■掲示板に戻る■ ■過去ログ 倉庫一覧■
【東方SS】妹紅「蓬莱山輝夜殺す」
-
生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く
-
「あら妹紅、今更何しに来たの?姫様なら月にお帰りになったわよ」
人の形にとっては寝耳に水の話でした。
「輝夜ったら妹紅にも話さずに行ってしまったのね。久しぶりの帰省で浮かれていたのかしら。あの子ったら……。
しょうがないから私から経緯を話すわ」
「ちょっと前に紅魔館の吸血鬼たちが月に乗り込んだでしょう?その時私は事前に月の民に襲撃を知らせていたの。
その件で少しだけ信用が回復してね、監視付で月に戻れることになったのよ」
「私は反対したんだけどね。どう考えても罠だし、あのくらいで私たちが許されるはずもないから。
でも輝夜がねえ……久しぶりに帰りたいって言うものだから」
「おまけに『永琳がいたらまた家から一歩も出さないでしょう!私一人で行くわ!』だなんて……。
今更反抗期かしら」
人の形は慌てて尋ねました。いったいあいつはいつ帰ってくるのか。
「ちょっと長めに滞在するつもりみたいだから……4,500年くらいかしら。うっかり1000年くらい過ごしちゃうかもねえ。」
人の形は驚きました。そんなに待っていられません。
「どうせ貴方も不老不死じゃない。姫様に振り回されるなんていつものことでしょう。
おとなしく待っていたら?」
「外の世界には携帯電話なんて便利なものがあるらしいじゃない。それがあれば貴方も輝夜と毎日話せたのにねえ。
『愛しの輝夜、寂しくてたまらないから早く帰ってきて』って狼煙でもあげたらどう?」
人の形は呆れて出ていきました。
-
「なんか見覚えのあるやつが来たわね。誰だっけ?」
人の形の足は妖怪の山とは別方向に向いていました。
人のあまり通った気配のない少し汚れた階段を登り、境内に入ったところで声をかけられました。
人の形は呆れました。
こいつは自分が殺した相手のことも覚えていないのかしら。
「退治した妖怪のことなんていちいち覚えてないわよ。……って、ああ、あんた竹林の」
一応まだ人間のつもりなんだけど。
「どっちでもいいわ。何の用?」
ちょっと旅の無事を祈っておこうと思ってね。
「旅?手ぶらで?この曇り空で?ひねくれ者ね。そもそもあんた死なないじゃん。
まあいいや。えーっとお守りはどこにしまったっけ」
いくら?
「タダでいいわ。その代わりお賽銭入れていきなさい」
回りくどいわね。
「こっちの方が信仰が貯まる感じがするじゃない。
はい、お守り。どこ行くか知らないけど気を付けて」
ありがとう、じゃあね。
-
人の形はとうとう妖怪の山にたどり着きました。
「あなた、人間?ここから先は危険よ。引き返しなさい」
くるくるくる。くるくるくる。
きれいなスピンをしながら誰か近づいてきました。
厄を吸い込む雛人形様です。
この先に用があるんだけど、どいてもらえる?
「問答無用で襲いかかってこないだけ巫女や魔法使いよりマシね。
私は人間の味方。貴方の身の安全のために忠告しているの。
……んん?あれ?貴方本当に人間?」
今日はよく疑われる日ねえ。人間よ、一応の一応。
「なんだか不思議な感触……。厄でいっぱいのようでもあり穢れがないようでもある。
人間っていつからこんな不思議パワーを持つようになったのかしら」
私は千年くらい前かなあ。
「千年?やっぱり妖怪じゃない。もうどっちでもいいわ。貴方強そうだし通しても平気でしょ」
随分適当なのね。弾幕で押し通れとか言わないの?
「そういうのは巫女と魔法使いで懲りたわ。強い人間の心配してもしょうがないもの」
-
カグコロスレかと思ったら本格的なSSスレで草
-
「あやややや。椛から連絡があったと思えば貴方とは。竹林から動くとは珍しい。何の用かしら?」
人の形は妖怪の山に入ったところで天狗に会いました。
すぐに通せんぼしてくるなここは、と少し鬱陶しく感じました。
ちょっと引っ越しがてら天狗さんに挨拶をと思ってね。
「引っ越し?ほほう、人里の強力な味方が移住ですか。これはスクープになりそうですね。
少々お時間よろしいですか?天魔様には私から挨拶しておきますので!」
これです。ネタになると見るや否やすぐさま下手に出て無理やり取材に漕ぎ着ける。
適当なことを言ったら興味をもたれてしまったな、と人の形はしまった、と思いました。
私は別にそこまで人里にいるわけじゃないわ。人里の守護者は慧音でしょ?
「いえいえ、貴方の存在もなかなかの抑止力となっているのですよ。
並の妖怪なら相手にもならないその妖術!困っている人を見捨てないその正義感!
加えてミステリアスなそのルックス!
人里の人間が安心して暮らせるのに一役買っていると思いますよ」
最後のは関係ないだろう、と思いつつ反応させることが目的とわかっているので無視。
「移住に踏み切ったきっかけは?やはりあの永遠亭の姫が関係しているのでしょうか!?」
「人里の安全に関して、上白沢さんおひとりで十分とお考えですか!?」
「あの姫はこの件に関してどうお考えでしょう!?」
「上白沢さんとの禁断の愛という噂が……」
-
人の形は家に帰って荷物を確認しました。最低限の食べ物と衣服しかありません。
まさかこんなに早くあいつがいなくなるなんてなあ。
こうもすぐに引っ越しすることになるとは思わなかったわ。
なんだかやるせない気持ちになった人の形は、荷物を持たずに歩き出しました。
「そうですか……。貴方がそう決めたのならば私が口を出すことはありません。
名残惜しいですがどうかお元気で」
ふらふら歩いて人里にたどり着いた人の形は、唯一の友人ともいうべき半人半獣に行き先を告げました。
月の姫がいなくなったら、妖怪の山に移り住もうと決めていたのです。
たまにはこっちにも帰ってくるわよ。何も永遠にお別れってわけじゃない。
「ええ、そうですね。私は立場上あまり人里から動けませんが……いつかは貴方を訪ねたいと思います」
そういえばあの山は蓬莱の薬を処分するはずだった山でしたね。岩笠氏のお墓参りとしてもぜひ一度訪ねなくては」
嫌なこと思い出すなあ。元はといえば私が悪いんだけどさ。
「すみません。しかし子供を教え導く立場としては安易に『忘れて生きろ』とは口に出来ません。
どうか罪を悔やんだうえで生きてください」
前は”辛い記憶を呼び戻させてしまった様ですね”とか言ってたのに。
「友人としての助言です。友に捻じ曲がってほしくないのは当然ですよ」
とっくに捻じ曲がっちゃってるよ。1300歳。
「そんなことを言うものではありませんよ。貴方は私の自慢の友人です。
貴方が自分を卑下すれば間接的に私を貶めることに……」
わかったわかった。慧音には敵わないわ。
-
いい加減限界だと思った人の形は、手から炎を出して天狗を焼き鳥にしようとします。
しかしそこはさすがに速さ自慢の妖怪、ことごとく躱されてしまいました。
「ねえ妹紅さん、ちょっとくらい答えてくださいよう。悪いようにはしませんから」
うっさい、あることないこと書かれるのはごめんよ。
人の形は苛立ち紛れに天狗をにらみつけました。
すると天狗は眉を顰めた後、ハッとした表情になりました。
「そういうことね……。ある意味スクープともいえるけど……。これはちょっと悪趣味すぎるわね。
ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。あとはせいぜい余生をご自由に」
天狗はそれまでと態度を一変させ、さっさと飛んで行ってしまいました。
なにがなんだかわからない人の形。とりあえず再び山を登り始めました。
-
「あれ、人間じゃん。こんなところで何してんの?」
人の形は山の頂上近くで小さな子供に会いました。
あんたも人間でしょう?こんなところにいたら危ないわよ。
「誰の心配してるのよ、人間ごときが。……いや違うな、人間もどきが」
また疑われるのね。いい加減慣れたけど。もしかしてあんた妖怪?
「長生きしてそうなのに鬼を知らないの?この前の異変で華々しく再起したと思ったんだけどな。
それにほかの妖怪風情と一緒にしてくれるな。私は鬼。山の四天王の伊吹萃香様よ」
おに?幻想郷に鬼なんているんだ。知らなかったわ。
「私はあんたのことを知ってるわ。竹林でお姫様といつも茶番の殺し合いをしていたわね。
死なない癖に命を軽々と使って、お遊びに本気になることのまるで反対。
本気のことにおちゃらけて、命を道具みたいに使ってる」
-
……まさか妖怪から命について説教を受けるとは思わなかったわ。
好きで死ねないわけじゃない、輝夜のせいよ、この不便な体は。
「理由なんてなんでもいいのさ。命がけで強い者に立ち向かう度胸もないやつが人間面するなってことよ。
鬼と人間の絆に埃がつく」
初対面で散々言ってくれるね、お嬢ちゃん。
「言ったでしょ?私はあんたのことを知っている。あんたがこの山に来た本当の理由も」
……ただの引っ越しだけど。さっきの天狗もだけど、なんでみんなそんなピリピリしてるのかしら。
「鬼は嘘が嫌いだ。もちろん自分に嘘をついているやつもねえ。
さっさとかかってきなよ、お前になんか絶対負けてやらない」
鬼さん鬼さん、私と殺し合いをしてくださいな
罪深い姫様のように、命を削ってくださいな
「自殺志願の人間もどきが。死にたいからってギロチンの紐を人に押し付けんな。
それじゃあね、死に損ない」
-
独特の雰囲気でいいゾ〜これ
-
ひとしきり妖怪の山を登った人の形は、とりあえずひと休みとすることにしました。
わけのわからない喧嘩を吹っ掛けられてくたくただったのです。
と、そこで一人の天狗が近づいてきました。
今度は突撃ジャーナリストの彼女ではないようで、人の形はほっと胸を撫で下ろしました。
「そこの方、少々お時間よろしいだろうか」
さっきの天狗と同じような文句で話しかけてきました。
人の形はちょっとだけ警戒心を引き上げます。
「そう構えなくてもいい。上司から貴方を案内するように遣わされただけだ。
申し遅れた、私は犬走椛という」
どうやらこの白い天狗は彼女の部下のようです。
人の形はもうちょっとだけ警戒心を引き上げます。
-
「ううん、困ったな。敵対する気はないんだが」
案内ってどこに連れていくつもり?天狗の本拠地かしら。
「いや、違う。射命丸は貴方の目的を見抜いていた。天狗に挨拶というのが建前ということも」
目的ってねえ……。まあいいや、それでどこに連れていってくれるの?
「天界だ。この妖怪の山のはるか上にある」
……いや、私はこの山に引っ越すつもりなんだけど。
「貴方にとってはそちらの方が都合がいい、と射命丸は言っていた。
どこまで見抜いているのか知らないが、一応は命令だ。どうか協力願いたい」
人の形は仕方なしに天界へと向かうことにしました。
なんで自分はすんなり受け入れているんだろうと疑問に思いましたが、逆らえば哀れな白天狗がおしおきされてしまうであろうことに同情したのだと自分を納得させました。
-
「天にして大地を制し、地にして要を除き」
「人の緋色の心を映し出せ」
「なーんて格好つけて出てきたはいいけど、私何もやってないわよ?」
天界に着いていきなりの遭遇です。さすがの人の形もいきなりの登場にはびっくり。
いきなりなんなのさ、何もやってないのはこっちも同じだよ。
あれよあれよとここに来ることになったんだ。
「ふうん、どこのどなたか存じませんが、なーんか恣意的なものを感じますね。
具体的にはここに”萃”められたような」
集められた?私はただここに来るように言われただけなんだけど。
「なんとなく抵抗がなかったんじゃないの?普通いきなり天界に来いなんて言われたら断るでしょう。
それでもここに来たのはあの小鬼の仕業ね。まったく面倒を押し付けてくれるわ」
初対面で面倒呼ばわり……。貴方もあの鬼と同じくいい性格してるわ。
「はいはい、そんなことどうでもいいわ。さっさと済ませましょ。
私が呼ばれたってことはどうせ緋想の剣を期待されてたんでしょうし、現に私の手の中にある。
あの小鬼に操られてるようで不愉快だけど、貴方を放置するのも可哀想だしねえ」
-
何言ってるかよくわからないけど、貴方が”私の目的”なのかしら。
「ちょっと黙ってて。ふんふん、あんたの気質は『曇天』。決して晴れない何かを晴らそうとする。
蒸し暑くて気分が沈む嫌な気質ね。
ふーん、あんた何か過去に悪いことでもしたの?で、それを引きずってる、と。
上昇気流で雲を払おうとしたら逆に天気が悪くなるでしょうに」
なにそれ、占い?
「もっといいものよ。まあ私から一つ言葉を渡そうかな。あんたが受け入れるとは思わないけど」
何?
「好死不如悪活 好死は悪活に如かず」
-
\てんこー/
-
……何それ?
「知らないの?貴族っぽい気質を感じたんだけど」
私はまともな教育を受ける前に家を出たから。
「そ、まあ興味ないわ。じゃあこれで私の役目はおしまい」
ちょっと待った、私はどうすればいいのよ?
「さあ?私は知らないわよ。でも答えはもうそろってるはずよ。
何せここは天界。輪廻転生から外れた桃源郷」
「貴方の旅の終わりに相応しい最後の地」
…………………………………………………………。
「さよなら不死の貴族さん。もう会うこともないでしょう」
-
人の形は限界でした。
人の形は人でした。
不死の身になり炎の妖術を身につけても人間でした。
1300年は長すぎました。
この上1000年は無理でした。
唯一の敵を1000年喪うのは耐えられませんでした。
だから妖怪の山で
天にもっとも近いあの山の頂上で
狼煙をあげるために登っていたのです。
-
人の形は己に火をつけました。
焼けては蘇り、焼けては蘇り。
不尽の火から生まれるは、何度でも甦る不死の鳥。
甦るたびに強くなる伝説の火の鳥。
今はその身体が憎くて仕方がありませんでした。
死に死に死に、死んで死の終わりに冥し。
今宵も天は見えねども
月まで届け、不死の煙
-
終わり!閉廷!
-
スレタイが回収されてないやん!
-
くっそ、普通に面白いじゃねーか!
オチまでちゃんとコンパクトにまとまってるし
なんでこんな場末のホモの巣窟に投稿したのか
怖い批評家さんたちの多い創想話でも、気楽な産廃でも投稿すりゃいいのに
しかし、もこたんファンのワイとしては少しムシャクシャするので、
産廃で輝夜が拷問されるSS読んでくる
-
>>22
だって初SSだしSS速報怖いし
-
>>23
お前、初めてかよぉ!?(驚愕)
まあ、SS速報はもちろん、シリアス展開に辛辣な創想話も初心者には敷居高いのかな?
またここで読ませてもらえても嬉しいが、なんだったら産廃の創想話でも書いてみたら?
あっちは良くも悪くもマニアックの巣窟だが、空気読まない厨房以外には優しいで
-
萃香のなんか説教くさいけどお前人のこととやかく言えんのかよ?って感じが原作っぽくて良かった(小並感)
一瞬の出番でも畜生具合を発揮し、あぁ霊夢は安定してるなぁという安心感を与える博麗霊夢さんは主人公の鑑
-
自画自賛で嫌なんだけど読み返したら面白い
狼煙→>>2の永琳の話 「月まで届け、不死の煙」
曇天→>>3の曇り空 >>19の「月は見えねども」
行き当たりばったりで書いたのにかなり噛み合ってて草生える
-
>>26
行き当たりばったりってこれ書き溜めとかしなかったんですかね・・・?
-
>>27
着地点と出したいキャラ(永琳 萃香 霊夢)あたりは決めてた
書いてる途中で椛が急に出てきて草生えた
天子出さずに萃香で終わりにしようと思ったけど難しくて、気づいたら椛がいた
-
あがれ!
-
あがれ!
-
あげてるのに上がらないがばがばしたらば嫌い
-
独特な雰囲気がセクシー、ヘロイン!
すっごい引き込まれたゾ
-
>>32
ありがとナス!
良かった点悪かった点なんかありますかね
-
なぜこんなこの世の果てで書いてしまったのか
-
>>26>>28
この書き方は誤解を招くな
書き溜めはしてました
書きながらストーリーを考えていたので、意図せず椛を出すことになりました
ほんとは神奈子様が出るかもしれなかったけど結局出ませんでした
あと無粋な解説>>4
雛の言う不思議なパワー→蓬莱の力(純粋な人間に近づく)
妹紅が言う不思議なパワー→炎の妖術
-
面白かったです。
より多くの人に見てもらうためにももっと人の多いところに投稿され直されてはいかがでしょうか?
-
>>36
えー怖いじゃん
ここなら大抵のことは笑って済まされるけどよそだとボコられそうで
まあもっと多くの人に見てもらいたいってのはあるけど
-
>>37
AILEくんに纏めてもらえばいろんな人が見るかもしれないで
-
>>38
東方のSSとか望み薄でしょ
まあ気が向いたらSS速報あたりに投稿してみようかな
-
>>39
AILEくんも普通のSS見たいって言ってたし大丈夫だって安心しろよぉ!
-
そうかね
また今度なんか書きたいからお題とかできたらください
-
この前クッキー☆について批評されてましたよね?
ですから改良版クッキー☆のシナリオみたいなものが見たいです。
-
>>42
改良したらそれは最早クッキー☆じゃないんだよなあ
-
>>42
ぶっちゃけあんなほのぼのシナリオは無理
これみたいな激寒シリアスの方が簡単
-
つーか次に書いたときこんなに面白くなる自信がない
なにこれ?
-
SSクッキー☆劇場頼むよー(他力本願)
-
>>46
だから無理だっつってんじゃねーかよ(棒読み)
全文書き起こししかないけどいいかな?
-
あがれ
-
っていうかなんで普通に書き込めるのにキャップ貰ってんの?
-
見てほしいのはわかるけどここまでするなら他に適した場所があると思うのでそこでやってみてはいかがですか
-
確かにキャップ無しで書き込めるなら無しのまま書き込めばいいし
SS書き終わった後キャップ付け出すのはただのコテハン自分語りと同じでは?
散々コテハンについて叩いたのにキャップだからしゃーないって言うのはおかしいと思う
-
いやSS書いたのはパソコンだったからキャップつけてなかったのよ
その後付けたのはごめん 自己顕示欲ですわ
■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■