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【観覧注意ss】快楽殺戮 【型月】
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半年前、経営難により廃墟になったバー。
地下にあるバーは光がなく漆黒、ランプの灯りだけが光を照らしている。
音は漆黒に吸い込まれて消えていく。
しんとして、その場全てが死んだような錯覚。
唐突に。
一つの音が消えず耳を通り抜け、現実に戻される。
「ひ、ひぃ、な、なにうぇあ」
空き瓶や食べ残したジャンクフードに囲まれたカウンター前に三つ目の肉片が誕生した。
肉片。
人だったもの。
三つの肉片に囲まれた男は、目を見開いて震えていた。
「や、やめてくれ」
何を否定しているのかわからない。
男も何を否定したのかわからない。
男の前に出来た肉片は一瞬だった。
自分でも驚く程の時間で、人は人じゃなくなっていた。
理性も思考も追い付かない。
「お、お願いだ、俺が悪かっただからーーーーー」
聞いてるだけで不快な声。
こんな嘘だらけの言葉は聞きたくなかった。
ならーーーーしてあげましょう。
「ーーーーーーーーーー」
言葉じゃない、獣の呻きでもない。
声ではない音。
男の右肘は曲がっていた、本来曲がるはずの90度をこえ反対側に。
心もーーーーしてあげましょう。
「い、いた、ぃ、やめーーーーー!」
私がやめてと言ってもやめてくれなかった。
私が痛いと言っても悦んでいた。
「いたい、いたあぎょあ」
いたい、いたい、いたい。
私もこんなに痛いのに。
絶叫が耳に気持ちよくこだまする。
私はただーーーーしてあげてるだけ。
左足は右に曲げましょう。
右足は左に曲げましょう。
「ーーーーー凶れ」
ネジのようにくるくる回転していく。
くるくるくるくる。
異質な音がした。
壁に飛び散る。
赤い、赤い、赤い。
血。
腕が。
足が。
「ーーーーー凶れ」
さいた、割いた、裂いた、咲きました。
自分の痛み、他人の痛み、その刹那。
他人との痛みを共感できるこの瞬間だけ浅上藤乃が生きていられる時間。
その事にまだ気付いていない、浅上藤乃の前に新たな肉片ができる。
ランプの灯りに照らされた浅上藤乃。
確かに彼女の口元は小さく笑っていた。
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1、 快楽殺人 ↑
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私がまだ子供の時、おままごとをして遊んでいました。
オモチャの包丁の中に一つだけ本物があって、気がついたら辺りが血で真っ赤になり母に抱き抱えられて叱られてました。
治療をされ母に言われた言葉を今でも覚えてます。
藤乃、傷は治れば痛まなくなりますからねーーーーー
私はその意味が今でもわかりません。
だって刺された傷は治った筈なのに。
何でこんなに痛いのかわかりません。
痛い、痛い、痛い。
私を犯して刺した人たちは、四つまで殺しました。
本当は殺したくなかったけれど、殺さなければ私が殺されてました。
だから仕方の無いことなんです。
仕方のないことだから、後一人殺さなければなりません。
だって私はこんなにも痛いんだから。
復讐しないと。
痛い、痛い、痛い。
治った筈なのに。
もう一人殺したらこの痛みも治るのでしょうか。
だからもう一人、殺せます。
探さないと。
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2、痛み ↑
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なんか怖そう
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3.電話
おかしい、おかしい、アイツはおかしい。
ヤバい、ヤバい、ヤバい、ヤバい、ヤバい、ヤバい、ヤバい、ヤバい。
いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ。
俺はあんな風に死にたくない。
あんなの人間の死にかたじゃない。
皆死んだ、アイツただ突っ立ってるだけなのに。
ーーーーーーーーーー。
「ひ、ひぃ!」
暗闇、唐突になる機械音。
アイツだ、浅上藤乃。
出てはいけないとわかっているのに。
出ないといけないとわかってしまう。
通話ボタンを押し、耳に当てる。
「こんばんは、啓太さん」
抑揚のない声が俺を呼ぶ。
返事か出来ない、空気が固まり、金縛りにあったかのように体が動かせない。
浅上藤乃は続ける。
「私今貴方を探してるんです。
貴方達に刺されたところが今もいたくていたくて、痛いんです」
違う俺じゃない。
「それで、私復讐しようと思って啓太さんに電話してるんです」
やめてくれ。
「でも中々居場所がわからなくて、カラオケ店?で働いてる啓太さんのお友達を」
俺が悪かった。
「本当は殺したくなかったんですけど、仕方がないので殺しました
くるくる曲がってネジみたいに」
嘘だ。
だって、皆を殺したときお前嗤っていたじゃないかーーーーー!
「‥‥許して、くれ」
「何をですか?」
「‥‥殺さないでくれ」
「もういいんです、だって私貴方を殺さないと」
話が噛み合わない。
常識が通じない。
「それで、あの啓太さんを見つけるまでお友達を殺そうと思うんです。
良かったですね」
ーーーーー友達が大事なら会いに来て下さい。
「それまで、電話は持っていて下さい。捨てても殺します。」
いつか貴方に会いに行きますから。
俺は電話を投げ捨てた。
いやだ、普通じゃない、狂ってる、狂ってる。
気が狂う。
浅上藤乃が俺を探してる間、俺は隠れているかとしか出来ない。
すぐ近くに来ている。
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ふじのんすき
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ふじのんは救われてほしい
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ふじのんだいすき
幸せになって
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やべぇよやべぇよ…
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4、快楽殺戮(前)
「私はあの人と違います」
気がつけばポツリ呟いていた。
だって私は人なんて殺したくないんです。
あんな、あんな殺人鬼とは違います。
街灯が点滅する道を歩きながら藤乃は思う。
瞬間。
浅上藤乃の顔が歪む、お腹を押さえて座り込む。
また痛みが戻ってきた、ああ。
ーーーーー私生きてるんだ。
多分苦痛で顔が歪んでるんだろう、泪が溢れているんだろう。
そんなこと今まで、人という鏡がなければ分からなかったのに。
今はわかる。
痛みが、感覚が。
その時の浅上藤乃は確かに泪が溢れ、顔は苦痛で歪んでいた。
でも、それ以上に愉しそうに笑っていることに。
浅上藤乃はまだ気がついていない。
コツコツ、コツコツ、人が歩いてくる音。
その音は私の数歩前で止まった。
「あの大丈夫ですか」
見上げると、仕事帰りの会社員だろうか、くたびれたスーツをきた男がたっていた。
「お腹いたいの?」
心配そうに私を見る。
「はい、とてもいたくていたくて」
「どうしよう、親御さんの連絡先わかるかな、良かったら僕の電話貸すけど、それとも救急車呼んだ方がいい?」
男は親切に私に話しかけてくる。
でも。
「だめです」
救急車を呼ばれでもしたら私は捕まってしまうかもしれない。
「だから駄目です」
「え」
何でーーーーーと男が言葉を、瞬間。
腕は曲がっていた。
「え、あ、あ」
「ごめんなさい、でも、私こうしないといけないんです」
いたい。
復讐するって決めたんです。
殺しに逝くって決めたんです。
「ーーーー凶がれ」
男の右腕をもう2回ほど左右に曲げる。
「、、、、、、、、、、、!」
男の眼は驚きと痛みで見開かれていた。
骨がむき出しになり周りの肉を巻き込みながら廻っていく。
血が飛び散り、跳ねた壁に不可思議なアートを飾っていく。
「ごめんなさい、本当はこんなことしたくないんです。
でも啓太さんに約束したんです」
いたい。
傷がいたい。
あの夜の痛み。
あの時の痛み。
「啓太さんが見つかるまで私、殺さなくちゃいけないんです」
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辺り一面、血、血、血。
血の海の中。
気がつけば私の前に死体があった。
まだ乾ききってないソレを私の足がピチャリ、と踏んだ。
私は蒸気した顔でソレを見る。
骨は割き剥き出し、裂かれた筋肉繊維に絡まり手足は捻れ。
まだ身体が温かく形を保っていた頃。
いたい、いたいと叫んでいた首は回転させすぎたのだろうか、綺麗に咲いていた。
胴体と下半身は離れ、何とか飛び出た腸や内蔵に繋がれている。
凡そ判別は出来ないが、辛うじて人と物の境界にいる。
うん、それでも死体。
人間の死体。
両儀式が言ったように肉片じゃなくて死体。
やっぱり異常なのはアノヒトで私は異常なんかじゃない。
先程まであった生の実感。
輝きがあった瞳は虚ろになり、感覚と共に痛みがひいていく。
‥‥名残惜しいけどこれでもう、殺さなくてすみます。
コレなら帰れます。
考えて気づいた、帰る?
何処に。
私にはもう帰る場所なんてないのに。
私はまだ帰れないのに。
それは本心で悲しいと思う。
でも、仕方のないこと。
まだ復讐は終わっていない。
「今夜も電話をしないと」
浅上藤乃は街灯が切れた道を歩き始める。
ーーーーー微笑みだけを残して
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続きいいゾ〜これ
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NaNじぇいってたまに菌糸類湧くよな
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私があった人は皆おかしなことをいいます。
私は異常だという。
私はおかしいという。
私は狂ってるという。
ーーーーー私は私は私は、ただ仕方なくーーーーしてるだけなのに。
今日一人殺しました。
昨日も一人殺しました。
その前も前も前も殺しました。
きっと明日も殺すと思います。
まだ傷の痛みがなおらないから。
ざぁざぁ、ざぁざぁ、雨が降ってます。
空は真っ黒で、濡れた身体はとてもとても寒いです。
痛みもあります。
なのに何でこんなにも温かくて明るいんだろう。
毎日毎日したくもないことをしているだけなのに。
明日する事を考えるととても辛い筈なのに。
いたい。
傷がいつもより痛みます。
もう、少し先に開発中の橋があります。
そこの建物に入れば雨風を防げそうです。
もう、藤乃は歩けそうにありません。
今までどんなにケガや病院をしたってこんなことはなかったのに。
辛いと感じるということは意識を失うこと。
ケガをしたってわかるのは動けなくなること。
それが私の世界。
でも、今はとても幸せで。
痛いのに、この痛みが愛おしく感じる。
ーーーーーああ、この瞬間だけ
こんなにも。
ーーーーー生きてて良かったって思える。
これが生きるってことなんですね。
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>>12
5、悲しみ
>>15
6、幸せ
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静けさから歩き出す
まだ見ぬ愛の景色へ
この痛みを信じたいの
夜を越えて
Kalafina 空の境界三章 痛覚残留
おわり
考えたけど何か最後は>>15でいいかなって思いました。
幹也は式が好きなので絡ませるのは何か違うので。
花嫁修業相手はよくわからないし。
またきたら書きます。
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乙
楽しみにしてるゾ
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型月特有の(レ)被害者ヒロイン
救いはないんですか?
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