口を開け、顔をみるみる赤くしていた。
私達、二人で夢見がち。
あなたの前でだけ、乙女見がち。
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バレンタインだからバレンタインネタを書かなきゃいけないと誰が決めた。
時間もネタも無かったので短いけど、律澪万歳てことで。
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